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■ Amateur's Garden

Amateur's Garden
作者 [ 495 さま ]
ジャンル [ 殺伐フリーシナリオファンタジーRPG ]
容量・圧縮形式 [ 26MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクール2000 ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 2013.12.08現在の最新バージョンは、v1.50 ]
配布元 ダウンロード先

Amateur's Garden Amateur's Garden Amateur's Garden

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 7 /10 8 /10 122/150 B
牛人 9 /10 8 /10 8 /10
天ノ原 7 /10 7 /10 7 /10
DECOすけ野郎 9 /10 9 /10 9 /10
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:7 サウンド:8

雌伏の時を、耐えて耐えて耐え忍ぶべし。

本作のイチオシ「Amateur's Garden」は、フリーシナリオ形式のRPGになっています。
ただし、最終目的は非常に明白。OPラストで語られるように「王を倒す」か「違約金を払う」のどちらかを達成すればエンディングとなります。
ただし、そのどちらも、OP直後の主人公では遠い日の夢。…というか、初期の主人公の実力では、(たとえ仲間を揃えていても)最初のメインシナリオ「魔物が潜む洞窟」すら満足に越せません。

初期の主人公で越せるダンジョンは「砂丘のほら穴」程度。初めはここで隕石の欠片を集めつつLV上げの日々です。
「砂丘のほら穴」のボスを倒し、ここでのLV上げもタルくなってきたら、メインシナリオ…はダメです。LV10程度ではザコ敵すらかないません。
他のサブダンジョン「術力精製所」のレベルは「魔物が潜む洞窟」よりも高いし、もっと手ごろなダンジョンがないかな…と探していたら、50金でいける新天地「アリシア地方」がありました。
ここは、LV10程度でもクリアできるダンジョンが数多く、ちょっと歯ごたえのある「野盗」というシンボルエンカウント敵も出てきます。
また、この世界にも滅びたアリシア城の秘密、戦いの末立ち去った守護者「エリン」の情報、「オレより強いやつに遭いにいく」とのたまう鳥…などなど、数々の謎を情報収集として獲得できます。

…このように、本作はフリーシナリオ形式でありながら、導線がはっきりしているRPGになっています。
ただ、その中には、岩の後ろに潜んでいるゴーレムなど「戦って負けなければ分からない」モノも潜んでいます。セーブは必ず取りましょう。強敵は動かないシンボルとして表わされ、こちらから挑まなければ戦闘にならない仕掛けになっています。

ザコ戦でも油断は禁物です。一発あたりのダメージが高く、回復しようにもスキルに使うMPは「The Legend of Oyaji」と同じく、ターンごとのチャージ制。アイテムも装備しなければ使えず、装備枠も初期2つと頼りありません。
こういった制限も道中のイベントで緩和できます。そういった「攻略が楽になるイベントを探す」事こそ、本作の、そしてフリーシナリオRPGの醍醐味です。

最初は単に「立ちふさがる敵だけを倒す」事だけを考えてきましたが、メインシナリオを進めるにつれ、えぐい選択肢を突きつけられるようになります。
王への抵抗勢力を殺すか否か…普通のRPGならば即座に寝返る所でしょうが、本作では「主な収入源は王からの褒章のみ、しかも王は機嫌を損ねると報酬を出し渋るわ、逆にこちらをつぶしに掛かるわ」なシステムになっているため、王に叛意を見せること自体が攻略の妨げとなります。正直、持ち越し強化のできない1週目は、(メインシナリオ終盤に入るまで)王の機嫌を損ねるような選択肢は取らない方がいいでしょう。
強化・術習得・移動など、金を求められるシーンの多い本作では、最大の収入源が断たれると、余計に難易度に拍車が掛かります。

本作の難易度の高さは、戦闘バランスだけではありません。ダンジョンが非常に複雑かつ見づらいのです。広い上に分かれ道が多く、初回プレイは最初のダンジョンでさえ10分以上迷いました。
色使いも暗めで見分けづらいものが多く、その点も(無駄に)難易度を高くしています。今回のグラフィックの評点が低めなのは、一部ダンジョンやオブジェクトの見づらさが原因です。

