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■ 冠を持つ神の手

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作者 [ oumi さま(小麦畑) ]
ジャンル [ 異世界ファンタジー育成系ADV ]
容量・圧縮形式 [ 113MB・ZIP ]
製作ツール [ 吉里吉里2 ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2009.09.26:本文は、ver1.19段階でのレビューです。
2010.04.18:現在の最新版は、ver1.30です。

training impression check

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 8 /10 8 /10 103/120 B
テリー 9 /10 9 /10 8 /10
駄々甘 10/10 9 /10 9 /10
赤松弥太郎 8 /10 9 /10 7 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:8

限られた時間は5ヶ月。費やす時間は無限大。

本作「かもかて」は、非常に時間が掛かるゲームです。1週するプレイ時間自体は、1~2時間程度と、フリーゲームとしては標準ですが、問題なのは、シナリオコンプリートまでの時間です。
主人公の行く末(生死、いや性別含む)、キャラクターとの関係(生殺含む)、様々なルートを、主人公の育成と休日ごとのキャラクターの関わり合いで決定していくのです。
本作が「長い」と感じる理由は、管理すべきステータスの膨大さも一因だと、私は思っています。本作で管理すべきステータスは、主に分ければ、以下の3つになります。

  1. 主人公の能力値(知力・魅力など)
  2. キャラクター⇒主人公の感情・好意度(休日イベントで発生する選択肢)
  3. 主人公⇒キャラクターの感情・好意度(印象度入力画面)

通常、「アドベンチャー」に分類される作品(「フラット」など)では、操作するステータスは、せいぜい2番くらいでしょう。「シミュレーション」に分類される作品(「ときメモ」あたりか)で、やっと1番が追加されます。3番までステータスとして操作できる作品は、私の記憶では、この「かもかて」しかありません。
普通のキャラゲー(本文では「キャラクターとの関連性を育んでいくゲーム」を指す)では、キャラクターの「好意」だけを育んでいく…プレイヤー自身がキャラクターに「好意」を持っていることを前提としています。
対して、「かもかて」では、「悪意」を育むルートさえ存在します。同じく王位継承者であるヴァイルは視点によっては「追い落とす」ことさえありますし、タナッセなど「ツンツン」レベルを超えて「ムカつかせる」ようなキャラクターまで出てきます。
逆に、最初は好意的でも、「悪意」を育むことで意外な側面を覗かせるキャラクターも存在し、シナリオ的にも様々な印象パターンを操作していくことが推奨されています。

「かもかて」の楽しさは「あるイベントを切欠に好意・悪意が裏返る」という、筋道の決まった物語では、ジャンル問わず取り上げられるお約束を、ゲームシステムとして消化している点にあります。その「あるイベント」は、大抵、終盤に用意されています。それゆえ、「かもかて」は、プレイ時間だけでなく、「楽しさ」を理解するまでのプレイ時間も長い作品なのです。
それだけに、「萌え」に頼らないキャラクターの人間的魅力に、製作者は心血を注いでいると、私は考えています。その魅力に取り付かれた人々は、pixivなどを検索すれば山のように見つかります。
チャットで「かもかては恋愛シミュレーション」と評した方々の気持ちが、今ならよく分かります。関係性を進めていくたびに、キャラクターの側面…(様々な意味で)魅力的な面が、シナリオに現れていきます。

ただ、そのために費やされる時間の膨大さは、ハマる前には欠点です。特に、能力値の成長はランダム性が高く、ステータスが足りなくて無駄足を踏まされることも少なくありません。もちろん、ハマれば、その時間の膨大さは長所にしかなりません。
「いつまで経っても終わらないYO!」と言うセリフを嬉しそうに吐くようになれば、貴方も「かもかて」の魅力に取り付かれたも同然です。

