■ 三代目レビュー RPG 6 | ||||
アンブレラブレイバー | ミンミンゼミとなつやすみ | 継接ネクロ 死霊術師と呪いの村 |
怜子が来る! ~夜の学校編~ |
FUTURE CITY -未来都市- |
ジャンル [ 最後にバッドエンドと手を取るノンホラーアドベンチャー ] 作者 [ 鏡読み さま(シナリオ・スクリプト)]
[ 卜部ねむこ さま(グラフィック) ]容量・圧縮形式 [ 145MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ WOLF RPGエディター コンテスト 第16回 出展作 ] 配布元 君は傘で何をした? 僕はアバンストラッシュ!!
小学男児・
日傘 コウは途方に暮れていた。秘密基地(山奥の廃屋敷)に友達とたむろっていた所を、急に置いてかれてしまったのだ。
そんな彼に問いかける声が一つ。もう誰もいないはずの部屋から。「東雲 アメリ」と名乗る彼女は、この屋敷の住人だという。
「外まで送ろう」という彼女の手を取り、屋敷の玄関へと向かう2人。雨脚が近づき暗くなった廃屋敷は、異様な不気味さをまとっていた。
そんな中襲い掛かってくる幽霊たち。戸惑うコウに対し、アメリは「その傘を手に取って戦え」と言う。「強い」と思う気持ちが、幽霊たちには効くのだと。
なけなしの勇気を振り絞って、少年は幽霊に立ち向かう。過酷な玄関への道を踏破したとき、少年には何が待っているのか。そして、少女は何を思って少年と手を取ったのか。本作「アンブレラブレイバー」は短編のノンフィールド型RPG。移動フェイズの操作は「左クリックで移動などを選択」「右クリックでメニュー」とシンプル。
しかし、戦闘時の操作は少々特殊。攻・特・補・必の4つのコマンドカードを使って、敵のHPを削っていきます。HP削りに利用する「攻」(通常攻撃)と「必」(SP3つを溜めて出す強力攻撃)もかなり特殊な性能ですが、より特徴が高く、使いどころの考慮も必要なのが他2つのコマンド。
「補」(ステータスアップ)が、実は最も使用頻度が高いコマンド。これを掛けないとSPが溜まらず「必」が使えません。また、これを使わずに攻撃力1のまま「攻」を連発して勝てるほど、本作の戦闘バランスは甘くありません。
「補」を掛けるたびに、カード下の数値が1ずつ上がっていきます。この数値は「コマンドの強さ」。「補」の数値を3(MAX)にすれば、他のコマンドの数値も上げられます。「攻」「必」の数値はそのまま攻撃回数となり、総ダメージは攻撃回数倍を遥かに超えます。
最後の「特」…この性能は、実は敵によって大幅に変わります。「敵の特定の行動を変更」とありますが、「どの行動」を「どう変更するか」が敵によって大幅に変わるのです。最初の雑魚から必須のコマンドではありますが、敵とそのコマンドによってはカウンターを喰らうトラップも仕込まれています。
そのパターンを知る術は主に3通り。
- 実戦で「特」を使って探る
- 敗北後にShift+左クリックで開く「
広院 先輩のアドバイス」を聞く- 同梱の「攻略情報メモ.txt」を参照する
本作の戦闘バランスはかなりストイックで、「実戦で探る」方法を取って余計なダメージを費やすと、途中の敵に耐えられない仕組みになっています。
特に壁となるのが、前半戦の締めとなる「ドッペル」戦。ただでさえスキのない性能と高い火力持ちの上、前戦の「メリーさん」が丁度「コマンドによってはカウンターを喰らうトラップ」持ち。「メリーさん」までの戦闘でダメージがかさむと、「ドッペル」戦は敗北確定となってしまう仕掛けです。
それに対抗するには、相手を知り、繰り返し戦うほかありません。その仕組みを最大限生かすため、敗北後は「負けた戦闘から再開(左クリック)」「出発点から再開=ダメージがかさんだ前戦もやり直す(右クリック)」「広院先輩のアドバイス(Shift+左クリック)」と言う3つの選択肢があるのです。意外と頻度も文章量も大きい道中のメッセージも、Shiftキーで早送りできます。
