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■ 屑鉄まとうデモナ

屑鉄まとうデモナ
作者 [ くろあめ さま ]
ジャンル [ 探索型RPG ]
容量・圧縮形式 [ 567MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールVX Ace ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

(補足)
2022.06.12:現在の最新バージョンは1.25cです。

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レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 9 /10 9 /10 9 /10 52/60 B
赤松弥太郎 8 /10 8 /10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:9 グラフィック:9 サウンド:9

魔王様は頭が命

本作「屑鉄まとうデモナ」は、様々な意味で難易度の高いRPGです。
高難度の第1要因は、敵の火力。本作は、MPを節約しようとすると、OP直後の時点で全滅が見えるバランスになっています。それほどに敵の火力は強く、おまけにCriticalにもHeavyなど強化バージョンがあるため、ラッキーパンチによる死が頻繁に発生します。
その上で、ザコ戦…いや、移動する敵シンボルとの戦闘では、稀に開始直後に効果音と共に強化が付く敵、オーラを纏った強敵が出現する場合があります。
特に、オーラを纏った敵は、細心の注意を払わなくてはいけません。ステータスがほぼ倍クラスに増大している上に、1ターン目から強烈なスキルを出してきます。下手をすると1ターンで全滅するレベルに強まっているのです。
ただし、全滅した戦闘は即座にやり直しができます。しかも、敵の強化判定は戦闘が始まるごとに再計算されるようで、「リトライしたら強化が発生せず楽勝に終わった」という状況も割と発生します。敗北にめげず、即座にリトライすることが推奨されるのです。

戦闘で損耗した場合のリカバリー措置も、様々に存在します。Altキーでいつでも使える帰還の魔砲(拠点帰還アイテム)、「意外と多い」レベルには登場する導灯(テレポート地点)、これらは、戦闘やイベント中でなければいつでも利用できます。
「帰還の魔砲」には、使用したマップを1つだけ記録し、回復後にすぐ中断地点から再開できるようになっています。「HPもアイテムもギリギリ…」と思ったら、遠慮なく帰還しましょう。

さて、高難度の要因その2は、主人公側に存在します。上手く利用すれば強力で、戦闘中は常に使用が求められるスキルですが、その効果がパッと見分かりづらくなっています。それが特に顕著なのが、主人公たちの初期SP技です。
魔王様の初期SP技「ミラーエッジ」の説明は「機工剣:水/術者/先制/防御/使用ターン格闘反射/RT:4」となっています。狭いメッセージ欄に情報を極限まで詰め込んだ、一見して「なんのこっちゃ」と思うような説明文です。

…と、このような大量の情報が、たった1行にまとめられているのです。
ロダネの初期SP技「フライクーゲル」は、さらに効果が分かりにくくなっています。「次ターンまでに狙撃魔弾の威力強化」と言われても、「『狙撃魔弾』…って何!?」が初見の印象でしょう。
「狙撃魔弾」とは…ぶっちゃけ、「スキル説明に(狙撃)が付くスキル」のことです。初期の「狙撃魔弾」は「ヘッドショット」しかないため、「フライクーゲル→ヘッドショット→次ターンはヘッドショット連発」がロダネの基本コンボとなります。フライクーゲルの消費SPは次の狙撃スキルで十分以上に溜まる量ですし、フライクーゲルのRTも少ないため、安定してダメージが狙えるコンボです。

この他にも、魔王様の初期スキル「ディスパッチ」や「プレイグブレイド」などで状態異常を重ね掛けしてからの「シャークバイト」など、スキル重ね掛けによる効果増強は、本作の醍醐味かつ必須知識となっています。
この要素に慣れるためにも、序盤からどんどんスキルを使用することを、チュートリアル時点から念押ししているのが本作「屑鉄まとうデモナ」なのです。

