【RPG】INDEXへ / トップページへ

■ ThisTimeOnly -Ash Rain-

ThisTimeOnly
作者 [ Med.y.m さま ]
ジャンル [ 今を生きる王道RPG ]
容量・圧縮形式 [ 614MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールVX ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 現在のバージョンは、1.42 ]
配布元 ダウンロード先

ThisTimeOnly ThisTimeOnly ThisTimeOnly ThisTimeOnly ThisTimeOnly

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 7 /10 8 /10 77/90 B
きゅあ 10/10 10/10 10/10
赤松弥太郎 8 /10 7 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:8

灰の雨降る世界でも、冒険は王道。

今回のイチオシ作品「ThisTimeOnly」は、↓のきゅあ氏のレビューの通り、様々なメタ構造を持った作品です。
「灰の雨」という原爆を思わせる世界、「灰被り」と呼ばれる非人層がいる世界、それぞれに暗い過去を背負ったキャラクターたち…。
しかし、そんな暗いものは裏面に隠れているのが本作です。基本は王道のダンジョンハックRPG。ストーリーを進め、サブクエストをこなし、道中に落ちている素材から装備・アイテムを整えていく、様々な仕掛けの詰まった作品です。

本作には、様々なシナリオが詰まっています。メインストーリーを軸として、各章でこなせる様々なサブクエストが用意されています。
各地のギルドで受けるサブクエストは、他のRPGでもよく見るものでしょう。指定されたアイテムを集め、ギルド窓口で依頼解決の報告をする、お馴染みのシステムです。
しかし、もう一つの「便利屋クエスト」が、かなり特殊な手順を踏まなくてはいけません。

  1. 「便利屋」のギルド長・シャルルから依頼一覧を受け取る
  2. 依頼一覧をメニューの「便List」(もしくはF6キー)で確認
  3. 確認すると、各依頼に書いてある「場所」に依頼人が出現
  4. 依頼人と会話してクエスト受理
  5. クエスト解決したら、再び依頼人と会話してクエスト解決
  6. 「○○体の魔物を倒せ」系の依頼では、クエスト受理してからの戦闘回数がカウントされるため注意

…しかも、「便利屋クエスト」は、以下の難点があります。

特に、解決済クエストが分からないというのは、明確に難点です。ここまでのストーリーとクエストを積み重ね、独自スクリプトによるサイドビュー戦闘を作り上げた作者様が、この点を見落としていたとは考えづらいです。
「マップを実際に歩いてほしい」とは、赤松氏が「便利屋クエスト」の仕様の理由として挙げた仮説です。依頼を受けるために歩き回るのは確かに楽しいのですが、受けた後の解決済は分かるようにして欲しかったです。今からでも修正できませんかね。

本作の難点は、もう一つあります。初期マップが暗い所です。グラフィック点を低めに評価した理由でもあります。
これには、初期の地点は「緑に覆われて薄暗い場所」という設定があるためです。しかし、そんなことなど露知らぬ初見プレイヤーが、壁すら見えにくい森のマップを見て、そんな裏設定に思いを馳せられるでしょうか? 少なくとも私にはストレスでした。
決してバグではなく、あえて薄暗いマスクの入ったピクチャを画面の上に入れているのです。作者様にとっては「ストーリー上欠かせない演出」なのでしょうが、プレイ本体には邪魔にしかなりません。

以上の通り、本作は利便性を犠牲にしてまで世界観を描いている面が多くあります。
本作は、ストーリーをこなすにしろ、クエストを解決するにしろ、レベルを上げるにしろ、とにかく徒歩を強いられます。そして、徒歩にてマップを埋めていくのが楽しい作品でもあります。
寄り道したところに、重要なドロップアイテム・サイドクエスト解決に必要なダンジョン・各キャラの秘密など、色々な隠し要素が詰まっています。本作は、メインストーリーも豊富ですが、それ以外の寄り道はより一層豊富です。
上に挙げた難点にさえ気を付ければ、戦闘難易度・マップを走破する利便性・世界を回る楽しさ、いずれも一級品の作品であることは確かです。
受けるダメージが大きい、常にAPを消費する戦闘コマンド、バリエーションが多く、画面が埋まるコマンド選択画面に戸惑うでしょう。しかし、APは防御やエグゾーストで簡単に回復できます。エグゾーストや奥義で利用するドライブゲージは、割と簡単に溜まるので、ザコ敵にもどんどん使用することが推奨されます。
一部的には、バッドステータスを与えることで威力が上がる技もあり、作戦を組み立てる楽しさも一層増していきます。

