【 返校 -Detention- 】

返校
レビュワー [ ES ]
ジャンル [ ホラーアドベンチャー ]
作者 [ 赤燭遊戲 さま ]
価格 [ 1,180円 (税込み) ]
公式HP [ http://redcandlegames.com/detention/?lang=jp ]

少女の手は、なにゆえ血に染まる?

返校

台湾にある翠華高校、周囲を川に囲まれたこの高校は嵐に遭い、孤立してしまった。
そこに取り残された2人の高校生、ファン・レイシンとウェイ・チャンティン。
2人は救助が来るまで校舎内に待機することを選択する。
備品を取りに行くため教室を離れるウェイ。しかし、その次の瞬間、舞台は暗転し…

返校

目覚めたファンの目の前には、変わり果てたウェイが吊るされていた…。

本作は、1960年代の台湾を舞台にしたホラーアドベンチャーです。
1960年代当時の台湾は、蒋介石による独裁政権の真っただ中。それによる生活不安と思想弾圧、そして魔女裁判に近い疑獄が、「返校」の恐怖の源となっています。
オープニングの時点で、軍事教官による厳しい教育監督が描写されています。ストーリーを進めるにつれて、登場人物を取り巻く生活不安と思想弾圧の影が徐々に明らかになっていくのです。
ファンを襲う怪物、学園内の奇妙なオブジェクト、その全てに背景が用意されています。例えば、怪物にやられると、コンティニューに向かう道中ですれ違う老婆から、彼らの背景がそれとなく語られる仕掛けがあります。

プレイ時間は3~4時間程度ですが、その中で味わうファンの恐怖と苦しみ、ウェイの生い立ち、グロテスク満点で描かれる思想弾圧の恐怖…話の全てに衝撃を受けるでしょう。
しかし、それを味わう中で解かねばならない謎は、難易度が高めです。ヒントを探し回るために、いつ怪物に襲われるかわからない道をひた走るのはいいとして。後半になると、絶対音感が必要な謎、ラジオの周波数を切り替えてマップを移動する謎、TRUE ENDを見るために終章の展開を繰り返す(メッセージスキップ不可)と、攻略を見ないと甚大な苦労を強いられる難易度です。
そして一番難易度が高いのは、現時点では、攻略情報は中国語でしか出回っていないという点です。日本人たる我々にとっては、攻略情報を翻訳すること自体がパズルになる程です。

しかし、本作は攻略情報に頼ってでも2つのENDを見てほしい、そんな作品です。
事あるたびに初期化され、学校の形自体も変化する、ファンのいる世界の正体は…? そして、翠華高校とファンに起きた残酷なる事件とは…?
美麗なグラフィックで描かれた、小汚く血なまぐさい世界を、ぜひ体験してください。

私が本作の恐怖を味わったのは、1年前の体験版からでした。本来は体験版を紹介したかったのですが、完全版が発売された現在では、体験版は公開を停止しています。
完全版の購入にはPLAYSM, Steamのアカウントが必要になります。
11/2まで、50%offセールを実施しています。この機会にワンコインでぜひプレイを。

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