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■ 発展王国物語

発展王国物語
作者 [ アルコ さま ]
ジャンル [ 内政系シミュレーション ]
容量・圧縮形式 [ DL不要・ブラウザゲーム ]
製作ツール [ Unity ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ ダウンロード版は有料販売(500円) ]
配布元 ダウンロード先

発展王国物語 発展王国物語 発展王国物語 発展王国物語

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 8 /10 8 /10 72/90 B
赤松弥太郎 8 /10 9 /10 7 /10
abc 9 /10 7 /10 7 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:8 サウンド:8

建設は論理、開拓は運任せ。

今回のイチオシレビュー「発展王国物語」は、シンプルでミニマルな都市育成シミュレーションゲームです。
画面に見える11×5マスの土地が、本作の全世界です。この土地は金を積もうが技術を発展させようが増えません。
この小さな世界で、我々プレイヤーは様々な箇所を「発展」させていきます。しかし、その手順はシンプル。以下の行動を1ターンごとに繰り返すだけです。

  1. 「探検」で土地を建設可能な状態に開拓
  2. 「建設」で開拓した土地に建物を建設
  3. 追加の発展項目として「イベント」が毎ターン1回実行可能
  4. 「科学力」が溜まったら、「テクノロジー」で新しい技術を開放し、建設できる建物を増やす

これら4つの行動の中に、「計画」が重要となる箇所・「運」が重要となる箇所が多数眠っています。
「計画」を最も働かせるべきは「探検」と「建設」。建物には「ある土地・ある建物に隣接させるとレベルが上がる」などの特性があります。本作では、「建物の上に建てる」特別な建物でない限り、建て替えはできません。開拓した土地を見極めて、最適な建物を選択する必要があるのです。
そして、「運」が最も影響するのもまた「探検」と「建設」ということ。
土壌を事前に判別できる土地は、文明特性で開始時に分かる僅かな土地のみ。ニューゲームごとにワールドは自動生成されるため、記憶も不可能です。
建造物も、「テクノロジー」で開放した建物のうち何が候補に挙がるかは完全に運まかせ。海ばかりで「漁船」が欲しい状況で家屋やロッジばかりが出たり、逆にシカの周りに置きたい「キャンプ」が中々出なかったりと、状況と候補が合わずにヤキモキする場面が多く発生します。
そして本作では、「運」を「計画」でねじ伏せる場面も求められます。先ほど挙げた4つの行動は、画面下の「金」を溜めることで、1ターンの実行回数を課金ブーストで増やせるのです。
そして、この課金ブーストをどのように使うかが本作の命運を左右するといっても過言ではありません。本作は、以下2つのモードに分かれ、それぞれ目的が異なります。

  1. スピードラン:人口1万人に達するまでのターンを競う。そのため、「金」は惜しまず使った方がいい。
  2. マネーウォーズ:30ターン終了時に残っている「金」で競う。そのため、「金」の使用は必要最低限にする。

本作で高スコアを目指すためには、序盤から「運を味方につけた上での」計画性が求められます。
開始時に選択する「文明」で最初に探索済みとなる資源を、「パートナー」で様々な特典を得られます。
「文明」で追加される資源は、

  1. トイヤーズグルント→小麦→農場・農家→農業
  2. ウェルワージー→金→鉱山→採鉱
  3. グシヒトオワッセ→林→伐採所・ログハウス→伐採
  4. ビスト・リン・プラチオスン→シカ→キャンプ→狩猟

…と、最初に開発する技術で有利になる土地が入っています。
しかし、パートナーの選択は、前半のブースト・後半のブーストが大きく変わる、少し使いづらいものです。

  1. アルテア=最初の建造物「町の中心」をレベル3に=初期の全ステータスにボーナス=序盤中心
  2. ラインホルト=1ターンで5マス探索可能=最初に探索済みになる資源の周囲を開拓しやすい=序盤から数ターン中心
  3. ウルリーカ=金50+海底神殿が必ず手に入る=金50による序盤の行動回数の増加+海底神殿(探索10ポイントで何度でも遺跡ボーナスが得られる)による後半のボーナス稼ぎ
  4. ロサ=未来技術(最後の科学技術)で他よりも3つ多く12棟の建物をレベルアップ=完全に最終盤向けの能力

慣れないうちは、農場→農家でコンボがとりやすい「トイヤーズグルント」+1ターン目に小麦周りを開拓しやすい「ラインホルト」の組み合わせがおススメです。
「ウェルワージー」を選択して「金」中心で進めたところ、食料と居住が育たず、却ってスピードランの結果が下がってしまった私の経験からのアドバイスです。