本作は「能動的にダンジョンやアイテムや敵を見つけ出して」楽しむRPGです。それ故か、必要な情報(アイテムやスキルも装備しないと使えない…など)も能動的に集めないと教えてくれません。
とにかく能動的にチャレンジ精神を発揮しましょう。最も、発揮した先が地獄の一丁目であることも多いため、セーブはきちんと取りましょう。大事なことなので二回言いました。

 《 牛人 》  ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:8

切替の早い所が私の良い所だ(お母様男前!)

フリーシナリオでオーソドックスなファンタジーRPGです。ツクール2000製ですが、よく作りこまれています。

戦闘やフィールド探索等、オーソドックスなRPG特有の面倒臭い部分がよく料理されています。
例えば、町にフィールドがなく、アドベンチャーになっている点や、高速自動戦闘が挙げられます。
これらにより、非常にストレスフリーな作品となっており、気軽に遊んでほしい作品です。

戦乱後の荒廃した世界という舞台設定です。そのため、モブを含めたキャラクターに現実主義者が多く、ガラも悪いです。
また、グロテスクな表現も多いのですが、その割にエロ要素がまったくないのは不自然に感じました。

この作品の雰囲気に合うと思うので、エロ要素がないのはさみしい限りです。

ハマリ度:9/10
RPGとして極めて良くできた作品です
グラフィック:8/10
味のある絵です
サウンド:8/10
雰囲気に合っています

 《 天ノ原 》  ハマリ度:7 グラフィック:7 サウンド:7

偉大で愚かな「庭師」たちの足掻き。

「おい、金を出して死ね」

「うおおおおおおおっ!かわいいいいいぼくちゃあああああんんん!!!」

「あの生首をささげれば、きっと兄貴も成仏してくれるよ。たぶん。もしかしたら」

「そういえば、お前の座右の銘は『二十歳以上は女じゃない』だったな」

モヒカン女「どうだ、この髪型!女でこの髪型する奴なんて今の時代滅多にいないぞ!」

この世界の連中こんなんばっかしかい。

公衆の面前で「カァ~…ペッ!」を平然と行い、傭兵達に魔物退治という名目のレジスタンス狩りをやらせ、反意と文句を即時かつ永遠に沈黙させる自称「世界で一番強くてかっこよくてえらい男(強いだけ事実なので余計性質が悪い)」アンダス国王を筆頭に、本作の登場人物は破壊とカオスに満ち満ちております。また、主人公の選択肢にも、会話の相手を即殺害する等、連中の仲間入りをできる選択肢が普通に存在します(例は極端かつ稀ですが)。実は登場人物で一番黒いのかも知れん。
そういうのを序盤から見慣れてしまうと、たまーに登場する真っ当な人物に対しても「こいつ何か裏あるんじゃないか」と勘ぐってしまったり。スレた大人っていやですね。

このまま、サブイベントでどチンピラな盗賊のたわ言を流しつつ、VS王の構図で話進んでくのかなーと思っていましたが、メインシナリオが進むにつれ、世界の根幹を成す重大事に主人公一行は巻き込まれていきます。
なぜアンダス国王は殺戮を繰り返すのか? なぜ理不尽なまでに強いのか? 守護者とはなんなのか? 魔物はなぜ出現するのか? 卵ボーロの材料はどっから調達してんのか? 等、ディープに作り込まれた世界の謎。エンディングに到達した時、私の率直な感想は「やっぱこいつらロクでも無いね」‥‥でした。先達の莫大な負の遺産を前に、主人公はいかなる選択をするのか‥‥実際にプレイして見届けましょう。