思えば、作者のくろあめ氏の処女作「だいちのちから」「だいちのかけら」からして、スキルへのこだわりが生んだ作品でした。そこから徐々にツクールに理解を深め、複雑な滋味を生み出すスキルカスタマイズが実装された現在の作品が生み出されたのでしょう。
本作は、大幅に、そして様々な意味で「複雑なRPG」です。それは、戦闘システムや戦闘難易度だけでなく、ストーリーの進め方やストーリーそのものまで、「デモナ」の全てが複雑なのです。
特に、OP直後のダンジョンが「いざという時の回復拠点が『スタート直後の箱』と分かりにくい」状態で始まる点が、本作の(印象上の)高難易度の要因ともなっています。ここで挫折することが無いよう、「スタート直後の『!』が表示された箱が回復ポイント」などの知識吸収を能動的にチャレンジしていきましょう。
本作はその「チャレンジに対するご褒美」も豊富に揃っています。手軽なサブクエスト、ダンジョンの各地に陣取る隠しボス「万神」、能動的に探索する度に、レベル、装備、そして知識とプレイヤースキルが徐々に強化されていくのを実感する喜びは、まさに「高難度ゲームの醍醐味」と言えるでしょう。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:8 グラフィック:8 サウンド:9

伝説を知る度毎に 未知なる価値を飲み込むように

 高度に発展した魔導器文明の全盛は遠く過ぎ去り、戦火に焼き尽くされた大地。
 力ある先人たちはこの世界を見捨て、去って行った。世界の主役は人類から魔物へと変わりつつある。
 栄光の日々の抜け殻に埋もれながら、やがて来る冬を予感しながら、それでもこの世界には、わずかな人間がしがみつき、その日一日を生きていた……

 滅びゆく世界が美しいのは、そこにしがみつき、なんとか生きようとする人々や、彼らが残した、その営みの痕跡が煌めくからです。
 終末を予感しているからこそ、その煌めきは気高く、消える間際のろうそくの光のように、強く目に焼き付くのです。

 ……なに? それどころではない?
 戦闘で手一杯で世界観を楽しむ余裕が無いと?

 いやいや、そんなバカな。
 主人公は未来を嘱望された魔王候補ですよ?
 そりゃあ今は未熟かも知れませんが、生まれ持った素質があるんですから、そんじょそこらの魔物に遅れを取るようなことは……
 え、第一章のザコ戦で全滅した!?

 一応補足しておきますと、本作における「魔王」は、魔物の王ではありません。
 主人公たちは「魔族」と名付けられてますが、これはあくまで亜人種です。卓越した魔力があるとはいえ、人間の域に留まる一種族に過ぎません。
 となれば、魔物が主役になりつつあるこの世界で、

魔物 >>>(人外の壁)>>> 一般魔族 ≧ 他亜人種 ≧ 人間

のヒエラルキーが成立しているのは、何らおかしな話ではありません。
 観光客気分では生き残れないのが当然なんですよ。

 そんな、戦闘で詰まってしまっているあなたに、とっておきのアドバイスがあります。
 メニューから、[オプション]を開いてみてください。
 そこの戦闘難易度を変更しましょう。
 一番易しい[ストーリー]にすれば、敵のステータスは[ノーマル]の半分以下に落ちるので、きっと問題なく対処できるように……

 確かに、ボクは、ノーマルでクリアしましたが。魔物図鑑を100%にする程度までは進めましたが。
 アドバイスを求められても、自分のやり方が正しいとは思えないんですよね。
 どうせガチ勢に鼻で笑われる程度の内容ですから、「そんな考え方もあるのか」くらいに考えておいてくださいませ。

◆ザコ戦との付き合い方

 「ザコ」と呼ぶのもおこがましいのですが。イベント戦以外のことです。
 第1章のザコ戦で全滅する、あるいはパーティが半壊して泣く泣く逃げ出す、これはもう避けられないと思ってます。
 戦い方がわかっていれば、そこまでひどい被害は避けられるはずですが、わかってないんだからしょうがない。
 トライアンドエラーをする暇も無く、なにやらオーラの付いた敵に先制されて、そのまま1人戦闘不能に追い込まれてガタガタに、というのは誰もが通る道です。
 こんな調子でやっていけるのか? と不安にもなるでしょう。

