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■ The Battle for Wesnoth

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作者 [ Mr. David White ほか多数の有志 ]
ジャンル [ シミュレーションRPG ]
容量・圧縮形式 [ 133.8MB・自己解凍EXE ]
言語 [ 英語, 日本語, etc... ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
参考リンク:The Battle for Wesnoth Wiki*
2010.03.07:現在の最新バージョンは、1.8(安定版)です。
2010.04.11:iPhone / iPod touch版が\600にて購入可能です。(紹介記事はこちら。

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レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 8 /10 10/10 105/120 B
ckck 8 /10 9 /10 10/10
赤松 弥太郎 9 /10 9 /10 8 /10
駄々甘 9 /10 9 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:10

混沌(カオス)の面白さ 秩序(ロウ)の面白さ

ハマリ度:8/10
(Ver.1.4.5時点で)13個ものキャンペーンシナリオ、それに加え、ネット対戦まで可能と言うボリュームの多彩さにまず圧倒される。
そのシナリオ自体も、チュートリアルを兼ねた簡単なシナリオから、SLGやり込み人間向け超高難度シナリオまで、バリエーション面でも多彩である。
ただ、日本語ローカライズが不十分であるのは、改善点として得点を引かざるを得ない。
直訳調の日本語訳はどうかって?もちろんとして評価を挙げている。
グラフィック:8/10
グラフィッカーも多彩である。1024×810の大画面で描かれたグラフィックは、まさに息を呑むレベルである。スクショではどうしても縮小せざるを得ないのが残念である。
ゲーム画面のドット絵キャラも、多彩なアニメーションで見せてくれるのが好印象。
ただ、一部のグラフィックが、和風ファンタジーを目指そうとしてバタ臭さが抜け切れてない点は、やはり海の向こうの作品なんだなぁ…と遠い目を浮かべてしまう。
サウンド:10/10
まさに、中世戦記とも言うべき、重厚で荘厳な調べのBGMは格別である。作業用BGMとしても十二分に活用できる。
また、バトル時のSEも迫力満点である。文句の付けようがない。

■ 混沌(カオス)の面白さ

本作「The Battle for Wesnoth」は、戦略SLGとして不釣り合いなほど不確定要素が多い作品です。
暗闇でも入っているんかと思うくらいに命中率が低い割に、いざ命中すると壊滅的な打撃を受けるギャンブル性の高いユニットの存在は、まだ序の口。様々な能力を持つユニットを「雇用」と言う形でバンバン雇い入れ、好みの編成で楽しむことができます。
もちろん、バンバン投入できるのには理由があり、戦闘を進めるたびにバンバンと消費されていきます。バランス自体が自軍ユニットの死を避けられないようになっているのです。
それら不確定要素がどう働いているかを見極め、場合によってはオートセーブをロードしてやり直すアドリブ性の高さが、Wesnothの楽しさの一つです。

■ 秩序(ロウ)の面白さ

しかし、Wesnothには、一手先から数十手先までを読み取り、マス一つ移動させるにも全神経を注ぐ、戦略SLGらしい厳しさ・楽しさも存分に詰まった作品です。
Wesnothの戦略において、ユニット個々の能力以上に物量が有効になります。マップ兵器がなく、隣接しないと攻撃できないというシステム上、敵を取り囲み、各個撃破を狙うのが攻略の基本になります。
特に、ユニットの特性の中には、複数で攻撃するとステータス強化と言う特殊能力を持ったキャラもいます。その意味でも、物量作戦は非常に有効なのです。
また、本作は、ユニットの雇用だけでなく、ユニットの育成も重要な位置を占めます。以前のシナリオで生き残ったキャラクターは、「召喚」を使って、ノーリスクで呼び出すことができます。経験値も継続されるため、より育てやすくなります。
特に、キャンペーン内に必ず登場するリーダーユニットは、育成をしておかないと、後になるにつれ辛い戦闘を強いられます。「死んだらゲームオーバー」と言うシステム上、あまり無茶はできませんが、死なない程度の育成も考えて、戦線に投入する必要があります。
もちろん、しっかり育てたキャラクターを失ってしまった場合は…リセットの出番ですね。

