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■ Frostrain

Frostrain
作者 [ STEWDIO さま(開発)・Jungle Game Lab さま(提供) ]
ジャンル [ ローグライク経営SLG ]
容量・圧縮形式 [ 1.21GB・Steamから直接ダウンロード ]
製作ツール [ Unity ]
言語 [ 日本語, 英語, 韓国語, 中国語, ドイツ語, フランス語, ポルトガル語, ロシア語, ハンガリー語 ]
備考 [ イベントスチル, キャラ画像の下書きにAI生成画像を使用 ]
配布元 ダウンロード先

Frostrain Frostrain Frostrain Frostrain Frostrain Frostrain

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 8 /10 50/60 B
赤松弥太郎 8 /10 9 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

独裁者も楽じゃない。命がかかっているからこそ。

本日のイチオシ「Frostrain」は、かなり難解なローグライトです。元より海外製で「言語」が障壁となる仕様。6月に実装された日本語訳も、直訳調で理解しにくいもの。
加えて、本作にはパラメータが数多くあり、その多くが説明不足です。初回プレイでは画面上部中央にでかでかと表示される数値が「幸福度」と呼ばれ、本作の「生命力」だと理解するのがやっとでしょう。
そして、それを理解する時は、幸福度を失い怒り狂った民衆に、永久凍土へ叩き落される瞬間となります。すなわちゲームオーバー。

その次に理解する要素は、各カードの色とアイコンを揃えること。本作の文字通りの生命線となる要素でありながら、その説明は、本作に初めて触れた日本語記事でも「車両同士の相乗効果やレベルアップを考えつつ、カードを選んでいく」とかなり簡素な言及となっています。
その原因は、色・アイコンの相乗効果(以降は「コンボ」と呼称)の説明がかなり長ったらしく、中にはコンボ独自のパラメータまで存在するためです。
赤い霜の騎士団(赤)コンボの「訓練度」、エンジンの子女たち(金)コンボの「熱意」、これらがどのような仕組みで「幸福度」に変換されるのか、一見ではさっぱり分かりません。
序盤に重要になるアイコンコンボは、ほとんどは条件に従い、直接幸福度ボーナスが掛かる物です。しかし、アイコンコンボの中にも、動力(歯車)コンボに「改善度」という独自のパラメータがあります。「改善度を上げると車両速度が上がる」というかなり強力な効果ですが、「改善度を一定数溜めることで速度UP」と遅効性かつ理解しづらい仕様。
加えて、「独自のパラメータ」は、その蓄積量・幸福度への変換量が分かりづらくなっています。画面左にあるコンボ説明文は固定で「訓練度」「熱意」「改善度」などの現在値は表示されません。
そもそも、サイクルごとの幸福度上昇数/減少数も瞬時にしか表示されません。画面上の現在値の上下を見て黒字/赤字を判断するのが、最も確からしいステータス確認方法となります。

幸福度=生命力の増減、各コンボの効果、現在のステータス、本作のなにもかもが読み取りづらくなっています。元から文字ばかりで数値が足りない上に、「翻訳によって失われるニュアンス」「誤訳によるシステムの誤解」まで加わります。
私も、本作のほとんどを理解しきれていません。
・各色にカードが何種類あるのか
・銅・銀・金・虹に分かれたティア=カードのレア度は進行度に従って出やすさが変わるが、その詳細な条件は
・アイコンコンボを発動させるために手っ取り早く揃えられる、ティアの低いカードはどれなのか
などなど、本作の攻略に必須と言える情報は、自分の頭もしくは外部のメモに記憶する他ないのです。本作には辞書機能が実装されていないため。

私も分からないまま凍死ループを繰り返し、やっとクリアできたのが、序盤に歯車コンボを決め、終盤に総普及管理局(銀)コンボを揃えられた時でした。
赤い霜の騎士団(赤)はなかなか揃わず、アカデミー(青)は中盤で息切れ、探検家連盟(緑)は完成に時間が掛かったのか後半に耐えられるほどのボーナスを得られず、エンジンの子女たち(金)燃料とハンマーの秘密結社(茶)はコンボ発動すら未だにできていません。
このように、やりこみ度が十分とは言えない私ですが、そこで頼りになるのが赤松さん。赤松さんのレビューに、全カード・全コンボのデータが揃っています。
初めてプレイする皆様は、下記データを理解したうえでプレイに臨んでください。私も下記データを見ながら再プレイしつつ、この原稿を書いています…が、未だに再クリアが見れません。歯車が全然出ないのよ!!!!