 逆に考えるんだ。
 「逃げちゃってもいいさ」と考えるんだ。

 本作のザコ戦は、不意を討たれない限り、戦闘開始前に逃げるかどうか選択できます。
 そして「逃げる」を選択すれば、どんな相手でも100%逃走成功します。
 勝てない相手につまずいてゲームを投げ出すくらいなら、逃げちゃった方がよほどマシというものです。

 あなたはきっと思ったでしょう。
 「ザコにも勝てないのに、ボスに勝てるのか?」と。

 第3章くらいまで、サブミッションの中に、他より一段弱いボス敵が存在します。
 第1章なら、モグラ退治のミッションがそれに該当します。
 敵の種類が固定で、不意討ちもなくオーラを纏うこともない、後の探索のためにリソースを残すことを考えなくてもいいボス敵の方が、ザコよりもずっと気持ちが楽なんですね。
 試行錯誤して、対策を練って、きっちりと勝ちましょう。
 本作では、ボスもすべて経験値を持っています。勝てば1つ2つレベルが上がるはずです。
 そして駅舎で休めば、ミッションクリア報酬として駅舎イベントが発生、ステータスがさらに上昇します。

 その調子でボスやオオヨロズを倒せるだけ倒して、だんだんボスを倒すのも難しくなってきたな、と感じたところで、改めてザコ戦で稼げばいいのです。
 ボス戦で得たステータスとスキルと装備、図鑑の情報、そしてそれまでのプレイヤーの経験があれば、もう不覚を取ることは少ないでしょう。
 それでもなお、本作のザコは油断ならない相手です。出し惜しみは厳禁です。
 リソースが無くなったら、[Alt]キーを押して、[座標を保存して帰還]すればいいのですから。
 レベル上げまで時間が掛かるようになったと感じたら、残りのサブボス、そして章ボスを倒す頃合いです。

 ……今までの話は、不意討ちされないことが前提です。
 不意討ちされたら死というのは、本作で不変の真理です。
 よほどよそ見をしていない限り不意討ちは回避できるでしょうが、くれぐれも気を抜かないように。

◆行動順を理解しよう

 初見だと、どうしても余らせてしまいがちなのがAP(スキル修得ポイント)。
 使い切った方が強くなる、とは言うものの、これも初見では避けられないと思ってます。
 本作のスキル修得は自由度が高いです。どの技も強力で、使い方がハマれば、素晴らしい効果を発揮します。
 ただし、修得の順序によって、今目の前にいる敵に対する有利不利が生じるのも事実です。
 そしてその不利を簡単に覆せるほど、つまり言葉通りに「どんな修得順序でも問題ない」と言えるほど、本作は易しくないのです。
 ボス戦で詰まってしまった時のことを考えると、そのボスに対応するスキルが修得できる程度のAPの余裕が欲しくなるのは、仕方の無いことですよ。

 そもそも最初のうちは、一行説明からスキルの内容を理解することが難しいでしょう。
 ついつい目が滑って、大切なことを見落としがちですし、ボクのようなぼんくらは、そもそも何が大切なのかよくわからないんですね。
 そんな以前のボクに、今のボクから教えておきたいことが、いくつかあります。

 まず「先制」の記述について。
 本作のバトルシステム上、極めて重要な意味を持ちます。
 1ターンで2回以上行動できる本作ですが、各キャラの行動は必ず「1まとまり」で行われます。
 キャラAの行動1と行動2の間に、キャラBや他の敵の行動が挟まることはありません。
 そして、1ターンの内に入力した最も速い行動によって、キャラの行動順が決まります。
 つまり「先制」属性が含まれたスキルを1回でも入力していれば、他に入力した行動とまとめて先制できるのです。
 ……はい、これでオーラ付きミミナリバエに先制されて全滅させられる危険を回避できますね?

