■ DAY:0
作者 [ PANO さま ] ジャンル [ タワーディフェンス ] 容量・圧縮形式 [ 160MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元
- (補足)
- 2020.10.11:現時点の最新バージョンは1.059です。
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 9 /10 9 /10 9 /10 53/60 赤松弥太郎 9 /10 8 /10 9 /10
戦いながら、世界を探れ。
「DAY:0」は、とにかく「情報を見失う」展開が長所でも短所でもあるゲームです。
本作、起動直後のゲームスピードが「はやい」に設定されており、そのまま進めるとちょっと目を離した隙にユニットが死んだり、レア敵を見逃したり、慣れてない人間には不都合な場面が頻発します。ただし、ゲームスピードはゲーム画面右隅の矢印をクリック、またはキーボードのTで調整できます。その左にある一時停止ボタン(スペースキー)で時間が止まっている最中にもユニットを動かせます。レア敵を見逃した場合の致命度が高い高難易度の場合、ゲームスピードを下げたり一時停止を駆使してのプレイを推奨します。
そして、ゲームスピードの速さ以上に本作で混乱するのは、「ゲーム中は情報を取得しにくい」という点です。本作のユニット一人一人が持つパラメータは以下の通り。
- ステータス(HP, 攻撃, 防御, 速度)
- レベル
- 射程 (ユニットの周りにある円)
- 位置
- ゲーム中に装備するアイテム
- 踏んでいる地形の効果
- パッシブスキル (常時発動)
- アクティブスキル (ユニット下部の緑ゲージ満タン時に発動)
- 事前に装備したカード
この中で、スキル・カードの情報はゲーム中には表示されません。また、アイテムの効果や地形効果も、ゲーム中では下部のメッセージ欄に簡単な説明が出るのみです。本作の速いゲーム展開では普通に見逃しがちです。
これら、ゲーム中に確認しにくい情報は、ゲーム終了後に見る他ありません。タイトル画面にあるITEM(アイテム情報), OUTER(敵情報), ソウル編成から、ゲーム中にドロップするアイテム、襲い掛かるモンスターの特徴、編成時に設定する地形・カード・ユニットスキルの効果を参照できるのです。
特に、「アイテムの効果を拾ったときに確認しにくい」仕様は、かなりの初見殺しとなります。「あまりステータスが増えないから捨てたアイテムが、実は『自動回復』や『死亡時発動』などの強力な効果があるアイテムだった」という悲劇が発生するのです。大体のレアリティはアイテムの背景色で判別できますが、詳細な効果はポーズで止めてからメッセージ欄で確認するか、一度拾った後にゲームオーバーとなり、ITEMに追加された情報を見るかとなります。
また、ゲームオーバー後には、OUTERでの敵情報の確認も忘れないようにしましょう。敵ユニットのステータス・ドロップアイテム・おおよその攻撃スキルが記載されている、次のプレイにとても役立つ情報なのです。残念ながら、撃破しないとOUTERには掲載されないため、ゲームオーバーにさせられた敵の情報は参照できません。それでも、「ギリギリでクリアした敵」が「余裕で対策できる敵」に変わるのは、長丁場となる「DAY:0」には大きなアドバンテージとなります。
本作は、「多様性を組み合わせて『最強』を作る」楽しさを目指した作品です。戦術の要となるユニットはどれも一長一短が極端で、長所をなるべく生かした運用が求められます。カード・地形・アイテムで長所を伸ばし、短所を別のユニットで保護し、世界の救済を目指しましょう。
そして、外界のものが世界を襲う理由・世界を救った後のストーリーも、ゲーム中には表示されません。これらストーリーについても、OUTERやソウルの情報から考察していく楽しさがあります。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:9
終わらない未来のために 同じ夢描くために
キャラ解説やりますよ!