■ 中庸(ニュートラル)の面白さ

本作の一番の面白さは、刻々と変わる状況を、ユニットの特性に応じて自分有利に運ぶことです。味方ユニットの多くを占める人間は、属性が「秩序」。日の出ているときに能力上昇、反対に夜には能力が減少します。敵ユニットに多い「混沌」属性は、逆に夜間に強いキャラクターです。
その他にも、エルフは森で攻撃すると命中率アップ、マーマンは水中で強力になるなど、種族ごとで有効な地形が異なるのも特徴です。
とにかく、生き残るためには、自軍のユニット一つ一つについて細かく知る努力が必要です。そして、知れば知るほど、「Wesnoth」は楽しくなります。
是非、本作の壮大さ、緻密さを味わってください。まずはソロシナリオから、それに慣れたらネット対戦を、それでも足りなければ、自分で「Wesnoth」の歴史の一ページを作ってみる…そんな無限の広がりを見せる作品です。

 《 ckck 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:10

世界を動かすSLG

ハマリ度8/10
豊富な遊び方、良く練りこまれたシステム、親切な機能など、戦略SLGとしての完成度は抜群である。
ただ、キャラの台詞や地の文章が英文直訳型(一部未翻訳)であり、それがストーリーの面白さを削いでいることは否めない。
グラフィック9/10
世界観と合致したマップと、多彩で細やかなユニットがゲームを盛り立てている。
後は、ユニット移動時の滑るような動きが改善されれば満点だろうか。
サウンド10/10
数多く用意されたBGMは音質面でも非の打ち所がなく、プレイヤーを十二分に引き込んでなお余りある水準。
戦闘で効果音のみならずボイスまでもが入る点も高く評価したい。

凄いの来ました

各国プレイヤーとのオンライン対戦機能搭載追加キャンペーン続々配信マップ及びストーリーの自作も可
世界中のプログラマーが制作に参加し、対応言語数は驚愕の46

そんな、一体何社が開発した新作ゲームだと問い詰めたくなるような作品が、今月のイチオシフリーソフト『Battle for Wesnoth』です。

フリーならでは

かつて私は日記のネタがないときの逃げ道6のレビューにおいて、「フリーでなければ成立しない作品も存在する」といったことを書きました。商業ベースでは、どうしても作れないものがありますからね。
そして本作も、「フリー」という土壌を選んだからこそ、大きく育ったゲームの一本です。

ただし、そのベクトルは日(略)6のような逆走方向ではなく、市販の作品にどこまで迫れるかといったごくマトモなもの。
ぶっ飛んだギャグもなければ、不条理極まりない展開もなしです。

なら一体どこにフリーならではの特異があるんだとなりますと、オープンソース方式をとることで、誰でもプロジェクトに参加できる点に他なりません。
「皆で開発し合えば、とんでもないゲームが出来上がるんじゃないか?」
との初期案があったのかは分かりませんが、世界中から数え切れない人々が参加している現在、死ぬまで遊べかねない作品に仕上がっています。

中身もバッチリ

ゲームそのものは難度高めですが、プレイヤーへの配慮や親切さもフリゲ内ピカ一です。
チュートリアルは半ば当然のごとく存在し、キャンペーンによっては難易度を調整できる上、各ターンの開始時には上書きなしのオートセーブをやってくれるというきめ細かさ。
おかげでウッカリゲームを終了させても問題が無く、いつでも好きなターンに戻れますからね。私のようなヘッポコゲーマーにも優しい、至れり尽くせりの仕様といえるでしょう。

本格派を超えた先

戦略SLGを称する言葉して『本格派』というものがありますが、本作の完成度はその賞賛を凌駕するものがあると私は思っています。
言うなれば、これが『本物』ってヤツじゃないかな。と。

