【 Alice mare 】

ジャンル [ 探索型ADV ] 作者 [ △○□× さま ] 容量・圧縮形式 [ 68MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語・英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語 ] 配布元

扉の向こうは、御伽の世界。残酷なる御伽の世界。

今回紹介する「Alice mare」は、2014年6月のイチオシ作品「LiEat」の作者が半年前に手がけたアドベンチャーゲームです。
…実を言うと、シナリオ量としてもED量としても、こちら「Alice mare」の方が多めになっています。
ただし、そのシナリオは「LiEat」よりも鬱・残酷方面の強い作品です。

プレイヤーは記憶喪失の少年・アレンとなり、クローゼットの裏の不思議の世界に迷い込むことになります。
そして、アレンは不思議の世界の中で、共に暮らす人々の真実を目の当たりにします。

いつも仲良し、しかし2人同時に現れることは無い「レティ」と「リック」
クマのぬいぐるみに囲まれ、自らをその壁に閉じ込める内気な少女「チェルシー」
虚言癖を持つ悪戯好きの少年「ジョシュア」
事あるごとに「死」を口走るミステリアスな少女「ステラ」
そんな彼ら、そしてアレンを育て慈しむ青年「先生」

彼ら人々の数だけ、本作のEDは存在します。
一番楽なのは、少年少女たちのルート、ちょっと手間をかければ先生の真実さえ暴くことができます。
しかし、プレイヤーであるアレンの真実はいったい何なのでしょうか。他人のルートでは全くもって明らかにされません。
アレンの真実は、かなり条件が厳しくなっています。少なくとも周回プレイは必須ですし、ほとんどの人は攻略情報を見ないと分からないほど長丁場…ストーリー最初から最後まで続く綿密なフラグ立てが必要です。
ただ、このゲーム、周回プレイが少々辛い作品です。話を進めるほどマップや謎解きが複雑になるので、いちいち最初からプレイしなおすのはかなり煩雑になります。
ただ、本作のホラーはイベント（特定位置を過ぎると出てくるビックリイベント）には頼らず、主にストーリーによっているので、新しいルートを開けば開くほど驚きを感じることができます。
幸い、一部開く条件が厳しいとは言え、ルートを開くためにどこに行けばいいかは分かりやすくなっています。
そうして見つけ出した各キャラの真実は…自分の目で確かめてください。少なくとも私はどれも忘れられないほど印象の強いものばかりでした。

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【 chaos pastel orange 】

ジャンル [ サイコパステル学園恋愛アドベンチャー ] 作者 [ studio えんじゅ さま ] 容量・圧縮形式 [ 285MB・ZIP ] 製作ツール [ 吉里吉里２ ] 言語 [ 日本語 ] 配布元

画像はゲームのバグではありません。主人公のバグです。

画像を見て、「何じゃこりゃ！？」と思ったはずです。事実、私が本作をダウンロードしたきっかけも「何じゃこりゃ！？」でした。
しかし、実際にプレイを始めると、最初の黒い期待は真っ向から裏切られます。恋愛アドベンチャーというよりも「ミステリー」と呼ぶのが一番近い作品です。

この「人の顔が子供の落書きにしか見えない」グラフィックは、主人公・高西 和樹が事故の後遺症で患ったもの。それに加えて、和樹には事件当時の記憶まで欠けています。
毎朝部屋に押しかけてくる幼馴染兼唯一の攻略対象・橙ヶ崎 色葉も、そのことには触れたがりません。
クラスでつるんでいる悪友、金田 晃・黄之瀬 凛・赤坂 百花・紺野 大洋も、何故か和樹に恨みを向ける少女・水城 葵も、和樹の欠けた記憶に何らかの関わりを匂わせます。
そして、靴箱に仕掛けられたメモ

「おまえの罪を思い出せ」

このメモを見た日から、今まで以上の…下手をすれば命を落とすほどの非日常が和樹に迫ります。
その中で、和樹は否応無しに自らが封じた過去と向き合わざるを得ません。

その向き合う過去が、本作の選択肢となっています。
いわば「記憶力クイズ」。正解できれば正しいルートに、全問正解する前にライフ（画面上部の鍵）が0になるとバッドエンドになるという分かりやすい分岐です。
ただし、コレを読み解くのは簡単です。もし不正解でも解答を覚えて再プレイすれば難なく解けるからです。

