■ 三代目レビュー アドベンチャー 10
異形の街のアニー 死臭 -つぐのひ異譚- As usual. Sacred Syndrome マリーの大除霊
廃品回送 Pink 江戸川乱歩選集1・疑惑 夢に侵食される 秘められし都

【 異形の街のアニー 】

異形の街のアニー
ジャンル [ ポイントクリックアドベンチャー ]
作者 [ 異形の街調査団 さま ]
容量・圧縮形式 [ 191MB・ZIP ]
製作ツール [ Unity ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

扉をくぐると、そこは異形の街だった。

「異形の街」と呼ばれるこの世界。ここには、機械・植物・鉱石・幾何学模様を頭部に据えた「住民」が、4つのエリアに分かれて生活をしていた。
そこにある日、「我々と同じ人類の頭」をした少女・アニーが迷い込む。一切口を開かぬこの少女。どうやら彼女の目的は、4つのエリアの中心部にある「塔」のようである。
塔に至る道を開くため、彼女は4つのエリアを駆けまわる。時に親切な住民の助けを借り、時に変装して同族を装いながら…。

異形の街のアニー 異形の街のアニー

本作は小一時間でクリアできるポイントクリック方式のアドベンチャーです。基本的に「取得したアイテムを利用して道筋を広げる」タイプの脱出ゲームですが、解くべきリドルは意外に難易度が高い代物。
特に、「テキストファイルやスクリーンショットで撮っておいたメモを閲覧しにくい」と言うのが難点になります。それというのも、「マウスカーソルをゲームウインドウから外に出せない」仕様になっているため。外部のメモ帳や画像ビューワーで開いているメモを参照するには、Alt+タブを使って切り替える必要があります。
最も、これは初回バージョン時点の仕様。今後のアップデートによって解消される可能性がある要素です。
また、本作において「外部にメモを取っておかないと閲覧しながら謎解きができない」という箇所はほとんどありません。基本的にヒントと使用すべき箇所は同じマップか隣のマップに存在します。1つだけ「ヒントをアイテムとして所持する」謎解きがありますが、そのヒントが書かれているアイテムも、ダブルクリックでいつでも閲覧できます。

本作で特徴的なのは、オリジナルグラフィックで描かれた独特の世界観。機械・植物・鉱石・幾何学模様の4つの世界それぞれが特徴高く、存分に世界観にのめり込ませてくれます。
この「異形の街」が生まれた理由、それも本作の謎解き要素として重要な位置を占めるのです。詳細はネタバレとなるため、「『異形の街』そのものの謎を解く2周目がある」とだけ言及しておきます。
皆様も、ぜひ本作をダウンロードして、この不思議な世界の真相を明らかにしてください。
ただ、その際にネックになるのが本作の独特な世界観によるヒントの分かりづらさ。もし通れない箇所がある場合、道を開くヒントが「独特な世界観」に埋もれて見つけられていないと思われます。そんな時は、公式ホームページにある攻略法を頼りましょう。公式ホームページには、全ての謎解きのヒントと回答が余すところなく記載されています。

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【 死臭 -つぐのひ異譚- 】

死臭
ジャンル [ 心霊リアルホラー3DダンジョンADV ]
作者 [ シアン さま ]
容量・圧縮形式 [ 79MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクール2000 ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 2021.03.02に大幅バージョンアップ ]
配布元 配布元

ただ日常を過ごす者に押し付けられた「つぐのひ」

ホラーフリーゲームの金字塔「つぐのひ」シリーズ。近年になって、作者のツイートより「『つぐのひ』とは『償い』。霊の世界に踏み込んだ人間への『罰』なのです。」という設定が明かされ、個人的に衝撃を受けました。
「いや、人類のテリトリーに勝手に居ついたの、あんたら悪霊の方やろ!!」という意味で。
現役稼働中の鉄道に棲みついたり(幽闇の並葬電車)、(少なくとも第二次世界大戦中から)普通に人が住んでいる民家にいつの間にか居候していたり(昭和からの呼び声)と、明らかに「侵略しているのは霊の方」というストーリーばかりです。
そもそも、初作「つぐのひ」3部作のサブタイトルからして「日常浸食リアルホラー」なので、「侵略しているのは霊の方」というのは作者側でも自覚的なのでしょう。

