■ 三代目レビュー アドベンチャー 17 | ||||
AllEyesOnYou | TELEFORUM | アルマの檻 | 椿屋敷の亡霊 | カミゴロシ |
Office10 | with fresh coffee | 上の乳歯を 屋根に投げる |
Rental | エスターと希いの竜 |
ジャンル [ ドタバタ脱出劇ADV ] 作者 [ 春風さむさ さま ] 容量・圧縮形式 [ 137MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 美女とイケオジの華麗…とは程遠い脱出劇
赤星 宗祐 は『希望の星』と呼ばれる現職知事。しかし、それゆえに敵も多かった。
その筆頭たるライバル議員・弱見 束無 …その名の通り、権力のためには手段を選ばない男…は、ホテルとマスコミを抱き込み、赤星を罠にはめる。
マスコミのでっち上げ報道とホテルに張り巡らせた罠に囲まれた赤星は、ある一人の「逃がし屋」に助けを求める。彼女の名は伏瓏 安寧 。この依頼が5回目と言う若手ながら、その実力は折り紙付きの「逃がし屋」であった。
早速、得意のハッキングで堅牢な電子ロックを解除して脱出…のつもりだったが、ウンともスンとも言わない脱出口。なんと、電子ロックは破壊され機能を停止していたのだ…他ならぬ赤石が滅茶苦茶にいじくったせいで。
しかし、そこはプロたる安寧。「電子ロックに管理されていない脱出口があるはず」と知恵を振り絞る。安寧は自らと伏瓏家の誇りにかけて、アクシデントまみれの脱出劇を成功させようと奮闘するのであった。
…彼女を苦しめるのは、罠でも敵でもなく、依頼人かつドジっ子でワガママな赤星だった…。
本作はおおよそ4ステージに分かれた短編の脱出ゲーム。その特徴は何といっても主人公2名(安寧と赤星)のはっちゃけたトークなどのコメディ全開のストーリー。そして、解き方によって3種類にも分かれる脱出経路です。
※ 2024.11.03現在での話。バージョンアップで追加予定。
そう、本作の謎は短いながらも解法が複数あり、どの謎を解いたかによってENDどころかステージの道筋すら変わります。どの謎に「分かれ道」があるかはあからさまに怪しいのでモロばれですし、一部知識が必要な箇所は赤星に話しかければヒントを教えてくれます。それでも分からなければ、ゲームフォルダ内に(ほぼ答えの)ヒントも同梱されています。
処女作ゆえに「勢い任せの強引でご都合な展開」が目につく問題こそありますが、その勢いを盛り上げるキャラクターは、見た目・性格ともに確かに光るモノを持つ作品です。
色々な意味で「次」が楽しみになる作者が、また増えました。
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ジャンル [ ファウンドフッテージスタイルのホラーゲーム ] 作者 [ Monumental Collab さま(開発) ]
[ CRITICAL REFLEX さま(頒布) ]
容量・圧縮形式 [ 736MB(ZIP圧縮時), 1.01GB(展開後)・ZIP, Steamからダウンロード ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 英語, 日本語, フランス語, ドイツ語, イタリア語など ] 備考 [ Steamからプレイ可能(要・Steamアカウント) ]
[ itch.ioからダウンロードする場合、「TELEFORUM - DELETED SCENES」と記載された方が最新バージョンとなる ]配布元 これは、とあるVHSの記録である。
インタビュアーのジュリアンナとカメラマンたる「あなた」は、アパートのエレベーター内に立っていた。
局のベテランだったウォルター・マーティンスの突然かつ不可解な死。死因すら定かにない縺れた状況を解決するカギは、ウォルターが持っていたVHSにあるとにらんだジュリアンナ。彼女はその原本を探しに、ウォルターの自宅に取材に来たのであった。
目的の608号室の中にいたのは、ウォルターの妻・エイドリアナと愛犬のみ。価値のある「絵」を取るため、心の傷を癒し切れていないエイドリアナに対し、半ば強引にインタビューを持ち掛けるジュリアンナ。しかし、取材の中で見えたのは、夫を失った傷心だけでは到底説明のつかないエイドリアナの奇妙な態度であった。
