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■ 奇譚 イワナガ

タイトル画面
作者 [ Buster さま(現:蓮田 さま) ]
ジャンル [ アクションシューティング ]
容量・圧縮形式 [ 11MB・ZIP ]
製作ツール [ シューティングツクール95 ]
備考 [ 2007 コンパクweb 秋 金賞受賞 ]
ダウンロード ダウンロード先

(補足)
2011.09.25:DL先を変更(赤松弥太郎 さま、情報ありがとうございます。)

イワナガ 誕生シーン 対 大目玉 対 大蟲 対 大亀 対 大魚

レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 8 /10 10/10 9 /10 132/150 B
ckck 8 /10 9 /10 8 /10
爽やかそうな大虹風 9 /10 10/10 9 /10
駄々甘 8 /10 9 /10 9 /10
赤松 弥太郎 7 /10 10/10 9 /10

 《 ES 》  ハマリ度:8 グラフィック:10 サウンド:9

冥府 デ 共ニ 生キル タメニ

■ 序文

今回のイチオシ「奇譚 イワナガ」は、皆様ご存知の通り、コンパク金賞を受賞した、まごう事なき傑作です。
書き込まれたドット絵技術、
笙(しょう)や和太鼓、鈴の音を効かせた和風で重厚なサウンド、
シューティングツクール95の機能を限界以上に生かしきった作りこみ、
そして、グラフィック・サウンド・スクリプトの全てを一人で作りこんだ気合の入れよう…
まさに金賞にふさわしい珠玉の作品です。

しかし、その気合の入れ方が、プレイヤーにとっての足枷となっている部分も散見されます。難易度が高く、操作が複雑で、とっつきが悪いと言う点です。
今回の私のレビューは、この点についてあえて斬らせていただきます。
決してこの作品を貶めるつもりはありません。読者の皆様に、このレビューを通して、より深く「イワナガ」を楽しんでいただきたいと思うがためです。

■ 複雑な操作体系

操作説明 「イワナガ」のような「地上固定の機体+サイト」タイプのシューティングは、普通の「自由に動ける機体+ショット+ボム」と言う典型的なシューティングや、「サイトのみ」のガンシューティングと比べ、どうしても操作が複雑にならざるを得ません。
特に、シューティングツクール95は、「自由に動ける機体+ショット+ボム」形式のシューティングに特化したソフトです。操作ボタンは2つしか設定できません。
そんな制約の中で「イワナガ」は、近接攻撃・ショット・緊急回避・武装の切り替え・照準移動方式の切り替えと言う複雑な操作を成り立たせているのです。
「ショット+ボム」形式のシューティングに慣れている人や、シューティングそのものに慣れていない人にとっては、この点が第一の足枷となります。
特に、「カーソル上下+緊急回避」と言う操作で行う武装切替は、うっかりカーソルを押すタイミングを間違えると、緊急回避が暴発してしまい、大切な「時」をムダに消費してしまうハメになります。

作者様自身も、操作の複雑さは自覚していたようです。そのため、ゲームプレイ直後の操作説明画面では、実はプレイヤーの手で存分に操作練習ができます。
しかし、初心者に限って、この画面をShift連打で飛ばしがちです。
この点は、「操作説明モード」を別に付けるなど、より良い対処法があったと思います。せっかくサウンドテストまで付けたのですから。

■ 緊急回避が、緊急で使えない!?

「地上固定の機体+サイト」形式のシューティングで重要となるのは、実は「緊急回避」です。同タイプの「NAM-1975」や「カベール」などでは、「緊急回避を使いこなすだけで、誰でもクリアできる難易度になる」と評されるほどです。
しかし、「イワナガ」の緊急回避は、「時」を消費しなければ発動できません。「時」が切れたときのペナルティが無いEasyでも、ゼロになると発動できません。ましてやNormal以上では、文字通り命を削って発動するので、頻繁には出せないのです。
必然的に「イワナガ」では、通常移動や近接攻撃での弾消しが重要となります。密度の濃い弾幕は、ほとんど近接攻撃で消去できますし。
また、照準移動方式の切り替えも、この意味で重要になります。「ショットを打ちながら移動できる」「低速で移動できる」と言う点は、状況さえしっかりと判断すれば、かなり使える要素なのです。

