■ Nitronic Rush
作者 [ DigiPen さま ] ジャンル [ タイムアタックレース ] 容量・圧縮形式 [ 271MB・自己解凍EXE ] 言語 [ 英語 ] 備考 [ ゲームパッド対応はXBox360用コントローラのみ。アナログ操作のないパッドには非対応。 ] ダウンロード
- (補足)
- 2011.03.11:現在の最新版は、#3(v.2012.3.3.0)です。
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 7 /10 9 /10 9 /10 52/60 赤松弥太郎 8 /10 9 /10 10/10
Born to run! Born to KAMIKAZE!
今回紹介する「Nitronic Rush」は、サイケデリックなネオン基調のグラフィック、同じくサイケデリックなBGMと、ノリのいいレーシングゲームです。
チカチカすると言う好みの問題こそあれど、前回紹介した「TRACKMANIA NATIONS FOREVER」に引けをとらないグラフィック・サウンドを持っています。よって、グラフィック・サウンドの評点は、「TRACKMANIA」と同じく、ともに9点を付けました。
しかし、肝心の「ハマリ度」においては、少々劣ると感じました。
「コースの難易度が高く、リセットを強いられる」点においては、「TRACKMANIA」も「Nitronic Rush」も変わりありません。
しかし、「Nitronic Rush」のリセットは結構ストレスがかかる上、ペナルティも大きくなっています。
「TRACKMANIA」のリセットはまさに最初から。記録は常に0から開始されます。しかし、一つ一つのコースが短いので、難所を記憶していけばいつかはクリアできます。
「Nitronic Rush」も「難所を記録していけばいつかはクリアできる」点は同じです。しかし、リセット時にそれまで費やしたタイムは保持されます。即ち、リセットの数だけタイム記録は悪くなってしまいます。
道中の所々にチェックポイントが設けられ、リセット時には途中からやり直せる仕組みになっていますが、後半:トラップがきつくなっていく辺りは、難所を数箇所越えた先にやっと一つ…寸前でクラッシュしてしまったら、ずっと前から再プレイしなくてはいけません。
Story Modeのラストステージでは、スタートからゴールまでチェックポイントは一つもありません。道中クラッシュした場合は、ポーズからRetryしてタイムをリセットした方が、精神衛生上楽になります。こんな「リセット時の記録を保持したまま再プレイ」と言う仕様になっているのは、「Nitronic Rush」の得点要素に、もう一つ「トリックプレイ」が入っているためです。
普段の操作(アクセル・バック・ステアリング)はカーソルキーで行いますが、WASDでその方向にブースターを発射します。空中や壁際でブースターを発射すると、自機が回転し、トリックポイントが稼げます。ブースターを利用しない普通のプレイでも、何らかのハプニングで機体が回転し、いつの間にかトリック扱いになっている例は多数発生します。
問題は、このトリックは、ポイント稼ぎと「魅せる」以外の長所がほとんど無い点です。「BoostやFlying Modeで消費するHeat Gaugeが回復する」要素もありますが、これでさえ、コースに慣れた人向けの長所。初心者にも役立つ長所ではありません。
BoostもFlyingも使いどころは難しく、下手に使うとコース外にまっしぐらです。コースも分からない内は、Boostは使わず、Flyingはどうしても使用しなくてはいけない箇所だけ…安全運転に徹したほうが(やり直しが少なくなる分)記録は伸びます。また、「魅せる」方面においても難点があります。執筆現在のバージョン(#3…v.2012.3.3.0)では、ゴーストと一緒に走れる機能はあるものの、リプレイ機能は備え付けられていません。
ページ上部にある画像は、プレイ最中、隙を見てキャプチャしたものです。YouTubeなどにある「Nitronic Rush」のプレイ動画も、プレイ中に撮影した一発撮りのものばかりです。
プレイしていると、本当にリプレイ機能が欲しいです。「他人のスーパープレイを見る」以外にも、「自分の失敗しやすい所」が分かりやすいので。もう一つ注意点があります。備考欄にも書きましたが、「Nitronic Rush」のゲームパッド対応はXBox360用コントローラのみです。SFCやセガサターンのコントローラのようなデジタルパッドには対応していません。
お手持ちのパッドが3D入力に対応していない場合、キーボードでの操作しかできません。そして、キーボード操作には少々問題があります。 通常時にはアクセルとなる↑キーは、Flying Modeでは上昇(下降)キーとなります。そのため、アクセルを押しっぱなしにしながらFlying Modeに入ると、そのまま機体が上を向いてしまい、あらぬ方向へ行ってしまいます。
その他、コントローラを使用した方が動作も細かく調整でき、それだけでも難易度が下がります。「最も簡単」な部類に入るStory Modeをクリアするだけでも、かなりの辛抱が要るゲームです。
また、Story Modeから入ると、Stage1からぶっ続けでコンティニュー不可のように見えますが、Arcade Modeからステージセレクトができ、セレクトしたステージから継続してStory Modeがプレイできます。
少しずつプレイして、コツをつかんでいきましょう。公式トレイラーのようなトリック満載のスーパープレイは、安全運転によるクリアに自信がついてからにしましょう。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:10
フラァァイト・スイッチ・オーーーーーーン!!!
