■ Summer traps you.
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作者 [ すぎやん さま ] ジャンル [ 無人島脱出 ] 容量・圧縮形式 [ 326MB・ZIP ] 製作ツール [ RPG MAKER 2003s+Maniacs Patch ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 https://www.freem.ne.jp/win/game/34961
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レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 10/10 9 /10 8 /10 53/60 ![]()
赤松弥太郎 9 /10 9 /10 8 /10
《 ES 》 ハマリ度:10 グラフィック:9 サウンド:8
新入り女子大生のサバイバル経験値無双!
本作「Summer traps you.」はサバイバルシミュレーションとして【SLG】に分類しましたが、【RPG】【ADV】要素も強い作品です。
ストーリーの組み立てはADV。主人公女子2名の軽妙なやり取り、拾った文書から分かる背景、見え隠れする怪物、そこから「何で脱出するか」をストーリーの枝分かれとしています。
そして、そんなストーリー進行に必要となのがRPG要素。本作は、素材集めとクラフトで取得したアイテムで食いつなぐ意味でサバイバルシミュレーションですが、「素材集め」の部分でRPG要素が重要となってきます。
本作の素材集めは、100面ダイスによる判定が主。判定に失敗すると、素材が取れないどころか、体力・調子へのダメージまで発生します。
そして、この判定のバランス設定こそが「Summer traps you.」の面白さであり、つらさでもあるのです。本作「Summer traps you.」は、とにかく序盤がつらいバランスです。序盤ゆえに判定に必要なスキルレベルは最低。大抵の判定は失敗に終わります。まともに獲得できるのは判定の要らないイベント…ステージ入口と虫眼鏡マスに散らばるわずかな素材のみでしょう。
毎日の食事にも事欠き、空腹で調子がマイナスになるため、判定に更にペナルティが掛かる始末。海岸で集めた「塩」を舐めながらのひもじい暮らしが、最初の1週間程度は続くことでしょう。
特に、私の初見プレイでは、「拠点で時間+1を費やして休憩すれば、体力・調子を+1回復できる」という仕様を知らず、1日中を探索に費やしていました。「体力が0になる」ペナルティは探索即中断・時間が更に+1とかなり重いです。イベント判定の失敗・対策できないトラブルマスを踏むだけで容易に体力は減少します。体力回復機会の少ない序盤は、日中も定期的に拠点で休憩しましょう…という攻略法を、私はEND後の実績画面で初めて知りました。
寝所の改装も夜中にはできません。朝一で、もしくは日中に拠点に戻って寝所を調べる必要がある…ということも、私は(ゲーム内の)10日ぐらいを費やしてやっと理解できました。本作の面白さは、成功しない判定・空腹の日々そのものが、モニター前のプレイヤーのみならず、ゲーム内の新入りちゃんにとっても経験値となることです。探索でマスを踏むことで、様々なアクシデントに出くわすことで、新入りちゃんは少しづつ経験値を積んでいきます。日中に獲得した経験値は、一夜を明かすことでレベルに変換されます。数日分の経験値を積めば、見違えるほど判定の成功率が上がります。
しかし、経験だけでは難しい判定が序盤から多数存在します。判定の中には、特定のツールを使うことで、成功率がやっと実用レベルに達する物もあります。野草で足元が見えない場合は「草刈り鎌」が、狩りには「スリングショット」「竹弓」が、後半の暗闇のステージには「懐中電灯」「バッテリー」が…本作のまともな攻略には、数々のツールをクラフトする必要があるのです。
そして、本作の楽しさも「新たなツール・ステージを開放した」その瞬間にあります。今まで苦労した・どうしても越せなかった箇所がやっと越せたという開放感の他に、主人公2名による寸劇も発生します。アイテム獲得・新ステージ開放そのものがストーリーの進行となっているのです。そんなこんなで費やした日々により、新入りちゃんとその周りの環境は見違えるほど頼もしくなっていきます。
ブルーシートを立てかけただけ、辛うじて雨水を防げる程度の寝所は、「コテージ」と呼ばれるほど豪華な住居に成長します。
「畑」ができれば、今まで新入りちゃんを苦しめていた食糧問題が一気に解決できます。
果てには、「序盤ステージの草木系の素材が大量にいるけど、新入りちゃん自体は後半ステージの電気系素材を取りに行かせたい」と言う状況に役立つロボット掃除機まで生み出せるのです!