戦闘もストーリーも、色々と考える要素が豊富にありますが、考えきることが要求される難易度でもありません。基本的に「こうすればより楽になるぞ!」という発見を重視した造りになっています。
とりあえずのクリアまで40時間と、気軽にプレイできるとは到底言えないシナリオ量ですが、この休みを利用して、ぜひプレイしてください。

 《 きゅあ 》  ハマリ度:10 グラフィック:10 サウンド:10

メタ構造が面白い王道RPG

今回紹介する『ThisTimeOnly -Ash Rain-』は、震災と時間移動がテーマの長編RPGです。
大体の人はタイトルを見て、「文明が発展して世界が滅ぶまでの間に主人公達はどう生きるか」を描いた物語を予想すると思いますが、
実際にプレイしてみるとそれだけでは終わらない展開が待ち受けています。
具体的にはタイトルのThisTimeOnlyには物語で2つの意味があるのに加えて、メタ構造としての意味も持っています。
つまり1つの言葉に3つの意味があることになりますが、そのことが重要な曲のファイルで裏付けられているのも面白いです。

そしてそのメタ構造がとても面白いのですが、その理由はそれが「物語とリアルのThisTimeOnlyを重ね合わせる」だけに留まらないところにあります。
具体的には世の中の出来事や過去の名作達を連想させる表現もあれば、
ネットスラングや現代風の言葉のようなちょっとしたネタまで、本当に色々なものが仕込まれています。
なので重ね合わせることによるメッセージ性よりも、寧ろ仕込んであること自体に韻を踏んでいるような面白さがあります。
仕込み方もフリーゲームにありがちな露骨さはなく、物語に上手く溶け込んでいるので、ネットスラングやメタ発言等が嫌いな人でも問題ありません。
ちなみに個人的には新海やAIやワンピ辺りは良かったですし、普段日の目を見ないリバタリアニズムなんかまで仕込んできているのには驚きました。

物語は全体的に王道の要素が強いですが、懐古な作品を除けばここまでの王道RPGは逆に珍しいほどでした。
更に熱い展開が多いのも特徴ですが、特に後半からは畳み掛けるような熱い展開が続いてとても盛り上がります。
雰囲気としてはギャグとシリアスが丁度半々くらいで、登場するキャラ達はシリアスパートが来ない限りは大体ネタに走ります。
他方で本作では環境や差別といった震災に関するテーマも取り入れられているので、シリアスな雰囲気も楽しむことができます。
テーマといえば時間移動も物語のテーマの一つですが、本作では寧ろ時間移動しないこと自体が物語のテーマとして描かれていて、
それが時間移動を使う数々の名作達に対するアンチテーゼにもなっています。
なのでそれらも踏まえると、ここまで王道ではなくもう少し複雑な物語でもよかったという印象も一方ではありました。

設定の面では本作の特徴でもあるリアリティの追求がされている一方で、物語の設定が頭の中に入ってくる分かり易さも兼ね備えています。
また戦闘の中にも物語の本筋に関わる設定が散りばめられていて、物語と戦闘がとても上手く両立されています。
ちなみに前作である『PUPPET WILL』とは少しだけ繋がりがありますが、
繋がりは同じ世界観のパラレルワールドという関係なので、今作からプレイしても問題なく楽しめます。

勿論物語だけでなくゲームとしてもとても作り込まれています。
戦闘は半オートで再び行動する追撃と、ターンを消費しないで使えるエグゾーストが大きな特徴です。
他にも特殊ジェムの装備を組み合わせてジェムアーツと呼ばれるスキルを使用したり、CPを消費してスキルをセットしたりとやれることが多いです。
また戦闘バランスも特徴的で、本作ではAPや状態異常やアイテムや所持金といった部分で苦しむことはほとんどありません。
言い換えれば戦闘はリソース管理を廃した絶妙なバランスでした。
ただマップではシンボルが追いかけてきて逃げても消えないので、特に狭いマップでは厳しい部分はありました。

