■ コレクトレット
作者 [ 風波パラ さま ] ジャンル [ 経営SLG+探索RPG ] 容量・圧縮形式 [ 220MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元
- (補足)
- 2023.06.28:ゲームアツマールのサービス終了に伴い、リンクを変更。
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 8 /10 8 /10 8 /10 47/60 赤松弥太郎 7 /10 8 /10 8 /10
経営は日進月歩。ただし、歩みを止めるな。
今回のイチオシ「コレクトレット」は、便宜上経営シミュレーションに分類していますが、RPG面も重要な位置を占める作品です。ただし、SLGとRPGの割合となると、明確な答えを出せない作品でもあります。
ゲーム内の重要性としては、SLGとRPGで半々というところですが、ストーリー上のフラグは圧倒的にRPGシーンの方が多いのです。一定日数経過時に湧き出す「各階層のボス」を倒すためには、RPGシーンで戦い、RPGシーンでコレット達のレベルを上げる必要があります。
ただし、各階層のボスは「出現から更に一定日数が経つと、他の冒険者が倒してくれる」仕様になっています。RPGシーンとなる「探索」「ボス」を一切実行せず、経営シーンだけに集中しても、ストーリークリアは可能なのです。
その分、RPGシーンの報酬は経営シーンでは手に入らない物ばかりです。経営シーンだけだとなかなか手に入らない魔法の武具を作るための素材や「アダマンタイト」などの高級素材は、コレット達自ら危険と立ち向かえば序盤から手に入る素材なのです。また、コレット達のレベルもRPGシーンの戦闘でしか上昇しません。「戦闘」レベルなのですから、経営シーンで成長するわけがないのです。
それならば、経営シーンは重要ではないのか? いいえ、重要にして必須です。1つは資金稼ぎのため、1つは装備を整えるため、そして重大な1つはお客様の「総合力」を高めるために。
経営シーンで一番重要なのは、お客様の「総合力」を高めることなのです。総合力を高めれば、高い装備を売却して資金力が高まりますし、強力なレア装備を持ち込んでくれることでコレット達の実力も高まります。そして、ボス戦での助力も強力になります。本作の各種システムは1つ1つが繋がりながら成り立っています。客を育てれば資金を稼ぎやすくなり、資金で施設を強化すれば新しい素材がより多く手に入り、新しい素材で装備を作ってコレット達やお客様の強化…。色々な展開が待ち受けています。
ただ、問題はその多数のシーンを扱うのが、RPGツクールMVのデフォルト画面だということです。正直言って、RPGツクールのデフォルトの売買画面は、大量のアイテムを扱う「コレクトレット」の経営シーンで使うには不便さが目立ちます。
アイテムのソート・絞り込み機能が無いため、作成画面の上部にある「グローブ」と「盾」ばっかり作りがちです。お客様に売るだけなら、装備の種類は問わずに「総合力×一定倍率(一定倍率はネタバレに当たるため、ゲーム内チュートリアルで見てください)」で良いのですが、コレット達に装備させるとなると、装備の種類は大きな問題となります。
同じ素材の装備でも、種類によって上がるステータスや追加効果が大きく変わるのです。同じ体装備でも鎧はHP・DEF(物理防御力)中心で、ローブはREG(魔法防御力)が大きく上がります。各キャラのステータス傾向に合わせて、装備させる武具の選択が必要になるのです。
また、スキルによっても装備の選択は重要になります。ティアル以外の3人は、正直言って魔法の腕前は低く、魔力で効果の変わらない回復・強化魔法か、武器技を覚えることになります。問題は、武器技は装備する武器に合わせないと使えない点。しかも武器の種類は、グローブ・爪・短剣・長剣・大剣・刀・斧・メイス・鞭・槍・杖・弓矢・鎌・銃の14種類。意地悪なまでに豊富です。
まあ、「コレット達に装備させる武器はお客様が持ち込んだレア装備」「全員が全スキルを覚えられる」「スキルの購入費は一律2,000Gと安価」という点から、「装備に合わせてスキルを覚える」のが安牌となります。
また、「FDボックス」を購入しない限り、売却用の装備とパーティ用の装備を区分けできない点にもご注意を。お客様が持ち込んだレア装備もまた、別のお客様に売却できるのです。
本作もRPGツクール作品の例に漏れず、単純なステータス上昇値よりも属性や状態異常の耐性が重要になります。特定属性が強力なボスに対し、その属性の耐性を持つ装備を確保しておけば戦闘が楽になります。そういう武器はお客様にうっかり売り渡さないようにFDボックスに保存しておきましょう。経営シーンで注意すべきもう一つの点は、「購入する」コマンドの使い方です。「お客様が持ち込んだレア装備を買い取る」時のみに使用するコマンドと思われがちですが、実はもう一つ重要な使い方があります。「売却しすぎて、このままだと売買が不成立となる」際のキャンセルとしての使い方です。「購入する」画面には、「売却する」で売りつけた装備品も表示されます。それを「購入」することだけが、売却額を減らす方法なのです。
売却額を減らす方法、実はチュートリアルで何一つ説明してくれません。自分で気づく以外、売却額がボーダーを越えて売買不成立となるのを指をくわえてみていることしかできないのです。
また、お客様が装備品を売りに来た場合、売却額の限度は「買取額+(総合力×一定倍率)」なのか「変わらず(総合力×一定倍率)=購入した分だけ売却限度は減る」なのかも説明してくれません。本作は(タイムアタックをする場合)売買不成立のペナルティが厳しいので、私は(売却額+購入額)が総合力ボーダーラインに収まるようにして攻略していました。
このように、本作にはかなりの初見殺し…というか、分かりづらい点が多くあります。エンディングを見るだけなら日数制限はありませんが、「より良いエンディング」を見るとなると途端にこの分かりづらいシステムが妨害してきます。売買不成立によるペナルティ、レベル不足・耐性不足による全滅、様々な危険性が本作には眠っています。
そのためにも、ゲーム内で提示している情報は、余すところなく把握してください。購入ボーダーラインの「総合力にかかる一定倍率」も、意地を張らずに閲覧してください。本作の売買不成立は、「次に来店するまでお客様の総合力が上がらない」「資金が手に入らない」という最初の一歩が崩壊する、とんでもなく重いペナルティなのです。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:7 グラフィック:8 サウンド:8
If you can hear behind me now, it's what they call blue death.