前回のレースイチオシから4年、このクォリティの作品を学生が作っちゃう時代なんですねー。
まあ学生と言っても、ゲーム専門学校の学生、プロの卵の方々ですけど。
ジャンルとしてもTMNFが一番近いです。よりケレン味を足し、よりアクロバティックに、そしてより難しくした感じですね。
……ロボット刑事でも日本一の私立探偵でもないボクらが、空飛ぶ450km/hのクルマを意のままに操るなんて、どだい無理なわけで。
ストーリーモードは、それでもまだなんとかなるレベルで収まってます。
ええ、突然フライトシミュレーターになったりしますが、それでもまだマシです。
問題はそこから先、アーケードモードから選べるさらに上級のレベル群でして。
Hardcore Levelsでは、チュートリアルで三角飛びの練習をさせられます。
ゲーム界広しと言えど、三角飛びが必須テクニックになってるレーシングなんて本作が唯一じゃないでしょうか。
未プレイの方は何を言ってるのかわからないでしょうね。やってみて下さい。Nandacore? と言わずにはいられませんから。
そんな本作のぶっ飛び具合を、最も凝縮したのがChallanging levelです。
1つ1つのコースは比較的短めですが、一切チェックポイント無し、一発勝負でトンデモコースを駆け抜ける狂気のレベルです。
しかもデフォルトで一切ロックがかかっていないので、初見さんでもすぐに死にに逝ける親切設計でお届けしています。
今回はこのChallanging Levelsの全12コースをすべて紹介していきましょう。
なお、最新バージョンにブルーム・ブラーがオフにできないというバグがあったため、スクショがボケボケのブレブレですが、その点はご了承ください。
Level 1: Mine Sweeper
まずは、見渡す限りの機雷原へご招待いたします。
どうです、この機雷の数。少しでも接触すれば大量のまいんさんにクッキングされてしまいます。
まいんさんと接触せずに、なんとかゴールまで辿り着く、そんなゲームです。
Challanging Levelsの中では簡単な部類に入るコースですが、はたしてこれをコースと呼べるのか。
それ以前にこれ、レースゲームじゃないよね!
Level 2: Evil Carwash
コースで口を開けて待っている巨大施設の中を走り抜けましょう。
入り口でプレス機がお待ちかね、そして奥ではノコギリと歯車の群れが待ちかまえています。
どう見てもスクラップ処理施設です。本当にありがとうございました。
このコースの楽しみ方はもう1つあって、それは空を飛んで上空から侵入する、というルート。
その方がよっぽど難しいので、やり慣れた方にオススメです。
Level 3: Warp Speed
スタートすると上方に宇宙船が見えてまいります。
あれ、実はあなた様を吹っ飛ばす発射台だったりしまして。
500km/hを遙かに超す空の旅、存分に味わっていただきます。
一瞬の操作ミスで大破するトンデモ飛行 in the skyですが、とっても気分爽快、自由度の高いコースです。
と言っても、はたしてこれを(略)これレースゲームじゃ(略)
Level 4: Choochoo Chase
列車と自動車の競争という、とても古典的な題材です。
もちろん相手も400km/h以上出てるバケモノなんですが。Choochooってレベルじゃねーぞ!
飛行禁止になっているので、間に合わなければ長い踏切待ち、または即轢死の二択ですよ。
冷却板を踏んでニトロの時間を延ばすわけですが、デフォルトのInterceptorでは最高速度的に非常につらいです。
Storyモードクリアで手に入るAvengerなら間に合いますが、グリップがきつい上、すぐ熱くなるのが難点です。
Level 5: Jump For Joy
お次は、K点越えの大ジャンプに挑んでいただきます。
心配要りません。左手に壁を用意しましたので、そこにヒョイっと、飛び移って頂ければいいのです。
もちろん飛行禁止といたします。Ninjaの国のみなさんなら簡単でしょう?
わかりやすい無理ゲーです。高速できわどい空中制御を行わないとたどり着けません。
さらに二段目のジャンプも加速を殺さず、今度は右手の壁に飛び移る……こんなレースゲーム、他にはないでしょう?
