■ 三代目レビュー アドベンチャー 17
Rental エスターと希いの竜

【 Rental 】

Rental
ジャンル [ 3D探索ホラー ]
作者 [ Lonely House さま ]
容量・圧縮形式 [ 178MB(解凍後)・Steam ]
製作ツール [ Unity ]
言語 [ 英語、スペイン語、中国語、日本語 ]
備考 [ Steamクライアントが必要 ]
配布元 配布元

おいでよ かりものの家

木々生い茂る浜辺を進む、ウサギの4人家族。彼らは、奥地にある賃貸別荘にバカンスに来た。
われらが主人公は、家族の長女・Umi。年頃らしく冷めた所のある彼女は、退屈な田舎の景色に飽き飽きしていた。
いそいそと準備をするほか3人を尻目に別荘に一番乗りしたUmi。しかし、別荘の入り口は、彼女の背後でカギを掛けられてしまう。
奥にいた別荘の管理人は、「ここから脱出するためには、おまじないが必要だ。十字架を6つ、ロウソクを3本、そして『怒れる男』と『バーの裏の女』…」と言い残し、消失してしまう。
幼いUmiは、たった独りで探索しなければならない。怪しい影が漂い、恐ろしい秘密が隠されたこの別荘を…。

Rental Rental

本作を語るためには、とある有名ゲームシリーズに触れる必要があります。そう、「Animal Crossing」(どうぶつの森)です。
ニンテンドウ64の時代から令和の今現在まで世界中で大人気の「どうぶつの森」シリーズ。ファンシーを基調としていながら、どこか無機質な不気味さも感じ取れる本作の世界観は、リスペクト作も数多く生み出してきました。
特にインディーズでは、その「無機質な不気味さ」を強調したホラー作品が数多くあり、本作「Rental」もその1つとして数えられます。
本作の初出は2022年。「32bit jam」…90年代基準の次世代機(64, PS1, ドリキャス)風のゲーム大集合…という小規模大会の出展作でした。そこで高評価を上げたのか、Steamへの移植が今年に完成し、今現在のような話題作となりました。

Rental

本作は初見でも30分程度でクリアできる短編。ただし、実績の中には「調べられる箇所を全て調べる」と難解なものもあり、極めるには何周も、場合によっては外部の攻略情報が必要となります。
ただ、終盤の迷路は意外と難易度が高く、3D酔いも併せて体感プレイ時間は4倍以上に感じました。
この迷路は、完全1人称視点・壁が総鏡張りになっています。「Umiが正面に映っているか」で壁の有無を判断する…ということすら、しばらく操作して自力で学ぶほかありません。。それほど、終盤の迷路の「放り出されっぷり」は唐突です。
当然ながらオートマップは無い上に、「十字架3個が分かれ道に散らばっている」仕様。初見だと、最初にゴールの扉を見つけた時には十字架が1つ足らず、別の分かれ道を探す際、そして十字架を集めきった後に再度ゴールを探す際、分かれ道の場所を忘れてスタート地点を何回もうろちょろしていました。

そんなグダグダ・ガバガバなプレイでも30分でクリアできるほどの短編です。果たして貴方は別荘の謎を解けるでしょうか。意外なレベルでの「隅から隅までの探索」を求められる作品です。


(補足)
2024.04.12:日本語に対応しました。

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【 エスターと(ねが)いの竜 】

エスターと希いの竜
ジャンル [ 3D探索アドベンチャー ]
作者 [ ブレイズエッジ さま ]
容量・圧縮形式 [ 244MB・ZIP ]
製作ツール [ Unreal Engine ]
言語 [ 日本語, 英語 ]
配布元 配布元

旅路の果てに手に入れるものは…絆、故郷、衣装、そしてメガネ。

エスターは、頭に響く謎の声に導かれていた。導かれた先は朽ちた研究施設。
導き手たる謎の光と協力し、研究室の奥底に進むエスター。そこで見たものは、龍のような結晶と、小型の竜に変わった導き手であった。
「わが故郷・エルテリオンに連れて行ってくれ」という願いに従い、砂漠を、水中神殿を進んでいくエスターと竜。
険しい旅路の果てに、一人と一匹が見るものは…。

エスターと希いの竜 エスターと希いの竜

本作は、アンリアルエンジン製の美麗な3Dグラフィックで彩られた探索アドベンチャーです。
最大の特色は、何といっても主人公たる一人と一匹のキャラ立ち。表情豊かに繰り広げられるイベントシーンは、短いながらも充実したプレイフィールを与えてくれます。
エスターには着せ替え機能もあります。コスチュームは道中の隠しアイテムとして取得でき、着せ替えた見た目はイベントシーンにも反映されます。ファンシーに着飾ったエスターを愛でることが、本作の第一の楽しみ方となります。

当然、「探索アドベンチャー」ならば謎解きもあります。本作では、謎解きにも特色があります。
それが、竜とエスターとの「シェアリング」。エスターでは歩いて行けない場所に竜を行かせて「シェアリング」をすると、ヒントの閲覧からテレポートまで、便利に使えます。
ただ、本作は短編かつ処女作である故か、謎解きのボリューム自体はそれほどありません。まともな謎解きは第1ステージの研究施設に集約されており、中盤の砂漠以降は広いマップの探索が主となります。
もちろん、中盤以降も「シェアリング」が重要です。広大なマップの行き先を(それとなく)教えてもらえたり、強制的に先行する竜に追いつくためにテレポートを利用するなど、「シェアリング」に気づかないと進みにくい・進めない箇所は最後まで詰まっています。

エスターと希いの竜 エスターと希いの竜

習作的な意味合いの強い短編で、ラストも「次回作に続く」的な作品ですが、その短い物語に詰め込まれた美麗な世界観、ぜひ皆様にも味わっていただきたいと思います。


(補足)
2024.03.03:現在の最新バージョンは、1.12です。

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