本作の真骨頂は、やはり謎が謎を呼ぶストーリー。葵が和樹に恨みを向ける理由とは、色葉が相思相愛ながらも一線を越えられない理由とは、そして、和樹が狙われる理由と、そこに隠された過去の真相とは…！？
全ての謎は、読み進めていれば自ずと解けていくでしょう。
そして、落書きの裏に隠された各キャラの素顔も、ストーリーと共に解けていきます。彼ら・彼女らの素顔は、ぜひ見ておきましょう。

ちなみに、本作の発端は、2chのVIPが立てた企画です。すなわち「しぇいむ☆おん」と同じ出自を持つものです。
しかし、本作のストーリーラインには全く2ch要素は入っていません。Webやフリーゲームの描写、はっちゃけた悪友など、入れる余地は充分にあるはずです。
私個人の感想ですが、本作には2ch語は似つかわしくないと感じます。それほどシリアスな作品です。
メインストーリーのみならず、ED後に見える別人物視点でのおまけストーリーも入っています。きっとのめりこむこと間違いないでしょう。
私も徹夜でのめりこんだ作品なのですから！

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【 クロエのレクイエム 】

ジャンル [ 探索ホラー ] 作者 [ ブリキの時計（ぬばりん さま ＆ ななしの　ちよ さま） ] 容量・圧縮形式 [ 87MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクールVX ] 言語 [ 日本語 ] 備考 [ 現在(2013.12.22)のバージョンは1.12 ] 配布元

本作「クロエのレクイエム」は、現在のフリーゲームの主流である「フラグを立てて進む探索型ホラーアドベンチャー」です。雰囲気的にも「魔女の家」系に近いジャンルです。
しかし、本作は様々な点で特徴づいています。「クラシック音楽」をテーマとしており、BGMにはベートーベンなどの楽曲を使用しています（もちろん、著作権的にはクリア）。
そして、オリジナル素材も高品質です。キャラグラフィックはもちろんのこと、テーマソングである「クロエのレクイエム」は、道中の恐怖と切ないストーリーを盛り上げてくれます。

そんな素材に彩られたホラーは、主役であるミシェルとクロエの愛らしさによらず、おぞましく悲しいものばかり。
このおぞましい恐怖に彩られたクロエの館を、ミシェルは様々な謎を解きつつ、様々なヒドい目に合いつつ、クロエの呪いを解くために奔走することになります。
謎のレベルは、ヒントをメモに記録していれば何とか越せる難易度です。ただし、メモすべき点はかなり多くなっています。「アイテムを（最大2つ）装備してから決定キーでフラグを立てる」というシステムのため、初見では「手に入れたアイテム・ヒントをどこでどう、どんな組み合わせで使用するか」が分かりづらくなっています。
詰まりそうな箇所は、作者のHPにヒントが記載されています。そこを見れば、攻略に必要な「閃き」には充分な情報があります。

ただ、謎解きの中には、少々理不尽に感ずる点もあります。
その前に、本作のライフシステムについて説明しましょう。本作のライフは「ミシェルの精神の安定度」を表しています。コレが「クロエに話しかければ全回復」というシステムになっているせいか、ヤバイ事がある毎にポンポンと減らされます。
そして、ライフが0となっても即座にGAME OVERとはなりません。
※ ただし、左図の襲撃者イベントなど、即GAME OVERとなるイベントもあるので、ご注意を。
ライフが0になると、ミシェルはブチギレてしまい、触れるもの皆傷つけるギザギザハートの15の夜状態に陥ってしまいます。こうなってしまうと、探索は全くできなくなりますし、回復しようとクロエに話しかけるとクロエまで×してしまい、真の意味でGAME OVERとなってしまいます。
そして、謎解きの中には、このライフをイベントでわざとゼロにしないとストーリーが進まないというモノがあることです。かなりのネタバレですが、コレは流石に知っていないと詰まる人が多発すると思い、あえて言及しました。

とは言え、ほとんどの謎解きではそこまでデッドリーなモノは少なく、雰囲気を味わいながら解き明かしていけます。
この雰囲気作りのために、様々なグラフィックが魅せてくれます。

