■ シロペンロード
作者 [ baba_s さま ] ジャンル [ パズルアクション ] 容量・圧縮形式 [ DL不要・ブラウザゲーム ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現状、ブラウザ上でのみプレイ可能 ] 配布元
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 8 /10 8 /10 53/60 赤松弥太郎 9 /10 10/10 9 /10
シンプルなステージ・シンプルな線・解法は無限大
本作「シロペンロード」は、あらゆる意味での試行錯誤が要求されるアクションパズルです。
思いっきりジャンプして、(ライン長換算で)縦20弱・横30少々しかないジャンプ力に対し、ステージ1から「横の長さ50の落とし穴を超える」が要求されます。
その助けとなるのが、「マウスドラッグで自由に作れる橋」。初めに思いつく解法は「横に長さ55程度の橋を渡す」でしょう。
もちろん、それで簡単にクリアはできますが、そんなプレイヤーに要求されるのは「長さ40以下のラインでクリア」という実績です。当然、長さ40の橋では落とし穴に固定できません。
思いつくのは、「横に20ちょいはみ出した橋を作り、足りない分をジャンプで補う」でしょう。しかし、ここから「シロペンロード」は「物理演算」の恐ろしさを見せるのです。作った橋は重力に従い落下し、せり出した方が長いと…いや、せり出した方が短くても勢いや線のブレによって…奈落の底へ落下してしまいます。
橋を安定させるために、床ギリギリで書き始めたり、長さ1程度の支えを作ったりと、細かい思考錯誤が要求されるのです。その恐ろしさは、「チュートリアル」であるステージ15以内でも十二分に味わえます。発想の転換・書き始めの位置調整・アクションのタイミング…全てを駆使しないと、コインを全て集めるどころか、宝石に辿り着くことすらできないステージばかりです。
面が進めば、「橋の形」さえ重要となるステージも出てきます。せり出し部分を守るために、接地部分をどのような形にするか…工夫しだいで意外な作り方が出てくるのも「シロペンロード」の試行錯誤の楽しさとなります。パーフェクトクリアを目指すためには「落ちる橋に登って、一瞬のタイミングを狙ってジャンプする」操作も必要となります。橋づくりとプレイヤーの操作を同時に行えるようにするため、必然的に手の位置は「左手がWASD、右手がマウス」という形になるでしょう。
ただ、怖がらないでほしいのは「コインと宝石を全て集めてのクリア」だけならば、「一瞬のタイミングを狙ったアクション操作」はまず求められないという点です。普通に「ステージ内に固定できる長さのラインを作る」でクリアできるステージがほとんどです。あとは「ステージ内に固定できる長さのライン」を考えるだけです。
「ステージ内に固定できる長さのライン」を考えるだけでも、「ラインが触ると消える赤い地面」と「ラインを描けない赤い空間」の存在が邪魔をしてきます。それを回避でき、なおかつクリアまでの導線に十分なラインの作り方を考える…それが「シロペンロード」攻略の第一歩です。
「落下する橋を、一瞬のタイミングでジャンプして乗り越える」過酷なアクション操作は、ステージを全面クリアしてからでも遅くはありません。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:9
秘密の路線図 キミになら見えるはずさ
みなさん、物理演算ゲームは好きですか?
