■ Moon Goddess
作者 [ Y+Y=M.H さま ] ジャンル [ RPG ] 容量・圧縮形式 [ 3.19MB・LZH ] 使用ツール [ HSP ] ダウンロード
レビュワー ハマリ度 グラフィック サウンド 合計 総合判定 ES 10/10 8 /10 9 /10 73/90 ckck 10/10 7 /10 6 /10 赤松弥太郎 8 /10 7 /10 8 /10
《 ES 》 ハマリ度:10 グラフィック:8 サウンド:9
次の一歩が、楽しみで怖いゲームです。
- ハマリ度:10/10
- 多少難易度が高いものの、テンポのいい戦闘シーンと、自由度の高いストーリー展開。
その全てが、私にとっては楽しいものでした。- グラフィック:8/10
- 全てオリジナルの素材は、まさに苦労の結晶というべきものばかりだが、いかんせん、マップキャラが小さすぎる。
マップキャラも戦闘キャラと同サイズだったら、もうちょっと評価を上げてもいいのだが。- サウンド:9/10
- 単純で口ずさみやすい音楽は、このゲームのレトロな雰囲気を十分に盛り上げてくれる。
このレビューを書くときのBGMにも使いたかったのだが…。普通のプレイヤーで聞くことが出来ないのは、生憎と言えよう。■ 概要
今回のイチオシ「Moon Goddess」は、レトロな雰囲気が特徴の長編RPGです。
その大きな特徴といえば、シナリオの自由度の高さ。 最初のフウストの街からでも、東のセカードの村・北東の洞窟・真北にある山とその向こうの町と、様々な選択肢があります。
…最も、そのうちの一つは、(文字通り)大きな壁に阻まれて進むことは出来ませんでしたが。
その幅は、話が進むにつれて広がります。雪山に行こうが、山を越え、砂漠を越え、ピラミッドに挑もうが、火山に挑んでフレムガ連発されて丸焼きイッチョあがりにされようが、プレイヤーの行動によって、主人公の旅路は様々な広がりを見せます。
■ 現在のエス君一行
我らがエス君一行も、その広大な世界を隅々まで旅し、ディスカスの秘宝の謎を解き明かしている…。そうお思いだと思います。
はっはっは。そんなんだったらこんなに苦労してねぇよ、ド畜生。
キャプページの最後の画像を見てください。アレが、〆切前日のエス君一行の状況です。
もう、序盤も序盤。ディスカスの秘宝なんて一つも手にしておりません。
そんな状況でもレビューを書かないといけません。我ながら非常にカッコ悪いです。■ そんな中でも書ける事
とは言っても、レビューすべき
ネタ事柄には、こと欠きません。
テンポのいい戦闘システムの練りこみ具合は、序盤の倒したボスは一体だけの状況でも、十二分に伝わってきます。
この頃になると、状態変化を仕掛けてくるモンスターも数多く、回復アイテムの選択にはかなり頭を悩まされます。なんてったって、武装を含めて持てるアイテムは12種類。イベントアイテムなどは質屋で預けてくれるとはいえ、長いダンジョンを渡り歩くには、満タン近くまで買い込んでおかないといけません。
そのため、武装分が一つ空く主人公(武道家)がいつの間にか荷物持ち係になっていました。
一人が身につけることの出来る技能も、アイテムと同じく12個までという限界があります。魔術師のウッドは、そろそろ限界に達するレベルです。緊急脱出用の「ワポン」「イグジト」を忘れるわけにはいきませんし、状態変化魔法は、時には下手な攻撃魔法より役に立つため、安易に手放すわけにもいきません。
この選択のジレンマも、「Moon Goddess」のある意味での楽しみといえるでしょう。このような、一歩を踏み出すごとのジレンマが、このゲームの一番の魅力と言えるでしょう。
今あるアイテムでダンジョンを乗り切れるか、キャラのレベルは十分か、ねんがんのフレイムソードを装備できるキャラがいないんだけど、どうしよう…。(※1)
とにかく、新たな道を切り開くたびに悩んで悩んで悩みぬいて…そうやって乗り越えてきた道のりは、どこと無くすがすがしく感じるものです。
このレビューをご覧の皆様も、試しにプレイしてください。古き良き旅への不安と喜びが伝わってくる、そんな作品です。<ES的蛇足>
- (※1)ねんがんのフレイムソード
- もちろん、速攻で売っぱらいました。我がパーティの荷物袋に、無駄な装備を入れておくスペースなど無い。
- (※2)Moon Goddessまとめページ攻略もあるよ
