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■ 箱庭ドールメーカー

箱庭ドールメーカー
作者 [ こよる さま ]
ジャンル [ すごろく×デッキ構築育成RPG ]
容量・圧縮形式 [ 439MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2024.10.13:現在の最新バージョンは、ver1.2.0です。

箱庭ドールメーカー 箱庭ドールメーカー 箱庭ドールメーカー 箱庭ドールメーカー 箱庭ドールメーカー 箱庭ドールメーカー

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 8 /10 48/60 B
赤松弥太郎 8 /10 7 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

「現在」を、常に更新し続ける。

本作「箱庭ドールメーカー」は、同シリーズの前作「箱庭フロンティア」と、ほぼ同じ遊び方のRPGです。

「進め方」においても、「箱庭ドールメーカー」と「箱庭フロンティア」は似ています。
「地図」で育てたキャラで「探索」に挑戦する「箱庭フロンティア」
「フィールド」で育てたキャラで「ダンジョン」に挑戦する「箱庭ドールメーカー」
漫然と育成していると、強いキャラが手に入らず、ストーリーを進められない厳しいバランスも、両者とも同様です。

しかし、丸8年…間に「バケモノローグ」も作られている…の蓄積を見比べてみれば、「箱庭ドールメーカー」はかなり分かりやすい・遊びやすい作品に仕上がっていることが分かります。
「箱庭フロンティア」は、当時のレビューを見ての通り、ランダムイベントがかなり多彩な作品でした。中には「どう見てもコストに比べてリターンが少なくないか」と思えるようなイベントさえありました。
「箱庭ドールメーカー」では、序盤はイベントが少なめになっています。モンスター・宝箱・会話イベント(+アイテム取得)ぐらいしかありません。進行度を進めるにつれ、店など段階的にイベントが増えていく仕様になっています。
戦闘のバランス調整もなされ、育成の難易度は低めになっています。少なくとも「無事に育成が完了できる段階」で相当なプレイヤー経験値が必要な「箱庭フロンティア」に比べれば。

しかし、「箱庭ドールメーカー」では考えなければならない要素も増えました。「経験値のキャリーオーバー」「AP制」「エレメントなど豊富なバフ」「武器種別によって特徴的な攻撃方法」などです。
第一の関門が「AP制」。「箱庭ドールメーカー」の基本はターン制ですが、ターン毎に一定値の「AP」が溜まります。そのAPが尽きるまで、ランダム4枚のスキル(武器種・スキル・アイテムによって+αあり)を使って行動していくシステムになっています。
このAPは、余った分を次のターンにそのまま回せます。このため、「最初のターンは何も行動せず、2ターン分のAPで畳みかける」という戦法が、最初のドール「アーサー」から求められます。アーサーなどの「剣」使いは、「テンション」での攻撃力上昇から攻撃スキルを1ターンで畳みかけるのが基本戦術となります。
APの使い方に若干の計算力…「装填」が必要な「銃」使い、エレメント次第で使用可/不可や威力が変わる「杖」使いは特に…が必要ですが、「回数制のため、乱発すると後が苦しくなる」システムだった「箱庭フロンティア」に比べれば、遠慮なく使えるシステムになっています。

システムに慣れたころに立ちはだかる、第二の関門が「経験値のキャリーオーバー」。ゲーム内でアナウンスされるのは、最初のダンジョン「パンデモニウム第一層」に突入した段階ですが、実はフィールドでもキャリーオーバーは可能です。…と言うより、序盤を少し超えた段階で「キャリーオーバーの適切なON/OFF」は必須となります。
キャリーオーバーの効果も、フィールドとダンジョンでは大きく異なります。