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

案内標識 未来行きはどっちだ?

 偉大なる指導者イム・ソクデ閣下が機関士に就任した今、過去の指導部がもたらした旧弊はついに一掃された。
 腐敗した旧体制下の対立に別れを告げた我ら人民は、同志イム・ソクデ閣下の嚮導のもと一丸となり、目下の困難に打ち勝たねばならない。
 いかなる困難が立ちはだかろうと我らの行軍に後退はなく、常に前進し続ける。どれほど厳しい酷寒であっても、偉大なる機関士様に導かれ火の玉となった我々を止めることはできないのである。
 王道楽土への旅程はまだ道半ばであるが、機関士様の放つ幸福の光は、我々に約束の地への道を示し続けている。
 人民よ、団結し奮励努力せよ。
――国営言論部

 といった具合に、第一印象でレトロフューチャーやポストアポカリプス、共産ジョークっぽい香りを出してきますが、それらはあくまで香りつけでしかありません。
 ストーリーはほぼ存在せず、キャラクターや世界観についての補足もほとんどありません。
 やっぱりアレか、韓国だと共産ジョークは日本や東欧ほどウケが取れないのか。洒落にならないってことなのか。

 で、そういう香り付けに惑わされて本質を見失うと、ボクのように永久凍土に放り出されます。
 本作のコアは、ラミー系のカードゲーム。平たく言うと麻雀ですよ麻雀。
 車両をいくら重ねたところで、組み合わせがバラバラではその真価を半分も活かせません。
 ランダムでツモる車両の中から同じ色やアイコンをそろえて、役を作ることが最重要です。

 とはいえ、役の強さがわからず、色々目移りした挙げ句放銃する、なんてのはボクのような下手くそにありがちな結末です。
 ……実は、本作には何があっても必ずそろえるべき車両が存在します。
 ボクがプレイした限り、必ずこの車両の組にはお世話になりました。これ無しでクリアするのは極めて困難な縛りプレイになると思われます。
 それでは紹介しましょう。本作における必勝の役、それは、

 この動力の車両の組です。
 最低でも2種類は必ず走らせてください。できる限り3種類まで走らせたい。5種類全部は少々やり過ぎ感があるけど、そこまで頼ってもいい。
 カードに「改善度」という数値が書かれていますが、これは動力車両を2種類以上走らせた時はじめて加算されるステータスです。3種類走らせると額面の2.4倍、5種類走らせると6倍加算されます。
 そして改善度が一定値以上溜まると、機関車の走行速度が上がります。
 最初こそ数%だけですが、段階が上がると最終的には81%アップに及びます。
 ローグライクで行動速度が上がることの重要性は、今さら言うまでも無いでしょう。その分多くの駅を廻ることができ、その分多数の車両を得るチャンスが生まれます。
 そして何より、後半で頻出する汚染地帯の、最も有効な対処法です。ガンガン下がっていく幸福度が0になる前に、約束の地まで駆け抜ければいいのです。

 序盤の内に動力車両を2~3種そろえるということを覚えれば、クリア率は格段に安定します。
 走行速度が十分上がったら、あとは高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処してもらえれば、と思うのですが……それはいくら何でも丸投げすぎるので。
 この機会なので、それぞれの役の短評を書いていきましょうか。
 基本的に本作は、アイコンよりも色をそろえる方が難しい反面、効果が高くなっています。

 では、イム・ソクデ閣下が初期ボーナスとして持ってる、総普及管理局から。
 こちらはサイクル周期、つまり幸福度等の加算のインターバルを縮める効果があります。
 3種類なら2秒縮め、6種類コンプリートするとなんと7秒も縮まるので、強力ではあります。強力なんですが、しかし。
 そろえるのに苦労する割に報われない感覚があるかなあ。

