■ ネコかん
作者 [ milwil さま ] ジャンル [ 甘さを取り戻すネコアクション ] 容量・圧縮形式 [ 4.2MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 7 /10 8 /10 9 /10 152/180 hoikoro 7 /10 10/10 9 /10 牛人 7 /10 8 /10 7 /10 天ノ原 9 /10 9 /10 10/10 赤松弥太郎 9 /10 7 /10 9 /10 みりん星 9 /10 9 /10 9 /10
甘くは…ないぜ!
今回のイチオシ「ネコかん」は、かのアクションゲームシリーズ「星のカービィ」をリスペクトした作品です。グラフィックもサウンドも、「あの作品」を意識した造りになっており、作者自らの手で作り出したものです。「再現度」は、まさにピカイチと言っていいでしょう。
しかし、こと「一つのゲーム」として本作品を見ると、「星のカービィ」のような「幼児でも楽しめる」レベルの簡単なアクションとはとても言えません。ジャンプアクションは「星のカービィ」のようにホバリングができるのでリカバリしやすいのですが、肝心の「攻撃」が非常にテクニカル=当てにくいモノになっているのです。
このゲームを見ると、「星のカービィ」の「敵を吸って射程無限の弾に変換する」と言うシステムが、いかに「要求されるスキルを少なくする」と「攻撃(=吸える敵の探索)に思考を使う」を両立したシステムであるかを痛感します。対して、「ネコかん」の場合、ノーマル攻撃に要求されるスキルが「バイオハザードやメタルスラッグのナイフ」並です。
射程・攻撃範囲ともに最弱と言ってもいい性能です。正直、ボス戦時に能力が消えると「絶望」と言う言葉さえ浮かびます。
そして、肝心のコピー能力に関しても、使えるものと使えないもの(「ノーマルよりはマシ」レベル)の差が激しくなっています。特に、上にしか攻撃判定のない「エアリアル」や攻撃後に何故か斜め上にジャンプする(そして、無防備のまま敵や針にぶち当たる)「コメット」は、初めて見たとき「罠武器じゃねぇか! バカヤロー!」と言う罵声さえ出掛かりました。ともに初登場が大型敵からのドロップなので、余計に使えなさの怒りは増すばかりでした。
そして、そんなコピー能力には「ダメージを受けると一定確率で問答無用で消える…再獲得は不可!」と言う、イヤ~な仕様が入っています。先述の通り、大型敵の前で能力を消してしまうと、あの「ナイフ一本でゾンビや戦車に立ち向かう」レベルの高難度ゲームを強いられることになります。
そう、このゲームの立ち回り、「星のカービィ」のような「状況に応じてコピー能力を切り替え、万一消えても『吸って吐く』でアドリブ対処」のような縦横無尽なゴリ押しは通用しません。「使える能力を手に入れたら、文字通り死んでも守る! 余計なダメージは受けないように慎重に動く!」
と言う、普段なら「高難度のアクション」で求められる立ち回りを要求されます。
しかし、こんな「無理!」と言いたくなる条件でも、何とかクリアできるよう構成は考え抜かれています。敵は常に攻撃を出しているわけではないので、ノーマル攻撃の射程まで近づく隙はいくらでも見つかります。
逆に「使える能力」であっても、どこかに「苦手な方向」がある攻撃判定になっているため、そこを敵を突かれないよう、油断しない立ち回りが必要です。
以前の「アクションモグラ」と同様、「イメージで油断してると手痛いしっぺ返しが来る」レベルには難しい作品ですが、決して「客観的に見て難しい」作品ではありません。
《 hoikoro 》 ハマリ度:7 グラフィック:10 サウンド:9
ネコにケーキをあたえないでください!!!
【ネコかん】今回レビューさせていただきました
えー…まず、プレイし始めた直後も、中盤にさしかかりどのようなゲームかわかってきた後も
最後の最後のエンディングを迎えた時も、それが終わってタイトル画面に戻った時も!!!