■ 厳しいけれど

はっきり言いましょう。Busterさまの作品は、本作「イワナガ」にしろ、前作「Vacant Ark」にしろ、
攻略方法の組み立てを楽しむゲーム
だと言うことです。
「Vacant Ark」「イワナガ」を通してコンティニューが無い理由も、ここにあります。「超クソゲー」にある「美食戦隊 薔薇野郎」のレビューを借用すれば、アーケードゲームの「聖なる一回性」の緊張感を目指した作品なのです。
最終ボスまでに「時」や体力をどれまで持たせればいいか、そのために、敵キャラの攻撃パターンを知り、自機狙い弾は通常移動で誘導させ、弾幕は近接攻撃でさばき、それだけでは避けきれない場合に「超力」をぶち当てる…と、プレイヤー自身で攻略法を考え、それが的中したときのカタルシスを楽しむ作品なのです。

そのため、「初見でも、ある程度の結果や達成感が得られるゲーム」が好きな方(私自身も大いに含む)には、少々とっつき辛い作品であることは否めません。
しかし、「イワナガ」はそれ以上にプレイするごとのレベル上昇がハッキリ分かるゲームでもあります。正直、初回プレイで惨敗することは当たり前です。その場で諦めず、繰り返しプレイすれば、きっと貴方のゲーマーとしての本能は応えてくれます。
その意味でも「イワナガ」は、コンパク金賞と言う名誉にふさわしい傑作なのです。

■ まとめ…と言うよりES的蛇足

この「イワナガ」、当のコンパクでは、審査員に「シューティングツクール95じゃなかったら、プラチナ賞モノなのに。」と言われています。
そのコメントを見た私は、「何で(元)自社の製品を貶すんだ。」とか「グラフィッカーだからって、プログラムを知っているとは限らないだろう。無茶言うな。」とか、色々と思う所がありました。しかし、2ボタン固定・コントロールのカスタマイズ不可・環境によってはジョイパッドが効かない・1ボタン=Shift(スタートボタン)と言う、一般的でないジョイパッドの配置など、様々な弱点をシューティングツクール95が抱えている事も確かです。

フリーシューティングでは、ソースまで自分で作った作品が主です。RPGツクールが2000以降に、格闘ゲームツクールが2ndに完全に移行した現在でも、シューティングツクールの新作が影すら見えないと言う現実が、それを物語っています。
確かに、「イワナガ」の複雑なシステムをシューティングツクール95に落とし込むのは、通常のプログラム以上の苦労があると思います。これを機に、Busterさまもオリジナルプログラムに移行されてはいかがかと、私も思います。
まずは、ゲームプログラミング関連の情報が充実しているHSPから始めてみてはいかがでしょうか。

 《 ckck 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:8

その想いは、千代に、八千代に。

ハマリ度8/10
システム・操作ともにオリジナリティーが高く、STGとACT要素の配合が見事。
その反面覚えることが多くなっているため、とっつきづらい作品となっている点は否めない。
グラフィック9/10
ドット絵は和のテイストをベースに、繊細かつ丁寧に打たれている。適度に盛り込まれたグロさも中々に良い味。
欲を言えば、雑魚敵のバリエーションがもう少し欲しかった。
サウンド8/10
ゲームの雰囲気に合わせた落ち着いた曲調で、統一感もある。
ただ、ボス戦のBGMに限れば盛り上がりを少々欠いてしまっている気も。

少し長めの前置き

私達は普段、何の気なしに『ゲーム』という語を使っていますが、その定義って何なんでしょう。
麻雀のように人と卓を囲んで行うものもゲームであれば、シューティングのように一人で延々と敵を撃墜し続けるものもまたゲーム。
ルールも遊び方も全く異なる遊戯にも関わらず、それがゲームというくくりに入っているということは、麻雀とシューティングにも共通項があるということでしょう。

