■ 初代レビュー RPG
航海王 パンダとウサギ ドンザレス2 KNight-Blade 寅井さんちのツトムくん
Gu-L 囚人への
ペル・エム・フル
CLOCK ILLUSION 焦風
~奥のほそ道~

【 航海王 】

ジャンル [ RPG ]
ダウンロード ダウンロード不可

▼ゲーム紹介

ユタは田舎じゃないYO-!!

というケント・デリカット氏のソウルフルなシャウトは国内で有名なところであるが、それと同じくらい拙者が言いたいのは、
「航海王を復活させろ!!」
ということであります。
すげえ強引なつなぎですが、航海王というのは、アスキーのログインの例のアレで輝ける初代ツクール部門第一席に輝いた名作で、このソフトに出会わなかったら、拙者はこのサイトを開いてなかった可能性が真剣に考えられるというほどのショッキングなできばえのRPGです。 発表されたのは93年、時代的にはRPGツクールダンテ98が発売して間もない頃で、サムスピも初代が現役のころ。 ナコルルのセリフが、まだ「大自然のおしおきよ!」のころで、時代は486だなんて言っており、ログインの読者投稿コーナーのレベルも最盛期のころ。 エロゲーでしか時代を思い出せない方のために書きますと、『あゆみちゃん物語』のころと言ったらわかるだろこのエロゲーヲタッッ(逆ギレ)
ちなみに個人的には、マッスルボマーのころというとものすごくピンときます。

で、ログインの例のアレというのは『未確認クリエイターズ』というコーナーで、素人の作者さんにゲームを送ってもらい、それを批評して、たまに開催される大賞で入賞したソフトには賞金が出るというコーナーで、まあ基本的にはデジファミに近いものがありますが、当時は三位以内に入らなければ賞金はでませんでしたし、読者が遊ぶ事もできませんでした。
この辺の系譜としましては、

ソフコンPRESS(前コーナー)

未確認クリエイターズ

レベル高いし好評だったのでソフコン誌創刊

ソフコン廃刊。でもやっぱソフコンは素晴らしいのでいつか復活させるという野望

インターネットの台頭。こりゃ渡りに船でデジタルファミ通設立

でないかと思っています。
ちょっと脱線しましたが、というか、よく考えてみますと、このゲームは現在では遊ぶ事がほぼ不可能になっており、真面目にゲームレビューをしたってしゃーないですので、今回は昔話モードで行っちゃいます。

▼昔話と航海王

当時のログインの読者投稿コーナーのレベルは異常に高く、現在でもあちこちでじわじわと語り継がれおり、綺羅星のごときイカレぽんち達の末期的投稿の数々が、脳細胞を軟化させてくれました。 なつかしいなあ『おっぱい剣道部』。 その読者投稿コーナーのレベルにタメをはって一歩も譲らなかったのが、前述の『未確認クリエイターズ』。 これも異常にレベルが高く、今にして思えば、この当時のログインは相当な猛者揃いだっいた気がします。
いまさら『未確認クリエイターズ』のログイン大賞と言ってもピンとこないかもしれませんが、これで一席を取った作品には現在でも名の通ったものも多く、手元に残ってる資料でも、『サバトの女王』『ダークフォース(初代)』の名を発見する事ができました。
他には『航海王』『焦風 ~奥のほそ道~』『ダガン・バスターズ』『バンチョウ』などが輝ける第1席に輝いており、拙者がプレイしたものはどれもこれもスゴい完成度で、上の2作とタメをはって一歩も譲るものではありません。
『未確認クリエイターズ』出身の作品は、Googleで検索してもちっともヒットしませんし、現在では無名に近いといわざるをえませんが、これは実力不足と言うより、本当に時代が悪かったと言うほかなく、仮に発表されたのが発表機構の整備された現在であったとしたら、相当の大反響を呼んだであろうということは、未確認クリエイターズ出身で、現在では最後の語り部となってしまったらしい者の責任として、名誉にかけて強く言っておきたい。

当時の未確認クリエイターズのRPGの傾向として、なぜかストーリーテリングのレベルが非常に高く、『テクニック面では平凡だけど、ストーリーは魅せすぎ』という作品が多かったです。 今のデジファミにも作話が非常に上手い人は多いけど、なんというか、またちょっと傾向が違っていました。
今のデジファミに比べると、自分の世界に固執していたような感じでしょうか。 最近では凄いソフトが出揃ってきましたし、作るとなれば意識せずにはおれない名作が増えすぎたことも影響しているのかもしれませんが、当時に比べると、勝ちに走っている作話なような気がするのです。 当時の作品のテーマが『妄想の実現』で、現在の主流が『表現の追求』といえば、わかりやすいかもしれません。
最近の主流が、『ツクールというツールを使って、自分にどれだけのことができるのか』という挑戦が製作の第一目的になっているのに対し、当時はそれよりも『こんなん作ってみましたァ~!!』という、発表の場としての意味合いが強かったような気がするのです。
よく考えてみますと、多分誌上とネットとの差なのでしょう。ネット上では、誉めも叩きもすぐに耳に入ってしまうので、どうしたって勝ちに走りやすくなってきます。 対して誌上では基本的に、プロ編集者の練られた意見しか入らないので、じっくりと自分の持ち味を練っていくというプロセスを経ていく。そういう伝達媒体の差が出ているのではないかと思っております。
どちらがよいとは言いませんが、前者は粒ぞろいになってきやすく、後者は個性派ぞろいになってきやすいでしょう。現在では、前者の典型がデジファミ、後者の典型がTECH Winのデジタルアイアンマンに当たるかと思います。
そういう風に考えていくと、未確認クリエイターズというのは、ある意味理想的なシステムだったような気もします。
個性派というのはやっぱ当たりはずれが大きく、当たった時はデカいが、外れたときは救いようがないという大リーガーのバッターみたいになりがちなのですが、半期に一回くらいと極めてゆるいペースで大コンテストを開催することによって、その中でも極上質の上澄みだけがのこり、それだけが手元にくるようになっているということで、こりゃよく考えるとつまらないはずがないのです。
しかも、その個性的な名作を手本にさらに練っていくのですから、ペース的な不満にさえ我慢すれば、相当に理想的だった気がします。