- 例によって、某匿名掲示板の方々が作成された、「Moon Goddess」のデータベース兼、攻略サイトです。
一度、このサイトの進行チャートを見た瞬間、我らがパーティは、全行程の1/4すら進んでいないことを知り、猛烈にへこみました。- (ゲーム好きな暇人の部屋 内)
《 ckck 》 ハマリ度:10 グラフィック:7 サウンド:6
既知の力が未知を切り拓く
- ハマリ度10/10
- 必要なものだけを備え、不要なものは全て切り捨てて作られたストイックな作品。
無駄が無いのではない。隙が無い。- グラフィック7/10
- 他の作品と比べても、映像面ではやや劣る。
分野別の点数をつけることが、ここまで心苦しい作品もそう無い。- サウンド6/10
- 単純に音質が低い。それは否定できない。
が、それはこのゲームを貶める要因では無いと断言できる。あえて最新作と対比
先日発売されたFF12。グラフィックは家庭用ゲームの最高水準に達し、サウンドもかなりの高音質。それが手伝ってか、売り上げも順調な様です。レビューを書いている現在でも、すでに200万本以上売れているのだとか。
・・・でも、グラフィックやサウンドって、そんなに重要なのでしょうか。ゲームの本質とは、もっと別のところに有る筈です。それで今月のイチオシはと言うと、他のフリー作品と比べてドット絵はやや荒く、ウィンドウモードでは320×240と少し見辛い。サウンドはゲームの雰囲気に合っているとは言え、質の面では物足りない。ついでにストーリーは投げやりで気味ゲームを牽引しませんし、ゲームが強制終了するバグもあります(Ver1.8現在)。
しかし、私のつけるハマリ度は10点満点。これは純粋にの面白さから来る点数です。
その面白さはどこから来ているのでしょうか。
やはり秀逸なシステム一般的にRPGと言うジャンルは「時間さえかければ誰でもクリアできる」様に作られています。例外もありますが、極限までレベルを上げ、最強の装備を揃えれば確実にエンディングまでたどり着けます。
問題はとなるのは、その際のバランス。プレイスタイルによらず同じ労力が掛かる様では遊びがありませんし、あるアイテムや特技ひとつでボスを倒せてしまう様ではゲームバランスが悪い。場合によっては早々にプレイを打ち切られることもあります。
しかしこのゲームでは職業やアイテム・モンスターなどがうまく調整され、そのバランスの取り方が、非常に上手いのです。システムの特徴として、「覚えておける呪文特技に制限があり、それ以上は随時忘れていく」と言うものがあります(この辺りがFFやDQとの違い)。転職システムで大量のスキルが登場するにも関わらず、大半は切り捨てて行くことになってしまうのですが・・・。この取捨選択が大変難しく、同時に大変面白い。
補助系呪文は普段役に立たないからと言って何の気なしに忘れてしまうと、ボス戦で大変苦労することとなります。逆に考えると、特定のボス戦でしか出番が無いにも関わらず、そのボスに対しては切り札の如き効果を発揮するスキルがあるわけです。
また、所持できるアイテムにも制限があり、いくら所持金に余裕があろうと回復アイテムを際限なく持つことは出来ません。ダンジョンを攻略する身支度もしっかりと考え無ければなりません。
キャラの育成からアイテムの所持まで、何を残し何を捨てるかが大変重要な戦略となっているのです。さらに、戦闘のテンポが良いのも高評価の要因。
モンスターに遭遇してから最初の攻撃までの時間は短く、戦闘中に入るエフェクトも最小限。敵を全滅させてマップに戻るのもあっという間なので、ボス戦だけでなく作業的なレベル上げすら楽しめます。
この戦闘と転職システムが中弛みを防ぎ、ストーリーよりも遥かに強く、ゲームを引っ張っています。得たものは
今回のイチオシ作品について、N氏は投稿レビューで「ドラクエ3とFF5のいいとこどりしたような」ゲームと書かれています。始めは私も同じような印象を受けました。が、プレイするにつれ何か違うと感じ始め、中盤辺りで別の答えに行き、終盤で確信を得ました。
この作品は2つの良いところを取っただけではなく、無駄と考えられる部分を容赦なく切り捨てた、隙の無いゲームです。
思うに、これはRPGと言うジャンルが通り過ぎていた、1つの答えでは無いでしょうか。
《 赤松弥太郎 》 ハマリ度:8 グラフィック:7 サウンド:8
予想外の戦略!
