【RPG】INDEXへ / トップページへ

■ 戦乙女《レギンレイヴ》の終末論

戦乙女の終末論
作者 [ 紫苑もみじ さま ]
ジャンル [ 現代ファンタジーRPG ]
容量・圧縮形式 [ 442MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ ゲームアツマールでもプレイ可能 ]
配布元 ダウンロード先

戦乙女の終末論 戦乙女の終末論 戦乙女の終末論 戦乙女の終末論 戦乙女の終末論 戦乙女の終末論

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 8 /10 9 /10 48/60 B
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 7 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9

つかめ勝機! ひらめけ勝算!

本日のイチオシ作品「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」を例える際、私は、とあるスマホゲーム「メギド72」を例えに出しました。
どちらも、味方どうしのシナジーを考えた「作戦」が有用になるバトルシステムという点で共通していますし、「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」のスキルの中には、そっくりそのままレベルで「メギド72」のキャラと性質が似ているものが存在します。
ヒカルの初期スキル「サジタル」…威力が少し強い攻撃+通常攻撃を追加というスキルは、「メギド72」の初期メンバー・ウェパル(ラッシュ)のスキルと似た性能をしています。
少し話を進めると仲間になる優紗(ゆさ)の初期スキル「クロスアタック」…味方の通常攻撃に追随して攻撃を加えるスキルは、イポス(ラッシュ)のスキルそのままです。

もちろん、「メギド72」と「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」には、明確な相違点もあります。
1つは、「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」は3回まで自由にコマンドを指定できること。3人で1回ずつ行動させることはもちろん、1人に3回行動させることも自由にできます。使用できるコマンドがターン開始時に配布される「フォトン」で決まり、場合によっては「スキルを使わないと負けるターンでスキルフォトンが出てこない」などの「フォトン事故」を起こす「メギド72」とは、作戦の自由度という点で異なります。

2つ目は、行動の条件がゲージ制ではなくリソース制であること。「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」の「スキル」はSPと呼ばれるポイントを使用します。SPは通常攻撃や季桃(りもも)のスキル「お日様の加護」など回復手段が多いため、(敵のメタを張れるものを中心に)積極的に使用することが推奨されます。
曲者なのは、もう1つのコマンド「ルーン魔術」。MPを消費する回数制で、特殊な事情があるヒカルで5回まで、それ以外のメンバーは3回までしか使えません。その割には、内容は「属性攻撃」「回復」「復活」など「普通に使える」ものばかり。「悪さができる」レベルに強い魔術を使うためには、魔石を強化してレベルを上げる必要があるのです。
その反面、ルーン魔術は「戦闘前の『隊列&魔石』画面で自在に付け替え可能」という長所があります。魔石を使わないヒカルを除いて、各メンバーが持つ魔術を自在にカスタマイズできるのです。話が進めば同じ魔石を複数個所持できるため、全員が弱点属性を突ける攻撃魔術を装備するもよし、デバフや回復でサポートに使うのもよし、様々な作戦が使えるのです。

3つ目、そして最大の違いは、「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」はレベルが上がるたびにスキル・魔術の数自体が増える点にあります。Lv15になれば3つ目のスキルを覚え、「魔石レベル」を上げれば1つの魔石で使える魔術も増えていきます。
基本的に、話の進め方は「開放された『フリーバトル』を勝ち進んでLvを限界まで上げてからメインストーリーを進める」という前提で組み立てられています。「フリーバトル」でのみ上げられるLvは、それだけ戦局を左右するものなのです。何しろ、「1人あたりの戦法の幅」自体が広がるため。