本作の肝は、やはりサブがメインの数倍のボリュームを誇る、大量のダンジョンでしょう。1つ1つのダンジョンが「自力マッピングしないズボラ(私の事だけど)は死ね」と言わんばかりのボリュームを誇り、かつ個々に趣向が凝らされております。
Nepheshel魔王物語物語等にハマッた、ダンジョンを見たら潜らずにはいられない人には、たまらない一品かと思います。
また「ザコ戦めんどくせー。んなもんいいからさっさとシナリオ見させろ!」という方へのフォローとして、メインシナリオのダンジョンはガイド付きという親切機能もあります。全体的にイベントもテンポ良くサクサク進むので、2周目以降イベントスキップなしでもストレスは殆どありませんでした。
もっとも、サブダンジョンでしっかり鍛えておかないと、メインシナリオ進めるのは厳しいんですけどね。Section5の某裂け目での戦闘は、最初見た時負けイベントかと思いましたし。

ダンジョンの造りに関しては、正直あまり丁寧とは言えない部分が散見されました。突破に一定以上の能力が必要なオブジェクトのある通路と迂回路の距離がほぼ同じだったり、ゲーム的な価値を持たせる事を露骨に放棄された無駄に広い空間があったり(特に建築物系のダンジョンで顕著)。マップチップも設定・配置が雑で、見た目が同じ地形でも、通行の可/不可が一貫しない箇所がありました。
中盤以降登場する「異形の空間」シリーズは、その辺の問題が特に顕著で、かつ理不尽な総当りを強いられる迷路マップです。このマップに関しては、名称通り異形さを狙った部分もあるかと思いますが、マニア向けのマップなので、入る前に必ずセーブしましょう。

歩行モデル、顔グラ、敵グラ等は全て自作。荒々しいタッチは人を選びますが、殺伐とした作品世界によくマッチしております。これでマルコのヒゲ濃度が5倍だったら8点でしたという冗談はさておき、前述のマップチップの問題の他、特に気になったのはアイテムオブジェクトの見づらさですかねー。色が薄い上に単色はひどいでしょ。北部の雪洞ダンジョンなどは「見えない壁があると思ったらアイテムだった」という現象に陥りがちです。

BGMは、戦闘BGMが地味すぎて逆に印象深かったですかね。使っている音が極端に少ないせいでしょうか。 また喚声のSEは、使用場面の狂気性を良く表していると思いますが、ノイズのようで人によっては聞き苦しいかもです。

2周まで一気にプレイできた本作ですが、上記の濃さ・粗さに加え、ツクール2000由来の不具合(一部のオブジェクトが、斜め移動で踏んだとき作動しない、メニューの表示情報が少ない等)も見られ、中々素直に好評価しにくい作品でした。発売から10年以上も愛され得るポテンシャル・扱いやすさを持ったツクール2000ですが、こういう完全自作の戦闘・メニューだと、拡張性の低さが足を引っ張るように感じます(ピクチャー50枚制限・文字ピクチャー表示機能無しは特に辛い)。
495氏もそうですが、現在も2000を使っているツクラーは、より高度複雑化した後発の開発ツールでもやっていける能力がある、むしろその方が作者の作りたいものを自由にできるのではないか‥‥そう思うのですが、ユーザーの我侭ですかねぇ。

 《 DECOすけ野郎 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9

戦って、戦って、戦って自由を得よ!

他の方、すげーやり込みまくっていますね・・・。俺はそこそこです。
まさか、イチオシになるとは思っていなかったので書きたいことはほぼ通常のレビューで書いてしまったという痛恨のミス。
一応、その後進めていき、書き足りないものを書き足した。今回はそういう感じです。

【ダンジョン探索】

探索する前に、まずは難易度(ダンジョンの名の隣にDifficulityとして表示)を見て行きましょう。

難易度は、主に「どれだけ長いか」「ボスがどれだけ強いか」などの基準によって分けられます。簡単な方から進めていきましょう。
なお、「ダンジョンのどこをどう進めばいいかシステム」をメニュー画面で選択することが可能なのですが(選択時には、矢印通りに進んでいけば大丈夫)、表示されるのはあくまでもメインシナリオのダンジョンのみ。
サブクエストのものは残念、自分で探せということです。

