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■ 新入り魔王

新入り魔王
作者 [ ポルゼンヌ小林 さま ]
ジャンル [ アクションRPG ]
容量・圧縮形式 [ 14MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

新入り魔王 新入り魔王 新入り魔王 新入り魔王 新入り魔王

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 8 /10 8 /10 118/150 B
hoikoro 8 /10 8 /10 7 /10
シュン 9 /10 7 /10 8 /10
牛人 9 /10 7 /10 7 /10
赤松弥太郎 8 /10 7 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:8

新入りのままでは終わらせない

本日のイチオシ作品「新入り魔王」…それが生み出されるには2作の短編アクションRPGを踏まえた成長がありました。初作「小林クエスト」と2作目「前向き勇者」です。
どちらも、一発ネタが主の短編作品ですが、アクションの基本は「小林クエスト」で、装備合成などの強化システムは「前向き勇者」で既に実装されているのです。
そして、今作の「新入り魔王」では、「ループもの」と言う世界観、「時間に応じて移動し、生活観を感じられるNPC」など、世界観をより練りこむことで、長時間のプレイに耐えられる作品、そして多数の方々が「面白い!」と言う作品に仕上がりました。

ループものと言えば、以前に「帝国魔導院決闘科」を取り上げましたが、あちらはノンフィールド型の戦闘オンリーなゲームだけに、プレイヤーとNPCの関わりだけの表示で充分でした。
しかし「新入り魔王」はフィールドを駆け回るアクションRPGです。しかも、施設を成長させる要素もあります。そのため、ループによって「何が残り、何が消えるか」が複雑になっています。
端的にいえば、ループ後に残るものは「魔王自身の経験と持ち物」、消えるものは「それ以外」となります。3日間で注ぎ込んだ設備投資も、(最高まで育てきっていない場合は)仲間との絆まで、1日目の0:00に戻れば全て初期化されます。
私の場合、うっかり2日目の0:00に鍛冶場を建設してしまったため、ループする際には1日目の0:00に再び購入する必要があり、二度手間になってしまいました。
…しかし、この状況、魔王以外のキャラから見れば、どういう風に受け取られるのでしょうか。「1日目の夜と2日目の夜の2回鍛冶場を購入してくる」と言う不思議な状況です。
魔王以外のキャラから見ると、1日目の0:00を境に、ループ回数分の魔王が動き回っている…そんな不可思議な状況です。
こう言うループの謎など、「新入り魔王」には、単なる「勇者 VS 魔王」と言う半ばギャグめいた目的とは異なる最終目標が、展開を進めるごとに明らかになっていきます。

ただし、そういう隠された真実は、かなりループ回数を積み、NPCを仲間に出来る状況になって初めて分かること。序盤のうちは、ただの激ヨワな魔族として、ひたすらレベルアップに邁進していきます。
この「ひたすらレベルアップに邁進」出来るような導線も、うるさくならない程度にしっかりと導いてくれます。
それに慣れたら、最初のループで鍛冶場とキッチンを購入して、更なる強化とミニゲームが楽しめるようになります。特に、料理と魚釣りはミニゲームとしても中々に難度が高く、またレベルの低いうちはそれなりのアイテムしか獲得できません。レベルを上げることでより高価なアイテムを造れるようになり、金稼ぎがしやすくなります。
実を言うと、「新入り魔王」においては金の要素がかなり強くなっています。装備品の購入や合成・練成に使うのはもちろんのこと、よりレベルの高いステージに行く際にも、資金が必要になります。雑魚をつぶすだけの稼ぎでは到底間に合う量ではなく、料理や魚釣りで高価なアイテムを作るのが必要不可欠になっていきます。

「稼ぎ」による強化も大切ですが、それ以上にアクション的な操作にも慣れが必要です。ザコ敵はとりあえず「攻撃を当てる」ことに注力すれば何とかなりますが、ボス戦では「行動パターンを見切って攻撃をかわす」要素が必要不可欠になります。
十字キーの移動だけなので、それほどスキル的には難しくありませんが、連続して回復できない「新入り魔王」のシステムでは、回復できるまで逃げ切るスキルは必須です。

こうして考えると、開始時刻を0:00にしたのは英断だと感じました。1周目では、まだアイテム屋が開いていないため、外での稼ぎに注力できます。逆に、設備屋は夜中に開いているため、1日目の0:00に戻れば最初っから設備が使用できるようになるのです。
とにかく「手当たり次第に楽しいことが出来る」ゲームです。そして、「手当たり次第に楽しいこと」の先に待つ隠された真実はいったい何なのでしょうか。貴方の目でご覧ください。