 3種類そろえた時のインターバル-2秒は、体感的にはあまり恩恵を感じないと思います。
 さすがに6種類そろえた時の-7秒はハッキリ変わります。が、6種類そろえるのはかなり難しいです。うち5種類が低ティア帯に集中しているので、序盤から意識してそろえる必要があります。
 しかも最後のパーツ「中央行政部」は大型車両、2両分のスペースを占有します。他の役とのシナジーが限定されるのは、非常に大きな問題点です。
 中央行政部は車両を重ねるほどインターバルを短縮できますが、インターバルを0秒まで短縮しても幸福度の精算にある程度の時間が掛かるため、すぐに頭打ちになってしまいます。

 なので、ここは3種類だけ走らせて-2秒、または中央行政部+他2種類の4両分のスペースだけ使う等、補助的に使うのが得策でしょう。
 どんな役についてもそうですが、くれぐれも固執することは避けるべきです。これも麻雀と同じですね。
 ぶっちゃけ「労働管理部」はうま味が薄く、持っていても大きなアドバンテージにならない車両だから持たされてる面があり。車両がそろってきたら解体しちゃっていいと思います。

 アカデミーも、見た目にシンプルな効果のある組です。
 2種類走らせれば4サイクルに1両、4種類すべて走らせれば1サイクルに1両、アカデミーの車両が手に入ります。選択画面は一切出ず、気付くとポコポコと車両が生えてきます。
 ただし、幸福度に関するボーナスは、一切ありません。
 車両重ねならいくらでもできますが……アカデミーにはティア4の車両が存在しないし、階数を上げていっても地味な効果でしかないです。

 どちらかというとこれは、中盤までの間、手札を肥やすために使う組です。
 2種類走らせておけば定期的に車両が手に入るので、それを解体に回し、自分の狙っているツモを引く機会を増やすために使います。
 特に探検家連盟や燃料とハンマーの秘密結社等、そろえるのに手間がかかる組を目指す時に役立ちます。
 アカデミーは同じティアの同業務車両と比べても単体性能は劣るので、十分に車両がそろったら全部解体して、有効に資源活用していくのが良いでしょう。

 ここからはハイリスクハイリターンの組み合わせが続きます。
 探検家連盟は3種類のみからなる組み合わせで、3種類すべて走らせることではじめて効果を発揮します。
 その効果は、3車両が通過した駅の数に応じて、毎サイクル幸福度ボーナスがもらえる、というもの。
 組み合わせを解除すると効果が無くなり、ボーナスも上昇しないので、一度組み合わせを作ったら、よほどのことがない限り走らせっぱなしになります。

 幸福度ボーナスは経過駅の数と単純比例ではなく、加速度的に増えます。
 だいたい30駅を越したあたりで数百とか数千に増えるので、ここまで来ればほぼクリア確定です。
 いかに早い段階で3種類そろえられるかがキーポイントになります。
 ティア3車両があるので序盤は無理ですが、天文台を超えてすぐあたりで3種類そろえられれば、ものすごく強力です。
 反対に、いくら待ってもそろわない時もあるわけで、損切りのタイミングが重要です。こだわりすぎてはいけません。

 3両しか使わないので、他の組み合わせとのシナジーが積極的に狙えます。その意味でも低ティアに動力担当の「操舵室」があるのはありがたいポイントです。
 「地理情報室」にはなぜか高出力の訓練度加算があるため、赤い霜の騎士団とシナジーがあります。
 ただし、赤い霜の騎士団の車両3種類が走っていないと訓練度は加算されない点は注意してください。地理情報室とは別に3種類の赤い車両が必要です。

 本作最大のグループ、それが燃料とハンマーの秘密結社です。
 ともかくピーキーな性能で、単品で使用すると、直前の車両のティアに応じた幸福度が毎サイクル差し引かれる、というデメリットがあります。
 なので、できる限り早く4種類そろえる必要があります。4種類以上走行させることで上のデメリットが解消、さらに1サイクルで2回加算処理が行われるボーナスがつきます。
 全7種類走らせた暁には、なんと加算処理が10回、つまり額面の10倍の出力というとんでもないことになります。
 どれだけすごいかというと、ほぼ強制敗北になる45日目を迎えてもしばらく生き延びてしまうほど。これはもう笑うしかない。