全てが、あの雰囲気そのまんまでした!!!(賛辞)
ストーリーも、知っている方ならほとんど予想できる内容で進んでいきます
BGM・SEも、可愛い敵キャラたちも、ボス、ステージの傾向でさえそのとおりでした
プレイ中に軽く見られたワンシーンですら「なんだ、それ夢の泉じゃねーのか」と背後から声をかけられるほどでした
それほどまでに完成度が高いにもかかわらず、サウンドやグラフィックが完全にオリジナルであるという、驚愕です
どのキャラも可愛く、かつ格好良いものです
BGMもかなりマッチしており、かつ非常に豊富に存在しているため、次へ進むことの意欲を駆り立ててくれます
個人的には28番が一番好きです、一件落着感が落ち着きます
しかし、というよりはあえて、でしょうか
プレイの難易度はそう低くないです、結構高めで、終盤のステージは死んでやり直すことも多々あります
能力はダメージを受けた際にランダムで消失し、それを防ぐ手立てはないので
ボス戦で苦戦した場合、更に苦戦を強いられることになります
収集要素であるシュガースフィアも簡単なものもあれば、高いテクニックを要求されたり理解不能なものもあります
あれを思い浮かべればまぁ当然と納得できるところもありますが…
ネコは特定の敵を攻撃で倒す(体当たりNG)ことで、エコだまを落とさせることが出来ます
これらを用いてステージを攻略していくのですが、上述のダメージを受けると能力を消失する特性に加え
ネコの初期装備が、連射性遅い、リーチ短い、発生遅い、走ると前に出てこない!と欠点多数なので
能力縛りプレイの場合はかなり厳しい戦いを強いられると思います
自分は一応全ステージのボスを初期装備で倒しました......!
閑話休題、ともかく能力を使わないと敵が(特に中ボスが)非常に厄介なのですが
その能力の中でも
上下を攻撃できず、目の前短距離しか攻撃できないアイアン
連射ができないおかげで敵に自分からツッコんでしまうフレア
上にしか攻撃できない!エアリアル
これらは少々憂き目にあっていると感じました、特にエアリアルくん
これら以外にも殆どの能力がかなり癖が強く、更に能力が突然消失する都合上、強い能力一本で戦うことも難しい
さらに敵の当たり判定が見た目よりかなり大きく(特に竜巻の中ボス)能力ですら苦戦する上にダメージを受けて…と
厳しい悪循環で初期武器の戻され、更に苦戦する
この流れが自分は少々気になりました
ただし、それを差し引いても余りある魅力がこのゲームにはあります
各ステージごとに差し込まれる可愛いムービー、ボスの細かい仕草、かなりこだわった背景
注意して見れば見るほど面白くなるこのシステムは、収集要素にピッタリだと思います
とてもかわいい
あと少し、例えば初期装備をもう少し強くすることで、MISS後のイライラ感を消すことができると思います
プレイ中に僅かな苛立ちを感じる時が存在するのは事実ですが、とても楽しいゲームでした
・ハマリ度:7/10
クリアまで一直線に進んだとしてもボリュームはなかなか
隠し要素を余すことなく全て楽しもうと思えば10~15時間程の結構なボリュームになると思います
このゲームをプレイして思ったことは、やはり、あのゲームへの思い入れ
全く違和感を持たせず、完全にオリジナルでありながらも、深いリスペクトが感じられます
上記の欠点故にこの点数ですが、ここには対象とされないゲームへの愛や、クスリと来る要素などが詰め込まれており
7-6の大王のGEKIKARAとシュガースフィア集めの際の何でこのスペル?が分かった時は少々感銘を受けました
・グラフィック:10/10
完全オリジナルとは思えないほどに可愛く格好いい、そして夢の泉っぽいです
ボスは特にこだわりを感じました、どれも完成度が高く、素晴らしい出来です、ライニャンフーニャン可愛い
キャラクタードットだけでなく背景も手が込んでいることがありありと見受けられました
・サウンド:9/10
こちらも完全オリジナルです、MSPを用いて制作しているようで、どこかで聞いたことのある風であり
それでいて場面や状況とにズレを感じることは一切ないままに、最初から最後まで突き通しました
特にノーマルエンディング時のBGMを聞いた後の新エンディングのBGM
なくしたものが取り戻せた、という感覚があり、物語の締めに相応しいものだと思います
ただ、はしごなどでSEの雰囲気がおかしい部分があり、何かのスイッチを踏んだのかな?とおもうこともありました
個人的にはBGMだけでなくSEも聞ける場所が欲しかったです
このゲームは本当に夢の泉のファンゲームかな?と思うほどに雰囲気がぴったりで
プレイを進めていくに連れてその思いは増していきました
主人公のネコかんくんはとても魅力たっぷりの主人公として最後まで貫いてくれたし
ゲキカラ大王も案の定ただの悪役ではなかったです
組手は逆にもうちょい難易度高くても良かったかも?