 《 hoikoro 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:7

多分スライムとデビルが付き合ってる

新入り魔王】今回レビューさせていただきました
アクションとアトリエシリーズをかき混ぜたようなゲーム、プレイする前にもった感想はそれで、プレイ後もだいたいそれです。
序盤は試行錯誤、中盤は効率化、終盤は全部の要素を楽しむ、というプレイスタイルで最後まで行きました。
アクション性は結構高めですが、装備と職業による影響がとても大きいので周回していけばなんとかなるように作られています。

しかし、装備や職業を考えずにゴリ押しをする場合、ボスが非常に強いです、強すぎるほどに。
小さな当たり判定に高速移動、防御を上げる手段が乏しいにもかかわらず相手の攻撃力はとても高いため
適正レベルでのボス討伐はかなり厳しいといえるでしょう、転職というシステムを上手く活用し、上位職になってもまだ厳しいです。
この傾向は最後の最後まで続きます、火力はインフレしていくものの、防御とHPがそれに追いつけず、ハイスピードな戦闘が基本となり
逆に、防御を的確に使える場合はかなり低レベルでもクリアできます、本作のガードは扱いづらい反面かなり強力なものだといえます。

総じてアクション性は高く、爽快感のあるプレイングをさせてくれます。
相手に負けじとこちらも高速移動し、相手の隙をつき、防ぎ、必殺技を決める
2Dであり、ほのぼのした世界観(追い込まれてますが)の中
手に汗握るアクション性というものを感じさせてくれるゲームはなかなか無いでしょう。

また、アトリエ部分、と言うよりは錬金や住民との交流、釣りなどの生活部分も非常に充実しています。
何しろすべての部分に死に要素が無く、やればやるほど冒険が楽に楽になっていくシステムとなっている
いや、むしろこれらを行わない縛りを入れるとクリアは困難を極めると言ってもいいほどにガッチリと挟まっています。
主に金銭面で

このゲームのメイン要素といえる錬金は非常に奥深いシステムでありつつ、説明が丁寧な上に分かりやすい為
気軽に「ぼくのかんがえたさいきょうのそうび」が作れます、説明文もユーモアが効いていて魅力的です。
ただ、欠点があるとするならこのゲームにおいてかなり必須アイテムである回復薬の生産が安定して行いづらい事が挙げられます。
回復を生産で間に合わせようとすると、かなり面倒臭い為に、あまり回復を使いたくない、という事態にもよく遭遇し
せめて薬草の販売を定期的に行っていただきたかった、でしょうか。

住民との会話も非常にバリエーション豊富で、好感度と時間で会話の内容が変化し
徐々にフレンドリーになっていく仲間たちに愛着が湧きます、また、仲間として連れ歩くこともでき
その場合の冒険は(ボス戦はともかく)とても役に立つこと請け合いです。

また、住民たちは一日の間を自由気ままに歩きまわり、他の住民と会話したり、一緒にご飯を食べていたりします。
このシステムは非常に斬新であると同時に、住民たちがただのNPCではなく
時間と都合を考えてあげなくてはいけない相手なのだと認識させてくれます。
ミニマップを表示させることで今どこにいるのかもわかりやすく、そこから考えられる住民同士の相関図や友好関係など
色々なものを考えさせてくれる楽しさがあります、最終決戦の直前の、皆の緊張した様子がとても印象的でした。
加えて、住民同士の会話もミニマップを見ていればすぐに見られますし
店の開店時間が短いことも自由気ままな魔物たちの生き様を示しているようで面白かったです。

その他釣り、料理、畑なども、一気に金を回収するシステムとして非常に優れたものといえるでしょう。
ただどれも難易度がぬるくなく、特に料理はほぼ必須であるにもかかわらずとても高い難易度に挫折することも多数
もうちょっと難易度落としてもよかったんじゃないかな…?