たとえば、クロエの母のおぞましい変貌。

はたまた、回想シーンではクロエの瞳にハイライトが入っているという細かい変更点。
その他、様々なグラフィックとストーリーで、本作の恐怖を盛り上げてくれます。

果たして、クロエと館に掛けられた呪いの正体は何なのでしょうか？ 果たしてミシェルはクロエを救い出すことができるのでしょうか？ そもそも、ミシェルはどうして逃げ出すようにクロエの館に来たのでしょうか？ 全ての謎は解き明かせます。
EDの分岐はかなり深くなっています。迂闊な行動がGOOD ENDへの道を閉ざすことになりかねません。セーブファイルは4つと少ないですが、全て駆使してクロエとミシェルを幸せにしてください。

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【 マッドファーザー 】

ジャンル [ ホラー探索アドベンチャー ] 作者 [ せん さま ] 容量・圧縮形式 [ 44MB・ZIP ] 製作ツール [ WOLF RPGエディター ] 言語 [ 日本語 ] 配布元

恐怖も恨みも、ヒトが作りしモノ。

本日紹介する「マッドファーザー」は、かの「操」の作者、せん氏の新作です。
得体の知れない化け物に追われるホラーアドベンチャーという点では一緒ですが、絵柄もストーリーもガラリと変えた作品になっています。
本作の舞台は、ドイツ郊外の邸宅。…それ以外には時代背景も年代も不明です。
衣装を見ればかなり古い時代とも考えられるし、かと思えば、冷蔵庫が普通に稼働しているし。

そこで父親と暮らす少女・アヤ。
早逝した母親と、父の浮気相手・マリアとの板挟みに悩む多感なお年頃です。
そんな中でも、呪いの被害にあう父親を救おうと、勇敢に立ち向かいます。
前作「操」の主人公であるアキ（デフォ名）が（仲が良くないとはいえ）クラスメイトを見殺しにしたことを「てへぺろ♥」で済ますような性格であることを考えると、非常に主人公っぽいです。
しかし、2週目に行くとそんなことはなかったぜ！的なエピソードが追加されるようになるのは流石です。

そして、こいつがタイトルにもなっているパパン。
だいたいこいつのせいと思っていただければ、間違いありません。
ラストの「ア～ヤァァァァ～？」はマジでキモく、パニックとクライマックスを嫌が応にも盛り立てます。
ボイスを当てた彩京護 氏の演技が光ります。

前作で（セーブ役として）活躍した鬼瓦生徒会長は、今回は「オーガ」という名で再登場。
「操」以上に怪しい行動が目立つトリックスターとして物語を回していきます。

そんな、通常時から不穏な雰囲気を漂わせる館にかけられた呪いは、かなり深刻。
「操」よりは選択肢をミスったら問答無用でGAME OVERな事態は減りましたが、そのぶん、Zキー連打でピンチを切り抜けるシーン、殺人人形から隠れるメタルギアソリッド的ステージなどが追加され、総合的な難易度は「操」と変わりありません。
もちろん、コツさえ掴めばサクサク行けるのも「操」と同様です。

EDに行くまでにはそれほど難しくありませんが、グッドエンドに行くためのフラグ立てはちょっと複雑。道なりではバッドエンド一直線です。
また、道中に点在する「ジェム」を集めることで、オマケが追加されるやりこみ要素もあります。
2週目プレイがあるため、完全クリアを目指すのも難しくはありません。「操」と同様、キャンセルキーによるメッセージスキップもあるため、いろいろ探し、アヤに幸せな未来を与えましょう。

あんな「歴史は繰り返す」的なラストで幸せかって！？ 私もそう思うけど、アヤとマリアは幸せじゃないかな。

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【 阿部鬼 】

ジャンル [ 掘るアッー！ゲイム ] 作者 [ gingama4 さま ] 容量・圧縮形式 [ 10.3MB・自己解凍EXE ] 製作ツール [ RPGツクールVX ] 必須ソフト [ RPGツクールVX RTP ] 配布元

「に…逃げ切りました…」
「ああ…次はランダムエンカウントだ…」

ニコニコ動画で発表され、ニコニコ動画から急速に広まったホラー逃走アドベンチャー「青鬼」…。そうなると、次に来るのはフォロワー…二次創作とも模倣作とも言うべき次の作品です。
この「阿部鬼」は、そんなフォロワーの一つです。もちろん、「青鬼」原作者と厳正な話し合いの上で、許可を得て作られた作品です。もう一つのフォロー元である山川純一については…まぁ、ニコニコ界隈じゃ、「もう　ドキドキ　 止められない」ほど広がっているジャンルですからね。
これに限らず、「青鬼」フォロワーは、なぜか（2000RTPのゴメスなど）アッー！方面の要素が混入されている作品が多いです。「追われる」と言う特性と「女性を主人公＝追われる側にすると、ニコニコに載せられない」ためでしょう。

