■ 怪盗レオン
作者 [ パルソニック さま(プログラム) ]
[ IV41_ さま(イラスト) ]ジャンル [ スニーキングアクション ] 容量・圧縮形式 [ 37MB・ZIP ] 製作ツール [ .NET Framework 3.5 ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在の最新バージョンは、1.03 (2016.06.09 更新) ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 7 /10 9 /10 9 /10 75/90 hoikoro 8 /10 9 /10 8 /10 赤松弥太郎 8 /10 8 /10 9 /10
とびだすな レオンは急に 止まれない
今回紹介する「怪盗レオン」は、とにかく「戸惑う」ゲームです。
初めに叩き込まれるのは、クセのありまくるレオンの挙動。特に、ノー助走で全開Bダッシュ並みの速度で動き回る通常歩行は、「敵の視線を躱すスニーキングアクション」と相性が悪いです。
とにかく、歩き過ぎて視線に引っかかること引っかかること。一応、壁つかまりがスロームーブとなりますが、「壁」が必要なだけに使える場所が限られます。
特に、私はゲームパッド派。実は、本作はゲームパッドに対応していません。キーボードを使うか、JoyToKeyで無理やり対応させるしかありません。
無理やりの操作だけに、操作性は最悪の一言。先ほどの「一歩余計に歩いてしまう」操作に拍車がかかります。赤松さんのようにキーボード操作に慣れるのが一番の近道でしょう。正直言って、本作はかなり序盤で心が折れました。それはもうポッキリと。
一応、「ミスになっても部屋の最初からやり直せる」仕様のため、いつかはクリアできる仕掛けになっています。しかし、「いつかはクリアできる」では、本作は真のクリアとはなりません。
本作には「メダル」という実績解除が入っています。その条件は、
- ノーミスでクリア
- 時間内にクリア・ステージによっては1分でクリアが必要
- ステージのどこか(ライトに囲まれた場所や普段は見えない高台)にある金貨袋を取る
- その他(色変えや猫真似を使わない…など)
うん! 無理!!
もう、これは自分ひとりの力ではどうにもなりません。…と、先人のプレイ動画を参照にしてみました。
それで分かったのは、この挙動は、私のPCのスペックのせいではなく、どのPCでも共通であること。
この癖のありまくる挙動と敵キャラの動きを、最初から最後まで把握しておかないと、メダルクリアは達成不可能であること。
壁つかまりは決してスロームーブではないこと。むしろ、スピードクリアのためには、壁と色を合わせてスピードを下げないようなプレイが必要。ステージの総量は短く、各ステージの長さも数分でクリアできるレベルなので、決して長い集中力が必要なわけではありません。
ステージの合間合間にある寸劇はどれも面白く、モチベーションを保ってくれます。
死んだときの戻り量も、短い部類に入ります。
難易度から言えば、クリアしやすい方でしょう。
それでも、私は本当に心が折れました。何故か。鮮やかにクリアしないと爽快感を味わえないからです。
ギャグとシリアスが程よく混じった寸劇も、IV41_ さまの描く魅力的なキャラクターも、ステージをクリアしないと見ることができないのです。ステージを通しでクリアしないと、全く褒めてもらえないのです。
一度ミスれば立て直し不可能でやり直し。シビアなアクションに加え、初見ではクリア手順の分からない、後半になれば「詰む」ことさえある仕掛け。アクションパートは「心を折らせる要素」ばかりが詰め込められています。
元より、「ステージを手で覚える」ことが苦手な私、本作は「Not for me」としか言えませんでした。ただ、当サイトで紹介している他の作品を見ても分かる通り、「初見のヘボプレイでも、ある程度の快感は得られる構成」は、かなり上級のスキルに分類されます。
それこそ、前回レビューした「ニュー・スーパーフックガール」のように、一部屋ごとにタイムを記録できる練習ステージを付けて欲しかったです。これならば、「チェックポイントを超すごとにクリアの快感を味わえる」はずですから。
本作以外にも、数々のゲームを発表しているパルソニック さまのこと、「今後の課題」として、ぜひ挑戦してください。きっとそれに応えられる実力はあるはずです。
《 hoikoro 》 ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8
不可視の怪盗
今回は【怪盗レオン】というゲームをプレイいたしました。
このゲームは建物内の宝物を警備員に見つかることなく最奥部まで進み盗み出す、というアクションゲームとなっています。
ストーリーはかなりわかりやすく非常にシンプルなもの、事実上登場人物も4人程しかおりません。
しかしその分作中内で説明付かない部分や登場人物に違和感のある言動や行動はなく、一つの舞台劇を眺めているような気分でプレイすることができます。
主人公のレオンはかなり目立つ個性を持っており、非常に魅力的なキャラクターで本作品のタイトルにもなっているのですが
レオンは本作品においての主人公というよりもトリックスター的立ち位置で、あまり舞台に上がろうとはせず
事実上の主人公として物語を動かしていくのはネコ似の少女ツグミといえるでしょう。
ゲーム部分は謎解きとアクションをがっちりと重ねたもので、全ステージかなりの難易度を誇ります。
操作キャラクターの初速が異様に早く、足場がとても狭い上、操作するキーが多いのでかなり難しいです。
特にやりこみ要素は尋常ではなく、そもそも難易度が高かったりかなりギリギリのプレイを強いられます。
自分には達成できませんでしたが、やりこみ要素としては抜群の濃さがあるといって間違いないと思います。
・ハマリ度:8/10
7ステージしかないがやりがいはガッツリ。
全体図やキャラの特徴を駆使して一歩ずつ進む楽しさがただのパズルゲームとは違うアクションゲーム感があり面白い。
・グラフィック:9/10
結構な数のきれいな一枚絵があり、原作と作画担当で分けていることもあり豊富なグラフィックスである。
ゲーム部分もすたすたと走るレオンがとてもかっこいい。
・サウンド:8/10
まるで舞台のようなBGMが作品をドラマチックに見せているように感じる。
SEもツグミのホバー以外は適切なものが多い。ホバーは少し違和感があるかな…
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9
人の世に愛がある 人の世に夢がある
これにて一件コンプリート!!
