■ 三代目レビュー アドベンチャー 9
アンフェールの箱庭 THE CANDLE LIGHT 怨溺 ―ONDEKI―
選択の塔 At Home Alone

【 アンフェールの箱庭 】

アンフェールの箱庭
ジャンル [ 探索ADV ]
作者 [ 子豆茶葉 さま ]
容量・圧縮形式 [ 275MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ RPGアツマール上でもプレイ可能 ]
配布元 ダウンロード先

今度の謎屋敷は二段仕掛け

美術部に勤める学生のリムは、ある日、先輩に森の中に突如現れた小屋の様子見を命ぜられる。しぶしぶ向かったその小屋は…何の変哲もない倉庫であった。
…そして、異変はその帰り道に発生する。明らかに行きとは方角が異なる道の先には、豪華な屋敷があった。他に行く当てもなく入った屋敷の中は異様に暗く、引き返そうにも出口は固く閉ざされている有様。
不気味な屋敷の中で、リムは数々の子供たちと出逢う。金色の瞳を隠すように髪を伸ばした少年・モノ、妙なお嬢様言葉をしゃべる癖毛の少女・トリ、そして、リムを「お兄ちゃん」と呼ぶ幼き少女・イル。そして、この屋敷にはリム自身の幼少時代の写真まで残っていた。
一体、この屋敷とリムにはどのような関係があるのか。屋敷からの脱出のため駆けずり回るリムの目前に、残酷なる運命が襲い掛かる…。

アンフェールの箱庭 アンフェールの箱庭

本作は、ストーリー主導の謎解きアドベンチャーです。ストーリーにも謎解きにも複雑な仕掛けが施されており、時にはそれが進行を妨げる難点にもなっています。

(1) ヒントと謎解きが離れている

本作の舞台である屋敷は、家屋としては広いですが、謎解きの舞台としては意外に狭い造りになっています。部屋数が少ないため、直線状に謎解きさせることができないのです。
そのため、序盤に出現したヒントが役に立つ箇所が、数十分ぐらい進めてやっと出現するという、混乱をきたす導線になっているのです。
恐らく、プレイヤーが一番に触れるヒントは「ピアノに『赤いシート』をかぶせて表示させる矢印」、一番初めに触れる謎は「西廊下の岩をどかすためのグローブ」と「2階廊下の片側だけ消えた燭台」でしょう。
これらの謎を解決できるのは、屋敷を調べ尽くす直前の中盤になります。このように、初見では目にしたヒントが何処に役立つのかが分かりづらくなっています。
ヒントらしき謎オブジェクトを見つけた場合は、メモかスクリーンショットで記録しておきましょう。
すぐに解ける謎であっても、謎を解くアイテムが忘れがちな場所に隠されています。意外と見失いがちなのが、玄関に飾られている「あるアイテム」です。解く順番としては3~4番目という忘れがちなタイミングで必要となるため、心の片隅に引っ掛けておきましょう。
また、誤答すると一発GAME OVERとなる謎解きも序盤から終盤まで登場します。何が正解で何が誤答になるのかのヒントも、バラバラに散らばっています。現段階で見れるアイテムは全てチェックし、全てメモを取る心づもりでプレイしてください。

(2) 4つのENDとセーブ条件

本作のENDは4種類。その中でGOOD ENDに当たるのは1つのみです。ENDの分岐条件は、序盤も序盤、イルと出会う前にクマのぬいぐるみに話すとヒントを教えてくれます。
ただし、この時点でEND分岐のヒントを聞いても、何の事か分からないでしょう。END分岐のヒントが理解できるのは、おそらく1つのENDを見た後になるはずです。
END後にEND分岐のヒントを改めて見るためにも、END分岐を効率よく見れるようにするためにも、セーブの分割が重要になります。
本作のセーブ方法は主に2つ。分かりにくいチェックポイント(形が場所ごとに異なるため、調べないとセーブ場所か判別できない。その上、「記録」ではなく「休憩」と表示される)に加えて、最大6枚の「メモ用紙」を使ったどこでもセーブです。
基本的に、セーブはチェックポイントで事足ります。本作では追いかけっこもほとんどないため、「GAME OVERが起こりうる直前でセーブする」必然性はありません。
ただし、先述の通り、本作は「謎解きのために同じ部屋を複数回訪れる必要がある」導線になっています。そのため、「チェックポイントの場所ごとにセーブを分ける」のではなく、「アイテムや謎解きを解決した段階でセーブを分ける」ようにしましょう。