「阿部鬼」本体は、イベント演出などは、「青鬼」本体から引用している物が多いですが、肝心の謎解きについては、完全新規で作られています。
バージョンが1.XX→2.XX→3.XXと進化するにつれ、その謎解きの充実度も増えていきました。いまや愛され度については、本家「青鬼」に迫る勢いです。

ただし、題材上、どうしても欠点はあります。見た目で「こいつからは、逃げないとヤバイ！」と誰もが感じる「青鬼」に比べ、「阿部鬼」の見た目は、あくまで「ブルーベリーみたいな色の青いツナギを着たいい男」に過ぎません。
しかも、ほとんどの出現場所では、左図の通り、VX RTPキャラを使い回しているだけなので、「やらないか」が通じないと、あまり恐怖を感じません。
まぁ、これをDLする人で、「やらないか」が通じない人なんて皆無だと確信してますが…。

「阿部鬼」の怖さは、むしろ見た目とは別の所にあります。特定のイベントばかりではなく、経過時間に従い、ランダムに出現する場合もあるのです。
「青鬼」も、ランダム出現はありましたが、あくまでアクシデントであり、2～3部屋も越えれば諦めてくれます。しかし、「阿部鬼」は、ランダム出現の場合でも、しつこさはイベント時と変わりありません。
「阿部鬼」は、場所も空気も読みません。時間になると、所構わず出現します。
モノによっては、「阿部鬼」と出くわすと潜り抜けるのは物理的に不可能な部屋もあります。必ず、逃げやすい場所で複数セーブを取り、「ハマる」ことが無いように心がけましょう。

ちなみに、肝心の謎解きには、アッー！方面の要素はありません。むしろ、倉庫番や動く床など、「青鬼」には無かったパズルも入っており、充実度は本家以上だと私は思います。
アッー！方面の要素も、ニコニコに載せられる程度の物ですので、ノンケの方々も安心して楽しめます。

題材的にはキワモノ臭（衆道的な意味で）が漂いますが、実際の内容は、「青鬼」に勝るとも劣らない「追われる者」の恐怖と難しさ、「青鬼」以上のパズルがあなたを待っています。

ほら、遠慮しないで（HDDに）入れてみろよ。

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（補足）

2010.09.26：本文は、ver3.12時点のレビューです。

2011.03.31：現在の最新バージョンは、ver4.11です。ここでレビューしたver3系列とは、仕掛け・グラフィック・マップ構成に至るまで全く別物になっています。

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【 Today I die 】

ジャンル [ 短編脱出系ゲーム ] 作者 [ Mr. Daniel Benmergui ] 容量・圧縮形式 [ DL不要・FLASH ] 言語 [ 英語 ] 配布元

この物語は、ある人の「死」から始まります。
延々と広がる死の海の中、彼女をいくら動かしても、画面上のモノローグを"dead"から"dark", "painful"に変えても、彼女を死から救うことも、この絶望的な世界を変えることもできません。
しかし、この作品は、「ゆめにっき」のような絶望的な世界に浸ることを目的とした作品では、決してありません。
この絶望的な世界に浸る彼女に、光明を見いだし、世界を絶望から救うこと、それがこの作品の目的なのです。

そう、「アイテムを見つけ出して、脱出のフラグを立てる」と言い換えれば、この作品は脱出系ゲームなのです。
フラグを立てるために、邪魔者から一定時間逃げ回る必要があるなど、アクション性も少々ありますが、決して難易度は高くありません。むしろ簡単な部類に入ります。

光明を見出した世界がどう変わるか…光明を見出した彼女の結末は…ぜひ貴方の眼で見てください。
日本語には非対応ですが、見て分かる通り、出てくる語句は平易な物ばかりです。抵抗なく楽しめると思います。

