■ ASTLIBRA ~生きた証~
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作者 [ KEIZO さま ] ジャンル [ 横スクロール アクションRPG ] 容量・圧縮形式 [ 439MB・ZIP ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在の最新バージョンはV1.25 (2021.03.19) ] 配布元 ![]()
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レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 9 /10 10/10 54/60 ![]()
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 10/10
《 ES 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:10
超絶イケメンということ以外何も分からない系男子
本作「ASTLIBRA」をイチオシレビューすることを、私ことESは心待ちにしておりました。「ASTLIBRA mini外伝」のイチオシレビューをしてから実に5年もの間。
それほど待ち遠しかった「ASTLIBRA」本伝の出来は、その期待を決して裏切りません。剣を振り回して魔物を殲滅していく無双感、そして、1つガードをミスると瞬時にこちらがピンチになるギリギリ感。外伝も本伝も非常にエキサイトするアクションになっています。
しかし、「mini外伝」の名に似合わぬボリュームがあった外伝と比較し、「ASTLIBRA」本伝のボリュームはそれ以上。ボス1~2体程度のダンジョンで組み立てられた1章が、全8章+αまで実装されています。
ただし、攻略には「mini外伝」で培った操作感がそのまま使えます。立ち止まって剣をふるい、敵が武器を振り上げたり赤く光ったらレバー下でガード、高所に陣取っている敵には、レバー上+攻撃・ジャンプ攻撃・スキルの「焔」など様々な手が使えます。
そして、「ASTLIBRA」本伝の難易度も、mini外伝に負けず劣らずの格差を誇ります。本伝では難易度が簡単・軽快・適正・困難・地獄の5区分になり、腕に合わせた的確な難易度選択が必要になります。
そして、本作の難易度は「適正」ですら難しめです。それを最も味わされるのが、第1章のボスである守護獣です。守護獣の主な攻撃はファイアブレスと爪の振りおろし。どちらもガードしないと20~40近くものダメージが来ます。特に、大きくチャージしたあと放つ連続ファイアブレスは、うっかりガードを切らすと即死級のダメージが来る代物です。「適正」で挑んだ私が、危うく「7千近くのHP、全部減らすにはどう見てもレベルが足りないんじゃないか」と挫折しかけた最初の箇所でもあります。
そのために重要になるガードにも問題点があります。本作のガードは、カロンの加護「イージス」を付けないと意外と出が遅いこと。特に攻撃をぶん回している最中に↓を入れても、ガードは大抵間に合いません。もしもの保険のため、「イージス」は(「エアライド」などほかの加護を優先したい場合以外は)常に付けておきましょう。
普段のダメージを軽減するためにも、回復のために敵との距離を離したい場合も、ガードが最重要となります。ガードのタイミングは、常に体に覚え込ませてください。難易度が高くなるほど、ガードはより重要になり、そしてより難しくなります。mini外伝のレビューでふれた「ハック&スラッシュとアイテム集めの楽しさ」も、ボリュームを増した本伝でより高まりました。レア装備集めとそれを極めることで得られるマスタースキルも、よりバリエーションが増えました。
レア宝箱を開けるための鍵は本作でも重要アイテムとなります。最低の「銅の箱の鍵」でも10 Coinと序盤では高めで、「銀の箱の鍵」「金の箱の鍵」は素材すら非売品。鍵の素材もしっかりとハック&スラッシュで集めておきましょう。
そして、本作でも装備品購入などで重要になるモンスター素材、本伝は外伝に比べてドロップ率が落ちた気がします。ストーリーのボリュームが増えた故の調整でしょうか。欲しい装備の素材が足りない場合、アイテム稼ぎの足踏みがmini外伝以上に必要になるかもしれません。本作の主人公もしゃべらないタイプですが、ストーリーはカロンを初め周りのNPCたちが彩ってくれます。主人公が首にかけたリボンの本来の持ち主の行方は、依頼を進める中で明かされる真相とは、そして、数々の依頼とともに現れる魅力的で癖の強い登場人物たちのストーリーは…皆様も大剣を振り回しながら楽しんでください。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:10
未来を救え あやまちから
ASTLIBRAは、棒を振り回すゲームです。
「ハックアンドスラッシュ」という、はやりの言葉が好みならそれでも同じです。意味は変わりません。
当然ながら、各種奥義やら憑依技やら、全部ひっくるめて「棒を振り回す」と表現しているだけですからね。
本作の多彩な強化・成長システム、それに必要な資源の収集は、本作最大の牽引力ですが、ここで細かく書くつもりはありません。
一見複雑に見えても、すぐに慣れるでしょう。
本作のエッセンスは、とってもシンプルだからです。
棒、振り回す!