死臭

そんな「つぐのひ」シリーズを金字塔に押し上げたのが、今回紹介する「死臭 -つぐのひ異譚-」です。本作の初出は7年前。その頃に投稿レビューで取り上げている作品です。ゲームの公開後まもなく映画化もされ、「つぐのひ」の名を世間に知らしめた作品です。
そんな古い作品を、何故7年後の2021年に再度取り上げるのか。2021年3月に「死臭 -つぐのひ異譚-」に大幅なアップデートが入ったためです。そのアップデートにより、「死臭 -つぐのひ異譚-」はプレイしやすくなり、誰でも死んだおまわりさんにネックハンギングツリーされる恐怖、そして、「死臭をまき散らす霊の真相」を体験できるようになりました。

(1) 地図帳を所持しなくてもマップ閲覧が可能に

本作のメインマップは、3D画面の上に目印がほとんど存在しない迷いやすい仕様。そのため、アップデート前は「地図帳」というアイテムを所持して道筋を把握する必要がありました。
ただでさえ所持アイテムは2つまでというきつい制限がかかっている本作で、その片方を「地図帳」で塞がれるのは大きなハンデでした。
2021年のアップデートで、2DマップはShiftキーを押すだけで無条件に閲覧できるようになりました。これで常に片手が塞がる事態が解消され、アイテム取り回しが楽になりました。
改めて見直すと、本作のマップは目印の乏しさに加えて「定期的に構造そのものが変わる」「分かれ道が複雑な上、アイテムが隠れているだけの進行に影響しないマップまである」など、想い出以上に迷いやすい仕様でした。2Dマップを専用アイテムなしで閲覧できるようになって、本当に助かりました。

(2) 主人公の男女選択

死臭

「死臭」初出時、主人公は男性である前提でストーリーが組まれていました。そして、アップデート後に「女性主人公」が追加されました。…とは言っても、男女の差は「主人公のモノローグが男性言葉になるか女性言葉になるか」程度です。それ以外の難易度などには一切差はありません。
こちらは、本当に「自分の好みに合わせた選択」で構いません。

(3) 難易度の低下

実を言うと、7年前の投稿レビュー時点では、私は「死臭」の攻略を一度断念しています。ゴミバケツ(アイテムボックス)に稀に入っているトラップから放たれる死臭が回避できず、死臭がMAXを越えて詰まってしまったのです。
今年のアップデートで改めてプレイし、やっとENDまでたどり着けたのです。
ただ、この難易度低下が本当にアップデートによるものなのかは不明です。当初はアップデート後の追加要素だと思っていた「武器の耐久度を増やす『ガムテープ』」などの易化要素が、アップデート前のバージョンで実況していた動画でも確認できたのです。
個人的な印象では、敵の攻撃やトラップの回避に掛かる猶予も増えた気がしますが、それでさえ「気のせい」と言われれば頷かざるを得ないほど些細な差です。
何より、最初に言及した「地図帳を所持しなくてもマップ閲覧が可能に」というアップデートが「アイテムを取りこぼさない」という易化要素にもなっているのです。
(保存していない限り)7年前のバージョンでプレイできない現在、どの要素が以前からあったのか、どの要素がアップデートで追加されたのが明確に区別はできません。

私のように、7年前のバージョンではクリアを諦めた方にこそ、今回のアップデートで再プレイされることをお勧めいたします。以前の投稿レビューであった「最後の方ではちょっと考えないとまさかのバッドエンドになってしまう」選択肢も、閲覧後に巻き戻される仕様になったため、全END閲覧も楽になりました。
そして、全ENDを閲覧して覚悟してください。「つぐのひ」の悪霊は、一度見入られれば逃れるすべはないことを…。

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【 As usual. 】

As usual.
ジャンル [ 一本道の雰囲気ゲー ]
作者 [ せがわ さま ]
容量・圧縮形式 [ 26MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクール2000 ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ グロテスク表現含む ]
配布元 配布元

本日モ異常ナシ。

今日も、いつもの暮らしが始まる。
顔を洗い、歯を磨き、食事をとり、家事全般を済ませ、いつもの薬を飲んだら、あとは寝るだけ。
妻と娘に先立たれて以来、私はずっとこの無味乾燥な暮らしを続けている。
そして、こんな孤独で平穏に暮らせるのもあと幾日か…。「いつもの薬」は、もう残り少ない…。