(3) 2部構成

本作が謎解きADVとなるのは中盤まで。中盤以降のストーリーが大きく盛り上がる部分はネタバレとなります。
「屋敷がリムを呼び寄せた理由」を説明したパートとしての過去編・真相編が、謎解きADV部分とほぼ同じプレイ時間を費やすのです。
「真相」編だけに、このレビューでは「読むだけで1時間近くかかるストーリー」ぐらいしか説明できません。
屋敷に暮らす3名+αが、屋敷とどのような関わりを持っていたのか、何の事前知識も持たずに読んでいただきたいです。

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【 THE CANDLE LIGHT 】

THE CANDLE LIGHT
ジャンル [ 屋敷探索 ]
作者 [ 鉄人37号 さま ]
容量・圧縮形式 [ 63MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 現在の最新バージョンは、ver1.05 (2020.08.27) ]
配布元 ダウンロード先

前を照らすは小さな明かり、後ろに伸びるは過去の影。

草木も眠る丑三つ時、一人のメイドが屋敷を彷徨っていた。主人の言いつけに従い、屋敷内の明かりを点けるために。
屋敷の主人・ヘンリー=グランウォードは、数々の絵画を残した画家でもあった。しかし、それは過去の話。グランウォード家は、孤独のままに早逝したヘンリーを末代として以降、断絶して久しい。
…主なき屋敷を、主なきメイドが彷徨う。かつての主人の言いつけに従い、屋敷内の明かりを点けるために…。

THE CANDLE LIGHT THE CANDLE LIGHT

「THE CANDLE LIGHT」は、シンプルながら独特の操作感を持つ探索ADVです。本作の操作は大まかに2つ。マウス左クリックによる調査と、Zキーによる前進です。
…ええ、本作のメイドさん、後ずさりも振り返りもできないのです。かの戦う人間発電所・チェルノブの如く。…いや、チェルノブですら強制スクロールの範囲内なら自由に動けるのですから、それ以下の動作性能です。
そして、この「後ろに進めないメイドさん」が、本作のゲーム要因となるのです。本作で重要となる調査・蝋燭への点灯は、以下3つの手順で探り当てていきます。

  1. Xキーまたはマウス右クリックでメニューを開くと、画面内の調査できる箇所にマークが付く
  2. 調査できる箇所に(中心に蝋燭が来るぐらいまで)近づくと、メイドさんの上にビックリマークが付く
  3. ビックリマークが表示されたときに周囲をマウスポインタでなぞり、丸いマークが出た箇所で左クリックすると調査・蝋燭への点灯となる

このシステムで「一切後ろに歩けないメイドさん」が合わさるとどうなるか…。本作は、調査できる箇所を1つも逃さずに慎重に歩みを進めるゲームなのです。
歩みを進め過ぎて調査ポイントを過ぎてしまうと、ENDまで再調査できません。2週目以降でも、マップ終盤にある時計を調べてマップ開始時点まで戻る以外に探索をやり直す方法はありません。当然、マップ内の調査済みの箇所も初期化されるため、同じ箇所の調査もやり直す必要があります。
その上で、セーブはマップを移動するごとに入るオートセーブのみ。下手すると、2週目以降でも調査すべき箇所を見逃したままマップを進んでしまい、ニューゲームからやり直す羽目になりかねません。
それを防ぐため、「少し進んだらメニューを開いて、調査できる箇所を確認する」という慎重な歩みが必要となります。

THE CANDLE LIGHT THE CANDLE LIGHT

本作は、ストーリー面でも「慎重に歩みを進める」ことを推奨しています。本作の分岐フラグは、「蝋燭を余すことなく点灯させる」「マップ内にある絵画を全て閲覧する」の2点です。
蝋燭を点けると発生するイベント、閲覧した絵画にまつわるエピソード、それらをつぶさに見る中で、グランウォード家の末路が、ヘンリーの死の真相が、メイドさんの正体が、全て理解できる仕掛けになっています。
メイドさんは何のために彷徨うのか、ヘンリーが残した絵画の意味とは…2週で30分程度の濃密なストーリーをお楽しみください。

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【 怨溺 ―ONDEKI― 】

怨溺
ジャンル [ 現代和風探索ホラー ]
作者 [ あるまソフト さま ]
容量・圧縮形式 [ 397MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