本作はクリアするだけなら誰でもできます。
維持費がマイナスになれば破産することもないし、戦闘しなければ全滅することもありません。
こうなれば、戦闘は他の人に任せ、自分たちはぬくぬくと装備を売り捌いて暮らそう……というのが、当初のコレットの目論見だったはずです。
しかしそのプレイスタイル、実際やると全っ然面白くないので論外なんですよ。
店舗経営はかなり早い段階で頭打ち感が出てしまい、それだけやっているのは退屈になってきます。
なので、暇つぶしがてら洞窟に潜ってみる。ボスに挑んでみる。
ところが、ボスは状態異常も攻撃も激しいし、洞窟に潜ってもなかなかレベルは上がらないし……初見では戸惑うこと必至です。
楽しもうとすると途端に難しくなるのが、本作の興味深い特徴ですね。
ただまあ、カラクリに気付いてしまえば、そんなに複雑な答えではないのですが。
突き詰めれば、だいたい誰でもこれから書く攻略法に行き着くと思います。
レビューの前提でもあるので、ボクのプレイスタイル、すなわち1週目40日で4ボス全部4人で倒すプランを書いていきます。
攻略情報として、詰まってしまう方の参考にもなるようにしますので、どうしても突破口が見つからない方はネタバレ表示してください。
40日でAエンドを迎えておくと、エンディング後の実績ボーナスでかなり楽になるので、狙っておくに越したことはありません。
この実績を取るチャンスは1周回に1回だけですし、そうそう手軽に2週目に入れないようになっているので、1週目で目指すといいと思います。
一度クリアすれば、期限に追われることもありません。
あとはひたすらレベルを上げたり、メチャクチャな強敵に挑戦したり、持ち込み品を収集して実績を稼いだり、2週目に突入して、取りこぼした実績を取りに行ったり。
楽しいのは楽しいのですが、アツマールに似た傾向のゲームはいくらでもあるんですよね。
本作の特筆性は、経営SLGとRPGを掛け合わせるというコンセプトにあります。
その観点で見ると、評点は、やはり辛くなっちゃいますかねぇ。
- ハマリ度 : 7 / 10
- ストーリー、そしてなかなかステータスが上がらない本来のバランスを見るに、当初はより経営SLGに主軸を置きたかったのではないか。
しかし、RPGが主軸の現状では、主人公の非力設定や成長の悪さが、単純にストレス要素でしかなくなってしまっている。
これを解消するために、経験値9倍という極端な方法を容認している、とすれば、とても不十分であるとは言え、ゲームを活かすための措置として理解はできる。
経緯はどうあれ、このバランスは単純に初見殺しなだけで、最初から経験値設定を上げておけば問題なかったのに、という指摘は免れない。
2週目の条件も初見殺しだったり、最初の周回では引き継げるものがほとんど無かったりと、俺TUEEEを避ける方向性がはっきり見て取れる。
それ自体は問題ないのだが、結局はステータス上げや実績解放に楽しみが集中しているため、出し渋りに見えてしまうのが問題。
- グラフィック : 8 / 10
- とても見慣れたゆうひな素材。MVにキャラグラの解像度が合っていないのは仕方ない。絵師募集中ですって。
UIやマップデザインには大きな不満は無いが、来店者の名前は売買画面のどこかに書いてほしかった。- サウンド : 8 / 10
- これぞ、というものは無いにしろ、安定感のある選曲。店舗BGMはランダムだが、固定できるオプションもある。
自由選曲があれば、なお良かった。RPGと経営SLGというのは、割と既視感のある組み合わせですが、さじ加減によってずいぶんプレイ感が変わってきます。
迷走していると思える部分もありましたが、本作もそうした可能性のひとつを、見せてくれたと思います。