■ 三代目レビュー アドベンチャー 15 | ||||
Grand Guignol | ソウテン鏡事件 | 血怨 -完全版- | かはつ瑕疵 | |
消えたリリーと呪いの館 | E-999 | オカルティックデッド |
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ジャンル [ 探索ホラー ] 作者 [ みへい さま ] 容量・圧縮形式 [ 237MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 ![]()
生き人形たちの
残酷芝居 灯り一つない舞台上に、一人の少年がたたずんでいた。彼は「アンドレ」という自分の名前以外、何一つ覚えていなかった。
当てもなくさまよう彼の目の前には、残酷な光景が広がっていた。所々に散らばる血痕、断末魔を書き記した手記、そして、アンドレを狙う「生き人形」たちであった。
生き人形たちの罠を潜り抜けた先にいたのは、外の世界を知らない少女・マリィであった。彼女を見た瞬間、アンドレの胸の奥に一つの衝動が巻き起こった。
「マリィに外の世界を見せてあげたい」と。
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本作は、ホラー演出をふんだんに用いた謎解きアドベンチャーです。謎解きのテーマもホラーのテーマも、タイトルにある「Grand Guignol」…退廃的で血なまぐさい大衆演劇をモチーフにしています。
アンドレとマリィを襲う生き人形たちには、それぞれ童話になぞらえた生い立ちを持っています。ただし、治安の悪い本作の作風上、童話の盛り込み方も「本当にあった怖い童話」並みのアレンジが施されています。
「ヘンゼルとグレーテル」「幸せの王子」「眠り姫」…ポピュラーな童話をモチーフにしたキャラクターは、ほとんどが残酷な結末をたどります。処刑された犯罪者の死体から作り上げたと見える描写まで存在するキャラクターもいます。彼らが投げかける謎解きも、バリエーションから難易度まで豊富。特に、終盤の謎解きは行く先のヒントが不足している点も含めてかなりの高難度。
それまでガブリエルがさんざん言及していた「鍵」というキーワード、屋敷の最奥にある額縁、生き人形の関門を突破するたびに手に入れた「使用できるアイテム」…
それらを合わせれば、「鍵」の意味はなんとなく分かる方もいるかもしれません。しかし、今まで手に入れた「鍵」を使っても、なぜか「使用できるアイテム」と「額縁」が一つずつ余る…という状況で詰まるかもしれません。もう他に行ける場所は見つからないのに。
余った「使用できるアイテム」を使用する場所…それを探るためには徹底した虱潰しが必要です。「怪しさだけは満点だったが、調べても何も反応しなかった箇所」が、終盤の道筋となっています。しかも、そこが終盤になってやっと開くというヒントは、(レビュー時点のバージョン1.2では)存在していません。
私はそこで詰まってしまい、先人の攻略動画を参考にせざるを得ませんでした。本作のENDは、公式にはBAD END2つ、TRUE END1つ。2つのBAD ENDは「選択肢によって物語途中で切られる」ものです。コンプリートのためには、定期的にセーブデータを分けておきましょう。
それでなくとも、本作には追いかけっこ・アクションシーン・即死の選択肢など、それまでの努力が1ミスでパーになるトラップばかりです。
ほとんどの追いかけっこ・アクションシーンは5発まで耐えられるライフがある。そのライフはストーリの1区切りで全回復する=回復ポイントは明記されないため、それまでとにかく耐え、場合によっては巻き戻しも求められる。…初見が肝心のホラーでありながら、初見だと詰まりかねない要素となっています。それでも、皆様には本作の謎を全て解き明かし、闇に閉ざされた劇場からの脱出を目指してほしいと思っています。関門だけでなく、ストーリーにも数々の「謎」と「秘密」が込められた本作。1~2時間の刺激的なシナリオをお楽しみください。
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ジャンル [ 本格SFサスペンスアドベンチャー ] 作者 [ 鳥籠 さま ] 容量・圧縮形式 [ 153MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 ![]()
鏡を挟んだミライとカコ
ミライは、墓参りの帰り道に通り雨に降られ、国道奥の古屋敷に軒を借りる。なぜか開いていた玄関に一歩足を踏み入れ…るのがコレ系のADVの定石だが、ミライは流石に良識が咎め、引き返そうとした。
しかし、玄関に背を向けた瞬間、黒づくめの暴漢に襲われ昏倒。結局、屋敷の奥に閉じ込められることになる。