総合的に非常に高品質にまとめられた出来栄えでありますが、プレイしていくに当たりかなり気になる部分が多数存在します。
まずあげられるのはバグの多さ、恐らく自分以外の皆さんも感じているでしょうから、気になったものを少々上げさせていただきます。
一番気になったものは、二回目のボス到着時、ボスが既に出現しており、弓でハメることができる。
これは高難易度なボスが印象的なこのゲームにおいてかなりの痛手だと思います。
特に仲間がいるともはや何もしなくても勝利出来ます。
他にも、決闘によって殺害した仲間が平然と他の魔物と会話していること、勇者を討伐以外でクリアした際の会話に矛盾が生じていること
時間を巻き戻しても好感度が変わっていないこと、などがあります。
ただ、これらはいずれ直されることでしょうから、ゲームのアクセントとして楽しませて頂きました。
もしかしたらふつうに仕様の可能性もありますしね。

ですが、何よりも、「これは~~があるだろ!」と思う分岐点でのお約束的なものが存在しない場面がある、ということがあります。
例えば上記にも書いた決闘システム、コレによって住民を殺害していき、最後の一人も討伐して全滅させました。
となれば、それ相応のEDになるのが普通なのでは?と思いましたが、当然のように殺害したはずの死神が登場し
いつものEDで終了、信頼を築いたとは絶対に言えないでしょう。
また、全キャラクターの好感度を最低にしてクリアしても、やはり特にEDが変わったりはしませんでした。
(もしかしたら会話は若干変わってるような気もしましたが…)
若輩である自分がこんなことをいうのはおこがましいような気も致しますが、主人公が選択することで正しい道を作る。
このタイプのゲームであるのならば、バッドエンドを除く別のエンディングをいくつか作っていただきたかったです。
死神関連、デビル関連、好感度関連、全員殺害、二周することで本を2つ手にして、勇者の無敵を剥がしつつ…
これらのED派生しそうな要素がありつつも、どうしてもEDが変化する気配はなかったので
もしかして変なフラグ踏んじゃってる?と考えるほどでした。
いや、もしかしたら踏んでしまっているかもですが…その時は本当に申し訳ない……

序盤中盤終盤の出来が素晴らしく良かっただけに、最後の最後の部分のみボリューム不足に感じてしまいました。
2周めのデビルがそれらしい事を言っているので、本当に何かあって見逃しているだけなのかもしれませんが……

・ハマリ度:8/10

序盤中盤終盤、特に序盤の雰囲気はかなりのもので、このゲームに対するやる気と熱中度を高める一因としてとても高いクオリティを持っています。
ゲームシステムはどれも突き詰めるまで労力がかかり、それに見合った報酬ありと飽きさせること知りません。
フレーバーテキストはどれもクスリとくるものがあり、センスの高さが伺えます。
職業も多く、特徴的で、武器や職業で有効なボスや道のりが大幅にかわり、自分の好きな様にプレイさせて貰えました。
やはり減点なのはバグの多さとED、この2つが関わらなければ間違いなく10点満点の出来です。

・グラフィック:8/10

特別悪くもなく、グラフィックによるバグは見つからなかったです。
逆に、特に目新しい物も無く、至って普通のグラフィックです。
EDでアレだけ色違いを出せるのならば、通常雑魚でも使っていいと思いました。

・サウンド:7/10

こちらも特に追求することはあまり無いです。
最終戦のはいりの部分や、効果音などが単調であったことが気になった、くらいでしょうか。


クリア後、というわけではないが、隠しダンジョンも存在していて、例によって非常に高難易度
レベルの上げづらさも重なり、30階層クリアですらかなり骨が折れます。
だがそこで手に入る装備は強く、ドロップ品も美味しいため、適正レベル以下でもよく通うことになるかもしれません。
自分はまだクリアには到達できていないため、奥に何があるのか楽しみです。

才色兼備で皆に愛されるミノタウロスさん絶対美人ですわぁ

 《 シュン 》  ハマリ度:9 グラフィック:7 サウンド:8

魔王が勇者を倒す!して・・・その理由は?その先にあるのは?

 「魔王が勇者を倒す」というのは今となってはたいした驚きにはなりません。
「魔王と勇者が手を取り合って冒険をする」という作品もありましたからね・・・。
問題となるのは「時間を巻き戻せる」ことと「勇者を倒す目的」、そして「勇者を倒したその先」でしょう。
一見何も無いはずのこの行動と目的に隠された謎とは・・・?

 プレイヤーが目覚めると魔王として魔王城に召喚されました。
LV99で、各種加護をその身に受け、物理を無効にする鎧と魔法を無効にする羽衣を重ね着しているという勇者が3日後(4日目の0:00)に魔王城へやってくるというのです。
1日目~3日目の0時か12時に時間を巻き戻せる「次元の日記」を有効利用して己を鍛え、各種加護も消して、勇者を倒すのが目的です。
それだけではなく、魔王城の住民との交流や、釣り、農業、料理、錬金・・・色々出来ることはあります。
勇者を倒したその先には何があるのでしょうか?勇者を倒して終わり・・・でしょうか?

