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■ 迷宮城ハイドラ

タイトル
作者 [ buster さま ]
ジャンル [ 探索アクション ]
容量・圧縮形式 [ 1.25MB・ZIP ]
ダウンロード ダウンロード先

基本攻撃 昇降 ハンターシールド クックル戦

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 8 /10 105/120 B
DECOすけ野郎 8 /10 9 /10 10/10
REN 7 /10 10/10 10/10
赤松弥太郎 8 /10 10/10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

自由に生きることは、野たれ死ぬ自由でもある…。そんなことも忘れていた…。

最初に言います。私ことESは、本作「迷宮城ハイドラ」の基となったMSXソフト「ガリウスの迷宮」は未プレイです。探索アクション=「メトロイド」ぐらいの知識しかありません。
しかし、この作品は、「メトロイド」というよりも、ディスクシステム版「ゼルダの伝説」に近い印象を受けました。ほぼ移動に制限なく、どこへでも探索できるフィールド…そのフィールドの中で、ボスキャラのいる「ダンジョン」を探す展開…そして、探す過程だけで何人もの主人公の屍を積まなくてはいけない覚えゲー要素…バーチャルコンソールでプレイして、「えっ、ゼルダの初作って、こんなワケ分からんゲームだったの!?」という感想が思い出されてきます。

本作は、かなり自由度の高い作品です。普通のステージ型アクションや一本道RPGのような「一度に持てるイベントトリガーは、ほぼ一つ」というものではありません。かと言って、フリーシナリオRPGのような「イベントトリガーを複数所持可能」というシステムでもありません。
「イベントトリガーを探すこと自体がゲームの本質」というシステムになっているのです。
この点が、先ほどの「ゼルダ」と似通っている点です。

しかし、「ゼルダ」や「メトロイド」と比べ、「迷宮城ハイドラ」は「途方に暮れる」要素が非常に高くなっています。
「メトロイド」では、モーフボールやミサイルといった「障害物を回避・破壊するアイテム」があり、それを集めるまでの間は探索範囲が制限されます。その間に操作に慣れるような配慮が施されています。
「ゼルダ」では、初期状態でも、体力満タンでビームの出せる剣・簡単な飛び道具を防ぐ盾を装備しており、敵を「やり過ごす」には十分な戦力が整っています。
対して、「迷宮城ハイドラ」の主人公の初期状態は、あまりにも貧弱です。攻撃手段は体1つ分以下のリーチしかない剣のみ。鉄球弾の回避も難しいほど遅いハシゴ昇降速度。体力回復アイテムが非常に出にくい上、最弱雑魚の噛みつき1回分ですら全快できないほどの回復量。ダメージ一回で大きく吹っ飛ばされ、場所によっては移動行程のやり直しや、一発死といった場合もあり得る…etc.
しかも、それらの貧弱さの方向性が「移動範囲に制限を掛けるものでは無い」という点が、かえって「途方に暮れる」展開に拍車を掛けています。遠回りを強いられたり、敵の構成上、適切なアイテムが無いと超えた時には良くて死亡寸前となる箇所でも「至難だが不可能ではない」レベルに収まっています。

この点は、MSXに手を出すほどのゲームマニアなら、「アイテムをできるだけ集めずクリア」などの縛りプレイに柔軟に対応できるようになります。しかし、ファミコンの子供向けアクションですらヒーコラ言うタイプの一般人では、「いっそ制限を設けてくれた方が『詰む』苦しさを味わなくて済むのに!」という感想を持たざるを得ません。

とりあえず移動→死亡→なんかアイテムが見つかったけど→死亡→セーブポイントを探そう!→死亡→…→…→…→…→やっと最初のセーブだ…。

「迷宮城ハイドラ」を「楽しめる」レベルまで持っていくためには、上記の辛いループを強いられます。
「迷宮城ハイドラ」のコンセプト自体が「そういうゲーム」を目指しているので、「悪い点」とも言えないのが非常にもどかしいです。

