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■ 不屈のスペラ

不屈のスペラ
作者 [ テイク さま ]
ジャンル [ RPG×TCG×デッキ構築×ローグライク ]
容量・圧縮形式 [ 139MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

不屈のスペラ 不屈のスペラ 不屈のスペラ 不屈のスペラ 不屈のスペラ 不屈のスペラ

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 9 /10 9 /10 50/60 B
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 7 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9

「不屈」…その二つ名は、字面以上に重い。

本日のイチオシ作品、「不屈のスペラ」は手軽に楽しめるローグライクカードゲームです。少なくとも、以前に取り上げた「ローグライクVida」「脳筋魔法使いは進学したい」と比べれば、大幅にカジュアルかつ分かりやすい難易度に仕上がっています。
それでも、「ローグライク+カードゲーム」というだけあって覚えることは膨大。数多あるシステムやカード性能をSTORY→NORMAL→HARDの順にプレイして学ぶ仕組みになっています。

不屈のスペラ しかし、STORY→NORMAL→HARDのシステムはほぼ別ゲー。STORYでは一本道だったフィールドは、NORMALでいきなり3つの分かれ道に。おまけに、戦いに敗北してやり直すごとに、HP強化+レアカードを1枚だけ持ち越しというボーナスが獲得できます。
いつかはクリアできる仕掛けになっており、事実、私も初見から2周でクリアできました。
そのままの勢いでHARDに進むと、とんでもない洗礼が待っています! なんと周回強化要素がいきなりオミット!!
そう、【攻略】フローナからのアドバイス.htmlの最後の章「周回」で丸々説明していた要素、実はNORMALのみの要素なのです!
HARDで負けた場合、最初の状態からやり直しとなり、一切の持越しはできません。すなわち、最初から道中まで、運と経験のみを頼りに突き進むという、NORMALとは天地の差の高難易度となります。

不屈のスペラ 不屈のスペラ

そう、HARDでは、最初の精霊選びから慎重な選択が必要です。
例えば、「状態異常が、スペラは治癒しやすくなり、敵側は治癒しにくくなる」特性を持つサラマンダー。状態異常の強力さを理解したばかりのNORMALではかなり役立ち、最初のNORMALクリア時のパートナーもサラマンダーでした。
彼女を選んだ際に手に入るSSRの性能は「敵にかかった状態異常の数×50のダメージを全体に与える」。タイミングを合わせれば(HP満タンでも)150のダメージ。大抵の敵は倒せる威力です。
しかし、「状態異常を与えるカード」を持っていないと無用の長物。特に、序盤も序盤のコモンカードしかデッキにない状態では、サラマンダーは全く役に立ちません。R, SRを手に入れる際にも、状態異常を与えられるものを序盤から厳選して確保・合成する必要があります。
逆に、一度に複数の状態異常を与えられるカースオールからサラマンダーを1ターンで出せるようになると、無類の力を発揮します(ターンエンドを挟むと、回復される可能性がある)。2枚のコストが9なので、長期戦では普通に視野に入るコンボです。ドライアド(初期MP上昇)やバンシー(高コストカードのコスト-2)と組み合わせれば、バトル中盤から使える無法と化します。

ちなみに、各精霊の特性は、道中のイベントでの強化も視野に入れる必要があります。イベントマス(オレンジの吹き出し)はどれも(上手く使えば)スペラを大幅に強化してくれるイベントばかりです。
特に、精霊の強化は「SSRカードを1枚捨てて、特性を大幅強化」というとんでもないイベント。ただでさえ強力なバフが更に強化されたり、まるっきり特性が変わったりと、どれもSSRカード1枚の犠牲では安すぎるほどに強力です。
実績の中には「イベント・ショップ・回復のうち、いずれかを全く踏まずにクリア」というものもあり、「ショップ・回復を踏まずにクリアするため、イベントをしっかり踏む」という作戦組み立ても必要となります。

不屈のスペラ 不屈のスペラ

さて、本作で最重要となるデッキ組み立て、実は1つだけ難点があります。「手に入れたカードをキャンセルする方法が無い」点です。
「デッキ内のカードにコモンが無い場合、デッキ20枚の中から1つを入れ替える」仕様がありますが、この画面左下にある「手に入れたカード」をクリックしても「手に入れたカード」を捨てられません。右クリックでのキャンセルも効きません。必ず「20枚のデッキ中の1枚」を捨てなければいけないのです。
ショップ・イベントならば、デッキを確認してから「もらわない」という選択肢がありますが、戦闘報酬のカードはどれか1枚を必ず取得しなければいけません。
この点、【攻略】フローナからのアドバイス.htmlにも、「新カードは必ず入手となります。入手したカードをその場で捨てることはできないのですよ」と明言されています。すなわち修正する予定は無いということです。
デッキが埋まった際には、より慎重な立ち回りが必要となります。「デッキを特定のレア(SR以下・R以下・SR以上)で埋める」実績を目指すなら尚更です。