▼昔話と航海王2

というわけで、いよいよ航海王の説明に移りたいと思います。 ていうか正直な話、今日の9:30放映(関東)の輝きいっぱい大傑作少女アニメ『コメットさん☆』の主人公、コメットさんの美しくも深いお美声(こえ)を担当しておられる大女優、前田亜季様が、NHKのドラミャに出ておられ、しかも役の関係で危険ななセリフが多く、コメットさんがいきなり過激発言を連発したようでなかなかだったらしいのですが、残念な事に忘年会があったせいもあって見逃してしまい、酒とヤニにまみれたあの時間を嘆き悲しんでおります。
そのように忘れ去りたい記憶もありますが、忘れたくない記憶もあるというもの。 拙者の場合それが未確認クリエイターズですという話を上でいたしまして(またすげえつなぎ)、未確認クリエイターズのような豊穣たる大地から干からびた作物ができるはずがなく、その未確認クリエイターズの実りの豊かさの象徴ともいえる航海王について、いよいよ話をはじめるわけです。 といいますか、本当に行き当たりばったりで書き進めているのに、理屈を並べてキチンと構成されてるようにごまかせて驚いてたり。

前回、未確認クリエイターズではストーリーが凄いソフトが多いと書きましたが、航海王もその傾向にそってシナリオが非常に良く、幼き日の拙者も、
「主人公のミッターボルン様萌え~」
という思いを抱きまして、さらにミッターボルンが作者さんに激似だと知ったときは、もうヴァレンタインデーに自分の裸体にチョコレートをコーティングして作者に宅急便でお届けしようかと思い、LOGIN編集部に電話をかけようと思ったのですが、間違ってロージンの編集部にかけてしまい、編集のジイイに偏愛されるハメになったとかいうことがあったとかなかったとか言う話ですが、海をまたぎ、死と友情のドラマを繰り広げる漢たちという燃え燃えなシチュエーションでストーリーは展開し、しかも、単なる大航海時代ファンタジーではなく、波動砲は登場するわ、巨大ロボ(しかもポセイドン。バビってます)は登場するわ、その上、それが一流の腕で描きまくられるわけですから、これはもう失禁しかねないわけですよ。
文句のつけどころのない壮大さ・面白さでもって展開される壮絶かつ破天荒な漢の生き様には、プレイしながらもハラハラのし通しで、
「良く出てくる敵『尖兵』の『尖』ってどう読むの!?」
などと、何度も思わされたものです。(ちなみに、”せん”)

ですが、そのストーリー以上に目立っていたのが非凡なテクニックの数々。ログイン大賞で1席に入選した際のコメントにも、

「初めはスタッフも「チャイムズクエスト(製作ツール)を改造して作ったのかな」と思ってしまった」

「もう、ここまでやってくれるとプログラム部門でもいいんじゃないかと思うほど」

などと書かれており、スゴさの一端をうかがわせています。
実際拙者も、
「こんな凄いツールなんだったら、ダンテ98じゃなくてチャイムズ買っときゃ良かった」
と思ったりしました。
まあ今にして思えば、ダンテ98でも『ComeBackAlive』みたいなツールの限界を超えすぎた作品ができるのですから、要は頭脳と、執念と狂気と妄想の問題という面もあるかと思わなくもないですが。(余談ですが、さすけさんはダンテ98Ⅱに計算をさせることまで考えていたらしいです。)

その凄いテクニックで、特に印象に残ってるところを上げますと、まず、演出がド派手だということ。
しょっぱなのシーンからして、ミッターボルン将軍の指揮する強襲艦隊『黒き魔鯨』が、波動砲によって一撃で海の藻屑と消え去るという飛ばし方なのですが、これをちゃんと絵にして見せてくれます。非常に緻密かつ美しいグラフィックで、ちゃんと波動砲発射基地でのやりとりから、波動砲に艦隊が吹っ飛ばされて沈没し海の藻屑と消えるまでが描かれるのですから、これはもう導入としては文句なく最ッ高でェェーすゥゥゥ!!
他にも、神殿が巨大な波に飲みこまれて消える中から海神ポセイドンが蘇るシーンなど、とにかく未だに忘れられないシーンのなんと多い事か!  ドラクエⅢのような偉大すぎる名作においてすら、アレフガルトについたときとエンディングしか覚えていない拙者が7つくらいのシーンを覚えているのですから、どれくらいの衝撃だったかわかっていただけるかと思います。あと関係ないですが、チャイムズはデフォの音楽に名曲が多くて、これがまた感動を盛り上げてくれたものです。ウインドウズで聞く方法を知りたい!

それと、もう一つ凄いのが、戦闘が四種類もあるということ。
一つはチャイムズのデフォのドラクエ型戦闘ですが、他は作者が自作してしまった戦闘で、艦隊戦、陸上軍団戦、そしてポセイドンによるメカ戦があります。
細かい内容は長くなるので省きますが、いずれもちゃんと遊べるレベルになっているのが凄い。というか、チャイムズでこれだけのことをやったというのは本当に凄い。よく考えると奇跡的なことです。
現在では、RPGツクールでパズル作ったりアクション作ったりする荒業師は珍しくなくなり、傑作も沢山出まわっていますが、これほどまでにグラフィックを描きこみ、ストーリーを練り上げ、なおかつ種類も多く、おまけにツールも不自由(多分)で八年も前というのは、考えれば考えるほど異常極まりない事態であり、なんか書いてるうちに、これがツクール史上最高傑作の一つなのではないかという気がどんどんしてまいりました。まあ、昔のことで、大分美化されてる面もあるかとは思いますがね。

まとめに入りますと、現在のように、パソコンやツールや技術などの飛躍的向上やヤケクソなほど流通量が増えてきたことによって、極めて質の高いフリーソフトをいくらでも遊べるようになった時代に比べますと、何度も述べているように、当時はわざわざパソコン屋まで行って、『TAKERU』がフロッピーにデータを焼きこむまで何分も待たなきゃならんわ、高いわ、発行ペースはトロいわと散々なんですが、それでも思わず語りたくなるような魅力を内包していた事は、当時の時間を共有していた方々には納得してもらえると思います。