 《 赤松 弥太郎 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:8

ある日のビギナー戦譜

 「南部防衛戦」と「王位継承者」、2つの初心者向けシナリオをやっとクリアした私。そこに「Wesnothは対戦が本番だよ」の声が……なるほど。
 確かにその通り。用意されているキャンペーンをプレイするだけでは、本作の半分も楽しめていないと言えるでしょう。
 しかし、将棋にしろ麻雀にしろ格ゲーにしろ、対人戦にめっぽう弱いこの私。キャンペーンではセーブ & ロードを繰り返し、チキンプレイに徹していた私に、はたして勝機はあるのか !?
 えー、ということですが、諸般の事情により、ランダムマップでの対CPU戦の模様をお届けいたします。
 ……べ、別に友だちがいないわけじゃ無いんだから !(※1)

マップ設定画面  設定ですが、今回はランダムマップを初期設定のまま、一発決めで使用しました。
 ただし、霧と幕はONにしています。陣営もランダム、開始時刻もランダムとし、実際接触するまで相手がわからない、スリル溢れる設定にしています。
 対戦相手はデフォルトのAI、対戦条件はデフォルトのまま、ハンディキャップ無しでの対戦です。
 ……AIは決して賢くないので、負けたら恥ずかしいところ。
1ターン  いざ開戦 !
 リーダーは……罠猟者 ? ということは、ナルガン同盟か。(※2)初めて使う陣営だが、なんとかなるだろうか。
 有り金全部注ぎ込んで、虎の子のグリフォンライダー(※3)を整備。霧の中の戦いは情報が命。相手の陣営もわからない今回、敵よりも早く地勢を把握する必要がある。
 リーダーで近場の村を占領しつつ、4羽のグリフォンライダーを全方位に展開、ともかく遠くの村を目指して飛ぶ。占領漏れは後で占領できる。索敵範囲を広げることが序盤の最重要課題である。
5ターン・中央部  4ターン目、いよいよ敵が見える。……ドレークか(※4)。これは勝ったかもな。
 十分収入も確保できたところで、前線を形成する兵員を雇用する。と言っても、まだ相手の出方もわからないし、自陣営の使い方もよくわかってないので、まあ適当に。ドワーフの狂戦士(※5)を中心に、盗賊(※6)を多めに構成していく。好きなんですよ奇襲。「王位継承者」でも一番重用したのが盗賊だった。
9ターン・山の中の前線  6ターン目、南西部に滑空ドレーク(※7)が4匹出現。7ターン目、北部と西部でも相次いでグリフォンライダーと衝突。グリフォンライダーは拠点防衛のユニットではないのだから、ここはさっさと後退。
 そして8ターン目、南部の丘陵地帯で前線部隊と衝突、本格的な戦闘に突入する。
 この地点を突破されると、機動力のあるドレークのこと、本陣まで殺到されて試合終了だろう。あいにくこちらのリーダーの戦闘力は全く頼りにならない(※8)。絶対死守である。
10ターン・北部  10ターン目、北部で殿を務めたグリフォンライダーが焼き鳥になる。しかし運良く4匹もの滑空ドレークの足止めに成功したのだから、十分元は取れたと考える。
 これで北部からはひとまず撤退完了だが、すかさず新しいグリフォンライダーを雇用、密かに北部奪還に向かわせる。傷が癒えれば大方の滑空ドレイクは南部戦線に向かうだろうから、その隙を狙うというわけ。
 北部でねばり強く逃げ回ってくれたお陰で、収入にはだいぶ余裕が生じている。現時点でだいたい2/3の地域は占領できている。撤退に成功した3羽のグリフォンライダーは、早くも前線の裏にもぐり込み、西部の奪取に向かう構え。
14ターン・中部  12ターン目、南部戦線は大勢が決し、念願の熟練盗賊も育成できた。狂戦士を鉄砲玉に使える、潤沢な資金力がものを言った。前線は北へと漸進する。
 斥候は同時期、ドレークの切り札、ドレークの粉砕者(※9)を発見。逃げ足はこちらの方が速いので、攻撃される心配はとりあえず無いが……どうしたものか。手頃な山もそうそうあるわけが無く、前線をどこに作るべきか迷う。
 この時間帯は終始押され気味で、ミスも多い。回復中の狂戦士を無為に殺してしまったり、トカゲの占い師ならグリフォンライダーで倒せることを忘れて逃げ出したり。
18ターン・西部  15ターン目、新米グリフォンライダーが北部に到着、奪還作戦を開始する。
 前線は、北西部の山脈を挟んでの攻防になりつつある。この時はまったく気付かなかったのだが、この山を隔てて向こうはすぐ敵陣である。この山を占領されれば、敵軍はジ・エンドだったのだ。
 17ターン目、ついにドレークの粉砕者と接触。グリフォンライダー、熟練盗賊、何とか踏みとどまる。しかしこの時点になってもろくな対策は思いつかない。ならず者の投石で牽制しつつ、なんとか各個撃破を狙うが、犠牲が大きすぎる。グリフォンライダー、熟練盗賊が次々と撃破される。
19ターン・北西部  しかし、ここで敵に大悪手。山脈を越えてやって来た狂戦士に、大将火炎ドレーク自らが出陣してしまったのだ。
 仕留めたは良いものの、狂戦士を擁するナルガン同盟相手に、大将が前線に出るのは厳禁である。本陣に籠もってユニットを生産していれば、あと数ターン持ち堪えて戦線を立て直せたかもしれない。
 大将を殺すためなら、どんな犠牲だって惜しくはない。案の定、狂戦士の捨て身の攻撃の前に19ターンでゲームセット。
全体マップ  序盤でグリフォンライダーを四方に素速く展開でき、資金をふんだんに用意できたことが勝因になりました。
 敵軍は、序盤で滑空ドレークを一極集中したため、ジリ貧になっていったようです。