その分、「探索」によって集まるアイテムは、非常に強力です。サブウェポンはメインウェポンの貧弱さを優に超える便利さを兼ね備えている上、道中で手に入る剣アイテム1つで5発分もストックできます。
私の場合、一通りのサブウェポンに加え、パワーリスト(ハシゴ昇降スピードUP)・ハンターシールド(立ち止まっている間、飛び道具を防御)を所持した状態で最初のダンジョンに入ったら、あまりの簡単さに「えっ、いったい何だったの…今までの苦労は…。」という感想すら抱きました。もう、ダンジョンそのものより、ダンジョンのある扉を探す道中の方が数倍レベルで難しいと感じるほどです。
その頃には「迷宮城ハイドラ」の印象は、「右も左も分からない激ムズアクション」から「程よい歯ごたえと、様々な攻略法が楽しめるアクション」に変わっていると思います。

「迷宮城ハイドラ」に「難しい」という印象を与えているのは、アクション性そのものではありません。アクション性だけを見れば、ボタンが多く、レバー二回押しのダッシュが要求される「魔王のアクジ」の方が複雑です。
「難しさ」の原因は、ミス時のペナルティが大きいという一点につきます。上述の通り、道中の回復は絶望的・うっかり死ぬと戻る量が半端ない…という点が、本作に「難しい」という印象を与えています。
「かつて」のアクションがそんなシステムになっていたのは、「難しさを目指した」というよりも「ハードスペック上仕方なかった」という理由の方が大きいです。「一瞬でセーブでき、データも消えにくい」現代のハード事情には、どうしても合わない…その点がこのゲーム唯一の不幸だな…と思います。

 《 DECOすけ野郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:10

迷宮をしゃぶりつくせ!

このゲームの元となったのは「ガリウスの迷宮」だ。
そういや、このゲームもスペインなど欧州のMSX大好きな人々たちによってリメイクされたそうだ。
っちゅうわけで、このゲームは割合オーソドックスな迷宮探索アクションだ。
鍵を探しつつ、謎をときつつ、迷宮をうろうろしつつラスボスを撃破をすることがこのゲームの目的。

便利なアイテムや、先に進めるために必要なアイテムを獲得するためには、ともかく怪しいところは探索する、行き止まりには必ず何かあるということを熟知し、やるべきことをやれば大抵見つかるはずだ。
中にはかなりややこしい箇所に場所に隠されているのだが、とあるアイテムを獲得することでアイテムの獲得がかなり簡単になる。
アイテムコンプ100%を目指すのであれば入手しておきたい。

このゲームは全部で8つのダンジョンがあり、ラスボスも含め8つのボスと対峙することとなる。
ボス戦の攻略法は自分で発見してほしいわけだが、ともかく動き回ること。敵の攻撃パターンを把握することだ。
サブウェポンのストックにも余裕を持っておいた方がいいだろう。
なるべく挑戦前にセーブしておいた方がいいかもしれない。

そして、そのセーブポイントだが、ダンジョンのスタート地点のみ存在する。
よほど自信とテクニックがない限り、こまめにセーブすることを推奨する。

概ね「厳しすぎず、優しすぎず」といった感じの古き良きゲームではある。
操作感になれないうちは辛いかもしれないが、慣れれば移動に有利なアイテムを先に取って進めたり、マップやダンジョンで迷うことがなくなるのでサクサク進めることだろう。

余談だが、プレイしていて気になった点が3つほどあった。

ハシゴ移動に難あり
序盤だと、ハシゴでの移動距離が遅い。ハシゴ間移動が速くなるアイテムが無い状態だと、ダンジョンから戻ってセーブをするだけでも長く感じる。
これが意外とかったるい。
基本的に、ハシゴ移動する際には上か下のみにしか移動できないから「↓を数度押して素早く降りることが出来る」「ハシゴに乗った状態でジャンプをすると素早く上ることが出来る」ことを搭載してくれればなお良かった。

デフォルト武器の剣のリーチが短い
ともかく短い。慣れるまでともかく大変だろう。
とあるアイテムを使うことでマシにはなるものの、このアイテムは「無敵時間を増やす」方を主に使うので武器として使うには欠点が多い。
ボス戦だと、いろいろ動き回ったりするから使い勝手が悪かったりする。
デフォルト武器だけだとどうも難しいのだが、かといって天下のサブウェポンに頼ってしまうと簡単になってしまう
・・・もうちょっと間が取れないものだろうか。

ラストダンジョンが物足りない
せめて、ボスラッシュくらいは搭載してほしかった。
あれじゃあ歯ごたえがあまり感じられない。まあ、なんというか「え、もうラスボスなのか」といった感じで、もうちょっとそこらへんは底上げをしてほしいと個人的に感じた。