 作品の内容に関しては語ることが少ない為、情報や攻略を交えたレビューとさせていただきます。
チート級の強さを持った勇者を倒すことが目的となるのですがそれまでには色々やるべきことがあります。
ダンジョンへ向かい敵を倒したりアイテムや武具を入手することが基本となります。
攻撃、スキル、ガードを使用したアクション要素がある戦闘を行い様々なダンジョンを進んでいきましょう。
魚が入手できる釣り、野菜を育てて収穫できる農業、食材を調理してお金にすることが出来る料理、
錬金や装備品合成が出来る鍛冶設備、転職屋の職業変更、住民から受けられるクエスト・・・など様々な行動が出来ます。
住民は会話をしたりアイテムや装備を渡したりクエストをクリアすると好感度が上がり、一定以上の好感度になれば仲間として戦闘に参加できます。
住民が開いているアイテム屋、武器屋、露店、内装屋といった建物も有効活用しましょう。
 ここで注意事項を少し。

他にも気をつけなければならないことが多いですが、実際になってみて学んでいくのが一番です。
時間は何度でも巻き戻せるので色々試してみましょう。

 この作品の基礎知識をここで示しておきます。
武器は攻撃速度、範囲共に優秀な剣、攻撃範囲が横に狭いが縦に長い槍、遠距離から攻撃できる弓、攻撃範囲が素手と変わらないが魔力が上昇する杖の4種類。
武器と盾、頭、身体、足の4つに分かれた防具には何かしらの効果が付加されており、メリットやデメリットがあります。
回復アイテムは連続使用出来ない(基本20秒後)ので注意が必要です。
職業を特定レベルまで上げると上位職に転職できます。レベルUP速度は上位職であるほど遅くなることに注意してください。
スキルツリーで習得できるスキルは主に能力が上がるパッシブ、その職業でのみ効果がある分強力なオリジナル、装備することにより戦闘でスキルとして使用できるアクティブの3種類。

 ここでこの作品の攻略指針を。とはいえ実際にやってみるのが一番の攻略になることをお忘れなく。

 さて、この作品の不可解な点は「何故プレイヤーは魔王になったのか」「何故勇者を倒すのか」でしょう。
3日後には勇者が来るのにやたらと危機感の無い住民たちも謎です。少しくらい焦ってもいいのに・・・。
加護を打ち消した後過去が明らかになるのですが何か不自然な点が垣間見えます。
また、住民たちの会話や「次元の日記」の特徴にも何かしらおかしいと思う部分があります。
はっきり言いますと、勇者を倒すという目的には何か裏があります。絶対油断しないでください!
その目的に隠されたこの作品の最大の謎、そして真の目的は自分の目で確認しましょう!

 《 牛人 》  ハマリ度:9 グラフィック:7 サウンド:7

ミノタウロスのことが好きなんです(牛好きに悪い奴はいない)

 アクションRPGです。オーソドックスな操作性で、難易度もいい塩梅です。

 ゲーム性については、まさにハックアンドスラッシュ。戦闘が楽しいアクションRPGです。
ただ、本作の売りでもある「キャラクターが時間で行動する」という部分は、店やその他施設にアクセスし辛く、ユーザビリティの面で難があります。