…までは一緒ですが、回復と強化が大きく異なるフィールドとダンジョンでは、キャリーオーバーによるリスク/リターンも大きく異なります。

箱庭ドールメーカー 箱庭ドールメーカー

キャリーオーバーの効果は、上図の通り絶大です。1回ずつの強化では6~8程度だった強化量は、最大の4回まで溜めると7~10倍にまで膨れ上がります。
当然、最初から溜めていきたいところですが…キャリーオーバーには回復制限以上の最大のリスクがあります。「キャリーオーバーしている間、ドールは一切強化されない」という点です。
「箱庭ドールメーカー」でも、階層を進めるたびにモンスターは強化され、魔物マスの戦闘は普段より強めの敵が出てきます。強い敵ほどEx(「箱庭ドールメーカー」でも強化量の目安となる)も多く手に入りますが、全滅のリスクも大きくなります。
弱いままのドールで魔物マスの敵に勝てるのか、アイテム・スキルなどのリソースで埋め合わせられるか…常に「現在」を見た運用が、「箱庭ドールメーカー」でも必要になります。
また、上図の通り、「箱庭ドールメーカー」の強化は自由な割り振りはできず、メニューに示された5種類の中から選択するシステムになっています。与えられた選択肢が育成対象ドールの強み(武器種によって重視されるステータスが異なる…「攻略のヒント」を参照)に合わないリスクもありますが(Ex消費で選択肢の振り直しは可)、それ以上に「戦闘終了後にボタン連打をしていると、1番目の強化をノールックで選択してしまう」リスクが存在します。
私がプレイした最序盤では、キャリーオーバーの存在どころか「選択して強化箇所を決める」システムすら知らないまま、ずっと1番目の強化を選択していました。ある程度プレイして「攻略のヒント」を見るまでは、「フィールドでのキャリーオーバー」を知らないままフィールド・ダンジョンを進めていました。それでも最初のフィールド・ダンジョンはクリアできるようバランス調整していますが、その調子で進めると2つ目、3つ目あたりで詰まるバランスにもなっています。

「ローグライク」な一回性が重視された「箱庭フロンティア」に対し、本作「箱庭ドールメーカー」は、「持越し強化」の比率が大きくなっています。
クリアごとに溜まる貨幣「リル」を利用したドールの購入・強化がその代表です。強化が下振れても、途中で全滅しても、フィールド・ダンジョンに潜るごとに「リル」は溜まっていきます。
「箱庭フロンティア」の時代から片鱗はありましたが、短いスパン(1周10~20分)で区切れる育成(フィールド)やストーリー進行(ダンジョン)、☆で評価されるドールの「素質」、デッキ式になったスキル、着せ替えシステム、そして「ゆるドラシル」の素材を利用したドールの見た目…本作「箱庭ドールメーカー」は非常にスマホゲーム的になっています。
「箱庭フロンティア」からの特徴であった「短いスパンでじっくりと進められる」という点を、かなり強化した作品となりました。
ただ、本作の育成→ストーリー進行の繰り返しには欠点もあります。

…と、「短いスパンで長くプレイしてほしい」スマホゲームの特徴が悪い面に出た箇所も存在します。
「長くプレイできる」という点は長所ですが、本作にはストーリーがあり「長時間プレイしないと、その上でストーリーの無い育成にそれ以上の時間を割かないと、全く話が分からない」という短所でもあります。
また、「育成に別ゲームが必要」という点が、「ダンジョンボスに敵わなかった場合、育成から出直さなくてはいけない徒労感」にも繋がります。
特に本作は、「ストーリーを進めるほど、戦闘・イベントに搦め手が増え、同時にメタを張る必要性も高くなる」バランスになっています。サクサク進めて色々な育成が楽しめた序盤から、「ボスの特徴を負けて学び、メタを張れるドールを育成するために、更なる長時間を費やす」中盤以降の停滞感はかなり心に来ます。
「短いスパンでプレイできる」分、ストレスの方が勝るようならば一旦離れるのもいいでしょう。少なくとも、この1か月(私は他のゲームもあるため、費やせる時間は更に少ない)でプレイしきるには、時間と精神力が足らないことを痛感する作品でした。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:8

初めは何も分からぬまま歩き始めた (でもここまで来たよね)

 本作は、第8回ウディコン2位の「箱庭フロンティア」(便宜上、前作と呼びます)から正統進化した作品です。
 根幹システムであるボードゲーム×ローグライクの魅力はそのままに、戦闘は多対多のパーティバトルに進化、数々の強化システムにグラフィックや演出も向上し、王道のストーリーも追加、と数々の面でパワーアップしました。
 前作以上の牽引力をもって、長時間楽しめるゲームにしたい、という強い意志が感じ取れます。

 ……しかし。
 パワーアップというのは時として、元々のバランスを崩してしまい、新たな問題を浮き彫りにすることがあります。
 本作もまた、前作では見過ごされた問題が目立ったり、前作とは異なる問題を抱えたりしており、一概に「良くなった」とは言いがたい場面が散見されます。
 何しろ前作は8年前の作品ですから、少しずつ思い出しながら見ていきましょうか。