今日になってようやく達成できましたよ。喜びもひとしおです。
ですが、ご安心を。ボクだって最初の感想はみんなと同じです。
「速い! 慌ただしい! 難しいぃぃぃぃ!」
このゲーム、ともかくスピードに慣れるまでが大変。
スピーディーかつテンポ良く決まるとすンごい爽快ですが、そこに至るまでの道のりが険しい。
落ち着いてやればクリアはできます。しかしそうは言っても、ミスの数は積み重なっていくわけで。
だからこそ、ええ、ストーリーの牽引力が大事なんですね。
1面導入は短く、すぐさまアクションが始められるよう配慮されています。
1面クリア後、レオンがツグミと出会ってしまったその時、物語は始まります……。
いや、レオンがモノホンのイタい人なのは事実ですが。周知の事実ですが。
盗みに入った屋敷の屋根で、これ聞こえよがしにペラペラ秘密をしゃべるのは、どこの悪代官だよとツッコまざるを得ませんが。
でもねえ、誰も君には言われたくないと思うんですよ、ツグミさん!!
「【怪盗レオン】のもとで「したづみ」した「しゃかいけいけん」を活かして、みんなに自慢するんだー!」という発言からして、だいぶアレですが。
むしろ本題はここから。
言動の端々からにじみ出るイタイタしさ、というか怖い。普通に怖い。脅迫。
メタ発言。
マーキングからの、
ストーキング宣言。
レオンも最初、ツグミをなんにも考えてない、単純なヤツのように考えていましたが、これは……。
レオンに対する尋常ではない執着に気づき、身震いするのでした。
こいつ……ヤバい!!というか、ちょっとオカシイんですね。バランスが崩れているというか。
中盤以降からわかってくるんですが、この子、まるで安定感が無いんです。
序盤の妙に浮ついた発言からの落差がひどい。
いやいやお前十分スゴい奴だよ、とプレイヤーとしては思うんですけど。
動きにキレがありすぎるレオンよりも挙動が素直だし、二段ジャンプとホバーは非常に使いやすい。
猫の鳴き真似って特技もフル活用されますからね。有ると無いとでは攻略の安定度がまったく違ってきます。
それなのに彼女は、自己肯定感がまるで持てない。根拠の無い自信しか持てないのです。
ここまでネガティブな子は久しぶりに見た気がしますね。ウザキャラに見えることも、あるかも知れないです。特に序盤はね。
でもプレイしていくうちにだんだんと愛着が湧いてくるのは、ストーリーの力もあるけど、アクションの力も大きいと思うんですよ。
ツグミがいないと解けない謎解きだったり、先述の使いやすい挙動だったり、自分で体感しているうちに愛着が湧いてくるものですから。この作品、スタンダードな横スクロールアクションとしてはストーリーが長めです。
人形劇パートが結構な分量ありますが、どうか最初はEscキーでスキップしないで、全部聞いて欲しい。
クリアに対するモチベーションが、きっとそれだけで大きく変わってきます。
そして何より……このイタい2人が、ちゃんとヒーロー・ヒロインするまでの過程を、ぜひ見てもらいたいのです。
ツグミがどんどんとヒロインになっていくと共に、レオンはただのキザな中二病ではなく、名実ともにヒーローになっていくのです。
言っちまったなぁお前! と言わずにおれなかった、このシーンまで、ね。
きっと未プレイの皆さんが思う以上にキザな台詞ですよこいつは。
- ハマリ度 : 8 / 10
- 8ステージ、各10エリア構成とボリュームはたっぷり。メダルコンプリート後もタイムアタックで末永く遊べる。
高速アクションの連続で難度も高いが、レスポンスが良く妙な慣性も働かないので、操作感はキビキビとして軽快。
しかし、2人切り替えて操作するという煩雑さがどうしてもあり、タイムアタックの爽快感との相性はよくない。一人だけ操作するステージが3ステージもあったり、スタート地点にゴールを配置して、どちらか一方だけ操作してスイッチを押すエリア等で緩和しているが、突き詰めると、なぜ組み合わせたのかという問いに繋がる。
クリアはともかく、メダル集めは誰でも達成できる難度ではない。せめて報酬内容が開示されていれば、それに向けて頑張ったり諦めたりできただろうにと惜しまれる。- グラフィック : 8 / 10
- 尖ったキャラデザを、よくドットに落とし込んである。判定も大きな理不尽さは感じなかった。
背景はシンプルだが、本作は特に、妙にこだわるよりもこの程度シンプルな方が見やすい。やや演出過剰で、人形劇のシェイクやフラッシュ多用は気になった。
しかし最大の減点要因は、「Ready」と表示されている時点からタイムカウントが始まっている点。ウェイトが無いなら最初から「Start」と表示してほしい。- サウンド : 9 / 10
- 曲・効果音それぞれ1サイトでまかなっている。冒険はしていないが、選曲には安定感があり、まとまっている。
繰り返しますが、クリアまでなら、きっとできます。
まずはクリアまで。各種ギャラリーの開放は、その後で考えた方がいいでしょう。
それでも苦労したい方にはお伝えしておきます。苦労する甲斐のあるおまけですよ、と。