ボクは、あまり好きじゃなかったりします。
だって、あまりにも複雑な動きをして、思うようにいかないことが多いんですもの。
上手くいっても、それはたまたまなのか何なのかよくわからないし、同じようにやってるつもりなのに上手くいかないこともあるし。
せめてゲームの中くらい、積み重ねで上達する、確かな手応えがほしいじゃありませんか。
予測不能なことが起きるのは、傍目に見ている分には楽しいかも知れませんけど、度が過ぎると、プレイしている甲斐がありません。
手応えが薄いというか、ふんわりしているというか。
思うに、パラメーターが多すぎるんですよ。だから納得いかない動きをする。
その点本作は、できるだけ複雑にならないよう、考えられたルールになっています。
本作の入力は基本的に、描いた線の形だけで判断されます。
一部例外を除けば、どれだけ速く描こうが、遅く描こうが、描いた線の形が同じなら同じ結果になるのです。
さらに、本作の物理法則では、描いた線以外は重さ0として扱われます。
自キャラの重さも0なので、自キャラが移動してもシーソーは傾きません。
どうすれば傾くのかと言うと、新しく描いた線を載せてやればいいのです。
でも、個人的には、動く仕掛けを作ることは、特に初心者のうちはあまりオススメできません。複雑になりますからね。
むしろ、どうすれば線が固定できるのかを学ぶのが、上達の近道になるでしょう。
上図のようなシーソーでも、この状態で安定しています。
ただしシーソーだと、空中に張り出した分だけ、逆方向に線を延ばさなければいけないのが難点。
本作は、とりあえず宝石を取ればクリア扱いにはなりますが、本番はそこからです。
パーフェクトクリアを目指して、すべてのコインを回収しつつ、描く線の長さを規定以内に収めようとすると、シーソーだけでは届きません。
規定の長さが明かされる度に、「こんな長さでクリアできるの!?」という驚きとともに、課題に取り組むのです。
たとえば、こういうやり方があります。
線でブロックの上下を挟むと、バランスとは関係なしに線を安定させることができます。
これなら、いくら線を延ばしても動きません。
あとは、きちんと平行にブロックを挟めるかどうか、ですね。
アバウトな物理演算ゲームの良さもあって、多少まっすぐに線が引けないくらいは問題ありません。
リトライもボタン1つです。
見ての通り、グリッドもしっかり振ってあるので、上手くいかなかったら少しずつ調整すればいいんです。
まずは、どれだけ線を引いてもいいから、全部コインを回収するところから。
少しずつ線の長さを縮めていくよう、ゆっくり取り組んでいけばいいと思います。
……ただねえ。
本作、全部パーフェクトを目指すと、どうしてもアクション的な技術が必要になってしまって。
描いた線を弾き飛ばすなんて操作は、ボクが嫌う物理演算ゲーム的なものそのものです。
カーソルを動かす方向と長さと速度を、完璧に調整するなんてマウスでは厳しすぎるんですってば。
さらには終盤、足場を落としながらそれに飛び乗り、踏み台にしてジャンプするなんて操作が要求されたり。
まさかそんな激しい動きをするとは思い至らず、ボクが自力でパーフェクトを出したのは37 / 40ステージでした。他の方の攻略動画を見ながら残り3ステージもパーフェクトにしましたが、いやはやこれは。
評点です。
- ハマリ度 : 9 / 10
- ルール自体はオーソドックスながら、歯がゆさを感じないような配慮がある。物理演算ゲームの良い意味の「大雑把」さ、回答が多数あったり、試行錯誤でなんとかなる部分も持ち合わせている。40ステージのボリュームはそれを満喫するのにほどよい長さ。
難易度については、特に弾き飛ばすアクションを要求されることが序盤のうちからあり、パーフェクト狙いの時は急激な難易度上昇に戸惑う。面白いからやってほしい、という気持ちはわかるが、間口を狭めているようにも感じる。
できればステージエディットとリプレイ機能があれば、なお良かった。- グラフィック : 10 / 10
- シンプルイズベストな白黒と赤のドット絵。何一つ紛らわしいところはない。
強いて言えば、アイコンに一切ツールチップが出ないところが、初見だと厳しい点。アイコンでわかることも大事だが、言葉も添えてあればもっと良い。- サウンド : 9 / 10
- 画面とあわせてファミコン調のチップチューン。ひねりが無いと言われればそれまでだが、本作の方向性をはっきり示している。
本作にはプレイヤーの技量に応じて、深さの違う楽しみを示してくれる、懐の深さがあります。
上手い人が深いところまで掘り下げているのを見ると、少し怖さも感じますが、下手でも下手なりに楽しめるのがいいところ。
シンプルでオーソドックスだからこそ、工夫が感じられる作品です。