■ 投稿レビュー アドベンチャー 60
偏向メディアヒロイズム アクアリウムを忘れないで 私はタイトル画面です。 ムラサキの花
転生と死を繋げたセカイの終焉 邪那子供養 Eternal Home Floristry

【 偏向メディアヒロイズム 】

偏向メディアヒロイズム
レビュワー [ SSS ]
ジャンル [ クリック探索型ADV ]
作者 [ 大月おろ さま ]
容量・圧縮形式 [ 128MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ ティラノビルダー ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ R-15指定 ]
配布元 配布元

本ゲームは現地レポーターとなってヒーローの情報を世界に流すゲームです。

この世界は異星人によって滅ぼされかけており、ただ一人のヒーローだけが頼みの綱です。
そして、そのヒーローを「世界人類に応援させてパワーアップ」することができます。

しかし、彼や彼を取り巻く環境は完全無欠ではありません。悪い面もあります。
世界人類はクソ野郎を応援するほど寛容ではないため、馬鹿正直に真実を伝えると世界が滅びます。
人類の勝利を望むなら、良い情報は出し、悪い情報は伏せる必要があります。

情報を公開と隠蔽がゲームプレイの胆になります。
アドベンチャー色の強いゲームで人を選びますが、そういったものが好きな人なら楽しめる作品だと思います。

なお、フラグ立てが割と厳しめで、基本的にワンミスで世界が滅亡します。
ヒントになりますが、伏せている情報は当たり外れが分かりにくいので、勝てない時はそこを注意して選択肢を選びなおしてみてください。


 管理人コメント

「It's media」の風刺画の通り、出来事はその切り出し方によって被害者と加害者の逆転すら発生しうるものです。
本作の開始時点ではっきりしていることは、以下の2点ぐらいです。
・未曽有の災害から、ほとんどの人間は地下シェルターに避難している
・ある日、ほとんど人のいない地上で、赤毛の男と名状しがたき怪物が戦っていたことを、主人公の上司・ノジマが発見した
こんな「信頼できない」始まり方で、貴方も警戒することでしょう。疑い深い人間だと「赤毛の男と怪物の、どちらが地球の守護者なのか」ということすら。
そして、探索を進める中で浮かび上がる、赤毛の男や彼の周りの人間、そしてノジマが抱えている「闇」…。主人公は生き残るため、見てきたものの大半を伏せなければいけません。
貴方はどれを「白日の下に晒す」でしょうか。フラグ立て…と言うより視聴者の「好感度」のノルマは、SSS氏のレビューの通り、かなり高めに設定されています。

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【 アクアリウムを忘れないで 】

アクアリウムを忘れないで
レビュワー [ SSS ]
ジャンル [ ビジュアルノベル ]
作者 [ らう さま ]
容量・圧縮形式 [ ダウンロード不要・ブラウザゲーム ]
製作ツール [ Unity ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ オートセーブ ]
配布元 配布元

本ゲームは謎の水族館に閉じ込められた少女を脱出させることが目的となるアドベンチャーゲームである。
少女は謎の力によって「3つまでしか物事を記憶できない」状態となっている。
どの物事を記憶し忘れるのかは選ぶことが出来、保持する記憶によって物語が進むか、あるいは追跡者に捕まりスタート地点に戻されるかが決まる。

ストーリー自体はシンプルな物で30分もあればクリア可能。記憶縛りというシチュエーションが楽しめる短編ゲームなので、興味があればプレイしてみて欲しい。


 管理人コメント

本作の進行フラグとなる「最大3つの記憶」、想像以上に厳しい選択が求められます。
序盤も序盤から「覚えていると逆にパウパウされる(リスポーン)」記憶が存在する上、中盤は「『記憶の貝殻』でリスポーン前の記憶を1つだけ持っていく」ことも攻略法となります。
どれが「攻略が進む記憶」なのかは、パウパウされながらトライ&エラーしかありません。その過程すら、本作のキュートでありながら個性の強いグラフィックで楽しめます。