 《 テリー 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:8

世界は狭いようで広かったりする

レビューを書きたいのになかなか書けないのは、我ながら初めての経験です。十周を既に超えているのにまだ見ていない隠しキャラがいるのですから、かもかて恐るべし。
アドベンチャーはあまりプレイ経験がない筆者にとってこのゲームは色々と衝撃的でした。
まだまだプレイ中ですが、初プレイを思い返しながらだらだら書いていきます。

■プレイ前

正直になるのを大目標としていましたから。(間違っては無いけど
「王になりたいの?」と聞かれたら「あはは、なれたらいいな」みたいな、
外面は温厚、心の中は野心でいっぱいの余裕を持ったキャラで行こうと目論んでいたのですが、

陛下の威厳

余裕はOP終了まで持ちませんでした。

■6人目の王様(候補)は何をする?

OPのかっこよさで雰囲気に完全に呑まれたのですが、おかげで田舎から来た主人公レハトに感情移入しました。
っていうか、こんな都会のデカイ城でやっていけるのかと言う疑問が。

そして、予想に違わず

タナッセタナッセ 城の人々

アンフレンドリーにも程があるだろ。 (スクショは悪意を持って選定されています

そんなわけで、5ヶ月間の本編が始まって、レハトにとっては修行の日々です。
やだぁああああ

ゲームは育成と休日イベントのサイクルからなり、育成=勉強は科目を効率よく科目を選んで進んでいきます。
育成は始めはまんべんなく育てたら、御前試合と舞踏会でぼろぼろにされました。

休日に起きるイベントはゲームの肝ですね。
休日毎にイベントが一つ見れます。イベントは好感度、印象度、既にみたイベント、能力などによって様々なVerが見られます。
(そもそもこれらの要素の関係で現れるイベントもある)
初回は面白そうなのを選んでいったらヴァイル友情ENDに到達しました。

さて、5ヶ月間頑張ったのですが結局王へはなれませんでした。
でも5ヶ月間色々あって、もっと大切な物を得たような気がします。

■ED後

1週後EDリストを初めて見て驚きました。
ヴァイルに愛情ENDがあることに イベント、EDの多さに。
ローニカさんなんて始めは完全に脇役だと勘違いしてました。EDがあるとは思っていなかったです。ローニカたんとちゅ(ry *実際メインキャラのEDの数は平等です。

登場人物ほぼすべてにあてはまることですが、普通に素通りすれば表面的な関係で終始するのに、接すれば接するほど(愛情であれ憎悪であれ)相手の隠している秘密、思いが見えてきます。
どのルートでも登場人物の言動に一本の芯があるのは、このゲームの丁寧な作りこみと無縁ではありません。

■まとめる

で、何が言いたかったのかと言うとこれは一度と言わず二度三度クリアしてからが本番だと言うことです。うん。
始めは作者様が言われている通り「ひたすら城の中で人間関係に翻弄され」る事になるでしょう。
慣れてくると自分の細かな選択が相手の反応や行動、そしてやがて大きくストーリーを変えていく事に気づくはずです。
その頃にはかもかての魅力に取り付かれているでしょう。

・グラフィック 8

立ち絵は表情がおおげさでない所が気に入ってます。
微笑みやしかめ面等顔の表情が感情をダイレクトに伝えてくるので、選択肢選びが勢い慎重にならざるを得ません。
演出は雰囲気が一貫と保たれている印象です。
オープニングのかっこよさは反則級。

・サウンド 8

BGMもグラフィック同様場面にあっていながら、全体からもはずれていない優れた選曲。
進めていくと時々レアな曲に会えます。重要な鳥肌シーンが多いです。
SEについて細かい所にツッコミをいれると篭りの儀の際の水の音が水属性の全体攻撃に聞こえるのはRPGのやりすぎですね

・ハマリ度 9

個人的に気になった点としては

魅力は欠点をカバーしてあまりあります。
ゲーム全体の丁寧な作り込みですが、小粒ではなく、大風呂敷といえる規模を畳んでいます。
色々な層にすすめられるゲームだと思います。皆プレイしてくれ。

