■ 三代目レビュー アドベンチャー 18 | ||||
事件現場は 『空っぽの部屋』 |
村人ノ家 |
ジャンル [ ポイントクリック式脱出ゲーム ] 作者 [ Sherlock さま ] 容量・圧縮形式 [ 176MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ ティラノビルダー ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 此処は何処? ワタシはダレ?
「主人公」は『空っぽの部屋』で目覚める。東西南北および天井までも、白い壁以外何もない部屋である。
この場所も、自分のことも、何一つ覚えていない「主人公」。訳も分からず部屋を見渡すしかやることが無い。
しかし、その『空っぽの部屋』は、視点を変えるたび、仕掛けを解くたび、様々に変わっていく。いつの間にか置かれた青いバラの花束、そして、かの「探偵バッチ」を拾ったその瞬間から…。
今まで迷える探偵 を救ってきたSherlockは、とある事件で行方不明。「主人公」は己の頭脳と探偵バッチのみで、この『空っぽの部屋』から脱出しなければならない。
自身を監禁した「犯人」の魔の手が、この身に迫っているのだから…。本作は、「AMN(N)ESIA」「ASY(I)LUM」、そして「DISCOLO(U)R」から続くSherlockシリーズの最新作。
「精神世界」を舞台とした脱出ゲームだけに、ステージが様々に、不可思議に変化していく当シリーズでしたが、本作ではその「不可思議に変化する」ステージをクローズドかつシンプルにまとめた作品になっています。
本作のステージは『何も無い』メイン部屋+αとシンプル。ただし、右往左往する中で変化していく『謎』は、相変わらずの高難易度です。
特に序盤の『本当に何も無い』場面が最大の難所。『変化する条件』が分かりにくいためです。しばらく回転しないと変化しない場所、何度も調べないと変化しない場所、そういう「時間を置くしか解決方法が無い」フラグが多数あるのです。
右往左往しているうちに出てきた『何か』が提示する謎も相変わらずの高難易度です。ステージサイズ自体は小規模ながら、同じ場所を何度も往復する必要があります。序盤から終盤まで何度も登場する『青いバラ』など、複数の謎が仕掛けられた『何か』も数多く出てきます。そんな中で役に立つのが、シリーズお馴染みの「探偵バッチ」。レベル1の簡単な指針から、そのものズバリの回答まで、数段階に分かれたヒントをアドバイスしてもらえるシステムです。
本作の謎解きは、手順が短めで1つずつ発生する分、覚えることが少なくなり前作より解きやすいですが、「回答の切欠」を得るための閃きは、相変わらず高いレベルを求められます。
序盤の『何もない』状態から、何周すれば『何か』が出てくるのか…謎を解いてもずっと居座っている『何か』に他のヒントが隠されているのか…探偵バッチに頼るにしても「右往左往する他ない」出現条件も数多くあります。そして、本作および本シリーズ最大の「謎」にして最大の仕掛けである「主人公」。「【重要】ギミック・ストーリーのネタバレ公開投稿(及びそれに等しい行為)はご遠慮下さい。」と注意書きするレベルの「謎」が秘められています。
ストーリーを進めるたびに揺らいでいく「主人公の正体」を推理しながら、本作の「謎」を隅から隅まで解き明かしてください。
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ジャンル [ 和風探索ホラー ] 作者 [ 神波裕太 さま(たぶんおそらくきっと) ] 容量・圧縮形式 [ 191MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 失敗した家族への救済
怪異あふれる日ノ本を護る「裏生徒会」と呼ばれる組織…そこでは多数のエージェントが働いていた。そして、彼らが奔走する「現場」も数多く…。そして、ある「現場」で問題が発生する。