インタビューをつつがなく済ませ、ウォルターが遺したVHSを彼の自宅で閲覧するジュリアンナ。それに強引に付き合わされた「あなた」。
そこに映っていたのは「奇妙」で「意味不明」としか説明のつかない映像。その不可解な映像が終わった瞬間、「あなた」の目の前はフラッシュアウトし…。
…次に目覚めたのは、つい先刻までいたアパートのエレベーターであった。本作は「Found footage」…「遺された映像作品」という名のモキュメンタリーホラーの一種です。そこに描かれるのは徹底的に「意味不明」な映像。
ウォルターの死を引き起こしたもの、VHSに描かれていたもの、ジュリアンナと「あなた」がどうなったのか…それらは具体的に描写されることなく、ただただ「理不尽」が襲い来るホラーとなっています。
プレイ時間は短めで1周40分程度。所々不完全ながら日本語訳も付いており、セリフの理解にはさほど苦労しません。
最も、本作において「セリフの理解」は「ストーリーの理解」を意味しません。セリフの単語は分かっても、「何故それを言ったのか」「何故そんな選択肢があるのか」…「文脈」が理解しがたくなっています。恐怖を煽るためにあえて文脈を乱している…「不可解」で「意味不明」なセリフや描写が多々見られるのです。
「理解もできずにただただ繰り返される恐怖」…それが本作のホラー要素の大部分なのです。
これは、中々に受け入れがたいストーリーテリングです。「考察してもらいたいから、あえて描写していない」のか「詰める余裕がないから、投げっぱなしている」のか、視聴者たる我々には断定できないためです。
本作は、1周が手軽なうえで隠しルートも多いため、イチオシレビュー候補に挙げていました。ただし、先述のストーリーや雰囲気のまとめづらさ…特に「作者がどこまで考えているのか」が分かりづらい点から、反応はいまいちでした。
「結末」を徹底的に排除しているのも、本作のまとめにくさを助長しています。スタッフロールを見てタイトル画面に戻っても、道中の朧げなヒントを参考に隠しルートに入っても、「VHSのように巻き戻され、取材を永遠に繰り返される」カメラマンの閉塞した状況は何一つ変わらないのです。
あなたは「これ」を見て何を感じるのでしょうか。ただただ「繰り返される、逃げ出せない恐怖」でしょうか? 「VHSに描かれていた『もの』」「エンドロールで我々に語り掛ける『何か』」の考察でしょうか? それともそれを「作者の実力不足」と受け取る悪印象でしょうか?
幸い、本作のプレイヤーは、描かれた「理不尽」、描かれていない「空白」を悪印象として受け取った方は少なかったようです。Steamでのレビューは「非常に好評」、他のサイトでも好評をもらっているようです。
ストーリーは短く、「表層」は複雑なものではありません。ただただ描写された恐怖を直接受け取るのか、描写されていない空白を考察しながらプレイするのか、貴方の好みに合わせて、この物語を体感してください。
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ジャンル [ 短編探索ADV ] 作者 [ Mineo さま ] 容量・圧縮形式 [ 142MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMZ ] 言語 [ 日本語, 英語 ] 備考 [ 解凍の際は、7-zipなどUTF-8に対応した解凍ソフトを使うこと ] 配布元 花は散り際こそ美しい
アルマは夜更けの屋敷で目覚める。画家として遅くまで働く兄の帰りを待ちながら寝てしまったのだ。夜更けに目覚めても、兄が帰った気配はない。
自宅でありながらあちこちが閉ざされた屋敷。アルマは大広間の目の前で「少女」と書かれた銘板を拾う。黒く塗りつぶされた兄の作品の一つにその銘板を取り付けると…目の前に現れたのは、幼い頃のアルマを描いたスケッチだった。
その後も各所で銘板を拾い、絵画の闇を晴らしていくアルマ。アルマの成長を描いたその作品群は、同時にアルマに迫る『死の影』をも描いていた。
探索を進めるたびにフラッシュバックするアルマと兄の思い出。同時に、兄は成長していくアルマに対し邪な想いを隠し切れなくなっていった…。
果たして兄は何処にいるのだろうか…。館を探し回るアルマの目の端に、死の影がほの見える…。