閉じ込められた倉庫にはカギがかけられており、当然部屋内にカギはない。窓の外は岩壁で、ガラスを割って脱出することも不可能。
途方に暮れていたミライの耳に、語り掛ける声があった。声が聞こえた鏡の先には、「カコ」と名乗る少女が同じように倉庫内に閉じ込められていた。
ミライとカコは、鏡を通して協力し合いながら、10年の時を超えた屋敷を彷徨うことになる。ミライは、屋敷の謎を「全て」解き明かさなければいけない。ミライとカコを救うために。
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本作の作者・鳥籠 さまは、本作「ソウテン鏡事件」、そして「左眼ジャック事件」「神童ノ哥」「何も事件は起こらなかった」など、数々の著名なホラー・サスペンスを世に送り出してきた作者です。
その機軸も作品ごとに大きく異なります。その中で本作「ソウテン鏡事件」の特徴は、「天鏡」を通してミライ・カコの2つの舞台を切り替えながら謎解きを進めて行くシステムにあります。
謎解きのヒントのほとんどが、ミライが行ける場所・カコが行ける場所に2分割されており、2人を適宜切り替えて進めないとヒントが完成しない物ばかりとなっています。
その中に点在する、カコの祖父の日記…Read meには「日記を16枚集めることがTRUE ENDの条件」と明記されています。その日記を読めば、本作の「真相」および「疑念」が分かるようになっています。
そう、本作は、作者自身が「※ネタバレにならないようご配慮願います。」と念を押すほどに「仕込まれた」物語となっています。「日記16枚」という条件すら、ガイダンスに従ってまっすぐ進むだけでは達成できないように仕込まれています。どこか見落としている部屋がないか…「日記16枚」を集めたとして、その矛盾をどうやって突きつければいいのか…果たしてTRUE ENDは本当に真相なのか…。
それほど、本作の真相を探るためには、「隅から隅まで」の探索が必要となります。「隅から隅まで」というのは「行ける場所はすべて回る必要がある」ということです。そう、スタッフロールが出るまでは。本作を「隅から隅まで」堪能した後は、作者様のホームページをもう一度ご覧ください。きっと驚くことでしょう。「えっ、そこをスクショで出してもいいの!?」という意味で。
また、本作をプレイする前に、当サイトでもたびたび紹介しているアドベンチャーの知識をあらかじめインストールしていれば、より楽しめる点が増えます。本作「ソウテン鏡事件」に限らず、鳥籠 さまの作品は、先人の有名作が謎解き・ストーリー・パロディの元ネタになっている例が多くあります。
なんてったって、カコのいる2011年時点で、すでにウディコンは第3回まで開催され、その1年後には鳥籠さまの「ドキッ! 女だらけの雪山殺人事件」がウディコンに登場しているのですから!
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ジャンル [ 和風ホラーアドベンチャー ] 作者 [ CANCER さま ] 容量・圧縮形式 [ 975MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 15歳以上推奨(性的表現/バイオレンス) ] 配布元 ![]()
鮮血が彩る、血縁が絡む「怨」
春山 亜子 は、大学生の傍ら、アルバイトとしてモデルも務める美少女。今日は、風光明媚な「吉祥の滝」にて水着撮影会をしていた。
撮影もひと段落付いた後、バイト仲間の青木 絵美里 から、山奥の神社に心霊スポット見学に行こうと誘われる。
いくら止めても意思を曲げない絵美里に押し切られるように、亜子もまた神社に向かう。その奥に安置されていた壺を割った瞬間、「血怨」が目覚める。
亜子の周囲の人間は…両親や絵美里を含めて…次々と不可解な死を遂げていく。亜子自身にもまた「血怨」は付きまとっていく。
「血怨」から生き延びるため、警察の追及をかわすため、そしてこれ以上の犠牲者を増やさないため、亜子は当てもない逃避行を続ける…。
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本作のタイトル、聞き覚えのある方もいるかもしれません。実は、前半2章までの体験版が2018年に公開されています。そこから5年の時を経て、遂に「-完全版-」がリリースされました。
5年ものブランクは、ホラーのトレンドにも数々の変化をもたらしました。2018年当時とほぼ変わらない前半部と、そこから5年の時を経て作り上げられた後半部、見比べてみると作風や恐怖の与え方に数々の差があることが分かるでしょう。
