■ 箱庭えくすぷろーら
作者 [ すき さま ] ジャンル [ アクションRPG ] 容量・圧縮形式 [ 48MB・ZIP ] 製作ツール [ HSP ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在の最新バージョンは、ver1.54 ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 8 /10 10/10 9 /10 82/90 DECOすけ野郎 8 /10 10/10 10/10 赤松弥太郎 9 /10 8 /10 10/10
《 ES 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:9
この箱庭世界で、あなたが忘れられないことは?
そう言いたくなるほど、本作「箱庭えくすぷろーら」はフックが多い作品です。
生き生きと動くドット絵、それを生かしてプルプルと動くモンスターやNPC、ヒロインの「すく水」を始め色っぽい女性キャラ、それらを辺り構わずぶん殴れる自由度の高さ…
目にする一つ一つに楽しさが詰まっています。
ただし、それらを味わうためには、しっかりとしたレベルアップもしくはアクション技術が必要になります。
「もしくは」で繋げたのには理由があります。しっかりとしたアクション技術を使えば、道中をふさぐザコ敵を避けることも、強力なボスを倒すことも楽になります。
そして、そういうアクション技術を持たない方にも「レベルアップとアイテムハック」という抜け道が用意されています。
ザコを殴りまわしていればポコポコとレベルアップしていきます。ただし、敵の中にはレベルドレインでポコポコとレベルを下げてくる敵もいるため、注意しましょう。
街やダンジョンで手に入るアイテムも、特殊効果のあるものが多種見つかります。「けしからん液体」など、思わぬ効果を持つアイテムも手に入ります。
そして、本作は「しっかりとしたレベルアップが必要なステージ」「しっかりとしたアクション技術が必要なステージ」が所々に眠っている世界になっています。
アクションRPGでお馴染み「部屋内の敵を全滅させないと開かない部屋」、塔などの「本格的なジャンプアクションを要する部屋」、ダンジョンごとに求められる技術は異なってきます。
そして、本作を楽しむためには、冒険者にとを何で操るか、キーボードとゲームパッドの見直しが必要になります。実をいうと、本作をパッドで操作するには、パッドを厳選する必要があります。
本作のパッド入力はDirectInputを利用しています。今現在のゲームパッドの主流であるXInputとは異なる技術です。これの何が問題になるかというと、XInputを利用するパッド(XBoxコントローラーなど)を使用すると、斜め入力が反応しないのです。
ジャンプアクションを利用するステージでは、当然斜めジャンプができるパッドが最適です。純正XBoxコントローラではハットスイッチ(左レバーと右レバーの間にある十字キー)を方向入力に使用できません。十字キーで移動ができるパッドを導入しましょう。
もちろん、キーボードを利用する手もあります。その場合、慣れが必要です。パッドと同じく左手で移動できるよう、テンキーに操作ボタンを割り当てるのも一つの手でしょう。
ちなみに、本作はキーボードとパッドの併用はできません。パッドに割り当てたらパッドのみ、キーボードに割り当てたらキーボードしか操作を受け付けない仕様になっています。本作のストーリーは薄味で、良くも悪くも「世界と出会いそのものを楽しむ」ゲームになっています。
その分、出会う世界には、多数の驚きと楽しさと、ほんのりとしたエロスが詰まっています。
あっ、その楽しさにかまけて、うっかり友好的なNPCを殴ったりしないように。恐らく最初の死因となるでしょう。
《 DECOすけ野郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:10
こういうゲームがフリーで遊べるってすごい時代ですね