何気ない水の底から…

降り止まぬ雨の中、1台のバスがスリップ事故を起こす。遥か崖下に落ちたバスの中から、上村修一は辛くも生還した。
当てもなく彷徨う修一は、近くの廃村に雨宿りに向かう。しかし、そこには数々の死体が散らばる凄惨な景色があった。
修一は、同じく村に迷い込んだ生存者・柏葉春奈と木場健介と共に、この狂った村からの脱出を図る。
水場があればどこにでも出没し、不気味な人形と共に恨みをまき散らす怨霊から、彼ら3人は脱出できるのであろうか。

怨溺 怨溺

本作「怨溺」は、1年半前に「斧鬼」を作り上げたあるまソフトの最新作です。
死体がひしめく廃墟を、怪物から逃げ惑いながら脱出するホラーアドベンチャー…までなら「斧鬼」と同じジャンルですが、「怨溺」は「雨」と「因習」をテーマに、よりジットリと湿った不穏な雰囲気を纏わせた作風になっています。
また、怨霊から逃れる方法も「斧鬼」とは異なります。「斧鬼」の出現はイベントに限定されており、チェックポイントに辿り着くことで追跡が解除される仕組みがほとんどでした。
しかし、「怨溺」の怨霊はランダムに出現する場合もあります。出現の予兆として、見張り役の日本人形が出てきます。「彼女」たちの視線に引っかかると怨霊が追いかけてくる場面もあるため、スニーキングアクションも必要となります。
そして、最も恐ろしいのが、「クローゼットやロッカーに隠れないと『撒いた』とみなされない」点です。広い屋敷だった「斧鬼」の舞台とは異なり、「怨溺」の舞台は一般的古民家の集落。道なりに逃げ惑っていると、すぐに行き止まりに追い込まれてしまいます。そのために、隠れられるロッカーなどの場所を覚えておく必要があるのです。

怨溺

実を言うと、「怨溺」の中で最も難しいのが、上図にある一番最初の追いかけっこ。ここは、画面下の扉がロックされているため、それ以外の抜け道を見つけないとGAME OVER確定となる場面です。ここで「ロッカーに隠れる」が初出場するわけですが、困ったことにセリフや矢印などでの指示がありません。初めて「ロッカーに隠れられる」ことが示唆されるのは、2番目の追いかけっこ・木場と出逢う場面まで行かないといけません。
この点、作者側も対策を考え中とのことです。とりあえず、現バージョン(2020.08.30更新のバージョン1.01)では、最初の追いかけっこで隠れられる場所は完全ノーヒントです。私からも「上図内のどこか」とだけ言っておきます。
「怨溺」は、謎解きも一筋縄ではいきません。ヒント自体は簡単ですが、1問だけ厳しい時間制限のある中で4桁の数字を当てる謎解きがあります。ヒントを見ている間も時間制限はストップしないため、ヒントをスクリーンショットに撮ってから落ち着いて回答を探し出し、本番に臨むのがおススメです。

そして、「怨溺」は、ストーリーが最も一筋縄ではいかない展開になるのです。単なる「怪異から逃げ惑う」では済まない展開が、貴方を待っている…私から言えるのは、ここまでです。
そして、実際にエンディングを見て、そしてオマケシナリオも見て、その展開の意外さに驚いた方へもう一言。本作はマルチエンドではありません。あの結末しか存在しないのです。
「これから修一は、春奈は、そして木場は、どうなるのでしょう」…これが、最後まで見た私の、偽らざる感想です。

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【 選択の塔 】

選択の塔
ジャンル [ 選択と試練 ]
作者 [ ヨミズミ さま ]
容量・圧縮形式 [ 81MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

やり直せる未来は、幸せなのだろうか?

少年は夢を見ていた。「案内人」を名乗る怪しげな女に導かれ、2つの扉を選択するという夢を。
夢から目覚めた先は、徹底的に管理された「塔」であった。外の世界にあこがれる少年・マサは、一人前になるための試練を受けることになる。
衰えた者・逆らった者を「地下」に落とし、罪人として蔑むこの世界。管理社会にしても異常なこの世界に対し、マサはどのような「選択」を選ぶのであろうか。