またグラフィックや音楽の部分でもとても作り込まれています。
グラフィックは全体的に完成度が高い一方で荒削りな部分もありますが、
寧ろ完成度の高さと荒削り感が相俟ったとても新鮮なグラフィックになっています。
キャラのグラフィックは某有名素材サイトの改変が多いものの、グラフィック自体はとても良い感じでした。
マップは特に街道が魅力的で、街との距離がマップの雰囲気で分かるのがとても良い感じでした。
音楽は全体的に爽快感がありますし、4曲だけですがオリジナル曲もあります。
更に効果音も全体的にリアリティのあるものが使われています。

本作にはプロのような洗練されたものや崇高なものはないですが、それでも面白いと思わせるものがあります。
具体的には本作には少しの教養と、定石無視の偶然性が生み出した面白さがあると思います。
言い換えればいくら洗練させたり定石通りに作ったとしても、必ずしも面白さには直結しないということでもあります。
そんな中で本作はやりたいことをやり切ったという想いがとてもよく伝わってきました。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:9

僕の旅は続く 僕はどこまで行くのだろう

 イチオシでは久々の長編RPGです。
 長編RPGを自発的にプレイする機会が減ってしまったボクですが、今回は思う存分満喫することができました。
 長編RPGをクリアした時の感慨って、やはり特別なものがありますよね。
 ストーリーを追うだけでは味わえない共感と、戦闘だけでは得られない達成感があります。

 本作をプレイしながら、長編RPGの楽しみって何か、考えてました。
 最近はフリーRPGでも、サクサクとストレス無く、楽に短時間でプレイできる、安近短型の作品が多い気がします。
 でも、お手軽なゲームでは得られないものが、長編RPGにはあると思うんです。
 ちょっと詰まって右往左往したり、強敵に手こずって何度もやり直したことも全部ひっくるめて、プレイヤー自身のエピソードが、ゲームと強固に結びつく、そんな体験はありませんか?
 特殊な技術がないプレイヤーでも、誰でも等しく、そういう体験が味わえるのが長編RPGの強みでしょう。
 プレイヤーを怖がって、ゲームからすべてのストレス要素を取り除いてしまったら、プレイヤーには何も残らない、そうボクは思うんですよ。

 そう、本作は、決してストレスフリーじゃありません。意図して利便性を捨てていると、作者自身が明記しています。
 気軽に手軽に楽しみたい人には、向いていないゲームと言えるでしょう。
 具体的に見ていきます。

 まず、敵の強さについて。ボクはNormalモードでプレイしました。
 作者はザコの攻撃が強いと書いていますが、シンボルエンカウントですし、回復手段は豊富なので、落ち着いて対処すれば、基本的に攻撃は苦になりません。
 さすがにボス戦は注意が必要ですけど、耐性パズルとか、ボス固有の攻略法とかを考えずにクリアできる程度の難度です。対策すればもっと楽になるでしょう。
 むしろ中盤以降、敵の体力が多くなり、時間がかかる傾向がありました。
 やはり、寄り道によるレベルアップと装備の充実を前提にしていることは間違いなさそうです。

 ということで、ギルド員の本分たる依頼解決に精を出すのですが。
 本作の依頼は2種類あります。リナリーの所属ギルド「便利屋」から受ける「拠点依頼」と、それ以外のギルドから受ける「斡旋依頼」です。
 このうちの拠点依頼だけが、妙に使いづらい仕様になっています。
 斡旋依頼の場合の手順は、以下の通り。

 便利屋以外のギルド(どこでも同一内容)で依頼書一覧を見せてもらい、依頼内容を確認して、受諾する。
→指定の素材を集める
→便利屋以外のギルドどこでも(受諾した場所でなくてもOK)、納品して報酬をもらって完了