リプレイデータ(21.9KB・gzip)

◆日本は……まだまだこれから !

 対戦ができるようになれば、本作の半分程度は楽しめている、と言えるでしょう。
 残りの半分……それは、作る楽しみに他なりません。
 実は私も、今回のレビューで自作シナリオを披露しようか、とも検討していたのですが、生憎時間が取れず、断念せざるを得ませんでした。
 ドキュメントの日本語訳は無く、英語で書かれたマニュアルを読み解くだけでも時間がかかりました。シナリオ本体はWML(Wesnoth Makeup Language)というタグ型言語で記述するのですが、日本制のSLGエンジンでは駆逐型言語が多く、馴染みの薄い方式かもしれません。
 日本でのローカルシナリオ作成がより盛んになることを祈りつつ、評点に移ります。

ハマリ度 : 9 / 10
 シンプル・イズ・ベストを貫いたシステム設計。戦略SLGの根本、陣取りゲームの醍醐味を追求しており、洗練されている。
 公式12シナリオだけでもボリュームは十二分、ネット対戦も盛り上がっており、ローカルシナリオ作成も非常に盛んである……そう、英語圏では。
 日本語圏での環境が立ち後れていることは懸念材料。膨大なテキストを前に翻訳作業ははかどっておらず、たどたどしい直訳口調も散見される。腕に覚えのある方はぜひ、公式の日本語翻訳プロジェクトに名乗りを上げてほしい。
 また、シナリオ作成のための日本語の情報が極めて不足している。ファーレントゥーガくらい盛り上がってくると、だいぶ状況は好転すると思うのだが。今後の発展に期待を込め、この点数とした。
グラフィック : 9 / 10
 芸の細かいドット絵などは見ているだけでも楽しい。しかし、多人数による共同作業という性質上、統一感はない。特に顔絵などは絵師による画風の違いがはっきり出ている。
 最終的には複数の絵師からローカルで選べる形になればいい、とは思うものの、まだまだこれも発展途上の分野。こちらはそれほど英語力は必要にならないはずなので、日本語圏からの参加者も増えてほしいところ。
サウンド : 8 / 10
 プレイする分には曲数も十分、剣と魔法の世界にふさわしい壮麗な調べ。
 しかしシナリオ用素材として見ると、ジャンルがあまりに偏っている。端的に言おう。ギャグが足りない !