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【 頽廃ノスタルジア 】

ジャンル [ ホラー ] 作者 [ ぐれっち さま ] 容量・圧縮形式 [ 73MB・ZIP ] 製作ツール [ 吉里吉里2 ] 言語 [ 日本語 ] 配布元

今回紹介する「頽廃ノスタルジア」は、以前REN氏が紹介した「山のぼりゲーム」の移植者、ぐれっち氏の作成された数々の作品の中で、最も有名なものでしょう。
REN氏の投稿レビューで本作について触れなかったのは、私自身の手でレビューしたかったからです。

本作を特徴付けている物は、何と言っても使用している画像の豊富さでしょう。ぐれっち氏は写真素材を提供している方でもあります。この「頽廃ノスタルジア」の背景にも、様々な実写素材が（公開している素材・ここでしか使用されていない写真を含め）使用されています。
そして、本作のジャンルは「ホラー」であるがゆえ、心霊表現も出てきます。そのシーンは、あろうことかムービー使用。それまでの雰囲気を盛り上げるBGM・効果音・文章もあって、心臓の弱い方には冗談抜きで危険なクオリティです。さすが「ヘッドホン推奨」と作者自ら言うだけの怖さです。

本作を特徴付けている物は、もう一つあります。選択肢の有無をプレイ前に選択できると言う点です。
ただし、選択肢無しで購読できるルートは、もちろん1種類のみ。「頽廃ノスタルジア」のEDは、死亡ENDを含めて10種類もあります。コンプリートのためには、「選択肢あり」にしなければいけません。
死亡END以外のENDを見るための条件は、かなり厳しく設定されています。時には推理ノベルのように、正答を文章にして直接入力するところさえあります。
どうしてもルートが見つからず、攻略サイトを見たときに「そんな仕掛けが入っていたの！？」と驚愕したルートもあります。…と言うか、攻略サイトが無ければ絶対に判りませんよ、このルート！

本作では、ホラーに重要なスパイスが全て詰め込まれています。先述のムービーで表現された心霊要素はもちろんのこと、田舎ならではの残酷な風習、神一郎と繭子・京子と浩之の愛憎、そして、愛の営み（ホラーにおける随一の死亡フラグ）まで完備されています。
ただ、欠点も無いわけではありません。「頽廃ノスタルジア」の結末は、選択肢無しで購読できるENDと、直接入力での回答に正解しないと見られない真ENDがありますが、そのどちらでも、登場人物の秘密・心霊現象の原因・風習の詳細など、終了まで明確にされない謎があります。「それこそホラーらしい表現だ」と思う人は、とても気に入ると思います。反面、「伏線は劇中でしっかり回収してくれないと困る」というミステリ的な読解を求める人には、しこりが残るかも知れません。

ぐれっち氏は、かなり多ジャンルに渡る作品を製作されています。この「頽廃ノスタルジア」のようなホラーが主ですが、先述の「山のぼりゲーム」の移植、そして…何と言うかジャンル説明に困るノベル「難波青春横丁」も展示されています。
展示されているどの作品も、ツボの範囲がかなり狭く、特に「難波青春横丁」の場合は、「もげろ」とか「爆発しろ」と言う感情が生まれてしまう人も出てくるかもしれません。どの作品も「一風変わった世界観」を味わえるので、本作「頽廃ノスタルジア」が気に入った方なら、色々と読んでみるのが吉だと思います。（保証はしませんし、とてもできません。）

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（補足）

2011.06.05：DL先をVectorに変更。

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【 湖岸の盲点　小此木鶯太郎(おこのぎ おうたろう)の事件簿 】

ジャンル [ ミステリ（読者への挑戦付き） ] 作者 [ 安楽椅子犯人 さま ] 容量・圧縮形式 [ 33MB・ZIP ] 製作ツール [ 吉里吉里2/KAG3 ] 言語 [ 日本語 ] 配布元

ハマリ度：８　グラフィック：９　サウンド：８

ネットサーファー　謎に挑むの巻

■ 序文

小さい頃、私はミステリ少年でした。

小学生の頃は、簡単な推理クイズ本に始まり、少年探偵団シリーズを読み漁り、
中学生になると、少し大人向けに、江戸川乱歩や横溝正史らの古典ミステリ、赤川次郎のライトミステリなどを読みふけり、
高校生になると、京極夏彦・清涼院流水・宮部みゆき…などなどの重厚なニューエイジにまで手を伸ばしました。
思えば、あの頃は丁度ミステリブームが沸き起こっていました。「金田一少年」と「コナン」という２大推理マンガが大人気となり、マンガ界にもミステリの波が押し寄せてきた時期でもあります。
私のミステリ熱は、大学入学後もしばらく続いていましたが、あまりの大容量さ・荒唐無稽さに付いて行けなくなったことと、インターネットとフリーゲームと言う別の楽しみを見つけたことで、急速に冷めてしまいました。