ウディタ製のオーソドックスな2D横スクロールアクションです。
難易度は低めで、操作も平易なのでプレイし易いです。
まず、本作はゲームとして丁寧に作られております。
挙動はしっかりしており、また、ドットアクションも芸が細かいです。
また、世界観・グラフィック・サウンド等からほのぼのとした雰囲気が良く出てます。
難易度、操作性、雰囲気、そしてなにより作品の丁寧なつくり。
この作品はとても「マイルド」であると言えるでしょう。
無論、エロ要素はない。
- ハマリ度:7/10
- なんとなくハマれなかった。
- グラフィック:8/10
- 良いドット絵。
- サウンド:7/10
- 雰囲気は良い。
《 天ノ原 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:10
我輩はネコかんである。
本作は星のカービィシリーズ、特に初期のGB、FCの作品を意識した造りになっております。難易度が低く、敵やギミックの特徴をプレイヤーに覚えさせるという過程を、非常にリスクの低い状態から行っているという手法もネタ元に準じていると言えるでしょう。
攻撃を当てると壊れるクッキーブロック、遠距離攻撃を行い破壊不可のタコ型砲台等、序盤だと前者は壊しても無難な箇所、後者は通らなくてもいい&こちらが攻撃を受けにくい場所に配置されており、時間制限が無い事も含めて見本として観察する余裕があります。勿論、この手法を適用されているのは前述の2種に限らず、何らかの癖がある敵・ギミックは殆どこの形で初登場するようになっています。
敵の攻撃密度も、序盤は緩く、後半になるにつれて厳しくなっていくペース配分が(アクション初心者向け的な面で)絶妙でした。アクションに慣れた人なら、終盤まで物足りない程度でしょうか。
中ボス・大ボスなどの攻撃間隔も非常に長く、相手が何かする前に倒せてしまう逆初見殺しが発生してしまう程です。というか、アクション下手の横好きな私でもラスボスを初期のねこぱんちだけでノーダメクリアを4回リトライでできてしまったのですが‥‥いいのかそれで。正直後半は、ボスより道中のザコの方が厄介です。クリアするだけなら簡単な本作ですが、各ステージに1つずつあるシュガースフィアのコンプは若干難しくなっています。最初こそ、すぐ目に付く場所に存在していますが、後半は「マップ内にいる複数の敵の能力を使って道を切り開く」「特定の能力をキープしたままスフィア配置マップに到達」と難しくなっていきます。
というか、不可視の扉を地形でそれ~っぽく指し示すなんて手法、FCやSFCの世代でなきゃ分かりませんって。
ネットを漁れば情報が簡単に手に入る昨今、こういった隠し要素というのは絶滅危惧種です。ですがあえてその時勢に逆らい、ネタ元のそういう要素を盛り込んだmilwil氏には「漢だな!」と言わざるを得ません。マップ下ギリギリまで空間が配置されているため、パラメータ表示とかぶって穴と床の判別がつきにくい点を減点とさせていただきました。私がマップ構成で純粋にマイナス要素と言えるのは、この点くらいなんですけどね。
グラフィックは90年代を意識された風合いのドット。主人公ネコかんはもちろん、敵の1体1体に至るまで動きが分かり易く描かれているのが非常に好印象です。
水エリアの表現が、水面のラインのみというのが引っかかりましたか。移動能力に関わる地形なので、水中の視覚的な表現はもっと分かりやすくすべきですわ。
後は強いていうなら、ですが、全体的にファンシーな雰囲気で統一されているからこそ、ウディタのデフォルトフォントMSゴシックが浮いている感が。せめて能力表記は作風に合わせた字体にするのが良かったかと思います。低難易度かつ良質のアクションはフリーだと少ないので、アクションが苦手な方もプレイしてみてはいかがでしょうか。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:7 サウンド:9
でもこれだけは忠告だ 俺様に惚れるにゃよ
全エコだま解説、いきますよ!