万人に通じるような明確な定義づけは不可能と思われますが、それでもゲームのゲームたるゆえんを考えてみますと、ゲームと呼ばれるものの大半に「リソース(資源)をいかに有効活用するか」という共通した命題があります。
前述の麻雀なら点棒や牌、シューティングなら自機のパワーやボムといった具合に、プレイヤーが活用できるリソースが用意されています。

ゲーム内容について

長めの前置きから大よその見当は付いていると思われますが、今作「奇譚 イワナガ」最大の特徴は、プレイヤーが管理すべきリソースにあります。

自機の体力』は勿論のこと、消費することで無敵行動が可能となる『残り時間』(ゼロ≒死)。
この片方を回復させるアイテムを出現させるショットは撃てば撃つほど弱体化し、もう片方のショットが強化される仕組みを持った『心力ゲージ』。
そして、弾消しやショット攻撃で蓄積され、最大時に強力な一撃を放てるようになる『超力ゲージ』。

これら種類の豊富さとシビアさは、シューティング随一と言っても差し支えないでしょう。
少なくとも私は、コレほどまでに考えながら戦わなければならないフリーSTGを他に知りません。

まとめさせて頂きます

リソースの種類が多く、ACT要素も高いため、このゲームのシステムは確かに複雑です。後先考えずに攻撃していては、あっという間に追い詰められてしまい、雑魚敵にやられてしまうことも少なくありません。
しかし、リソースの特性を把握し、それらの管理と活用を習得することが出来れば、戦術面のみならず戦略面でも楽しめる希少なSTGへの変貌を見せてくれることでしょう。

 《 爽やかそうな大虹風 》  ハマリ度:9 グラフィック:10 サウンド:9

操作方法で奇譚イワナガ

親戚の方に数日前(数年前かも)「えんぴつで奥の細道」を貰いました。
鉛筆で文字をなぞって芭蕉殿と160日の旅に出るはずが、性に合わないらしく4日で足(鉛筆)を折ってしまいました。南無。
と言うわけで(どういうわけで?)なぞるならもう少し面白い物をと思い、はや数十年。

操作方法で、独特な雰囲気を持つ奇譚イワナガの魅力をなぞる事に決めました。強引

地の章-移動-

質問:奇譚イワナガでは移動は何のためにあるのでしょう?
答え:弾幕 を避ける為
様々なボスが放つ弾幕は正に打ち上げ花火のよう
操作に慣れないうちにHARDモードでプレイすると、「たーまや~」とか叫びながらESCキーを3連打したくなります。

安全な攻略には方向キーによる移動の他に、ジャンプとダッシュの使用が大事です。
ジャンプとダッシュにより無敵になり、敵や弾をすり抜ける事が出来るのです。

水の章-攻撃-

攻撃には大きく分けて2種類あります。
Ⅰ近接攻撃 :近距離を攻撃。紫色の弾を消す事ができる。
Ⅱ照準攻撃 (ショット):メインの攻撃方法。連射可能。照準攻撃にも2種類あって

【羽々矢】 はばや
【鏑矢】 かぶらや の2種類があります。

羽々矢は照準地点を直接爆砕。威力大で、照準の移動速度が速い。敵を倒すと体力が回復する“陽石”が出る。
鏑矢は照準の方向へ散弾攻撃。攻撃範囲が広く、当たると爆風が発生する。鏑矢で敵を倒すと時間が回復する“陰石”が出る。

攻撃の使い分けがこのゲームで1番大事な要素です。

敵の種類、残り時間、残り体力によって使うショットは変わります。
しかし、照準攻撃にはエネルギーがあり、2種類のショットで1つのゲージ(心力ゲージ)を共有しています。
同じショットを連続使用していると徐々に威力が低下していきます。しかし、使い続けたショットが弱体化するのと引き替えに、もう一方のショットが強化されるのです。

