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■ PRESS START

PRESS START
作者 [ 初(うい) さま ]
ジャンル [ 探索アドベンチャー ]
容量・圧縮形式 [ 91MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2019.10.13:現在の最新バージョンは1.07

PRESS START PRESS START PRESS START PRESS START PRESS START PRESS START

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 10/10 9 /10 78/90 B
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 9 /10
abc 7 /10 10/10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:9

夢か現か月の島

今回紹介する「PRESS START」は、物語中心のアドベンチャーです。探索要素こそありますが、難易度はさほど高くはありません。
メインストーリーの行く先は「会話」メニューで教えてくれますし、サブストーリーのわらしべイベントなども、解決条件は会話の中であからさまに指摘されます。
そして、本作は積極的にイベントをこなすほど楽しめるストーリーになっています。お金をためて日替わりメニューをアイと一緒に食べたり、1回こっきりのコスプレイベントを楽しんだり、そんな単純なイベントさえ、ラストには大きな思い出として残る、そんな作品になっています。

そして、本作は全てのイベント…アイとはじめの真実のみならず、サブキャラクターたちのイベント、隠された秘密、その全て…を閲覧しても曖昧なものが残るストーリーになっています。
そもそも、本作の舞台である「ムーン島」自体が、(はじめにとっての)現実世界なのか精神内世界なのかさえはっきりと言及されてはいません。「マップごとに時刻が固定されている」など、我々の現実からすればありえない世界ですが、「はじめの住んでいた世界」から見れば地続きの場所にあるという描写さえあります。
ムーン島の周りを見渡せば、他の登場人物の生い立ちについて書かれた資料も見つかります。しかし、はじめとアイ以外の訪問者…カイバ、バニラ、トラたちはどこからきてどこへ向かうのか? そもそも、序盤ではじめたちが落ちかけた暗黒の世界の正体は? 本作内では描かれないストーリーがあまりに多くあります。
ストーリーに曖昧な部分を残した理由は何なのでしょうか。プレイ時間の都合? 締め切りの都合? 1プレイヤーたる我々がいくら想像しても真実にはたどり着けません。

本作は、アイとはじめの物語を完結させることを重視したストーリーになっています。ENDはラストの選択肢に合わせて2つに分岐しますが、どちらの場合でもアイとはじめの繋がりは「完結」します。
ストーリーの曖昧な部分も、プレイ中は気になりません。探索で探し出すストーリーは、どれも新鮮で、どれも美しく、どれも可愛いからです。それを追っているうちは、描かれていない部分の曖昧さは気にならない仕掛けになっています。
ただ、ダッシュが無いせいで長い移動時間、ふとした瞬間に途切れる探索の導線、楽しいストーリーを追う時間がふと途切れてしまう場合があります。その場合の対策も、本作は不十分ながら入っています。
長い移動時間は「ブラックホールリング」で短縮できる箇所もあります…が、あっちこっちを行き来する本作で「自分の家に帰還する」が時短となる箇所は意外と少ないです。他の方のレビューにもある通り、ダッシュが欲しかったですね。
謎解きに詰まって探索の導線が途切れた場合は、「会話」メニューを使いましょう。大体の場合行き先を教えてもらえますし、場合によっては「会話」をしないと謎解きのフラグが立たない場面さえあります。
とにかく、積極的にストーリーを「掘り下げる」ことが本作の唯一にして最大の楽しみ方です。現実世界でほんの1時間にも満たない物語ですが、その中で確かに「幸せ」に生きているアイとはじめたち登場人物を、隅から隅まで味わいましょう。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9

闇さえも青空に変え 悪夢を洗い流したい

オープニング
 オープニングの時点で、いやそもそもタイトルからして、イヤな予感しかしない本作です。
 どうせ真相は……我々の期待に添ったものでしょう。
 であるなら、せめて、精一杯楽しもうではありませんか。
 ReadMeにも、こう書いてあります。

ごはんを食べたり島の人と仲良くなったり、寄り道要素が多めです。
メインのみをクリアするならあまり時間はかかりませんが、
寄り道をいっぱい見てからのエンディングをおすすめします。

アイ
 それが彼女、アイの望みでもありますからね。
 まったく、「未練を晴らすために観光地へ行く」なんてこと、どうして考えつくのでしょうか。
 楽しめば楽しむほど、未練は深くなるばかりだと、普通わかりそうなものでしょうが。
 しかし、それが望みとあらば、手加減をする理由は全くありません。そうでしょう?
 ぜひぜひ、未練たらたらでお帰り頂きましょう。そして、プレイヤーも同じ気持ちを味わいましょう。

 だって、本作は短いんですもの。正直短すぎる。
 もっと長くプレイしたい、そう思わせる原因の一つはおそらく、プレイヤーを飽きさせない美麗なグラフィック。
 そしてもう一つが、キャラクターでしょう。
 島の6人の住人たちは、みな魅力的、というかカワイイ、というよりどこかヌケてるので、どうにも情が移ってしまうのです。

セイギ
 第一村人である、セイギ。
 初対面からわかりづらいギャグを飛ばしてスベってましたが、その本性は、ただカワイイものが好きな女の子です。
 アイとはじめがかわいかったから、舞い上がってしまったのでしょう。カワイイですね。

オミナエシ
 次は、小動物系ポンコツ、オミエナシ。
 同年代の友達がいなかったということで、すぐにアイと友達になり、順調にアイの未練を増やしていきます。
 しかしどうにも、失言癖というか、大声で独り言を言う癖が直りません。ぼっちの時間が長すぎました。
 それさえなければ、とても気の利くいい子なんですけどね。だがそれがいい。