本作は、作者渾身のアートワークを詰め込んだ、20分程度で読了できる短編の探索ホラーです。本作のテーマとなっている「絵画」はもちろんのこと、屋敷のマップや歩行グラフィックも作者自作のものです。
その雰囲気を盛り上げるためか、本作は画面が暗めに設定されています。光源操作でアルマの周囲は明るくしている、重要アイテムは光るなどの対策は取られていますが、それでも引き出しなどに隠されたアイテムは光らないため、「家具は虱潰しに決定キー」レベルの隈なき探索は求められます。
そして、本作は「アクションが苦手な方もお楽しみ頂けます」と自称されていますが、後半の死神に追われるシーンなど、アクションを求められそうな箇所も存在します。ただし、これはあくまで「求められ『そう』」であり、実際には求められません。
本作のENDは1つのみ(作者様に問い合わせて確認済です)。上記の死神に追われるシーンは、いわゆる「負けバトル」。最終的にアルマの2倍以上速くなる死神に対し、一本道で追われるこのシーン、逃れる術はありませんし、逃れるルートは実装されていません。5枚の絵画によって露わにされるアルマの「人生」。その中で最重要人物であるはずなのに、回想シーンと手記でしか登場しない「兄」。幸せや不幸が入り混じる記憶の再生…。
アルマと兄の「記憶」は、どのような完結を迎えるのでしょうか。濃密な闇に包まれた、美麗なる20分の物語、ぜひお楽しみください。
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ジャンル [ 昭和ホラーミステリー+アドベンチャー ] 作者 [ mellow さま(腐乱ぼわーず) ] 容量・圧縮形式 [ 348MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ ティラノビルダー ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ ノベルゲームコレクションにてプレイ可能 ]
[ 設定資料集が販売中 (DL版が600円, 書籍版が1,350円) ]配布元 2つの視点で語られる謎。安楽椅子探偵と、そして…。
巷に知られた「御影探偵事務所」。そこには若き2人の探偵がいた。所長代理の
御影 吹郎 、助手の小戸森 日向子 である。吹郎の祖母から押し付けられ、留守番のつもりで座った探偵の椅子だったが、本日は興味深い依頼が舞い込んでいた。事は15年前に端を発する。
鬼道 村の有力者である咲鬼 家と蛭沼 家。その咲鬼家当主の妻・美夜 と蛭沼家当主・葉月 が心中し、葉月の水死体のみが発見された事件である。
その15年後、咲鬼家と蛭沼家の人間が集結した「椿屋敷」にて、新たな惨劇が発生した。咲鬼家現当主・宗彦 の刺殺から端を発した連続殺人事件。この2つの事件は、現在では捜査を打ち切られている。
吹郎たちに届いた依頼は、この2つの事件の再調査であった。依頼人の名は「蛭沼葉月」…そう、15年前の死者からの依頼である。
手紙に添えられた資料から、吹郎は事件の真相を探り出す。祖母から押し付け…いや、譲り受けた探偵の安楽椅子に揺られながら。本作「椿屋敷の亡霊」の作者・mellow氏は、以前に「廃館少女」シリーズ2作でウディコンに出展した作者です。本作ではツールをティラノビルダーに移し、舞台も「昭和初期の日本」と大幅に変えています。
本作の特徴はそのグラフィック。「廃館少女」でも人気を博したグラフィックは、本作でも健在です。それは、グラフィックの「質」だけでなく、グラフィックが描写する「謎」についても…。
それ故に、本作で語ることのできる場面は極端に少なくなっています。「描かれていること」「描かれていないこと」の何がどのように繋がっているのか…それを少しでも触れただけでネタバレとなってしまいます。それぐらい、本作の伏線は複雑で緻密です。
しかし、本作の攻略は「簡単」です。ENDは1つのみ。3つの「幕間」と最後の「解決編」も、正答を入力するまで何度もやり直せます。
「幕間」は、捜査資料を調べながら、拾ったキーワードを「コウサツ」ではめ込んでいくゲームとなります。調査できる箇所は資料をマウスカーソルでなぞって初めて表示されるため、初見では2, 3個ほど見逃すかもしれません。その場合でも、見逃した箇所があることを「コウサツ」画面で教えてくれるため、情報が足りなくて正答が分からない事態にはなりません。はめ込む「キーワード」のヒントも、調査パートやその前の物語パートであからさまに描写されています。