体力がある序盤に鏑矢で時間を得るのがおすすめです。後は残り体力・時間に気をつけながら心力を好きなようにコントロールして進みましょう。

中には近接攻撃が利くボス、鏑矢が効果絶大なボスなどがあるのでいろいろ試して見てください。始めは使い分けが難しいですが、慣れれば NO PROBLEM!きっと

攻撃方法に慣れたとき、イワナガの真の面白さが(そして、HARDモード攻略の糸口が)見えてくるでしょう。

↑を見て使い分け出来そうにも無いとため息をついている、そこのピエール君。
時間制限、心力が無いEASYモードがあるから大丈夫。だから出ておいで。

天の章ー天数ー

さらなる操作方法はマニュアルに譲るとして。。点数を
マニュアルはゲームの雰囲気を保ちつつ丁寧&綺麗なので100点。
肝心の本体は。。

ハマリ度:9/10

RPGの細かさは無いが、雰囲気が語るストーリー。
巧みな難易度設定。アクション、シューティング、パズルの3つの面白さを持つボス戦。
10点!と言いたいところですが、初心者へのとっつき難さ、(私には)爽快感が足りないので-1点です。
個人的にはコンティニュー希望です。

サウンド:9/9

BGM自体は数多く無いものの、どれもがステージとよく合っている。
サウンドテストもあります。

グラフィック:10/10

多少解像度が低いのが難点なものの、出てくる敵、背景すべてがいい雰囲気を出している。
無論一番美しいのはボスですが、スクリーンショットを取る暇など無い

 《 駄々甘 》  ハマリ度:8 グラフィック:9 サウンド:9

人の恋路を邪魔する奴は、賽の神に斬られてしまえ。

ゲームをプレイしていると、斬殺より爆(射?)殺が多かった気もしますが気にしないでください。
前回のレビューとは違って萌えは無いですが、しかし個人的にはこういう雰囲気の方が好みです。本当の事です。嘘じゃないですよ。…嘘じゃないってば。

前回のレビューを踏襲する出だしで芸が無いと言われそうですが、イチオシの時はコレで押し通そうと思っています。勿論、内容もシステム面重視です。
その上で面白さを伝えられるよう、更に文章に磨きをかけたい所ですが。

それでは、このゲームのシステム面を見ていきます。

中々普通(弾幕系含む)のSTGには無いシステムも多いです。
特に制限時間は、タイムアタック系のSTG以外ではこのイワナガぐらいでしか見たことがありません。

制限時間、はっきり言いましてクリア可能な時間ではありません。しかし、雑魚を倒した時に必ずアイテムが出て、武器の種類によって体力回復か時間回復かが決まりますのでそれで困る事は無いでしょう。
また、それぞれのエリアのボスを倒した時に体力が回復し、体力が満タンだった場合には時間が回復します。
緊急回避の使用と併せて、上達するほど確実に先へと進めるようになります。

武器の使用による威力の減衰ですが、雑魚を一蹴できる威力は保ちますので、ストレスとなる事はありません。
但し、効果自体は目に見えて変ってくるのでうまく切り替えてボスに望みの武器で止めを刺すのは中々楽しいものがあります。

しばらくプレイしまして、個人的にはこのゲームは「自機が画面内に存在するガンシューティング」というのが最も近い表現だと思っています。
射撃から斬りへ切り替えたり緊急回避を使用するタイミング等段々慣れてきて、私のようなACTやSTGが下手な人間でも先に進めるようになり、多分、上級者にはより効率よく敵を撃破したりしてスコアアタックをするという楽しみもあります。

敵の出現のタイミングや行動パターンは難易度が変っても同じですので、低難易度でのプレイの経験も、将来上の難易度でプレイする時に確実に役に立ちます。
しかし、難易度が上がるほど敵の攻撃も激しくなったり消せない弾が混じったり自機を狙う弾が増えたりしますので、その事でマンネリになったり飽きるという事もありません。
ところで、自分より大きい剣を振り回すオンナノコは敵だろうと年齢不詳だろうと萌えですよね?