本作も、ローグライクらしい「死を積んで学び、より高みを目指す」仕組みが考え抜かれたゲームとなっています。しかも、より簡単に、より分かりやすく「死を積む学習」のループを重ねられる(ローグライクにしては)カジュアルな難易度となっています。
初めに選択した精霊とシナジーのあるカードは…(これも、「状態異常を重ねると強い」サラマンダーが一番わかりやすい)
今の状態で中ボスに挑戦するか、それとも、回復を選ぶか…
HP満タンだと、むしろ火力的に不利なので、どこ(戦闘 or ショップ)でHPを減らすか…
コモンカードはマジでゴミなので、どこ(戦闘 or ショップ)でデッキを充実させるか…
様々な攻略法を、最初・道中・そしてゲームオーバー後に学べます。
しかし、あくまで難易度がカジュアルなのは「ローグライクの中」でのみ。かなりの死を積む高難易度であることは、心しておくように。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:7

昨日を超えていけ 世界を変えていけ

 Normalモードまでなら、誰でもクリアできると思うんですよ。
 リトライするほどHPが増えるし、Storyモードという名のチュートリアルもきちんと作ってあります。
 一度に色々言われても憶えられないとは思いますが、おそらくはNormalモードをクリアする頃には身についているはずです。

 問題は、周回ボーナスが一切ないHardモードですよね。運任せのゴリ押しではどうにもなりません。
 Normalモードで詰まっている人も含め、本作攻略の勘所を押さえていきましょうか。

◆カードの種類とデッキ構築

 最初に、本作のデッキは20枚しかありません。
 20枚使い切った時点で敗北となるので、20枚で倒しきれるようなデッキを構築するのが大前提です。

 思い通りにはいかないランダム性の強いカード入手で、取捨選択し、できる範囲でデッキを偏らせていくわけですが。
 まずは、どんなカードがあるのか把握しましょうか。
 カード図鑑で全85種のカードが確認できますが、おおよその傾向を把握していれば、初見でも戸惑うことは少ないはずです。

ドローソース

 通常、カードはターン終了時に1枚しか引けません。
 ほとんどのデッキは1ターン1枚消費では収まりませんから、手札不足は解消しなければならない課題ではあるのですが。
 繰り返しますが、本作のデッキは20枚しかありません。ドローソースを入れすぎると火力不足に陥ります。
 特に、「ワンドロー」「スカルドロー」「リロード」などの純粋なドローカードは、デッキに1枚もあれば十分でしょう。
 攻撃効果があったとしても、ドロー効果があるカードは、えてして消費に対して性能が低めなことは憶えておきましょう。

回復

 ついつい欲しくなる気持ちはわかりますが、これまた入れすぎると火力不足になりかねません。
 そもそもHP回復自体が、攻撃倍率が下がるというデメリットを含んでいますからね。
 「天の恵み」「エンジェルティア」「天の加護」などは、コストパフォーマンスやデッキを1枠消費する観点から見ても、採用をためらうカードです。
 回復だけなら、イベントや回復マス等の選択肢もありますし、ザコ戦(青マス)では、戦闘終了後回復で消耗分はカバーできているはずです。

 例外として、自傷効果と抱き合わせの回復カードは強力な場合が多く、積極的に採用できます。
 「天の声」がわかりやすいですね。HP500未満で使用すれば、HP100回復の効果だけが残ります。
 「グングニル」は、HP300未満の時、超火力の攻撃+HP300回復という破格の効果を誇ります。コスト7でも安いと感じられるでしょう。
 無論、デッキや精霊との相性はありますが、自傷という字面だけで忌避するのはもったいないですよ。

状態異常付与

 本作のキーとも言えるのが、この状態異常です。
 厄介さは大まかにマヒ>火傷>毒の順で、これは自分が付与されたときも、敵に付与するときも大きくは変わりません。
 マヒによるダメージ2倍は深刻な脅威である一方、こちらが利用できれば一気に大火力が狙えるチャンス。ロマンがあります。

 状態異常カードには2種類あって、1つは単純に状態異常を付与するもの。
 もう1つは、敵が状態異常の時ダメージが上昇するものです。
 後者はダメージに対してコストが高めなカードが多く、是非ともコンボして有効活用したいところですが、コストの高さ故になかなか狙えません。
 ここは店での合成活用も積極的に検討しましょう。
 「ドラゴンファイア」「ゴッドサンダー」などの3回攻撃カードなら、2発以上同じ敵に当たれば自然とコンボになるので、その点でも取り回しがいいカードです。

 自分の状態異常を治すことも重要ではあるのですが、「心の休息」みたいな純粋な回復カードを入れる隙間がないのは、先程説明したとおり。
 「カースクロック」「呪詛返し」「未来からの報復」等のプラスアルファは欲しいところです。
 いずれにせよ、自分が状態異常になる度に治療していたら手数が足りないので、ある程度はリスクを許容していく必要があります。
 自分に状態異常がかかる「エクスカリバー」「スカルドロー」等は、既にその状態異常にかかっているならノーリスクで使用でき、非常に強力です。