それもこの航海王のような非凡なる名作があったからであり、航海王も『未確認クリエイターズ』というコーナーがあったからこそ存在できたわけで、八年経った現在になってもこうして誉められるあたり、未確認クリエイターズは偉大なるコーナーだったと言えるかもしれません。ああ、古き良き時代でしたなぁ…
というわけで、作者さんがログイン大賞のコメントで話されていた『ダンテ98で開発中の新作』とやらはどうなったんだとツッコンでおくのと、お約束の復刻希望でキレイにまとめて、解決できなかった伏線をごまかしたいと思います

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【 パンダとウサギ 】

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↑そういえば気球おじさんはどうなったのか?
ジャンル [ RPG(ツクール95製) ]
作者 [ EISIN さま ]
容量・圧縮形式 [ 11.1MB・自己解凍EXE ]
備考 [ コンパク2000年8月・銀賞受賞 ]
ダウンロード ダウンロード不可

■ゲーム紹介

パンダといえばとっとこハム太郎のパンダくんであり、今度出崎統氏を監督として公開される劇場版ハム太郎について
「ヘイ!ファイト、ハムタロー フフ・・トテモタノシーネ」とか
ゴロマキ大将「ハム太郎さんのファイトは一流です」とか
「私は朝食に向日葵の種三つとレモンティー、それだけだ・・・」とか
はたまた超人類になるのではないかとか某掲示板では予想が盛りあがってますが、今回はそれとは関係なしの本物のパンダ。
ツクール界に咲く一輪の花、『パンダとウサギ』です。

■システム・ストーリー

タイプ的には、オーソドックスなRPGです。

アニマルランド。数々の動物達が住むものの、基本的に闘争心がないため、非常に平和な楽園であったこの大陸に、突如として食糧を強奪独占する集団が現れた。
その集団の名は、ウサギ。
彼らは暴力による恐怖政治で財力を蓄え、『ウサギ王国』を建国。配下のウサギ軍の圧倒的な力によって、恐怖政治は最高潮に達し、たくさんの動物達が飢えて死んでいった。
その状況を見かねて、今、一匹のパンダが立ち上がった。その名は”くまはち”。天然のジジイを育ての親にもつ男です。

■激辛的見どころ

容量の大きさを見て薄々気づいる方も多いかと思いますが、このゲームは手書きのグラフィックが非常に多く、顔グラはもちろん、イベントの一枚絵、立ちキャラ、敵グラにいたるまでほとんどが手書きというゴージャスぶりで、音楽も、市販の素材集を購入されておられ、平均以上に手間と金がかかっております。
そういう手間暇をかけてじっくりと作りこまれた作品特有の、なんというか密度のある魅力があり、そういうのが好きな方にはハアハアもので、しかもキャラもかわいいのでもう悶絶絶句で床を転がりまわっているうちに叩頭部をタンスの角にぶつけて頭蓋骨陥没などの状況になりかねません。
全体として見ますと、飛びぬけたインパクトで腰が抜け死に至るという事はないかと思いますが、誰もが楽しめる良作であることは間違いありませんので、子供から大人、李さん一家にまでおすすめできる作品といえます。

■オススメ関連サイト

作者さんのサイトにいろいろ有益な情報があったのですが、残念な事にどうも閉鎖されてしまったようで、関連サイトは今のところありません。
やむを得ませんので、最初に出てきた『出崎統監督とっとこハム太郎を勝手に予想するスレ』を見て、出崎止め絵状態をお楽しみ下さい。


(補足)
2016.04.17:本作は、現在DLできません。

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【 ドンザレスⅡ 】

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↑この異常な迫力!!
ジャンル [ RPG ]
作者 [ デビルアニキ さま ]
容量・圧縮形式 [ 11.6MB・自己解凍EXE ]
ダウンロード ダウンロード先
備考 [ コンパク2001年7月・銅賞受賞 ]

ツクール界最大の異端児デビルアニキ!!
その日本語では表現困難な絵の迫力と雰囲気で、ツクール界に旋風を巻き起こす千葉県民。彼の代表作『ドンザレス』の続編が、満を持して登場!

(コンパク受賞時のコメント)
「他のゲームの路線とは明らかに違う、独特の雰囲気、独特の絵、凄まじいシナリオ展開…… (24歳・男性)」

「ついにでた……。RPGツクール2000のドンザレスがー! (10歳・男性)」

10歳までメロメロにするそのカリスマ性!!
相変わらずのデビルアニキテイスト全開で、トリコじかけの明け暮れになる事確実です。

■システム・ストーリー

まあ基本的にはRPGの王道パターンを行く作品で、雑魚戦闘・イベント・ボスバトルの繰り返しとなります。
特徴的なのは『パンチシステム』とでも言うべきもので、フィールド上に敵が表示されてまして、ぶつかると戦闘になるのですが、

「タイミングよく決定キーを押してナックルで敵に体当たりすれば戦闘に入らず一撃で倒せる」

ということで、これによって雑魚戦闘を多少回避できるようになっており、またゲームにリズムを生んでいます。 ストーリーに関しましては、ここでは省きます(あるのかないのか微妙な雰囲気

■激辛的見どころ

自己申告ジャンル『最凶最悪のくそゲー』や、「このゲームは最低だ・・・・」が最初のメッセージである事に象徴されるような雰囲気の破滅ぶりもインパクト絶大ですが、やはり最大の見所は相変わらずの凄い絵!!  前回の男世紀レビューの時から、なんとか比喩してみようと四苦八苦しているのですが、まるまる二ヶ月考えこんでも適当な比喩が思い浮かびません
というのも、例えようにも類型がこの世に存在していないらしいため、どうやってもしっくりこないのです。福本伸行の描くキャラクターのアゴですら追いつかないインパクトで、タイトル画を見ただけで、
「ああ… やったかいがあった…」
と、思わずもうゲームを終わらせた気分になります。

しかも豪華な事に、ボスはアニメーションしながら攻撃してきます。
よく考えてみますと、格闘も作られているのですから、RPGの攻撃アニメくらいはお茶の子さいさいなのでしょうが、たまげました。 といいますか、興味のある方でしたらこれだけでもダウンロードする価値はあるかもしれません。思わず「すごいわジェシカ!」と叫ぶことでしょう。

*その後貴さんに、

デビル兄貴氏の画風を日本語で表現するなら、
「アメリカ人の漫☆画太郎」という表現はどうでしょう?