 物語の部分では、システムとマッチしたどんでん返しが用意してあり、実に良くできている作品です。
周回により変わる台詞回しも必見でしょう。

 全体的に良くできており、万人に勧められる良作です。

ミノタウロス→牛乳。エロ要素は以上だ。

ハマリ度:9/10
ハック&スラッシュ!
グラフィック:7/10
絵が売りの作品ではない
サウンド:7/10
悪くはない

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:9

動き続けもっと前へ まだ見えぬ明日へと踏み出せ

ハマリ度 : 8 / 10
 作業ゲーとしての楽しさは満遍なく備えており、トレジャーハントやサクサクと敵をなぎ払う楽しさは完成されている。
 多彩なシステムを盛り込もうとした結果、互いにバッティングして、いい点を潰しあってしまっているところが残念。時間回復の宿屋は転職屋に取って代わられ、こだわったマップは次元通路に取って代わられる。せっかくのループの発想も内装屋が足かせになっているのは作者の指摘どおり。
 話しかけようとすると攻撃してしまう、装備しているスキルが目で見てわからない、各種設備の内キッチンだけがワープポイントから遠く外れており、なぜか別荘にも設置されていない、そもそも別荘にうまみが全くない、ラスボスだけが強すぎて稼ぎ目的のループを迫られる、等々の修正が簡単であろう問題は、事前に他の人にプレイしてもらっていれば気付いたポイントではないかと思う。
グラフィック : 7 / 10
 ライオンの横向き絵のみ中心線が他と大きく違っておりマイナス。槍や弓装備の場合とてもイライラする。
 特に魔法など、初見では攻撃判定がわかりにくい。草刈りでの確認作業が必須。
サウンド : 9 / 10
 城下町やフィールドの変奏、そしてタイトル曲と迷宮の曲の印象的な使い方など、全曲書き下ろしならではの趣向が随所に見られる。バリエーションも文句なく、隙無く全曲粒ぞろい。
 サウンドモードが存在しないのが唯一の不満点。

 イチオシ掲載前の時点において、この作品の最も的確かつまとまった批評は作者さん自身の書いた反省文です。いやーこれは参った。
 ボクの1つ、大きな目標として、「作者さんを驚かせるレビューを書きたい」という思いがあるのですね。作者さんの想定の範囲内でレビューしたって、作者さんにとってもボクにとっても面白くないし、身にならないじゃないですか。
 「プレイヤー視点でどう見えているか」という切り口で、ここまで弱点をしっかり把握してる作者さんの場合、じゃあどう書こうか、と頭を振り絞ることになったんですね。
 そこで、作者さんの反省文を何度も読み返して、ボクが違和感を感じる部分はないか探したのです。

 誤解してほしくないので何度も言おうと思いますが。
 本作、プレイして楽しいのは間違いないんですよ。
 操作感はサクサクだし、レベルが上がって敵をまとめてなぎ倒せるようになったり、強い装備を手に入れられるようになるのは気持ちいいです。
 また、収穫や釣り、料理といったサブシステムも面白く、ループを組み込んだゲームデザインには独創性があります。
 しかし、そのシステム同士の相性が悪かったり、プレイヤーにとってストレスになる作りになっているところが問題、と。この認識は作者さんと一致していると思います。
 ……なんだけど、微妙にボクの気持ちと食い違うんですよね。それはなぜなのか。

 で、原因を探して、やっと見つけました。
 「フリーゲームは挑戦と独創性が最も大事だと考えている」というこの下り。ここです。
 言っている内容自体は理解できるし、共感できます。ボクもどうせプレイするなら、オリジナリティがある作品をプレイしたいですし。
 ですが、ボクは常々思ってるんですが、独創的なゲームを作ることを目的にしてしまう、これが罠なんじゃないか、と。
 ボクがフリーゲームで最も重要だと思うポイントは、やりたいことを自由にやること
 独創性は、やりたいことをとことん突き詰めた結果として、おのずと付いてくるものと考えています。
 違いがわからない人もいると思うんですが、この2つには決定的な差があると、ボクは考えてるんですよ。

 本作がやりたかったこと、それはたくさんあると思うんですが、じゃあ、一番やりたかったことはなんだろう。
 このゲームの核になる部分が違えば、どのシステムを採用するべきか、答えはまったく違うものになります。
 どんなに魅力的なシステムであっても、ゲームの目的とそぐわなければ、一転して障害になってしまう……よくあることなんですよね、これ。
 本作で問題とされてるシステムだって、アイディアの時点で産廃とか、奇をてらってるだけで中身がないとか、そういうレベルのものはほぼありません。
 やりたいことが1つハッキリと決まっていれば、それに照らしてどうアレンジするべきか、あるいは採用を見送るべきか、判断できたと思うんです。

 そうですね。具体的に、本作がありえたかもしれない可能性を考えてみましょうか。
 システムは前作「前向き勇者」をできるだけ流用すること、ジャンルはアクションRPGであること。これは所与の条件とします。
 で、メインモチーフですが、作者さんの「モン・サン・ミッシェル時の感動」だ、とボクは読み解きました。
 たしかに、2Dのマップ上で、モン・サン・ミッシェルそのものを再現するのは非常に困難でしょう。でも、そのものを再現する必要はありませんよね?
 マップを歩いて楽しいアクションRPG、結果的にこれが達成できれば、モン・サン・ミッシェルの感動を少しでも伝えることはできるはずです。