 《 駄々甘 》  ハマリ度:10 グラフィック:9 サウンド:9

プレイヤーの手もある意味神の手だよなあ。

もしかしてそういう意味もあったのだろうかと考えると中々深いもの(ディープワンでは無い)が。

育成SLGとしては一度のプレイが軽いので、この手のゲームをあまりやらない人にもプレイしやすいのではないでしょうか。
会話の端々にも結構ヒントがあったりして、王様になるだけなら比較的難易度低目ではありますし。
しかし、各キャラクター毎のイベントやエンディング等、一周では集めきれない要素が多分にあるので私のようなディープなプレイヤーでも満足できるボリュームを併せ持っています。

登場人物も全員が魅力的で、私なんかはみんな幸せになって欲しいと思うのだが、そうもいかないのがもどかしい所。
因みにキャラクターとして一番好みなのはタナッセ。次点はグレオニー。でも気が付くと増減する数値にだけ心奪われてる私が居る……。

私のように蒐集癖のある人間にはイベント、エンディングのコンプリートを楽しめますし、或いは選定印を持つ王候補としての生活を楽しむのも楽しいです。
何度かプレイした後、この能力の教師はこんな人なんだろうなとか、各キャラクターの会話とか妄想してる自分が居ました。
多分これからも私はこの魅力的な世界に溺れていくでしょう。

最後に、我が愛しのタナッセ殿下の肖像にて〆

タナッセ殿下の肖像
ハマリ度:10/10
育成SLGとしては一周が短いような気もしますが、多くのイベントとキャラエンドがあり、何週もプレイする為、それが長所になっています。周りのキャラクターも魅力的ですし。魅力的過ぎてつい愛だけを突出させてしまうという事を繰り返す事10週もやってしまいました。
グラフィック:9/10
このタイプの絵は大好きです。特にローニカとかグレオニーとか。
サウンド:9/10
何が気になったかって、他のゲームのイメージが先についてしまっていたんですよね。フリーの宿命とも言えますが……。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:7

美しい醜さも 見ないフリ There's no place to go

 まずは、本作の特徴的なシステムを、ざっと箇条書きしましょうか。

 ちょっと考えただけでも、(主に作者にとって)複雑なシステムです。平均的な恋愛シミュレーションから見て、たいへん野心的な試みと言えるでしょう。
 しかし、無闇に複雑さを狙ったわけではありません。
 すべて、プレイヤーに高い自由度を提供するためなのです。

 たとえば、本作の主人公について。
 出しゃばらない主役が多い恋愛SLGにあっても、レハトはきわめて「無口」な部類です。
 というより、台詞がありません。
 話題を選ぶ選択肢はあっても、実際にどのような言葉を使ったのか、具体的にはわかりません。
 本作はすべて彼の視点で物語られているにも関わらず、彼自身の具体的な考えが表明されることもありません。
 彼の言動も考えもすべて、プレイヤーの選択によって決定されるのです。

 ふつう「無口な主人公」は、プレイヤーと同化しやすいと言われています。
 ところが、レハトほど感情移入しにくい主人公もいないと、私は思っています。
 最大の原因は、印象度システムにあります。
 告白するにも、殺害するにも、レハトの印象をプレイヤーが操作し、レハトを誘導するという手順が必要だからです。
 その1クッションが入る限り、プレイヤーとレハトは、決して同一の存在にはなれません。

 言ってみれば、プレイヤーは神の視点に立たされています。
 その意味で、レハトはまさしく神の使いです。プレイヤーの意のままに操られる、傀儡と言ってもいい。
 憎悪や殺害エンドを見るために、信じがたい鬼畜の所行が必要な場面だって、自分が神様のつもりでいれば、それっぽい気分に浸れるじゃありませんかウフフ。
 「すべてはレハトが勝手にやったことです」とでも思っておけばいいのです。
 神の愛は、かくも激しく過酷なんですよ。

