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■ Mika

Mika
作者 [ Claude Comair さま・他 ]
ジャンル [ 探索アクション ]
容量・圧縮形式 [ 39MB・インストーラ ]
製作ツール [ DigiPen ]
言語 [ 英語 ]
備考 [ 現在のバージョンは、1.09 ]
配布元 ダウンロード先

Mika Mika Mika Mika

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 7 /10 8 /10 44/60 B
赤松弥太郎 8 /10 7 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:8

一少女と一刃の大冒険!

今回のイチオシ「Mika」は「DigiPen」というアメリカの工科大学の生徒が作成された作品です。
聞きなれない名前ですが、実は同じDigiPen工科大学で作られた作品を以前に取り上げたことがあります。「Nitronic Rush」です。
あちらの評価は、まとめると「あまりにも初見殺しと実験作的要素が強く、力がこもってるのは分かるけど、しんどい。」でした。本作「Mika」でも、その要素は少なからずあります。

ただし、「Mika」の操作方法自体はシンプルにまとめられています。「WASDで主人公の移動、上下左右で手裏剣(S.T.E.V.E.N.)の攻撃」さえ分かっていれば、取りあえずのプレイは可能です。
攻略に必要なアクションはストーリー中で必ず手に入るようになっており、経験値を払って手に入れる技能は、たとえダッシュであっても攻略に必須ではありません。「必須」ではありませんが、「アクションスキルが足りない人の助けになる」事は確かです。技能の中にはライフ最大値アップもあり、とにかく死にやすい本作にとっては何よりの助けになります。
一番重要なアクションである「壁つかまり」も、そうとう操作感に気を使っていることが分かります。ほとんどのアクションでは「壁同士の間隔が狭い箇所」でしか使いづらい壁ジャンプですが、「Mika」では「壁方向の移動キー(A,D)を押しながらジャンプ(W)」でサクサクと壁を登っていけます。

本作を赤松さんに教えてもらった際には、「パッド対応してないので、パッド派のESさんはやりにくいかも」という文言が添えられていましたが、本作に限っては、キーボード操作が一番やりやすいです。上キーがジャンプである点、回転斬り(手裏剣を放った後、別の方向キーを入れて発動)が最初から入っている点など、パッドでは暴発しがちな操作が重要アクションとして入っているからです。
一つ一つの操作がやりやすく作られていますが、それを応用したアクションは(当然ながら)ストーリーを進めるごとに厳しくなっていきます。追い抜かれると一発死のゴーストよりも早く駆け抜けるステージ、迫りくるダメージ壁をすり抜けで潜り抜けるステージ、「!」な形をしたタル大砲を連発で進んでいくステージ、色々な仕掛けが貴方を待っています。

もちろん、「Mika」には欠点が無いわけではありません。本作の評価が低め…特にグラフィック面が低い理由は、ひとえに「視認性が悪い」という点にあります。
まず、キャラが小さく、文字はさらに小さいこと。上記キャプチャ画像では読めないほどに小さい文字ですが、フルスクリーンで見てもやはり小さい文字です。
アクション操作は絵入りで説明されるので、まず見落とすことはありませんが、それ以外の会話文はこの小さい文字オンリー。言語の壁を乗り越えるのに、本当に支障が出ました。
せめて、キャラと文字は、現在よりも2倍ズームでプレイしたかったです。 もう一つは、色指定による見づらさ。特に、攻撃エフェクトとストーリー中盤の「S.T.E.V.E.N.の時代」の背景がきつい配色バランスで、本当に目が痛かったです。花粉症でただでさえ目のダメージが大きいこの時期に本作を選んだことは、完全に失敗でした。

良いも悪いもアクの強い本作ですが、ストーリーも難易度も手軽にまとまっているのは幸いです。チェックポイントである草は多数出てくるため、リトライも楽です。とりあえずの気持ちでプレイしてください。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:8

君が切り拓く未来 見てみたいんだ

 探索型アクションの醍醐味と言えば、シーケンスブレイク、これでしょう!
 キャラのスキルやプレイヤーのテクニックを駆使して、本来ならもっと後で来るべき場所に突入する。
 それだけで作者の裏をかいた、してやったり、とプレイヤーはご満悦です。

 一方、作者としては、あまり歓迎できた話じゃありません。
 最近イチオシした作品で、開始すぐにラストダンジョンへ直行する方法が見つかりました。さすがにすぐ修正が入りましたね。作者さんは「プレイヤーとしては嬉しいけど……」とも言っていたのですが。
 ここでイチオシするような作品は、どれもしっかり作り込まれてます。意図しない抜け道は塞ぐように、面白い抜け道だったら生かすように、ちゃんとコントロールしてます。
 わかっちゃいるけど、「ここへ来るのはまだ早い…」なんて表示されると、お釈迦さんの手のひらを見せられた悟空みたいな気持ちになりませんか?
 悟空の欲より深いのがプレイヤーの業、ということなのでしょう。

 その点、本作はシーケンスブレイクしまくりです。
 3つのポータルから未来世界に行き、ミカのスキルを手に入れ、世界の謎を紐解いていく……というメインストーリーが、跡形も無く崩壊します。
 さすがに、武器でもあるナビゲーターS.T.E.V.E.N.を入手し、スキルを購入できるようになるまでの導入部はスキップできませんが、そこから先はやりたい放題です。

