■ Treasure Adventure Game
作者 [ ROBIT STUDIOS さま ] ジャンル [ 探索アクション ] 容量・圧縮形式 [ 104MB・ZIP ] 製作ツール [ Multimedia Fusion 2 ] 言語 [ 英語 ] 備考 [ 現在のバージョンは1.0 ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 8 /10 9 /10 83/90 DECOすけ野郎 9 /10 10/10 10/10 赤松弥太郎 9 /10 9 /10 10/10
未知を突き進め! 心折れても! 指が折れても!
「Treasure Adventure Game」は、冒険アクションとして、「世界」の作り方として、非常に良くできたゲームです。
関門をくぐるたびに、「どうしても行けない!」と思っていた箇所をクリアできるアイテムが手に入ったり、キノコが育ってジャンプ台になったりと、更に道が広がる仕掛けになっています。
アイテムを手にいれる度に「あそこが行けるかも!」と言う箇所を記憶しておけば、決して「行く先が分からない!」と言う事態にはなりません。…ただし、「行けるかも!」と思った地点が、メインストーリーを進めるステージではない場合が大いにありますが。
また、主人公以外の人物や世界が「生きている」感を、このゲームでの各所で演出されています。
主人公の移動に合わせて時が流れ、その時間帯に合わせて人物たちは行動していきます。時には、特定の時間帯で無いと見れないイベント・行けない箇所(ピラミッドなど)があるため、この流れる時間は重要な意味を持ちます。
以上のように、本作はとても良くできたアクションです。歯ごたえのあるアクションです。ええ、歯ごたえがありすぎて心が折れるくらいに。
本作は、謎解きはもちろんのこと、ジャンプアクションの面でも難易度が高い作品です。決して「適性がなければ無理!」レベルではなく、何度か繰り返せば越せる難易度にはなっています。
だからといって、何度も同じアクションステージを行ったりきたりさせんなよ!
もう、本当にこれがつらいんですよ。
皆様がプレイする中で一番の心折るポイントは、3つ目のArtifactに向かう途中・溶岩地帯→ジャングル→都市の辺りだと思われます。
3つ目のArtifactのある箇所は、ゲーム性がガラリと変わるアイテム「Magic Bottle」が手に入る重要ポイントだけに、要求されるアクションも半端ありません。
溶岩地帯でのタイミングの厳しいリフト、ジャングルでサルの集中砲火を浴びながらのツタ渡り、セーブポイントはそのジャングルを越えた都市でやっと備え付けられています。
※ 正確には、溶岩地帯とジャングルの間のシーソー地点にもセーブポイントがあります。
しかし、これがシーソーのタイミングは厳しいわ、シーソーを乗り越えた先にカエル(ダメージ2・フックでも投げフックでも倒せない)が陣取っているわ、何度もやり直しているうちに魚に噛まれて死ぬわ、ジャングル以上にトラウマになる箇所です。
私は、シーソー地帯のセーブポイントは無視して、ジャングル地帯のサルを投げフックで丁寧に間引いてから越しました。
それらの難所を越し、「やったー!」と思ってた先のカエルに当たって死んだので、この地帯はもう2度とやりたくないほどトラウマです。
途中にあったクローバーも見逃しました。「Magic Bottle」によるワープを覚えるまで、こんな難所を何往復もしなくてはいけない点が、このゲームの唯一にして最大の欠点と言えます。
逆に言えば、アイテムを手に入れれば、今までの難所が難なく越せると言うことでもあります。
どこまでも追ってくる青いカニ、辺りにトゲを撒き散らすリビング・サボテンは、近接攻撃では倒せない非常に厄介な敵ですが、威力の高い投げフックさえ手に入れればザコです。
本当に、久々に「時間が無いのが惜しい!」と心の底から思わせてくれた作品です。このレビューを書き終えてから、もっと進めてみたいと思います。
P.S. このゲームの主人公、ツルッパゲに片腕が義手と言う非常にチャレンジブルな姿をしています。
リアルに描写したら、ナインハルト・ズィーガーことしげるみたいな感じになると私はにらんでますが、どうか!?
