■ 三代目レビュー アドベンチャー 10
廃品回送 Pink 江戸川乱歩選集1・疑惑 夢に侵食される 秘められし都

【 廃品回送 】

廃品回送
ジャンル [ サイバーパンクでディストピア ]
作者 [ tyap さま ]
容量・圧縮形式 [ 67MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

このろくでもなく、ろくでもない世界。

「擬人機」と呼ばれるロボット、全人類に行き渡った電脳、働かなくても暮らせる社会保障、ここは理想的なサイバーシティ…という建前の世界。しかし、本作の主人公・タツミが暮らす「第7層」では、そのテクノロジーの光も遠く陰っていた。
酒乱の父を抱えながら、タツミはこのスラムから抜け出すため、ゴミ捨て場に落ちるジャンク品を集めながら細々と金を稼ぐ毎日であった。先に「第4層」に昇った母と妹を想いながら…。
ある日、彼はいつもながらにゴミ捨て場に向かうと、ちょうど「新物」が落ちてくるところであった。しかし、落ちてきたモノはいつものジャンクではなかった…。忘れようとも忘れられない…

廃品回送

最愛の妹、ミヨの姿であった。

本作は、画面の表面のみならず、プレイしている我々の口の中までザラつく、そんな乾いたサイバーパンクを味わえるノベル系のアドベンチャーです。
父親からの虐待、ミヨとの別れ、その他もろもろの不幸を一身に背負ったタツミの人生もさることながら、そんなタツミを抱える「第7層」、いや、この舞台全て「ろくでもなさ」が端から端まで詰まっているのです。
それ以上のストーリーは何を言ってもネタバレになります。私から言えるのは、この物語は徹頭徹尾の「悲劇」であり、そんな世界に主人公が中指を立てる「パンク」という点だけです。

本作のプレイ時間は、2つのENDを見るにしても1時間程度。2つのENDの分岐点もすぐに分かるでしょう。そこまではタツミの独り言に従って道なりに進むだけで、ストーリー進行に詰まることはほとんどないでしょう。
しかし、単純に「イベントのある場所」に進むのではなく、行ける所は全て向かい、調べられる所は全て調べることが私のおススメです。…とは言っても、万人にはおススメできません。寄り道で知ることができるのは「この世界が究極にろくでもない事」、ただそれだけですから。

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【 Pink 】

Pink
ジャンル [ 短編ホラー ]
作者 [ augogames さま ]
容量・圧縮形式 [ 24MB・インストーラ ]
言語 [ 英語・ポルトガル語 ]
配布元 配布元

灰色の人生から、桃色の別世界へ…

本作の主人公は、独り暮らしの女子。本作の舞台は、そんな主人公が暮らすアパートの一室。主人公は観葉植物が趣味という以外は、ごく普通の在宅ワーカーであった。
ある日、彼女の育てていた観葉植物の一つが蕾を付ける。本来花をつけるはずがない観葉植物が。
そこから、主人公の生活は奇妙な様子を見せ始める。観葉植物は異常な成長を見せ、キッチンシンクにまで草が生える始末。主人公自身の生活も、植物の異常成長に合わせて徐々に常軌を逸していく…。

Pink

本作は、10~15分ほどで読了できる短編の探索ホラーです。攻略手順も、主人公のセリフで直接言及されるため、攻略難易度も低めです。我々日本人では言語の壁があるため、「セリフで言われた『次にやるべきこと』」が翻訳できなかったり見落としたりする可能性もありますが、その場合も「部屋全部を隈なく調べる」で十分に対処可能です。
本作で特筆すべきは「徐々に追い詰められ、常軌を逸していく主人公」を彼女自身のセリフを通して淡々と描いた点にあります。蕾を付けた観葉植物を純粋に喜ぶ「普通の人間」だった主人公が、仕事道具のノートパソコンを処分し、携帯電話を外に投げ捨て、果てには食料の補充さえしなくなるほど破綻していく…。そんな絶望と狂気をあくまで「主人公のセリフだけで」淡々と描くところに本作の「味」があるのです。
その情景をきちんと読み取るためにも、本作には中学・高校程度の英語力が必要となります。逆に言えば、中学・高校程度の英語力で読解できるレベルの平易な英語で描かれているのです。絵面だけでは最終盤にならないと分からない本作の恐怖を序盤からしっかりと味わえるように、ある程度英語を読める方を対象に、本作をお勧めいたします。

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【 江戸川乱歩選集1・疑惑 】

江戸川乱歩選集1・疑惑
ジャンル [ 短編推理小説 ]
作者 [ 伊藤コウ さま (スタジオ・ラフスケッチ) ]
容量・圧縮形式 [ 20MB・ZIP ]
製作ツール [ Light.vn ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

ありふれた殺人事件が、少年に与えた疑惑

西日の差す放課後、男子生徒Aと女子生徒Qは語らっていた。とはいってもそこに色恋沙汰は一切ない。話の内容は、Aの父の殺人事件だった。
A家の財産を食いつぶし、妻や子を虐待していた父。恨みを抱く人物は内外に多数いたが、外部の容疑者には全てアリバイがあった。必然的に、容疑は家族内の人間…Aの母、兄、妹、そしてA自身に向けられることになる。
疑心暗鬼により憔悴していくA。親友であるQはそんなAを見かねて、A宅の調査を願い出る。果たして、父の殺人事件の真相は…。

