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■ アンブレード戦記

ステージ1 開始時
作者 [ uepom さま(ヒコシマブレイク) ]
ジャンル [ 横スクロールアクション ]
容量・圧縮形式 [ 18MB・LZH ]
製作ツール [ Multimedia Fusion 2 ]
ダウンロード ダウンロード先

オープニング ステージ1 ボス戦 ステージ2 開幕 ステージ2 クリア後 ステージ4

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 9 /10 10/10 54/60 A
赤松弥太郎 9 /10 9 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:10

伝説の剣・御霊杓子(みたまじゃくし)! その刃は全てを切り裂く…のは難しい。

今回のイチオシ「アンブレード戦記」は、「冒険野郎」でその名を馳せたuepom氏が放ったジャンプアクションです。
uepom氏自らが作り上げたドット絵・マッコイ氏作曲のBGM群が、プレイ時のテンションを否応にも増してくれます。特に、最初のステージ「戦火の街」では、演出面の盛り上がりもあって、まさに神曲!
システム自体で特筆すべきは、傘型近接兵器「御霊杓子(みたまじゃくし)」の使い方。剣にも盾にもなる万能兵器である上に、上に広げれば、パラシュート代わりにもなります。
プレイヤー・イヌイは、この「御霊杓子」一本を携え、漆黒党が仕掛ける数々の罠と秘密兵器を潜り抜けることになります。

…で、問題は、この「御霊杓子」のクセをどう利用するか…です。「御霊杓子」は剣にも盾にもなる万能兵器ですが、最強ではありません。欠点だって多くあります。

(1) リーチの短さ
「御霊杓子」のリーチは、イヌイの身長程度しかありません。「剣」としては長めのリーチですが、ジャンプアクションの主人公が持つ唯一の武器としては、あまりに頼りありません。
対して、漆黒党の皆様は、マシンガン・ブーメラン・グレネードと最新兵器揃い踏み。このリーチの長い敵に対し、いかに隙を突いて近づくか…。「騎士」と言うよりも「忍者」か「暗殺者」と言った方が適切な、静と動の使い分けが必要になります。
そのリーチを補うはずの特殊武器ですが、(設置位置から)横に長いリーチを持つのは、下手すりゃイヌイ自身が先に死ぬ「殲滅爆弾」のみ。しかも、ほとんどの場所で出現するアイテムはランダムなので、頼れる物が出るかは、まさに運次第。
(2) 防御までのタイムラグ
「御霊杓子」は、攻撃ボタンを押しっぱなしにすることで「突き→シールド」の順で展開されます。一旦発動すれば、前面もしくは頭上の攻撃を防御できる優れもののシールドです。しかし問題は、攻撃ボタンを押してからシールド展開まで、たっぷり1秒近く掛かる点です。
マシンガン相手では、相手が狙いをつけてからシールド展開しないと、まず間に合いません。ブーメランだと、相手の行動も見てからでは、絶対に間に合いません。
そのため、攻撃の先読みが重要になります。相手の行動パターンを読んで、あらかじめ適切な場所にシールドを展開すること。それが「アンブレード戦記」の攻略の第一歩。しかも、ほんの初歩的かつ小さな一歩にしか過ぎません。
(3) ガード時の跳ね返り
「御霊杓子」に当てる限り、ダメージを完全に殺せるシールドですが、威力まで完全に殺せるわけではありません。横の攻撃を防げばイヌイは若干後ろに下がりますし、上からの攻撃であっても、当たり位置によって、1ドット程度左右にズレてしまいます。
…で、「アンブレード戦記」の道中では、このズレですら致命的な罠になります。ステージ1でも、戦車から滑り落ちるステージで、うっかり監視ロボットの体当たりをシールドしてしまうと、押しのけられて戦車から落っこちてしまいます。当然一発死。また、最初から滑り落ちなければなりません。
(4) 慣性による殺人
上の例にもある通り、「アンブレード戦記」の世界は、非常に摩擦係数が低い。通常移動やジャンプでも例外ではありません。
攻撃をかけようと、一気にダッシュで詰めると、攻撃を出す前に敵キャラにぶつかってしまい、自分にダメージが来るのは、誰もが通る道です。…と言うか、「そんな経験ない」なんてほざく奴は、俺が許さん!(血涙)
ジャンプも、ただ跳ぶに任せていては思うように距離が取れません。ジャンプボタンを押したフレーム数が1ズレれば、それだけ着地地点に大きな影響を与えます。うっかり飛び越えそうになった場合は、↓+ジャンプで真下受け身を取りましょう。これは、ジャンプとは違って、着地で位置がズレる心配がないため、攻略では必須となります。

以上の要素により、本作は非常に難易度の高い作品になっています。ジャンプアクションのスピード性と、謎解きの楽しさを併せ持った手ごたえ…しかし、それは、「攻略手順が見つかるまで、イヌイの屍を積むしかない」と言うことでもあるのです。
その分、攻略手順が見つかったときの快感も計り知れません。ステージ3のエビ(サメ?)を上手く陸揚げできたときの快感、一発死の針を潜り抜けてクリスタルを手にする快感…それは、難易度の高い作品でしか味わえない快感であることは確かです。
しかし、「フリーゲーム」と言うのは、入手コストが小さいだけに「難関を潜り抜ける前にプレイヤーが諦めてしまう」リスクが高くなっています。ゲームのための時間が取れない現代ならば尚更です。
本レビューは、そんな諦めかけた皆様のために、「そんなことないって! もう少し考えろって!」と言う思いを込めました。書いてる本人がだいぶ諦めかけているのは秘密です。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9