《 DECOすけ野郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:10
駆け抜けろ、冒険(アドベンチャー)度 1000%!
このゲームは自由すぎて何をしたらいいか全く分からん、
という人が多そうなので、基本的な進め方を書いておきます。①船で次の島に進もう
このゲーム内の世界は平坦なので、真っ直ぐ進んでいけば新たな所にたどり着きます。
ただ、新たなダンジョンはGEAR(重要アイテム)がないと進めない所もあるので、「ここの島、先進めねーぞ」ということがあったら先の島に進めた方が良いということですね。
だいたいのGEARは、博物館の地下にあるんですが、あれほど大きなものだとは思ってもいませんでしたよ、ええ。②人の話を聞こう
ダンジョン、街で「!」マークが出ている人を見かけたら、話しかけましょう。
そうでないとゲームが進みません。
「英語でわからん」という声もありますが、現段階ではこのゲームの日本語パッチは存在しません。
辞書、あるいはエキサイト翻訳あたりでどうにか頑張ってください。③ダンジョンを探索しよう
トラップやパズル要素もあるダンジョンを探索しましょう。
時にはボスと戦ったりする場合もありますが、直前でセーブポイントがあるので安全安心ですね♪
ただ、時にはかなり分かりづらいことも。
「砂滝の下に、ハートの宝箱があるダンジョンが」とかそんなもん初見だと分からないぜ。④地図で「12 Artifacts」があるダンジョンを探す
その地図は、たいてい宝箱に入っています。
TREASURE MAP:X Yだけしか書いていなくて何のことか全く分からなかったのですが、右上のゲージにあるコンパスの数値どおりに行けばそこのダンジョンに行けます。だいたいこの繰り返しですかね。
思い通りに進まないこともありますが、このゲームはまさしく「牛歩の歩み」みたいなものです。繰り返していくうちに、
「オヤジはどうしたのか」
「この世界はどうなってしまうのか」
「黒幕の正体とは」
ということが分かっていきます。 あとは、主人公の家にある掛け軸の意味とかも。ハマリ度:9/10
最初のうちは、やることが限られているのでイマイチ面白みが伝わってこない感じがしますが、新たなエリアに進めたり宝をゲットした時の喜びというのはもう格別ですよね。
最後までは進めていないんですが。グラフィック:10/10
これはもう素晴らしいとしか言いようがない。
昼から夜、夜から朝への切り替わり、魅力的なダンジョン、そして世界観。これはスゴいですよ。音楽:10/10
温和な音楽から、メロディアスなギター、レトロゲーチックな音楽などバラエティに富んでいて常に飽きさせないです。
あくまでゲームを「立てている」ような音楽、だと感じましたね。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:10
世界が待ってる 行くぜ! 冒険者
レビューの前に、ボクはどうしても、この作品に1つ言いたいことがある。
なんでこんなつまんなそーなタイトルつけちゃったんだよぉぉぉ!!
そのせいでプレイを敬遠した人がどれだけ居たことか! ボクは慚愧に堪えません。
何でもいいからStoryとか付けておけば当たり障りは無かったのに! 「な・らむーら」みたいなふざけた名前でも、インパクトさえあれば良かったのに!