 この説明、序章の戦闘チュートリアルでいの一番に説明される最重要事項です。
 なのに見逃すのは、序章でその特性を理解する機会が少ないからか、単にボクが不注意すぎるだけか、どちらかですね。

 「先制」付きのスキルは、それだけで強力です。反面、ほとんどがSP消費スキルだったりで、(消費が)重いスキルが多めです。
 主人公の初期スキル、クイックドローはその点、(消費が)軽くて速い、珍しいスキルです。
 (ダメージが)安いというあからさまな欠点だけに目を付けて、早々にスキル欄から外すのは早計ですよ。

◆回復スキルは上級者向け?

 本作には、劣ったスキルは無いと言ってもいいでしょう。すべては使い方です。
 それは、回復スキルも例外ではありません。
 回復量はステータスによってどんどん上昇し、修得すれば最初から最後までフル回転します。
 また使った時のSP上昇量が多いのもポイント。重いSP消費のスキルをガンガン使っていくことができます。
 MP消費量は重いけど、直接攻撃でMPが回復するんだし、実質タダみたいなもんじゃね?

 そう思って、リアニメイトまで一直線に修得していく過去のボクよ。その気持ちはよくわかる。
 だが、ちょっと待って欲しい。
 その回復、アイテムで十分じゃありませんか?

 本作は基本的に、アイテム以外に金の使い途がありません。
 宿泊はどこでもタダです。装備はむしろ、主人公がダブった装備を売る側です。イベント等で金が必要になる局面もありません。
 買える限り、持てる限りアイテムを買い込み、どんどん消費していくのが、おそらく想定されたプレイスタイルです。

 たしかに、アイテムは基本的に回復量固定ですし、SP上昇も一切ありません。しかし、誰でも使えるという確かなメリットもあります。
 そもそも本作の回復スキルが強力なのは、術式修得盤の初期位置からかなり外れた場所にあり、APを消費する代償という側面が強いです。
 回復スキルを取りに行こうと、他のスキルに回したいAPを使ってしまえば、特に序盤、戦い方の幅を狭めてしまいます。
 戦闘チュートリアルの最初で「本作は攻撃寄りの戦闘バランス」と明言しているのも、そんな罠にはまるのを防ぐ意味があるでしょう。

 そもそもボクのようなタイプは、「アイテム使用は勿体ない」という強迫観念から、よほど追い詰められないとアイテムを使わない傾向があります。
 ステータスUPアイテムを死蔵したりするのが特徴です。使いなさい。
 本作は最初から最後までメンバーの入れ替えが無いんだから、溜めておくことには何の意味も無いんですってば。

◆回復よりも大切なこと

 当たり前の話ですが、チュートリアルの言う「攻撃寄りの戦闘バランス」とは、ダメージだけ与えていれば勝てるという意味じゃありません。
 先手必勝、殲滅が通用するのはせいぜい序盤のザコ戦まで。ボス戦は長期戦必至です。
 じゃあ回復するしかないじゃん! というのが、そもそも思い込みの端緒です。
 結果、第3章あたりで、1ターンで戦闘不能にしてくる火力の前に粉砕されるのです。

 そんな目に遭いたくなければ、敵の攻撃を防ぐすべを学ばねばなりません。
 それも複数種類、組み合わせて使うことを理解するべきです。

  1. 行動不能にする、行動を制限する
     これが決まれば大きい、けど特にボスには効きづらい大技です。
     具体的な状態異常としては、麻痺・睡眠・スタン・封印・混乱が該当し、主に機工剣術で付与します。
     これまたチュートリアルで明言されますが、本作にはボスの即死耐性以外、状態異常に完全耐性を持つ敵はいません。ボスにもちゃんと状態異常が効きます。
     ただし、耐性が0とは言ってないわけで。運気等ステータスの底上げ、抵抗力弱化や状態異常発生率上昇等々の下準備をしないと、なかなか通らないのが実情です。
     そして仮に通ったとして、10ターンの間、同種の状態異常に抵抗ができるシステムがあって、再度同じ状態異常にするのはさらに難しい、という。
     チュートリアルでは複数の状態異常を使うことを推奨してますが、限りあるCPやスキル枠の事情もあって、ちょっと考えちゃいますよね。
     相手を止め続けることはできないし、狙った時に行動を阻止することも難しいので、阻止できたらラッキーと考えて次の行動に備えましょう。

