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■ Stargrove Scramble

Stargrove Scramble
作者 [ Team Bugulon さま ]
ジャンル [ ジャンプアクション ]
容量・圧縮形式 [ 16MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
言語 [ 英語 ]
配布元 ダウンロード先

Stargrove Scramble Stargrove Scramble Stargrove Scramble Stargrove Scramble Stargrove Scramble Stargrove Scramble

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 8 /10 50/60 B
赤松弥太郎 8 /10 10/10 7 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

脳みそがスクランブルエッグ、指先がケチャップ

今回のイチオシ作品「Stargrove Scramble」…そのファンシーな見た目によらず、紹介文序盤に「12 painstakingly designed levels」(12個の苦心して作り上げたステージ)とあることから分かる通り、ギリギリに設計されたレベルデザインが特徴のアクションゲームです。
その「ギリギリ」の方向性は、高難易度アクションでは定番の「敵キャラの攻撃が激しく、パターンを見切らないと手も足も出ない」だけではありません。プレイヤーの操作性自体にも非常に癖があるのです。それを徹頭徹尾まで把握しないと、序盤ステージからクリアの道筋が見えないほど、ステージ構成がギリギリに設計されているのです。

初めに、主人公のジャンプ性能から。「ジャンプボタンを押す長さに応じて飛距離が大幅に変わる」という、ジャンプアクションとしてはお馴染みの性能です。
しかし、問題は「最大ジャンプでないと落下死する箇所」が1-3から出てくる点。こんな序盤から「うっかり」に対して非常に厳しいレベルデザインとなっているのです。
その上で、「卵を抱えて」から「上下左右に投げる」2ステップが必要な攻撃が、更に操作性のアクを強めています。下投げは事実上の2段ジャンプも兼ねています。コレクションアイテムである「玉」を集めるためには1-1から下投げ2段ジャンプが求められますし、少しステージを進めれば普通にクリアするだけでこのタイミングの厳しい2段ジャンプが求められます。
「卵を投げる」というと、皆様ご存知の「ヨッシーアイランド」が思い浮かびますが、本作「Stargrove Scramble」の卵投げはヨッシーよりも不便です。

…と、更なるテクニックを要求されます。
ぶっちゃけて言うと、ザコを倒すだけならば卵投げよりも踏み付けの方が便利で簡単です。それ故に、踏み付けで倒せないトゲザコの脅威がさらに強まっているのです。
1-3で初登場し、蜂型ミサイルの弾幕内の絶妙な位置に陣取るトゲザコの脅威と言ったら…。1-3の蜂型ミサイル地帯は、「広範囲を殲滅できる赤バクダン卵でゴリ押す」ステージですが、「卵を取り出す間にミサイルに当たる」「しゃがみで当たり判定が小さくならないため、地上での回避が難しい」「うっかり破壊可能ブロックの上で卵を爆発させると、そのまま落下死する」などの難所が数多く存在するステージでもあるのです。その上でジャンプでの回避や移動を阻むトゲザコが出るのですから…その難しさを知るだけでも本作をダウンロードしてほしい所です。

本作、難易度の高さを作者側も自覚していたせいか、救済措置が2点実装されています。「☆を40個集めることで装備されるバリア」と「残機無限でチェックポイント(青い卵ロボ)からのリスタート」です。
ただ、このチェックポイントにも問題があります。「ステージの順路から外れた青扉にはチェックポイントが無い」のです。青扉から入る部屋は、仕掛けも数豊富。順路よりも敵や罠の密度が高いステージがほとんどです。青扉の先でミスしたら、青扉に行くまでの動作からやり直しとなるのです。
正直言って、本作のチェックポイントの個数は不足しています。チェックポイント間に難所が2~3個あるステージばかりなのです。次のチェックポイント直前でミスすると、それまでに越した2~3個の難所を再トライしなければならないという、とてもやる気を削ぐレベルデザインなのです。