攻略法自体は先述の通り充実しているため、「解決策が分からなくて詰まる」ことはありません。試行錯誤を繰り返しながら、コウを、そしてアメリの歩みを進めて行きましょう。
自称ジャンル名の「最後にバッドエンドと手を取るノンホラーアドベンチャー」が本作を的確に表している…本作のありとあらゆる仕掛けが「敗北を繰り返した先の勝利」にある…私から言えるのはここまでです。あとは自分の手で「グッドエンド」を掴んでください。
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ジャンル [ とある夏休みの日をすごす短編RPG ] 作者 [ kagaya さま ] 容量・圧縮形式 [ 191MB(圧縮時)・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 ネタバレ:セミは取得できません
うだるような夏休み、主人公の少年は失意のどん底にあった。ちかごろ流行りの昆虫バトルでボコボコにされたのである。
失意と諦念でふさぎ込む少年を見かね、父親は秘密の森に少年を連れていく。そこはまだ見ぬ昆虫が潜む秘境。
父親は更に、少年に不思議な虫取り網を与える。父曰く、「これを ひとふりすれば つかまえられない モンはない!」
その言葉に偽りはなく、虫取り網で触れたものは何でも捕まえられ、昆虫バトルの手駒にできるのだ!
さあ、少年よ! この世の全てをその虫取り網で掴め! そう…全てを!!!
本作は、フィールドに溢れる「ブツ」を「武器」にして、戦力を高めていくRPGです。ええ、作者名を見ればお分かりの通り、本作はSteam化もした人気RPG「ぶきあつめ」のセルフパロディも兼ねた短編バカゲーRPGです。しかし、短編・マルチエンディングにするために、かなりの差別化が図られています。
(1)集めた「ブツ」は全て「むしかご」に保存され、ターン毎に「アイテム」として使用します。大体の効果は「剣:攻撃・デバフ」「ハート:回復」「赤矢印:バフ」とアイコンで分かります。しかしながら、そして、当然ながら、「ブツ」ごとに特異な性能を持っており、使用しなければ詳細な効果は分かりません。
(2)戦闘で使用した「ブツ」は消費され、戦闘終了しないと戻ってきません。大抵の敵はHPが減るほど攻撃が激しくなるため、強そうな「ムシ」や「モノ」を序盤に使って倒しきれないと泣きを見る場面もあります。使用する順番には十分注意すること。
(3)本作では、「ブツ」の「合成」が実装されています。合成した「ブツ」はかなり強力な性能ばかりです。時にはEND分岐の条件にもなるため、積極的に利用しましょう。
(4)本作では、「ブツ」の入手数に限りがあります。基本的に一度つかまえた「ブツ」は再生しませんが、「むしかご」から「逃がす」ことで元の場所に戻ります。合成専用の「ブツ」も逃がすことができ、その場合は原材料に分解された状態でそれぞれの場所に戻ります。再び合成する場合は、散らばった原材料を全て集めなおす必要があります。
そして、本作で重要なのがEND分岐。一度どれかのENDを見れば、「エンディングリスト」がタイトル画面に表示されます。
6つに分かれたENDは、大抵が「ヒントを見ないとまず分からない条件」になっています。最初に見るENDは、正攻法でクリアするENDか、開始直後でも一発で達成可能なENDの2つでしょう。それ以外の4つのENDは手順すら変則的。場合によってはニューゲームからやり直さないと達成できない条件すらあります。