  2. 命中率を下げる
     お手軽かつ序盤から使える対処方法です。
     状態異常としては暗闇が該当しますが、先程述べた10ターン抵抗もあって、なかなか継続するのが難しいです。
     そこで活躍するのが、確率デバフである命中弱化です。
     補助的な位置づけですが、ステータスデバフの敏捷弱化もあります。

     これらは、全て別々の付与状態ということに注意してください。
     デバフは、状態異常とは別の付与率で管理されています。
     これはボスもザコも共通で、同カテゴリのデバフの内、最初の1つは100%付与できます。2つ以上重ねがけすると確率低下していく仕組みです。
     ちょっと説明がわかりにくいですが、命中弱化は確率デバフ、敏捷弱化はステータスデバフで別カテゴリです。
     つまり、命中弱化と敏捷弱化を重ねがけしても、付与率は下がらないんですね。

     序盤で修得できる命中弱化付与の魔導砲術、フミゲートボムは、特にザコ戦で有効です。全体掛けですしね。
     格闘も砲撃も関係なく、相手の攻撃頻度を下げることができるので、とても便利です。
     反面、結局は確率低下でしかなく、当たる時は当たる、ということは忘れてはいけません。
     一撃で戦闘不能になるような攻撃の前では、さらに別の防御手段が必要です。

  3. 攻撃力を下げる
     説明の流れで3番目にしちゃいましたが、これが基本です。
     これも複数種類のやり方があります。
     状態異常で言うと心蝕、機工剣術のマルディクションで付与できますが、修得は中盤以降になるでしょう。
     序盤から活躍するのは、ステータスデバフである格闘弱化と砲撃弱化を付与できる呪装銃術、ソードブレイカーとバレットジャマーです。
     同じく属性弱化も、動力鎚術で手軽に付与できるので、序盤から活躍します。

     属性弱化も、また別カテゴリのデバフなので、ステータスデバフや確率デバフと重ねがけしても付与率は下がりません。
     ボス戦の場合は、ぜひ別カテゴリデバフの重ねがけを検討してください。
     格闘弱化と砲撃弱化は同カテゴリのため、重ねがけすると付与率低下が起きてしまいますが、中盤までのボスならどちらか一方だけ得意な場合がほとんどです。
     得意属性と、格闘と砲撃得意な方、両方弱化すればかなりダメージを抑えられます。

     それはしかし、ボスも自分の強みは理解しているわけで。
     ボス自身によるバフによって、デバフがかき消されることが多い、というのが弱点です。
     本作のバフはデバフを消すのみならず、バフで上書きする性質があります。
     逆にデバフも、バフを消した上でデバフに上書きすることができるわけで。
     どちらかというと、敵のバフを消すために活躍することが増えてくる感じです。

  4. 防御する
     TIPSで急に「防御」の話が出てきて、ボクはかなり戸惑ったクチです。
     だって本作には、通常行動としての「防御」は存在しないんですから。

     じゃあ防御とは何かというと、一部のSP消費スキルで付与される、1ターン限り有効な強化状態です。
     付与できるスキルの数は多くありません。複数回行動前提の本作では、それほど防御は強力な選択肢だからです。

     特に「先制」付きの場合は強力で、敵が「先制」スキルを持ってない限りは、確実に防御することができます。
     具体例を挙げると、主人公の初期スキル、テールウィンドですね。
     このスキルは本当に強烈で、防御効果は1ターンだけですが、反撃率上昇は3ターン続き、反撃することでモリモリSPが溜まって元が取れちゃいます。
     最初から最後まで活躍するスキルで、主人公の強さの一端を担っています。

     付与できるスキル数とRT(リチャージターン)の問題で、ずっと防御し続けることはできないのが注意点です。
     スキル数が揃わないうちは、相手が奥義オーラを纏った時にピンポイントで使う等、使うタイミングを絞る必要があります。