 もちろん、7種コンプリートはそう簡単ではありません。
 特に序盤がつらい。ティアの低い車両が多いので、序盤から意識して集めないとそろいませんし、そろえるまでは手札を圧迫し続けます。
 そろえてしまえば何もかもひっくり返せるという魅力はあるので、もし狙うなら耐え忍ぶ立ち回りを徹底しましょう。
 先頭車両だけはデメリットを回避できるので、動力担当の「人力発電機」や、治安担当の「保安官室」はうまく活用したいです。走行速度上昇は相変わらず必須です。
 それ以外の車両はただでさえ弱いので、最低でも4種そろえるまで使う価値は無いでしょう。
 耐え忍んで、7種すべてそろえて、レベル7まで上げて7両編成が組めるようになれば、あとは約束の地まで駆け抜けるのみです。

 赤い霜の騎士団は逆に、高ティア中心にまとまったグループです。
 カードに書いてある「訓練度」がこの組の独自ステータスで、3種類以上走らせた時だけ加算されます。
 加算された訓練度は5サイクルに1回精算され、同量の幸福度に変換されます。清算後の訓練度は0になります。
 4種類走らせると訓練度が額面の1.7倍加算されます。5種類走らせると精算が毎サイクル行われるようになり、清算後も訓練度が80%残るようになります。

 幸福度と等倍変換される、というだけなら特筆することは無いですが、コンプリート特典とティア4車両「指揮統制所」の性能が破格です。
 指揮統制所は、自分は訓練度を出力せず、他の車両の訓練度を上げる効果。プレーンでは1.1倍とほぼ無意味ですが、重ねるほど強くなり、3階建てだと2倍にできます。
 大型車両込みで6両分使いますが、5種コンプリートに加えて探検家連盟や治安担当のシナジーも加えられるので、約束の地まで駆け抜けるのに十分な出力が出せます。

 最低でもティア3車両が無いと動かないので、中盤までのやりくりが重要です。
 ひとまず「鍛冶場」だけは序盤でキープして、探検家連盟や治安車両が集まりそうか、様子を見た方がいいかも?

 エンジンの子女たちは……説明が難しいんだよなあ。
 この組も独自ステータスがあり、「熱意」と言います。2種類以上走らせると加算されるようになります。一部「熱誠」と書いてあるところがありますが、そんな日本語はないので熱意が正しいです。
 で、その増やし方ですが、幸福度加算時、エンジンの子女たちの車両に1人だけ乗客が乗っていた場合に1増えます。
 4種類走らせると、乗客数に限らず1車両1ずつ加算されるようになりますが、それは終盤になってからの話です。

 えー、乗客の仕組みについてはチュートリアルにちょろっと書いてあるのですが、改めて説明します。
 編成できる車両数と乗客の総数は、機関士のレベルによって決まっています。
 乗客は毎サイクルランダムな車両に乗り込みます。1車両あたりの最大乗車人数は3人です。
 幸福度や訓練度、改善度といったカードに書いてあるステータスは、乗客の人数分加算処理が行われます。
 逆に言えば、カードに書いていない、燃料とハンマーの秘密結社の幸福度マイナスや、このエンジンの子女たちの熱意は、乗車人数にかかわらず1台ごとに1回だけ処理されます。

 乗客をどの車両に乗せるか制御する方法は皆無なので、熱意はそうそう増えるステータスではありません。
 だいたい、どれだけ熱意を増やしたところで、ティア4車両「宣伝所」を入手しない限りは無意味です。
 その宣伝所ですら、初期状態では、乗客が1人の場合のみ幸福度が加算されるという効果で、まったくアテになりません。
 乗客数にかかわらず幸福度を加算するには、3階建てまで改築する必要があります。到達できたとして最終盤でしょう。

 条件が厳しいだけあって、熱意が100まで溜まった状態なら、3階建てにした宣伝所は幸福度+300車両に化けます。
 4両のスペースしか使わないのもポイントで、組み合わせの自由度が高いです。
 ただ遅咲きにも程があるので、かなりの辛抱を強いられます。
 初心者が狙うのはまったくオススメできません。