さて、貴方はこの事件の犯人をあぶりだせるでしょうか。そして、犯人とその物語はどこに潜んでいるのでしょうか。1周3時間程度の物語ですが、真相を知ってから再読するとまた違った印象になる作品です。
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ジャンル [ 大正怪異ロマン ] 作者 [ Vantan Game Academy さま ] 容量・圧縮形式 [ 1.37GB(解凍後)・Steamから直接ダウンロード ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 要・Steamクライアント ] 配布元 光と闇が、桜に乗って
時は大正、近代へと移り変わろうとしている激動の時代。その闇は深く、数々の怪奇事件が世間の裏でうごめいていた。
その深き闇を奔走する一人の学生・ミヤシマ。彼は祖父からその遺志と妖刀「八島童子」を受け継ぎ、数々の怪奇事件を調査していた。
このゲームは、そんなミヤシマと八島童子が出逢ったほんの小さなエピソード。帰り道を見えない壁で封じられた2人。何らかの怪異の仕業であると即座に見抜いた2人。その解決の糸口は3つある。
(1) 周りをうごめく悪霊を八島童子に「喰わせ」て、力ずくで脱出する
(2) 友好的な化けダヌキに協力を仰ぐ
(3) カギを握っているっぽい神秘的な怪異から、その原因を調査する
3つの糸口から、2人は真相を探り出せるだろうか。2人のいる大地が完全に異界へ取り込まれるまでの時間は、そう長くはない。
本作は、超短編の3Dアクションアドベンチャーです。どれほど短いかというと、制限時間が1周3分間。しかも、その短い制限時間でも、初見で1分程度残してクリアできます。それほど、本作の舞台も登場人物も必要最低限なゲームなのです。
(1) 戦闘:周りをうごめく悪霊を八島童子に「喰わせ」て、力ずくで脱出する
(2) モノ探し:友好的な化けダヌキに協力を仰ぐ
(3) 謎解き:カギを握っているっぽい神秘的な怪異から、その原因を調査する
3つのルートはそれぞれルールも攻略法も異なり、バリエーションに富んだゲームが楽しめます。…とは言っても、どのルートも数分で解決できるもの。「プロトタイプ」的側面が大きい作品となっています。
そう、本作はリリース元の「Vantan Game Academy」が示すとおり、学生が制作した課題プロジェクトの作品。メニュー画面やTipsに、本作では描写されない事件、本作には実装されていない舞台への言及がある点からも、元々はより大きい、それこそコンシューマ作品並みの構想のもと作られた作品だと分かります。
本作で描写されているものにも、「神社入り口と街中心の祠を塞ぐ、ヒト型の文様」「封印の要となるお札」「それを見た八島童子の反応が『嫌な感じ~』」と、数々の不可思議かつ不穏な、考察しがいのある「謎」が散りばめられています。
このミニゲームとしか言いようのない掌編でも、多数の人員がかかわっている本作。本格的に構想通りの大作をリリースしたらどのようになるのでしょうか。
そんな楽しみすら感じられる、大きな可能性のある作品です。
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ジャンル [ 2D型ウォーキングシミュレーター ] 作者 [ I.A. さま (I.A. Projects) ] 容量・圧縮形式 [ 119MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMZ ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 繰り返される「異常な日常」からの脱出
「8番出口」…それは当初の予想以上に「ゲーム」を進化させました。同作者の「8番のりば」を代表とするフォロワーが続々と出現し、現在では「8番ライク」自体が1ジャンルとなっています。
今回紹介する「Office10」も、そんな8番ライクの1つです。ランダム判定・スイッチ・変数・マップチップの切り替え・ピクチャ表示で「不定期に発生するイベント」が作りやすいRPGツクール。RPGツクール製の「8番ライク」も、本作に限らず数多くあります。