 基本はこの3要素 + 火力の組み合わせで判断していきます。
 どの要素も持っていない、純粋に攻撃だけのカードもありますが、そんなカードはコスト相応の効果でしかありません。わざわざ紹介することもないでしょう。

◆精霊別の戦法

 戦闘の味付けを大きく変えるのが、最初の精霊選択です。
 個性豊かな精霊の特殊能力によって、目指すべきデッキが大きく変化します。
 どの精霊も、使って1, 2週すればクセが把握できるとは思いますが、まとめてみましょう。

ノーム

シルフ

サラマンダー

ウンディーネ

ケット・シー

ドライアド

バンシー

 もし対人戦があったらバランス考えてるのかとツッコまざるを得ないところですが、幸い他人と競う要素はありませんので……。
 しかしこうなると、Normalモードクリアは(ノーム以外の)全精霊同じくらいの難易度ですけど、Hardモードをクリアしたいだけならバンシー一択ですな。

◆ルート選択

 Storyモードはよくできたチュートリアルですが、唯一体験できないのがルート選択です。
 まあルート選択をチュートリアルに入れると煩雑になるから仕方の無いところですが、やっぱりチュートリアルの段階で体験しておきたいところではありました。

 基本的な優先度は、中ボス(赤)マス≧イベントマス≧店マス≧回復マス≧ザコ(青)マスの順でしょうか。
 特に赤マスはできる限り踏めというのは肝に銘じてください。リスクを取らないと強くなれません。
 作中で言及されているとおり、HP500(ウンディーネの場合は250)というのが1つの目安で、それ以上のHPがあるなら、おそらくは中ボスに勝てます。最序盤はもう少し欲しいかな?
 店に寄ったり、連戦で消耗してHPが確保できない場合には、回復マスなりイベントマスなり、もしくはザコ戦マスで回復を図りましょう。
 ウンディーネの場合、回復マスよりザコ戦マスの方が回復しやすく、リターンも大きいのは先程述べたとおりです。

 イベントは、まあ3週くらいすれば、どんなイベントがあるのか大まかに把握できると思います。
 カード入手、交換、HPMAXや攻撃倍率強化、そして神殿での精霊強化等々、様々なイベントがありますが、ほとんどがHP回復との二択です。
 ボス戦手前や店前後、HPが足りない局面等々で回復したいときは、涙を呑んでHP回復の方を選ぶこともあるでしょう。

 店についても作中色々なヒントがありますが、やはり合成のタイミングが1つのポイントですね。
 中盤までは、2枚くらいカードが重複しようがカードを揃えるべきなんですが、全部レア以上のカードで埋まったら捨てるよりは合成した方がお得になるわけです。
 店以外では、ランダムイベントでランダムな1枚を合成できるだけなので、合成のためには店を積極的に利用したいところです。
 ただ、単純なカード購入については、赤マスで戦闘した方が期待値は高いので、あまり頻繁に利用するものでは無いと思います。

 あとは、ボス戦マスが見えてきたら、回復できるルートを選んで全快を目指す、くらいかな?
 間に合わなさそうならウンディーネに頼る、とかの話ももうしてますね。
 ここまでの内容で、おそらくはHardモードもクリアできると思われます。

 そこから、さらに全実績取得となると、根気の問題が出てきますが。
 評点していきます。

ハマリ度 : 8 / 10
 システムの基本はわかりやすい上、「ターン毎に増えるMP」「攻撃倍率」「状態異常」等のRPG的なフックもちりばめられていて楽しめる。
 バランスもローグライクとして良好、慣れれば1プレイ1時間強で一周できるし、中断セーブもある。ノームについては弄ったが、極端に弱いというわけでもない。バンシーの強さは1つ抜けているが、それも救済措置と言える。
 精霊毎の個性はあるものの、やはり戦闘それ自体が極端に変わるわけではない、というのが実績コンプリートまでを考えたときの難点。1プレイ当たりの戦闘回数が多い分、飽きも早い。Hardモードでなかなか成果が出ないとプレイから遠ざかりがち。焦らずちびちび進めるのが吉。
グラフィック : 8 / 10
 立ち絵等のキャラ絵は描き下ろし、ポージングにやや不自然さがあるが、可愛らしくわかりやすい仕上がり。
 カード絵の視認性も良い。おそらくは絵から効果を決めていると思われるが、氷属性っぽい見た目に対してマヒが有ったり無かったりするのが戸惑う。UIも、山札・捨て札表示等、押せるところと押せないところの区別が今ひとつよくわからない。
サウンド : 7 / 10
 クラシック曲を多用するのは結構だが、ループ開始位置の設定が一切されていないため、ループが非常に不自然。長く聞くことも多い場面で、聞き慣れた曲がぶつ切りにされるのは気に触る。

 実績クリア報酬としての温泉絵、というのはよくやる手法ではありますが、実際に実績コンプするとなると、まあ大変。
 べ、別に温泉絵になんか興味無いんだから! というあなたも、もし実績コンプクリアまでやり込んだなら、間違いなくそれは本作への愛情と言えるでしょう。

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