かつて本を読み漁った私だからこそ、ビジュアルノベルにはどうも食指が動きませんでした。自分のペースで物語を繰れること、活字の向こうに自分の頭で情景を広げる楽しさ、その面においては、どうしても紙媒体の小説には敵わないと思っていたからです。
しかし、現在では、さほど違和感なくビジュアルノベルを楽しむことができます。激辛に参加する中でビジュアルノベルの楽しみ方が分かってきたこと、そして、紙媒体の小説もビジュアルが増え、双方の差が薄くなったことが原因でしょう。
その中で、「鴉の断音符」など、選択肢を任意に選ぶビジュアルノベルならではのミステリ手法も体験いたしました。

今回ご紹介する「湖岸の盲点」は、選択肢は無く、「ビジュアルノベルならでは」の要素は薄い作品です。しかし、その分「かつての」ミステリ的な要素を色濃く残した作品です。
「読者への挑戦」を付け、犯人・探偵・原作者との知恵比べに没頭した、「かつての」ミステリを完全に再現したノベルなのです。

■ 内容紹介

「湖岸の盲点」は、いわゆる倒序モノ。「刑事コロンボ」「古畑任三郎」に代表される、犯人と刑事の対決を描いた作品です。
ペンション「綾淵亭」のオーナー・芦国暁人。彼は、自分が愛する加々美湖の自然を守るため、リゾート開発計画を立てる犬塚伊作を、酔った上での溺死事故に見せかけて殺害。現場周辺に犬塚の足跡のみを残すなど、偽装工作も巧みに行った。
それに対するは、見かけはノホホンな捜査一課刑事・小此木鶯太郎。彼は、わずかな手がかりの中から、芦国に疑念を抱き、追い詰めていく。

被害者の足跡は、酔っ払っていたとは思えないほど整然としていた…。
外出していないはずの芦国の洗濯物が、不自然に濡れていた…。

小此木は、そんな数々の不審点から、ある一つの結末を導きます。これは、殺人事件であり、犯人は芦国であると。
しかし、現在公開されているバージョンでは、小此木が結末に至った場面で終了します。解答編は、現在(2008.08.02)では公開されていません。
なぜなら、解答を導くのは、読者の皆様、貴方なのですから…。

■ 感想

私は、この物語を「窓の杜」で知った瞬間、即座にダウンロードしました。そして、数時間読みふけり、自分なりの解答を導きました。
こんなにミステリに対し思考を巡らせた事は、かつてありません。かつてミステリにハマっていた少年時代でも、「読者への挑戦」ページは即効で飛ばし、解答編を見て、トリックの巧みさに感動・感心するばかりだったのです。
もちろん、私の導いた解答は、レビュー許可申請と同時に、作者様の元に送信いたしました。正直、完答しているかどうか、自信は全くありません。
しかし、いったん解答した以上、2008.08.13に公開される解答編を待ち遠しく想わざるを得ません。
皆様も、この一週間ちょっとの間、是非挑戦してみてください。

…えっ、私の解答は何だったかって？それは、秘密です。

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【 平成ピストルショウ又ハ平成史上最大薔薇色幸福見世物人生 】

ジャンル [ ミュージカル ] 作者 [ ぱるん さま ] 容量・圧縮形式 [ 32MB・LZH ] 製作ツール [ RPGツクール2000 ] 言語 [ 日本語 ] 配布元

ある日、僕は大切な人に裏切られた。
だから、僕は、奴を！絶対に！！殺す！！！！

という衝撃的なOPから始まるサイケデリックな物語！　それが、今回紹介する「平成ピストルショウ」！
この物語が彩る世界は、とにかくド派手！ピカテカ！ナンセンス！
本作をプレイする際には、モニターから離れて、踊り子さんには近づきすぎないでネ！