本作に登場するエコだまは全16種類。多彩なステージに合わせて、多種多様な能力が用意されています……とは言ってもねえ。
エコだまには、はっきりヒエラルキーがあります。他のエコだまの劣化版になっているものも多いです。
おそらく、お気に入りのエコだまを1つ決めて最優先で取得する、なければひとまず次点のエコだまで粘る、謎解きでやむを得ず必要なら他のエコだまも使ってみる……といった具合になるかと思います。
あまりに使いづらい能力をうっかり取ってしまった場合、Shiftキーで捨てることも選択肢に入れましょう。
チュートリアルではかなり不可解なキー配列を紹介されますが、普通にZ、X、Shiftで操作した方がやりやすいでしょう。Fキーのポーズは、ほぼ使わないので忘れて大丈夫です。
まずは一番の基本、デフォルト装備から。
ネコぱんち
猫を飼ったことのある方なら、本式の猫パンチの破壊力は侮りがたいことをご存じでしょう。なんたって肉食動物ですから。
しかしまあ、火を吐いたり、雷を起こしたりする他のエコだまと比べてしまうと、圧倒的な力不足を感じざるを得ません。
射程は空気弾を下回る短距離、連射性能も低く、機動力の高い敵相手では当てることにも苦労します。
が、まず最初はこれで倒さないことには他のエコだまは得られないわけで。
本作では敵味方含め、すべての攻撃がダメージ1、ザコはネコぱんちであっても一撃で倒せます。慎重な立ち回りが大切です。
ボス戦でも、苦戦はしますが攻略不能というわけでもなく、十分戦えます。剥がされてしまっても絶望しないこと。
続いて、最も使いやすいだろう4つのエコだまです。
この4つはクセが少なく、際だって不利なステージもあまりないため、状況を気にせず取得できる万能型です。
まずはこの4つの中で、自分が好きなものを使いこなしてみると良いでしょう。
ルナ
汎用性の高い前方飛び道具です。ほぼカッター。
三日月型の飛び道具はブーメランのように、前方に一定距離飛んだ後、逆向きに戻ってきます。
とは言っても追尾能力はないので、ネコかんが上下方向に移動していた場合はそのまま後ろ向きに飛んでいきます。こちらは飛距離無制限。
ネコかんが移動していなければ、後ろには飛びませんが、いずれにしてもキャッチモーションなどはありません。
連射性能の高さが最大の魅力です。画面内に4,5個は出せます。
また、戻ってくるときの攻撃判定もバカにはならないので、とりあえず出しておけば安心な技です。
弱点は、上下方向に判定が無いこと。
エコだまの中では長い射程があるとはいえ、前方のカバー範囲はスクリーンショットのとおり、あまり広くありません。きちんと把握しておきましょう。
フレア
前方に向かって火を吐く技です。ファイアと言うより、ビームです。
ボタン押しっぱなしで出しっぱなしになります。ゆっくりと、前方やや上方からやや下方に向かって、なめるように火を吐き続けます。
この、初段がやや上方というのがポイントで、そこそこの対空性能があります。
が、あくまでそこそこ。空中戦は苦手です。
見ての通り、真上や後ろに対しては完全に無防備なので、安全地帯を確保する立ち回りを心がけたいです。
壁を貫通することも、覚えておくと良いでしょう。
エレキ
周囲に電撃を発生させる技です。スパークですね。
これもボタン押しっぱなしで発動させる技です。2筋の稲妻が回転し、四方の敵を攻撃します。
ボクが愛用したエコだまです。360度、壁も貫通してカバーできるので、ザコ相手ならほぼノーリスクで安全地帯を確保できます。
ただし、射程は狭いし、判定の回転も速くないので、過信は禁物です。フレア同様、ジャンプ中に使える技ではありません。
ボス相手では火力不足も懸念されます。守りに特化したエコだまと言えるでしょう。
ポイズン
