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■ Another Bound Neo

タイトル画面
作者 [ Arue さま (Crystal light stage) ]
ジャンル [ 一人称視点・3Dアクション ]
容量・圧縮形式 [ 34.1MB・LZH ]
製作ツール [ HSP ]
備考 [ HSPプログラムコンテスト2007 最優秀賞 受賞 ]
[ 寄付受付中(700円) ]
ダウンロード ダウンロード先

序盤の一場面 セリア博士との邂逅 トラップ破壊 セーブ画面 序盤の死に所 最初のボス

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 6 /10 10/10 8 /10 72/90 B
ckck 7 /10 9 /10 7 /10
赤松弥太郎 7 /10 9 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:6 グラフィック:10 サウンド:8

傑作FPSにあらず。一人称視点の傑作謎解きアクション。

■ 輝かしき作品

本作「Another Bound Neo」は、HSPプログラムコンテスト2007で最優秀賞を受賞した、珠玉の作品です。
商業作品に勝るとも劣らないグラフィックの質、世界観まで凝りに凝ったストーリー、そして、BGM以外の全てを作者・Arue さま一人で作り上げた労力と執念…。最優秀賞にふさわしい傑作です。
本作は、言うなれば「謎解き主体のACT+STG」です。ストーリーを進めるにつれ、できる物事・行ける場所が広がり、盛り上がりも感情移入度も増していきます。

それは、逆に言えば、序盤ではできることが制限され、ユーザーを限定してしまうと言う短所にもなります。普段の私なら、「我慢すればするほど、後に面白くなる」として、それほど大きな減点要素にはしません。
…が、今回のハマリ度を6点まで減点した理由は、このユーザーを限定するほどの敷居があまりにも高すぎる…その一点なのです。

無印から「Neo」へのバージョンアップと共に、セーブポイントの増加・敵キャラのAI変更など、遊びやすくなった事は確かです。
しかし、それでも本作は難易度の高い作品です。一人称視点+アクション性の高さと言うゲームシステムそのものが、難易度を高くしているのです。

■ 一人称視点の難しさ・ジャンプアクションの難しさ

FPS(一人称視点シューティング)と言うものは、商業作品ですらかなりマニアックな部類に入ります。それは、システム自体が上級者向けになっているためです。

  1. 視界が制限されるため、背後・側面の状況が分かりにくい(場合によっては、全く分からない)。
  2. プレイヤー自身の当たり判定が分かりづらく、敵の攻撃を避けにくい。
  3. マウスで照準を合わせるシビアさと複雑さ。

などと言った、初心者が訳も分からず殺される悲劇を量産する仕組みになっています。
(FPSプレイヤーでの)一般に「傑作」と評されるFPSは、この短所を緊張感を高める要素として上手く利用しています。

  1. 眼前に迫り来るクリーチャーの恐怖・それらを薙ぎ倒す快感
  2. 相手の視界外から狙い撃つ快感・やり返される緊張感
  3. 慣れれば慣れるほど格好よく動け、より長く生き残れる快感・それを見て実力を推し量る緊張感

シングルプレイ主体のFPSでは(1)の要素が、マルチプレイ主体のFPSでは(2)の要素が、(3)の要素はFPS全体で重視されます。
これらを見て、何か気づくことはありませんか? この要素はどれもジャンプを主体としていないのです。
FPS上級者が使えば、「跳び上がった瞬間、3つほど死体が出来上がっていた」と言う状況になりますが、一般にFPSはジャンプを使用しなくても何とかなる物なのです。それ故に「シューティング」に集中できるのです。

対して、「3Dアクション」と呼ばれるゲームで一人称視点を主に利用する物は、ほとんどありません。このジャンルを一般に知らしめた「スーパーマリオ64」では、一人称視点は「マリオ視点」として入っていましたが、「上級者向け」として初心者の利用はお勧めできないとハッキリ記述してあります。
その理由は何故なのか、「Another Bound Neo」をプレイして分かりました。ジャンプ時に足元と行く先が同時に確認できないのが、これほどジャンプアクションの障害になるとは…。