ダンジョンを脱出する方法やアイテムは無く、

他何も無い状態です。

共通して言えることは、ダンジョンに入る前に万全の準備をしておけ、ということですね。
アイテム欄を空けておく、回復アイテムなどを準備しておく、要らないアイテムは売却する。
ちゃんとやっておかないと、後悔することになります。

【アイテム欄を拡張する方法】

これは、とても大事なサブイベントなので、必ずやっておきましょう。
ゲームを進める上で、とても楽になります。

とある海沿いの街で、「侵入者を皆殺しにする謎の館がある」という噂を聞き、そこへ出向きます。
そして、そこにいる人を助けだしてあげましょう。
館の庭主は、倒してもすぐに追いかけてくるので、鍵やアイテムを入手したらとっとと出ましょう。
もう一度街に戻り、助けだした人が「カバンを拡張してやろうか」と言ってきます。
このイベントでは、AGIの値が30を超えていればいいことがあるのですが、自分はそこをおろそかにしていたために、お金を払わないといけなかった・・・。
カバン拡張イベントは何故重要なのかというと、初期の道具欄2つではあまりにも少なすぎてすぐに埋まってしまうからなんですね。
このゲームでは不要な道具を預けることなどは出来ないですから。

ちなみに、もう一度その館に行くと特殊イベントがあります。
鍵を返せばすぐにイベントが終わります。ですが、そこでしか手に入らないアイテムを二度と手に入れることが出来ません。
鍵を返さない場合は、敵対宣言をされ、一応アイテムを入手することが出来るのですがかなりパワーアップした状態で襲ってきます。
万全の状態で挑みましょう。

【1周目クリアまでの道筋】

憎い王をぶっ殺そうにも、まずは力をつけないといけません。
メインシナリオ、サブシナリオをともかくこなしていきましょう。
レベルアップや、能力振り当てはきっちりやっておきましょう。
(1周目は主人公のみ)

メインシナリオは、実はというと短いです。
基本的に、1・2シナリオで1章という短さになっています。
ただ、やはり王は強いですし、お金がいろいろと必要になるのでサブシナリオをいろいろやっていくことがクリアへの道筋となっていくでしょう。
(作業的になってしまいがちなのが、特性なのでしょうがない所もありますが)

ここの能力振り当てというのがとても大事になってきます。
何故なら、各種イベントで「(能力値)が(特定の数値以上)あれば得に進める」
「交渉で有利になる」「開かないドアを開けることが出来る」ということがあるからです。

王をぶっ殺すにも、方法が2つあります。
・アンダス城で殺す
(8章までは、王の兵団→守護者→王の順番で戦う)
・「王の居場所」で殺す
(9章でないと不可能。戦うのは王のみ)

どちらにしよ、守護者や王はチート級の強さなので十分に備えていないとすぐに返り討ちにされます。
王は、某イベントで弱体化するのですが、そのイベントも分かりづらい(初周だとなおさら)ので、オススメとしては「王の居場所」で倒すことにしましょう。

クリア時間は13時間51分。お疲れ様でした。
いやあ、ゲームをやっていて、これほど嬉しく感じたのは久しぶりですわ。俺はやったぞ!
王を倒し、世界に秩序と平和が戻ってきた・・・しかし、何故か釈然としないエンディング。
実は、エピローグは2周目でないと見ることが出来ないのです!
そうだったのか。

【2周目以降】

さて、1周目が終わると引き継ぎ画面が出てきます。
ここでの引き継ぎというのは、非常に大事です。
なぜなら、ここで選択したことは(もう1周終わるまで)変えられないからです。
ノーマルでクリアした場合にアイテムが貰えるのですが、ハード・マスターでクリアした場合には別のアイテムが貰えるのでここは難易度を上げておいた方がいいかもしれません。