という説得力のあるご意見をいただきました。ありがとうございます~

■オススメ関連サイト

前回『男世紀』のレビューを書いた時に、実はデビルアニキさんがこのサイトを見ておられたという事実が判明したため、今も見ていただけてるのかはわかりませんが、とりあえず氏への私的な電波メッセージを送らせていただきますので、テキトーに聞き流して下さい。
拙者ごときがエラそうに考えをどうこう言っても説得力がないと思いますので、いきなり結論から入りますと、攻撃は防御を伴うことによって効果が各段に上がるもので、例えばマンガなんかでも、『名言を出せば読者はイ・チ・コ・ロ』などと考えられておられる方が多い気もしますが、どんな名言を出しても、マンガそのものがしっかりしてなければ、単なるクサいセリフの空回りで終わってしまいます。
名言が心に残ることは事実でしょうが、足元がなってなければ簡単にスカされてしまうのです。ですので、デビルアニキさんの場合も、足場を固めて主武器であるあの絵や雰囲気を打ち出せば、威力は何倍にもなるかと思います。

で、なにをオススメするかといいますと、別冊宝島で出ていた『シナリオ入門』とかそんな題名の本です。 ちょっと今余所に行ってまして手元にはないのですが、名前を出せば誰もが失禁しかねない有名ツクーラーさんも結構愛用されておられたりします。
アメリカだかホンジュラスだかホンジャマカだかの外国の映画監督が書いており、『初心者でも効果的で間違いのない作話を出来るようにステップアップさせる』という目的の元、課題クリア式のシナリオゼミがついています。
今後RPGなり、シナリオが大きな重心を占める作品をツクられるときに役にたつかと思います。
あと美少女絵を大手エロ同人屋になれるほど研究するのも有効かも。


(補足)
2016.04.17:DL先をVectorに変更。

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【 KNight-Blade - The Survivor of Hell Hound -

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ジャンル [ SF-RPG ]
作者 [ 重歳 謙治 さま ]
容量・圧縮形式 [ 8.49MB・自己解凍EXE ]
備考 [ コンパク1999年6月・金賞受賞 ]
ダウンロード ダウンロード先

『魔法少女猫たると』を見てみたい上橋にゃ~の。

そんな前振りとは全然関係なく、今回はツクーラー中でも最も有名な方の一人であろう、水車蹴りさんの名作、【KNight-Blade】 - The Survivor of Hell Hound -です。
実はこのサイトを立ち上げた当初からレビュー候補に上がっていたのですが、なぜかまる一年も遅れてしまい、しかもなぜそうなったのか見当がつきません。 紹介するのに一年遅れ、しかも製作されたのが、それよりもずいぶん前ですから、今となっては古典の部類に入ってしまう作品なのですが、今回レビューにあたって、再びプレイしてみたところ、全然そんな古さは感じませんでしたというか、時代超越ぶりを思い知らされました。

(ストーリー)
西暦2009年、第三次世界大戦終結。陸地の約60%を死の荒野に変え、人類はようやく、破壊は何も生み出さないという教訓を得るに至った。だが、西暦2024年、A国が「理想の統一国家」の建設を宣言し、軍事力を盾に全ての国に対して世界国家の傘下に加わることを要求したことが引きがねとなり、第四次世界大戦が勃発し、それは50年の永きにわたる事となる。
戦争中、核はあまりに攻撃力が高すぎるゆえ、使われなかった。
戦争とは、暴力をもって行う政治活動に他ならず、核を使用した場合、双方破滅が目に見えており、戦争を行う意味がなくなってしまう。人間は、自滅するために戦争を行うのではない。
そこで人類は、新たな兵器を開発した。機械式強化装甲服、通称「アサルト・ギア」。いわゆるパワードスーツ型の兵器で、その優れた機動力と あらゆる兵器を自在に操る汎用性から、実戦投入以後わずか10年で戦闘における主戦力となった。
その中でも極秘最新鋭のアサルト・ギアを標準装備し、死神部隊の名をほしいままにする、第13独立機甲部隊の2番機『ナイト・ブレード』のパイロットの軍曹、カイン=グレイウッドを主人公として激動の世界が描かれていく。

といいますか、どうよこの世界観!! メカメカ!! 燃えッッ!!
しかも、こんなカッチョイイ兵器がいちいちバーニアをふかしたり、サイコ=ウェポンを大活用したり、必要以上に銃を撃ちまくったりするんですよ!!  その上凝っているのは設定だけではなく、これらをいちいちクオリティの高い絵にして見せてくれます。 絵、世界観、メカ、演出等全てにおいて、とにかく懲り方が凄い
しかも音楽も大半は自作ですし、その辺のデフォ素材だけで作ったRPGの300倍くらいの労力をつぎこんでいるのではないかという気がします。 ものぐさの大冒険で換算しますと50万倍ぐらいでしょうか。

このメカへの徹底したこだわりぶりが作者の水車蹴りイズムの一つの柱ですが、氏は「肉よりメカ!」という属性の方というわけではなく、萌えにも対応。 美少女も登場し、いよいよもってハアハアさせてくれます。

やや天然な美少女に囲まれ、サイコブレードで絶対悪を切り刻み、そして画面には凝りに凝った専門用語とそこまで知る必要はないんじゃないかっつーくらい詳細なデータが表示され、一機で敵基地に突入、次々爆破撃滅していくという、もうこれ以上ないくらいツボだけを突く内容で、個人的にはボトムズでやるアンパンマンみたいな内容だと考えています。

さすがにツクール史に名を残す一作だけのことはあり、思わず1/1サイズのガンダムを買ってしまった方ならずとも超オススメです。

《解説》

>魔法少女猫たると
大体タイトル通りの内容のアニメにゃ~の

>水車蹴りイズム
ツクールで開くと見れるメッセージも熱い!