本作「As usual.」は、「END ROLL」「TOWER of HANOI」など、人の心を鋭く皮肉的に抉り出す傑作を作り上げた、せがわ氏の最新作です。
今までのせがわ氏の作品は、数時間程度の中編作品ばかりでしたが、今回は「もうすぐツクール2000のサポートが終了するため、急いで作り上げた」と自ら述べる短編の作品になっています。
しかし、短編だからこそ、せがわ氏の特徴である「不気味な心理の変貌」はより直接的に描かれています。
本作の舞台は、家と外の2つのマップのみ。2つのマップを行き来しながら画面下のタスクを全て解決し、1日を終了するのが、本作の進め方です。
進め方自体は非常に楽です。「マップ上のオブジェクトを調べる」だけなので。「洗顔」と「歯磨き」で洗面所を2回調べないといけないのが、唯一の引っかかる点でしょうか。
その淡々としたゲーム内容が、本作の「不気味さ」をより際立たせているのです。
果たして、主人公が淡々とこなしていた「日常」の「真実」とは、「いつもの薬」は何を抑えていたのか…。15分程度の淡々として凄絶な1人の男の物語、何の予備知識も持たずに読み進めてください。

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【 Sacred Syndrome 】

Sacred Syndrome
ジャンル [ 謎解き探索サイコホラーADV ]
作者 [ 紅屋 翠 さま(翡翠の紅茶屋) ]
容量・圧縮形式 [ 944MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ バイオレンス・グロテスク表現含む ]
配布元 配布元

彼は天使ではない、ただ一人の「人間」だった。

シュテルンツェルト…名門音楽学校として名高いこの学園には、かつて「ユリ・アンデル」という伝説のソリスト(独唱者)がいた。その歌声は、学園外のみならず王国中枢にまで「信者」を増やすほどであった。しかし、彼は現在この世にいない。
彼の死後、ソリストを継ぐ者は4人いたが、そのいずれも数か月持たずして行方不明になった。
そんな中、学園は外部からソリストを招聘することを決める。招聘された少年こそ、本作の主人公となるアデル・ローズである。
ユリに似た面影と、「アルビノ」の持つ神秘性から、「ユリの再来」と呼ばれるほどの過大な期待をかけられたアデルは、その重さにおののきながらも、3日後に控えた記念式典に向けて喉を鍛える毎日であった。
しかし、運命はそんな彼に過酷な道を開く。クラスメイトの失踪、彼を探す中で見つけた学園の暗い秘密、そしてアデル自身に迫る闇…。
果たして、アデルと学園を翻弄する「闇」の正体は…。

Sacred Syndrome Sacred Syndrome Sacred Syndrome

本作「Sacred Syndrome」は、2019年の12月に配布された体験版から注目していた作品です。体験版当時ではEND2のみ実装されていましたが、それでもフリーゲームとしては充分すぎるボリュームを持った作品でした。
私が本作に注目していたのは、何より作者・紅屋 翠 氏が描く麗しき少年たちにありました。
表情パターンの多彩さもさることながら、「クラスメイトでもパッと見判別できないほど似ている双子」であるエリックとルークまでしっかりと描き分けている点にも注目して、ストーリーを見ていただきたいです。
そんな少年たちの愛らしさと残酷な運命を体験版で垣間見てから半年近く、ようやくリリースされた完成版のボリュームは、体験版からの期待を優に超えるものでした。どれもが悲劇となる5つのBAD END。2周目を最初からプレイしてようやく解放されるTrue END。それらの1ルートを見るだけでも4時間近くものプレイ時間が費やされます。