本作を彩るのは、凝りに凝ったビジュアルシーン！　ミュージカルで展開されるストーリーは、必ず見惚れること間違いなし！
歌詞と曲が合っていないのは、ご愛嬌さBOYS & GIRLS！
そして、眼前に広がるは、ビジュアルシーンに負けず劣らないサイケな世界！　この中を我らがハート君は、金を求め、幽霊を探し、ターゲットを探しつつ彷徨うって訳さ！
ターゲットどもは、海千山千のツワモノばかり！　マトモに逝っては勝ち目は無いぞ！　世界に潜んでいる情報を集めて、弱点を突かなければ！
戦うために必要なのは武器！　武器に必要なのは金！　ぶっちゃけ、金は全部集めないと、クリアはできないぞ！

最も、戦闘部分はあくまでオマケだ！　「平成ピストルショウ」の真の目的は、世界観そのものを味わうことにある！
時に玩具箱をひっくり返した世界、時に和風ホラーな世界、時に血みどろな世界を、目的は抜きにして彷徨ってみよう！　そうする内に、金や情報は自然と集まるって寸法さ！
君も、ハート君と一緒に世界を解き明かしてみよう！　そこには、あの子の目指した幸せな世界が広が…がっ…ガッ…ザザザッ…ザザッ…ピーッ……

…閑話休題…

本作「平成ピストルショウ」は、「ゆめにっき」に代表される彷徨うことを楽しむ探索ADVです。「ゆめにっき」の複雑さに少々ウンザリしていた私も思いっきり楽しめる程、「平成ピストルショウ」の世界はコンパクトかつインパクトです。
それを成り立たせる要素は、小さくまとまった全体マップ・ワープ機能・道中に現れるパズルなど色々あります。しかし、それ以上に、本作に隠されたメッセージに惹かれました。
ぱるん さまの作品は、ホラー「Kinder」にしろ、不条理コメディ「わすれられるまえに」にしろ、そこには共通のメッセージが流れています。

大人のワガママと、それに振り回される子供たちの悲しみ

です。それは「Kinder」でゴーストタウンを作り、「わすれられるまえに」で時を繰り返す街を作り、そしてこの「平成ピストルショウ」では、サイケなミュージカルとして現れています。
特に「平成ピストルショウ」は、そのメッセージの強烈さにおいて、以前のぱるん さまの作品とは比べ物になりません。それ故、万人に受け入れられる作品では無いでしょう。
しかし、「受け入れられない」と言うのを理由に作品そのものを評価しない…と言うことは、ゲームプレイヤーとしてしてはならない事…のはずなのですが…。

本作は「コンパクWeb」に応募した作品です。作りこみの点から見れば、他の受賞作と比べても遜色ない出来栄えです。しかし、本作は「コンパクWeb」において、評価すら与えられませんでした。ぱるん さまは、前作「SWEET HALLOWEEN」でコンパクWeb 銅賞を受賞した実力の持ち主なのに。
何故！？…そう思った人も多数います。（神無月サスケ さま・「ダリヤ」のSubrina さまなど）しかし、私は、「しょうがないよな」と、一種の諦観をもって、本作をプレイしていました。

コンパクWebのスタンスは、グロ方面には寛容（例：Lost Maria -名もなき花-）ですが、エロとシモ方面には厳しくなっています。
時には、オシリマスクのように、コロコロにも平気で載せられるレベルのシモネタでさえ、拒絶対象となっています。レビューのコメントでは「ハイレベルだったから」とごまかしましたが、それだけの理由で、アレほどの労作かつ傑作を落とすなんて…と内心ながら疑惑に思っていました。
本作「平成ピストルショウ」の裏で流れるメッセージも、今までの作品に比べセクシャルかつアブノーマルです。しかし、それは本作が「平成ピストルショウ」であるために必要な表現なのです（別名：超ネタバレのため、詳しく話せませんが）。

編集部員4名のみと言う審査スタイル上、そこにワガママが入る事は否めません。一部のワガママによって応募作品が潰されることを恐れたがために、「3分ゲーコンテスト」では一次審査が廃止になりました。しかし、コンパクWebにおいて、この審査スタイルが変更されることは恐らく無いでしょう。
むしろ、本作がコンパク選外になったことは、「編集部員4名は、誰も本作の面白さ・素晴らしさが理解できなかった」として、誇りに思った方が良いのかもしれません。サスケ さまの紹介の中にあった「名誉の選外」と言う奴です。

本作を機に、コンパク審査員が対処できないほどの奇作・快（怪）作がコンパクWebに応募されることを、そして、コンパクWeb自体も、宮崎吐夢がペリーの吹き替えをしていたあの頃を思い出してくれることを願って、本作のレビューを終わらせていただきます。