本作は、「農場→農家コンボ」のように有利な戦法こそありますが、基本はプレイヤーの好みに応じて発展計画が立てられる自由度の高いゲームです。
まずは、好みのパートナーでどのような発展計画を立てていくか、プレイの中で学んでいきましょう。1回のプレイ時間が短く、ババを引いてもリトライも楽なので、本作を学ぶのにそれほど時間はかかりません。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:7

理想ならべて叶うほど甘くない

 Civilizationシリーズを意識したという本作ですが、プレイ感覚はストラテジーというより、限りなく一人遊び用ボードゲームに近いものです。
 Civの皮を被ったマインスイーパとさえ、言っていいかも知れません。
 その傾向の最たるものが、セーブ機能が存在しないという点でしょう。
 ストラテジーゲームだとすれば、セーブができないのは欠陥です。
 しかし本作の場合、マインスイーパにセーブ機能をつけるようなものなので、セーブ機能は付けられないのですよ。

 性質上、強く運に左右されるゲームなのは間違いありません。
 資源のツモ次第で、建設当時の目論見が崩れてしまうことなんてしょっちゅうです。本作は建物の取り壊しができないため、一度建てると戻せません。
 その上、どの秘宝が遺跡から発見されるか、なんて、完全に運次第ですからね。
 しかしそれでも、運だけに頼らない戦略は存在します。
 システムはまさにストラテジーですから、マインスイーパや麻雀などに比べれば、プレイヤーの採れる戦略の幅広さは段違いです。
 諦めない気持ちで、たとえ思い通りに行かなくても、状況に応じて対応していく、その過程を楽しむ……
 スコアランクが牽引力になるゲームですが、本質的な楽しみは、その過程にあります。

 自分の計画通り、思った通りの箱庭を作りたい、という欲求でストラテジーをプレイしている方には、受け入れにくいゲームかも知れません。
 与えられた環境の中でやりくりする、対応力を試す、という、ストラテジーのもう一方の側面を強調した作品です。

 ということで、本作には絶対的な必勝法みたいなものは無いはずです。
 ただし、パターンというか、定跡と呼べるものは、きっとあります。
 以下はあくまで、ボクの個人的な考え方だと思ってください。
 体感ですが、スピードランには30ターンと20ターンの2つの壁があるように思います。
 30ターンまでは、資源の使い方を徹底すれば、初心者でも越えられると思いますが、20ターンはそれなりの運と、相当な経験知が必要になりそうです。
 ボクの基本的な考えは、

終盤の建物は超性能、特に観光名所が作れれば、あとは未来技術連打でゴールできる

終盤までのターン数をできる限り短縮するには、まとまった金額が必要

最も効率が良い金稼ぎは、食料を増産して輸出イベントを発生させること

初期トイヤーズグルントで、小麦の回りを農地で囲う→小麦に農家のコンボで、できる限り早く序盤を終わらせる

 というものですが、これだけでは不十分。未だに20ターンの壁は越えられていません。
 どうしても中盤、研究力が不足するのですよね……もう一工夫が必要だろうと思います。

 ボクはあまりやり込んでいませんが、おそらくマネーウォーズも、戦略としては大同小異でしょう。
 ただし、金の多さで競うので、ターン加速装置としての金の使い方がよりシビアに問われるハズです。
 スピードランの方が難度は低いはずなので、初心者の方はまず、スピードランで30ターンを切ることを目標にプレイしてみましょう。