序盤でもかなりの死にポイントを誇る「Stargrove Scramble」ですが、当然ながら死にポイントはステージを進めるたびに緻密になっていきます。
最終ステージにもなると、「ジャンプ力が激減する沼地」「プレイヤーの位置に合わせて飛んでくる敵が無限湧き」「『!』ブロックで切り替わるレンガを乗り継ぐために『ジャンプ中に卵投げ』という素早い操作を要求される」という極悪な構成のステージがひっきりなしにプレイヤーを襲います。
そのどれも「攻略法は一目で分かる」デザインになっていますが、「その攻略に要求されるスキルを持てる人間はかなり少ない」レベルになっています。
少なくとも、私のように「親指だけでABXYを操作する人間」では、よほどの運動神経がないとジャンプ→卵投げの操作が間に合いません。私のようにジャンプと攻撃の同時操作ができずにクリアできない方がいらっしゃいましたら、「親指と人差し指でABXYを操作する」方法も試してはいかがでしょうか。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:7

さか立ちしてもかなわぬお方に恋をした

 素直に歌だけ聴けば、かわいらしい初恋の歌なんですけどね。
 アニメーションでひよこが生まれちゃったせいで、「本当に怖い谷山浩子」の仲間入りをしちゃってるのは、ちょっと不憫な話です。
 それはそれとして、いくら無精卵だからと言って、自分が産んだ卵をポコスカ敵にぶつけまくるのは、いかがなものかと思うわけで。
 ……いや? オスメスの問題は性転換で片付けたとして、口に飲み込んだもので即、卵が変化するって、やっぱりこれはうn

 閑話休題。
 クレヨン調のワールドマップ、卵を産んではぶつけて戦う主人公。ヨッシーアイランドを思い出すな、と言う方が無理でしょう。
 しかし、本作を実際に触ってみれば、その操作性の違いにまず戸惑います。
 主人公のジャンプは鋭く、横移動も素早いです。フワフワとしたヨッシーの挙動とはまったく異なります。

 攻撃手段のクセについても、序盤の内に慣れていく必要があります。
 本作は、卵を投げる前に、産んで持ち上げるというワンクッションが挟まります。つまり連射ができない。
 とっさの事態への対応も苦手なので、基本は踏みつけで対処していくことになるでしょう。
 ただし、敵のスピードもかなり速いので、横軸を合わせるのは結構難しいのですが。
 爆弾卵以外、卵を持ち上げている状態を維持しても特に不利なことは起きないので、会敵前にあらかじめ産んでおく、という対処法もあります。

 そう。ヨッシーアイランドってゆるい見た目に反して、かなり難度の高いゲームなんですよね。
 自機の生存性能も攻撃性能も高めなのに、それを上回る激しい攻撃やギミックを仕掛けてきます。
 クリアするだけならまだしも、全ステージで満点取って、隠しステージも満点を取る、となると、アクションが得意と自慢していいレベルだと思います。

 では、本作はどうか。
 レベル1の4ステージは、特に問題なく進みます。難度も(へっぽこなボクから見て)適切に易しめです。
 しかし、本作は全12ステージ。残り8ステージでラスボスと対決しなければなりません。
 ……はい。難度が急上昇します。
 特に後半、2-3以降は、紹介文に書かれたpainstakinglyという単語の意味を噛みしめること請け合いです。

 それに備えて習得しておきたいのが、ハイジャンプ。
 配布元の操作説明にも書いてあるんですが、ジャンプ中に卵を下投げすると、反動でより高くジャンプができます。

通常ジャンプ ハイジャンプ

 ただ、一言で「卵を下投げ」と言っても、実際の操作はなかなか慌ただしいのです。

 [X]キーで卵を産んでおく
→[Z]キーでジャンプ
→ジャンプ頂点でタイミングを合わせ、[↓] + [X]キーで卵を下投げ
→横移動する場合は、その後で[←] or [→]キーで着地点を合わせる

 Toggleモードでの操作を書きましたが、Holdモードでも大して変わりません。
 この操作を、敵が攻撃してくる中正確にこなすのは、なかなかに難しいです。
 しかし、この操作の習得は避けられません。通常クリアに必要なんですよ、このテクニック。