その中で本作を特徴づけるものは、「オフィス」という見慣れた、それでいて「人の恨み」も「死者の噂」も「無遠慮な都市伝説」も溜まりやすい場所を選んだこと。即物的な危険も、考察しがいのある不思議要素もたっぷり詰まった作品となっています。
本作が8番ライクの中でも短めで簡単なのも、話題を呼んだ一因です。本作のマップは(主に)3画面のみ。廊下2つとオフィス部屋1つの3画面+αを隈なく探し、「異常が見つかったら入り口に引き返す」「異常が無ければ進む」を繰り返して、10階層をクリアしていきます。
「視点によって見逃しが発生しづらい」2Dマップの上に、怪異の表示も分かりやすいため、1周クリアならさほど難しくはありません。
しかし、本作の本番は1周クリアした後。(Ver.2,00現在で)30種類+10種類(2周目から追加)の異変のコンプリートです。
特に難しいのが「死ぬ系」の異変。本作の「当たれば死ぬ敵」は、かなり移動速度が速い上、入口に引き返さないと「クリアした」判定になりません。出口直前に出たり、入口の方から追ってくるパターンもあり、基本的には「初見殺し」です。いつ発生するかは完全ランダムなのに。
実をいうと私の場合、1周クリア時では「死ぬ系」の異変は1回たりともクリアできず、死なない異変を運良く引いてのクリアでした。また、Ver.2.00になって大きなアップデートが入りました。「異変がある階層で異変を発見、突破せずに引き返しても突破判定にならず10Fへ戻されるように修正」というアップデートです。
これは「入口からの入退出を繰り返して異変コンプリート」を防ぐアップデートです。異変をしっかり画面に映さないと「発見・突破した」判定にならないのです。結構な個数を占める「当たると死ぬ敵に追いかけられる異変」も、ちゃんと敵を出現させてから入口を出ないと「突破した」扱いにならないのです。
本作の「奇妙な」世界観、「何があった」と思わざるを得ない主人公や敵、余韻を残す結末…それら全ては、本作を隅から隅まで堪能することで味わえます。決してズルは無きように。
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ジャンル [ 掌編読み物 ] 作者 [ まえだ しきめん さま ] 容量・圧縮形式 [ 92MB・ZIP,ブラウザゲーム ] 製作ツール [ ティラノビルダー ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ ブラウザでもプレイ可能 ] 配布元 幸せなあなたに、不幸せなあなたに、一杯のコーヒーを。
目立たない立地にある小さな喫茶店。常連の「辻」は、なじみの店主と語らっていた。
久々の休暇を満喫した思い出を、店主と語らいながら反芻する辻。しかし、ふとした瞬間彼女の表情が曇る。「私だけこんなに幸せでいいのかな」と。
一抹の不安を振り払いながら席を立つ辻。店主に指摘されポケットを探ると、覚えのないコーヒーフレッシュが入っていた。
その夜、喫茶店にはもう一人の客が来た。深夜残業と仕事のミスで、肉体的にも精神的にも疲れ切った会社員「前川」。ホットコーヒーを注文した前川は、店主から勧められるまま、普段は使わないコーヒーフレッシュを注ぐ。
そのコーヒーを飲んだ瞬間、彼に不思議なことが起こった…。本作は、10分程度で読了できる掌編の物語です。前半部にちょっとした選択肢はあるものの、ストーリーは一本道。ホラーなどのどぎつい表現もなく、誰でも読める作品です。
それでありながら、本作は強烈な印象を残す作品でもあります。前川に起こる「不思議な事」、前半の辻と後半の前川とのコーヒーを通じた繋がり、コーヒーが持つ魔力…フィクションと現実がいい具合に混ざり合った、そんな不思議なお話です。
それこそ、「コーヒーブレイク」のつもりで、この不思議な物語、堪能してみてください。前作「音怨-銀猫の牢櫃」が、典型的かつ恐怖表現の強いポイントクリック系脱出ホラーゲームだっただけに、このジャンルの振れ幅の激しさも特徴となります。
「音怨」は残酷表現も多いため、「with fresh coffee」と併せては勧めづらい作品ですが、こちらも秀逸なホラーが味わえる作品です。