◆ゲームの流れが掴みづらい

 本作第一の初見殺しです。初見では、とりあえず目先のマップをクリアしようとするじゃないですか。そうしたら……ねえ?
 整理してみましょう。

 チュートリアルで、ルカさんが「お散歩して帰ってくるだけ」と言うのを真に受けると、まったく鍛えられていないアーサーができあがります。
 そしてクリアした後で、「たくさん敵と戦って、Exを稼ぐことが大切」という手引きが表示され、どーして先に言ってくれないのと憤慨するわけです。
 意識して能動的に敵と戦わないとステータスが上がらないという、本作の仕様を理解しない限り、どれだけスキルやアイテムを揃えようが、ほとんど役に立ちません。
 本作のプレイヤー行動の大半はExを稼ぐことを軸にしており、ダイス目でどのマスに止まるかも、期日ギリギリまでExを稼ぐことを念頭に決めていくので……
 もしかしてこのチュートリアル、学ぶことが少なすぎるのでは……?

 実は、この育成→攻略の流れ自体は前作とまったく変わっていません。
 ただし前作の場合、育成マップである「世界」の時点で、簡単に全滅するほどザコ敵が強いのです。なので自然と鍛えざるを得ないんですよ。
 で、スキルが消耗しきった状態で最初の世界をクリアした後、クリアしたキャラを使う要素「探索」が明かされて「は???」となるところまで共通です。
 ただ、最初の探索エリアであれば、最初の世界をなんとかクリアした程度の冒険者でも、攻略できる程度の難易度です。
 とりあえずクリアできれば、プレイヤーは「次からはできるだけ良い状態で世界をクリアしよう」と前向きに反省できるんです。
 本作の場合、初見でチュートリアルをクリアしたアーサーはほとんどなんの役にも立たないからなあ……。

 ぱっと見の難易度は低くなったが、そのせいでかえってわかりにくいという、ちょっと不思議な現象が起きてしまっています。
 それだけ前作の誘導が巧みだったということは言えると思います。

◆「敵と戦う」以外の行動に魅力が薄い

 かといって、本作の戦いは「ヌルい」わけでもありません。
 本作の駆け引きを演出するのが、新システム・キャリーオーバーです。
 4連勝までの経験値をストックし、ボーナスを付けて返還する代わりに、その間休息ができないというデメリットを受け入れるか、毎回戦闘後に選ぶことになります。
 引き際を誤れば全滅するリスクもあるし、キャリーオーバー中にクリアするとストックした経験値はパーになるので、敢えてキャリーオーバーしないという選択肢もあります。
 しかし原則として、毎回4連勝狙いでキャリーオーバーするのが基本です。
 苦労の末ダンジョンを踏破して、いざボス戦でステータス不足が発覚したら、育成からやり直しになってしまうからです。

 目一杯敵と戦って、できる限りステータスを上げることを目指すと、マップで止まるべきマス目も変わってきます。
 危険値上昇が少なく敵も弱い草原を避け、危険値上昇量が多い森、敵が多い山、取得経験値にボーナスが入る毒沼を積極的に狙うようになります。
 危険値が無くてもエンカウントできる敵シンボルマスは最高で、そのためにわざわざ遠回りすることも多いでしょう。
 一方、宝箱は要注意。危険値が一切上昇しないため、宝箱を踏むほど敵と戦えなくなってしまいます。
 アイテムもスキルも、ある程度整ったら余計に入手しないように、場合によっては宝箱を避けて通ることも必要です。

 他の施設も似たような具合で、メリットがあると確信できないとなかなか立ち寄れません。
 特に鍛錬場は貴重な「ターン数」を使用してしまうため、鍛錬するくらいなら1回でも多く戦いたいと見逃してしまいます。レアリティが高い施設なのに。
 戦闘回数を減らしてまで立ち寄る必要があるか、がすべての判断基準になってしまうのです。

 前作では、そこまで偏って強い行動パターンはありませんでした。
 スキル回数制という、プレイヤーからは不評の多かったシステムが、実は多様性を担保していたのです。
 スキルが使い切りなので、どの階層であってもスキル宝箱は重要な位置を占めていました。寄るか寄らないか、常に状況判断が必要でした。
 戦闘で経験値を手に入れるか、スキルを温存するかはトレードオフの関係にあり、より有利な条件で冒険者を登録するため、即降りという選択肢にも戦略的意味がありました。
 ランダムイベントも高頻度で発生し、その都度伸るか反るか、選択する愉しみがありました。本作では廃止されてしまいましたが。
 前作と比べるとどうしても、本作は探索行動の引き出しが少ないように思えてしまいます。