5年間で大きく変わったのは、画像生成AIの登場です。本稿のスクリーンショットでは掲載を見送らせていただきましたが、最終章の伽良屋 村では、「成り果てた死体」「変質した怪異」がグロテスクなAI生成画像で描写されているのです。マジで気持ち悪い画像が、不意に調べると画面いっぱいに表示されます。謎解きのために、そのグロテスクなクリーチャーほぼ全てを調査する必要があります。「ホラーゲームが苦手な方はご注意ください。」というありふれた文言を、これほど真剣に伝えなければいけない作品は、他にないでしょう。もちろん、本作のホラー表現は、5年前に作られた前半部から全開です。
平和な春山家が、気のいい親友が、優しい両親が、徐々に「血怨」に蝕まれ変貌していく「浸食性ホラー」を十二分すぎるほど描いた第一章。
逃避行の末にたどり着いた心優しい青年・宇野 達也 のアパートすら浸食していく「血怨」を描いた第二章前半。
更に逃れた先に出会った、「血怨」の謎が記された空き家、そして春川家の真相を知る霊媒師・星川 沙耶 …そんな沙耶ですら惨殺される「血怨」のすさまじさを描いた第二章後半。
2018年当時プレイできたここまででも、上質の恐怖が描かれていました。その恐怖をはじめとした怒涛の展開は、ここからの後半部で更に上昇し、そして完結します。その舞台も様々。
「血怨」を研究し、非道な人体実験を繰り返し、それ故に廃墟と化した病院
亜子を救った霊能力者・夜向 と古谷 加奈子 ですら一時壊走せざるを得ない「血怨」
一部のバッドエンドなど、到達難易度の高い分岐を見ないと姿すら出さない「全ての切っ掛けを作った、暗躍する何者か」
そして、「血怨」の、春山家の、亜子自身の秘密が判明する完結編
前半・後半ともに、ホラーの舞台は様々に変化していきます。それ故に、プレイ時間はホラーアドベンチャーゲームとしてはかなり長め。セーブファイル上のプレイ時間だけで8時間、謎解きに迷う時間やGAME OVERで失う時間を合わせれば、十数時間は優に超えるでしょう。そう、本作は、ゲーム自体の難易度も高いのです。第一章の春山家から、各部屋に散らばった謎解きをクリアするために、一発死の怪異が彷徨う道中を往復する必要があります。
謎解きのヒントも不足気味で、「突然部屋が暗くなるが、それまでに明かりを取っていないと死。明かりを取っていても道を間違えると死」という厳しい生存条件の謎解きが、「事前ヒントがほぼ無い初見殺し」として出てくるのです。
前半でこのレベルなら、後半の難易度は推して知るべし。
- 病院に入る直前や伽良屋村前など、「鬼」の物量が異常に高い追いかけっこがある。セーブポイント制(メニューではセーブ不可)の本作では、追いかけっこでGAME OVERになると、巻き戻る量がかなり大きい。
- 複雑な謎解きを超えた「ある場所」でのバッドエンドを乗り越える方法が、数十分前の前章で手に入れたアイテム。手に入れるシーンもごく短いため、これを忘れるとクリアできない。
- 村各所からパスワードを集める謎解きだが、最後の1桁を見れる場所が怪異に阻まれて通れない。怪異をどけるために更なる謎解きが必要…と考えると一生クリアできない。そばにある「物量押しで解け(要約)」というヒントは、怪異を乗り越える方法ではない。
…これらの変化球すぎる謎解きと、「負けバトル」と勘違いしそうになるほど難しい追いかけっこが、とめどなく、そして思いもかけぬところで襲い来るのが後半部なのです。
あまりにも「クリアできない」という質問が多く寄せられたためか、後半部の攻略ヒントを掲載したブログ記事が公開されています。(https://cancer.fc2.net/blog-entry-2.html)
ただし、この中にも「貴方が詰まっている謎」のヒントは無いかもしれません。特に「追いかけっこでどこに逃げればいいのか」のヒントは全くないため、「ひょっとして、『物量押しで解け(要約)』ってこのこと!?」と思うほどの試行錯誤が必要になります。それほど、「どこに逃げ込めば助かるのか」「そこの道は外れなのか」を知る方法が「大量の死を積む」しかないのです。それほど苦しい道中ですが、それを乗り越えた先に待つ結末の美しさ、全ての謎が解かれた晴れやかさ、それはまた格別の体験でした。
皆様も、本作はぜひ最後までプレイしてください。そのために、十分な時間(少なくとも休日丸1日は費やす)、そして、「どうしても」の場合の攻略ネタバレ(先述のブログ記事では、前半部の謎解き・どこに次の謎があるかのフローチャート・追いかけっこの攻略は全く分からないため、先人のプレイ動画を見る必要がある)の確保をお願いいたします。
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ジャンル [ 掌編ホラー ] 作者 [ ドスバギイ さま ] 容量・圧縮形式 [ 50MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 15歳以上推奨 ] 配布元 ![]()