毒、とは言いますが特有の特殊効果はありません。特に元ネタ無し。強いて言えばボム……かなあ。
内容としては、放物線上に弾を投げる、ごく一般的な攻撃です……が。
これ、連射性能はルナと並んで最速、射程もルナ並、弾速はルナを上回り、さらにルナの弱点である上方の判定もカバー、とほとんど隙がありません。
ただでさえ強エコだまであるルナの、ほぼ上位互換という性能で、まず最強エコだまの地位は揺るがないと思われます。火力がすさまじいです。
数少ない弱点として、放物線上に投げるため、前方近距離に懐がある、というものがあります。
動き回って投げ回る、というスタイルで、懐に入り込まれることを避けていきましょう。
残りのエコだまのうち、使用状況が限定されていたり、クセが強すぎたりで、上記4つと比べると今ひとつ見劣りがするものばかりです。
クセがあるなら、まだ魅力的と言えますが、中には完全劣化としか言えないようなものも……
アトランダムに見ていきましょう。
フラワー
押しっぱなしで発動する技、その3。これもたぶん元ネタ無し。
花びらを自分の周囲に回転させます……横方向に。
見ての通り、エレキの劣化版です。おわり。
……まあ、判定が一瞬で完成するため、横方向の速度は最速という特長はあります。ありますが。
あえてエレキやルナではなく、これを使う理由はどこにも見当たりません。
本作、割と上方向からの攻撃が多いので、上方向をカバーできないのは結構キツいのです。
持っている敵が楽に倒せるので、他のエコだまを手に入れる前のつなぎとして使いましょう、という、本作の平均的な劣化エコだまとしての役割しかない、そんなエコだま。
アイアン
剣を持っている敵を倒すと手に入るエコだまです。ネタ元はソード。メタルとは無関係です。
近くにいる敵を切り上げて攻撃します。
ネコぱんちと比べると射程も広く、また上下方向に判定があるので、格段に扱いやすくなっています。
……通常、こうした近接専用の武装は、火力が高かったり、何か光るところがあるのが通例です。
しかし、繰り返しますが、本作はすべての攻撃で単発火力は共通です。
つまり、評価項目は射程、連射性能、そして特殊能力。この3項目しかありません。
その点、アイアンは連射性能がネコぱんち並と底辺クラスであり、擁護できません。特殊能力もありません。
だいたい、比較対象がネコぱんちという時点で、他のエコだまとの差はあまりに大きいと言わざるを得ません。
ロック
自分の体を岩に変える技。ストーンです。ストーンなんですが……
岩に変わっている間は全身無敵で、あらゆる攻撃を無効化します。
その代償として、移動能力を一切失います。見た目は丸いですが、転がれません。
また、岩に変わっている間は攻撃もできません。唯一できるのは押しつぶし。ジャンプ後に岩に変わることで、下方向に攻撃できます。
……元ネタのスパデラなどでは、大火力の代名詞だったこの技ですが。
みたび言いましょう。本作の攻撃は、すべて単発火力が同じです。
他のエコだまと比べて使いこなしが格段に難しく、使いこなしたところで実りは多くありません。
しかし、「かたいブロック」を壊せる2つしかないエコだまの1つなので、謎解きでどうしても使わなければならない場面は結構あります。
そのため、使用頻度で見ると、他の劣化エコだまと比べると多い部類に入るかと思います。
エアリアル
押しっぱなし技、その4。トルネイドとは本質的に異なります。
ボタンを押したままにすることで、上方に竜巻を発生させて攻撃します。
スクショを見て、この技の特長は理解できたと思います。上方向の攻撃範囲は最長です。壁も貫通します。
と同時に、欠点も理解できたと思います。横方向には一切攻撃できません。そう、一切。
横スクロールアクションで、隣接する敵に手も足も出ないのがどれほどのペナルティか。1秒も考えずにわかるでしょう?