 マップで勝負する、として、大きく2方向の戦略があります。
 ひとつは、マップの美しさ、芸術性で勝負する方向。遺跡島と7つのまほうが代表例ですね。
 もうひとつは、隠し通路などの仕掛けをたくさん仕込んで、探究心を刺激する方向。禁術と呼ばれる術は今でもよいお手本になるでしょう。
 この2つ、ある程度は両立可能です。遺跡島の場合、芸術的すぎて隠し通路を見逃すことがよくありましたが。
 しかし、いずれの方向で攻めるとしても、マップの簡潔さはある程度犠牲になります。
 それを上回る楽しさが必要なのはもちろんのこと、最低限、必要な機能に対する配慮が必要です。
 遺跡島の場合、街はマップではなく選択肢式になっていましたし、禁術では地表の浅い、スタート地点からアクセスしやすいところに店舗が固まっていました。

 作者さんは、モン・サン・ミッシェルを参道から山頂に向かって登っていったのですから、その経験を反映したなら、入り口に店舗を固めて、そこから山に向けてマップを攻略する作りが自然なはずです。
 しかし本作は、山頂の城の最上階がスタート地点。城主が主人公になっています。
 「こんな街に住んでみたい!」という作者さんのパトスの現れではあるんですが、観光地って住むと案外大変なのよという事実を、図らずして忠実に伝えてしまいました。
 何か変化だとか、新しい発見だとかがあれば、あるいはそれも変わるかもしれません。
 たとえば、攻略を進めることで普段の道すがらに新しいダンジョンの入り口ができる、新しい住民や会話が増える、などなどですね。
 ……やっぱり、短いスパンの変化をメインに据えるループものと、複雑なマップ探索は相性が悪いんですよねえ。
 両立させるとしたら、うーん。そのままの形ではなく、過去へ干渉する形にすると思います。

 ……魔王が数百年の眠りから目覚めると、そこには荒れ果てた玉座があるだけだった。
 かつての配下たちは石像となりはて、広間に転がされていた。
 勇者軍はすでに城を包囲しており、早く出てきて勝負しろと呼ばわる。
 なにか打開策はないものか、荒れ果てた魔王城を探索した魔王は、時空の裂け目を発見する。
 そこをくぐると草原があり、そして人間に襲われているスライムがいた。魔王はそれを救う。
 ……気がつくと、再び玉座。勇者軍の包囲下に戻っていた。
 しかし、広間はきれいに片付いており、そしてスライムが、彼のそばに侍っていたのである。
 行動範囲が広がった魔王城下で、魔王とスライムは別の時空の裂け目を探し始める。
 魔王の、配下を蘇らせるための闘いは、まだ始まったばかりである……!

 あ、これいい。すごく誰かに作ってほしい。誰か、作ってみませんか!

 もしメインモチーフが違っていれば、まったく違う結果になっているはずです。
 たとえば、作者が一番気合いを入れて作ったという、住民の徘徊システム。
 仕事をしている人は、朝から昼は店を開いていて、夕方から夜にかけて散歩する、というわかりやすい生活スタイルで全員固定した方が、プレイしやすい上に自然です。
 このシステムをフルに生かすとしたら、学園ものとか、密室ものでしょう。
 分岐を考えるのが難しいということなら、たとえば主人公を学園の呪縛霊とか、他の学生と意思疎通ができない存在にして、三日後に起きる殺人事件が阻止できないとループし続けてしまう、脱出せよ! とかのストーリーを考えると思います。
 いや、既に完成したものに対して、後出しでいろいろ口だけ出すのは簡単ですよ。そりゃわかってますよ。

 さっきの反省文のすごいところは、作者として思っていることも山ほどあるでしょうが、それは脇に置いて、自分自身がプレイヤーとして素直に感じるところを書いていることです。
 自分の作ったものとなると、プレイヤーに言われた意見を曲げて我田引水したり、あからさまな欠点を認められないことも多いのですが、そういうところが全く無い。
 おそらくそういった姿勢は、この作品でも十分に活かされていると思います。
 個々のアイディアやパーツで見ると、どれも楽しかったり、興味深いものばかりなんですよ。繰り返しますが。
 だからこそ、次回作ではもっと、小林さんがやりたいもの、遊ばせたいものを追求してほしいと思うのです。
 プレイヤーにどんなことを言われようと小林さんは、ストレスも無ければ面白味も無い、何も残るものが無い作品を作ることは決してあり得ない方とお見受けしました。
 だからボクはもっと、小林さんの作った作品が見てみたいと思うのです。
 ひとつの軸さえ決めれば、どれだけてんこ盛りにしてもバランスを取る方法はきっとあります。

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