カイバ
 カイバさんは、クーデレに分類されますかね。
 「ついこの間人間になったばかり」などと言ってますが、ついこの間幽霊になったばかりのアイを前にしては、イタいとは言えますまい。
 しかし、本人は努力しているものの、未だ常識が不足しているので、フシギちゃんには違いありません。
 短編故しかたないのですが、ものすごいスピードで攻略されてしまいます。それも微笑ましいものです。

バニラ
 スクショではツンデレまがいなことを言ってますが、バニラにツン成分はありません。純粋なチョロインです。
 本職の、料理の腕は確かなんです。その巨大なフライパンをどう使っているかは不明ですが。
 ただ、専門以外の部分のガードがかなりボロボロで、ちょっと、だいぶ心配になります。
 保護欲をかき立てるのですよ。それはわかるのですが。

トラ
 ただねえ、トラの兄貴。あなたのそれは、何というか。
 ここから先はぜひ、プレイヤー各人で彼の声を取り戻して見てもらいたいですね。
 いやあ、残念な人だなあ。黙っていれば良かったのに。

アウラ
 正統派ツンデレはアウラさんの方ですよね。
 近寄る人を不幸にしまいと、遠ざけようとしているのはわかるのですが、まったく隠しきれない善性オーラが邪魔をします。
 実際はさみしがり屋ですから、何に潜り込まれると、すごく弱くなっちゃうんですよね。

アイとはじめ
 では、本作で一番カワイイのは誰か?
 ボクに言わせれば、ぶっちぎりで主人公2人、アイとはじめですよ。
 だって2人は、プレイヤーにとって一番深く関わる人物なんですから。

 イベントが進む毎に更新される、会話イベント。
 1日毎に変わる、ブティックと喫茶店のメニュー。
 繰り返し選んでいくことで、アイとはじめの絆、そして同時にプレイヤーと2人の絆が、どんどんと深まっていきます。
 この2人のじゃれあいは、兄妹というか、親娘というか、嫌味のない、実に微笑ましいものです。
 ぜひ店売り品コンプリート目指して、月のおみやげ収集に励みましょう。
 数がかなりギリギリの設定なので、取りこぼさないよう気をつけましょう。

 以上、さらっとキャラ紹介をしました。
 さらっと済ませた理由は、実際プレイした方が早いから、というのが1つ。
 もう1つは、確定して書けることがほとんど無いからです。
 重ねて言いましょう。やはり短すぎる。評点。

ハマリ度 : 8 / 10
 きちんとまとめたことは評価したいが、各キャラのバックグラウンドやその後を妄想しようにも、少々材料が少ない。もう1日くらい長く滞在したかった。
 1日目がほとんどお使いイベントで潰れてしまったのが痛い。住人6人に挨拶、ご神体を10集めるという、コンプリートを目指す課題が連続したことも、やらされ感を増大したように思える。「人形は対象外」というルールも、初見には理解が難しい。
 マップはグラフィック面での問題の他、少し広すぎるとも感じた。閑散とした島の雰囲気は出ているが、プレイヤーのハードルを上げてしまっている。
グラフィック : 8 / 10
 ドット絵の美しさ、一貫したアートワークこそ、本作で本来想定されている「売り」である。その点に文句はまったくない。
 減点理由のほとんどが、最初に操作可能になる、↓のマップに集約されている。
駅
 この茂みが次のマップの入り口だと、初見で判断できるはずがない。
 せめて矢印の向きが右下ではなく、右上を向いていればわかりやすかったかも知れないが、そもそもマップの入り口が茂みという時点で判断が厳しい。電車の裏側が隠れてしまっているのもわかりにくさを助長する。
 最もひどいマップはこれだが、本作は他にも接続のわかりにくいマップが散見され、たいへんもったいない。
サウンド : 9 / 10
 採用実績も多い曲を多く使っており、選曲には安定感がある。本作には冒険しないくらいの選曲がちょうど良い。
 効果音について。餌付けしたはずの猫が、かなり威嚇的な声を出すのはちょっとドキッとする。意図したものなのかは気になる。

 「未練の残らない人生」なんて、やっぱりボクは好きじゃありません。
 このゲームをクリアしても、いろいろとモヤモヤが残るのは確かですが、何も残らないゲームよりは、よっぽどいい。
 そして、別れに未練が残ったところで、「出会わなければ良かった」とは思わないでしょう?
 本作は確かに、プレイして良かったゲームでしたよ。

 《 abc 》  ハマリ度:7 グラフィック:10 サウンド:8

幸せな夢の中で

このゲームは、幽霊少女アイの思い出の島を見に行く、というゲームです。
戦闘などは一切ありません。ただひたすらに島を散策して住人と触れ合い、アイの用事を済ませるのがこのゲームの目的です。

このゲーム最大の特徴は、何といってもグラフィックの美しさでしょう。
ドットで構成されたキャラクター、風景、そのどれもが鮮やかで美しく、プレイヤーは自由に島を歩き回れます。
マップは何処も魅力的な場所がありますが、私が特に好きなのは、「星の降る丘」という場所です。とてもドットとは思えないほど雄大な空と海を一望できます。本当に綺麗なので、これだけでも見る価値があると思います。

本作をプレイしていて気になったのは、歩行速度の遅さです。最も、この世界観ならゆったりと過ごす意味でも悪い事ではないと思うのですが、洞窟や病院など、やや遠い所を繰り返し往復するのは少し面倒でした。
出来ればダッシュ機能が欲しかったです。

ストーリーの合間に遠回りして住人と交流を深めても数時間程度でクリアできるゲームです。
ですが、キャラクター一人一人が十分な個性を持っているため、もっと長くプレイしていたいと思わせてくれるゲームでした。
また、本作はストーリーがサクサク進むため、合間に住人と話し漏れがないように、イベントの合間にこまめにセーブを取っておく事をお勧めします。

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