同一人物による振れ幅の広い2つの物語、「何でも楽しめる人」なら2つとも堪能してみてください。
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ジャンル [ 謎解きホラーゲーム ] 作者 [ すり身 さま ] 容量・圧縮形式 [ 38MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 12歳以上推奨 ] 配布元 上の歯~♪ 下の歯~♬
「株式会社 歯」の重役・歯(主人公)。多彩かつ多忙な職場で働く彼(?)は急な連絡を受ける。顧客からの「たす…け…」といかにも死亡フラグなメッセージを受け取った歯(主人公)は、職場へと舞い戻る。
果たして、職場は大変な状況になっていた。3名もの職員が職務放棄していたのだ。虫歯は突然の腹痛で、ヤンキー歯は給与条件の不満で、猫歯は全く理由も分からず、突然脱走したのである。
3名を職場に復帰させるため、歯(主人公)は各地を奔走する。その中で出会うのはあまりにもシュールな舞台。薄暗い古民家が立ち並ぶ中、虫が飛び、食材が語り、ハニワが殺人級速度で疾走する、そんなシュールな舞台を、歯(主人公)は奔走する。
果たして、脱走した3名は無事に職務復帰できるのか? そして、顧客が陥ったピンチとは? 何もかもが予測できない物語を、貴方は体験する。
本作、「ホラーゲーム」というジャンル名、それで動かすのが「顔のついた歯」、あまりにもシュールなキャラグラフィック…ダウンロードページ時点で圧倒され、人によっては即閉じしかねない独特の世界観が特徴です。
そして、その独特さは、実際にプレイすればするほど、あらぬ方向へと突き進んでいきます。
光って分かりやすいが置き場所がばらけすぎているキーアイテム。中には別の場所をクリアしないと発生しないキーアイテムや通れない場所も存在します。
ストーリーも二転三転どころか七転八倒。サーカスの恐るべき演技、突如襲い掛かってくる猫歯、初見ではまず気づかない意外なEND分岐フラグ…誘導は巧みで迷うことはありませんが、その道筋はあまりにも迷宮(ラビリンス)です。…ここまで褒めているか貶しているか分からない紹介文ですが、私はとても楽しかったです。
プレイ時間は1周で30分ほど。ただし、先述したとおり、END分岐フラグはかなり意外な場所にあります。誘導に従うだけだとヒントすら出ないほどに。
作者様サイトに完全攻略が掲載されていますが、「攻略は見ずにプレイする」派の方だと、下手したらEND分岐箇所のセーブが残らずにニューゲームせざるを得ないでしょう。30分のニューゲームすら難しいほど忙しい方は、「キーアイテムを獲得した/手放した瞬間」でセーブを分けるよう心がけましょう。
最後までプレイすれば、貴方もきっとこの世界観の虜となることでしょう…いや、保証は致しかねますね。ここまでシュールだと。
その試金石として、当紹介文が助けになれば。
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ジャンル [ 3D探索ホラー ] 作者 [ Lonely House さま ] 容量・圧縮形式 [ 178MB(解凍後)・Steam ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 英語、スペイン語、中国語、日本語 ] 備考 [ Steamクライアントが必要 ] 配布元 おいでよ かりものの家
木々生い茂る浜辺を進む、ウサギの4人家族。彼らは、奥地にある賃貸別荘にバカンスに来た。
われらが主人公は、家族の長女・Umi。年頃らしく冷めた所のある彼女は、退屈な田舎の景色に飽き飽きしていた。
いそいそと準備をするほか3人を尻目に別荘に一番乗りしたUmi。しかし、別荘の入り口は、彼女の背後でカギを掛けられてしまう。
奥にいた別荘の管理人は、「ここから脱出するためには、おまじないが必要だ。十字架を6つ、ロウソクを3本、そして『怒れる男』と『バーの裏の女』…」と言い残し、消失してしまう。
幼いUmiは、たった独りで探索しなければならない。怪しい影が漂い、恐ろしい秘密が隠されたこの別荘を…。
本作を語るためには、とある有名ゲームシリーズに触れる必要があります。そう、「Animal Crossing」(どうぶつの森)です。