まあ、宙に浮いているボスとか、上方向へ進んでいく場面では、全くの役立たずというわけではありません。しかし、使用する場面はきわめて限定される、と言うしかありません。
エコー
ちょっと珍しい飛び道具です。挙動はレーザーに近いです。
直進する音波を前に向かって出すのですが、この音波、射程が無限遠です。画面から消えない限り飛び続けます。
そして、壁に当たると反射します。斜面に当たると90度で反射するので、上方向や下方向にも飛んでいく、というわけ。
お察しの通り、謎解きでの使用がメインになるのですが、普段の攻略でも十分戦える性能です。
手に入るのが洞窟ステージに限定されていますが、反射させてふつうの攻撃では届かない範囲をカバーでき、有効に使える場面は多いです。
が、攻撃範囲以外の面では……。
連射性能が悪く、弾速も遅いので、ルナやポイズンに取って代わるには力不足です。あえて使い続ける必要は無いでしょう。
クール
押しっぱなし技、その5。ほぼまんまフリーズです。
射程範囲の敵を凍らせ、さらにその氷に触れることで前に滑らせて攻撃する、という回りくどい技です。
おそらく射程はフラワーと同じ。なので劣化エレキの評価は、このエコだまにも当てはまりそうです。
「い、一応前に向かって攻撃できるし!」といういいわけは結構。
最大の問題は、凍らせた敵からはエコだまが取れないというところでしょう。
氷で轢き殺した敵はエコだまを残しますが、しかし他のエコだまでは必要ないひと手間が必要になってしまっています。
さっさと乗り換えたいのに、お目当ての敵をうっかり凍らせてしまった……ということにならないよう、さっさとShiftで捨てちゃうのが正解です。
これで謎解きに使えていたら、もう少し評価は上がったと思うのですが……。
コメット
火の玉になって飛んでいく技です。が、バーニングとは似て非なるものです。
ジャンプしてから使うことで、前方下45度めがけて突撃します。
陸上であれば地面と激突するまで、水中であればボタンを押している間中、触れるものをすべて焼き殺していきます。
見た目は格好いいものの、この技がビミョーな理由のうち、1つは使い方が難しいこと。
地上で使うと、一度キーを押したが最後、着地するまで止まれません。
そして着地するとその衝撃で、上前方45度に一定時間跳ね上がってしまうのです。跳ね上がっている間は完全に無防備で、やられたい放題されてしまいます。
単純に火力で考えても、単位時間あたりのダメージ量はおそらく最低です。連射できる性能では無いのです。
もう1つは、このエコだまを持っているのが中ボス格のモンスター一種類だけという、あまりの登場頻度の低さ。
一度使ってみるものの、あまりの使いづらさに忘れてしまうが、後のステージで再登場、そこで初めて「かたいブロック」を壊せる2つ目のエコだまであることに気づく……という道を、初回プレイ時は辿るものかと思います。哀れです。
バブル
押しっぱなし技、最後の1つです。たぶんこれは元ネタなし。
そしてこれもまた、例外なく劣化エレキです。
射程範囲はエレキとまったく同一ですが、判定の広がりかたが、自機の中心から外側に向かって広がっていく、という点で違っています。
その攻撃範囲が広がるのが遅すぎるのです。
そしてさらに、一度敵に当たると消えてしまうため、複数の敵に当てるには、その都度キーを離して再発動しないといけません。
大量のザコやボス戦では無力、ということです。
唯一の特長として、水中ではボタンを放しても、敵に触れるまでバリアが維持されるというものがあります。目立ちませんが。
劣化エレキとはいえ、通常ステージの攻略では十分に役に立ちます。中継ぎとして活躍する場面はあるでしょう。
さて、ここから先は使い捨てのエコだまです。
一度使うとネコぱんちに戻ってしまうものの、その分強力なものが揃っています。
しかし……正直、使い慣れたエコだまを捨ててまで使うべきか、は迷うところです。
タイム
はい、みなさん大好き時間停止技です。カービィにはありませんでしたよね?
これが超強力です。止まる時間が長い長い。ボスですら、停止時間中に溶けます。
使った瞬間にネコぱんちに戻るので、通常ステージであれば手早くザコを倒し、エコだまを手に入れましょう。
もちろん、これだけ強力なエコだま、そうそう使えるわけではありません。
このエコだまも中ボス一種類だけが所有しています。
そして必ず入手後に、破壊が必要なブロックやボスが設置されています。このエコだまの性質上、持ち出しは不可能なのです。
メロディ
全画面攻撃のメガクラッシュです。つまりマイク。
やおらチェロを持ち出して、舌をマッチで擦りたくなるほどの大音声を鳴り響かせます。
きっとこいつの体毛が緑色なのは、前世でキャベジを食い過ぎたからに違いない。
画面内に入っている起爆ブロックは、これ一発ですべて起動させることができます。
爆弾も敵弾も、これ一発で対処完了です。
そしてなんと、ボスに使うとダメージ4です。1より大きいダメージを与えられる、唯一の攻撃手段なのです!!