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（補足）

2-13.07.11：リンク先の変更 (阿賀栗 さま、情報ありがとうございます。)

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【 白球冒険記１ 】

ジャンル [ RPG+ADV ] 作者 [ ほにゃー さま ] 容量・圧縮形式 [ 3.2MB・ZIP ] 製作ツール [ RPGツクール2000 ] 言語 [ 日本語 ] 配布元

■　序文

	よい子のみんな、今日もツクツクしてるか～い？ ボクは、このゲームの主人公にして、真珠の貴公子・ダンゴでーす！
	のっけから、そんな顔グラと自己紹介はどうかと思うが…。 我はアンコ。一応、こいつの兄貴分だ。
	今回紹介するのは、ボクたちが始めて登場した作品なんだよね？ どんなのだろう。楽しみだなぁ～。
	そうだな。何しろ久しぶりだ。 以前の活躍を思い出す意味でも、もう一度プレイしてみよう。
プレイ中…（しばらくお待ちください。）
	エンディングまで30分も掛かったぞ！ ふざけるな！こんな物、3分ゲーと認められるかぁぁぁ！！！
	そもそも、参加してないし！！
※「白球冒険記１」は、「3分ゲーコンテスト」非参加作品です。

■　「１」の特徴

	だいたい、このゲームを３分ゲーにすると、最初のシーンで猫に食われてるぞ。ダンゴよ。 ブツブツ…。
	そういえば、「１」って、３分ゲーでない以外にも、結構後のシリーズと違うところが多いよね。
	なにより、僕らが死なない。
	うむ、大事なところだな。 あの頃は、数年後に「終わりが無いのが終わり」な運命をたどることなど、全く予想してなかった…。
	お前の性格も、だいぶ変わったよな…。 あの頃は、割と素直で正義感あふれるキャラだったのに…。 今では、○○で○○されたり、OPから○○を○○されそうになったり…。
※「３」のネタバレを防ぐための伏字です。それ以外の他意はありません。
	お兄ちゃんは全く変わってないよね。 「１」当時からイジられキャラだという事が良くわかるよ。
	なっ、何だと！ 失礼な、我は常に真面目だぞ！ お前も少しは、考えて行動したらどうだ！！
	ハイ、バナナ。
	ハムッ、ハムハムッ、ハフッ！！

■　「２」「３」への繋がり

	ねぇねぇ、お兄ちゃん。
	ウヲォォォォォォ！　アンマアァァァァァァ！！　ケハカハァ！！！
	（うわっ、まだ食ってるよ。この黒丸。）
	ハッ、どっ、どうした。ダンゴよ。
	（↑）このオッサン、だれ？
	忘れたのか？我らのマスターではないか。（「１」当時の）
	ふざけるな、クソ兄貴ぃぃぃぃぃー！
	そこでブチ切れですか！
	ふぇーーん！！やだーい！やだーい！ たとえ16×16ドットでプロポーションなんか分かりゃしねえなデザインでも、お姉さんがマスターの方がいいんだーい！！
	仕方なかろう。連続したシリーズと言えども、１～２～３での時間軸の繋がりは皆無だからな。 極端な話、我とお前が出ていれば、現代・近未来、果てには原始時代だろうと、「白球冒険記」シリーズになる。
	ミもフタもないね。
	うむ、事実だから、何も言い返せない。

■　終わりに

	ところで、ダンゴよ。最後に我のことを、もう一度呼んでくれないか。
	どうしたの、お兄ちゃん。
	うおぉぉぉ～ん！久々に聞いたぞ、その言葉！ これほど幸せなことは無い！それほど、「３」での仕打ちも忘れるほどに…！
	うん、序盤はできる限り仲良くしておいて、最後に大裏切りをかますのも面白いって気づいたんだ。 いわゆるデレツンってやつ～！？
	…………………………

そんな訳で、我らのゲーム紹介は、この辺で終わりにしよう。
ここまで読んでくれたモニターの前の諸君、ご静聴感謝する。
次回が出る…かどうかは分からないが、もし見かけたら、その時も楽しんで欲しい。
それまで、しばしのお別れだ。…次回は、もう少し待遇を向上して欲しい…。

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（補足）

2013.12.30：DL先を変更

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