本作は、戦闘システムのみならず、UIからストーリー展開に至るまでスマホゲームを参考にした箇所が見られます。
ホーム画面を中心に、各画面をマウスクリックやスマホのタップで移動できる作りにしたUI。
ストーリーを進めるノベル部分を「シナリオ進行」に、強化用の戦闘を「フリーバトル」として分割している点。
細かくチャプター区切りされたストーリーを進めるごとに解放される要素、そして謎…。
そうです。本作はストーリー展開も小出しにされる上、チャプター毎の文章量も大きいため、ともすれば目の前を滑って細かい展開を忘れがちなのです。ストーリーのために参考にしている文献も、北欧神話・クトゥルフ神話などと幅広く、前提知識もストーリー内で割と細かめに説明されるため、余計にストーリーが長く読み取りにくくなっています。
しかも本作、そんな「些細な文章」が「重要な伏線」となる例も多数あるため、適当に流し読みすればするほどストーリー内容が分からなくなっていきます。
「注目されるストーリーの作り方」はフリーゲーム、インディーズ、そしてコンシューマの別に関わらず、全てのストーリー性を持つエンタメが、様々な形で腐心を重ねている要素でもあります。その点、「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」のストーリーフックは「オープニングで発生する転生前の(と思われる)ヒカルとユウトの死」ぐらいしかありません。途中で仲間になる優紗と季桃のバックストーリーは初登場時にはほとんど語られず、「(戦法的に)頼りになる仲間」以外の情報が分からない状態のままストーリーを進めさせられます。
もっとも、「初期段階では分からないことだらけ」というストーリーは、作者が意図して組み立てたものです。主人公たちは「エインフェリア」となる中で、記憶や好きなものなど様々な事象を「代償」として奪われたという設定があります。特に、ストーリーの「視点」であるユウトが奪われたものが「記憶」…しかも、エインフェリアとなる切っ掛けとなったごく最近の記憶であるために、ストーリーの根幹がほとんど「謎」となっているのです。

「戦乙女《レギンレイヴ》の終末論」は、ストーリーと戦闘のどちらが中心のゲームかと言えば、間違いなくストーリーと言える作品です。
しかし、そのストーリーを進めるための戦闘も、「メギド72」などが例に挙げられる高難度なシステム。話を進めるほど戦法の幅は広がり、その分「勝てる戦法」を探る手間も増えていきます。「有効な戦法」は戦闘前にヒントが出ますが、より詳細に探るためには戦闘画面で敵を選択したときに出る「敵の(スキル性能を含めた)詳細なステータス」を吟味する必要があります。
様々な意味で「見た目以上に難しい」作品ですが、今月末の連休を機に深く探ってみるのもいいでしょう。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:7

SOS受けて 君の待つ明日へ

 はい、みんな大好きクトゥルフ神話の時間です。

 クトゥルフ神話は、自由だ!!

 ということで、これまたみんな大好き北欧神話と掛け合わせたのがこの本作。
 ついでに、タイムリープとかSF要素も入れちゃうけど、いいよね? だってクトゥルフ神話だし。
 色々ちゃんぽんな世界観を、存分に楽しめばいいと思います。

 ただ、シナリオについては、ここで語れることがあまりありません。
 物語全体が大きな謎かけになっていますので、ネタバレが怖いんですね。
 最初は戦闘が少なく、シナリオが長すぎるように感じられるかもしれませんが、本作はむしろノベルパートメインのバランスですので、伏線を把握するためにも、じっくりと読みましょう。
 序盤から伏線が色々と仕込んでありますので、神話知識のある方は、背景を色々と推理してみるのも楽しいでしょう。
 注意点としては、現代はラグナロク後の世界という設定ですので、そこだけは押さえておいてください。序盤で説明されますが、うっかりすると混乱しますので。

 なので、残りの戦闘の部分について。
 作者さんはフリーゲームに造詣が深い一方、クトゥルフ神話TRPGのシナリオ自作経験もあります。
 TRPGと比較した時のコンピュータRPGの良さは、複雑なシステムを作っても自動計算してくれることと、何回でもリトライする前提のバランスが作れること、ですね。
 はい。本作はきちんと考える戦闘バランスになってます。

 まず、味方の技能によるシナジーとコンボが、とんでもない勢いで伸びていきます。
 序盤の時点で、「あれ? クロスアタックとアタックサポートを組み合わせれば、1ターンで最大12連撃できるんじゃね?」と気付くと思いますが、終盤はそんなレベルじゃない。
 1ターン最大36連撃とか、スキルが期待値で10連射とか、全員の行動が対象全体化とか、ロマンコンボの大安売りです。
 いかに堅い終盤の敵であっても、ハマってしまえば無傷では済みません。
 何しろコンボが決まった時は爽快ですからね。ついつい狙ってしまいたくなるものです。

 しかし、敵も無抵抗でやられるわけにはいきません。
 プレイヤーにとって何が一番嫌かって、それは状態異常ですよ。コンボパーツを潰されたら、下手すると1ターンの行動がすべてパーです。
 プレイヤーにわかるのは、相手が使う攻撃の種類と、攻撃のタイミングだけ。誰に飛ぶかはわかりませんし、事前に回復コマンドを仕込むのは難しいでしょう。