 数百のイベント、数千の分岐、すべてを喰らい尽くしたい。
 本作の攻略キャラは、そんな激しく過酷な神の愛に耐えなければなりません。
 媚を売りすり寄ってくるだけの薄っぺらいキャラは、この世界では生きられません。
 より生々しく、人間くさく、ドロドロとした心の奥底まで垣間見える、そんな「クセモノ」だらけの世界です。
 「萌え~」と鳴きたいだけでしたら、本作はオススメできません。

 ……そうですね。
 私が、本作の登場人物を殺しちゃうほど愛していること、書いてみせましょうか。

 攻略対象11人の中から、オープニングで出てくる5人に限定して……
 ええ、後で出てくるキャラの方が濃ゆいんですけどね。だけど攻略が間に合ってない……げふん。
 まだプレイを始めていない皆さんにもわかるように、書いていきますね。

サニャ サニャ :
 まずは入門編。
 メイドでドジっ娘という王道コンボに釣られて、「清純そう」とか思ってやしませんか ?
 城に勤めて1年間、ずっと「田舎者」と言われ、陰口をたたかれ、陰に日向にいじめられてきたんですよ。
 そりゃあ、卑屈になってますよ。
 そんな彼女ははじめ、レハトを表向きには主人と言いつつ、実は自分以上に田舎者で、居場所のないかわいそうな人だと思っていやがります。
 見返してやろうと鍛錬すると、「どうせあたしなんて」モードに入ってしまって、距離をとりはじめるから始末に負えません。
 親近感というにはあまりに失礼な感情でしょ? 田舎者の分際で。

 攻略には、「貴様とは違う存在なのだよ」と思い知らせる、その方法が問題です。
 卑屈な彼女を王配に据えるのは、実に骨の折れるルートです。田舎者として振る舞いすっかり油断させてから、一気に王としての名声を得なくてはなりません。
 徹底的にいびって、いびって、いびり抜いて、田舎娘を憎悪に染め上げるのも、また一興ですねぇ……。

ヴァイル ヴァイル :
 最も攻略が簡単なのが、この次期王候補殿です。
 人なつっこい上に、もともと主人公に好奇心を持っています。
 少し付き合うだけでも友人になれますし、ちょっとアプローチしただけで途端にデレます。
 エンディングを見るだけだったら、楽勝でしょう。

 ……そんな表面的な付き合いで、こいつを理解した気になってはいけませんよ。
 こいつはガキです。良くも、悪くも。
 「人なつっこい」と言っても実際のところは、相手の顔色を窺い、有用と見るや取り込み、有害と見るや潰す……弱い自分を守るためなら、何でもします。
 他人のことを思いやる余裕なんてないし、そもそも理解できません。
 一度敵と見なされれば、子ども特有の残酷さをさんざん見せつけてくれるでしょう。

 それもすべて、彼が弱い人間だからなのです。
 その弱さもひっくるめて、あなたは彼を愛せますか?

リリアノ リリアノ :
 いまいち影が薄い陛下です。
 まあ、普通に進行している限りでは、王にしてはものわかりのいい気さくな人、程度の印象で終わるでしょうからね。

 が、やはり本作の攻略キャラ、一筋縄ではいかないお方です。
 彼女は大変仕事熱心な人で、常に王としての自分が公明正大であるように気にかけています。
 じゃあ、王じゃない彼女って一体なんなのか。当然の疑問ですね。
 彼女は、自分のことを「小心者」と言います。
 しかし、「小心者」で済まされる話なのかどうか……。
 攻略するなら、ぜひ考えてみてくださいよ。彼女がしたことと、しなかったこと、その功罪について。

 諸悪の根源と言っても構いません。レハトが彼女を恨む理由は存分にあるはずです。
 恋愛エンドを迎えるかどうかは、その後考えてみてもいいんじゃないですか?