本作は慣れていれば、初期のカード1枚でもHARDモードをクリアできる程度にバランス良好です。チュートリアルもあります。
それでもちょっととっつきづらいのは、初見だとキャラ性能がよくわからないからです。
編成画面で読める説明は、妄想をかき立てるには十分ですが、実際の運用はこれを読んだだけではピンと来ないはずです。
「おためし」もできますけど、カカシを撃っているだけでは、実戦での使い勝手や打たれ強さ、戦力バランスなどはそうそうわかりません。
それなのに、連れて行けるメンバーは5人だけ。これは迷いますって。
HARDモードはクリアできたボクの視点で、12人のメンバーの中からお気に入りを紹介していきましょう。
まあ、最初はいきなりHARDモードなどと欲張らず、カードが入手できるパーティ3種をEASYで慣らし運転していくのがいいと思います。
どちらかというと、プレイ前の方とか、初っ端で躓いた方向けに書いていきます。
メンバーについては最初から全員開放されているので、ネタバレの心配もないでしょうし、ね。
慣れない内は特に編成推奨。
慣れれば編成しなくていいとは書いてない。
それだけ彼のパッシブスキル、「星の加護」が優秀なんですよ。
最序盤に1人多い人数で戦えるのはもちろんのこと、一番ありがたみを感じるのがステージ2に突入するあたり。
アインスなしだと、ステージ1のボスまではリーダー + 3人顕現くらいまでがギリギリで、5人全員が揃うのはステージ2の半ばくらい、というペース配分です。
これがアインスありだと、ステージ1のボスで5人全員揃う目が出てきます。
顕現にかかるコストは、人数が増える毎に増加していき、5人目は2100ものソウルが必要になります。
それがまるまる浮くのですから、トータルコストの削減にも貢献します。
顕現コストを半減するカード「空」には引けを取りますが、ほぼカード一枚分の効果と考えれば、これは十分強いです。
もちろん、本体性能も強力です。
ディフェンダーとしてはHPが低めですが、DEFが12人中最高で、序盤のザコはシャットアウトできます。
アクティブスキルの「ドラゴンズロア」は全体にATK・SPD・射程のバフ効果があり、ほとんどのキャラとマッチするのも売りの一つ。
世界が滅んでもなお造物主を待ち続ける彼の心情を思うと、フィフティと組ませて「お待ち申し上げておりました」と言わせてあげたいところですが、こだわる必要はありません。
フィフティが性能的にだいぶ器用貧乏なので、正直組ませてもうま味が少ないというか……。
防御偏重なので、敵の攻撃力が上がると見劣りする、くらいしか難点が思いつきません。
HARDモードクリアまで、長く使いました。
それより上のモードだと、ちょっと力不足を感じる、かもしれません。
フィフティじゃなければリーダーは誰にするのか、という話。ボクはゼクスに任せました。
オールラウンダーに分類されていますが、ぱっと見で最高レベルのステータスの持ち主です。
なにせ、ディフェンダーを差し置いてHPが全キャラ最高です。
ATKやSPDは本職アタッカーに見劣りする、かと思いきや、防御貫通属性つきなので、額面以上の数字を叩き出します。
さすがに全生命の父、どこぞの器用貧乏造物主とは違います。
パッシブスキルは、ソウル獲得量の増加という、地味ながら重要なスキル。
本作は、何につけてもソウルがものを言うゲームです。
顕現でのソウルの重要性は先程述べたとおり。レベルアップにもソウルが必要です。
レベルアップで劇的に性能が向上するユニットは多数ありますし、レベルアップ時にHP全快、戦闘不能からも復帰という、回復手段としても使えることも覚えておきましょう。
なんのブーストも付けずに進めると、ラスボス前にレベル5のキャラを1人作るのがやっとです。少しでもソウルは稼ぎたいところです。
これでアクティブスキルに強力な攻撃技でもあれば、紛う方無きアタッカーだったのでしょうが。
使いづらく、半端なアクティブスキルがゼクスの難点です。