過ごすだけでは見えない瑕疵
大学生・加藤は、バイト先の興信所社長・川島から呼び出しを受ける。そのまま、とあるマンションへ引っ張り込まれる。
今回の依頼は、このマンションの調査。6日間を部屋で暮らすことにより、異常がないことを証明する仕事である。
第三者性を保つため、マンションの調査・検索も封じられた加藤。それでも、寝て食べて暮らす程度では何の異常も見つからない。
しかし、加藤は気づいていなかった。夜な夜な響く見知らぬ者の息づかい。何かを隠すように掛けられた絵画。果たして、この6日間、加藤は無事に生き残れるだろうか。
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本作は、掌編の事故物件ホラー。そして、登場人物の名前を見てピンときた方もいるかもしれません。そう、ドスバギイ氏の処女作「狂骨」の登場人物と同名のキャラクターが、本作「かはつ瑕疵」にも登場しているのです。
いわゆる「現代パロディ」ものということで、エイプリルフール企画としてリリースされた本作。しかし、本作と「狂骨」との共通点は「メインキャラクターの名前」以外にありません。
明治時代の高等学校を舞台とした「狂骨」に対し、「かはつ瑕疵」の舞台は令和の現代。時代に合わせて、キャラクターの人間関係も異なります。顔かたちもかなり差異がありますが、これが故意の演出なのか、8年のブランクによる画風の変化なのかは判別しかねるところ。
要は、「狂骨」を全くプレイしていない場合でも、「かはつ瑕疵」のプレイには全く問題ありません。
本作は掌編で、謎解きやストーリー分岐もなく、30分もかからず「読了」できるでしょう。しかし、本作はある意味「エイプリルフール」らしい不思議なホラーです。「不思議な」としか言えないレベルで、この数十分の物語に、数々の「謎」と「モヤモヤ」を敷き詰めています。
果たして、加藤は、川島は、この変哲まみれの事故物件で「何」を見たのでしょう。皆様も、ぜひ最後までご覧になって、考えてください。
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ジャンル [ 推理アドベンチャー ] 作者 [ パルソニック さま ] 容量・圧縮形式 [ 51MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語(ただし、若干の英語知識を要する) ] 備考 [ 12歳以上推奨・性的表現含む ] 配布元 ![]()
捕らわれたチビっ子たち。彼女たちを救うため、勇者は無双する。
魔王が封印されてから99年後の世界、とある村で大事件が発生した。7日間で19人もの村人が失踪したのである。
その犯人と目されたのが、村はずれの屋敷を住みかとする魔族の生き残り・スケルティであった。
「あなた」は村最強の武闘家・ロイとなり、屋敷へ突入する。ロイは、失踪事件の最初の被害者・リリーの父親でもある。
スケルティは難なく殲滅したものの、失踪した村人たちはすでに魔物へと変えられていた。魔物化を解除できるのは、実験用に作られた一人分の回復薬のみ。
見分けのつかない魔物の中からリリーを探し人間に戻すこと、それが、勇者パーティの子孫であり、リリーの父でもあるロイに課せられたクエストである。
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本作は、魔物に変えられた村人たちとのバトル、そして、彼らの正体を探るアドベンチャーです。
とはいっても、バトル部分はかなり楽。黄色い丸が赤い枠内に来た瞬間を狙って決定キーを押すだけです。
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本作の本番は、全ての魔物を捕縛しきって、全員の記憶を探った後。
各々の記憶を映像で閲覧し、記憶内の登場人物から関係を割り出し、「カメラ」が誰なのかを探り出す、かなり高難易度の推理ゲームです。
その要因は、ヒントが複数人の記憶・断片的な資料文・些細な矛盾…と広範囲に散らばっている上に、情報量のばらつきも多い点です。
特に厄介なのが、一番重要である年少者の記憶が、情報量が少なく、特定する難易度が高いこと。幼さゆえに記憶容量がミニマム。本人しか登場しない記憶もざらにあります。何ですか、最も強い記憶が「誘拐直前かどうかすら不明なお絵かき」って!!本作で重要なヒントは、2F南西にある「作戦室」の資料にまとまっています。最重要なヒントが「父の頭文字と母の末尾文字を合わせて子の名をつける」という村の習慣。「望まれぬ来訪者」であるスケルティを除き、登場人物全員がこの法則に従って名付けられています。