ハマリ度:8/10
下手な私でも何度も挑戦すればクリアできるちょうど良いバランス、ボタンは押しっぱなしで回避だけに専念というような事が無いように作られたシステム。どれも凄いです。
グラフィック:9/10
この雰囲気は好きです。PrintScreenでは潰れてしまうのが残念ですが(点数には無反映)。
サウンド:9/10
統一感も雰囲気もあり素晴しいの一言です。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度:7 グラフィック:10 サウンド:9

the past should give us hope.

 今回のイチオシは「アクションシューティング」という、若干耳慣れないジャンルです。恥ずかしながら私、今回初めて知りました。
 ESさんによりますと、

> 「NAM-1975」「罪と罰」に代表される、機体+照準タイプのアクションシューティング。

 とのことですが、どっちも知らーねー !! という方も、私のみならず多くいらっしゃると思いますので、私が聞きかじった限りでの解説を、下に書いておきます。

NAM-1975 SNK 1990 ネオジオ
 画期的な業務用アーケードシステム(当時)ネオジオの、記念すべき第一作。
 当時、硬派な漢のための熱いゲーム作っていたSNKを代表する死にゲーとして知られている。
 しかし実際のところ、難しいと言っている人の大半が、緊急回避ボタンを使っていなかったため、無駄死にしていたのだと言う。
 緊急回避ボタンを使いこなせるかどうかで、本作の評価は180度変化するらしい。
罪と罰 ~地球の継承者~ 任天堂(トレジャー) 2000 NINTENDO64
 N64のコントローラーを100%活用するために開発されたゲーム。
 3Dスティックで照準を合わせ、十字キーで移動する、N64ならではの独特の操作感覚が特徴。
 開発側のトレジャーは激烈難度で知られたメーカーだったが、チュートリアルの充実や難度調整等、任天堂の徹底的なテコ入れによって、末永く遊べる傑作として評価されている。
 Wiiのバーチャルコンソールでは、Wiiポイント1000で遊ぶことが可能。

 以上、代表作についての世間の評価から、「アクションシューティング」とは何か読み解きますと、

 とにもかくにも操作性が命になるこのジャンルですが、本作の操作性については他のレビュワーの皆さんが色々と書いているはずなので、私からは割愛します。評点でちょっとだけ書きますね。
 なので私からは、操作を覚えてもらうための本作の工夫と、操作を覚えた後の本作の奥深さを書こうと思います。
 ってーかぶっちゃけ、元ネタはほぼ日刊イトイ新聞罪と罰特集です。

◆その戦略、幽玄にして深淵

 本作は、体力時間という、2つのゲージを核にしてシステムを組み上げています。
 弾に当たれば体力が減り、回避を使えば時間が減る。誠にオーソドックス、よくあるシステムです。本作はそのアレンジが見事なのです。
 自機には羽々矢鏑矢の2つの武装があります。敵を羽々矢で倒すと体力回復アイテムが、鏑矢で倒すと時間回復アイテムが出ます。
 鏑矢は自機から直進する弾道を描き、進路上にある敵を攻撃します。当たると爆風が広がり、その周囲の敵も巻き添えにします。ザコ掃討に特化した性能です。
 羽々矢は、進路上にある敵を一切無視して、照準まで瞬時に届きます。照準を合わせてから撃たないと当たりませんが、連射性が高く、威力も高めです。ボス戦に特化しています。
 この2つの武装を切り替えつつ戦うのですが、厄介なのが一番下のゲージ、心力です。
 一方の武器を使うほど、その武器は連射性が落ち、威力も落ち、回復アイテムもしょっぱくなります。しかし使っていない片方の性能は回復し、強化されていきます。
 鏑矢の場合、最低状態だとザコさえ満足に落とせず爆風も起きない、最悪な足手まとい武装になってしまいます。逆にフル状態では、ノーマルの羽々矢を上回る攻撃力を誇るのです。
 欲しい時に欲しいアイテムを手に入れるのは、鋭い観察ととっさの判断が必要になります。ボスの合間、短いザコラッシュの時間で、どのように効率よく回復していくか、体力時間心力の各ゲージをよく見つつ、戦況も把握しつつ、的確な操作を行っていかねばなりません。
鏑矢は直進し、爆風で敵を薙ぎ払う
羽々矢は瞬時に標的の心臓を剔り取る!