俺、強くなる!
たのしー!!
最初の難易度選択で「簡単」を選ぶのは愚の骨頂だと、ここまで説明すればわかるでしょう。
難度が低くなるほど、収集できる資源が減るよう調整されているため、強化・成長の悦びが大幅に減少してしまいます。
加えて本作は、途中で難易度を変更できません。
途中までプレイして、「これ無理」となった場合でも、最初からやり直す以外に難易度変更する方法はないのです。
ボクは「適正」で一周しかしていないので断言できませんが、最初は「適正」で想定のバランスを楽しむ、第一章でくじけたら「軽快」にしてみる、高難度は2回目以降のプレイに取っておく、というのが、推奨される態度でしょう。
10分以上にも及ぶ、長くて何もできないオープニングの日々はとても苦痛でしょうが、「作中時間では8年経ってるし」とでも思って切り抜けましょう。
オープニングが終わって、いよいよ棒を振り回しはじめます。
とはいえ初期状態では、最初のスライムであっても、何も考えずに棒を振り回しているだけで処理できる相手ではありません。
間合いを管理し、相手の攻撃を見切って躱す、基本の立ち回りを最初に叩き込まれます。
それにしても、チャートリアルであることを差し引いてなお、本作は序盤にストレス要因が集中しています。
何をもってお使いイベントと呼ぶか、それは個人差のあるところですが。
たとえば第一章では、洞窟の中に入るために、スタート地点まで戻されます。
そしてボス手前の封印を解くために、洞窟入り口まで戻されます。
これは第一章だから、チュートリアルだから、と我慢してしまうと、第二章はお使いイベントの塊です。
初期位置をA、当初の目的地をB、ボスの位置をFとして、おおまかにブリディオン湿地帯の進行を表記すると
A-C-B-A-B-D-B-A-B-Dʹ-E-Fʹ-Eʹ-C-F-A
となります。なんのコード進行だよ。
考え方を変えましょう。
ASTLIBRAは棒を振り回すゲームという基本にたち帰れば、こんなものはお使いイベントでも何でもありません。
素材やフォースを収集するために、武器防具をマスターするために、必要な回り道です。
難易度「適正」であれば、順当にイベントをこなし、順当に敵を倒し、順当に武器防具を揃えていれば、章をクリアする頃には、だいたいその章の武器防具が揃います。
幾度となく同じ道を走らされた時間も、第三章の見づらく混乱しやすいマップに惑わされた時間も、弓がなくても矢は素手で掴んで投げられることを知らず、弓を求めて右往左往した時間も、終わってみれば、全て必要だと思えるはずです。多分きっと。
第五章ころになれば、マップは十分に広くなり、繰り返し同じ場所を走ることも格段に少なくなります。
資源と経験値を手に入れ、強化・成長するにつれ、序盤のストレス要素は次々と解消していきます。
第二章終盤、「ぶんどる」を習得すると、あれほど苦しめられたお金の心配が、ほとんど要らなくなります。
第一章終盤で「コレクトシード」を習得、さらに第二章で「竜のハープ」を入手すると、回復アイテムの心配が、解消に向かいます。
最終的に、木の実は数百単位で余りますから、敵の攻撃の隙を見つけて、こまめに使っておきましょう。
何しろボクらは無心で棒を振り回したいだけなので、リソース管理なんかで煩わされたくないんですよ。
こうして主人公は順調に、ぶるんぶるんと武器を振り回す、無双の戦士として仕上がっていきます。
第四章から中盤戦。
主要人物がおおよそ出揃い、物語は大きく動き始めます。
そして、盛り込めるタイミングはここだとばかりに、肌色が多い時期でもあります。
ニコニコでBANを食らうレベルで生々しい、視覚面の問題もありますが、セクハラギャグまみれのイベントのノリの方が、引っかかる人は多そうです。
多くの人々、場合によっては仲間ですら犠牲になる展開を、和ませるためのギャグにしては神経に障るかもしれません。
まあ、「棒を振る」ことの圧倒的魅力の前では、些細な問題でしかありません。