ニンテンドウ64の時代から令和の今現在まで世界中で大人気の「どうぶつの森」シリーズ。ファンシーを基調としていながら、どこか無機質な不気味さも感じ取れる本作の世界観は、リスペクト作も数多く生み出してきました。
特にインディーズでは、その「無機質な不気味さ」を強調したホラー作品が数多くあり、本作「Rental」もその1つとして数えられます。
本作の初出は2022年。「32bit jam」…90年代基準の次世代機(64, PS1, ドリキャス)風のゲーム大集合…という小規模大会の出展作でした。そこで高評価を上げたのか、Steamへの移植が今年に完成し、今現在のような話題作となりました。
本作は初見でも30分程度でクリアできる短編。ただし、実績の中には「調べられる箇所を全て調べる」と難解なものもあり、極めるには何周も、場合によっては外部の攻略情報が必要となります。
ただ、終盤の迷路は意外と難易度が高く、3D酔いも併せて体感プレイ時間は4倍以上に感じました。
この迷路は、完全1人称視点・壁が総鏡張りになっています。「Umiが正面に映っているか」で壁の有無を判断する…ということすら、しばらく操作して自力で学ぶほかありません。。それほど、終盤の迷路の「放り出されっぷり」は唐突です。
当然ながらオートマップは無い上に、「十字架3個が分かれ道に散らばっている」仕様。初見だと、最初にゴールの扉を見つけた時には十字架が1つ足らず、別の分かれ道を探す際、そして十字架を集めきった後に再度ゴールを探す際、分かれ道の場所を忘れてスタート地点を何回もうろちょろしていました。そんなグダグダ・ガバガバなプレイでも30分でクリアできるほどの短編です。果たして貴方は別荘の謎を解けるでしょうか。意外なレベルでの「隅から隅までの探索」を求められる作品です。
- (補足)
- 2024.04.12:日本語に対応しました。
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ジャンル [ 3D探索アドベンチャー ] 作者 [ ブレイズエッジ さま ] 容量・圧縮形式 [ 244MB・ZIP ] 製作ツール [ Unreal Engine ] 言語 [ 日本語, 英語 ] 配布元 旅路の果てに手に入れるものは…絆、故郷、衣装、そしてメガネ。
エスターは、頭に響く謎の声に導かれていた。導かれた先は朽ちた研究施設。
導き手たる謎の光と協力し、研究室の奥底に進むエスター。そこで見たものは、龍のような結晶と、小型の竜に変わった導き手であった。
「わが故郷・エルテリオンに連れて行ってくれ」という願いに従い、砂漠を、水中神殿を進んでいくエスターと竜。
険しい旅路の果てに、一人と一匹が見るものは…。
本作は、アンリアルエンジン製の美麗な3Dグラフィックで彩られた探索アドベンチャーです。
最大の特色は、何といっても主人公たる一人と一匹のキャラ立ち。表情豊かに繰り広げられるイベントシーンは、短いながらも充実したプレイフィールを与えてくれます。
エスターには着せ替え機能もあります。コスチュームは道中の隠しアイテムとして取得でき、着せ替えた見た目はイベントシーンにも反映されます。ファンシーに着飾ったエスターを愛でることが、本作の第一の楽しみ方となります。
当然、「探索アドベンチャー」ならば謎解きもあります。本作では、謎解きにも特色があります。
それが、竜とエスターとの「シェアリング」。エスターでは歩いて行けない場所に竜を行かせて「シェアリング」をすると、ヒントの閲覧からテレポートまで、便利に使えます。
ただ、本作は短編かつ処女作である故か、謎解きのボリューム自体はそれほどありません。まともな謎解きは第1ステージの研究施設に集約されており、中盤の砂漠以降は広いマップの探索が主となります。
もちろん、中盤以降も「シェアリング」が重要です。広大なマップの行き先を(それとなく)教えてもらえたり、強制的に先行する竜に追いつくためにテレポートを利用するなど、「シェアリング」に気づかないと進みにくい・進めない箇所は最後まで詰まっています。
習作的な意味合いの強い短編で、ラストも「次回作に続く」的な作品ですが、その短い物語に詰め込まれた美麗な世界観、ぜひ皆様にも味わっていただきたいと思います。
- (補足)
- 2024.03.03:現在の最新バージョンは、1.12です。