 現状でも十分すぎるクォリティを誇る作品です。
 しかし、それでもなお、Wesnothでの私たちの冒険は、まだまだ始まったばかりなのです。


<久々に蛇足>
(※1)哀れむような目で俺を見るなぁぁぁぁ
 実は激辛チャットにて対戦を呼びかけたのですが、事故で結局できなかったのです。
 もし対戦できていれば、駄々甘さん相手に無様に負ける私の戦譜がレビューを飾ったことでしょう。また機会があったらよろしくお願いします > 駄々甘さん、他皆様
(※2)ナルガン同盟 = ドワーフとゴロツキたち
 鈍足・高攻撃力のドワーフと安価・脆弱のゴロツキからなる陣営。
 索敵の花形グリフォンライダーと捨て身の最終兵器ドワーフの狂戦士が陣営のスター。ただし主戦力のドワーフはコストが高めで、展開が遅いので、中盤にかけて押し込まれると厳しい。地形適応上、山に前線を張りたいところだが、そう都合良く山があるわけでもない……今回はたまたま恵まれたが。
 戦い方が比較的分かりやすく、初心者向けの陣営、かもしれない。
(※3)グリフォンライダー
 全ユニット中トップクラスの移動能力を誇る、索敵の花形。攻撃力もバカにならず、孤立した魔法使いなどは格好の餌食となる。
 しかし、コストも全ユニット中トップクラス。極端に打たれ弱く、攻め込まれるとあっさり落ちてしまう。逃げ回りつつ敵をこちらの前線まで引きつける、隙を衝いて無防備な村を奪取する、といった役回り。序盤から終盤まで、大切に使っていきたいユニット。
(※4)ドレーク = トカゲの王国
 高額・高性能のドレークと安価・脆弱のトカゲ兵からなる陣営。
 パッと見、ナルガンに近いがクセの強さははるかに上。ドレークは確かに強力だが、数を揃えることが厳しいので頼りすぎると囲まれる。特に有利な地形がないのも痛い。トカゲ兵は比べて機動力が低いため、前線を作ることさえ一苦労。
 ドレークで素速く前線を切り替え、敵をかき回し、隙あらば敵の裏側に殺到するという、非常に高度な戦い方が要求される。間違いなく上級者向け。私も一度使ってみたが、お話にならなかった。
 CPUごときが御せる陣営ではない、とタカをくくっていたし、事実その通りだった。熟練者相手だったら完膚無きまでにたたきのめされていただろう。
(※5)ドワーフの狂戦士
 ナルガンの切り込み隊長。敵が死ぬか、自分が死ぬまで攻撃をやめないという、とんでもない特性を持つ。
 もちろん、手軽に鉄砲玉として使えるような価格ではない。回復させるときは素速く後方に下げないと、敵に絡まれて自爆してしまう。グリフォンライダーとこのユニットの使い方が、ナルガンの勝敗を分けると言っていい。
(※6)盗賊
 何もいいところのないユニットに見える。ただし奇襲、味方で挟み込む形で攻撃するとダメージが2倍になる特性のポテンシャルは、甘く見てはいけない。
 防御はひたすら回避頼みだが、ひとたび熟練盗賊にランクアップすれば、そこそこのHPと驚異的な殺傷力を手にし、夜間の戦局が一変する。ナルガンで最も安価なユニットなので、積極的に戦闘に参加して経験値を稼ぎたい。
(※7)滑空ドレーク
 ドレーク陣営の索敵ユニット。グリフォンライダーに並ぶ移動力、そこそこの格闘能力と飾り程度の射撃、そこそこの耐久力を持ち、お値段もドレークとしては安価といえど、そこそこ。一言で言って器用貧乏。
 集団で急襲されると脅威だが、CPUは退却も転進も考えていないせいで、簡単に前線に送り込まれて簡単に落とされてしまう。対人戦では戦線構築の鍵を握るユニット。
(※8)罠猟者
 射撃への不安はナルガン最大の悩み。ドワーフの銃撃兵は安定感がまるで無いし、密猟者はあまりに打たれ弱い。
 罠猟者は密猟者の上級職だが、打たれ弱さは相変わらず。弓の攻撃力はかなり上昇しているとはいえ、迂闊に打って出ればボコボコにされるだけ。もう1ランクアップすれば厄介なユニットになるが、対戦のデフォルト設定ではまずその姿を拝むことはないだろう。
 今回のプレイでは、射撃はならず者に担当してもらった。投石は信用できる攻撃手段ではないが、足が速い分すぐに増援できる。平地での回避60%のお陰で結構耐えてくれる点もありがたい。
(※9)ドレークの粉砕者
 その名に恥じぬ、格闘攻撃のエキスパート。レベル1としては掟破りの攻撃力を誇り、迂闊に手出しができない。回避できないとはいえ、十分過ぎるHPと耐性も持っている。
 射撃は全くできないので、なんとか足止めして魔法攻撃を食らわせるのがセオリーだが、あいにくこちらにはろくな射撃ユニットがない。盗賊とならず者の回避に期待して逃げ回ることになった次第。
 対人戦なら、編隊を組んで飛んでくるだけで、十分すぎるプレッシャーを与えることができるユニット。