ハマリ度:8/10
良くも悪くも「古き良き昔のゲーム」。それを現在の技術で再現しようとも、やっぱりレトロな感じを醸し出している。
シビアながらもクリアできるゲームバランス、少ないセーブポイント、常に死と隣り合わせなところ、攻撃されると後ろに吹っ飛ぶ「悪魔城システム」など、初見のプレイヤーにとって厳しい罠が待ち構えている。
(※「悪魔城ドラキュラ」では、敵に攻撃されるとベルモントさんが後ろに吹っ飛ばされる。足場が不安定なステージや、階段を上っている途中であれをやられると大変厳しいものがある)
何度も死んでも投げ出さない人や手応えがあるアクションゲーム好きにはおすすめできる内容となっている。
グラフィック:9/10
やはり美麗なドット絵はさすがといったところ。
ダンジョンは探索していて楽しいし、敵もバリエーションがあってそれぞれ違った感じでいて面白い。細かいところまで凝っている。
サウンド:10/10
「楽園のがーでぃあん」で音楽担当をしていたZac氏が今回デバッグに回り、「みすてぃっく☆ばる~ん」やBUSTER氏が制作したパズルアクションゲーム「王様クライシス」で音楽担当していた水城又十郎氏が音楽の担当している。
音楽に関しては文句なし。雰囲気を損ねず、場を盛り上げたり静かに奏でたりといった安定感がある。レトロでいて、それでいて王道。かなり良いです。

 《 REN 》  ハマリ度:7 グラフィック:10 サウンド:10

イラスト
アクションゲームの腕に少しでも覚えのある諸君は是非ブーメランを封印して戦うといい。
あとできれば斧も。

ハマリ度 7
目が覚めるような難しさや謎解きは薄味め。
凶悪無比な性能のサブウェポンの使用制限が無いに等しく、逆に剣の出番がない等、アクションゲームに慣れた方には全体的に物足りなさがあるかもしれない。
また、ダンジョン間の移動がスムーズでなく、難解というよりは面倒。
ラストダンジョン以外は本家悪魔城ドラキュラのようにすべて最初から開放してしまっても問題ないように感じた。
アクジというゲームが完璧すぎたことを差し引いても辛い評点にせざるを得ないところだが、
アクションゲーム入門者には問題なく入っていける内容である。
グラフィック 10
氏のドット絵のクオリティは相変わらずフリゲ史上最高峰を誇る。
スクショひとつでプレイ意欲をいくらでも滾らせることができる。
サウンド 10
本作のために書き下ろされたBGMはかなりの迫力。
効果音素材の大手が依然マッチメイカァズ様ぐらいしか無い現状、ある程度は仕方ないとはいえ
効果音が新鮮でないことが惜しいと思わせる作品である。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:8

永遠に奈落を彷徨う

 まずは、アクションが大の苦手なボクのクリアタイムをご覧下さい。

クリアタイム:5:38:58

 一度クリアした方ならわかると思いますが、明らかに時間掛けすぎです。
 うまい人なら初見でも1時間そこそこ、大概の人は3時間程度でクリアできるボリューム……のハズなんですが……
 これにはゲームオーバーやリセットをした時間が入っていないので、実際は数倍の時間がかかってますね。

 原因を考えるに、どうもボクはこの作品の難度を過大評価してしまったのではないかと思います。

 本作は悪魔城……と見せかけて、もう1つのコナミの傑作ACT、ガリウスの迷宮をリスペクトしています。
 ガリウスの迷宮は、フリゲ界隈ではちょっとした知名度のある作品です……そう、LA-MULANAのリスペクト元として、ですね。
 LA-MULANAは悪魔城などの要素も取り入れつつ、ガリウスの迷宮の持つ謎解きの側面を強調しました。それはもう、強調しすぎなくらいに。
 極まった難度とやり応えが末永く評価され、とうとうWiiWare版配信に至ったのですが、正直ボクにはクリアできる気がしません。

