【RPG】INDEXへ / トップページへ

■ AN EARTH -SpecialEdition-

AN EARTH
作者 [ スパイ03 さま ]
ジャンル [ 〈迷作保証〉愛と狂気のオススメRPG! ]
容量・圧縮形式 [ 107MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ カンパウェア ]
配布元 ダウンロード先

AN EARTH AN EARTH AN EARTH AN EARTH AN EARTH AN EARTH

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 9 /10 9 /10 52/60 B
赤松弥太郎 8 /10 9 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9

ココイチ喰えよ…! ココイチ喰えよ!!!

よいこのみんな~!! こ~んに~ち…馬鹿がっ、こんなアングラ丸出しなサイトに良い子など来ないわ!!!
…という前提で、今回のレビューをお送りいたします。

今回のイチオシ作品「AN EARTH」は、画像をご覧の通り、パロディ満載・反社会的表現満載のパンキッシュなRPGです。
そのパンキッシュ度合いは、タイトル画面から全開です。まさに、本編の内容を画像1枚で表したタイトルの良例というべきものです。
そして、パロディ度合いも抜群です。この挑発的なタイトル画面ですら、現在好評放映中の某パロディ満載実験作アニメを参考にしたのではないか疑惑が出てきます。

当然ながら、「AN EARTH」発表当時(第9回ウディコン時)は、「ポプテピピック」はアニメ化(延期)の報が出たかどうかの時期。ただし、単行本は2巻まで出ており、参考にできたかどうかは未知数です。
何しろ、作者は「AN EARTH」を発表するまで、「MOTHER」シリーズは未プレイ・ココイチには一度も行ったことがないと公言しています。本作に過剰なほど収録されているパロディ要素も、どれだけ実際に見ていたのかは1プレイヤーに過ぎない自分たちでは判別ができません。
タイトル画像掲載を見送った「ふりーむ!」ですら掲載した牛とカエルのコンビ漫才…黄色い電気ネズミを従え、赤いボールを持ったウルファール…戦闘回数もパロディ元も数多いジョンシリーズ…いったい、作者様はどこまで知って、どこからを知らずに、これほどのパロディを織り込んできたのでしょうか。

そして、物語はパロディ要素を抜きにしても盛り上がるものです。あえて言えば、パンキッシュ要素さえ取り除いても盛り上がるものです。
しかし、それは元の世界なくしては…パンキッシュで、馬鹿馬鹿しくて、治安最悪で、いつ法務に怒られるか分からない…そんな世界なくしては成り立たない感動です。
そうです。本作のストーリーの伏線までも、このタイトル画面に満載されているのです! そういう意味でも、本作を語るのにタイトル画像をボツにするのはありえない!!!のです。

…えっ、そんなネタバレをここで言って大丈夫かって!? 大丈夫です!!
本作がどう転がってもろくでもないストーリーになることはタイトル画面から丸わかりです。ただ、ろくでもなさの方向性が若干ズレる程度です。
そして、本作のシナリオが短めであることも幸いしています。ショッキングな変貌を見せるジョン、その後何度も出てきて恥ずかしくないんですか状態になるジョン、悪い大人代表であるデッカーの言動、芸能界の世知辛さを体現したエイトのドサ回りと出生の秘密、「ロボットに効く」と公言していながらほぼ全ての敵に高威力のドープェルの最強技「SY-ジャミング」の謎、そして、息つく間も無く襲い掛かる万国びっくり生物ショー…エピソードを一つ一つ追っていくだけで、自然と結末に行ってしまいます。
しかし、隠しボスクリアやバケモン図鑑コンプリートなどのやり込みを目指す場合、ラストダンジョン突入前…具体的には仲間と別れる前のセーブは取っておきましょう。無印版よりは難易度が下がったとはいえ、仲間が欠けた状態で隠しボスと戦うのは無謀です。

作者・スパイ03氏のパンク魂は、本作だけでは終わりませんでした。現在、MOTHERシリーズをプレイしながら作り上げている続編「AN EARTH 2」、その主人公が愛読している…という設定のスピンオフ小説「ファンタスチック・バンパイア」、そのどれもが「AN EARTH」ともまた異なるパンキッシュな作品に仕上がっています。
我々としては、ただただ「AN EARTH 2」の完成を、そして、それをプレイして脳みそに風穴を開けられる準備をするほかありません。

今日もどこかでスパイ03。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

地球はいいところだゾ 永住したいナ

 今回初めてプレイしましたが、誠にうわさ通りの作品でした。
 正直、ここまでうわさ通りだとは思いませんでした。
 こんなに刺激的な作品であるにも関わらず、ここまで完璧に安定しているのは、いったい何事でしょうか。