 これは標準的でわかりやすい手順なんですが、拠点依頼は違います。

 便利屋で依頼書一式をもらう(便利屋に行かないと入手できない)
→依頼書に書いてある待ち合わせ場所に行き、依頼主の話を聞いて受諾(依頼の詳細は、依頼主に確認しないとわからない)
→素材収集、または敵の討伐を行う(ザコ討伐依頼は、依頼受諾からカウント開始)
→依頼主のところまで報告に戻って、報酬をもらって完了(イベント等で依頼主のところまで戻れなくなると自動的に失敗)
※章を跨ぐとすべての依頼がリセット

 比べると愕然とするほど扱いにくいのです。
 斡旋依頼はメニューから全情報が確認できて、依頼条件を満たしたかどうかも確認できるのに、通常依頼の場合、メニューから確認できるのは依頼書だけ。
 依頼条件を満たしたかどころか、依頼を受けたかどうか、報告済みの依頼かどうかさえ、メニューからは確認できません。
 さすがに、進捗くらいは見えるようにしてほしいところでした。

 ですが、一方の斡旋依頼が使いやすいのに、拠点依頼が使いにくいのは、意図した調整としか思えません。
 マップを歩いてほしいという、確かな意志が感じられます。
 長く歩けば歩くほど、マップも愛着が増すものです。
 一度はクリアした街であっても、再び依頼のために訪れると、また違った表情が感じられるはずです。

 作者さんはマップの広さを気にかけていますが、ボクはそこまで気にはなりませんでした。
 むしろダンジョンマップが広いおかげで、余裕をもって敵シンボルを回避できるのはボクには助かりました。
 街マップは、時々広すぎてダッシュがほしくなることはありましたが、迷子になることは少なかったです。
 (Aキーの高速化は、イベント以外での動作は保証外ですからね。念のため。)

 それより面白く感じたのは、ルーラがない点。もちろん飛空艇もありません。
 一度行ったことがある街でも、鉄道を乗り継ぎ、馬車を使って辿り着く必要があります。
 利便性を捨ててでも、マップを歩くことを大切にしていることを感じます。
 新しい街に行く場合、だいたいは、まず中継地点に向かって、目的地行きの道を進むように指示があります。
 特にティムル平野は、何回も足を向けることになる交通の要衝です。
 ストーリー上でも、森林地帯でマップが暗いフィルミア地方から、明るいルストラ地方に出てきたばかりの時に初めて入る、印象に残りやすいマップになっています。

 さて、便利でなくした理由を、作者さんはリアルさの追求としています。
 でもプレイヤーとしては、こういう部分でリアルさを気にする人は少ないと思うんですよね。
 キャラクターと同じ経験を共有してることの方が、プレイヤーには大切じゃないでしょうか。

 本作のキャラ立ては実に見事の一語に尽きます。
 主要キャラもサブキャラも、ストーリー上でまずブレがない。
 ボクが今回、個別のキャラ紹介をしなかったのは、ネタバレしないように、という意味が大きいですが、敢えてボクが紹介しなくても、作中だけで誤解なく伝わるだろうという思いもあってのことです。
 各地に点在するサブイベント、そしてギルド個室での会話イベント。キャラクターの過去や背景、考え方におのずと興味を惹かれる作りになっています。
 あと、斡旋依頼に混じってる、匿名とかイニシャルの依頼ですね。あれはズルいなあ。「お前らそんなことしてる場合か」とツッコまざるを得ない。
 様々な面を見せてくれる各キャラですが、それでも、各キャラの軸はまったくブレず、一貫性があるのです。

 ただしここでも、利便性よりもリアルさを優先するのがこの作品です。
 本作はストーリーの都合上、パーティメンバーの離脱がかなり頻繁に起こります。
 そして本作、離脱時は装備全部持ち逃げです。ボス戦直後だろうが容赦はしません。
 まあ、パーティから離脱しようと、それぞれの生活を続けているわけですから、装備を置いていく方が不自然ではあるのです。