召喚する生命体について、キャラ選択画面だとえらくざっくり書いてありますが、ゲーム中にポーズをかけるともう少し詳しい説明が読めます。
黒くて目つきの悪い方は、反撃専門。盾代わりに射線に置いておきましょう。
緑で目つきが丸い方は、回復専門。割と広い範囲に届きます。
ただし、所詮は即席の召喚生命です。期待はできません。
回復役は打たれ弱く、敵の攻撃を集めやすいため、瞬く間に死にます。反撃専門と言っても、目に見えるダメージを与えられるわけではありません。
とはいえ、単純に人数が増えることが有利になる局面も、無くもありません。
定期的に上から降ってくる、とうぞくとか、マテリアルシェードやソウルシェード(土とか水のかたまりみたいなヤツ)の足止め等々に使ってみるのはどうでしょうか。
やはり余技では無く、本職のヒーラーが必要です。
ヒーラーは2人いますが、使い勝手の点ではジーヴェに軍配が上がるでしょう。
攻撃力も耐久力もそこそこあるので、「前衛に置ける」と書いてあります。が、実際に前衛に置くことは、あまり無いでしょう。
彼のアクティブスキル「サンクチュアリ」は、周囲9マスへの回復マス設置だからです。
よいかジーヴェ。我々はインペリアルクロスという陣形で戦う。
さらに重要なのが、3行目に書いてあるこの1文。
この治療効果はダメージ床を無効化する。
わざわざ書いてあるということは、はい、終盤で出てきます、強制的にダメージ床を設置してくるボスが。
床を設置してくるだけならまだいいんです。こちらも置き直せば無効化できます。
問題は、床にダメージ属性を付与してくるタイプの技能です。
これを使われると、床を設置し直しても無効化できません。ジーヴェじゃないと上書きできないんですよ。
陣形を強制的に乱される厄介な技ですが、無視して戦えるだけで安定感が変わってきます。
HARDモードまでなら十二分の性能ですが。
HARDモードより先だと、回復しても焼け石に水になってくるので、無敵付与のジェニーが欲しくなってきます。
ダブルヒーラーというのもアリか。そうなのか?
こうして見ると、初期5人パーティの間違いのなさが、かなりハッキリしますね。
フィフティがリーダー固定というマイナスがある割に器用貧乏過ぎるところとか、鳥が火力も防御も貧弱すぎて泣けるところ、くらいか。
初期射程が長いから初心者にはわかりやすい、というのはあるとして、正直あれ、使い途ある?
彼に代わるアタッカーというと、やっぱり彼女でしょう。
トレジャーハンターは高火力。防御無視で9999ダメージ8連発くらいしないとノットトレジャーハンターと言われる、厳しい世界なのです。
しかるにイーバーは当然、ATKが12人中最高です。
防御貫通属性も当然完備しています。
付属品である装備なもなきつるぎを装備すると、さらなるダメージが期待できます。
アイテムドロップ率上昇も、全員分の装備を揃えるのが早まる、とても強力なパッシブスキルです。
さすがにカード「侵略」やスペル「リゲイン」には及びませんが、この性能で持つには十分に過ぎるスキルと言えましょう。
アクティブスキルの「ポーション投げ」も余技としては十二分。回復がさらに厚くできます。レベルを上げるとエリクシール投げに進化します。
弱点がものすごくハッキリしているのも、わかりやすくて結構。
打たれ弱さは、まあいい。鳥よりマシならなんとかしましょう。
射程の短さが大問題。これのせいで、最前線に放り込むしかなくなり、あっという間に溶けてしまいます。
もう少し射程があれば、取り回しも楽になるし、弱点がだいたい消えるんだけどなー。
……そういうときこそ、カードの出番じゃありませんか?
「知識」のカードで射程+20すれば、他のキャラとだいたい互角の射程になります。このシナジーはすごく強烈です。
気になる取得条件は、実戦でレベル5のキャラを1人でも作ること、ですが……上述の通り、アインスとゼクスがいればイケるイケる、イケるって!