本作のEND分岐は、4時間近くのルートの中に多数のフラグが入っており、非常に煩雑です。作者自身もそれを自覚していたため、「OP直後と最初に自室に入った直後のセーブは必ず取っておくこと」など、ゲーム内の地の文にてたびたび注釈を入れています。
また、本作の舞台である「シュテルンツェルト」の学舎マップ自体がややこしくなっているのも、本作のストーリー進行を難しくしている要因になっています。
2日目のメインイベントは、この広大かつ複雑なマップのほぼ全てを探索して14個のフラグを立てる、作者自ら「もっとも難関な探索パート」と称するイベントになっています。「次の行き先はほぼ分かっているのに、1つだけ見落としがあったせいで進めないし、どこをチェックし忘れていたのか全く覚えていない」という困った場面に、2周目ですら巡り合ってしまいました。
※ ちなみに、2日目の探索イベントは2周目以降はスキップ可能(END分岐フラグだけ自分で立てる必要あり)です。これからプレイする皆様は、好みに応じてスキップするかちゃんと探索するか決めてください。
2日目のイベントは、END分岐となる大きなフラグ(True ENDを見る場合には更に多数のフラグ)があるため、そのセーブ分けも考えなければなりません。

作者様ホームページには、本作のEND分岐や探索のヒントなど、攻略に必要な情報は充分に揃っています。1周目で見れる5つのENDのうち、どうしても見れないENDがある場合、攻略に頼ってでも5つ全てを見てからTrue ENDに望むことを推奨します。
「True ENDでしか言及されない真相」も多数ありますが、「5つのENDのうち1つでしか語られず、True ENDでも言及がない真相」も多数存在するためです。5つのENDで真相を知ってから、True ENDに望んでほしいのです。
なお、本作では「True ENDルートで初登場するエピソード」どころか「True ENDルートで初登場するキャラ」さえ存在します。「彼」の語るシュテルンツェルトの過去、1周目から見え隠れしていた「彼」の影、それらも観察しながらEND埋めをエンジョイしてみてください。

なお、本作は相当に「残酷」な物語であることはあらかじめご了承ください。一部にグロテスク表現を含む(今後のアップデートで更に増える予定の)イベントスチルもさることながら、セリフの端っこ・必須フラグですらない文書にも、登場人物が受けた残酷な仕打ち・登場人物が内に抱える「闇」が垣間見えるのです。
麗しき少年たちの凄絶な物語、それを了承し、楽しめる方にこそ、本作を堪能していただきたいのです。


(補足)
2021.02.28:現在の最新バージョンは、ver1.10です。

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【 マリーの大除霊 】

マリーの大除霊
ジャンル [ 追いかけっこホラー ]
作者 [ サリー さま ]
容量・圧縮形式 [ 124MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

ゲームに呪われた少女

このゲームの主人公・蝶魯(てふろ) 真梨(まり)は花の女子高生。文武両道に優れ、誰にも優しい彼女は、「マリー」という渾名で誰からも慕われる、学園一のマドンナであった。
しかしある日の夕方、自室で珍しく居眠りをしていた彼女は、不気味な化物に寝込みを襲われる。かろうじて逃げ込んだ怪しい雑貨店の女店主いわく、「その化物は、誰かの呪いの儀式によって作り出されたものだ。」
呪いを解くために、マリーは犯人を探し出さなくてはならない。素早くしつこい化物に追われながら、果たして彼女は呪いをかけた犯人を見つけられるのか…。
そして、プレイヤーの皆様は心してほしい。このゲームで呪われているのは、マリーだけではないことを…。

本作は、ゲーム本編も、その中に仕込まれた「真相」も難易度が高いアドベンチャーです。
ゲーム本編で難しいのは、化物との追いかけっこ。机周りをぐるっと回りこめば撒くのは簡単ですが、問題は「化物の出現位置は完全ランダムな上、出現頻度がかなり高い」こと。出くわす位置によっては、回り込めるような机が無い箇所もあります。
そんな場合は、クローゼットやロッカーなどに「隠れる」こともできます。ただし、「隠れる」ことで化物を撒くのはかなり難しくなっています。その要因が「隠れた状態では化物の位置が見えない」「ドアの出入りの音でしか化物の位置を判別できないが、(特に序盤は)出入りの音すら出ないマップも多い」「長時間閉じこもっていると、回避不能の襲撃を受ける」と、初期バージョンの「青鬼」以上の頼りなさです。
正直言って、マップの狭い序盤は、クローゼットには頼らずテーブル周りなどを回って走り抜ける方が確実です。

後半の学校マップでは、そんな化物を撒きながら真相をあぶりだすための情報を集めることになります。出てくる情報は細切れで、「マリーを呪った犯人」の証拠を見つけ出すだけでも、かなりの「情報をまとめる力」が要求されます。拾った情報は、アイテム欄の「○○(人物名)の情報」でまとめて表示できるため、犯人を指名するシーンで確認しておきましょう。