Level 6: Rocket Sleigh Ride
冬の針葉樹探索としゃれ込んでみましょう。
ただ木立の中を走るというのも味気ないでしょうから、ノコギリと防壁も生やしておきましたよ。
え? 道の真ん中に木が生えてる? 当たり前じゃないですか。木立の中を走ってもらいたいんですから。
完走するだけなら、全12コースの中で一番簡単なコースです。
タイムアタックをするなら話は別ですけどね。木立を走破するところが厄介です。
Level 7: Clockwork
弛むことなく時を刻み続ける時計塔の向こうに、ゴールを隠しておきました。
ルートは幾通りもあるでしょう。どうぞ気の向くままに走ってください。
ただし、あなたの車体に時を刻みつけられないように、くれぐれもご注意くださいね。
羽根の回る方向を見定めてくぐり抜けるなんてこと、この機動性の低いフライトモードでは不可能です。
運に任せて突っ込んでいかざるを得ない、屈指の難コースです。
Level 8: Saw Ride
何もノコギリの歯の上を渡るワケではありません。ちょっと、回転面の上に乗っていただくだけで。
スピード不足で振り落とされないよう、特製の加速装置もお付けいたしました。
見て下さい、良くできてるでしょう? これぞノコギリの有効活用ですよ。
こんなモンできるか! と思わず叫ぶ、最強の運ゲーコースです。
気分はルーレットのボールですよ、まったく。
Level 9: Desaturated Day
木の葉を模したミサイル、他のコースでも「美しい」と評判なんですよ。
皆さんによりご満喫していただきたく、セッティングしましたコースがこちらです。
出血覚悟の大サービス、無尽蔵に降りそそぐ木の葉をどうぞご鑑賞ください。
この圧倒的な物量を前にできることと言ったら、ハンドルを道幅いっぱいに振って、木の葉を分散させるくらいしか……絶望が支配するコースです。
あるいは、木の葉は一度降った場所には降らないことを利用して、木の葉の上に避難するとか。それでも油断は禁物です。
Level 10: Empire Climb
続いては、ビルの垂直登坂などはいかがでしょうか?
もちろんただの垂直登坂などでは飽きるでしょうから、ノコギリや防壁も多数ご用意してあります。
ニトロで熱した車体を冷やせるポイントも設えましたから、どうぞ気軽に登ってきてください。
飛行可能なので、道中はなんとかニトロをやりくりしつつ進められますが……。
ビルの壁にも段差があるので、十分に気をつけてください。路面からタイヤが離れたら重力に捕まりますよ!
Level 11: Mountain Top
たまには明るく暖かい、街の外でドライビングがしたい、ですか。
生憎とこの火山、噴火している最中でして。道路も至る所で寸断されております。
溶岩に落ちないよう、足もとにお気を付けてお越し下さい。
スケールの大きいコースです。いちおう飛行することはできますが、手軽にショートカットできる感じではありません。
長さもかなりあり、おそらく最凶の高レベルコースでしょう。
Level 12: Olympian Iron Man
皆様、ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
皆様への感謝の気持ちを込め、特別にこちらのコースをご用意しました。
どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。
ここまで来たみなさんには、1つ1つは決して難しくはないトラップです。
ただし、長い。ものすごく、長い。神経をすり減らす戦いです。
以上12コース。お腹いっぱいですか? そうですよね。
イチオシ決定から今日までの一ヶ月、ボクがクリアできたのはたった5コースだけでした。TMNFなら黒レベルまでメダル残り4つ、というところまでやり込んだんですけどねー。
ちょっと格の違いを見せつけられた感じです。
お手軽に楽しめる、とはなかなか言えませんし、爽快感を感じるところまで極めるのも骨のある作品です。上級者向けですね。
しかしながら、ボクのようなヘタレでも電子ドラッグ的な中毒性の高さは十分に感じることができました。
- ハマリ度 : 8 / 10
- 現在も継続して開発中。つい一週間前のアップデートでさらに2コース追加され、まだまだボリュームは増えていきそう。
減点2点分はリプレイ再生とエディット機能がない点だが、データ構造を見る限り拡張性は高く、じきに実装されるのではないかとも思えてくる。- グラフィック : 9 / 10
- 初めてモーションブラーを入れて良かったと思えるゲームに出会えた。とっても「トロン: レガシー」臭いのだけれど、これがたまらない。
先述の通り、最新バージョンにはブルーム・ブラー設定にバグがあるため減点しているが、開発者も認識している様子。次のバージョンまでには修正されると期待できる。- サウンド : 10 / 10
- 添え物としての環境音楽ではなく、ちゃんとゲーム音楽を作っていこうという姿勢が見えて好感触。ジャンプやニトロ時、トンネルなどで細かくエフェクトが変わるのも楽しい。
サントラを公開する予定があるとのこと。期待して待とう。もうあと数年もすれば、きっと彼らの作品はお金を払わなきゃ手に入らなくなりますからね。
グラフィックボードに十分余力のある方は、どうぞ今のうちにお楽しみください。