本作は、江戸川乱歩制作の短編「疑惑」をノベルゲームに翻案した作品になっています。1925年に初出の本作は既に著作権が切れており、原作が青空文庫で無料公開されています。
原作は地の文一つない会話劇ですが、それでは「ビジュアルノベル」としては不適切です。会話劇の登場人物である2人に「Q」と「A」という名前と立ち絵を追加し、証拠を探すシーンとして簡単なクリックアドベンチャーを追加しています。
話の筋は短く、クリックアドベンチャー部分も「黄色いターゲットが出た箇所をクリックする」と簡単です。まさに江戸川乱歩らしい昭和レトロな雰囲気を堪能したら、是非無料公開されている原作と見比べてください。淡々と流れていく原作の状況の、どこに手を加えて「ゲーム」に作り上げたのか、つぶさに分かるでしょう。

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【 夢に侵食される 】

夢に侵食される
ジャンル [ ラブストーリー ]
作者 [ 夏山茂樹 さま (Words Yarn) ]
容量・圧縮形式 [ 195MB・ZIP ]
製作ツール [ ティラノビルダー ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 暴力・性的な描写あり ]
配布元 ダウンロード先

夢で見る「再開」

夏休みの直前、加藤真夏は夢を見ていた。初恋の人・琳音と出逢った日のことを。
悲しい別れをして以来行方不明になっていた琳音と思わぬ形で再開した真夏は、夏休みを機に琳音のもとへ旅に出る予定だった。
夢から目覚め、すぐさま二度寝をした真夏は別の夢を見ていた。見知らぬ少女「呉羽」に「柚木藍」と呼ばれる夢であった。
いや、「柚木藍」という名前には聞き覚えがあった。琳音の兄を名乗る人物であり、そして、誘拐の容疑で指名手配されていた男である。
琳音と出逢った真夏の記憶、呉羽と逢瀬を重ねる藍の記憶、2つの思い出が夢の中で混ざり合う…。

本作「夢に侵食される」には、2つほど注意点があります。1つは「備考」にも記載した通り、本作には性的・暴力的な表現を含むこと。全年齢でリリースされている作品ですが、白濁液がグラフィックに表示されるレベルにはモロな表現があります。
そして、もう1つは本作のヒロイン・琳音は「彼女」ではなく「彼」ということです。そうです。本作はウインドウタイトル「trap_game」が示す通り「男の娘モノ」なのです。

しかし、本作は「真夏と琳音の同性愛」ということはあえて脇に置かれています。親友キャラに「お前ホモかよぉ!!」と揶揄はされていますが、真夏も琳音も相手を心から愛していることを最初から最後まで描写されています。
そして、琳音は男であること以前に人類と共に暮らすには障害を持つヒトなのです。琳音、そして呉羽は「レッテ」と呼ばれる者。太陽の下を歩けぬ吸血鬼なのです。吸血鬼ゆえの葛藤も、様々な形で暗喩されています。
本作は、そんな様々な障害を乗り越えて手を取り合う、「真夏と琳音の純愛」の物語なのです。本作では、真夏と琳音の出逢い・別れと共に、その切っ掛けとなった呉羽と藍の物語を挿入する形で物語を描いているのです。
なお、呉羽と藍・藍と琳音の物語は、本作内で語られているのはごく一部です。本作とは別の物語として、藍と琳音の出逢いを描いた小説「藍の人生と運命の存在ども」がカクヨムに掲載されています。「夢に侵食される」の補完として、「藍の人生と運命の存在ども」も併せてご覧ください。

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【 秘められし都 】

秘められし都
ジャンル [ ポイントクリックアドベンチャー ]
作者 [ パンプキンヘッド さま ]
容量・圧縮形式 [ 128MB・ZIP ]
製作ツール [ ティラノビルダー ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

砂の都に眠るモノは…

惑星レイトーンの一都市ツツルア。かつて「偉大なる存在」によって守護された古の都である。
しかし、それも今は昔。現在のツツルアは、宇宙海賊からの襲撃を受けて以降、不毛の大地と化していた。
「私」は、相棒のロボット「タタンク」と共に、このツツルアの地に降り立った。「偉大なる存在」と呼ばれたガラクタの正体を探る…ほんの些末な興味から。
果たして、この砂の大地には、何が眠っているのだろうか。

秘められし都 秘められし都

秘められし都 本作は、モノクロームに染まった滅亡世界を探索するポイントクリックアドベンチャーです。いわゆる「脱出ゲーム」に分類されるゲームですが、探索自体の難易度は低く設定されています。
アイテムは自動で使用してくれますし、次のアイテム・イベントがある場所はタタンクに「状況を分析」させればヒントを教えてくれます。ただし、ヒント画像は不鮮明なため、見えないという場合はモニタのコントラストを上げてください。
ただし、難点が2つほどあります。1つは、調査可能場所のヒントが「マウスカーソルが指に変わる場所」しかない点。「前のマップに戻る場所」に矢印が付いていないため、実際にクリックして覚える他ありません。
もう一つは、スタート地点の右側にある扉。この扉のみ、中に入るために2回のクリックが必要なうえ、扉の下側以外をクリックするとスタート地点に戻ってしまいます。ここ以外の地点は「道・扉っぽい場所をクリックすれば一発で移動する」ため、この1か所だけ手順が複雑なのが不可解です。
ひょっとしたら、バージョンアップで修正されるかもしれません。

プレイ時間は数十分ほど。ヒントを集めるごとに、タタンクと駄弁るたびに、世界観が広がっていく造りになっていますが、その広がった世界が導く結末は…。
私からは「これまでの展開からとても想像できない結末」とだけ語っておきましょう。


(補足)
2021.01.11:現在の最新バージョンは1.1です。移動時に選択肢が表示されるようになり、「調べるつもりで移動してしまう」心配がなくなりました。また「スタート地点の右側にある扉」が一発で移動できるようになりました。

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