 しかし、さすがに「先に帰ってシャワーを浴びたいから」って理由で離脱した時は、ビックリしましたね……。
 なんでも、最新バージョンで急遽追加されたイベントらしく、調整と書いてあります。ボクが見落としてるだけだと思うんですが、あいつ一人でそんなにバランス崩れるかな……?
 少なくともストーリー上は、この離脱はほぼ意味がありません。ダンジョン一つ終わった時点で復帰しますし、それが何かの起因になることもない。
 だけれど、キャラのことを考えると、「あいつならやりかねないなぁ~……」という妙な説得力があるのも、また事実なんです。

 離脱メンバーを主力として使っていた人には、たまったものじゃありません。
 代わりのメンバーを選び、戦略を立て直し、装備を再吟味する必要があります。
 本作は全てのキャラに一時離脱イベントがあり、スタメンを固定することができません。
 だいいち、ギルドでの会話イベントは、パーティに入れた戦闘回数によって解禁フラグが立つので、コンプリートのためには全キャラを一通り使う必要があります。
 でも、それがまた楽しいじゃありませんか。
 控えメンバーも含め経験値は一律で手に入るので、レベル差はほとんど無いのですが、本作のキャラは個性が強く、換えの効くキャラは存在しません。
 メンバーを一人交代しただけでも、各キャラの役割やバランスがガラリと変わることが多くあります。
 その楽しさをプレイヤーが経験しているからこそ、終盤の2パーティ分割イベントでも、戸惑うことが少なく楽しめるのです。

 以上、本作の長編RPGとしての魅力を、ストーリーにほぼ触れずにお伝えしました。
 しかし、本作はやはりストーリーRPGなんですよ。
 ストーリーに関してはぜひ、皆さん自身で楽しんでもらえたら、と思ってます。
 評点で少しだけ触れますね。

ハマリ度 : 8 / 10
 ストーリーについて、ストレートに面白いものの、意外性に乏しく、作者が意図したようなひねりの面白さはプレイヤーに伝わりにくく感じた。
 甲冑の男の正体や動機が見え透いている以上、ラスボスの動機に期待が高まるが、それに応えられるものではない。最後の大仕掛けにむけての伏線が、主人公のデジャブと、不自然ではない程度のご都合展開、というのは弱い。あの仕掛けでなければ説明が付かない、不自然なまでのご都合展開でもないと、「ああ、あの時の!」と膝を打つような納得はしづらい。
 とはいえ、個々の見せ場では盛り上がるし、キャラ立てはしっかり丁寧にやっていてブレが無い。熱血王道、安心して楽しめるストーリーと言える。
 メニュー項目が多すぎ、順序もこなれていない。メニューカーソルが上端にあるとき、上を入力しても下端にいかない仕様なのに、割と頻繁に使う[Party]や[Grow]、頻繁に確認しないと溜まる一方の[Story]が下の方にあるのはしんどい。
グラフィック : 7 / 10
 不満はやはり、全体に暗く、見づらく調整されている点。せっかくのマップがもったいない。
 開始早々のリーバスの森が特に暗く、初見バイバイになりかねない。暗いマップで、夜、黒っぽいボスと初見で戦うと、何と戦っているのかまったくわからない。ミニマップがあればいいというものでもない。
 回想シーンでのノイズ演出も、台詞が隠れてしまうせいでだいぶ鬱陶しい。
 戦闘画面の見やすさ、特に最重要であるダメージ累計とヒット数表示が左上、一番見やすいところに表示されているのは良い。エフェクトは派手だが見づらさを感じることはない。
サウンド : 9 / 10
 戦闘時の効果音が小気味良くリズムを刻む、この快感がたまらない。
 曲は粒ぞろいではあるものの、やや曲数が多すぎる。ステージ曲は長く聞く分印象にも残りやすいが、イベントや戦闘では「これぞ」という曲が少ない。キャラごとのテーマ曲もせっかく設定しているのだから、もっと活用して、印象に残る聞かせどころを作っても良かった。

 This Time Only。最初はピンと来ないタイトルでしたが、確かにこの作品には、一期一会の楽しみがあります。
 延々と続けられるゲームも、手早く終わらせられるゲームもある中で敢えて、読み切りの長編RPGを楽しむ、
 そんな「敢えて」を選んだプレイヤーの期待に、本作はきっと応えてくれるはずです。

【RPG】INDEXへ / トップページへ