 《 駄々甘 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:8

KonradよりLi'sarの方が好きだ。萌えるし。

今回私の大好きなストラテジーと言うことでやる気満々です。あ、上記の二名は王位継承者と言うキャンペーンとチュートリアルに登場するユニット(主人公格)です。
公式シナリオは一通りプレイし、アドオン(追加のシナリオやデータ)にも手を出しております。
が、相変わらずレビューはシステム面偏重なんですね。個々のシナリオのレビューまでし出すと長くなり過ぎると言うのもありますが・・・。

さて、では例の如くシステムの箇条書きと参ります。

まあターン制については今更説明の必要も無いでしょう。
また、各パラメータの表示位置やら数字の意味とか説明書的な事も省かせてもらいます。
後、スパーロボット大戦やファイアーエンブレム等、国産ストラテジーの多くはマップは四角のマス目で構成されますが、このゲームではマップは六角形のマス目で構成されます。六角形(ヘクス)で構成されるのでヘクス制と言うわけで。
また、このゲームはどんな攻撃でも攻撃するユニットに隣接しているユニットしか目標に出来ません。
ZOC、と言うのは…言葉自体の解説はウィキペディアに任せます。
このゲームでは、レベルが1以上のユニット(レベル0のユニットも存在します)は、周囲の1マスにZOCを持っています。
また、敵ユニットの居るマスは通過できません。

アライメントについてですが、各ユニットは必ず秩序、中立、混沌の何れかに属します。
例えば魔物やアンデッドの類、盗賊等は混沌に、その他の多くの人間やドレークは秩序に、エルフは中立に属しています。
念の為いっておきますが、秩序だから正義だとか、混沌だから悪いと言うことはありません。
もっとも、混沌に属するものの殆ど、反(人間)社会的である事も確かですが。
そして秩序のユニットは昼に、混沌のユニットは夜に力を増し、反対の時は力を減衰されてしまいます。朝夕にはどのアライメントも影響を受けず、中立のユニットはいつも時間の影響を受けません。
なので、より有利な時間に積極的に動く事が有利に繋がります。

