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■ 勇限会社 勇社

勇限会社 勇社
作者 [ OPUWA さま ]
ジャンル [ シューティング+ブロック崩し ]
容量・圧縮形式 [ 234MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 現在の最新バージョンは、v.1.011 ]
配布元 ダウンロード先

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レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 8 /10 47/60 B
赤松弥太郎 7 /10 7 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

今回紹介する「勇限会社 勇社」は、「シューティング+ブロック崩し+RPG+会社!?」という不思議な加算式から導かれたゲームです。
一番の基本は「ブロック崩し」。4人パーティのうち1人をレシーバー、残り3人をアタッカーに割り振り、アタッカーの体当たりで敵キャラを薙ぎ倒していきます。
しかし、体当たりだけでは賄えないほど、敵は大量に襲い掛かってきます。そこで役に立つのが「シューティング」部分。カーソル上下で使用者を選択し、スペースキー(などの決定キー)を押すことで、各キャラに応じた攻撃技が発射され、体当たりの隙間を攻撃できるようになります。
ステージが進めば、当たるとダメージを受ける武器やトラップが出てきて、力負けしてくる場面も出てくるかもしれません。そこで役に立つのが「RPG」部分。ステージをクリアする毎に、経験値と軍資金が手に入り、それでの成長で埋め合わせが可能です。
経験値によるレベルアップは、HP, SPのアップなど、安定した成長になります。
軍資金で手に入る装備は、攻撃力, 防御力などの基本ステータスの増強はむしろ二の次。装備によってスキルが様変わりするため、一番使いやすい・面白い・役に立ちそうなスキルを持つ装備を優先して手に入れましょう。
もう一つ重要なのは、WIDEというステータス。WIDEの大きい装備を持つキャラをレシーバーに回せば、バウス(棒)が広がる仕掛けになっています。
本作のレシーバーの動きは遅めで、アタッカーを受けきれない場面も多く出てきます。WIDEが大きくなる装備は優先的に購入しておきましょう。
さて、もう一つの「会社」とは何か…これはストーリーにかかわる部分です。正直言って、かなりブラックで不謹慎でネタの散りばめられたストーリーになっています。
良い子の皆様は、地名の元ネタを深読みしないようにしましょう。私は作者様の出身地だと思っていたのですが、その証拠はどこを探しても見つからず…。…う~ん、私も深読みしない方がいいかも。

ステージのパターンは大きく分けて4つ。

初期で多いのは、レシーバーさえ守れていればクリアしやすい「マーチ」。ただし、少しでもステージが進むと、「マーチ」でも敵が弾や武器を出してきて、プレイヤーに直接攻撃をかけてきます。
正直言って、ブロック崩しの仕様上、アタッカーは敵の攻撃を回避できません。対策は防具の強化、もしくは回復スキルを持つキャラをレシーバーにする…ぐらいしかありません。オブジェクトの中には回復効果を持つ物もありますが、これまたブロック崩しの仕様上、一番必要なアタッカーに当たるとは限りません。
おかげで私のプレイの場合、かなり長い間マサヨシに初期武器の「銀のタリスマン」を装備させたままにしていました。数少ないHP回復スキルなので。

割と考えずにサクサクプレイすれば楽しい作品です。難易度も調整可能で、軍資金・経験値稼ぎも、繰り返しプレイができるので問題ありません。
逆に、考えながらプレイすると、色々なアラが見えてくる作品でもあります。

マニュアルにもあった「めり込みショット」等の様々なバグ
「アタッカーを跳ね返すオブジェクトを置く」スキルが上昇方向でも跳ね返してしまうので、実質死にスキルになっている等の仕様上の問題
ゲーム中での操作説明がほぼ無く、同梱のマニュアルが必須
しかも、肝心のマニュアルが実行ファイルと同じ場所に無く、その中の「www」フォルダの中にあって見つけにくい…とありましたが、これは現在DLできるバージョンでは修正されています。

考えたプレイでは、1プレイ当たりの稼ぎ効率も重要になります。稼ぎ効率の決め手は「Chain」。アタッカーを落とさないような運用が必要になります。
初期だと、考えなくShift連打でアタッカー3人を同時出撃させてしまいがちですが、これは悪手。アタッカーを落とす確率も、スキルを選択する手間も大きくなり、余計に難易度が上がってしまいます。そのうえ、肝心のダメージ効率には思ったより恩恵が得られません。一定時間耐え抜けばいい「マーチ」なら尚更です。
このような深い操作法もマニュアルには記載してあります。プレイ前だけでなく、プレイ中に「難しいな!?」と思った場合でも、マニュアルを参考にしましょう。
マニュアルを見れば、思っていたより深い箇所まで作者様は考慮して作られた作品であると分かります。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:7 グラフィック:7 サウンド:8

恐れず 悩まず 侮らず

 この作品を一言で形容するなら、おバカです。
 「残念ながら頭が悪い」としか言いようがありません。もちろん、良い意味で。

 まず第一に、不謹慎。
 舞台となるツクシの国は、スタート地点「クマモン市」をはじめ、どう考えても実在する日本第三位の面積を誇る島とは一切関係がありません。
 北西部の半島に位置する都市がキノコ雲とともに消滅します。
 西部の湾内にある都市が工場廃液を垂れ流しています。
 これ、実在する都市を思い浮かべずにはいられますか?
 細かい地名に至るまで網羅しており、何らかの応援の意図があるのかも知れませんが、とてもそうとは読み取れません。
 むしろ、地震ネタを自制できたことが奇跡と言って過言では無いでしょう。
 いや、でも噴火ネタはさんざんやってるなあ……制作時期が違えば、間違いなく陥没ネタもねじ込んできただろうなあ……。
 プレイヤーの皆様はどうか、「何ぃ!? 俺の出身地が廃村扱いだとぉ!?」と気を悪くしないでいただきたいと思います。無関係ですので。はい。