 本作はある意味、LA-MULANAよりも正統なガリウスの迷宮リスペクトじゃないかと思ってます。
 ボクはガリウスの迷宮はプレイ動画を見ただけなんですが、特にゲーム性、たとえば主人公の武器やゲームの進行、ギミック等、本作がほとんどアレンジせずに取り入れている部分が多々見つかりました。
 ですが逆に、ガリウスの迷宮の謎解きの難しさや操作性の悪さは、本作では非常に抑制されています。
 往時を意識してか、ノックバックの時間は長めですが、無敵時間もその分長く調整されています。
 クリアした今振り返ると、理不尽な箇所はなく、ちゃんと調整されていたのは、さすがにBusterさんと言うべきでしょう。

 それでも本作を難しいと感じてしまうのは、きっと第一印象の問題だと思います。
 なんの説明も無しに城に放り出され、手探りで城の中を探索することになるのですが、最初はそこかしこに大ダメージを与えるトラップだらけです。
 城に散らばるアイテムを集め、探索範囲を広げていく必要があるのですが、そこでハシゴが立ちはだかるわけですよ。
 長いハシゴの上にある、ハシゴを素速く昇降できるアイテムを手に入れるころには、もうすっかりハシゴがイヤになっています。
 実はこの作品、序盤が一番キツいのですが、もうプレイヤーは、次にどんな困難が待っているのか、身構えてしまうのです。
 これがいけない。

水中の宝箱  例えば、→のような場面に出くわしたとします。
 まず隠し通路とか、スイッチとか、下の宝箱まで移動できないか試してみます。しかし、どうやらできないらしい。
 左側のフロアからずっと水の中を潜って取りに行くしかないらしい、とわかってくるのです。
 普段のボクだったら、「どうせ後で、水中で窒息せずに移動できるようなアイテムが手に入るだろうから、しばらく放っておこう」と判断するところです。
 なのですが、本作の序盤を経験していると、「ひょっとして、なんとか取るしかないんじゃない ?」と思ってしまうのです。
 そして実際取れちゃうのがマズいんですよねー。
 案の定、水中で楽に動けるアイテムがその直後に手に入ってしまう徒労感たらありません。

 ヘンなところにハマるとどこまでも行ってしまって、誰も止めてくれない、そこがこの作品の怖さなんですよ。
 本作では、城の中のアイテムは、ダンジョンを1つもクリアしなくてもコンプリート可能です。
 しかし城の中のアイテムの中で、クリアに必要なアイテムはたった2つしかありません。
 どうか、無理をしないでください。
 ハシゴの昇降が早くなった後、もし妙に難しい場面に出くわしたら、そこはクリアに必要ないか、まだ来るべき場所でないか、どちらかです。
 手詰まりになってしまったように見えても、少し落ち着いてください。
 そんな時は、本っ当にしょーもないところで詰まっている可能性が高いです……ボクみたいにね。

 以上、初プレイ初心者の方向けに、ボクと同じ轍を踏まないよう注意申し上げました。
 ホントにやめてくださいね、たかだかスイッチの押し方がわからないくらいで、溶岩に浮かぶ狭い足場の上で、降ってくる敵弾を捌きつつ各個撃破するような場所に挑戦するのは !

ハマリ度 : 8 / 10
 上記の通りで、これまで原則1本道の作品しか作っていなかったBusterさんにとっては、やはり探索型は難しいところもあったのかな、と思わせる。
 細かな操作性やレスポンスは良好で、ストレスなく遊べる点はBusterさんの経験を物語るが、ハシゴ回りの難度調整は少々キツすぎた。
グラフィック : 10 / 10
 前作楽園のがーでぃあんの時点ですでにトップクラスだったドット絵技術が、さらに見やすく、わかりやすく進化している。
 必要な情報を目立たせつつ、目に負担を掛けない明暗の使い分け等、参考になるところが多い。
サウンド : 8 / 10
 王様くらいしすの叉十郎さんが続投、実に「らしい」曲で盛り上げてくる。
 ただ、環境依存なのだろうとは思うが、MIDIの切り換え時に音が残ったり、1パートだけテンポがずれたり、果ては強制終了したりという不具合が頻発してしまった。
 本作で使用しているkbgm32.dllは最終更新が1999年のものであり、不安が残る。

 実のところ、本作が盛り上がるのは、2回目以降のタイムアタックだろうと思われます。
 BusterさんのBBSでハイレベルな戦いが繰り広げられてますので、興味のある方はどうぞ名乗りを上げてください。

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