聖剣だか魔剣だかよくわからない「なもなきつるぎ」、イーバーが遺跡から発掘したとのこと。
アイテム欄で「隠された力がある」という、非常に妄想力をかき立てる説明があります。気分としてはイーバーに持たせたくなります。
「隠された力」の詳細は、クリア後に解禁されるアイテム一覧に譲るとしますが、射程+10の他、確かにイーバーの弱点を補う効果があります。
ただし、専用装備じゃありません。イーバーが装備した時だけ発揮する効果とかはありません。
そりゃまあ、イーバーは単に発掘しただけですからね。勇者でもないのになまいきだ、ということ。
通常クリアの段階で、ここまで戦力が揃っていれば、最後の1人は、だいぶ趣味が入ってくるところでしょう。
先程言ったダブルヒーラーというのも悪くないし、別にフィフティだって構わない。
ボクも色々試した上で、好きになったのはこの人。
【上級者向け】と書いてあると、ちょっと身構えてしまいますが。
しかし実際に使ってみた感じ、言うほど上級者向けか? と思ってまして。
説明は面倒ですが、使うと割とわかりやすい性能じゃないかな。
盾役としては、ヘイト集めを持っているくせに、耐久力は他の盾役より低く、気をつけないとすぐ死にます。
真っ当な盾役としての運用よりも、売りにするのはやはり、敵に対するデバフ効果でしょう。
デバフは掛かるとすごく強力です。目に見えて脅威度が下がります。
通常攻撃は射程が短く、相手によってはなかなか届かないのですが、反撃の方は無限射程なので、SPDはどんどん落ちます。
アクティブスキルの「星雲信仰」も、説明の字面が面倒くさいのですが、平たく言えばダメージの平均化 + 全体回復です。
基本、ダメージを食らいがちなのは前衛ですから、前衛のダメージを後衛が肩代わりする、と考えれば、平均化も悪いことじゃありません。
さらに、攻撃を受けるほどスキルチャージされるので、回転率を他キャラより早くできるのもアピールポイント。
射程を伸ばすアイテムと相性が良いのですが、スキル発動時に効果が出るアイテムなどを装備させても面白いでしょう。
ボスの高火力に晒されると、本領を見せること無く沈んでしまうのですが、それでも湧いてくるザコの対応は可能です。
低火力の攻撃を数多く受けた方が良いので、側面などに配置しておくといい感じ。
どう足掻いても主力にはなれない性能ではあります。やっぱり5人目のポジション、ということになるでしょう。
以上、まだHARDモードまでしかクリアしていないので、通り一遍の解説でした。
HARDモードクリア後の隠し難易度とか、EXTRAモードとか、まだよくわかってません。戦略がまったく変わってくる可能性は高いです。
キャラの組み合わせでプレイ感覚がまったく違ってくる、本作の魅力を少しでも伝えられたなら、と願いつつ、評点。
- ハマリ度 : 9 / 10
- どうして開始時ゲームスピードの初期設定を「はやい」にしたのか、そこが唯一最大の疑問点。
確かに、ゲームスピードを「おそい」にすると、クリアまで小一時間かかる長丁場になってしまう。ラスボス戦以外であれば、ポーズ中にプレイヤーが操作できるので、ポーズを都度使うべきというレベルデザインもわかる。
それでも、初心者の視点で考えれば、わけもわからない内に倒したり倒されたりするのでは、フィードバックがまるで得られない。「おそい」にしないと、適切なタイミングでポーズをかけるのも難しい。
プレイヤーの選択肢として、デフォルトは「おそい」にした上で、速めるかどうかはプレイヤーに任せるというのが常道ではないか。
カード収集やアイテム収集、そしてその説明文から読み解く世界観の広がりを楽しめる。EXTRAモードも追加され、ヤリコミに対する手当ては十分。
できることなら、ゲーム中一瞬だけ表示されて流れてしまう、キャラごとの独り言だとか、キャラ同士の絡みだとかもじっくり見てみたいが、今くらい隠れているのがよい塩梅で、求めすぎるのも野暮であろう。- グラフィック : 8 / 10
- ソウル編成画面に入る度に解説メッセージが出るのが気になる。一度見れば忘れない画面配置ではないのか。そうでないなら、改善手段はあったはず。
「ソウル編成」と言いながら、実態はキャラ・カード・スペル・マテリアルなんでも編成する画面なのもわかりづらい。
描き下ろしのグラフィックはどれも素晴らしいし、統一感がある。
背景も綺麗だが、明滅が激しく、ヒトによってはうるさく感じるかもしれない。いずれにせよタイルを敷き詰めてしまう終盤では見えなくなる、というジレンマ。- サウンド : 9 / 10
- 的確に場を盛り上げるサウンド。スピーディーな本作の進行に合わせてガンガン押してくる。初期設定だと音圧低めに配慮されているので、お好みの音圧に上げて聞いてほしい。
後世のためにも、できれば曲目リストが欲しかったところ。この作品、フリーゲームとしては珍しく最初から英語対応してます。
ストーリーが無いからテキストは少ないだろうって? 書いたじゃありませんか、本作の命は大量の解説文だって。
英訳の当否は、ボクのような乏しい英語力でわかるはずもありませんが、海外でもこの労に見合った普及をしてほしいと願っています。
なにせ言語障壁のせいで、日本のゲーム全般がガラパゴス化してますからね。壁を取り払う動きは大歓迎ですよ。