まっすぐ君を助け出す

 ボクがアクションゲームの何が嫌いって、ですよ穴。
 それまでどれだけ苦労して敵を倒そうと、アイテムをキープしようと、ちょっとしたミスで穴に落ちたら一巻の終わりなんですよ ?
 落ちないようにしよう……と意識すればするほど穴の方に近寄ってしまって見事ホール☆インしてしまうのが、ヘタレゲーマーのサガなのです。
 アクションフリゲもたまにはプレイするんですが、洞窟物語みたいなメトロイドタイプの方が好きだなあ、というのが正直な感想です。
 おばけの行進曲はとうとう投げてしまいました。魔王のアクジは辛うじてクリアはしましたが、ぶっちゃけもう一度プレイしたいとは思えないところです。
 上の作品はすべて名作中の名作なのは、理解してるんですけどね。

 本作もまた、そんなクラシカルな横スクロールアクションです。つまり、落ちたら死にます。
 しかし本作では、自機落下のリスクを、簡単な操作で減らすことができるのです。
アンブレード上方展開
 文字通り、落下傘によって !

 練習ステージでは徹底して、本作の基本中の基本であるアンブレード上方展開をたたき込まれます。
 初見だとどうしても、無敵アーマーの前方展開の方に目が向きがちですが、使用頻度は圧倒的に上方展開>>>>前方展開です。
 発動が遅い上、本作は喰らい硬直が長めなので、シールド展開して単騎特攻 ! みたいなランボープレイはそうそう通用しません。
 むしろ、チマチマと立ち止まっては「万一落ちたらヤだなあ、傘開いておこうかなあ」とか考える、ボクのような小心者プレイの方が本作には合ってるんじゃないかと……

ステージ1-2
 って、話が違うぞコラァ !
 ……はあ……やっぱり「死んで覚えるゲーム」なのよね、アクションって……。
 強力な防御手段があると言っても、本作の難度は決して手加減はしていません。

 しかし、ご覧下さい。↑の残機数を。
 開始当初は2つしかない残機ですが、プレイするほど雪だるま式にどんどん増えていきます。
 たとえヘタレゲーマーでも、意地でも全編プレイしてもらおうという、作者の執念が覗えます。
 そりゃあ、これだけ残機があったら、ボクだって真エンドクリアできますって !

 ……そこに至るまでには何回か挫折しかけたこともありました。
 特に最後、真エンドの条件が見えた時は最初、「こりゃ無理だろ」と絶望しかけました。
 「もうゴールしてもいいよね ?」と通常エンドをクリアしたら……
通常エンド途中・真エンドのヒントが……
 言われなくてもわかってんだよヒヨコ野郎 !
 まだやれってーのかチクショー続けてやるー……とプレイを継続、レビュー〆切の今日になって、ようやく全クリスタル取得と真エンドを達成することができました。
 今となってはもう、すべてがいい思い出ですよ。クリスタル全部取ってるとボス秒殺だし。

修練の森のクリスタル
 本作は誘導がうまいのです。それはもう、イヤらしいくらいに。
 たとえば、練習ステージの↑のクリスタル。
 ボクも最初、「まあカエルだし、後々ジャンプ力アップのアイテムが手にはいるんでしょ ?」と思ってスルーしたんですが、そんなものは無い。
 つまり初期状態でも余裕で取れるということで、気づいてから急いで取りに戻りました。
 難しいことは何もありません。頭を使えば、カンタンに取れちゃいます。

 本作の「アンブレード」をキーとしたアクションやギミックはなかなか独特で、戸惑う場面も多いでしょう。
 しかし本作は、その分「気づき」のきっかけを沢山用意しています。
 今までの経験だけでは通じない独自性がある本作では、アクションの熟練者も初心者も、ある意味対等な土俵の上に立てます。
 アクションを今まで敬遠していた方も、そしてアクションを心から愛する方も、
 厳しすぎずヌルすぎず、「くそっ、やられた !」と思わず呻いてしまう絶妙なバランス感覚に酔ってみてください。

ハマリ度 : 9 / 10
 なぜアイテムがセーブできないのか、そこは減点せざるを得ない。
 おそらくは真エンドの難度を上げるためと思われるが、セーブ時点の状況を再現することを期待するのがプレイヤーとしては自然な心理だろう。再開時にわざわざアイテムを取りに行くのは地味にストレスがたまる。
 スコアが「ゲームオーバーか、ゲーム終了まで有効」という変な仕様なのも気になる。いっそ無くても良かったのではないか。
グラフィック : 9 / 10
 冒険野郎から5年、ドットの打ち込みは相変わらずの品質。
 しかし、uepomさんの絵はかなりコントラストがきついという特徴があり、荒っぽさが目立っているようにも見える。
 敵は暗色系でまとめられている上、自機がとやたら目立つ色なので、そこまで視認性は悪くないのだが、目には優しくない。
サウンド : 9 / 10
 どの曲もキャッチーで覚えやすく、作品にも見事にマッチしている。これで多人数の持ち寄りだとはとても信じられないほど。
 これでサウンドモードさえあれば完全無欠なのだが……と思っていたら、ニコニコにupされていた模様。アカウントを持っている方はどうぞ。

 しかし、本作の最大の魅力はなんちゃってとしか形容できない、独特なストーリーテリングだと思うんですけどね。
 誰か王様を救ってあげてくださいよ、ホントに……。

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