 本作では、上記のみならず、3種類の回避方法の使い分け超力解放のタイミングなど、様々な要素を読み、瞬時に判断していかねばなりません。
 複雑ながらよくまとまった、中毒性の高いシステムで、非常に高度な駆け引きを楽しむことができるでしょう……上級者ならば。

 過去の代表作2作のシステムを見ると、そこまで複雑には作っていないことに気付きます。
 「NAM-1975」はアイテムによって武装を換えるタイプで、特に新鮮味はありません。「罪と罰」では拳銃と剣ですが、これもよくある組み合わせです。
 シューティングの基本は、撃つか、避けるかの二択にあります。アクションシューティングの場合「避けながら撃つ」ことができない場合がほとんどで、それだけでも十分に駆け引きの要素として成立しているのです。
 もちろん、新味を加えるための工夫はあります。「NAM-1975」では中盤サポートキャラが加わります。「罪と罰」の場合は、近接戦、巨大戦、空中戦と、今までとは操作感覚がまるで違うステージが次々出てきます。しかし、基本的には「撃つか、避けるか」以上の複雑さはありません。
 本作はその点、非常に野心的な挑戦作なのです。

 上級者にとって刺激的なシステムが、初級者にとっては「壁」となって現れます。
 本作がこのシステムを採用した時点で、初級者救済策は必然的に必要になるのです。

◆その壁は高く硬く、私はあまりに脆い

 本作のデフォルトであるEasyモードでは、システムが大幅にオミットされています。
 まず、頻繁な武装変更を要求し、本作の難度を急激に上昇させている心力ゲージがオミットされています。
 さらに、本作での駆け引きの根幹となる時間ゲージが機能しなくなっています。
 つまり本作、Easyモードですと、ごくごくオーソドックスなアクションシューティングに変貌するんですな !
 ……これ、ものすごく勇気が要ったと思うんです。本作の個性を半分以上封殺することになりますからね。しかし、アクションシューティング自体触ったことのない人(含私)を考えれば、そのきっかけを与えるという点で、英断だったと思います。
 まあ、EasyからNormalの壁は、その分厚くなっているのですが。

 しかし、やはり難易度調整と言ったら、メインとなるのは敵機の挙動でしょう。
 普通、シューティングの難易度調整といったら、新しい敵を出したり、弾を撃たない敵が撃ってくるようになったり、というレベルのものがほとんどです。
 しかし、上述のインタビュー記事では、それではアカンらしいですよ !

> 「ゲームを簡単にするというのは、
>  敵を減らすことではないですよ」と。
> 「自分は敵から攻撃されているのに、
>  何か知らないけど自分に当たっていない、
>  そういう錯覚を与えることが大切ですよね」と。
> すなわち、敵の攻撃を外すんですよ、
> あらかじめ当たらないようにするんです。

> たとえば、ある敵キャラがいたら、
> 「イージー」では攻撃してこない、
> 「ノーマル」「ハード」の時だけ攻撃してくる、
> ということは極力避けてください、と。
> 難易度「イージー」でもちゃんと攻撃してくるけれど、
> その攻撃が自分に当たらない、とか。
> そういう配慮によって、「自分が上手い!」と
> 思えるような遊ばせ方をしてください、と。

(以上、山上仁志・「罪と罰」任天堂側ディレクターの発言)

 まあ、任天堂だから簡単に言っちゃってますけどね、しんどいですよ、これ。使い回せる部分がどんどん少なくなりますから。
 しかし本作は、ひょっとしてBusterさんこの記事読んでたんじゃないのレベルで、この調整を取り入れてるのです。