そしてこの時期は、奥義やカロンの魔法も揃いはじめ、戦い方が確立してくる時期でもあります。
伸びるコンボ数、溜まる木の実。大型ボスの攻撃を躱しながら、途切れず攻め続けられる快感が脳を溶かします。
だからといって、ワンパターンで飽きが来ないよう、各章ごとに異なるコンセプトで、立ち回りの味付けを変えてきます。
第四章では強力な味方に支えられて得られた快感が、第六章の足回りが制限された中でも味わえるようになる……確かな成長が実感できるはずです。
そして迎える第七章。
ストーリーはいよいよ佳境にさしかかり、序章からの伏線の数々がついに回収、真相が明かされます。
何度か、大きな選択を迫られる主人公。しかし本作のメインシナリオは一本道です。
正規ルートに繋がらない選択肢を選べば、やがてスタッフロールが流れ、タイトルに戻されるだけです。
私見を言えば、正規ルートでの選択は、主人公の人間味が溢れていると言えなくもないものの、男としてはまったくのダメ野郎であり、擁護する気になれません。
こんな主人公に命運を握られてしまっている世界なんて、まっぴらごめんです。
まあ、プレイヤーとしては少しでも長く棒を振り回すという大義が最優先なんですがね。
だって、たのしいたのしいEXダンジョンが待ってますから。
各地で時折見かけた、異常に強い敵が出てくる場所も、そろそろ戦える目処が立ってくるのが、この時期です。
奥に控える神々との戦いは、このプレイでもっとも楽しい瞬間でしょう。
今までの敵とは一線を画す、一見理不尽にも見える攻撃の数々は、それでも攻略の糸口が必ず残っています。
バリエーション豊かな攻撃に翻弄され、屍を積み重ねつつも、なんとか勝機を探り出す、ひりつくような緊張感。
ここでバトルの悦びが最高潮に達します。
こうしてコレクション欲に突き動かされ、棒を一心に振り続けた幸せな時間も、しかしやがて終わりの時がやって来ます。
EXダンジョンを上回る、苛烈な攻撃で出迎えるラストダンジョンですら、成長と強化を繰り返した主人公の敵ではありません。
最強の武器防具をもってすれば、ラスボスの防御でさえ豆腐のようなものです。
成長も頭打ちとなり、誰と戦ってもかつての喜びはもう味わえない今、できることはエンディングを迎えるより他にありません。
主人公の境遇にまったく共感できないボクとしては、あのエンディングはご都合主義、やりたい放題に感じる……
ゲーム的都合で十分に便宜が図られているプレイヤーとして、主人公が味わった喪失感にさほど実感が持てない、というのが問題でしょうか。
でも、そんなことは重要ではありません。ハッピーエンドなら、それでいいじゃありませんか。
クリアまでの50時間、ボクたちは彼らと共に戦った、その感慨を味わえる、いいエンディングじゃありませんか。
クリアまで棒を振り回して、それでも満足できないなら。
「困難」以上の高難易度をプレイしてもいいでしょう。縛りプレイをしてみてもいいでしょう。イベントバトルを勝ちにいくのも面白いでしょう。
序盤の行ったり来たりも、第六章の謎解きも、二周目以降でタネがわかっているなら苦痛にはならないはずです。
でもボクは、ただ何も考えずに棒を振り回して、収集して、強くなりたいだけなのですが、そのニーズとは少し、マッチしない。
mini外伝を再プレイしてもいいのかもしれませんね。
強くてニューゲームモードが削除されたのが惜しい気もしますが、それはそれで英断でした。
どれほどステータスをインフレさせたところで、初回プレイの鮮度には、どうしたって勝てっこありません。
ボクのプレイ時間が一周50時間以上と聞いて、未プレイの方は長すぎると思うかもしれません。
しかしボクの感想としては、鮮度を保ったまま一周プレイできる長さには収まってたんじゃないかな、と。
序盤で投げるのは惜しい、と思わせる作品です。
第四章のころにはストレス要素も解消されてくるので、みなさんもぜひ、棒を振り回してはいかがですか?