コミックボンボン並(場合によってはそれ以上)のエロ成分が含まれる
昔なつかしドット絵クォータービューのアクションRPGです。
例えるならスーファミ末期、いや、スーファミではこういう露骨なエロは弾かれていたと思うので
(「ラブクエスト」でも販売できていたから、強行すればやれていたかもしれない)
セガサターン初期くらいか、そういうものを連想させるゲームでした。主に町で人の話を聞いて、クエストが終わった後に再び依頼主と話すと新たなダンジョンが増えていく、というシステムです。
ひたすらそれを繰り返していきましょう。自由度は高いですが、何も考えないで進めているとボコボコにされて死にます。
そういうゲームバランスではあります。「この敵は強いから今のレベルでは無理だよ!」と言われたら、素直に強化しておきましょう。
普通にクリアするならそれほど難しいわけではないですが、実績解除となると別です。
やりこみが必要となります。
自由度が高い、というと町の人も攻撃できるのですが、怒られて嫌われます。
嫌われてしまうと、その町でアイテムを一切売ってくれないのですが、逆にものすごく嫌われるといいことがあったりもします。
楽に進めたけりゃ余計なことはするなよ!するなよ、と言ってもやる人はやるだろうけれども。
(あと、別にすく水と話そうと思っているのに尻を触りすぎてしまって嫌われてしまいました。悲しいです。普通に話させてくれ)ちょっと残念だったなー、と思ったのが序盤の速度の遅さ。速さが足りない!場合には
相手から集中的にボコボコにされて、どうしても「とりあえず戦略は考えずに殴れ」
(あとで回復すればいいか)と脳筋プレイになってしまいます。最初はめんどい。
サウンドやグラフィックは文句なしなだけに、そこがちょっとマイナスだったかな。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:10
行け 軽やかに 行け 爽やかに
本作をプレイした人なら、誰でも思う感想を貼っておきますね。
なんでも作者さんによると、最初はゲームとして作ってたわけじゃないんですって。
ドット絵の世界を、水や風や草いきれを感じながら歩ける、自分用の箱庭として作り始めたものだ、と言ってます。
その当初の目的も見失うことなく、本作はしっかり達成しています。
本作で探検する森や雪原、遺跡に海底洞窟。
どの街も、どのダンジョンも、個性的かつ生き生きとしています。
この美しく素晴らしい箱庭を作っていただき、どうもありがとうございました。
それがいつの間にか、色々な要素が加わって、たくさんの人に楽しんでもらえるゲームになってしまったらしいです。
どうしてでしょうねぇ?
結果として、Readmeの概要説明からは、当初の意気込みはほぼ伝わってきません。
可愛い女の子のモンスターに殴られたり、ヒップアタックされたり
巻きつかれたり、ちゅっちゅ吸われたり、食べられたりしながら、
今日も懲りずにあなたは箱庭の世界を探索します。
いや、否定しませんけどね。プレイヤーがまったく懲りてないのは、まったくそのとおり。
懲りずにスク水の尻を撫でては、「変態。」と言われて1ダメージ食らうのはプレイヤーが悪い。
しかしねえ。
- 一番最初に会うNPCが、わけありのスク水少女的なサムシングだったり、
- ツタに覆われた灯台を指して「ぐるぐる巻きの羨ましい状態」と形容したり、
- 「カチンコチン湖」とかいう寒いダンジョンのネーミングだったり、
- そのエリアボスが、「頭のおかしい」という表現で済まないほどアレでナニだったり、
- ぽよぽよでぼいんぼいんでぱっつーんばいんばいーんだったり、
- ボスと言わずザコと言わず、モーションが「脳みそプリンか茶碗蒸しか何かだな」と確信せざるを得なかったり
するのは、一体誰のせいなのかしら。まったく懲りてない。
ん? いや違うな。
懲りるってのは「ある事をした際にいやな目にあって、再び同じことをする気力がなくなる」(大辞林)ことだから、いやな目にあってなければ、懲りるわけがない!