 現状で基本的なルールは確立していて、中毒性もたっぷり、何回でも周回できる作りになっています。
 評点では改善点に絞って話すのが良いでしょう。

ハマリ度 : 8 / 10
 終盤になるほど大味になる嫌いはあるものの、その終盤に繋ぐまでの過程は考えさせられる。一目でわかるような強力無比な戦術もなく、バランスは十分取れていると感じる。
 作者も述べているとおり、チュートリアルの不親切さが問題。特に、
  • 頂点で接するマスも隣接と見なす
  • 遺跡を探索することで秘宝が手に入る
  • 海底神殿は探索力10払えば何回でも秘宝を入手可能
  • マップ画面で右クリックすれば建設をキャンセルできる
などの基本的知識がチュートリアルに書いていない(一部はどこにも書いていない)のは大問題。
 ランキングはただスコアを表示するなのは味気ないし、モチベーションに繋がらない。欲を言えばリプレイが欲しいが、せめて初期セットアップくらいはわかるようにできなかったか。
グラフィック : 9 / 10
 画面構成がせせこましく感じる。特にメッセージは隅に追いやられ、アシスタント画像もONにすると、ほとんど読めない。ただし、読む必要がほとんど無いから隅に追いやられたとも言える。
 むしろ、下部で大きく幅を取っているステータスが読みにくいのが気になる。やはりステータスは右側に縦並びにし、メッセージと場所を入れ替えた方がスッキリしたかもしれない。
 アイコンは明瞭で迷わない。使いづらくわかりにくい系統色分け機能より、アイコンのシェイプのみで建物の系統がわかるとなお良かった。
サウンド : 7 / 10
 音楽がぶつ切り。これが気になり始めるととてもイライラする。
 ライセンスか何かの問題だろうが、いっそBGMだけOFFにして、自分の好みの曲でプレイした方がいい。

 ストーリーモードは有償版にしかなく、フリー版での物語は皆無に等しい状態です。
 しかし、自分で作り上げた国の様子を見ていれば、妄想の翼を羽ばたかせ物語を作ることも……可能でしょう?

 《 abc 》  ハマリ度:9 グラフィック:7 サウンド:7

理想の王国は遠く

 「発展王国物語」は、ターン制のシミュレーションゲームです。
 モードは二種類あり、出来るだけ早く人口一万人を達成させる「スピードラン」と、30ターン終了時の金の量を競う「マネーウォーズ」のどちらかを選ぶことが出来ます。
 どちらもクリア目標が違うだけで内容は同じなので、好きな方を選ぶと良いでしょう。

 このゲームの流れは至ってシンプルです。
 1ターンに一度、建物を建て、イベントを発生させ、研究で新たな建築物を開放する。建てた建築物に応じて毎ターン得られる資源の増加量を増やせます。この積み重ねで王国の資源を増やし、更なる発展を遂げるのがこのゲームの目的です。

 このゲームにゲームオーバーは無いので、どうプレイしても理論上はいつか必ずクリア出来ます。ただしランキング上位に食い込むには、効率的に資源を増やしていく方法を確立しなければいけません。
 では、具体的にはどうすればいいか?これを考えるのがこのゲームの醍醐味なのですが、私は模索していく度にスコアが下がっていったので、答えをここに記すことは出来ません。代わりにといってはアレですが、模索中に考えた色々を書いていこうと思います。

 第一に、建てる建築物はあまり偏らせないほうが良いです。
 研究、収入、食料はそれぞれ建物の種類を増やすため、選択肢を回復させるため、人口を増やすために大切な要素です。スピードランなら食料を一番に考えるべきですが、かといってそれ一つに傾注しすぎると研究や収入が成長しません。すると新しい建築物が解放できず、余計に手間が掛かってしまいます。

 第二に、ランダム要素が多いという事です。
 1ターンに建てられる建物、起こせるイベントは基本的に一つだけです。建築の選択肢は現在建てられる建築物から4つランダムに選出され、イベントも数ある中から3つランダムに選出されます。
 ターンを重ねれば重ねるほど建てられる建築物が増える一方、選択肢に挙がるのは決まって4つだけ。再定案には金がかかり、しかも回数ごとに必要額が倍になるのでそう何度もは出来ません。「建てたい」と思ってもうまくいかない事が多々あり苦労しました。
 イベントも様々なものがありますが、特に有用な「化学力」を増やせるイベントは中々出てきません。特に「現在のターン数の2乗分だけ化学力を得る」という「長期的研究」イベントはランキング上位を目指すなら絶対に必要です。ターン毎に得られる「化学力」は中々増やしにくいので、このイベントでゲーム中盤がぐっと楽になります。

 第三に、LV99の建築物を建てる方法を見つけました。
 まず鉱山を金の周りに5つほど建て、金の上に銀行を建てます。この後に証券取引所を建てればその証券取引所はLV99になります。その上に食品センターや記念碑やマンションを建てれば、それぞれをLV99にすることも可能です。未プレイの方にはさっぱりだと思いますし、これを実行してもむしろ非効率的なのでする意味はないのですが、発見して感動したので書きました。

 以上です。
 一プレイにそれほど時間は掛からない分、何回もプレイする事をお勧めします。
 いろいろな発展の道があると思うので、自分が気に入る方法を探してみてください。

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