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■ 巨大少女襲来

巨大少女襲来
作者 [ がろちゃん さま ]
ジャンル [ 巨大少女討伐ADV ]
容量・圧縮形式 [ ダウンロード不要・ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMZ ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 現在は、Plicyでブラウザ上でのみプレイ可能 ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2025.11.09:現在の最新バージョンはver2.8です。

巨大少女襲来 巨大少女襲来 巨大少女襲来 巨大少女襲来 巨大少女襲来 巨大少女襲来

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9/10 9/10 9/10 53/60 B
赤松弥太郎 8 /10 9 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9

巨大にして無垢、それが絶望にして希望

本作「巨大少女襲来」は、2025年11月現在では、Plicyを通したブラウザ上でのみプレイできます。「セイント聖子ちゃん」「水着の部屋からの脱出」などのがろちゃん さまの他作品は、夢現よりダウンロード版をプレイできるにもかかわらず。
この理由は、「巨大少女襲来」が最新作である以上に、「巨大少女襲来」がマウス操作に特化したゲームという点が強い。そう私は推察しています。
マウスをあっちこっちに動かす操作感ゆえに、本作はブラウザ上でのみ提供されているのでしょう。ダウンロード版でプレイすると、マウスカーソルを少しでもゲーム画面から外してクリックした瞬間、ゲームが停止してしまいます。ブラウザならばゲーム画面の外にブラウザ画面があるため、少しぐらいは外れても問題ありません。
それほど、本作は素早いマウス操作が求められるゲームになっています。まずはコンマ秒で左側にある「身軽なブーツ」を取得して移動速度を上げるのが大原則。そこからは時間のある限り、赤や緑の箱を開けて装備を獲得していきます。
序盤で優先すべきは「身軽なブーツ」の上にある「アサルトライフル」。他に序盤で手に入る「スナイパーライフル」「チャージ式レールガン」は、補助アイテムを手に入れないとまず戦力になりません。
とにかく序盤は、防御が続く限りアサルトライフルを連発すること。巨大少女の体力を削ることで得られる「紅結晶」が本作における周回ポイント。紅結晶の累積獲得量に応じて制限時間が少しずつ伸びていく仕様になっています。
5秒ずつといえども、本作においてはありがたい制限緩和。制限時間を伸ばすことで、瓦礫を壊して道を作れる「斧」、先述の「スナイパーライフル」「チャージ式レールガン」の命中率を100%にできる追加装備、そして、重要武器「ロケットランチャー」…段階的に得られる装備が増えていきます。
これらの装備集めは、マウス操作を素早く正確にするほど目に見えて効率が上がっていきます。それ故に、本作は素早く操作手順の少ない、そしてRPGツクールでは常にダッシュ移動となるマウス操作こそが適切なのです。

装備を整えた後の戦闘シーンもまた「周回」が重要になります。先述の「追加装備が無いと役に立たない武装」の他、「巨大少女の攻撃手順→それをできるだけ多く凌げる防具の集め方」、果てには「ロケットランチャーの使い道」…それらを周回の中で、多くは失敗してゲームオーバーになりながら学んでいきます。
それを繰り返す中でようやく掴んだ勝利…しかし、それは「巨大少女襲来」の中盤に過ぎません。最後に入る部屋、そこにある資料、それらを集めた中で解放される「2周目要素」…そこから導き出せる「もう1つの結末」の条件とは…それは、ぜひ自らの手で見つけ出してください。難しく考えなくても、「2周目要素」のイベント、そして、「2周目要素」にたどり着くまでに探索したポイントから自ずと見つけ出せる条件です。

そして、本作の素晴らしさも、死に戻りの繰り返し→討伐達成→もう1つの結末→更なるENDと周回を繰り返すことで深まるキャラクターや物語にこそあります。
オープニングから何となくは察せられる、しかし、明言はENDまで待たされる、ランと巨大少女との関係
オープニング以降は最終盤まで「とある理由」で参加できないオペレーター・リリィの意外な役割と活躍
この絶望的な世界に残された「最後の希望」…
それら全てを、この周回の中で探し出していきましょう。忙しいゲーム本編では熟読する余裕はありませんが、後でまとめて読めるモードもあります。
きっと「尊さ」を感じさせる、そんな物語です。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:9

愛ってなんなんだ? 正義ってなんなんだ?

 久々の3分ゲーイチオシです。
 3分と言えばウルトラマン、そしてウルトラマンと言えば巨大フジ隊員ですね。

 ウルトラマン33話「禁じられた言葉」が、本邦における巨大娘性癖の火付け役だったことは、もはや論を俟たないと思います。
 最初に映像として共有されたイメージから、様々に派生し、分化していった巨大娘性癖の多様性には、目を見張るものがあります。それを否定するものではありません。
 しかしですね。
 巨大フジ隊員を下敷きにして、「キングギドラに××させたい」とか、「長澤まさみのパンツが見たい」とか、ただ自分の性癖を開陳するだけならばそれは剽窃と言ってしかるべきと考えますが、いかがか。
 原典は、決してそんないかがわしいものでは無かったはずなのです。
 科特隊が当時としては先進的な男女同権環境にあったこと、制服もユニセックスなパンツスタイルだったことを、今一度思い出してもらいたい。

 原典を振り返って、ボクが注目するのは、フジ隊員のかわいさなんです。
 うつろな表情をしていながら、その殴りつける仕草から感じ取れる「えいっ」て感じのかわいげが、もう溢れちゃってるんですよ。桜井さんの。
 しかし我々にとって、その結果はまったく破滅的・破壊的であり、恐怖でしかない。そのギャップにこそ、当シーンのうま味があります。
 色艶とかエロスとか、そんな不純物がなくとも十分イケるとボクは思うんです。