その難しさを最も痛感するのが、序盤も序盤、溶鉱炉地点です。
落ちたら即死のリフト地帯を、ここまで培ってきた操作への慣れと、幾多の死をもって突き進む場面です。
リフトの判定は、つま先さえ掛かっていれば、「乗っている」と判別される程度には甘めに取ってあります。それでも、ジャンプ中にうっかりマウスを横に振ったらリフトに乗らないし、前進とジャンプのタイミングを一瞬でも間違えれば足を踏み外すと、本作の難しさを最も痛感する場面です。

■ 結論:それでも傑作

色々とボロクソに言ってしまいましたが、本作「Another Bound Neo」は、皆様の一部には確実にオススメできる作品です。
本作が「死んで覚える」ゲームであることを考えれば、この難しさも一概に「悪い点」だとは言えません。ただ、その「難易度の高さ」を「遊びにくさ」と誤解されてしまうことが、本作の最大の欠点なのです。
Arueさまの作品には、本作や「R.O.Z」など、ある程度プレイを繰り返してやっと面白さが分かる作品、「ココルの森のフィーナ」「マジカルフィーリング」など、見た瞬間に面白さが分かる作品が揃っています。
私は、どちらかと言えば後者のタイプが好きな人間です。本作の私の評価は、そういう性格的ミスマッチも考慮したものと捕らえてください。
試練を乗り越えた上での達成感こそゲームの醍醐味だと考える方なら、最高傑作と感じられる作品です。

 《 ckck 》  ハマリ度:7 グラフィック:9 サウンド:7

全ては、生き残るために。

ハマリ度7/10
ゲームが進むにつれて可能となることを広げるシステムを採用しているため、序盤の引き込みがかなり弱い。
初期装備が2~3用意され、状況に応じて使い分けられれば良かったのだが。
グラフィック9/10
ステージ・キャラの顔グラ・一枚絵など、どれもフリーの中ではズバ抜けた水準。小物の種類にもこだわりが見える。
欲を言えば、敵にグロさが足りないのが残念なところ。特にボスは間が抜けているように見え、緊張感の不足が否めない。
サウンド7/10
BGMのバリエーションが少ないせいか、新しいステージに入ってもその実感が湧かない。
効果音が悪くない働きをしているだけに、大変残念である。

前置き

FPSとはそもそもSTGの一種であり、他のジャンルや要素との親和性は高くありません。
そこから派生し、かつジャンルとして確立されたものを挙げるとすれば、ネット対応という要素を加えたMMOFPSくらいでしょうか。
「独特の操作法を持ったジャンルの特性」と考えれば仕方の無いことなのですが、それはそれで寂しい話です。

なら、他のジャンルと合わさることで真価を発揮するACT要素を、FPSに全力で組み込んだら。
一体、どんな作品が出来上がるのでしょうか。

と、そんな流れで紹介させていただくアクション要素満載のFPSが、 今月のイチオシ作品です。

身勝手評論

本作について忌憚の無い意見を述べさせて頂きますと、FPS+ACTというアイデアは悪くないものの、その配合具合においていささか失敗しているのではないでしょうか。特に、アクション要素の強い場面においては、逆にFPSのシステムが足を引っ張ってしまっている感すら受けます。
前置きで散々煽ってからで恐縮なのですが。

一つは、触れるだけでダメージがある上に、まとわり付いてくる敵を相手にする場合。
カメラが後ろから追従してくる形であればまだ対処出来るのですが、本作においては主人公の視点以外は用意されていません。そのため、後方や左右に回り込まれた場合は捕捉が極端に難しく、良くて大ダメージ、最悪一体の雑魚敵に殺されてしまう可能性すらあります。

もう一つは、落ちたら即死の浮遊足場。
前述の通りカメラが主人公視点固定なので、前後の距離感が大変つかみづらく、次の足場まで後数フレーム届かなかったり、ジャンプ前にリフトを踏み外すことも少なくありません。

さらに加えてしまうと、これらの難関が序盤に集中していることも問題の一つでしょうか。
ストーリーの牽引力が弱い点と重なって、エンディングや終盤を迎える前に、プレイヤーがゲームを投げてしまう要因を作ってしまっています。

と、難癖ばかりつけてしまいましたが、決して駄作と貶めたい訳ではありません。
なにせ、ゲームが中盤から終盤に入り、装備が整い行動の幅が広がることで、謎解きやボス達との戦闘が見違えるほど楽しくなるのですから。