そして、「マリーを呪った犯人」を当てるだけではゲームクリアにはなりません。本作のタイトル画面およびメニュー画面に表示される「実績」。取得場所・条件は「実績」メニューで確認できるので集めるのは簡単ですが、そこで拾った「実績」には不思議なことが書かれています。
とあるゲーム開発者の突然の失踪。彼が残したゲームをプレイした実況主、その実況主のファンが次々と謎の死を遂げる…。「マリーの大除霊」のストーリーとは関わりの見えない記事ばかりです。
この、一見ストーリーとは関係ない「実績」もまた、ゲームクリア条件に関わる「謎解き」なのです。ただし、その関わりが分かるのは最終盤。本作は「BAD ENDを先に見てから、GOOD END条件を探り出す」タイプのアドベンチャーなのです。

「マリーを呪った犯人」の謎解きも、「並行して出てくる謎の失踪事件」の真相も、そもそもの「化物から逃げきるための脱出方法」も、ヒントはかなり些細になっています。周りの書籍や「メニュー>アイテム>手帳>やることメモ」で表示される「重大なヒント」は決して見逃さず、別のテキストファイルなどにメモを取ってください。
「カン」が働かないと、最初の自宅からの脱出すら至難、手の込んだ難易度のアドベンチャーです。


(補足)
2023.06.28:ゲームアツマールのサービス終了に伴い、リンクを変更。

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【 廃品回送 】

廃品回送
ジャンル [ サイバーパンクでディストピア ]
作者 [ tyap さま ]
容量・圧縮形式 [ 67MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

このろくでもなく、ろくでもない世界。

「擬人機」と呼ばれるロボット、全人類に行き渡った電脳、働かなくても暮らせる社会保障、ここは理想的なサイバーシティ…という建前の世界。しかし、本作の主人公・タツミが暮らす「第7層」では、そのテクノロジーの光も遠く陰っていた。
酒乱の父を抱えながら、タツミはこのスラムから抜け出すため、ゴミ捨て場に落ちるジャンク品を集めながら細々と金を稼ぐ毎日であった。先に「第4層」に昇った母と妹を想いながら…。
ある日、彼はいつもながらにゴミ捨て場に向かうと、ちょうど「新物」が落ちてくるところであった。しかし、落ちてきたモノはいつものジャンクではなかった…。忘れようとも忘れられない…

廃品回送

最愛の妹、ミヨの姿であった。

本作は、画面の表面のみならず、プレイしている我々の口の中までザラつく、そんな乾いたサイバーパンクを味わえるノベル系のアドベンチャーです。
父親からの虐待、ミヨとの別れ、その他もろもろの不幸を一身に背負ったタツミの人生もさることながら、そんなタツミを抱える「第7層」、いや、この舞台全て「ろくでもなさ」が端から端まで詰まっているのです。
それ以上のストーリーは何を言ってもネタバレになります。私から言えるのは、この物語は徹頭徹尾の「悲劇」であり、そんな世界に主人公が中指を立てる「パンク」という点だけです。

本作のプレイ時間は、2つのENDを見るにしても1時間程度。2つのENDの分岐点もすぐに分かるでしょう。そこまではタツミの独り言に従って道なりに進むだけで、ストーリー進行に詰まることはほとんどないでしょう。
しかし、単純に「イベントのある場所」に進むのではなく、行ける所は全て向かい、調べられる所は全て調べることが私のおススメです。…とは言っても、万人にはおススメできません。寄り道で知ることができるのは「この世界が究極にろくでもない事」、ただそれだけですから。

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【 Pink 】

Pink
ジャンル [ 短編ホラー ]
作者 [ augogames さま ]
容量・圧縮形式 [ 24MB・インストーラ ]
言語 [ 英語・ポルトガル語 ]
配布元 配布元