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【 私はタイトル画面です。 】

私はタイトル画面です。
レビュワー [ SSS ]
ジャンル [ 狂気と電波のヤンデレノベルホラー ]
作者 [ ととと さま ]
容量・圧縮形式 [ 41MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ ダウンロード版も存在する ]
配布元 配布元

多くのゲームにおいてタイトル画面は最初の選択肢を提示する場にすぎません。
しかし、このゲームのタイトル画面は人格性を持ち、ゲームの主役としてゲームを起動したあなたに語り掛けます。

あなたを愛している、と。

彼女は画面の中央に常に鎮座し、あなたを喜ばせようと色々な話をしてくれます。
しかしながら、彼女の持つ話の数には限りがあり、話を続けていくうちに彼女もその事実を悟ります。
その先の結末は貴方自身で確かめてください。


 管理人コメント

「はじめから」での挨拶からの各種話題。「つづきから」で語られる過去作のあらすじ。「設定を変える」で様々な顔を見せるタイトル画面。究極は、「ゲーム終了」を選んでも離れることを許してもらえない執着力。
しかし、話を進めるたびに否応なくネタ切れ感は増していき、それと共に語り口も狂っていく、その「迫りくる狂気」をエンタメ性にした作品です。
ちなみに、ゲームの終了自体は普通に可能です。右上の×ボタンを押すか、Alt+F4でいいのですから。
いかに狂おうが所詮はプログラム…ストーリーラインの中にも、それを体現したルートがあります。色々と見てください。
全ルートをコンプすれば、おまけルームも解放されます。

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【 ムラサキの花 】

ムラサキの花
レビュワー [ ノコモコ ]
ジャンル [ 憂鬱・微ホラー探索ADV ]
作者 [ めここのこ さま ]
容量・圧縮形式 [ 166MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクール2000 VALUE! ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 15歳以上推奨:・いじめ要素・少しのグロ(ドット絵)・不愉快な描写が含まれています。 ]
配布元 配布元

「ミンナトオナジデナクチャ」

最初、いじめ問題をテーマとして扱ったゲームだと思っていましたが、
もっと事態は複雑と言うか思春期の根源的な精神の不安定面が真のテーマにあるとおもいます。

ゲームは一般的な学校内の探索を行うものですが、クラスメイトの発言が結構プレイヤーの精神に響く
女子の発言は「あいつウザイよねー」「キモイよねー」という直接的にどぎつい発言が多いのですが
男子は「今日はあいつイジろうかなー」なんかの表面上は毒がない発言が多い、
これは作者さんが意図的にこういうバランスにしたと推測
ジェンダー的な問題もありますが、確かに男子は女子ほど同調圧力的な付き合い方はしないというのが一般論と思いますし
ちょっと極端な表現は確かに多いものの、学生時代の気分になると空気を読めずに同調圧力を乱す奴に厳しい態度を取ったという経験は誰もがあるでしょう。
イレギュラーって基本的にそういうものなんですよね、だからといってハブったりイジメ論外ですが。


 管理人コメント

「町とわたしとサーカスと」でも見せた、様々な意味で「暗い」世界観、「集団」が持つ狂気…「思春期特有の自己世界の狭さ」と「自己世界が集団・社会によって破壊されていく絶望」をその作風で描画すると、ここまで心と胃に来る作品になるのか…私の第一印象はそれでした。
本編には謎解きは無く、ストーリー分岐もない、純粋に物語を味わう作品です。しかし、その味わう物語が上記の通りキツめの味付けなので、「とても見ていられない」と思ったら遠慮なく離れましょう。
学生時代なんて数十年も前に別れを告げている、そして学生時代はむしろ「イレギュラー」側にいた私ですら、甚大なショックとストレスを感じる物語です。

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【 転生と死を繋げたセカイの終焉 】

転生と死を繋げたセカイの終焉
レビュワー [ ノコモコ ]
ジャンル [ 短編ノベル ]
作者 [ しーんーせーかー さま ]
容量・圧縮形式 [ 27MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