道は武器と仕掛けを駆使するものへと変わり、新たに登場する敵たちは頭脳戦を要求してくるようになり、ボスは多彩な攻撃パターンを見せるようになります。
それまでアクションに偏っていたステージは、一人称視点+直感操作というFPSの特徴が最大限生かされるようにシフト。それでいてアクション要素を殺さない絶妙なバランスへと到達。
その面白さは、序盤で放置しかけたことを反省させられるほどです。

ゲームというものは、クリアまでプレイしないとその真価が分からないものだと、本作で改めて思い知らされました。

総括

システム的な難から低めの評価とさせていただきましたが、全体を見れば名作と呼ぶに相応しい作品です。

例え溶鉱炉のリフトで10回以上落下したとしても、諦めずに挑戦し続けてください。
苦難を乗り越えたその先には、確かな面白さがありますから。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度 : 7 グラフィック : 9 サウンド : 9

3面のボスが倒せない

 本作は投稿レビューの際「FPS」に分類されましたが、一般的なFPSとはプレイ感がだいぶ違います。
 どうも私には、本作は「FPS(First Person Shooting)」と言うよりむしろ「FPA(First Person Action)」ではないか、と思えてなりません。
 本作のゲーム観は、「避けて、撃って、敵をどんどん倒す」シューティングのそれよりも、「ステージを攻略し、先のステージへ進む」という、伝統的なアクションゲームにより近いのです。

1面 : 生物研究棟

気がついたら 同じ面ばかりプレイ

 本作のザコは、一般的なFPSと比べてすごく堅くできています。
 Easyでさえショット一撃で倒せる敵は多くなく、Normal以降ではショット連打が必須になります。敵の攻撃は強くないとはいえ、ランボープレイをしよう日には総リンチ必須です。
 かと言って物陰から後頭部を狙う戦い方もできません。本作は操作が非常に簡略化されており、移動とジャンプのみ、しゃがみ込みも忍び歩きも匍匐前進もできません。敵は射程範囲に入る前から大方こちらに気付いています。逆に背後に貼り付かれたら、敵をかわすことはまず無理。相手を殺すか、こちらが死ぬかしかありません。
 自ずとできることは絞られてきます。レーダーと目視を頼りに、射程内に入った敵を排除し、一歩一歩前に進む。これだけです。
 気分はサムスかロックマンかと言ったところですが、悲しいことに彼らほどの機動力も火力もありません。ノーマルショットだけでプレイするロックマン1に近いかもしれません。

2面 : 溶鉱炉

すぐに下に落ちるよ

 機動力がない主人公に、ジャンプアクションの試練が襲いかかります。
 序盤からジャンプで進む場面は多いのですが、中盤以降、ジャンプ失敗即死亡の過激なアスレチック面が、怒濤のごとく襲いかかります。FPSでここまで過激なアクションを要求するゲーム、今まで無かったんじゃないでしょうか。
 主人公はマリオじゃありません。ブースターを手に入れても、自分の身長ほどしかジャンプできません。ブースター入手前のなど、本当にギリギリ。一人称視点のため、ジャンプタイミングの見極めは非常に困難です。
 しかも本作、アスレチック面の直後にセーブポイントがありません。ボス戦までノーストップです。もしボスで死ねば、当然アスレチック面からやり直しという、最悪の抱き合わせです。
 Neoになってセーブポイントが増えたのですが、たった2-3箇所、しかもジャンプアクションとは違う場所でした。どうやら「僕は ! 君が泣くまで ! アスレチック面をやめない !」と言うことらしいです。
 ひたすら死んで、ひたすらやり直せば、やがては成功し、だんだんと成功率も上がるでしょう。しかし私たちは人間ですから、決して100%にはなりません。その度に、一度はクリアしたステージを再びやり直さなくてはなりません。
 本作は、ちっともユーザーフレンドリーではありません。