ただ、ハード・マスターはかなり厳しい内容になっているので、
(例:エンカウント率をゼロにすることが不可、戦闘難易度をイージーにすることが不可)
より戦略的な戦いを要求されるわけですね。
戦闘難易度も変えられますが、あまり上げ過ぎない方がいいでしょう。
(報酬や経験値はあがりますが、敵が強くなる)

2周目以降でしかないと出ないダンジョンもありますし、1周目でのイベントの選択肢で違うものを選ぶのも良し、やっていないイベントをこなしていくのも良し。
ともかく、2周目以降もやりごたえがあるゲームです。

【総評】

ハマリ度 : 9 / 10
海外のゲームっぽいものを作りたかった、ということから難易度・シナリオ・ゲームシステムそのものはそれに近い感じです。
これは合わない人は合わないなー、と思いつつ進めていきました。ダンジョンも豊富で飽きさせなかったですし。
ただ、2周目以降進めるのが辛いね・・・。うん。
どうしても、作業的になってしまうというか。

そして、見た目以上にかなり敵の攻撃が厳しい(特に戦闘難易度を上げた場合)ので、油断をするとすぐに全滅してしまうわけですね。
ゲームバランスは厳しい方、だと言ってもいいでしょう。
こういう箇所でついていけない人には、評価が厳しいものになるかもしれないです。

前作Legend of Oyajiに比べると、シナリオのカオスさは軽減されてはいますが、シリアスなファンタジーの中にも笑いあり、涙あり、怒りあり、残虐あり・・・といった495節が炸裂しまくっています。
ウマが合うか、合わないかに結構ウェイトがかかっていると言っても過言ではないでしょう。

グラフィック : 9 / 10
街のグラフィックは最小限に、ダンジョンのものは数多く、というのはThe Legend of Oyajiから共通していますが、今作でもそれは発揮されているといってもいいと思います。
そして、ポイントなのがどこにでもある死体!死体の無いダンジョンは無い、といってもいいくらいに死体があります。非常に殺伐とした雰囲気を醸し出しています。

サウンド: 9 / 10
比較的暗い音楽が多かったように感じられた前作に比べて、戦闘曲・ダンジョン曲などはアップテンポのものが多いです。自作ではないですが、適材適所でよく使っている印象を受けました。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9

足踏みしてるだけじゃ進まない

 現在3週目突入、プレイ時間40時間といったところ。
 2週目のエンディングではかなり迷いました。「これ3週目入ったら、イチオシまでに3週目はクリアできないな」って。
 でも結局3週目に突入しちゃったわけで……これは止めるに止められなくなっちゃいましたね。

 なにせまだ全然コンプリートはしてないので、本作の全貌を語ることはまだ無理なんです。
 が、この作品のどこに魅力を感じたか、ボクのプレイを振り返ってまとめることはできそうです。

◆1週目: サブイベントだけこなしていたら、いつの間にか王様倒しちゃった!

 チュートリアルが終わって初見だと、まず仲間を誰にしようか迷うんですが。
 初回プレイでは、なんとなく他の大陸のキャラの方が強そうだったので、グラディスと少年をパートナーにしました。

 で、ちょっとメインシナリオを進めたら、レジスタンスと直接戦う流れになったんで、なんとなくヤだなー、と思って。
 王を打倒しようという同志なんですから、仲良くしておきたいじゃないですか。

 だもんで、メインシナリオはほったらかしにして、ひたすらサブクエストを進めたんです。
 そうしたらまー、面白いようにレベルが上がる上がる。装備もどんどん手に入る。
 探索すればするほど新しいダンジョンが開放され、レベル設定もちょうどいい具合で次々と攻略できる。
 こういう成長していく喜びってのは、ジャンルを問わずゲームの楽しさの1つですよね。

 そのうちアイテム欄がアイテムだらけになって
「ちょっとぉ! アイテム欄狭すぎじゃないのぉ!」
と思っていたら、たまたまいいタイミングで見つけちゃったアイテム欄拡張イベント。
 普通はメインシナリオを進めないとなかなか見つからないらしいんですが、ラッキーでした。
 報酬をどんどんアイテム欄拡張に注ぎ込み、アイテム収集がさらにはかどるはかどる。