塔の階段を踏み外したお姫様。
従者は、幸い、怪我はない姫に安堵する。しかし、彼女は息を引き取っていた。
二人しかいない塔の中、禁呪の蘇生術を使うと、姫は無事に蘇った。
だが、それは望んだお姫様ではなく、まったく見知らぬ異世界の男の魂を宿していた―

異世界転生もので始まる話ですが、変わった点というか今までにない試みが二つありますね

精神だけ魂だけの異世界転生ものは珍しいほうなのに、お姫様に男の魂が乗り移るのは前代未聞でしょ。
まずこれが一つ目、これだけなら、多少変わった「異世界で転生して○○しましたーー」系の話ですが、
もうひとつですが
蘇生したお姫様(異世界から転生してきた来た男の魂)の目線で話すすめるのが、
普通はそういう作りにすると思うのですが
本作は終始クロス視点で進みます、これはゲーム作品として見た場合、正解の作り方といえるでしょう。
サウンドノベルとしてのプレイヤーとの一体感とか
なぜゲームでお姫様(の役割のキャラ)をプレイヤーが直接操作することはないのか考えるとそういうこと

このクロス、性格はかなり危ないほうかも、
言動は穏便ですが姫の中身が別人(異世界から来た男)と知ると暗殺を企てるし
まあ、秀才天才と危ない人は紙一重だというし、蘇生術を使えるし姫の側近の身分だし優秀なのだろうけど
片思いしている女とあれこれ妄想しだしたとたんどんなイケメンもダサ男に早変わり、やっぱ魂がイケメンでないと駄目だな

あ…ありのまま、今 起こった事を話すぜ!
「おれは 階段を踏み外して死んだお姫様を生き返らせた思ったら いつのまにか異世界から転生した男の魂が乗り移っていた」
な… 何を言っているのか わからねーと思うが
おれも 何をされたのか わからなかった…

こんな状況ならやっぱり取り乱すのが普通だし。やっぱ精神力は相当なもんなんでしょうけどね・・・


 管理人コメント

本作は、主役であるはずの転生者・リコウでもなく、ヒロインのメリアでもなく、本来脇役の召喚士役(正確には召喚術使いですらない)・クロスの視点で物語を最初から最後まで進める、その意味では非常に珍しい作風となっています。
そして、「脇役の視点で終始進める物語」という点にも意味があり、本作で一番「物語を進める駆動力」を持っているのがこのクロスなのです。
OPのモノローグにてリコウに体を託して物語から降りたメリア、これまた物語世界に対して一歩引いたスタンスのリコウ、最も物語世界に対しての知識、過ごした時間、そして振り回された感情が深いのもまたクロスなのです。
話は本当に短編ですが、その中で二転三転するクロスの激情こそが外連味となる作品です。

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【 邪那子供養 】

邪那子供養
レビュワー [ ノコモコ ]
ジャンル [ 短編ADV ]
作者 [ 紫蘇漬け さま ]
容量・圧縮形式 [ 18MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

決して珍しくはない「題材」だがこう料理してきたか。

勉強はできるがネクラで進路に悩む女子高生・栗川。
そして、栗川を見下しながら充実した日々を送る邪那子。
二人は将来どういう道を歩むのか、

要するには「ガリ勉タイプの人間」と「それを見下してイジメる人間」との
リアルでも漫画やドラマでの創作でも決して珍しくはない「題材」をとりあげて作った作品ですね。

さて、ゲームの前半は栗川の視点で話を進めますが、
ゲームの後半は、邪那子の視点で老人ホームの探索が始まります。
栗川のパートはただ文字を読み進めるのが主な作業なので、
ゲームの実質主成分は邪那子パートにあると言えるでしょう。

個人的な考案としては、邪那子の視点で化け物が追いかけてきたりは実は栗川の妄想というか願望の具現化いうこと。
客観的に見て栗川の思想もたいがいやばいなと感じました、
サイコパス的な人間は普段から善人であることをかなり気にかけているという心理学の説あるけど
それに当て嵌まるのかはどうかとして独善的な考えであることは間違いないので