>ボトムズ
昔のアニメの『装甲騎兵ボトムズ』。熱狂的なファンが多く、士文大先生などはぶっ続け放映の48時間マラソンを全て録画されたほどの猛者。ちなみに拙者も好き。


(補足)
2005.04:この作品は、コンパク総合人気部門15位を獲得。
2016.04.17:DL先を変更。

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【 寅井さんちのツトムくん 】

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作者 [ K-suke さま ]
容量・圧縮形式 [ 2.03MB・自己解凍EXE ]
備考 [ コンパク2000年9月・銀賞受賞 ]
ダウンロード ダウンロード先

ヤフー! 作者のK-sukeさーん、見ておられますかァァ! 見てねーよ! ゲフッ…  というわけで、通貨の単位がヘクトパスカルの『寅井さんちのツトム君』です!

このゲーム、コンパクの2000年度年間人気作品ランキングで、第6位に受賞している人気作。その評判は、

「泣けた。愛おしさというものを、純粋に昇華したストーリーに感服。」
「はっきり言って泣きました。いまだに印象深い作品です。」
「私を本当に泣かせてくれた初めてのゲームです。」

など、『泣ける』と『感動した』が、そのほとんどを占めており、いわゆる『泣かせゲー』の強力なものであるとの前評判。 しかし、実際にはじめてみますと、通貨がヘクトパスカルだったり、作者のツッコミがあったり、ツクールのチップセットをネタにしたり、仲間になるハエのMPが750もあったりと、不安まみれです。
氏のサイトの日記などで、文章力と構成力の確かさは確認済みですし、コンパクの年間人気作品にもランクインしてるのですから、威力は保証済みなのですが、なにせ、拙者がその前にプレイした氏の作品が、あの『ぼさのヴぁ.rpg』。

「俺、この前さぁ…… ……エステに行って、ナオミになったんだ……」

の破壊力は、現実の証拠の3つや4つでは埋まりません。
ひょっとして、同名の別のゲームと間違えてるか、もしくはすごすぎてプレイヤーが発狂したのではないかと思いました。

しかし、コミカルなのは最初の方だけであり、後半になればなるほどシリアスになっていき、泣ける展開でした。
一言で批評させていただくと、感情を飲みこむのが非常に上手い。
いじわるな見方をすれば、ストーリーに穴はあるのですが、そんなのを無視して、胸に迫るものがあります。
気合のなせる技でしょう。

*以下、ネタバレと言えばネタバレ入りますので、ご注意下さい。

特に象徴的なのが、ハッピーエンドが一つもない事。 マルチエンディングになっており、全部で4つのエンディングがあるのですが、完全なハッピーエンドはありません。
あれだけギャグをちりばめ、コミカルなノリではじまり、アカネたんという萌え萌え天然炉梨キャラまで主力投入しておきながら、収束先は救いようなく暗い。
おそらくは、作者が安易な救済を信じず、最も信じられるものを描いたからそうなり、あの気迫を生んだのでしょう。
せっかくのマルチエンディングですし、嘘でもいいから、一つくらい救いが欲しかった気もしないでもないのですが、その辺を徹底したからこその名作なのかもしれません。

《解説》

>ぼさのヴぁ.rpg
ヨゴレ具合にかけては右に出るものがいないRPG。以前、取り上げさせていただきました。ログは 『バカゲー』の2ページ目にあります。


(補足)
2007.10.08:現在、作者様HPよりリメイク版がDLできます。(http://www.geocities.jp/keisukenokokoronosoko/
(keisukenokokoronosoko さま、情報ありがとうございます。)
2016.04.17:DL先をVectorに変更。

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【 Gu-L 】

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ジャンル [ 大恐怖RPG ]
作者 [ 焼城 ユブ さま ]
容量・圧縮形式 [ 5.76MB・自己解凍EXE ]
備考 [ コンパク2001年3月・銀賞受賞 ]
ダウンロード ダウンロード不可

数年ぶりに、怪我らしい怪我をしました。
いや、マイ自転車、サイクロン5号で飛ばしてましたら、小石でスリップ、縁石にペダルを引っかけまして、こけない為に反対側にハンドルを切ったらそこは激しくデコボコの石壁。 頭部を守るために左腕をさし出し、左腕の皮を少し削り取りました。まあ大した怪我じゃないのでよかったです。
血に染まっていく傷口を見ながら、「左目だけ赤くなってたらどうしよう」と考えたというのは嘘ですが、いま考えておりますので、拙者もかなりのGu-Lさんということになってしまいますか。

というわけで、先日、デジフ(略)コンテストパーク年間人気作品に、91票を獲得しブッちぎりで一位に選ばれた、恐怖RPGの大傑作、焼城ユブさん謹製の最新発表作『Gu-L』です。『PARANOIANS』、『PARANOIANS2』に続き、公開作品では三作目になります。

諸事情により、故・鈴木その子さんのお化粧の下くらい得体の知れない館に閉じ込められた、修学旅行中の高校生集団が、屋敷の武器庫で銃を調達し、襲いかかる異形の生物どもを撃って撃って撃ちまくりながら、生還を目指し、スキあらば、黒幕を即刻射殺せんとする内容です。システム的には、独自の銃器システムを採用されており、ゲーム中に独特の雰囲気と緊張感を醸し出しています。
あと、先日紹介しました囚ペルと同じく、判断をミスりますと、仲間が「こんな死に方はイヤだベスト10」に入るくらい凄まじき死に様を迎え、また、それによって展開も変わってきます。

修学旅行中の高校生集団が、バスで移動中に事故リまして、運転手、教員等を含む、乗員乗客の4分の3くらいが死亡。残った生徒たちも、怪我をしたり、精神的なショックをうけたりしながら、満身創痍の状況で、救助を待つ事にしました。
しかし、何時間たっても、救助はおろか、人っ子一人通らない。しかも、雨まで降ってきた。バスは崩壊&死屍累々たる状況のため、戻りたくないし、かといってこのまま雨ざらしでいたら、大怪我をしている奴が、消耗して死ぬ可能性がある。だから、とりあえず助けを求めて、走りました。
どのくらい走ったか。不気味な洋館が姿をあらわし、中から全く生気の感じられない、あからさまに異常メイドさんがお出迎え。「雨が止むまでかくまってくれ」「外と連絡がとりたい」という意向を示すと、快く入れてくれ、一日お休みなさいとまでいってくれた。
さらに、食事まで出してくれ、みんな喜んで食べているのですが、主人公、圭介君の食事を食べたクラスメイトが、血を吐き、うめいて床に倒れこみ、そのまま死亡。
室内に戻ってきたメイドさんに対し、倒れた奴の救助を一同は頼むのですが、メイドさんは、主人公に向かって、こう吐き捨てます。
「何故…… 生きてる… お前が…」