 ここからは動力以外のアイコンの組み合わせを紹介します。
 まずは序盤から終盤にわたって頼れる治安車両。
 2種類走らせると、最後部に幸福度+10の車両「情報傍受課」が追加されます。序盤では心強い数値です。
 4種類すべて走らせると、ボーナス車両が幸福度+70の「中央情報部」にグレードアップします。これは終盤でも役立つ出力です。

 編成をレベル上限以上に伸ばせるので、車両あたりの乗客数を減らしたいエンジンの子女たちと相性がいい気がする……気がするだけかなあこれは。
 どんな車両編成でもきちんと仕事をしてくれることでしょう。

 娯楽車両はそのアイコンのとおり、非常にギャンブル性の高い車両です。
 まず幸福度加算の基礎値からして安定せず、「地理情報室」以外は最低値から最高値まで乗客によってランダムで変わります。
 プレーンの「娯楽監督部」は幸福度+0~+3ですから、場合によっては加算なしということもある。安定感に著しく欠けます。

 集めるとさらにギャンブル要素が加速します。
 3種類走らせると33%の確率で娯楽車両の幸福度加算が3倍に、5種類全部走らせると77%の確率で7倍になります。
 ええ、7倍というところだけ見れば優秀ですよ。しかし、基礎値が安定しないものをさらに7倍にされたら、ますます不安定になるだけです。0に7を掛けても0なんです。
 長い目で見ると大数の法則で平均化されていきますが、そこを考えても使う魅力があるかというとかなりビミョーでした。
 リスクが大きいのに、燃料とハンマーの秘密結社ほどの一発逆転性は無いからなあ……。

 狙う場合には、くれぐれも序盤をおろそかにしないようにしてください。
 娯楽車両は低ティア帯に集中していますが、その時点で運用してもとても不安定で、序盤でゲームオーバーになる可能性があります。
 なので序盤は娯楽車両はキープするだけ、運用は他の車両も交えて、幸福度や走行速度を安定して上げていく必要があるのですが……
 だったらわざわざ娯楽車両使わなくてもいいんじゃね? としか思えなかったんですよねボクには。

 ここから先の組はあまり有用な場面がないので、ざっくり流していきます。
 教育車両は序盤限定で役に立ちます。あくまで序盤限定ですが。
 ノーマルの幸福度加算は同ティア帯の車両と比べても少ないのですが、乗客が3人乗り込んだ時限定でボーナスがつきます。
 2種類走らせればボーナスが2倍になり、3種類全部走らせると乗客数にかかわらず毎サイクルボーナスがつきます。ただしボーナスは1倍に戻ります。
 つまり1階建ての「訓練所」で言えば、3種類同時に走らせると常時幸福度+13ではなく、幸福度+8にしかなりません。

 今までの車両説明を見ていればわかるでしょう。終盤はこの程度ではまったく太刀打ちできません。
 あくまで強力な車両編成が可能になるまでのつなぎ、もしそろったら使っておく、くらいの立ち位置でしょう。

 では同じく、低ティア車両のみで構成された文化はどうなのか、というと。
 同時に走らせる種類が多いほど、文化車両の幸福度が増強される、というシンプルな効果です。
 その掛け率は、2種類で+1、3種類で+3、4種類で+7、5種類で+13

 5種類もそろえて+13ってのは、さすがにちょっと……。
 これも積極的に狙う組ではなく、たまたまそろって空きスペースがあるなら運用しようか、くらいにしかならないと思います。

 マスコミも、見た目は派手なんですけどね。
 駅に到着した時に、走っているマスコミ車両の数に応じて幸福度が加算される、という効果。
 掛け率は、2種類で+2、3種類で+16、4種類で+128です。
 見た目だけは派手なんです。

 駅に着いた時に、車両や乗客の数にかかわらず加算されるのが、見た目の割にしょぼい原因です。
 4種類で+128と言っても、1車両単位で考えれば+32、乗客による乗算も無しとなると、ティア4車両を使う、終盤解禁される効果としては力不足でしょう。