 他にも、味方のステータス・属性バフ等ありますが、省略します。
 本作は敵味方とも、状態異常やバフ・デバフが乱れ飛ぶような環境です。
 装備のウェイトも大きいのですが、しかし装備で状態異常耐性を100%にはできません。
 属性の軽減率はもっと小さく、せいぜい20%程度、半減させることはまず無理です。
 ゆえに、スキルとの組み合わせが肝腎です。
 スキルと装備で自分の弱みを埋め、相手の弱みを突いていくことで、より楽に戦えるようになるでしょう。

 繰り返しますが、今までボクが書いてきたようなことは、だいたいがチュートリアルに書いてあることです。
 しかし、チュートリアルを読んだからといって、理解して戦えるかどうかはまた別です。
 本作の戦闘システムを理解してはじめて、本作の世界観を楽しむ余裕が出てきます。
 ただ、ボクがどの程度理解しているかというと。少し難しすぎました。

ハマリ度 : 8 / 10
 楽しいか楽しくないかで言うと、強大な敵を倒した時の達成感はひとしおだったし、敵が強いからこそ、終末的な世界に没入できたところはある。
 しかし素直に喜べないのは、自分の理解不足が原因で、気付かずに縛りプレイをしているような懸念が、最後までつきまとったからだ。
 自分の考える「普通」のプレイをしているだけなのだが、それで難しいのが、意図された難しさなのか、意図していないことをやってるが故の難しさなのか、判断できかねた。
 自由度の高さと難度の高さは両立しうると思うが、本作の場合は、自由度の高さによって、何が意図した楽しみなのかが読みにくくなっていると感じる。

 敵の行動や状態異常の付与率、クリティカルや反撃等々、確率に大きく左右される戦闘もあって、まぐれで勝ったのか、勝つべくして勝ったのかがわかりにくいのが、意図の読みにくさを助長している。
 一度撃破したボスでも、再戦すると手も足も出ずに負ける、ということが頻繁に起きる。
グラフィック : 8 / 10
 マップでは、レーダーが表示される右上ばかりを注視しがち。アイテム取得表示はデフォルトだと、そのレーダーを覆い隠すように表示される。気になるならオプションで「アイテム入手ポップ」を位置可変に設定すると良い。
 のだが、終盤でレーダーが効かないダンジョンが登場すると、実はレーダーが無くても問題ないんじゃないかと気付く。シンボルエンカウントの本作では、歩数がかさむことにストレスがあまりなく、むしろマップのグラフィックを見せたいなら、レーダーがない方が良かったのではないか。
 それでもレーダーを見てしまうのは、そこにあるから、というのが最大の理由。マップの作りが画面に対して若干広く、見通しが悪いことも一因。
サウンド : 9 / 10
 曲数を絞っている分、印象に残る使い方をしている。特にボス曲は、クリア前は2曲だけ + ラスボス2曲しかない分、聞くと自然とモードが切り替わる感じがある。
 通常戦闘曲はダンジョン毎に切り替わるが、ダンジョンがそこそこ長いので頻繁に切り替わる感じはない。クリア後にランダム選曲や曲固定オプションが選択できる仕様には納得できる。

 想定クリア時間は10時間強と書いてありますが、おそらくそれは作者の意図通りにプレイできた場合でしょう。
 ボクみたいに要領の悪い人だと、20時間くらいはかかります。
 そこまで時間が掛かったのも、多分これ間違ってるんだろうなあ、と思わずにはいられない理由です。

 それもこれも、ゲームを評価するという話があるから、気になる部分であって。
 ボクの本音としちゃ、プレイして楽しけりゃ、それ以上のことは無いでしょ? というところです。
 万人に受け容れられるとは正直思えない部分もありますが、ロダネがかわいきゃそれでいいというのも、大変結構な感想じゃありませんか。
 ちっこくてパワフルなのは正義という、それ以上の真理は本作に無いのかもしれませんよ?

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