どのENDでも(正攻法でクリアするENDも含め)、マップの「全て」を「隅々まで」探索する必要があります。マップによっては、外側が「ブツ」として捕まえられ、捕まえてしまうと入れない場所もあります。一度捕まえてから逃がす二度手間が必要です。
この「少年の夏休み」という、狭くとも広大なワールド、隅々まで探索し、6つのENDをコンプリートしてください。ヒントを「エンディングリスト」のみに頼る場合でも、1時間前後でコンプリートできるでしょう。
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ジャンル [ 掌編ホラーRPG ] 作者 [ 日辻零 さま ] 容量・圧縮形式 [ 24MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 微量のホラー・出血描写、小動物・子供・妊婦への残語描写が含まれます。 ] 配布元 呪いを巡る兄妹、それは自らの呪いを解くために。
ルカとエレナの2人の兄妹。彼らは「遺物」を求めて旅をしていた。魔法の祖たる「魔女」がこの世に残した7つの「遺物」。それらは、魔女がこの世を去って永き時が経った現在ですら、強力な魔力を持っていた。
彼らは「遺物」の一つが眠るとされるグルナ村にたどり着く。かつては鉱山業で裕福だったこの村は、鉱石や植物が生える奇妙な病に村人全員が罹患し、夜中には「屍人形」が徘徊する危険な場所となっていた。
自らも強力な術師である兄妹は、この事態が「遺物」が引き起こしたものだと感づく。村の調査を進める中で見つけた怪しい物事。鉱山を囲う障壁、3か月前から途絶えた村の記録、村が出した高額の求人、所々に漂う血なまぐささ…いったい、この村は何を隠しているのだろうか。本作は、3年前に取り上げた「うつろぎさぁかす」の作者・日辻零 さまの最新作。本作「継接ネクロ 死霊術師と呪いの村」は、ガラリとジャンルを変え、レベルアップと数々の戦闘があるRPGとなっています。
とは言っても、戦闘とレベルアップ自体はかなり楽。最序盤からメタルスライムに当たる「金屍シカ」が出現するため、シンボルエンカウントで狩り続けていれば十二分以上にレベルアップできます。
本作の最重点は、探索を進めるごとに明らかになる村の謎。村を調べるごとに見つかる怪しい情報、「小動物・子供・妊婦への残語描写」というやたらと具体的な暴力表現、その全てが意外な結末に繋がっていきます。…とは言っても、ルカ自身が言う通り「最初から怪しさは漂っていた」真相ですが。
「うつろぎさぁかす」でも見せた「個性的なキャラクターの悲しく残酷な過去」が、本作でも十二分に味わえます。「魔法と魔女のファンタジー世界」が舞台となったことでより深く、より様々な方向性で、そしてより残酷に…。
本作は、作者自身もネタバレに気を使っているため、私からも「とにかくプレイしてほしい」とだけ伝えておきます。難易度・プレイ時間自体は「手軽」の部類となるため、少しでも暇ができたのなら、ぜひ遊んでみてください。
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ジャンル [ 学園RPG ] 作者 [ 錆十 エンジ さま ]容量・圧縮形式 [ 109MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 女子高生は危険がいっぱい!
寺馬 怜子 は、多忙な女子高生。テスト勉強を終え、頼まれた買い物を控え、帰宅の途にあった。
しかし、昇降口を出る直前、突然の停電に遭い締め出される。物音を聞いた彼女の目の前に出現したものは…。
大量の悪霊であった!
廊下を完全に防がれ、逃げることなど不可能な状況!! 「えっ、この状況から逃亡アクションですか!?」と絶望していた私ことESの目の前で繰り広げられたのは…。
気合一発で悪霊の軍勢を吹き飛ばした怜子の雄姿!!!