 そうこうしているうちに、レベル50になっちゃいました。
 試しに、ツンツンって王様の肩を叩いてみたら、なんかすっごく痛がっちゃって。
 近衛兵が詰め寄ってくるわ、トカゲが噛みつくわ、色々大騒ぎになりました。
 けど、難度Normalではどいつもこいつも、このレベルに到達したパーティの敵ではありませんでしたね。
 あっけなく王様をぶちのめして世界を平和にしちゃいましたーイエイ☆ 称号No.6達成だぜ。

 あれ? なんか世界亡んだんですけど。
 え? どういうこと?

 ま、そんなうまい話ないですよねー。
 ちゃんとメインシナリオも進めなきゃダメだよね、ということで2週目へ。

◆2週目: あまりに人間くさい神々

 レベルはいったん初期に戻し、難度はNormalのままで2週目突入。
 少年のイベントはコンプしたので、代わりにヘンスを編入。これで1週目開けられなかった扉もどんどん開けられます。
 レベルは戻っても、装備はしっかり引き継いでいるので、1週目よりもさらにサクサクと攻略を進めます。

 で、だいたい1週目と同じくらいまでサブクエをクリアしてから、メインシナリオを開始。
 驚きの世界の真相が! ……と言うほどでもないんですけどね。おおよそ1週目で想定していたとおりで。
 メインシナリオ固有のダンジョンはわずかに2~3個、ボス戦はキツいので、自ずとサブクエで稼ぎが必須になってます。

 でもね、メインシナリオは面白かったですよ。
 メインシナリオの主役と言えるのが3大守護獣、かつて世界を守っていた「神々」です。
 その神様たちが、妙に人間くさいんですよ。極端なキャラ付けではなく、「こんなヤツ居るよなあ」と思わせる連中で。
 ペドのスディーニも、ノイローゼのストリウスも、そして任侠のエリンも、どこか親近感の湧く、憎めないやつらです。
 人格がない、非人間と言われるアラドリスでさえ、なんだか妙に人間くさいことを言ったりやったりする。

 ……まあ、少年が口を極めて悪く言うのもわかります。
 こんなやつらに支配され、生殺与奪を握られてるなんて、そこの住民とすればたまったもんじゃありませんからね。
 色々と問題のある連中ではあるけど、でも彼らが完璧な存在でなかったことが世界滅亡の理由、とは言えません。
 むしろ、こんな世界でよくウン百年も保たせたものだと思いますよ。そもそも……
 や、これ以上いつものようにキャラ語りを書き殴ると、全部ネタバレになっちゃうんで割愛です。残念ながら。

 もちろん、仲間キャラもなかなかいい味のあるキャラばかりですよ。
 行きずりの町の人たちも、人間ボスのクズどもも、どうにも人間くさいやつらばかりで。
 主人公は、その中で一番人間離れしていると言っていいですが、選択肢から垣間見える性格はなかなかにゲスい。
 母親から「お前にも人並みの野望があったんだな」などと言われてますが、お前どんだけ良い子ちゃんぶってたんだよ、と。

 で、メインシナリオは一通りこなして、今度こそ王様ぶっ潰して世界平和だ!
 ……となれば良かったんですが。
 まだやり残したサブイベントが残っていたり、心残りがいろいろとあったんです。
 なので、違約金を払って第一線から退くことにしました。

 かくして主人公は、世界平和は他の人に任せて悠々自適、親子水入らずの生活に戻りましたとサ。
 めでたし、めでたし。

◆3週目: 次々と現れる新たな隠し要素

 そしてボクの方は、とうとう3週目に突入してしまいました。やっちゃったね。
 レベル維持、難度はNormalのまま戦闘レベルだけ5に上げて引き継ぎ完了。
 現在マルコと隠しキャラを引き連れランク上げ中です。メーガーネ! メーガーネ!
 おまけイベントも全て見て、さらなる世界の真相を暴いていきたいところです。どうせロクな真相じゃないだろうけど。