クラスメイトの死亡は事故などではなく、抹殺を狙った意図的なものであることが浮き彫りとなり、さらに、ほどなく、黒幕のジジイも登場。黒幕は、一同に銃を突きつけながら、憎たらしいくらい悠長な態度で、こう抜かします。
「良いですか? これはゲームです。君達は今からプレイヤーです。そして… この私が最後の敵なのです」

やがて、その言葉を裏付けるように、屋敷内の武器庫で、大量の重火器類を発見。

「イってやがる…」

冒頭の、『コノゲームニハ、ホラー的表現・要素ガ含マレテマス』という、重々しい警告にふさわしい、ハードな展開です。

その強烈な物語を支えるのは、ベテランツクーラーユブさんの非常な力量と、敵グラ担当鷹栖氏の圧倒的画力、そして、確固たる存在感を持つ、魅力的なキャラクター達です。


(補足)
2005.04:この作品は、コンパク総合人気作品5位を獲得。
2016.04.17:本作は、現在DLできません。

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【 囚人へのペル・エム・フル 】

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ジャンル [ 最高峰恐怖RPG ]
作者 [ 八百 さま ]
容量・圧縮形式 [ 4.74MB・自己解凍EXE ]
ダウンロード ダウンロード先
備考 [ コンパク1998年8月・プラチナ賞受賞 ]
[ 第3回 アスキー エンタテインメント ソフトウェアコンテスト アスキーツクール作品賞受賞 ]

季節は夏。既に気温が40℃を超えている、構造上欠陥だらけの我が家にとって、生き地獄の季節がやってまいりました。そんな暑い時には定番、納涼肝だめし。
それにうってつけなのが、フリーソフトの恐怖ゲーでしょう。タダで遊べて、背筋が凍り付いて、夜中にトイレに行けなくなって、膀胱破裂で悶絶死。
そんなフリーソフトの恐怖ゲーの最高峰といえば、例によってコープスパーティ。以前、レビューでも取り上げさせていただきましたが、丑三つ時プレイをすると、迫力とインパクトにのまれ、夜中に墓場でブレイクダンスも踊れなくなるその迫力。
そんなコープスと、フリーソフトの恐怖ゲーで”双璧”といわれているのが、この『囚人へのペル・エム・フル』です。

内容は、マルチエンディングのRPG。ピラミッドをバカスカ降りていく内容です。途中、選択をミスると、仲間が死に、それによって、ストーリー展開やエンディングが異なってきます。
ちなみに、作者さんは、伝説級のRPGツクール2000サンプルゲーム『Ⅲ』の作者さんでもある八百さんです。

ピラミッドには”地下”があり、そこにはクフ王の墓があるという説が昔からありまして、それを信じる、ピラミッド研究の世界的権威の教授のジジイが、無断で探査をしていました。
鉱員を使って、ピラミッドを削ったり爆破したりしながら突き進んでいくと、なんと、本当に地下が見つかって、しかも、作りが明らかに、上より高度。 狂喜したジジイは、この墓の謎を解明すべく、鉱員・助手とともに、奥に突き進むのですが、トラップに引っかかり、鉱員が即死。 それでも、さすがは亀の甲より年の功。ジジイは先に進む決意を崩しません。
かといって、人員がなければ、本当に死にかねない。なにせ、全く得体の知れない状況です。下手に一歩進んで、そこで生きている保証すらないのですから、進むといっても、進めない。
そこでジジイが取った策は、人柱を用意する事。なにも知らない、日本人観光客をだまくらかしてつれてきて、「誰も知らないピラミッドの奥をお見せしよう」とか言いつつ、狂気のジジイと、人柱達は、未知の地下世界を、慎重に進んでいきます。

ほんの偶然ですら人が容易に死ぬ、想像を絶するピラミッド地下。
騙されてつれてこられた観光客は、その後、ジジイ達とともに、地下世界へと閉じ込められ、ある人はそこで朽ち果て、あるいは奇跡的に生き残り、死のふちで凄まじい人間模様を描いていきながら、奥へと進んでいきます。
徐々に明かされていく、ピラミッドの謎。交錯する怨念と思惑。そして、極限での死。その三大恐怖を基調としながら、圧倒的な興奮をもってストーリーは展開し、そして、想像を絶する結末へと、登場人物達は向かっていきます。

さらに、見どころは、その凄まじいストーリーばかりではありません。バランス、音楽等も一級品ですし、なにより、未知の地下世界を見事に表現しきったグラフィックは、現在でも、フリーソフト史上、最美なのではないでしょうか。


(補足)
2005.04:イチオシレビューは、こちら。

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【 CLOCK 】

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ジャンル [ ミステリアスRPG ]
作者 [ 曽我部一郎 さま ]
容量・圧縮形式 [ 315KB・自己解凍EXE ]
備考 [ コンパク1997年8月 月間受賞作品 ]
ダウンロード ダウンロード不可

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世の中には、類いまれな個性と実力を持ち、天才といわれながらも、突然ふっつりと姿を消すような方々がいます。

あるいは余人にはわからない悩みがあるのかもしれないし、あるいは個性が強すぎて、商業ベースでは使い物にならないと判断されたのかもしれない。
例えば、拙者も含む一部で密かに”ジャンプ史上最高傑作”と考えられている読み切りに、『小人のつくりかた』という作品があります。

謎の大男(正体不明)が、路上で小人さん(正体不明)を拾い、育てるというあらすじなのですが、ギャグとして狙っているのかすらわからぬ天然ぶりで、見る者に末期的なインパクトを残し、心酔者から絶大な賛辞を受けながらも、作者さんの最後の発表作品となってしまったっぽい伝説の作品です。
もし拙者が作者さんにお会いするようなことがあれば、表装した掛け軸にサインをしてもらうつもりです。