 しかし、本作の状態異常を防ぐ手段は、かなり限定されています。
 第一に、装備というシステムが存在しないので、事前に状態異常耐性を得ることができません。
 なので、スキルで状態異常耐性を得るしかないのですが、強力な代わりにチャージタイムが長く、限られた人間しか使えません。
 回復や耐性獲得に手数を割かれれば、その分攻撃の手が緩まり、ジリ貧になりかねませんし気分が良くないですよね。
 こちらから状態異常を掛けるのが正解、という場合もあるけど、終盤になると大抵は耐性があったり、自動回復したりするんだよなあ……。

 どーして気持ちよく殺らせてくれねえんだ!!と思う気持ちは、とてもよくわかりますが。
 上手くいくまでリロードしてゴリ押しすることもできますよ? 当たったら倒せちゃう程度の火力は出せますし。
 でも、本作の想定された楽しみ方では無いような気がしますね。
 状態異常に備えて行動に余裕を待たせておくとか、もし思い通りにならなくても、状況に対応する戦略とかが試されてるんじゃないでしょうか。
 だって、本作の主人公たちなら、最後まで諦めずに戦うはずでしょ?

 ここで効いてくるのが、1ターンの行動は人数に関わらず3回までという、本作のシステムです。
 多くの場合、それは数で劣るボスが強力な攻撃を複数回行うため、またオートターゲットが頭数を減らす方向で働くため、敵を利するものではあります。
 しかし裏を返せば、たとえ味方が数的な劣勢に追い込まれても、3回は行動できることも意味します。
 立て直しのチャンスは、きっとあるんじゃないかな……
 蘇生や回復が使えるキャラが全滅してたら? みんな死ぬしかないじゃない!

 もちろん、ここまでの話は敵の戦術を把握し、組み立てられうる味方の手筋を十分把握した上ではじめて成り立つ話なので、お間違えなく。
 噛み合わない戦術を押しつけてどうこうできる敵ではありませんし、ワンパターンな攻略になりにくいよう、敵も味方も様々な編成や特性が登場します。
 なのでまずは、敵の能力を把握した上で、手札を確かめながら戦術を組み立てる……
 のですが、もう少し便利にしてくれてもいいんじゃないか、とは感じます。

ハマリ度 : 8 / 10
 バグについて、終盤の2連戦の後半、入力した行動がキャンセルされたり、行動順表示がおかしくなったりする不具合が発生した。再現条件は不明。シナリオ最強の敵との戦闘に水を差される形になる。2戦目で敗北すれば2戦目だけをリトライできるので問題なくなる。
 基本的には挑戦を繰り返して戦術を試行錯誤するゲームだが、隊列とルーンは戦闘に入る前に決めるため、最初の一戦は偵察と割り切ってそのままリタイアすることも多い。シナリオバトルは仕方ないと思えるが、フリーバトル選択画面のヒントは限定的な一方、戦闘に入れば即座に敵の情報がほぼフルオープンになるのは二度手間に感じる。
 UIはシンプルにまとまっているものの、画面切り替えに若干時間が掛かるので、メイン画面に戻らないとセーブできない点はやや面倒。
グラフィック : 8 / 10
 この作品のために本格的に取り組んだお絵かき練習の成果は目覚ましいものがある。以前の作品のヒカルちゃんと比べてみよう。
 横長画面を活かした画面構成で、シンプルにわかりやすくまとまっている。
サウンド : 7 / 10
 ボイスについて、音量が大きすぎて耳に触る点が大きくマイナス。個別調整やON/OFFも不可で、SEごと音量を下げなければならない。
 選曲はPerituneなどから手堅くまとまっている。曲数が多めなので1曲毎の利用回数は少なく、印象はやや薄まっているかも。

 本作がクトゥルフ神話や北欧神話の入門になるか、というと、作者自身が否定しているとおりで、素材からすると大胆な味付けになっているのですが。
 ボクとしてはよくぞ1つのシナリオに落とし込んだと感嘆こそすれ、本作のマイナス評価にはなりません。
 本作から触手を伸ばし、クトゥルフ神話や北欧神話に興味を持つきっかけにするのも良し。
 別世界のヒカルやユウト、季桃に手を伸ばすのも、また一興でしょう!

【RPG】INDEXへ / トップページへ