 「虫みたいな脳ミソしかない方でも少し考えればわかりますね?」等の挑発を繰り返す取扱説明書も、
 開幕から中指を突き立てて、プレイヤーを選別するタイトル画面も、
 しれっと「おわりから」という選択肢を混ぜてくるタイトルメニューも、
 選ぶとさんざんな茶番を見せられた上に3分以上長々と「エンドーロル」が続くくせに、本編ではまるでプレイして当然という扱いをされる「おわりから」も、
 何もかもが計算づくで仕組まれているようにしか思えないのです。
 だいたいこういう、プレイヤーに対して挑発的な態度をとる作品は、自意識から出る照れ隠しだったり、意識と無意識の間の齟齬だったりがプレイヤーにも伝わってくることが多くて、そういうのがボクの大好物なのですが、本作の場合にはそれがまったく感じられません。
 プレイヤーがそれを見てどう反応するか、まったくブレなく、確信的に誘導して組み立てていく姿勢は、どこか不気味ささえ覚えます。

 これほどドギツい作風でありながら、本作にはだまし討ち要素がほとんどありません。
 基本は「あー、そうなるだろぉなー、やっぱりー」の繰り返し・積み重ねで、すべての展開に必ず伏線が張られています。
 よく語られるラストの展開にしても、意外なものではありません。しつこいくらいに伏線は張られていますし、すべてお約束進行です。
 強いて言えば最序盤、親友たちがロボットと化して襲いかかる場面には意外性があるかもしれませんが。
 でも、わかってるでしょ?
 本作は最初から、「SAY "F*** OFF" TO START」と表示されたタイトル画面で、Zキーを押せばゲームがプレイできることがわかっている程度にゲームに慣れた人しか、プレイヤーとして相手にしていないのですから。
 真っ先に「おわりから」を選ぶことも、イベントを進める前に町中のものを盗んで売り捌くことも、裁判官をぶちのめし「どろぼう」の称号を得ることも、ファビュラスな服がどう足掻いても買えない価格だと気付いて中指突き立てることも、すべて作者の想定通りと考えてしかるべきです。
 最序盤からショッキングなイベントであっても、その前に世界観を理解していれば、まったく意外性はないという暴論が、その想定の下でのみ成立します。
 さらに言えば、その時万一ショックを受けたところで、それ以降はもうショックを受けずに済むとも言えるのです……。

 中指突き立てたタイトル画面を見て、それでもなおプレイしてしまった時点でプレイヤーの負けなのです。
 実のところ、本作のメインストーリーだけを見て言えば、タイトル画面で中指を突き立てる必要はなかったのです。とボクは思うんですよ。
 ことある毎にF*** F***言いまくったり、そこら中にパロディをばらまいたり、そんなテイストに仕立てる必然性は、どこにも無かったはずです。
 それでもこういう芸風を選んでしまった以上、表示義務として「オススメRPG」のステッカーとタイトル画面の明示は必要だと、なぜふりーむは判断できなかったのでしょう?
 こんな善意に充ち満ちたタイトル画面、なかなかないと思いますよボクは。
 悪意に満ちあふれたタイトル画面で大量虐殺を起こしたときめきメロディー、そしてその悪意を十分承知して掲載したインターネットコンパク編集部とはまったく対照的です。

 芸風は芸風として、ゲームとしての点をつけるなら、こうなるでしょうか。

ハマリ度 : 8 / 10
 無印ではまったく制御されていなかったきょうわく四天王ですらコントロールされ、通常進行のレベルで倒せる程度に調整された。もはや本作は完全に制御下にある。
 基本のゲームシステムは単調で、特に終盤、不意打ち前提の戦闘はまるで作業。戦闘不能の回復手段が電話しかないバランスだが、現状では緊迫感を産むと言うより、かえって戦闘中の自由度を下げてしまっている。
グラフィック : 9 / 10
 本作と完全にマッチしている。MOTHERにぱっと見似ているように思えるのに、色彩感覚だけでここまで殺伐たる雰囲気が出せるのは驚き。
サウンド : 8 / 10
 自作25曲 + 素材曲の構成。
 とはいえ、自作曲とPANICPUMPKIN曲のチップチューン風があくまでベースで、魔王魂と煉獄庭園の用途は限定的。もっと本編を侵略しても面白かったかもしれない。

 これの2を出すと言っているのは、ボクにとってはまったくの驚きですし、この芸風を続けるのは誰あろう作者さんにとってつらいのではないかと思うのですが。
 しかし、やるのであればぜひ見てみたいですね。
 タネが既にバレている状態ではたしてどのように戦っていくのか、実に見物です。
 ……まさか、暗器などは使いはしないでしょう!!

【RPG】INDEXへ / トップページへ