地形効果について。各ユニットは個々に各地形から受ける影響が設定されています。
また、各ユニットは移動力を持っており、その地形を通過するのに必要な移動力も定められています。
地形には様々なものがあり、例えば平地では多くのユニットが40%の地形効果を得、また消費する移動力は1です。
飛んでいたり、浮かんでいたりすると考えられるユニットは殆どの地形で1しか移動力を消費せず、高い地形効果を受け取ります。しかし、ドレーク(翼がある。人間っぽいシルエットのドラゴンという感じの種族)は殆どの地形で低い効果しか得られません。
また、命中率は(100-攻撃を受ける側の地形効果)%で決定され、それは多くの場合40~60%です(勿論、より高い/低い地形効果を受け取る事もあります)。
なので、より有利な地形にユニットを配置したり、或は相手がより効果を得る地形を塞ぐように配置する事が有利だと言えます。

属性と耐性について。各ユニットは必ず一つ以上の攻撃手段を持ち、それらは格闘と投射いずれかの属性を持ち、また、火炎、冷気、斬撃、貫通、打撃、秘術の内どれか一つの属性を持ちます。
ユニットは攻撃された時に反撃しますが、格闘には格闘、投射には投射を持った攻撃でしか反撃でしません。ですので、相手のユニットが持たない、或はより弱い攻撃手段で攻撃することが有利になります。
また、各ユニットは火炎~秘術の属性に対して耐性が設定されています。これ等の内より弱い(マイナスの耐性もあります)耐性の攻撃で攻撃することが有利です。

追記:旧いバージョン(といっても変更がなされたバージョンはついこの間に出たところですが)では秘術は神聖となっていました。多くの解説サイトは旧いバージョンの時に作られ、変更がなされていない為神聖と表記されています。

このゲームでは一部のユニットを除いて全てのユニットが特性を持っています。
例えばアンデッドは必ずアンデッドという特性を持っています。
これ等は一部のステータスを増減したり、或は自動的に行われる特別な動作(隣接ユニットの回復など)の能力をユニットに持たせます。
アンデッドや特殊なユニットを除けば、ユニットが初めて出現した時に二つの特性を持たされます。(特性は必ず有利なものです。)
また、この時には付加されない、ユニットの種類によって更に追加される特性もあります。(前述の回復など)
また、一部の攻撃には特殊な効果が付きます。例えば攻撃した相手を毒状態(毎ターンHPに8ポイントのダメージ。因みに多くのユニットのHPは30~50というところです)にしたり、与えたダメージの半分の自分のHPを回復する吸収などがあります。
今のところ、公式に採用されているユニットが持っていないものもあるようです。
ただ、単純により威力の高い攻撃が優秀とみなされる傾向はあります。
毒で数ターン掛けて倒すより、1ターンの攻撃で止めをさせる方が確かに有利だからです。

このゲームではリーダーユニットと呼ばれる、特別なユニット(多くの場合、リーダーユニットが倒れることは敗北を意味します)が最初に配置されています。
そのユニットが主塔と書かれる地形に入っている時に、他のユニットを雇用できます。
リーダーユニットと、どのユニットを雇用できるかはシナリオによって決定されます。また、マルチプレイでは、リーダー毎に雇用可能なユニットが決められています。
マルチプレイで選べるリーダーは時代というデータによって決定されます。デフォルトで用意されている時代もありますが、アドオンにも幾つか時代があり、また、もちろん自作することも可能です。
召喚とは、キャンペーンという複数のシナリオを連続して遊ぶゲーム(デフォルトでも10を超えるキャンペーンが収録されています)をする時に、以前のシナリオで雇用し、成長させたりしたユニットを呼び出せるシステムです。
これは、あくまでそのキャンペーンのシナリオ中のみで、別のキャンペーンやマルチプレイに持ち越すことは出来ません。
また、マルチプレイでもアドオンで追加される連続して勝負するマップ等で、前の勝負で生き残ったユニットを召喚可能なマップなどもあります。
また、雇用や召喚は主塔と連続して配置されている城地形にしか行えません。ですので、一度に呼べるユニットには制限があります。
また、これ以外にイベントで追加されるユニットもいます。

