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■ 撃弾マキナ

撃弾マキナ
作者 [ フランスパンの魔王ILG さま ]
ジャンル [ 弾幕STG ]
容量・圧縮形式 [ 43MB・ZIP ]
製作ツール [ StgBuilder ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 現在の最新バージョンは、Ver1.21 ]
配布元 ダウンロード先

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レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 7 /10 9 /10 9 /10 48/60 B
赤松弥太郎 8 /10 7 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:7 グラフィック:9 サウンド:9

抱え死ぬ奴はお呼びじゃねぇ! なさけむようの鉛玉乱舞!

馴染みのない人にとって、「何をやっているのか分からない」という印象を抱きがちなシューティングですが、中の人の側では、「これさえあればとりあえず大丈夫」な対策は取ってあるものです。
自由に設定できる難易度、能動的に無敵になれるボム…などなど、対策はあることはあります。
そういう初心者向けの措置を全部取り除いた、ガチの上級者向けの作品を作ったらどうなるか…その答えの一つが、今回のイチオシ作品「撃弾マキナ」です。
プレイ中涙を流しながら、「よくぞここまでヌルさを取り除いたなぁ」とある意味感心しました。

1. 開始直後にボムが使えない

本作のボムは、時間経過で溜まるチャージ制。Auto Shield, Avoid, Bomber, Technical, Sword, Hyperと、ボムだけで6種類もあり、それぞれチャージ時間や効果範囲が異なります。
この中で、最も初心者に向いているのはAuto Shieldです。なんと、ボンバーボタンを押さなくてもいいという親切設計。ただし、チャージ時間が長いという欠点もあります。抱え死ぬことはないボムですが、抱える前に事故死することは十分にあり得ます。
そこで最も問題となるのは、スタート直後はチャージ0状態であること。ステージ1開始から計測し、Auto Shieldが1チャージするのは、なんと中ボス2の横長戦車の登場直前。
中ボス1のピンクカマボコ戦は、回避に頼るしかありません。ここで事故ると、貴重な1機が失われることに加え、点数効率が下がってエクステンドも遠のくため、本当に後々まで響きます。
チャージの速さを見るならば、AvoidとSwordが勝ります。ただし、どちらも有効範囲が小さいのが困りもの。ギリギリまで引き付けて出さないと、全く効果が現れません。
そして、もう一つ注意すべきは「Technicalは絶対に選択するな!」 Technicalは、Bomberをより短時間でチャージできる装備ですが、その代償として、開始直後に残機0! オワタ式! ノーミスでエクステンドまで行ける自信の無い方は、絶対に選択してはいけません。

2. ショット1つで難易度が劇的に変わる

OPTIONで設定できる武装はボムだけではありません。メインショットの方も、Normal, Rapid, Pierce, Homing, Spread, Moveのこれまた6種類が設定できます。
そして、このメインショットでも難易度が劇的に…「お手軽」から「テクニカルにも程がある無理ゲー」まで変化いたします。
一番初心者向けなのはHoming。他のSTGのホーミングは、火力不足でまずオススメできない武器ですが、本作のHomingの火力は全く不足感を感じません。若干遅い程度ですね。
自分のX座標に近い敵を優先してホーミングするため、部位破壊力も意外と落ちません。
逆に、初心者が絶対に選択してはいけないショットもあります。
まず1つ目はRapid。連射時のショット攻撃範囲は一番広いですが、ボタン押しっぱなしにしていると、めっちゃ攻撃判定が狭くなります。なんと、本作にはオート連射ボタンがありません。攻撃判定を保つためには、あの弾幕密度の中で手動連射を行う必要があります。パッドでやっていると連打の振動がレバーに伝わって致命的なことになりかねません。
もう1つはMove。火力が高く、移動速度も早いのですが、移動速度は調整不可。弾幕に横からぶち当たる事態になりかねません。

3. バカにできない稼ぎ要素

撃弾マキナ

本作の稼ぎ要素は主に3つに分かれます。

本作の初回エクステンドは500万点を超えた時。序盤でALL BREAKボーナスをとっておけばエクステンドが早くなり、のちの攻略が楽になります。
ただし、ALL BREAKは一筋縄ではいきません。普段真ん中を狙っていると先に本体が死ぬパーツもあるようで、未だに1面中ボス2の横長戦車のALL BREAKは安定しません。
場合によっては、2面大ボス(→)のファンネルのように、発狂させないと出現しないパーツもあり、初心者が下手に狙うと、かえって泣きを見ます。

以上のように、本作は徹頭徹尾「玄人しか好まない要素…場合によっては玄人の方が敬遠しそうな要素」をふんだんに散りばめた作品です。…かといって、弾幕自体は無茶なバランスにはなっていません。パターンを読みやすくするような努力がそこかしこに見られます。
辛い道のりですが、その道のりの一つ一つに応えてくれる作品でもあります。果たして、あなたは意外に複雑な本作のドラマを読み解けるでしょうか。私はムリでした。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:8