 前作のレビューでボクは「日数消費1は軽い」とか書きましたが、それはザコ戦で何度か全滅する前提のバランスだったからです。
 本作ではギチギチに戦闘し続けることを目指すので、ターン数消費の重さが違っています。
 全滅ペナルティのターン数消費1は変わらず、本作では3回までの回数制限がついただけですが、捉え方は大きく変わってきます。

◆ステータスが(不必要に)わかりづらい

 がんばって戦って、キャリーオーバーして、ついにレベルを上げる時が来ます。
 フィールドで育成中の場合、ここからどのステータスを上げるか選択肢が出るのですが……ここで困ってしまいます。
 「一体、どのステータスを上げればいいんだ?」と。

 素早さはいい。どんなドールでも素早さは大正義だから、迷わず上げればいい。
 では、他のステータスは?
 生命力・力・器用さ・知力・頑丈さ・素早さに分かれたステータスは、何を上げればどうなるのか?
 字面からでは「なんとなく」でしかわからないんじゃないですか?

 冒険の手引きによれば、ドールの武器によって攻撃力の計算は細かく分かれていて、複数のステータスの比率を変えつつ合計するんですって。
 力と器用さは全員共通で使うけど、比率が80%~20%で変動したり。短剣と銃使いは別のパラメータを合計したり。
 比率を覚えるのは面倒で、結局作者さんの攻略ページを逐一チェックしてました。
 魔法攻撃は装備に関係無しで知力75%・器用さ25%らしいけど、杖使い以外は魔法攻撃スキルを修得しないから……
 ほとんどのドールで知力は死にステータスってことに、なっちゃいますね。

 作者さん曰く、装備によって上げるべきステータスを変えればパターン化が防げると思ったそうです。
 が、結局のところ最適解が装備別になっただけで、最適解自体は存在しているので、なんの対策にもなっていません。
 プレイヤーからすれば、明瞭だった前作のステータスが無闇矢鱈にわかりにくくなった以上の感想はありませんでした。
 どのステータスを上げるかプレイヤーが決められた前作から、ランダム選択式に変えたのも、そういう最適解の存在をごまかすためだと、プレイヤーは気付いています。
 だったら前作のままじゃいかんのか? と。

 気付いちゃいるのに、悔しいけれど、どうしても納得いく選択肢が出なければ、30Expを支払うことでリロールできます。
 またしても経験値か、ということで、敵を倒す理由ばかりがどんどん増えていくのでした……。

◆4回繰り返して育成しなければならない

 戦闘を主眼に置いているだけあって、戦闘の面白さは前作をはるかに上回ります。
 10種のスキルデッキから4種がランダムで手札に入るコマンド選択も、バフとデバフで共通枠を使う状態スロットも、いずれも本作の戦闘で特色を出しています。
 敵にはそれぞれに個性があり、多彩なスキルやアビリティを持ちます。倒す順番を考える必要があるでしょう。
 なにより、一度に戦闘できるキャラが1人しかいなかった前作と比べ、本作は4人パーティですから、役割分担で面白いコンボが次々生まれます。

 ただし、どれだけ面白い戦闘だったとして、繰り返しが多ければ飽きは来ます。

 ダンジョン攻略のために4人のドールを繰り返し育成しなければならない、という点ではパーティ制は完全に裏目に出ています。
 育成するキャラを変えたところで、パーティメンバーをローテーションしている限りパーティ自体は変わりませんから、プレイ感覚もそう大きくは変化しません。
 そしてダンジョンをクリアし、ストーリーが進行すると新しいフィールドが開放されるので、再び育成し直しになります。
 新しいマップほど階層が深く、その分敵が強くなるので、育成したドールはステータス合計値で200くらいの差が付いてしまいます。
 前のフィールドでしっかりと育成したドールも、ダンジョンをクリアすれば型落ちしてしまうのです。

 序盤のうちは、仲間になったドールを早速育成してみて、どんな使い勝手なのかワクワクしながら確認するでしょう。
 でも、だんだんと飽きてきます。
 ドールの違いは装備と初期ステータス、初期スキルと初期で適性のあるアビリティです。
 このうちステータスやスキルは育成によっていくらでも変わりますし、アビリティ適性も衣装によって付け替え可能です。
 結局のところ、装備以外ではあまり個性が出てこないので、一通り全装備のドールを試すと、あとはだいたいわかっちゃうんですよね。
 スタメン4人はだいたい固定して、スキル構成を見て気に入ったら入れ替える、くらいの温度感になっていきます。