 ただ難度が高いから・低いからと言って、それだけでゲームの評価は決まりません。
 難度が高いなら高いなりの、低いなら低いなりの楽しませ方があって、それが作品とマッチしているかが大事です。
 本作の魅力は、多彩なギミックとそれぞれの面白さにあります。
 ラスボス前に至るまで、新しい敵やギミックが登場し続け、それぞれとても個性的です。
 いきおいプレイヤーは毎ステージ初見対応を迫られるのですが、しっかりと見極めれば攻略法はちゃんとわかるようにできています。
 着実に、自分にできることが増えていく実感があって、それが楽しいのです。

 ただ問題は、その面白味と短編という特性、さらに作者の言うpainstakinglyが噛み合っているのか、というところで……
 「痛くなければ覚えませぬ」というのも事実ではあるけど、もう少しこう何というか、手心というか。評点。

ハマリ度 : 8 / 10
 主人公のHPは最大3、チェックポイントからの再開はHP全快制限無し、という都合上、本作の難度はチェックポイントまでの距離で調整されている。チェックポイントまでの長い道のりをミス少なく、安定して切り抜けることを要求され、初見対応でこれをやるのがしんどい。「わかっていてもミスをする」程度の習熟度で何度もやり直しになる。
 かといって、死にゲーでよくある、一撃死とこまめなチェックポイントの併用では、本作の初見対応の面白さを味わうことが難しい。もう少しステージ数があれば、難度の上昇も緩やかになり、ギミックの応用範囲も広がったのではないか、と思わずにはいられない。
 コレクションアイテムについて。まず集めても何も起きないことは知らせてほしい。ステージが追加されることも、エンディングが変化することも、タイトルに何か追加されることも、全くない。ボツ曲を見るにボーナスステージを作るつもりがあったようなので、今からでも追加してほしい。
 コレクションは一度取得すればコンティニューしても戻らない、という特性があるため、デスベホマが非常に有効。結果クリアする方がコレクションを集めるよりも難しいステージがいくつもあって、あまり集め甲斐が無いのも問題点。
 ステージにストーリー性が無いのも残念なポイント。子どもが何者によって、なぜ掠われたのか、今進めているレベルは子どもに近づいているのかなんなのか、各レベルのボスたちは一体何者なのか、見えたとしておぼろげにしか見えず、モチベーションの向上には繋がらない。ラスボスがぽっと出に見えるのもそれが原因。古き良きアクションを目指すなら、そうしたドラマの見せ方に気を配ればなお良かった。ドンキーコングにさえ明確なストーリー性があったのだ。
グラフィック : 10 / 10
 判定が明瞭でとても見やすい。予備モーションがはっきり見えるのも良い。ビビッドな配色も邪魔にはならず、敵とアイテムの見分けも問題ない。
 毎ステージ初見対応をこなす本作のゲーム性で、グラフィックのせいで詰まったと思わせるところが1つもないのは素晴らしいことだ。
サウンド : 7 / 10
 全10曲描き下ろし、とはいえ2秒のタイトルジングルを曲に含めるかどうか。もう少し膨らませても良かっただろう。
 ループは短く、2分を越える曲はない。ステージ曲など、リトライで何度も聞くとやや飽きが来る。
 一番引っかかったのは、ラスボス曲が盛り上がりに欠けること。中ボス相当にしか聞こえない。積み重ねが無い点と相まって、ラスボスにぽっと出感がつきまとう原因になっている。

 これだけの作品を9日間で作ったというのは、誇るべき大成功でしょうが、できあがったゲームをプレイする立場としては、極論そんなことは関係ないわけで。
 逆に、もうちょっと日数を使えば、もっと良い物になったんじゃないか?と思ってしまうんですよね。
 今まで2日や3日で安定したゲームを作ってきた実力者に、9日与えればここまでできる、と見せつけた本作。
 仮にもう少し時間を掛けて、もうちょっとだけ大きな作品を作ったらどうなるのか……興味は尽きませんね!

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