ローニカ ローニカ :
 ジイ萌えというジャンルに理解のある方は、はたして本サイト読者の中にどれだけいるんでしょうかね ?
 ともかく、私が一番最初に攻略しようとしたキャラが彼でした。なんたって、最初に出会うキャラですし。意外とジイ萌えだった自分に気づいちゃったりしたワケですよ。
 結果? 惨敗でしたよ、ええ。この作品のこと完全に甘く見てました。

 ぱっと見「人のいいジイさん」なんですが、すぐにタダモノじゃないことは判明します。
 問題は、そのタダモノじゃないジイさんが、何を考えて主人公に仕えてるのか、ということ。
 ……いや、このジイさん、実際はナニに仕えてるんでしょうね ?
 友好関係を築こうとしても、レハトという人間を想っているようには、とても見えないのです。
 思い出の世界に生きてる彼の心を引きずり出すには、レハト自らが彼の過去を紐解かなくてはなりません。

 そんなこと、初回プレイでわかるわけがないですよね、うん。
 彼の憎悪エンドは最高難度だそうで、ご愁傷様としか言いようがありません自分。
 えらくガードの堅いジイさんです。心の屈折度も最高クラスと言えましょう。

タナッセ タナッセ :
 オープニングを見て、どうでしたか ? 第一印象、最悪だったんじゃありませんかね。
 ところが殿下、ダントツで人気投票1位なんですよ。
 理由、わかりますか ?
 とてもわかりやすいヒネくれ方をしてるから、ですよ、多分。

 ここまでのキャラが、第一印象からはまったく読み取れないネジれ具合だったのに対し、タナッセは最初からあからさまですからね。
 しかも、口ほどにもないことが次第に明らかになってくると、だんだんカワイくなってきてしまいます。
 普通のアプローチをしてもなびかないクセに、とある憎悪イベントで好感度が反転するあたりで、興奮が頂点に達しました。
 不器用で、ツンヘタレの王子様と来ては、世の女性が放っておくワケがありません !

 本人としては、不本意極まる人気でしょうなあ、やはり。
 どこまでも憎んでほしいと思っているでしょうに。

 ……何? 「一番屈折してるのはお前だ」? 心外な。
 レハト君のイカレっぷりには敵いませんよ。
 反転ボタン1つで、印象が180度変わっちゃうんですから。ファンにはヤンデレとか言われてますがね。
 先週まで睦言を交わしていた相手を、突き落としたり、刺し殺したり、村ごと家族を焼き払ったりする彼は、まさに外道、鬼畜生の類です。
 そんな彼と比べれば、私などとてもとても……

 いや、だから知りませんって。
 すべてはレハトが勝手にやったことです。
 評点。

ハマリ度 : 8 / 10
 恋愛育成SLGの未来を塗り替えうるポテンシャルは感じる。
 しかし、育成結果のバラツキはあまりにひどい。多種多様なエンディングを見るために緻密な行動を必要とし、何度となく試行錯誤を繰り返す本作では、運次第で3倍以上の差が付く育成パートや、安定した戦略が立てにくい決闘は、何度もリロードする単純作業に陥ってしまう。
 公式FAQでリロードを推奨したり、イージーパッチを販売したりするよりも、たとえば消費する気力・体力を選び、それに応じた成果が出るようにする等、乱数に頼らず戦略性を向上できるようなバランスを目指した方が良かったのではないか。
 そうすれば、このレビューで触れた「主人公を思うがままに操作する感覚」をより強調しただろうと思う。
グラフィック : 9 / 10
 「羅伊紀さんらしからぬ」、比較的ポップな立ち絵だが、本作のキャラの生々しさをこれ以上なく体現している。表情変化等のわかりやすい表現を抑え、想像力をかきたてることに成功している。
 反面、背景は実写そのままで、写り込んだ「現代の空気」との間に若干の違和感が残った。
 とは言え、作者自らイギリスで撮影した古城など、美麗な写真であることは間違いない。
サウンド : 7 / 10
 突然歌が流れるので要注意。
 キャラ毎に割り当てられたテーマ曲があり、関係がどう変化しようと基本的に同じ曲が流れる。そのため、曲想とイベント内容が大きくずれる場合もある。

 裏切られても、憎んでも、心の底から人間を愛するあなたに本作をオススメします。

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