ベクトルは違いますが、ツクール界でそういった方といえば、この人しかいません。

『梓999』の、曽我部一郎さん。

強烈な個性と熱きメッセージ、年齢(発表当時19歳)からいっても驚異的な実力、そして「武一トークショー」をはじめとするコブラネタを振りつつ、わずか2ヶ月という異常な短期間で『CLOCK』と『梓999』を続けて発表。ツクール界に大衝撃を与えたものの、その後完全に消息不明。
その異様なまでの存在感から、ツクール界最大の謎の一つとなっている漢です。

CLOCKは、曽我部氏が『梓999』の前に発表した作品で、やはり全セリフにウェイトをかける独特の曽我部節や、2ちゃんねるを先取り(?)した、半角カナ、そしてあのストーリーテリングが猛威を振るっています。

ゲーム自体は、基本的に2種類のモードからなっています。

ストーリーモード:名前の通り、CLOCKのストーリーが楽しめます。戦闘は一切ありません。
サクサクモード :仲間の『ボウイ』を主人公としたモードで、ひたすらに戦いながらダンジョンを降り、お宝をゲットしていきます。でも、はっきり言ってあまり遊べませんので、マニア以外はストーリーモードのみプレイすればよろしいでしょう。

この日記を書くにあたって、再びストーリーモードをプレイしてみました。

「百年戦争終結から数十年...
建設の熱は冷め
復興の喜びも忘れ去られ
今や欲望に身を任せた、クズどもの掃き溜めか」

この一文から始まるストーリーに、気がつけば完全にはまりこみ、ついつい徹夜でクリアしてしまいました。いや、本当に仕事を忘れてしまいます。

プレイ中、『ダンテの宿』と言う所を調べたところ、こんなメッセージも出ました。

「最近、薄くなったんじゃないの」

確かに、CLOCKに比べると、他の大部分の作品は薄いと言わざるを得ません。

曽我部作品を名作たらしめているのは、もちろん作者の優れた実力のせいでしょうが、抜本的なところでは、その濃さなのかもしれません。


(補足)
2016.04.17:DL先を変更。
2017.08:本作品は、現在ダウンロードできません。

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【 ILLUSION 】

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ジャンル [ 釣りRPG ]
作者 [ HIDE さま ]
容量・圧縮形式 [ 391KB・自己解凍EXE ]
備考 [ コンパク1997年7月 月間受賞作品 ]
ダウンロード ダウンロード不可

世の中には知られざる実力者というものが存在するもので、有名な話では、グラハム・ベル以外の、もう一人の電話の発明者かしら。 電話の特許をベルと同日に届け出しておきながら、時間差で敗れ、おかげでこうして名前すら思い出せないという男がいるのよ。
フリーソフトでも、やっぱりそういう無冠の帝王じみた存在はいるものね。

ノスタルジックなゲーム。
郷愁を誘い、過ぎ去りし幼き頃の世界にふと導いてくれるような世界観のゲーム。といえば『Moon Whistle』と『Lost sheep』が有名ね。
この二作が有名すぎるせいか、ノスタルジックな名作フリーソフトはこれしか存在していないと思ってる方も、中にはいるかもしれない。
でも、他にも名作は存在しているわ。例えば、今回紹介する『ILLUSION』。

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『釣りRPG』。バスフィッシングのゲームよ。
アタシは釣りはよく知らないけど、バスフィッシングってのはどうやら、普通の釣りのようにえさをつけてやるのではなく、疑似餌(ルアー)をつかってブラックバスを釣るものらしいわね。
釣りというとどうしても、その辺でよく見かける背中の煤けたダンディーなオヂサマしか思い浮かばないけど、このゲームの主人公は小学生よ。少年釣り師といえば、釣りキチ三平などの傑作が多いわね。

釣りマンガは大抵、子供が想定読者になっているから、

の、釣りマンガ・サードエレメントがでてくるもの。
でも、このゲームにはそんな破天荒な点はほとんどないわ。わりとリアルな世界感ね。
だからといって地味かというと、全くそんな印象は受けないわね。むしろ派手な方だと思うわ。

で、何が派手にしているのか。
それは間違いなく、衝撃的なゲームシステムね。

まず、池に向かってスペースを押す。そうするとルアーがヒューンと飛んでいき、ルアーが自機になる。
それで、ルアーを操作しているうちにブラックバスに当たると、いきなりブラックバスとの肉弾戦になるわ。
そして、肉弾戦に勝利すると釣れるの。

このシステムのインパクトは素晴らしいと思うわ。

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シナリオの批評に行きましょう。

アタシが面白く思ったのは、先に上げたMoon Whistleと、Lost sheepと、そしてこのILLUSIONのノスタルジックさのスタンスの違いね。 多分、それぞれの作者さんの実年齢や社会的環境がにじみ出たんだと思うけど。
あくまでアタシの個人的な感想だけど、Lost sheepは、子供の世界。空想と現実をあまり区別せずに、ドラスティックに動いていく世界といった感じ。
対してMoon Whistleは、大人になっていく子供といった感じ。
夢から厳しい現実に徐々に引きずりこまれていくが、それでも夢は失わない。これはムンホイのテーマでもあるわね。

対してILLUSIONは、大人がふりかえった子供時代といった感じね。
哲学はあるし、ノスタルジーもあるけど、前二者に満ち満ちている「俺はこうするんだァァァ!!」というような凄まじさはないわ。

Lost sheepやムンホイの気迫は、おそらく作者の感情の暴走であり、だからこそ直接心に響くような凄みも兼ね備えていると思うの。
対してILLUSIONは非常に落ちついている。「イイなァ…」と万人に思わせる良さがあるけど、他ニ作と違って激情はないわね。
その辺が、当事者と経験者の違いというのかしら。なんかそんな感じがしたわ。
迷いや覚悟をぶつけた作品と、過去か空想を描いた作品。それぞれにそんな趣がある気がするの。
ちなみに、シナリオ自体はとても面白いわ。


総評としては、非常に良質のRPGであるし、オススメね。特に、ノスタルジックなゲームに目のない方は絶対プレイよ!