 しかし、そうした「慣れ」を、本作は時に厳しく突いてきます。

 太古の森のボス・トレントは、数々のプレイヤーを絶望させた、本作最大の初見殺しです。
 やってくることはただ、定期的な自動回復張り直しと毒付与、そして味方のバフを毒に変換する特殊攻撃だけ。能動的なダメージ攻撃を一切行ってきません。
 その自動回復を上回ろうとすると、1ターンで受けた攻撃の回数だけダメージ減少、というアビリティが立ちはだかります。

 ここで、たまたま一撃超火力を単独で出せるキャラ、または大量のデバフで相手のバフを押し出せるキャラを鍛えていた方はおめでとうございます。そのままお通りください。
 それ以外のパーティ編成をしていた方は、フィールドに戻ってやり直し。
 はい、ボクもそのクチです。ヘーゼルにバフ詰みまくって手数で削り取るスタイルだったので、見事にメタを張られました。
 まあ今後のことを考えると、バフ押し出しとかの多彩な戦術を使いこなせた方がいいのは確かですよ。そのための壁ボスという立ち位置なんだろうと理解はできます。
 ただ本作でボスが倒せない時の徒労感って、やっぱり精神にクるんですよ。バラマキクイズでハズレ引かされたような感じになります。

 幸い本作は、一度も使っていないキャラの育成も苦ではありません。
 フィールドに出ればどのドールもレベル1から鍛え直しですから、金を使って素質さえ磨けば、使い慣れたドールと同じスタートラインに立てます。
 育成で何度も戦闘を繰り返せば、そのドールの動かし方も十分にわかってくるでしょう。
 2時間ほど時間は使いますが。

 悠久の回廊1、控えパーティが解禁されたところで、ボクの時間的な余裕も気力的な余裕も尽きてしまいました。
 4体育成するだけでも飽きてきているところに、さらに4体育成して、その後控えが必要になる程のダンジョンを攻略する気持ちには、残念ながらなれませんでした。
 そりゃあボクだって、マリオネットライブの謎を解き明かしたいですよ。エルザを自分で使ってどんだけ強いのか実感したいですよ。
 しかし、戦闘の工夫やストーリーの牽引力をもってしても、この繰り返しを乗り越えるほどの魅力は、ボクには感じられなかったというのが正直なところです。

 ボクがローグライトの魅力を、その場の持ち札でなんとかする方向に見いだしているのも、あるかも知れません。
 本作の場合は、探索で取るべき行動も、上げるべきステータスも、なんとなく「正解」が決まっていて、それにどれだけ寄せるかで勝負しているところがある。
 正解の通りになぞっていくものって、長時間やるとどうしたって飽きます。
 もっと負荷が少ないゲームだったら、ストーリーだけでも楽しむ方向に向かえるのですが……。

 ここまで色々述べてきたことは、おそらく作者さんは十分に把握していることだろうとは思います。
 どれもこれも、一朝一夕に改善案が出せるような話ではなく、長い製作期間の中で試行し続け、結果として本作のバランスになったということだろうとは思います。
 実際ふりーむ等を見れば、最後までプレイし終えて、本作を高く評価する人も多くいます。
 その支持はボクにも理解できるところですし、きちんと作り込まれた作品であることは間違いないです。

 ただし一点、ボクはグラフィックというかUIでどうしても許せないところがあります。
 HPバーの左端に「HP」という文字が掛かっているせいで、次の一撃でとどめが刺せるかどうか、一目でわからないんですよ。
 シビアにギチギチに詰め込む本作のバトルでは、ふとした油断でとどめを刺し損ねると、損耗が拡大してキャリーオーバーのチャンスを逃すことにも繋がりかねません。
 予測ダメージと現在HPを見比べればいいって、そういうことじゃない。実際ボクは何度も咄嗟の判断で間違えました。
 翻って前作では、とどめが刺せるダメージには★でマークが付いていました。なぜ廃止したのですか。
 この点だけは、はっきりと前作から退化しています。
 せめてこの点だけは今からでも改善してもらいたいと願っています。解決策もきっと、そう難しい話じゃないでしょうから、ね。

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