 まず、この紫のトゲ。
 第1のポータルから未来世界に行き、ワープスキルを手に入れることでこの先に進むのが、本来のルートです。
 強引に突っ切ろうとするとダメージを受けて……ん? たったの3ダメージで突き抜けられるの?
 そう。お金を貯めて、VITALITY(最大HP+1)を買えば第1ポータルはまるまるスキップできるんですね。
 PERIOD(食らい無敵延長)を買えば、1ダメージで突っ切れるので、それでもOKです。ゆくゆくは両方手に入れましょう。

 多分第2ポータルはスキップできない、のかな? 頑張ればスキップできる気もするんですけど。
 当然、ストーリーは繋がらなくなるんですが、本作の場合、細かいことを気にせず先に進みます。
 たぶん本作のストーリーは、進行度一つで管理されていています。先のイベントを起こすと、それ以前のイベントは発生しなくなるみたいです。

 たとえば、序盤のこの縦穴。
 通常の進行は、穴の底で忍者に遭遇→三角蹴りを入手して穴を登る→登った先でS.T.E.V.E.N.が指示を出す……という流れ。
 しかし、GLIDE(ホバー) + GRACEFUL(ホバー能力向上)を買うと、穴に落ちる前に赤トゲを壊し、3つ目のイベント地点に着地できます。そうすると、何の脈絡も無くS.T.E.V.E.N.がしゃべり始めます。
 では穴の底の忍者イベントはどうなるかというと、発生しなくなります。ストーリーの伏線が1つ消失しました。
 必須技能である三角蹴りはどちらでも問題なく入手できるので、ご安心ください。スキップされるのは、あくまでストーリー進行に絡むイベントだけのようです。
 わざわざヘンなことするくらいだから、わかってるんでしょう? くらいのノリで、スキップされたストーリーはなんのフォローも無く進んでいきます。

 たしかに、ストーリーをわかってる人からすれば、ストーリーカットできるという面でもシーケンスブレイクは有用でしょう。
 ただし……残念ながら、知らずにシーケンスブレイクしちゃう人も多そうなんだな、これが。

 特に第1ポータルクリア後、ミカの保護者であるヤマモト氏の家に行こう、という場面。
 そこに行けば、ストーリーが進むことはわかってるんですよ。有能なS.T.E.V.E.N.君がマップに印も付けてくれますし。
 「よし、早くヤマモト氏の家に行ってストーリーを進めよう」と思うあなたは、素直なプレイヤーです。
 「ストーリーを進めるくらいなら、他の場所を探索し尽くして、行ける場所が無くなってから行こう」と思うあなたは、ひねくれ者です。ボクの仲間なので喜んでね!

 しかし、それが罠。
 このイベント、進めなくても問題なく第2ポータルに行けます。強行突破の必要も無く、道なりに進むだけで着いちゃいます。
 そして、第2ポータル前のシロニンジャーと戦ったら最後、フラグがつぶれてこのイベントは見られません。ストーリー上重要イベントなんですけど!!
 「第2ポータル入ってないからセーフでしょ」と思っていたら、ビックリですよ。ストーリーがわからなくなります。
 ここで悪さをはたらくのが、本作のオートセーブかつデータは1つだけ仕様。
 つまり、気付いた時にはもう手遅れ。イベントを見るためにはデータを消して、最初からやり直すしかありません。一時間ちょっとの冒険がムダに!!
 短編だからまだいいものの、探索型アクションとして、この仕様はちょっといただけません……。
 初回プレイ時には、ポータルから帰ってきたらヤマモトの家ですからね。覚えておいてくださいね!

 どんなにシーケンスブレイクしても、何事も無かったかのようにストーリーが進む、このほったらかされた感覚をどう受け取るか。
 評点としては、やや厳しめになってしまいます。

ハマリ度 : 8 / 10
 バグで言うと、S.T.E.V.E.N.が消失することが度々。S.T.E.V.E.N.をノーマルモード以外に変形していた場合、ニューゲーム直後のS.T.E.V.E.N.がノーマルモード以外になることを確認。
 情報量の多いストーリーだが平易な英語で綴られており、割と本気で日本をターゲットに入れているのかも知れない。その分飛ばした時のインパクトは大きい。
グラフィック : 7 / 10
 桜の木に明らかなドット打ちミスがあったり、あまり描き込まれていない。S.T.E.V.E.N.の最終形態もダサい。
 エンジンの問題か、大きめのマップになるとちらつきがやや目立つ。
 何より、敵に攻撃を当てる度に画面がシェイクするのが見づらい。
サウンド : 8 / 10
 knyttシリーズを連想させる、丁寧な曲作りに、ダメージによってリズムパートが追加されていく。曲の変化は楽しいが、マップを切り替えるだけで追加パートが消えてしまうのが残念。

 でもボクは、ゲームの遊び方を決めるのはプレイヤーだと思ってます。
 少なくとも本作は、強引に突っ切っていけるスキルと、どうシーケンスブレイクしても壊れないストーリーを用意してくれています。
 まあ、しかしシーケンスブレイクを楽しむのは2週目からでしょうね。ストーリーを捨てるのはちょっともったいないですから!

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