3面 : エネルギー調整棟

ジャンプショットは何回やってもよけれない

 本作のボスも、決して弱くはありませんが、理不尽なほど強くはありません。問題はその後です。
 無印時代は、ボスを倒しても体力が回復しませんでした。セーブポイントまでの帰り道、ザコにあっさり殺されるということもしょっちゅうで、殺されたらもちろん、ボス戦前のアスレチックとザコ掃討からやり直しでした。
 さすがに不満が多かったのでしょう、Neoではボスを倒した後体力が全快するようになりました。しかし油断は禁物、2面と3面にはボス戦後に即死ポイントが存在します。特に2面のものは悪質ですので、初見では必ず一回は死ぬものと覚悟してください。
 つまり、本作ではボス戦でさえ、一回クリアして終わりにはできないということです。先へ進むためには、何度と無く死に、何度となくやり直し、失敗した場面は成功するよう、運良く成功した場面はより確実に成功するよう、腕を上げることを強いられます。

 私は最初、このスッキリしない感覚は一体何なのか、ずいぶん不満に思っていました。高難度のFPSを作るつもりで間違っちゃったんじゃないかと本気で勘ぐったほどです。
 しかし、エンディングを見て、私ははっきり理解しました。
 これは、確信犯です。

次は絶対勝つために

 本作をプレイする前に、皆さんに知っておいてもらいたいことがあります。

このゲームには、爽快感は存在しない。
あるのはただ、達成感のみ。

ということです。
 本作には、一撃で後頭部を吹っ飛ばし、ミサイル一発で周りを火の海にする豪快感はありません。
 また、ダッシュで敵を振り払い、ゴールめがけてひた走るような疾走感もありません。
 本作はFPSの姿を借りた試練です。自分を鍛え、攻略法を見出し、自分のミスと戦うゲームです。
 何度となく死に、何度となく繰り返される試練に、音を上げたくなるときもあるでしょう。
 しかしその分、クリアしたときの達成感は、非常に大きいものです。
 見返り目的にプレイするものではありません。辛ければ途中でやめても、一向に構いません。
 この緊張感の先にある大きな充足感は、自分で味わうしかないものなのです。

ハマリ度 : 7 / 10
 敢えて派手さを控え、ユーザーに厳しくするというコンセプトは理解したが、プレイヤーを飽きさせない工夫に乏しいのもまた事実。
 ストーリー面の牽引力も乏しい。基本的にお使いイベントの連続で、イベントをこなしても新事実が明らかになるわけではない。設定は魅力的なのだから、もう少し掘り下げたストーリー展開を望みたかった。
 主人公に感情移入できず、自分の苦労 = 主人公の苦労と感じられない段階で、エンディングのあの台詞が出ても、白けてしまうのではないかと思う。
グラフィック : 9 / 10
 全く手抜かりのない描き込み量。解像度は低めに押さえられているが、フリーの3Dゲームとしては相当な高レベル。イベントで表示される顔グラもラフ調ながら美麗。
 しかし、Neoで新調された主人公のアーマーが、前のものより気色悪いのはどうしたものか。男女差も感じられず、何のために性別を選択しているのかわからなかった。
サウンド : 9 / 10
 オーソドックスな構成でしっかりと聞かせる、透明感の高いサウンド。キャッチーで中毒性も高い。
 曲数が少なく、特に中盤は聴いたことのあるメロディの繰り返しになってしまった点、そしてサウンドテストモードがなかった点が不満。サントラ販売など検討してみてはいかがでしょう。

気がついたら 同じ面ばかりプレイ
そしていつも同じ場所で死ぬ
あきらめずに 動く足場に挑戦するけど
すぐに下に落ちるよ
ブーストジャンプがあれば らくに
向こうの岸まで 着くけど
何回やっても 何回やっても
3面のボスがたおせないよ
ジャンプショットは何回やってもよけれない
物陰隠れて 撃ちつづけても
すぐにジャンプでよけられる
チャージショットも試してみたけど
相手が見えなきゃ意味が無い !
だから次は絶対勝つために
僕はセーブデータは最後まで取っておく

気がついたら ライフももう少ししかない
そしていつもそこでザコにやられる
あきらめずに 3面のボスは倒したけれど
電撃床で亡くなる
誘導ミサイルあれば 楽に
脱出経路に 着くけど
何回やっても 何回やっても
4面のボスがたおせないよ
ワープの音は何回やっても聞こえない
四隅に下がって 見渡してみても
いずれはフクロにされてる
ショット連打も試してみたけど
あいつのミサイル落とせない !
だから次は絶対勝つために
僕はセーブデータは最後まで取っておく
クリア画面

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