そして、この法則に従っているのはアルファベット上のスペルという点を見逃してはいけません。本作の登場人物は、この法則が「仕掛け」「ミスリード」となっている例があります。キャサリン(CatharineとKatharine)・エミー(EmmyとEmmie)と、「読みが同じでスペルが異なる」登場人物が複数いるのです。このミスリードにはまると、推理が無駄に迷走します。
推理の迷走を防ぐため、「行方不明者リスト」と「魔物の記憶」には、25文字×3行まで記載可能な「メモ欄」が存在します。このメモ欄、かなり便利なのですが、一つだけ欠点があります。親子関係を知るための各人物のスペルを一覧できない点です。
登場人物一覧は、テキストファイルかExcelで別に作って、見やすくまとめましょう。登場人物のスペルを一覧できるようにすることで、本作の難易度はググっと下がります。
そして、推理に最も役立つメニューが「調査報告書」。報告書に「被害者や犯人の名前」「彼らがどこの魔物に変えられたか(顔写真を貼って推定)」「動機」などを記載することで、正体を「特定」できるのです。
報告書に「正解」を記載すれば、以降「正解した魔物の正体は『確定』した」とみなされます。これは思った以上の効果をもたらします。
- 特定した村人は、他の魔物の正体候補から外せる
- 特定した村人から、記憶内の証拠により、芋づる式に正体が分かる魔物もいる
報告書を完成し、村人の正体を確定すれば、謎は全て解けたも同然。逆に言うと、報告書を完成しない状態で解決に図っても、望む結果にはならないでしょう。BAD ENDです。
そして、報告書を完成した時点では、ロイのクエストは完了しません。「娘の居場所」を特定することがロイのクエストだからです。「一人しか元に戻せない」という苦すぎる決断、いったい誰に下せばいいのか、しっかりと「推理」して臨んでください。
プレイ時間は2~3時間ほど。しかしそのほとんどは正体を特定するために右往左往する時間になるでしょう。それぐらい、本作の「推理」は試行錯誤…場合によっては「報告書の正解」を狙ってのあてずっぽすら必要になる高難易度なのです。
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ジャンル [ 文通 ] 作者 [ Seaeees さま ] 容量・圧縮形式 [ DL不要・ブラウザゲーム ] 製作ツール [ Unity ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ テキストエディタが必要、スマートフォンでのプレイは不可 ] 配布元 ![]()
あの子を知るのは、この1枚の手紙のみ。
本作「E-999」は、【ADV】に分類される作品ですが、画面構成もゲーム進行方法も特殊な作品です。
あなたの目の前にあるのは、薄暗い廊下に立つ扉1枚のみ。しばらく待つと、扉の前には1枚の手紙が現れます。
本作で受け付ける操作はマウスのみ。定期的に現れる手紙を拾う、そしてこちらから手紙を渡す、ゲーム画面ではこの2つのアクションしかできません。
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そして、本作の「アドベンチャー」たる要素は、ブラウザを通してダウンロードされる「手紙」の中にあります。
画面内では紙の封書として表示される「手紙」、クリックで「こちら側」に渡る際にはtxtファイルとしてダウンロードされます。この手紙を見れば、「何をすべきか」は自ずとわかる仕掛けになっています。
返事を求められるtxtファイルを受け取った後に画面をクリックすると、「ファイルのアップロード」ダイアログが表示されます。txtファイルに回答を入力したあと、それを「アップロード」ダイアログで選択して、「相手」に返事を渡します。
この繰り返しによる「文通」が、本作の物語を形作る「アドベンチャー」となるのです。
こんな単純な仕組みながら、END分岐は4つも存在します。文通を繰り返すごとに判明していく「相手」の正体、「相手」の願いを叶えるために必要な謎解き、そして、「貴方」の選択によって決まる「相手」の運命…。
それらを分かりやすく知るためにも、手紙を保存する専用のフォルダを作り、その中にtxtファイルをまとめて置くようにしましょう。作者自身もゲームページの「操作方法」にて推奨しています。選択肢をやりやすくするため、回答入力を求められるtxtファイルはバックアップも取っておくのがおすすめです。
謎解きのヒントもtxtファイルに入っているため、「ダウンロードしたtxtファイルを、専用フォルダにまとめて保存しておく」ことは、謎解きを解きやすくするためにも必須です。プレイ時間は1周10分未満と短いものの、その中に込められた世界観と裏設定は、「深い感動」を呼び起こすものです。