灰色の人生から、桃色の別世界へ…

本作の主人公は、独り暮らしの女子。本作の舞台は、そんな主人公が暮らすアパートの一室。主人公は観葉植物が趣味という以外は、ごく普通の在宅ワーカーであった。
ある日、彼女の育てていた観葉植物の一つが蕾を付ける。本来花をつけるはずがない観葉植物が。
そこから、主人公の生活は奇妙な様子を見せ始める。観葉植物は異常な成長を見せ、キッチンシンクにまで草が生える始末。主人公自身の生活も、植物の異常成長に合わせて徐々に常軌を逸していく…。

Pink

本作は、10~15分ほどで読了できる短編の探索ホラーです。攻略手順も、主人公のセリフで直接言及されるため、攻略難易度も低めです。我々日本人では言語の壁があるため、「セリフで言われた『次にやるべきこと』」が翻訳できなかったり見落としたりする可能性もありますが、その場合も「部屋全部を隈なく調べる」で十分に対処可能です。
本作で特筆すべきは「徐々に追い詰められ、常軌を逸していく主人公」を彼女自身のセリフを通して淡々と描いた点にあります。蕾を付けた観葉植物を純粋に喜ぶ「普通の人間」だった主人公が、仕事道具のノートパソコンを処分し、携帯電話を外に投げ捨て、果てには食料の補充さえしなくなるほど破綻していく…。そんな絶望と狂気をあくまで「主人公のセリフだけで」淡々と描くところに本作の「味」があるのです。
その情景をきちんと読み取るためにも、本作には中学・高校程度の英語力が必要となります。逆に言えば、中学・高校程度の英語力で読解できるレベルの平易な英語で描かれているのです。絵面だけでは最終盤にならないと分からない本作の恐怖を序盤からしっかりと味わえるように、ある程度英語を読める方を対象に、本作をお勧めいたします。

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【 江戸川乱歩選集1・疑惑 】

江戸川乱歩選集1・疑惑
ジャンル [ 短編推理小説 ]
作者 [ 伊藤コウ さま (スタジオ・ラフスケッチ) ]
容量・圧縮形式 [ 20MB・ZIP ]
製作ツール [ Light.vn ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

ありふれた殺人事件が、少年に与えた疑惑

西日の差す放課後、男子生徒Aと女子生徒Qは語らっていた。とはいってもそこに色恋沙汰は一切ない。話の内容は、Aの父の殺人事件だった。
A家の財産を食いつぶし、妻や子を虐待していた父。恨みを抱く人物は内外に多数いたが、外部の容疑者には全てアリバイがあった。必然的に、容疑は家族内の人間…Aの母、兄、妹、そしてA自身に向けられることになる。
疑心暗鬼により憔悴していくA。親友であるQはそんなAを見かねて、A宅の調査を願い出る。果たして、父の殺人事件の真相は…。

本作は、江戸川乱歩制作の短編「疑惑」をノベルゲームに翻案した作品になっています。1925年に初出の本作は既に著作権が切れており、原作が青空文庫で無料公開されています。
原作は地の文一つない会話劇ですが、それでは「ビジュアルノベル」としては不適切です。会話劇の登場人物である2人に「Q」と「A」という名前と立ち絵を追加し、証拠を探すシーンとして簡単なクリックアドベンチャーを追加しています。
話の筋は短く、クリックアドベンチャー部分も「黄色いターゲットが出た箇所をクリックする」と簡単です。まさに江戸川乱歩らしい昭和レトロな雰囲気を堪能したら、是非無料公開されている原作と見比べてください。淡々と流れていく原作の状況の、どこに手を加えて「ゲーム」に作り上げたのか、つぶさに分かるでしょう。

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【 夢に侵食される 】

夢に侵食される
ジャンル [ ラブストーリー ]
作者 [ 夏山茂樹 さま (Words Yarn) ]
容量・圧縮形式 [ 195MB・ZIP ]
製作ツール [ ティラノビルダー ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 暴力・性的な描写あり ]
配布元 ダウンロード先

夢で見る「再開」

夏休みの直前、加藤真夏は夢を見ていた。初恋の人・琳音と出逢った日のことを。
悲しい別れをして以来行方不明になっていた琳音と思わぬ形で再開した真夏は、夏休みを機に琳音のもとへ旅に出る予定だった。
夢から目覚め、すぐさま二度寝をした真夏は別の夢を見ていた。見知らぬ少女「呉羽」に「柚木藍」と呼ばれる夢であった。
いや、「柚木藍」という名前には聞き覚えがあった。琳音の兄を名乗る人物であり、そして、誘拐の容疑で指名手配されていた男である。
琳音と出逢った真夏の記憶、呉羽と逢瀬を重ねる藍の記憶、2つの思い出が夢の中で混ざり合う…。