 ストーリーは一応まじめにやっているように見えます。
 シリアスとギャグの使い分けがはっきりしていて、特に大がかりな仕掛などを使わずに牽引力を出しています。
 が、何分投下されるネタが不謹慎ネタ、パロネタ、VIPツクスレのゴメスネタとあまりにバラエティー色豊かすぎ。
 一方で、クソマジメに「勇限会社 勇社」なる会社の実態をロジカルに描こうとしていて、シリアスな笑いに近いものを感じます。
 絶対このストーリー、タイトル先にありきで作ってるでしょ、とツッコまずにはいられません。
 ライトに読み進められるという意味でもよくできてます。頭がいい感じに脱力していきます。

 しかし、なんたって頭悪いのがこのシステム!!
 キャッチコピーの「シューティング+ブロック崩し+RPG+会社!?」からは、好きなもの混ぜれば大好きなものができる的な、子供じみた頭の悪さを感じます。
 しかしねえ、試作した時点で色々わかるはずじゃないですか。
 シューティングとブロック崩しは、思ったほど相性が良くないこととか。

 いや、だって、そうでしょ。
 ブロック崩しのくせに弾幕があるゲームというと、かつて悪名を振りまいた覇王鬼帝シリーズを思い出しますよねーどうしても……。
 避けることで生き延びるシューティングと、当たる(拾う)ことで生き延びるブロック崩し。かみ合わせはその時点で悪い。
 なおかつ本作、自弾にまで食らい判定があって、ダメージを受けるという、多分史上初のシステムを搭載しちゃってます。
 繊細な操作をすることが前提で、その上で避けるか、攻撃するか駆け引きを楽しむのがシューティング。
 繊細な弾操作ができないのが前提で、その上でどのように弾を操作をするか楽しむのがブロック崩し。
 方向性がまったく逆と言っていいんじゃないでしょうか。
 唯一合致するのは「パターン構築」くらいかしら。

 無理して組み合わせてしまうと、覇王鬼帝みたいな難ゲーになりかねない。
 技術的にもデザイン的にも難しいことはわかっていたでしょうが、本作は敢えて全力で振り抜いてます。
 カジュアルなレベルデザインに収めたところは好判断、ナイスバランス感でした。
 アクションにRPG要素を加えてアクションRPGにするように、RPG要素には尖ったデザインを丸くする効果があります。
 レベルアップやアイテムによって、時間を掛ければ難しい敵でも勝てるようになる、というのがRPGですから。
 パターンを作らなくてもクリアできる難易度にして、HP制を導入して、敵の攻撃によるダメージを低く抑えて。
 その上に、マニュアルで紹介している強力なスキルや裏技等、救済措置も多数あります。
 戦況よくわかんないし、ちっとも細かい制御なんてできないけど、とりあえず弾拾って、スキル使いまくってたらなんとなくクリアできました!というバランスに仕上がってます。

 一方では、「思いついちゃったら作るっきゃないよねー」という、良い意味での暴走、自制心の無さ。
 他方では、その思いつきを楽しませるための重ね重ねの配慮。
 この両方を本作からは強く感じるんですよ。コイツはただのバカじゃあ済まないぞ。
 もし詰まったなら、マニュアルのQ & Aを読んでみてください。きっと作者の深い配慮が感じられることでしょう。

 スキルをガンガン使ってなぎ倒す大味さが魅力である一方、ヤリコミ具合はいかがか? という観点で、評点に移ります。

ハマリ度 : 7 / 10
 まずマニュアルは必読。マニュアルを読まないと操作も作中用語もサッパリわからないので注意。
 多種多様なステージに対し、スキルや戦法を色々試していく過程が楽しい。すさまじく強引な方法によるエディットステージ実装は、もはや笑いどころ。
 大味なカジュアルプレイを楽しむ分にはいいが、はたして精密なスコアアタックプレイに耐えられるのか、大いに疑問。ボクもブロック崩しが上手くはないので何とも言えないが、クリア後に「ここからどうスコアを伸ばしていこうか」という興味は湧かなかった。
 メニューが使いづらい、特にステータスが見づらい、わかりにくい。装備を変えてもフィードバックが見えにくくつらい。スキル発動は各キャラごとに別ボタンにしても良かった。
グラフィック : 7 / 10
 ともかく戦況が見にくい。敵も多いしエフェクトもうるさく、自弾を見失うことが何度もあった。
 動くオブジェクトが多いブロック崩し、という無理はあるが、それでも色使い等でなんとかできた部分にも思える。背景とブロックの区別が付きづらい点も同じく。
サウンド : 8 / 10
 ステージに合わせてごたまぜ、歌ものもあり。しかし基本的には背景音の方がうるさく、良くも悪くも気にならないだろう。

 基本一発ネタではあるんですけど、その振り抜きっぷりが実に気持ちいい。
 技術的にどうこうって部分より、まずはその振り抜きっぷりを楽しんでほしい作品です。

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