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ジャンル [ オムニバス推理ホラーゲーム ] 作者 [ 裏束 さま ] 容量・圧縮形式 [ 250MB・ZIP, ブラウザゲーム ] 製作ツール [ RPGツクールMV ] 言語 [ 日本語 ] 配布元 ![]()
事を起こすは、人の意思のみ。
堂島 美弥 と綾瀬 香織 は女優の卵。彼女たちは、Web動画のオカルト企画に出演していた。事故物件のアパートに滞在し、怪奇現象を撮影するという、死亡フラグビンビンの企画である。
類まれなる霊感を持つ美弥だったが、部屋自体に霊気を感じないこと、立ち会う「霊能者」がかなりの実力者であることを察し、油断していた。
しかし、状況は夜中に一変する。鏡から飛び出てきた浮遊霊。霊は、取り押さえようとした霊能者に逆に憑りつき、死亡させてしまった。
警察沙汰になったものの、法的にはただの「奇行による落下事故」。懲りずに撮影を再開しようとする撮影スタッフに危機感を覚える美弥。そんな美弥は、立ち会った警察官・五十嵐 真梨 から、オカルト専門の調査局・滝峰 調査局の紹介を受ける。
滝峰調査局の職員・新谷 岳 により事件は解決したものの、同時に美弥と香織の仕事はお蔵入りになってしまう。そんな2人、そして別の事件で縁ができた青年・沼井 誠 を職員に加え、滝峰調査局は数々のオカルト事件に挑むのであった。
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本作は、オムニバス形式のホラーミステリー。前編・中編・後編に分かれたストーリーの中で、10個近くの事件を解決していきます。
そして、本作の作者は、以前に「ヒトミサキ」や「7days」で取り上げた裏束さま。すなわち、謎解きはとんでもなく難しいということです。
チュートリアルかつキャスト紹介となる前編はそこまで難しくありませんが、問題は中編以降。各事件は独立しているため、「序盤で建てたフラグが原因で、終盤でBAD ENDとなる」ことは無いものの、真相を探る証拠はとても些細な箇所ばかり。
推理を間違えてBAD ENDに行った場合でも真相は分からず、自力で選択肢を試行錯誤しないと見つからない正解さえ存在します。
時には、正解の決め手となる証拠が、10行近くある文章中のたった数文字の問題さえあります。
それぐらい、「大抵の推理ADVで予測される展開をなぞっているだけでは見えない証拠・選択肢」が存在するのです。
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本作の推理手順はかなり特殊。
- 検証:推理シーンのオープニング。ここで大体の「調査」箇所が描写される。当然、重要な証拠もチラ見せて。
- 調査:推理パートのメイン部分。マップを調べて証拠・情報を集めるシーン。広大な市街地マップを闇雲に調べると時間がいくつあっても足りないため、仲間からのアドバイスでオレンジ色で描画されている箇所を中心に捜査すること。
- 資料:事件のあらすじ、「調査」で集めた情報をまとめる場所。次のパートに移る前に、必ず「資料」で情報をおさらいしておくこと。場合によっては仲間からのアドバイスに「情報の個数」が含まれるため、数があっているかもこの「資料」で確認しておくこと。
- 考察:「調査」で集めた情報をもとに真相を推理していくパート。情報が足りないと間違った真相にたどり着くほか、中編以降だと情報が全部集まった状態でも推理が間違う可能性があるし、それを正してもくれない。
- 解決:推理パートを終了し、結末シーンに向かう。「考察」が間違っているとBAD ENDになるため、定期的に「記録」を取ってから向かうこと。
これだけ大量にある推理パートを、1つも間違うことなく進める必要があるのです。…当然、私は一部の謎がどうしてもわからず、攻略を頼らざるを得ませんでした。その攻略も、作者本人が公開しているものは無く、他人のプレイ記事を参考にせざるを得ないため、「貴方が詰まっている謎」の回答が得られるかは保障できません。
そのため、かなりのリトライと4時間近くのプレイ時間を費やすことになります。その真相も「人の業」が起こしたものだけに胸糞悪いものだらけ。
主人公側も含めて変人しかいない登場人物ですが、そんな彼らが「ヒーロー」でいられるのは、彼らと「犯人」との違いは、本当に紙一重の「善性」だけなのです。数多の「死の選択肢」を潜り抜けてきた者たち、その選択肢ゆえに彼らが身に着けた力、それが本作タイトルでもある「オカルティックデッド」なのです。