本作「夢に侵食される」には、2つほど注意点があります。1つは「備考」にも記載した通り、本作には性的・暴力的な表現を含むこと。全年齢でリリースされている作品ですが、白濁液がグラフィックに表示されるレベルにはモロな表現があります。
そして、もう1つは本作のヒロイン・琳音は「彼女」ではなく「彼」ということです。そうです。本作はウインドウタイトル「trap_game」が示す通り「男の娘モノ」なのです。

しかし、本作は「真夏と琳音の同性愛」ということはあえて脇に置かれています。親友キャラに「お前ホモかよぉ!!」と揶揄はされていますが、真夏も琳音も相手を心から愛していることを最初から最後まで描写されています。
そして、琳音は男であること以前に人類と共に暮らすには障害を持つヒトなのです。琳音、そして呉羽は「レッテ」と呼ばれる者。太陽の下を歩けぬ吸血鬼なのです。吸血鬼ゆえの葛藤も、様々な形で暗喩されています。
本作は、そんな様々な障害を乗り越えて手を取り合う、「真夏と琳音の純愛」の物語なのです。本作では、真夏と琳音の出逢い・別れと共に、その切っ掛けとなった呉羽と藍の物語を挿入する形で物語を描いているのです。
なお、呉羽と藍・藍と琳音の物語は、本作内で語られているのはごく一部です。本作とは別の物語として、藍と琳音の出逢いを描いた小説「藍の人生と運命の存在ども」がカクヨムに掲載されています。「夢に侵食される」の補完として、「藍の人生と運命の存在ども」も併せてご覧ください。

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【 秘められし都 】

秘められし都
ジャンル [ ポイントクリックアドベンチャー ]
作者 [ パンプキンヘッド さま ]
容量・圧縮形式 [ 128MB・ZIP ]
製作ツール [ ティラノビルダー ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

砂の都に眠るモノは…

惑星レイトーンの一都市ツツルア。かつて「偉大なる存在」によって守護された古の都である。
しかし、それも今は昔。現在のツツルアは、宇宙海賊からの襲撃を受けて以降、不毛の大地と化していた。
「私」は、相棒のロボット「タタンク」と共に、このツツルアの地に降り立った。「偉大なる存在」と呼ばれたガラクタの正体を探る…ほんの些末な興味から。
果たして、この砂の大地には、何が眠っているのだろうか。

秘められし都 秘められし都

秘められし都 本作は、モノクロームに染まった滅亡世界を探索するポイントクリックアドベンチャーです。いわゆる「脱出ゲーム」に分類されるゲームですが、探索自体の難易度は低く設定されています。
アイテムは自動で使用してくれますし、次のアイテム・イベントがある場所はタタンクに「状況を分析」させればヒントを教えてくれます。ただし、ヒント画像は不鮮明なため、見えないという場合はモニタのコントラストを上げてください。
ただし、難点が2つほどあります。1つは、調査可能場所のヒントが「マウスカーソルが指に変わる場所」しかない点。「前のマップに戻る場所」に矢印が付いていないため、実際にクリックして覚える他ありません。
もう一つは、スタート地点の右側にある扉。この扉のみ、中に入るために2回のクリックが必要なうえ、扉の下側以外をクリックするとスタート地点に戻ってしまいます。ここ以外の地点は「道・扉っぽい場所をクリックすれば一発で移動する」ため、この1か所だけ手順が複雑なのが不可解です。
ひょっとしたら、バージョンアップで修正されるかもしれません。

プレイ時間は数十分ほど。ヒントを集めるごとに、タタンクと駄弁るたびに、世界観が広がっていく造りになっていますが、その広がった世界が導く結末は…。
私からは「これまでの展開からとても想像できない結末」とだけ語っておきましょう。


(補足)
2021.01.11:現在の最新バージョンは1.1です。移動時に選択肢が表示されるようになり、「調べるつもりで移動してしまう」心配がなくなりました。また「スタート地点の右側にある扉」が一発で移動できるようになりました。

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