長い間持ち回るのはあまり得策ではなく、使い慣れたエコだまを持った敵が画面内にいるなら、速攻で使ってしまいましょう。
レスト
そして、最後。ぶっちぎりの最弱をご紹介しましょう。スリープのことネ。
このエコだまを発動すると、お茶を飲んで優雅に一服します。
その間3秒、完全に無防備です。無敵時間なんてあるわけがありません。
まあ、元ネタに同様の能力があるから、なんですが。
こう、あざといですね。実にあざとい。見つけたらついつい使ってしまう、そんな魔力があります。
が、さすがにボスラッシュモードにまで存在するのは正気の沙汰ではないと思いますが、いかがか。
ということで、全エコだま解説でした。
残りのひとつはさすがに伏せますけど、性能的には上位4つに比肩すると思います。アレですアレ、まさに夢の泉のアレ。
色々と書いてきましたが、結局のところ、本作は好きなエコだまだけで攻略できる作りにはなってないんですよね。
ちょっとしたダメージでエコだまは剥がれてしまい、剥がれたエコだまを取り戻すことはできません。
剥がれても、画面内にいる敵から取れるエコだまで、場合によってはネコぱんちのままでも攻略を続ける、臨機応変さが一番重要になっているんです。
まずは強いエコだまから始めて、真エンドにたどり着けば、おおよそ全種類のエコだまの特徴を把握できることでしょう。
そのあとはぜひ、ボスラッシュモードに挑んでください。
ロックやコメットで攻略できた時は、きっと、大いなる満足感が得られるはずですから。きっと。たぶん。
評点に入ります。
- ハマリ度 : 9 / 10
- きっちりと作り込んであり、間口が広く懐が深い。特に難度調整がしっかりしている。誰でも最初のステージは難なくクリアでき、初心者でもきちんと積み重ねていけばクリアできるだろう。一方でやり込めば、シュガースフィア全取得、真ボス撃破、そしてボスラッシュモードと、なかなかの歯ごたえを楽しめる。
作者も気にしている通り、シュガースフィアの隠し場所で1つ理不尽なステージがあるが、他は気がつく人ならちゃんとわかるレベルで収まっている。純粋にアクションの難しさで勝負しているスフィアも多く、楽しめた。
だが、最大の弱点はオープニング。ビジュアル一切なしで黒地に白文字、Readmeと同じ内容で導入としてあまり意味の無いテキストを、文字送り・スキップ不可でたっぷり1分半待たされるのは、すぐにでもプレイしたいアクションゲームとして大問題。幸い操作可能になる前に選択肢があるので、オープニングはトイレタイムと割り切った方がいい。起動時に5秒ほど強制で待たされる点もあわせて残念。
- グラフィック : 7 / 10
- ネタ元であるカービィにあまり引きずられず、童話調でカジュアルな世界観を作り上げているのが見事。各敵キャラそれぞれが魅力的に描かれている。
画面下部、ステータス表示に重なって地面の穴が見づらい点で大幅減点。なぜカービィではステータス部分の背景が塗りつぶされているのか、その理由を証明してしまっている。- サウンド : 9 / 10
- 全曲書き下ろし、一貫した雰囲気を作るのに大いに貢献している。
おそらくはウディタ側の問題で、音化けが起きるのが残念なところ。ゲキカラだいおう戦の曲を落ち着いてじっくり聞きたいので、ぜひミュージックモードを搭載してもらいたい。本作が「夢の泉」からインスパイアされているのは周知の事実で、疑いようも無いのですが。
全体を通して、本作はそれをきちんと消化し、自分の作品の文脈として成立させている点で、かなり希有な例だと思います。
ステータス表示部のように、アレンジがよくない結果に終わっている部分も少々ありますが、まず真似てみなければ、その知恵に気づくこともなかったでしょう。
良いと思った部分は積極的に、自分なりに消化して取り入れる。
独りよがりなオリジナリティに走る前に、まずはそこから始めるべきだ、ということに改めて気づいた作品でした。
日本語の「まなぶ」は「まねる」と同じ語源の言葉なんですからね。
《 みりん星 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9
もうラブリー、プリティー、ベイベー
絵を描いていて改めて思いましたが、ネコかんは一つ一つの動作が表情豊かで細かくて、とーっても可愛いです。
ステージが変わる時の短いアニメーションも素敵で、セリフは無いけど世界観がよく伝わってきます。