そこは「家」と言う小規模な異界。「村人の家」と呼ばれ心霊スポットとなっていた空き家である。最近になって行方不明者が相次ぐこの家に調査に向かったエージェント、彼もまたこの家に捕らわれてしまう。
事態の解決のためには、より「強力」なエージェントが必要と選別されたのが、シリーズ主役コンビ・籤中 一 と畏磨 鎮 。今まで解決してきた「村」と比べて小規模ではあるものの、そこには確かに「堕ちた神」がいた。両目と両足を潰された少女の姿をした…。
不気味に「村人です」と繰り返す遺体。閉ざされた「家」の中で餓え、狂っていく犠牲者たち。そして、この「家」の主であるはずの4人家族…。
果たして、この「家」に巣食う「堕ちた神」の正体は…生きて脱出するためには、その正体を全て解き明かさなくてはならない。本作は、「
逆理豊授ノ逆贄 」「捨食ノ巫女 」から続く「陰惨な村の凄惨な儀式が失敗した系」シリーズの第3作。
舞台の広さは限定的になったものの、その中で繰り広げられる「凄惨」、それを解決するための「関門」は前2作に勝るとも劣りません。
基本的に、「関門」の解き方はゲームファイルに同梱された「攻略.txt」を見れば分かる仕掛けになっています。そのため、詰まる箇所は無いでしょう…と言いたいところですが、「攻略.txt」に記載された情報では解けない箇所が出てくる可能性があります。
それが、マップの一つである「シューズクローゼット」の位置。以前の「逆理豊授ノ逆贄」でも指摘した「マップの入り口として示された矢印が埋没して見づらい」という問題が、今作にも存在します。
今作ではキャラを大きめにし、移動の矢印を青色にするなど見やすさへの対処を取っていますが、それでも「陰惨ホラーゆえの画面の暗さ」が原因で見落とされがちな入り口や調査箇所が存在します。
見落とされがちな「シューズクローゼット」は、玄関土間から左手方向にある矢印から入ります。玄関土間が青系のグレーであるがゆえに、青い矢印は埋没してしまいます。コントラストを上げた状態(すぐ上にある3番目の図)でもかなり見ずらく、実際のゲーム画面では本当に見えません。
これが「序盤の謎解きを解いて明るくした」状態のマップです。…えっ? 「序盤はこれよりもっと暗いのか?」ですって!? 『狭い懐中電灯の光以外は完全な暗黒。操作キャラの姿すらほとんど見えない』『オープニング(上から2番目の図)と同じ状態で調査しなければいけない』と言っておきましょう。
そのためにも、部屋を明るくする謎解きを解けるよう、壁を頼りに邁進し、乏しい光に照らされたメモや家具を隈なく調べてください。暗黒の序盤で出現する「黒い炎」も、実質的には壁です。うっかり触れても死んだりはしないので、その点だけはご安心を。見づらい一部マップに気を付ければ、本作も難易度は高くはありません…と言いたいところですが、それは「攻略.txt」に頼った場合。
ゲーム内情報では「何処を解くカギ」か分からないアイテムが数多く存在します。しかも、一部のアイテムは「対象の特定方向に立ったうえでメニューから使用しないと動作しない」仕様になっています。
ほとんどは「攻略.txt」に記載されていますが、なぜか車庫の大型ボックスが「2マスある左側でカギを使わないと開けてくれない。右側だと『ここで使うものではない』と表示される」仕様になっています。
私の初見プレイでこの仕打ちを味わい、「ここ以外に開けられそうな場所はないのに!? まだ発見してないのか!?」と思い、散々歩き回った末に「攻略.txt」に頼らざるを得ませんでした。
※ 2024.12.01現在のバージョン1.0での仕様。バージョンアップで修正される可能性あり。マップの暗さは、謎解き上は見落としが多発する難点ですが、ホラー上は雰囲気を否応なしに盛り上げる必須の要素です。
本作も、薄暗い舞台で繰り広げられる凄惨な「人の業」をたんまりと味わえる、「たぶんおそらくきっと」ならではの傑作ホラーとなっています。
本作でも、「ホラー探索」にどっぷりと没入し、不気味な「真相」を探り出してください。次の行き先に迷って没入から覚めることの無きよう、「攻略.txt」に適宜頼っていきましょう。