本作はスローライフの満喫に重点を置きたくなるゲームです。散々楽しんで、各ENDも即座に閲覧できる状況まで持ってきた(ゲーム内の)40数日間は、本当に楽しいものでした。
そう、私の初見クリアでは、END到達までに40日以上もかかりました。そんなEND到達後に表示された実績画面。その中に掛かれていた衝撃の実績…「20日以内でクリア」。
それを見た私の感想は「……………できるのか??」の一言でした。
恐らく、本作の最速クリアを目指そうとするならば、相当なリセットゲーとなることでしょう。総プレイ時間で見るならば、30日以上費やす通常プレイよりも遥かに時間を費やすかもしれません。それぐらい、本作の「最速」には運要素が大きく邪魔をしてきます。
特に序盤は、通常プレイ以上の地獄を見るでしょう。体力と調子を下げるイベント・トラブルマスの回避は、まず運しか頼りになりません。数か所のマスをあらかじめ表示できるスキル「観察眼」は、ある程度ステージを超さないと手に入りません。それまでは完全ノーヒントで虫眼鏡マスだけを掘り進めていく必要があります。
見れるENDも限られます。プレイ開始時に示唆される「ボートの修理」ENDは、実は最も時間のかかるEND。大量の素材…しかも前半ステージではほぼ取得できない電気系の素材が必要になります。
最終ステージまで到達した上で、相当な日数を費やさないと必要素材は集めきれません。
初見の皆様には、下手に速攻クリアを目指すよりも、私と同様にスローな工芸ライフを満喫しながらじっくりとプレイして欲しい。そう私は思っています。
本作の意外に複雑な各種システムを学習するためにも、本作に眠る数々のイベントを満喫するためにも、本作のより良い結末を見るためにも…。
そして、本作の速攻クリアには、このスローライフなプレイの中で培った経験、更にそれ以上の知識が必要になります。
本作は、スローな攻略の難易度は低くなっています。食糧や体力が尽きてもゲームオーバーにはならず、日数を費やして素材集め→施設の成長を繰り返していけば、いつかはクリア地点に到達できます。まずはじっくりと少しずつプレイしてください。
私が初見で過ごした40数日間は、リアル時間では半日もあれば達成できます。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:8
まだ夢の中で踊るように 僕らのStory覚めないように
こちらがボクの初回プレイ時のクリアリザルト画面です。
……一刻も早くおうちに帰りたかったことが見て取れますね。
ESさんが「どうすりゃ30日以内でクリアできるの?」と言ってたので回答しますが、16日クリアは相当なリセットゲーです。
緑色のエンドが一番早いと思いますが、それでも寝床と住居を2ランク上げて各種設備を整えないとおぼつかないし、道に迷う等の時間を空費するハプニングが起きたら即リセットですね……。
本作はクリア時間を競うゲームではないことは、はっきり言っておきます。
そんなただの運ゲーではないところに、本作の魅力はあるのです。
ということで、気を取り直して、クリア直前のデータからプレイを再開、遊び尽くしたリザルト画面がこちら。
全実績を取るのはなかなか苦労しましたね。
特に釣りが、ボクは目押しが苦手なのでたいへん手こずりました。
木こりは比較的、運さえ良ければなんとかなる面が大きいのですけれど。
そう。本作はスローライフゲームなのです。
セカセカせずとも好きなだけ、気の済むまで無人島の夏を満喫していいんです。
やれること自体はさほど多くありません。ミニゲームも先述の「釣り」と「木こり」しかなく、ステータスにもある「狩り」はイベントで自動処理です。
本丸である資材を集めて目的のものを作る、その過程が心地よく作られているのが特長です。
目的の提示による誘導がうまい。
導入で探索システムを体験した直後、目標は「資材を集めてボートを修復する」か、「島を隅々まで探ってアンテナの復旧方法を探る」かの二択と提示されます。