TreasureにAdventureに、いわんやGameなんて……本当にガッカリなネーミングセンスですよ。
オープニングを見ればわかるとおりで、本作は雄大な世界観と、ちょっとクラシカルな風味を持つ作品です。
……長すぎたり、難しすぎたりはしないと思うんですけどねえ。他のレビュワー陣はだいぶ苦戦している様子で。
ボクはアクションは苦手なんですが、Good Endに到達するまで長く楽しめた作品でした。
いい作品すぎて語る言葉が見つからないのですが、思うことを徒然と書いていきますね。
オープニング、まず目を惹くのがこの「輪回」と書かれた掛け軸ですね。普通は「輪廻」と書くと思いますが。
この作品は当初「Karma」という名前で、善行を積んで高等種に転生するゲームだったのです。
その名残なのか、あるイベントで「カルマを信じてる?」と聞かれる場面があります。走り回って薬を持ってきたのに、なんの報酬ももらえなかったという場面でのこと。
意訳すれば、情けは人のためならず、巡りめぐって自分に返ってくると言うことでしょうかね。
ボクとしては別に、報酬なんか無くても構わなかったんですが。
だって、主体的にこの世界と関わって、NPCの病気が治って変化が起きる、そのこと自体がボクたちプレイヤーにとっての報酬じゃないですか。
もう一つ、「輪廻」という台詞が出てくるのがこの場面。序盤のミミズたちのねぐらです。
このミミズたちは、古代戦争の生き残り、なのだそうです。暴力吹き荒れる外界とのつながりを断ち、平和に暮らして善行を積めば、悟りが開け、もっと高等な種に転生できる、という教えに従って生きています。
ですが、このFetiという子は違う考えを持っているようで。苦難や争いや誘惑が無ければ悟りは開けない、と先代の本を読んで学んだのだそうです。
……と言って、この子は本を読むばかりで、自分から苦行をするつもりなんてさらさら無い様子。地震で滅亡しちゃう、とオロオロするばかりで、外に出ようという考えは無いみたいです。
この作品の世界には、様々な種族が生き、それぞれ違う社会や文化を築き上げています。
太古に滅んだ亡霊達の町、地下に拡がるキノコ達の集落、動物たちの楽園、等々……もちろん人間の住む町の暮らしも様々です。
こういった多様な生き方をうかがい知ると、世界を旅してる、という気分になれますよね。
まあ、オウムにかかると「ウジ虫並だな」と容赦がありませんが。このオウムというヤツがまたクセモノでして。
博物館地下の古代寺院から、成り行き上助けてやったのですが、まあ口やかましく要らんことまで言います。
極めつけがミニゲームをプレイしようとした、この場面。
「テレビゲームで時間をムダにするのか?
お前はなんだ? ガキか?」だって。
うるせー! ガキで悪かったなバーカバーカ!
主人公の相棒には違いないんですが、プレイヤーにケンカを売ることも厭わない、かなりいい性格してやがります。
だからこそ面白いコメントが聞けるんです。思い出したように↑ + Aを押すと、サラッと嫌なこと言ってたりします。
全体的にかなりキャラが立ってる作品で、NPCの台詞もいちいち聞き逃せません。
本作の難度は高い。たぶん他のレビュワーの皆さんも書いてると思いますが、それは事実です。
ただ、本作の難度の要素は、純粋に高度なアクションを求められる部分と、攻略ルートを自分で探す過程の2つに分けられると思ってまして。
前者だけだったら、そんな理不尽な難しさではないと思ってます。繰り返しプレイすることで、必ず乗り越えられる壁です。
しかし後者が絡んでくると、どうにも理不尽を感じる場面も出てくるのではないかな、と。
以前書いたんですが、探索型ACTの場合、
「一見理不尽に見えるが必ず越えられる、越える必要のある壁」と、
「越えられないことはないが、非常に難しく、越える必要のない壁」を区別して、プレイヤーをうまく誘導してやるのは非常に難しいのです。
他のレビュワーの皆さんに聞いたところ、全員→のボスで詰まってました。
このボス、出発地点の地下、とってもわかりやすい所にいまして、シャベルさえ手に入れれば、1つ目の宝より前にいつでも戦えます。
戦えるんですが、正直初期のHP6で戦うのは無茶、かなりの無理ゲーを強いられます。
なのにみんな、「勝てないことはない」のはわかってる、「だとしたら倒さないと先に進めないんじゃないか」とリトライを繰り返してたんですね。
そんな死闘の果てに手に入ったのが、たったのハート1個なんだから、気持ちが折れちゃうじゃないですか。
本作をプレイする心構えとしては、「やらねばならぬ」ではなく、
「ここがダメなら、別の所に挑戦してみるか」というくらいの、気楽な方が楽にプレイできると思います。
このボスだって、他のハートを集めてHPを上げていけば、無理さは緩和されていきます。
そして魔法瓶を手に入れたあとは、ずっと楽に戦えるようになるんです。
……そんなこと言われても、プレイしてる最中は気付けないんですけどね。
まあ、そんな試行錯誤も含めて探索型の面白味なんだ、ということです。
他のレビュワーに聞くまで、ボクがこのボスのことに気付かなかったのはナイショだ!