幼き瞳が見つめる 地上の世界は今 どんな風に見えているのだろう

 HomingとAutoShieldを使ってなおSafetyラスボスに歯が立たず、連射ツール + Rapidでなんとか倒しました。隠しボスは到達さえ無理でした。
 その程度の腕のボクでは、シューターの方々と同じ景色を見ることはできないのですが。
 しかし、本作が目指した「やや戦略的弾幕シューティング」の一端は、味わうことができました。

1面第2中ボス  ご覧いただいているのが、1面の2体目の中ボスです。
 これが、本作の目玉システムの1つ、パーツ破壊ボーナスのチュートリアルとも言えるボスでして。
 ①~⑤の5つのパーツで構成されているこのボスですが、黄色のパーツを破壊すると赤パーツも誘爆する性質があります。⑤の本体を破壊すれば、当然全機能が停止します。
 中央部分の弾幕は薄いので、撃破するだけだったら③~⑤に集中攻撃をすれば楽々です。ローリスクで撃破できます。
 しかし、それではパーツ撃破ボーナスを諦めることになる。スコアに大きく開きが出てしまいます。
 時間制限もきついので、この第一攻撃の段階で、両端の高速弾幕の中に突っ込んで、①か②のパーツを墜としておく必要があるのです。

 「シューターでもないのに、ハイスコア狙いなんて……」と侮るなかれ。
 本作はスコア以外に残機を増やす方法がありません。それも、かなり稼がないとエクステンドしない。
 この序盤で、できる限りスコアを稼いでおくだけで、終盤の難易度が変わってきます。
 たとえボクのようなへっぽこプレイヤーであっても、今のハイリスクを取って後で楽をするか、悩む余地がある。リスクとリターンの駆け引きがあるのです。
 基本はパターンどおりの動きをする覚えゲーでありながら、本作が「やや戦略的」を名乗る理由が、ここにあります。

 もうひとつのボーナス、コンボボーナスにも、駆け引きの要素があります。
 本作は、最速のタイミングでザコを撃破していると、しょっちゅうコンボが途切れるタイミングがあるのです。
 タイミングを覚えて攻撃の手を緩めれば、当然被弾する確率も上がります。
 そもそも本作の武器は攻撃範囲を制御しにくく、狙って敵を残すことも難しいのです。
 しかしながら、コンボボーナスによる点数の上下もとても激しいわけで。
 難易度Advance以上残機4以上という隠しボスの条件は、決して漫然と「死ななければいい」という話ではないのです。

 パターンを把握した敵の行動から、自分に実行可能な範囲の戦略を立てていく楽しみ。
 自分で戦略を立てることを要求する本作は、確かに難しいものです。
 だからこそ、しっかりと戦略がハマった時、より遠くに、より高いスコアで辿り着いた時の爽快感が強い。
 本作が目指したのはきっと、そうしたシューティングの原初の体験へのリスペクトに違いありません。

 本作は、グラフィックも音楽も全て自前で作った力作ではあるのです。
 ただその方向性に、やや疑問を感じる中での評点です。

ハマリ度 : 8 / 10
 5面通しで30分、シューティングとしては十分なボリューム。ウェポン・サブウェポンの組み合わせ、そしてエクストラオプションによって、難易度は青天井式に上がっていく。
 コンボボーナスの関係上、難易度を上げても敵の配置や構成が変わることはなく、ただ弾が増えたりパターンが変わるだけ。新しい発見、奥行きという面でやや見劣りする。
グラフィック : 7 / 10
 グラフィック単体としてはしっかり打ち込まれたドット絵。判定は見た目と一致しており、各ボス・中ボスのデザインは本作のパーツ破壊ボーナスの楽しみをかき立てる。
 しかしながら、小さい高速弾、溶岩の海で赤い極小弾、背景で弾幕を偽装する等、視覚で難度を上昇させようとする本作の姿勢には賛成できない。4面などは背景が出しゃばりすぎて、肝心の敵が見にくいが、これは意図したものでもあるまい。
サウンド : 8 / 10
 メガドラを思わせるノコギリ波サウンド、全て書き下ろし。
 タイトル画面からテクノ的で、長く聞いてやっと良さがわかってくるような作り。良く捉えれば味わい深く聞き飽きづらいとも言えるが、画面が賑やかな中で聞く2面や4面の曲は、異質と言わざるを得ない。単品で聞くためのサウンドモードも存在しない。
 効果音も書き下ろしのメガドラ風だが、爽快感が薄いのは難点。しかし聞き分けできる配慮はあり、進行に支障は無い。

 次回作はなにやら、より一層クセが強い作品に仕上がりそうな雰囲気ですが、本作はあくまでオーソドックスな高速弾幕シューティングです。
 今一度原点に立ち戻ってみるのも、また良い。そう思わせてくれる作品です。

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