そっかあ、しょうがないにゃあ・・いいよ。
アイテムや地名等のネタにはまるで節操が無く、普通に糞が出てくるうんこゲーだったりもします……。
いや、でもねえ。ドット絵も音楽も、本当に綺麗なんですよ。
作曲者さんは、当時音楽が無かった本作の美しさを見て、是非とも曲を作りたいと志願したのだそうです。
個性的なステージに合わせるよう腐心したという、個性的な楽曲群は、それぞれ単品でも十分に魅力的。
一旦完成しているものに曲を付けていったから、その点でも強いです。イメージに齟齬がまったくありません。
今となっては、音楽無しでのプレイなど考えられないほどの相乗効果をもたらしています。
せっかく綺麗な曲なのに、「小学生の下ネタみたいな地名で申し訳ないです(笑)」ですって。
ステージ曲もすごくいいし、バトル曲も粒が揃ってます。
特に「奇跡のようなゲインリダクション」。中ボス戦第2形態とかで使ってる曲ですね。あれが素晴らしい。
テンションをころころと上げ下げしながら目まぐるしく展開するこの曲、ギリギリの場面で掛かってくると思わず手に汗握ってしまいます。
魔法少女アニメのバトル曲みたいな疾走感がコンセプトだそうで、作者さんも作曲者さんも、狙い通りの曲だと大喜びしてます。
……だから、狙い通りなんでしょう。敵の攻撃がアレなのは重々承知の上の作曲なんですから。
魔法少女……というか、魔女(ベヨ姉的な意味で)? だいいち大女だし。
音楽の勢いでごまかすと言うより、実際に厳しい戦いと曲がマッチしている分、攻撃の内容がアレという点が浮き立ち、より一層目立っているような。
強調したい点はやはりそっちなんでしょう。狙い通りだとすれば。
そんな本作、ストーリーらしいストーリーが存在しません。
なんとなく旅を続けていたら、いつの間にか世界の危機を救っちゃってました、メデタシ! という具合。
本作がリスペクトするロマサガに通じるものを感じます。特に理由のない暴力がエリアボスを襲う!
ただし本作の場合、背景設定すらほぼ無いので、七英雄とかと違って何の躊躇も無く暴力が振るえる、お気軽なゲームになってます。
なので、本作をプレイする牽引力となるのは、小気味よく取得できる実績の数々、音楽と絵の美しさ、そして変態です。
序盤からツッコミどころ満載のおバカな旅、ぜひぜひ楽しんでみてください。
どんどんとディープな方向に引き寄せられていく気がしますが、気のせいではありませんよ。
慣れないうちは、町の人にうっかり特に理由の無い暴力を振るってしまうのは、まあご愛敬。
評点しましょう。
- ハマリ度 : 9 / 10
- 硬直の時間が長く、移動も遅め、無双的な爽快感は無いが、それこそが本作の味。こぢんまりとした空間でごちゃごちゃと戦う楽しさがある。
ボリュームについて、短くまとめたこと自体は悪くないが、肩すかしな感じは残る。見る間にレベルが上がっていき、がっぽがっぽと実績が稼げるうちは良いのだが、100%になってしまうと、やはりちょっと寂しい。実績制を、長時間プレイし続けるゲームの導入としてよく目にするせいかも知れない。- グラフィック : 8 / 10
- クォータービューはトップビューと比べ、どうしても視野や移動のわかりにくさがある。最大限の配慮を重ねているものの、一定のテンポで揺れることも含めて、初見だと目測を誤ることが多い。精密な動作を要求される場面も少々あり、どうしてもストレスが溜まる。
描画数を抑えるために視界が狭いのは仕方ないとしても、視界外が暗く表示されるため、画面全体まで暗く見えてしまう。- サウンド : 10 / 10
- 今時珍しい全SE書き下ろし。本作の90年代的コミカルな雰囲気を体現している。ハァイ!
歌もうぐさんの魅力を完全に引き出している。BGMまとめてサントラにするとか、いかがですか?大作っぽいオーラに惑わされますが、お手軽な作品です。100%までのプレイ時間、ボクでさえ10時間しないくらいなんですから。
制作ツールが公開されてるようで、今後フォロワーが増えることにも期待したいですね。この楽しさ、ここだけにとどめるのはもったいない!