 本作もそんな、同好の士によって作られた作品です。
 エロスはオマケ程度でしかないことは、最初に言っておくべきでしょう。
 巨大化してるのは年端もいかない少女ですからね。エロスを感じる方がおかしい。

 そのかわいさと、暴れた時の破壊的な結果のジレンマ、これこそが本作のストーリーの中核です。
 いくらかわいらしい少女とは言え、ディファレーター光線を浴びてぐんぐんと育ったその身長、なんと300m。
 「画像によってはもっと小さい」とか「いくら2050年代でも板橋にそんな高いビル建たないだろ」とかのツッコミどころはありますが、300mと言ったら300mです。
 町中にいられるだけで、その存在自体が害になる大きさ。さらにその上、高出力ビームで町ごと吹き飛ばそうというんだからもう、仕方ないんです。
 意思疎通もできず、「人間らしい心はもう無くなっちまったのかよー!!」と水鉄砲を撃ったところで、状況は何も変わりません。

 戦うしか、ない。

 この巨大少女が何者か、主人公ナルハヤ・ランとどのような関係なのか。
 END1でその正体が明示される前から、プレイヤーにはおおよそ察しが付いています。
 そりゃあ半狂乱になるのも無理はない。
 しかし、ランにも、プレイヤーにも、まずは少女を倒す以外の選択肢はありません。
 それも、少女を初見プレイで倒しきることは不可能で、何回も繰り返し彼女を痛めつけ、倒し方を模索しなきゃならんのです。
 あまつさえ、実績の中にはクリアに必要なダメージ量を超えて、少女を痛めつけなければ手に入らないものが多数あります。

 ボクにその手を汚せというのか。

 それでも、パンドラの箱の奥底に、希望は残っています。
 何度となく少女を傷つけ、倒し倒された果てにやっと、誰も傷つけない未来の扉が開かれます。
 ここでゲーム性も一変するのが見事ですね。
 グッドエンドの条件の1つ、「一切武器を取得してはいけない」が加わることで、今までプレイヤーを助けていた「コンテナに触れるだけでアイテム取得」という仕様が牙を剥くのです。
 高速移動をうまく制御し、そこかしこにある武器のコンテナを避けながら、グッドエンドに必要なアイテムだけを拾い集める……
 避けゲー要素が加わってきます。

 なぜ、こんなことになってしまったのか?
 どうして彼女は巨大化し、ランは彼女と戦わなければならなかったのか?
 その背景設定がきちんと作り込まれているのも好感触です。
 だいたいの巨大娘ものって、大した理由も無くホイホイ巨大化させてほったらかし、みたいなさがつきものですからね。
 でも探索ADVとして、散らばった資料を集めて解き明かす過程の楽しみは、やはり必要不可欠ですよ。

 周回毎に探索時間が延び、行動半径が広がっていく。
 そんな3分ゲーのお約束にすら、本作は背景を用意しています。
 最初に表示された時はつい読み飛ばしてしまいがちな、この紅結晶の説明文。
 設定がわかってから見返すと、紅結晶を溜めたことによって時空が歪曲し、主観時間が引き延ばされたことが推測されます。
 ……まあ、そのとき不思議なことが起こった、以上のものではないかも知れませんが。
 それでも、きちんとゲームとしての理屈と、設定の辻褄を合わせてくれている、安心感があるのです。
 少女を傷つけ続けた時間も、ハッピーエンドに至るためには無駄ではなかった。
 とはいえそれが免罪符になるわけもなく、実績全解放のために必要以上に紅結晶を乱獲したり、最大ダメージコンテストをやったりしているプレイヤーは完全にギルティですけどね。

 1周は数分、全実績を解放するのも3時間程度。
 古き良き、昔ながらの3分ゲーの文法に則った作品です。
 ただ惜しむらくはプラットフォーム、PLiCyが最近とみに遊びづらくなっている点ですが……
 その問題はひとまず置いといて、作品そのものについて評点します。

ハマリ度 : 8 / 10
 現在、「戦闘からやり直す」を選択すると支度時間がクリアされてしまい、0 - 残時間が支度時間として表示されてしまう不具合がある。
 実績がグローバルセーブ、紅結晶が個々のセーブデータと別々に管理されているせいで、セーブデータまわりの仕様が混乱している。同じ領域で管理すべき。複数人で端末を共有しない前提なら、すべてグローバルセーブで管理し、グローバルセーブ削除機能をつけ、個々のセーブデータスロットを廃止するのが標準的だろう。
 もともとスコアアタックなどという人倫に反する遊び方は想定外かもしれないが、レッドサイダーの運任せにショットガンを撃ちまくるプレイにしかならない。だったらレッドサイダーは100%回避、100%次のターンで効果が切れる、と運要素を排除した方が純粋に楽しめただろう。
グラフィック : 9 / 10
 描き下ろしの一枚絵には勢いがあり、少女がいちいちカッコいい。特に手刀。
 要所要所のアニメーションも場面を引き締めているし、わかりやすく訴えてくる。ドットフォントの導入は作品の解像度を揃えるため、という理解。
サウンド : 9 / 10
 MusMus等を中心としたシンセサウンド。必ずしもチップチューンにこだわらないが、粒は揃っていて絵との統一感もある。足音もわかりやすい。

 ゲームとしてよくできてますし、余計なものが入っていない分、巨大娘入門者の方にもオススメできる一本です。
 その気が無い方も、騙されたと思ってぜひぜひプレイしてみてください。ヘンなものじゃありませんから。
 繰り返される悲劇から2人を救い、あなたのプレイで笑顔に変えようじゃありませんか!

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