雇用や召喚を行うには勿論費用が必要です。ユニットを雇用するにも召喚するにもアンデッドを立ち上がらせるのにも(システム的には雇用)必要なものは金、資金です。
これは、最初から幾許か持っていますが、村地形に自軍のユニットを配置することでその村を支配し、支配した村の数によって毎ターン入る収入によっても得られます。
また、各ユニットはレベルに比例した維持費を要求しますが(資金がマイナスになっても解雇されたりはしません。意外と忠義な連中ですな。)村一つにつき、一ユニットの維持費を(収入とは別に)持ってくれます。
また、村では多くの徒歩ユニットが高い効果を得られ、また、村の上で次のターンを迎えたユニットは8HPを回復しますので、多くの村を得ることが有利になります。

ユニットにはレベル(以下Lvと表記)があります。
勿論、Lvが高いユニットほど強力だということです。
また、ユニットは経験値を得てLvが上がるとクラスチェンジしてより強力なユニットになります。
例えば槍兵(Lv1)→投槍兵(Lv2)などです。
もうそれ以上上位のユニットが無いというところまで成長したユニットが必要な経験値を得ると、レベルは上がりませんが、HPが成長します。
これはクラスチェンジに比べると効率が悪いので、満遍なくユニットを育てるのが有利だと言えるでしょう。
多くのユニットはLv3まで、一部Lv2か4まで成長します。
また、Lv4のユニットには単独の(Lvアップによって出現することが無い)ユニットも存在します。

このゲームにはシナリオという一つのマップでのゲームと、それを連続して行うキャンペーン、多人数(自分以外AI制御、でもいいですが…)マルチプレイがあります。
マルチプレイでは、最小二人用のマップで、9人とかいうマップも存在します。
また、多人数で競うものから、次々湧いてくる敵を協力して倒したり、アドオンには協力してダンジョンを攻略する(一人でやった方が良い気もするけれど)マップなんかもあります。
ネット対戦用の公式サーバーもあり、初心者用のキャンペーン(二人の兄弟、南部防衛隊、王位継承者あたり)を一通りプレイしたら、顔を出して対戦してみるのもいいだろう。
その際礼儀は守る事、また、ほぼ日本人ではないので、とりあえず英語。(イタリア語とかスペイン語とかドイツ語とか色々出来た方がいいが、一応簡単な英語なら理解してくれることを期待できる。)
プレイヤーのレベルはピンキリですが、対人戦はキャンペーンとは違った楽しさがあります。
今のところ、公式の時代で設定されている陣営はそれぞれ特徴がありますので、得意な陣営を見つけて色々戦術を研究するのも楽しいです。

最後に、公式キャンペーンでオススメのモノを書いておきます。 ます、このゲームがはじめての人はキャンペーンでなくチュートリアルをプレイしましょう。基本的な戦術を理解できるはずです。 それが終わったら、二人の兄弟と南部防衛隊をプレイすることをオススメします。 これ等は5シナリオ程度で構成される短いキャンペーンで、難易度も初心者向けです。 そのあと王位継承者をプレイしましょう。チュートリアルに使われているキャラクターが主人公で、25シナリオで構成される長いキャンペーンです。 適度な難易度で楽しませてくれる事と思います。 そのほかに多くのキャンペーンがあり、王位継承者では敵であったオーク族や死霊魔術師が主人公のキャンペーンもあります。


ハマリ度:9/10
もう、こういうゲームは大好きなのです。 あんまり強くは無いんですが…偉そうな事をのたまっておいてボロ負けした、という赤っ恥を書いたこともありますし。 兎も角、大好きなのです。世界観も良いし。
グラフィック:9/10
この手のドット絵は大好物です! 幾つかのユニットに設定されているバストアップ絵は、もっとこうマジック・ザ・ギャザリング風な絵がいいなあと思わないでもないですが。
サウンド:8/10
特に文句は無いです。ただ、これの評価は個々のキャンペーンのBGMは含んでいなかったりしますが。 まあ、最悪差し替える事が可能なので…。

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