…あと、このネカマ文体、この間うっかり現実世界で使いかけたので、人生を投げる前に本日をもってネカマは終了します。
いや、むしろ一歩先に踏み込むのも…(嘘です)


(補足)
2016.04.17:DL先を変更。
2017.08:本作品は、現在ダウンロードできません。

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【 焦風 ~奥のほそ道~ 】

ジャンル [ RPG(チャイムズクエスト製作) ]
作者 [ 加藤 清志 さま ]
容量・圧縮形式 [ 2.41MB ]
ダウンロード ダウンロード不可

恐らく、相当なフリーソフト通でもこのゲームは知らないでしょう。
これはたった数年の間に歴史の闇に埋もれてしまった、幻の名作なのです。

知っているのは94年のログインの読者だけという幻の名作『焦風』。 このゲームは、当時ログイン誌上で『未確認クリエイターズ』という今のデジファミのようなコーナーをやっており、それのログイン大賞ツクール部門の第一席に見事輝いた、チャイムズクエスト作のRPGであります。当時あったソフト自動販売機の『TAKERU』で発売もされました。 ちなみに、かの『コープスパーティ』のKedwin氏もこの未確認クリエイターズに参加、『サバトの女王』で見事同じくログイン大賞ツクール部門第一席に輝いています。
余談ですがこのゲームはたまたま購入せず、今じゃTAKERU消滅に伴い入手が絶望的に困難になってしまいました。

しかたないので、ねこみみの主人公パフちゃんのぷりちーな姿を見ながら、TAKERUの販売元ブラザー工業の御冥福を祈っておきます。
ねこみみといえば、Kedwin氏が受賞のコメントで、『今回の作品でかなりからかわれたので、次回作ではネコ耳少女は出てきません』と書かれており、個人的には、この時さんざんっぱらからかわれた怨念が積もり積もってコープスパーティになったという『パフ仮説』を強く主張していきたいです。

ちなみにパフちゃん(8歳)はKedwin氏のホームページ等で今も大活躍しております。 8歳といえば、グランディアのスーもそうだという事を、西原さんファンの拙者としては言っていきたい。
それはそれとして、焦風はアマチュアのソフトの質が非常に高まってきた現在でも拙者が好きなソフトを10上げろといわれたら必ず入れる一本で、面白さも折り紙つき。もしこのページでレビューしても、Bランクは堅いのではないかと思います。

ゲーム内容に移りましょう。システム的にはオーソドックスなRPGですが、主人公がなんと松尾芭蕉。時代はもちろん江戸です。 そして特筆すべきは、武器が筆で、防具が紙ということ。RPGなのでもちろん戦闘はあるのですが、肉弾戦ではなく、『俳句を読んで感動させて戦闘不能にする』という前代未聞すぎる設定。
敵もイカしており、『くそガキ』とか『庄屋』とか『琵琶法師』とか、なぜ襲ってくるのか謎な人ばかり。
ストーリー的には、日光のほうに藤原氏の幽霊が出るからあんた退治してくれよと江戸のお偉いさんに頼まれた松尾芭蕉が、イヤがる弟子の河合曾良を叩き起こして連れて行くというもの。 カッとんでるライバルの井原西鶴など、史実をいい意味で完全に無視しており、非常に魅力的な仕上りといえます。
キャラも非常に立っているし、ストーリー展開も非常にしっかりしているし、なかなか感動的だしと、ストーリーのクオリティが非常に高いです。イベントシーンで挿入される手書きの一枚絵もいい味を出してます。

このゲームは、実は1500円もするシェアウェアで、今なら『フリーソフトで面白いのがこんだけあるんだから、いまさら1500円は高すぎるナリよ』などとしみったれた事を考えてしまうのですが、当時はパソ通(インターネットじゃないあたりが時代)をやっておらず、フリーソフトの存在も知らなかったため、1500円は安いと喜んで購入。今にして思えば、その無知さが却ってよかった。 そしてTAKERUのなが~いロード時間に耐えながら購入してきたわけです。懐かしい。

ちなみに当時の時代といえば、CPUが486が最新、ハードディスクも100メガで10万とかで『こりゃ安い!』と衝動買いしていた時代です。 まだPC98がシェアのほとんどを握っていましたし、CGのレンダリングにも一日かかってました。エロゲーも16色。 こう書いてみると、本当にたった6年前の出来事なのか? 20年くらい前じゃないのかという気がしてきます。
ログインも今とは誌風が違っており、いまでも当時のログイン臭を懐かしむ御人も多いでしょう。余談ですが、当時のログインで『ガビョ布』といえば、そのペンネームのインパクトもあいまって知らぬものはいない、読者コーナーの主みたいな存在でしたが、最近HPを発見したら、なんかえらくぷりち~な絵柄の18禁絵師になっておられて度肝を抜かれました。この6年で何があったのか… ちなみにあの文章力は今でも健在ですので、当時の読者はガビョ布さんのページにゴー!

焦風は、もう徹底してやりこみました。レベルも最高まで上がってますし、行き止まりの最終マップからバグを利用して無理矢理抜け出す技まで見つけました。 ほかにも別のゲームのディスクにさしかえてデータをロードする技とか、あらかたのことはやってみました。 そういった思いでも含めて、このゲームは『幻の名作』にふさわしいと思っております。というか、幻にしておくにはもったいないと思います。
ログイン大賞のソフトには、他にも『航海王』とか非常な名作が多いのですが、TAKERU消滅に伴い、先にも書いたように現在では入手は絶望的です。 ダンテ98のようにデータが公開されていれば、解析してエミュを作ったりする事も可能でしょうが、チャイムズはデータそのものの入手からして困難ですし、そもそもTAKERU側にもアスキー側にも、あまり復活させようという気も無いようです。 というのも、ログイン大賞の受賞ソフトはダンテ98で作成されたものも多いですし、それにチャイムズの作品もPC98ユーザーなら遊べるはずです。それにデータ公開を行えば、何らかの形で進歩があるかもしれません。それはあちらも承知しているはずなのです。
何か複雑な事情があるのかもしれませんが、それでもこのソフトは歴史に埋もれさせるには惜しいでしょう。カムバックログイン大賞&ソフコン!!


(補足)
2005.04:現在、Kedwin氏のHPは、http://www.gris2.com/に移っております。

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