 ヤリコミ要素の見せ方・隠し方がうまいと思うんですよねー。
 そのせいで、クリアしても必ず1つ2つ心残りが残るようにできてる。
 結構厳しい条件の時限イベントも多いのですが、どこかしら気づかされるフラグがあるので「次こそは!」と思ってしまう。
 これもメインシナリオの進行とレベル上げが完全に独立していて、プレイヤーの自由に調整できる仕様だからこそ成立する話です。

 まだプレイしていない方も、どうぞご安心を。
 クリアするだけだったら、出現するダンジョンやサブイベントをひとつずつ、推奨レベル順に攻略していけばクリアできます。
 一回クリアしただけではまだ、そんなに奥深い作品だとは気づかないかも知れませんが、それでいいんです。
 自由度が高すぎると、何をしていいのかわからず結局投げ出してしまうことも多い、ボクのようなプレイヤーでも心配要りません。
 余分な情報に惑わされず、まずは順々にプレイしていってください。
 そのうち、この作品の奥へ奥へ、正直ロクなもんじゃないこの世界に、引きずり込まれていくことでしょうから。

ハマリ度 : 8 / 10
 ダンジョンの迷いやすさは残念なポイント。長い上に何もない行き止まりが多く、エンカウント率も高めなのでストレスが溜まる。
 高めのエンカウント率と、百分率表記のためいまいち実感の薄い経験値が相まって、特に終盤、ザコを楽々倒せるようになると戦闘が作業になりがち。その点、自作戦闘で自動戦闘を導入しているのはとてもありがたい。戦闘1つ1つに緊迫感を持ちたいなら、戦闘難度を上げるといいでしょう。
グラフィック : 8 / 10
 美麗という言葉からは遠く離れたグラフィック、誤解を恐れずに言えば「薄汚い」。その薄汚さが本作にはこの上なくマッチしている。
 ただ、特に戦闘画面は、暗い背景に黒い魔物という構成が続き、見づらいことも多かった。
サウンド : 9 / 10
 長く聞くザコ戦「Struggle all the time」の耳障りの良さが絶妙。ダンジョンや町の曲も、書き下ろし・素材ともによくまとまっている。
 戦闘曲は全体的に出来がいいが、欲を言えば「Battle with mystic」のもう一段階上、ラストバトルにふさわしい締めくくりの曲があるとなお良かった。

 最後に、やはり一言申し述べておきます。
 「心をえぐる 嫌なファンタジー」という作者さんのつけたキャッチコピーこそ、本作を一番邪魔している要素だと。
 心をえぐることだけを考え、嫌がらせだけに特化したRPGも珍しくないですが、そうしたRPGの客層と本作は、根本的にズレてるんですよ。
 むしろ本作は、少々説明不足なことを除けば非常に親切な設計、ストーリーこそ斜に構えたところはありますが、メタフィクション的なファンタジーという、フリーゲームではありふれたものです。
 ダークな部分は確かにありますが、それは本作の中心的課題ではない、とボクは断言しますね。
 むしろ作者さんが言うには、フリーシナリオ風に、自由に遊べるように気を配って作ったらしいのですが、そのプレイヤーが自由に捉える部分が、このキャッチフレーズのせいで狭まっているとしたら本当に残念なことです。

 作品を作る人と作品を売り込む人は、やはり役割が違うのだと思うのです。
 作者が考える作品と、プレイヤーの捉える作品は違っているし、違っていて当然です。
 フリーゲームは、作者とプレイヤーの間に挟まるものが何もないところに魅力があるのですが、不幸なすれ違いも得てして起こりやすいもの。
 できればそのすれ違いが不幸なものにならないように、あわよくばより実り豊かなものになればいいのに、とレビュワー末席としては思うのです。

 ……ボクがつけるとしたら?
 「ロクでもない人間によるファンタジー世界」……かな。

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