どちらを選んでも構いません。どちらを選ぶにしても、探索しまくって探索範囲を広げることが当面の指針になります。
要求された資材を揃えようとすれば、自ずと新しい探索地が広がる。島の奥地まで探索しようとすれば、自ずと資材も集まる。
そして余った資材で、寝床と住居のアップグレード、他の設備や道具の製作で効率化を目指していく……
その流れに自然に誘導されていく設計のおかげで、このジャンルのゲームにありがちな手応えのない時間が極小化されています。
最初は運任せのランダムイベントに振り回されるばかりで、ストレスの溜まる時間も長いです。
しかし、最初の2マップを踏破し、隣接マスが事前にわかる「観察眼」が上がるころには、対処の仕方にも幅が出てきます。
バッテリーが手に入れば、ディアナを探索に投入、観察眼を上乗せする切り札も生えてきます。
ディアナの便利っぷりが本当にありがたいですね。
道に迷ったり虫に刺されたり、困ったことがあると即座に、ディアえもんがひみつ道具……のレシピを出してくれる(※材料と製造は自分持ち)のが素敵です。
空腹や渇きでダウンしてもゲームオーバーにならず、拠点に戻してくれるのもディアナのおかげですし、足を向けて寝られません。
まあ、もしかしたら一番やばいのは、この環境でどんどん適応力の怪物として開花していく新入りちゃん、とも言えますか。
探索すればするほど、失敗さえも糧にして、メキメキとステータスが上がっていき、格段に探索が楽になっていきます……。
都会では色々と悩みもあったみたいな話もあるのですが、よほどこの島の水が合っていたのでしょう。
だって、見てくださいよこの屈託のない笑顔を。
これが遭難して孤島に放り出された人間のする顔ですか?
このタイトル画面を見れば、本作はサバイバルではなく、スローライフなのだとはっきり伝わるんじゃないでしょうか。
探索して明かされていく、この島の過去の闇も相当に深そうなのですが、本作ではそこに深入りすることはありません。
あくまでも新入りちゃんの主観で、さらりと夏の思い出が語られます。
ボクも作者さんの過去作をプレイしていないので、そこはさらりと流して評点に移ります。
- ハマリ度 : 9 / 10
- プレイ時間が適度に長い、というより、ダレる時間が短い。新しい探索地に行くたびにストーリーは進行していくし、できることも増えていく、そのテンポが心地よい。
エンディングは4種類 + α、イベントも豊富、ミニマルなシステムできっちりと作り込まれているのが好感触。合計12個の実績はそれを遊び尽くす呼び水として機能している。それだけにクリア日数による実績分類は蛇足だったように思う。20日以内のクリアはどうあがいても運ゲーにしかならず、楽しい挑戦とは思えない。- グラフィック : 9 / 10
- サンプルゲーム素材も一部含まれるが、基本的には描き下ろし。ドット絵はマットで原色系の色使いが目立つが、それは撮り下ろし写真の背景に溶け込まない強さにもなる。
UIも明瞭でわかりやすい。- サウンド : 8 / 10
- Musicフォルダが未整理で、たぶん未使用のMP3ファイルがある。本作の容量のほとんどがMusicフォルダなので整理してほしい。
曲はすべて魔王魂で安定感はバッチリ。探索マップごとに固定のテーマが流れ続けるので印象に残りやすいが、イベント曲は1回限りのものも多く、印象には残りづらいか。長いことイチオシに向いているスローライフゲームを(主にESさんが)探していて、やっとたどり着いた作品です。
上述のようなプレイをしてしまったのでボクのプレイ時間は参考になりませんが、初回クリアまでは数時間でいけるはずです。毎日ちびちびと進めて楽しむのが吉でしょう。
公開から時が経ち、めっきりと冷え込む今日このごろの日本列島ですが、こんな季節に夏を想うのもまた、オツじゃありませんか。