ボクが他のレビュワーの方々にお願いしたのが、「最低、魔法瓶を手に入れるところまではプレイして欲しい」ということ。
3つ目の宝の前に手に入るこのアイテム、手に入れた瞬間別ゲーになるというくらい、本作では重要なんです。
効果は、「魔力を閉じこめ、放出する」というもの。しかし応用範囲は非常に広いです。
火を封じて炎を出したり、水を入れて鎮火したり、風の力で空を飛んだり、キノコッ粉を吸い込んで見えないものが見えちゃったり、果てはラスボスを倒せるのもこのアイテム、という具合。
今までできなかったことができる、行けなかったところに行けるようになる、手に入れるとちょっとした万能感に浸れます。
→のワープも応用の一例です。ほぼノーヒントなんですが、やり方がわかるとプレイ時間がすごく短縮できます。
アイテムを手に入れる度に探索範囲が拡がっていく、という探索型ACTの醍醐味を、本作は体現しています。
と同時に、プレイヤー自身の成長が難関を越える度に実感できる、という古き難ACTの性質も多分に持っています。
以前はひどく苦労していた難所に再び訪れると、思いの外スムーズに進めるようになっていた、この快感って他にないですよね。
それもアイテムの力だけじゃなく、自分の努力の成果だと自信を持てる、だからこその達成感なんです。
だから、他のレビュワーの皆さんも、できればこのイチオシが終わった後も、引き続きクリアまでプレイしてほしいなー、と思うのでした。
と、気づけば色々と書いてますね……ただ、本作の良さを伝えられてるか、と言われると、自信がないです。
「夢工場ドキドキパニックと風のタクトを合わせた」なんて紹介も見ました(※英語のSuper Mario Bros. 2とはあの超高難度のマリオ2のことではないので、念のため)が、的はずれとは言わないまでも、この作品の魅力を語るには力不足を感じざるを得ません。
本当に、素晴らしい作品をありがとう、という言葉しか浮かんでこないのですよ。
若干の不満点は評点の方でまとめますね。
- ハマリ度 : 9 / 10
- 終盤でやや先細りを感じた。7つ目の宝の頃がストーリーもギミックも最高潮で、それ以降目新しいギミックや展開もなく、ラストバトルやエンディングも「やり切ってない」感が付きまとう。もう少し時間を掛けて練れなかったものか。
不具合はほとんど無かったが、コインが妙なところに引っかかって取れないことが度々、オウムを使うギミックで、めり込んでハマってしまうことが1度あった。Danausel図書館で本を読みながら←キーを押し続けていると不思議なことが起きるが、進行には一切影響がない。- グラフィック : 9 / 10
- 輪郭線を描かないタイプのドット絵で、かわいらしいと言うよりちょっとグロめ。特に背景が美麗。
しかし洞窟内が、いくら演出とはいえ暗すぎる。ライトを手に入れるのは本当に終盤になってからで、使うのは基本水中探索に限られている。- サウンド : 10 / 10
- サントラはbandcampで販売中。今(2012.07)の円相場ならワンコインで購入可能。
必ずしもチップチューンには囚われない、意欲的な音作りをしている。ボス曲「Fight or Fight」の中毒性に目が向きがちだが、多彩なフィールド曲もまた印象深い。最後、日本語版の状況について。
本作は、メッセージ部分が全て別テキストファイルにまとまっていまして、非常に翻訳がやりやすい、という素晴らしい特性を持っています。
今までにブラジル版、フランス語版、ドイツ語版、繁体字版がリリースされてますが、日本語版はまだ出てません。
ドットが小さすぎて漢字は潰れてしまうんですが、ひらがな、カタカナなら十分読めるレベルです。
凝ったストーリーやメッセージが魅力の作品ですから、ぜひ有志の方が翻訳してくれることを期待したいですね。