 管理人コメント

本作を初め、紫蘇漬け氏の作風は「アバンギャルド」を体現したかのような和ホラー+パンクな短編作品ばかりで、10年以上も前から今現在までコンスタントに作品を作り続けている作者でもあります。
※ ついでに言うと、本作「邪那子供養」は2014年作と古めの作品となります。
その独特な作風から、モノによっては「オカルト禁断症状」シリーズなど、ギャグに振り切った作品もあります。しかし、本作「邪那子供養」では、ルサンチマンと世の残酷さをストレートに噴出させたシリアス目の作風となります。
なお、本作にはエンディングが3つありますが、その分岐点は邪那子パートの終盤のみ。邪那子パートの「あの未来」しか、栗川も邪那子もたどり着けないのです。誰も彼もがねじ曲がったまま進んでいく物語、響く人こそプレイしてください。

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【 Eternal Home Floristry 】

レビュワー [ びーな ]
ジャンル [ フラワーアレンジメント ]
作者 [ Deconstructeam さま ]
容量・圧縮形式 [ 23MB・ZIP ]
言語 [ 英語・スペイン語・日本語 ]
配布元 配布元

技術の発展と引き換えに、多くのものを喪った大都市。主人公、ゴードンはそんな町で殺し屋を稼業としている。しかしあるきっかけから片腕を失い、都市唯一の『本物の』花を扱う花屋、『永遠なる家』に匿われていた。花屋の主人がゴードンを匿う理由ははっきりとしないが、それに恩義のようなものを感じたゴードンは、老いたこの主人のために、花屋を手伝えないかと申し出る――。

これはスペインのインディーゲームスタジオが開発した、短編ADVです。このどこか倦んでしまったような大都市では、模造品ではない『本物の花』は、ただ希少性や美しさだけでない意味を持っています。それは、その香りが神経伝達物質に強く作用する……つまり強い感情を想起させるということ。たとえば愛憎入り交じる関係の片方に、その憎悪を増すような花を贈れば、間もなく悲劇が訪れることになるでしょう。
様々な感情にかかわる5種の花から3種を選び、ゴードンはフラワーアレンジメントを作ります。どの花も無尽蔵に使える訳ではなく、土がすっかりやせ衰えた花壇に残っている花は数本ずつ、合計で13本しかありません。主人から聞いた依頼人の人となりや関係性を鑑みて、贈るべきと感じたものを組み合わせていきましょう。あなたの選んだもの次第で、美しい奇跡も、悍ましい惨劇も起こり得ることはお忘れなく。

この物語は、4つの仕事を終えるとエンディングに向かいます。そう、4つです。つまり、花壇には花が一本残ることになりますね?
テキスト量は決して多い訳ではなく、しっかり読み進めても1周はサクっと終わるボリュームです。花の組み合わせを変えて何度も遊んでみたくなる、そうやってこの世界の、ゴードンの、花屋の主人セバスチャンの背景を知りたくなる良質なADVです。ぜひ、あなたなりのエンディングを探してみて下さい。


 管理人コメント

裏社会のうらぶれた花屋が舞台、登場人物はほとんどが中年以上の男性、物語全体から鉄さびの匂いが漂うハードボイルドな世界ながら、物語は相当に「詩的」です。
5種類・13本の花は、それぞれに特徴的な花言葉があります。3本を組み合わせてメッセージにすることで、4つの仕事に与える影響が変わります。
不和を煽る花言葉、決意を見せる花言葉、そして、愛を告白する花言葉…。花の組み合わせ1つ1つに、セバスチャン(花屋の老主人)が独自のコンボ名を名付けてくれます。
花の数に限りがあり、半数以上が不吉な花言葉を持つ花である以上、どこかで「不吉な花言葉しかないコンボ」を使わざるを得ません。誰に不幸を押し付けるか、誰に愛を誓うか、誰もが幸せになれないからこそ、本作の詩的でハードボイルドな世界観が際立つのです。
本作に日本語訳が実装されていて助かりました。様々な意味で「文脈」が重視される本作の物語は、外国語で読むと細かいニュアンスを見落とす可能性があるからです。

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