 思いつく限り、役立てる方法は1つしかありません。
 駅に到着する直前にポーズをかけ、ありったけのマスコミ車両に組み替え、駅を通過したら元に戻すことで、他の組の効果を邪魔せず、駅通過のボーナスだけ頂く、というやり方です。
 問題は、そんな七面倒くさいことを誰がやるのかという一点ですね。

 最後に、今まで紹介していない車両が1つだけあるので、通信について解説します。
 「フロントルーム」は、その名の通り先頭用の車両です。その効果は、後続の車両数に応じて、自身の幸福加算値自体を増加させるというもの。
 そして、「通信所」が走っていれば、「フロントルーム」と「通信所」の間の距離に応じて幸福度が加算されます。
 なので、フロントルームを先頭、通信所を最後尾に配置するのが最大効率、というわけ。

 で、それが特に強いのかというと……全然?
 フロントルームはティア4車両、つまり終盤解禁なので、幸福加算値はそこまで高くはなりません。頑張って+30くらい。
 車両を重ねても、強化されるのは増加量の方ではなく、必要とする後続車両数の方。3階建てにしても6両必要なので、増加量が倍になることはありません。ほぼ無意味です。
 そして通信の方は、低ティアかつうま味の少ない通信所をそんな終盤まで使ってるのは、もう燃料とハンマーの秘密結社を7種類そろえてる場合に他なりません。
 もう勝ち確の幸福度加算を手に入れてる状況では、通信による幸福度加算は誤差でしかないのです。
 無いよりはあった方がいいから使う、以上の存在感は出せないでしょう。

 以上で、全30種の車両紹介が終わりました。
 本作の旅路は長いので、だいたい1プレイで全種類、候補として上がるんじゃないかと思います。
 だからこそ、1回1回、どの車両を選択するかによってプレイスタイルは変わってきます。
 自分なりのクリアの仕方がわかれば、安定してクリアできるようになるはずです。

 できれば複数回クリアして、色々な編成をみなさんにも試してほしいと思っているのですが。
 ちょっとそこに向けての誘導が弱いことが気になってます。

ハマリ度 : 8 / 10
 初回クリアで解放されるのが早送りオプションというのは、あまりにもケチケチしすぎ、繰り返しプレイしてもらう誘引としてまったく不十分。実績データによれば、ここで見切りをつけてしまい、2回目のクリアで新機関士チェ・スンジャが解放されるところまでプレイしない人が半数に上るらしい。せめてロードマップを公開しておけば、もう1回クリアしてみようかという気になったかもしれない。
 車両のバリエーションは様々あるが、結局動力が唯一無二の性能で、それ無しではほぼ勝てないため、複数回クリアしてくると飽きてくる。機関士の特性も、それぞれに注意点があってプレイ感の違いは出しているものの、そのワンパターンな展開を覆す程のものではない。
 翻訳は、明らかな誤りも散見されるが、意味は読み取れる、といったレベル。解説文が読みづらいのは翻訳のせいか、もともと読みづらいのかは判断できない。「レベル」「ティア」「アクティブ」「有効」などの用語が統一感無く出現し、用語辞典等も存在しない。本文で指摘した「熱意」と「熱誠」などもそれ。
 せっかく魅力的な世界観を作れているのに、ロード画面の解説文によるわずかな掘り下げしかないのは、やはり勿体ない感じがある。クリア特典として車両図鑑くらいはつけてほしい。
グラフィック : 9 / 10
 デザインは全体に丁寧でわかりやすい。霜や雪のエフェクトも綺麗だし、見やすさも確保されている。
 イベント絵の画風が安定せず、アメコミ調だったり絵画風だったりする。AIを原画に使っていようが、最終的な方向性を決めるのは人間である以上、そこは一貫したディレクションをしてほしい。
サウンド : 8 / 10
 曲数も少なくバックグラウンドに徹していて、「静かな」本作を演出する。これ以上は音楽やSEの演出を派手にするべきというより、もともとが盛り上がりのない本作をもっと盛り上がるようにするべきだろう。

 夏の暑い盛りですが、そんな季節だからこそ本作を、キンキンに冷やした部屋の中でぜひどうぞ。

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