Easyモードの序盤Hardモードの序盤

 EasyとHard、序盤の同じシーンを比較してみます。
 Hardの方が敵がばらついてるとか、剣で消せない青い弾が出てるとか、目に見える違いはいくつかありますが、よく見ると、敵の数も、弾の数も、ほとんど同じなんですね。
 さらに言えば、どちらの敵弾も、ぱっと見では手を抜いてるように見えません。まっすぐ自機に撃ち込んできているように見えます。

 どっこい、こいつが食わせ物。
 よく見てるとEasyの弾、自機からちょっとずれてたり、自機に密着して一時停止したかと思うと急カーブしてアサッテの方向に飛んでいったり、ほとんどが「見せ弾」。この中で、まともに着弾するのは1~2発だけです。見た目に反して、やる気がない。
 青い弾は剣で消せないだけではなく、自機に密着して一時停止したあと、自機めがけて飛んでいくという弾道を描きます。殺る気満々ですよね。

 といったところで、難点をいくつか。
 まず、先ほど述べましたが、EasyとNormalの間の壁が厚すぎること。
 新システムが2つも導入される上に敵まで強化されていると、もういっぱいいっぱいになってしまいます。できればその中間の難易度、「心力ゲージを付けるけど敵はそのまま」とかがあった方が良かったかな、と思います。
 もう一つは、ゲーム開始前の動作確認。

動作確認

 もうちょっと工夫してほしかったところです。
 本作のシステムは複雑です。説明書は非常にわかりやすく書いてあるのですが、説明書を読んでも理解できないレベルです。
 そして、システムの複雑さに比例して、いやそれ以上に、操作は複雑です。
 本作の場合、「動かせますよ」程度の確認ではなく、もっと丁寧に、曲がりなりにもゲームとして遊ばせて、確認してもらうべきだったと思います。
 例えば、試し撃ち用の藁人形でも出して、弾が当たれば倒れるようにしておくとか、心力ゲージを出して、ショットが強くなったり弱くなったりする様子を体験してもらうとか。それだけでも、「ただの動作確認」ではなく、「トレーニングモード」になったんではないでしょうか。
 あと、簡単な操作説明でもいいから、できればタイトルデモがほしかったところです。
 説明書より、やはり実際に動いているのを見た方が、理解は早かっただろうと思います。

◆その心意気や良し

 以上、ほとんど聞きかじりに基づくレビューでした。
 私は結局、Normalの壁を越えることができませんでした。ストーリーについては、Easyのエンディングしか見ていない私ではなく、他の方に聞いてください。

ハマリ度 : 7 / 10
 返す返すも操作性の悪さがネックになる。方向キーとの同時押しだけはやめてほしいと思う。
 システムは複雑ながら有機的に組み立てられているが、「射撃方式変更」はゲーム中で行う必要があったのか、少々疑問である。無ければ無いでもプレイできるのではないか。この機能を外す、あるいはオプションに移動すれば、キー3種でももう少し操作をまとめられた気がする。
 環境によってはフルスクリーンにできない、終了するとスコアが消滅する等、欠点のほとんどがSTGツクールの仕様上の問題であるのが惜しまれる。
 コンセプトとしての完成度は高いのに、足回りでとても損をしており、誠にもったいない。
グラフィック : 10 / 10
 驚異的な品質と技術。自機、敵機、背景、弾、アイテム、全てを一目で判別できる。フリーゲームのという枠を外しても、稀に見る高レベルなドット絵である。
 スクショでコマ送りにしてみると、いかに見やすくするかという、その技術には圧倒される。
 イベントシーンの人間の頭身や動き方などで若干気になる点はあったのだが、それよりも演出のうまさを評価したい。
サウンド : 9 / 10
 「奇譚」という本作のコンセプトに忠実な、重厚で妖しい旋律。中毒性も高い。
 欲を言えば、もう少しメリハリがあっても良かった気がする。音楽ごとの個性が少々ぼやけている印象がある。

 本作は、STGツクール95の限界に挑んだ野心作です。しかし、いくらなんでももう限界でしょう。
 Busterさんには今後とも、より新しい可能性に挑戦していってほしいと思います。そのために、そろそろツールを換えてみてもいいんじゃないかなあ、と思う次第です。

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