選択の塔 選択の塔 選択の塔

本作は、昨今のフリーゲームとしては珍しい「ディストピア」を徹底的に描いた作品です。マサを一人前として認めさせるために、「試練」と称したミニゲームを10回突破させるのがゲーム本体の目的となります。
ゲームの中には厳しい時間制限やコツが必要なものもありますが、突破難易度自体は低めです。ランダムで選ばれる2つのミニゲームの片方さえクリアできれば、階層はクリアできます。また、ミニゲーム自体も部屋に入りなおせば何度でも挑戦できます。簡単そうな・やり直しが楽そうな方を選べば、1週クリアにはそれほど手間はかかりません。
ただし、本編は途中でセーブできない点にだけご注意を。セーブ画面が出るタイミングは、1週クリアしてENDを見た後のみになっています。

そして、本作が本領を発揮するのは1周をクリアした後です。管理される人生に疑問を持たせないようにする「試練」は、自由な現代社会に生きる我々にとっては嫌悪感を催す表現になっています。もちろん、作者自らが「あえて」入れた「物語に必要な」表現です。
そこで、冒頭に出た「案内人」から「選択をやり直す権利」が言い渡されるのです。地下に落とされたもう一人の主人公・イムが提示する管理社会への疑問、そして、イムが知っている「マサが失った記憶」、それらの「真相」が、周回を進めるごとに読者の目に明らかになる仕掛けになっているのです。
新しいENDを見る条件も楽です。OP直後のメッセージでヒントが言い渡されますし、基本的に「新しく出現した箇所」を調べ、「新しく出た選択肢」を選べばクリアできる条件になっているためです。

本作は、終始「嫌な後味」が舌に残るビターな作品です。最後のENDを見た後でもやり直したくなる展開が待っています。「案内人」からも「もう新しいENDは無いよ」と念押しされるにもかかわらず。
本作に限らず、作者のヨミズミ氏が描く作品は、どれも「苦い選択」をテーマにした作品です。本作の冒頭から出てくる「案内人」は、実は作者のほぼ全作に出てくるレギュラーです。彼女はその登場作全てで、主人公たちの人生を狂わせ、それでいて希望を見出す狂言回しとして活躍しています。
本作が気に入ったのならば、是非、他の作品もプレイしてみてください。ホームページにEND条件も記載されているため、古い作品でもクリアは難しくないはずです。

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【 At Home Alone 】

At Home Alone
ジャンル [ おるすばん ]
作者 [ SkyLineGames さま ]
容量・圧縮形式 [ Steamによるストリーミング ]
製作ツール [ RPGツクールVX Ace ]
言語 [ 中国語・英語 ]
備考 [ 要・Steamアカウント ]
[ バイオレンス表現含む ]
配布元 ダウンロード先

あたし、きょうはひとりでおるすばん!

ママがいないのはちょっぴりさびしいけど、そのぶん、はねをのばしちゃうぞ!
ベッドのうえでピョンピョンしちゃうし、リビングにカラスさんもよんじゃうぞ!
そしたら、とつぜんピンポンがなりだしたの! どうやら、おとこのこがまよいこんだみたい。
ちょうどおやつのケーキがあるし、おとこのこといっしょにたべよーっと!!
ぞんぶんに「おもてなし」しなきゃ…

At Home Alone At Home Alone

Steamのページを見る限りは、「This is a recreational healing Mini-plot game explored at home.」(本作はお家を探検する楽しくて癒し系の短編ゲームです。)とある通り、桃色髪の少女が広いお家を探検したり、友達と遊んだりするほのぼのゲームに見えます。
しかし、紹介文の最後に「you may find some strange secrets....」(奇妙な秘密が見つかるかもしれない…)とある通り、このほのぼのとした雰囲気は、とんでもない結末へとつながります。
何しろ、Steamのページにあるゲーム画像、1枚だけ本編内に登場しない画像があるのです。それほど、デベロッパー側は本作の結末を「strange secrets」と隠しているのです。
私からも、展開についての詳しい言及は避けておきます。ただ、以下の点には触れておいてもいいでしょう。

(1) 本作はループもののアドベンチャーです。ループするたびに選択肢が増え、より真相に近づく展開になっています。

(2) 本作単体でも真相は分かるものの、より深い真相を描写した続編+リメイク作「At Home Alone II」が定価205円で販売中です。

(3) 本作を最後まで(キッチンテーブルの下にある落書きが示す謎を解くまで)プレイしたら、Steamのランチャーから「歯車ボタン→管理→ローカルファイルを閲覧」で表示されるゲームフォルダを見てください。更なる真相が隠されています。

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