そう、怜子を初め寺馬家は退魔の血筋。しかし、圧倒的な『暴』を見せつけた怜子を目の前にしても、扉を閉ざした悪霊は引き下がるどころか逆に挑発にかかる始末。
「無礼 た奴は滅す!!!」怜子は、群がる悪霊を見敵必殺 しつつ、悪霊の大元を探すため、学園じゅうを奔走するのであった。本作は、その第一印象を真っ向から裏切る、レベル上げも装備もある短編RPGです。
そう、小規模かつ簡単な謎解きはあるものの、本作の基本はレベル上げと装備集め。
本作は、階を上がるほど敵キャラが強化される仕様になっています。そのため、低階層である程度のレベル上げは必須。「悪霊を物理で黙らせられる」意味では超強い怜子ですが、流石に初期レベルで上階層の悪霊に挑むとかなりの消耗は免れません。
回復アイテムも道中で手に入りますが、道中で拾える「飴」は回復量が低め。回復量が高い「飲み物」は、自販機から購入する必要があります。悪霊からカツアゲした金で。
また、経験値稼ぎもそれほど手間はかかりません。基本的に「階層をざっと一周する間に、目の前にいるザコを殲滅する」だけで十分にレベルアップします。
レベルアップで得られるスキルも強力な物ばかり。特に、初期で覚える「瞑想(HPほぼ全快!)」と中盤に覚える「握りしめる(ダメージがほぼ2倍になるバフ!)」は、多勢相手のザコ戦から強力な中ボス・ラスボス戦まで幅広く使えます。
ザコ戦もボス戦も「手数を減らす」が重要なバランスであるため、1ターン費やしても5ターン以上はダメージ2倍が続くバフ「握りしめる」や、状態異常スキル「目潰し」「かち割り」は非常に強力です。
そして、この物騒極まりないスキルを見ての通り、怜子は非常にアグレッシブ。果たして、怜子の物理は悪霊の大元に通じるのか!? 当然、全年齢作品なので通じるのですが。
30分程度で遊べるシナリオ量に限界までギャグを詰め込んだ本作、割と隅々まで詰め込まれているため、ぜひ虱潰しに探ってください。
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ジャンル [ SF探索アドベンチャーRPG ] 作者 [ Twi☆Light さま ] 容量・圧縮形式 [ 305MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールMZ ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 12歳以上推奨 ] 配布元 輝かしい未来…それを作るはずだった暗黒の揺り籠
近未来、増えゆく人口を賄うため、人は海底に新天地を求めた。
しかし、せっかく築き上げた海底都市は、謎の怪物によって壊滅的打撃を受ける。
その事態を解決したのは、特殊兵器を駆る、たった数名の女子校生だった。
…それが5年前の話。
その間放棄されていた…と見せかけて極秘研究をしていた海底研究所の連絡が急遽途絶えた。
事態を重く見た政府は、5人の調査隊を派遣する。取り残された研究者たちの救助、そして研究データの保護のため。
「あなた」は、その調査隊の新人となる。電力さえ乏しい研究所の中、自らのライトを頼りに進む調査隊。しかし、彼らを謎の怪物が襲う。
5年前に殲滅したはずの怪物が、何故この研究所にいるのか? 生存者はいるのか? 研究データの真相は? 信用できるのは誰なのか?
数々の疑問を抱えながら、調査隊は生存のため突き進む。
本作のジャンルは、作者様の自己申告としては「RPG風の戦闘はあるが、レベルアップは無いため探索アドベンチャー」となっています。しかし、当サイトの基準では「レベルアップは無くても、戦闘および強化イベント(装備を拾うなど)は存在するため」【RPG】に分類しています。
本作の特徴は、その独特なグラフィック。「昭和~平成初期のOVA風」とも言えるグラフィックは、「5年前の主人公」である少女たち、本編の主人公である年齢・性別も様々な調査隊、そして「敵役」の怪物たち…様々なキャラクターを彩ってくれます。
そして、本作はSFホラーサスペンス。それを盛り上げるため、マップは暗めになっています。しかし、それが探索の邪魔にならない配慮も随所に施されています。
必要なアイテムは「EVENT」と矢印が付いていますし、マップは単純な分かれ道。謎解きのヒントを探しに、同じマップを何度も往復する必要はありません。
戦闘難易度も、回復手段がアイテム・スキルと豊富なので、割と簡単です。しかし、メイン火力たる主人公のスキル「グレネード」がMP制。それを回復するためには拠点に帰還する他ありません。強化装備を手に入るイベントも割と隠されているため、気づかずラストまで進んでしまう可能性もあります。
アドベンチャー部分を進めるにしろ、RPG戦闘の難易度を下げるためにも、「分かれ道は両方とも見ておく」レベルの隈なき探索は求められる難易度です。さて、本作をプレイしているとどうしても気になる「5年前の事件」。作者のTwi☆Light さまは多作な方ですが、「5年前の事件」に当たる作品は(2023.12.24時点では)存在しません。
同シリーズである「FUTURE CITY2 -未来都市2-」は存在するものの、「2」は「1」よりも未来の話。しかも、両者のストーリーを照らし合わせると、百年単位も未来の話となります。
「1」「2」ともに、1時間弱で楽しめる掌編です。両方合わせてお楽しみください。2作が物語るミッシングリンクに関して色々と想像をめぐらすのもいいでしょう。本作は二次創作も推奨されているシリーズです。