ようやっとクリアしました。
28時間もかかってるのは、私の腕がお粗末だからですが、リセットプレイも何回かしてるので、実際はもっとかかってます。いやあ、長かった。
どこかで見たような人たちですが、転職は1回ずつで、
ミルル: 武道家→達人
でした。アウカクは(当然)悟りを開いてません。まったく意味不明ですね。
フアッス: 盗賊→忍者
アウカク: 遊び人→盗賊
タルス: 僧侶→賢者
しかし、大方の予想に反し、ボス戦でアウカクは大活躍、タルスと並ぶ主軸だったのです。
本作の戦闘システムの醍醐味は、12しかない技能枠をどう活用するかにあるわけですが、私の場合魔法担当がタルスただ1人だったため、取捨選択に非常に苦悩しました。後半では、戦士やナイトの専用装備ばかり手に入り、装備の面でも課題の多いパーティでした。全体攻撃が誰も使えないのも大問題で、ザコからはいつも逃げ回っていました。
それでもラスボスに勝てた理由はただ1つ、圧倒的なスピードに他なりません。
加速装置、アクセルフォーム、クロックアップ、グ○コのキャラメルなど、極端なスピードはそれだけで戦局を一変させる力があります。2倍の速度で動ける1人は、並みの速さの2人に等しいのです。すばやさが行動回数に直結する、いわゆるATBタイプの戦闘を採用しているRPGの場合、すばやさは他のステータスの倍程度の価値があると思っていいでしょう。
フォトン+ライトスーツxスターリング装備のタルス、これが切り札でした。すばやさ350を突破し、ワームが目視できるほど速まったタルスは強化魔法を連射、味方全員を1/1000秒の世界にいざないます。しかし、もともと防御の低いパーティ、さらにタルスは速さのためにすべてを犠牲にしてます。防御強化途中でタルスが倒されたら、目も当てられません。
そこでアウカクの出番です。まずタルスはアウカクのすばやさを上げ、アウカクはくすぐりまくります。ボス1行動あたり2.5行動くらいできるようになったアウカクの速い指の動きに翻弄され、ボスはほとんど身動きが取れなくなってしまいます。あとはフアッスがレアアイテムを盗み、ミルルが撲殺してクロックオーバー。速度も防御も極まったパーティには、上のSSのとおり、ほとんど無傷の勝利が約束されるのです。
終盤のボスはこの戦略で完勝でした。反面ザコには苦戦しましたが、初回プレイとしてはかなり強まったパーティになったかと思います。これは、まったく予想外でした。
本作の醍醐味のひとつが、この自由度の高さです。職業選択を間違えたと思っても、あきらめずに育てていけば、道が開けるかもしれません。予想外の組み合わせで新しい戦略が生まれることもあります。まずは、思うままに冒険を始めてみませんか?
では、評点。
- ハマリ度:8/10
- ストーリーでだいぶ損している。これについては後述。
技能が強力で、特に強化魔法は威力が大きく、しかもほぼ青天井で能力が上昇するため、終盤はそれ前提のパワーゲームになってしまっている。どんなボスにでも通用する必勝法があるのは考えもの。そのあたりの感覚はむしろ、6以降のFFを感じる。- グラフィック:7/10
- よく描きこまれており、量も相当なものだが、細かい字がつぶれたり、フィールド上の自キャラがFF1並に小さすぎたりするところで大きくマイナス。
ウィンドウ表示が小さすぎるのはツールの都合としても、漢字はある程度大きくないと読めないし、キャラが小さすぎると目が疲れる。システム設計の段階でもう少しなんとかなった部分だと思う。- サウンド:8/10
- 音楽については、そつなくまとまった印象。クリア後などにテストモードがあっても良かった。
音量に気を配るとなお良かったと思う。戦闘時は気にならないが、会話音や飛行船のモーター音は甲高い分、うるさく聞こえた。
・次はギャグゲーを!
これから先は、調子に乗った痴れ者の妄言なので、聞き流してくださって結構です。
さて、作者Y+Y=M.Hさんの制作中最大の悩みはストーリーだったと聞きます。
実のところ、ストーリーはRPGにおいて重要な要素ではありますが、必要不可欠というほどのものではありません。昔のRPG、たとえばTDQ1もストーリーはあって無きがごとくでした。今でもアンディーメンテ作品には人気がありますしね。
しかし、無いよりはあった方がいいというのも、ほとんどのプレイヤーが思うことです。TDQもTDQ2があったからこそ伝説となったのです。
私はY+Y=M.Hさんにも、ぜひストーリーが進化した次回作を望むのですが、その前に、TDQ1と比べて本作に欠けている、ただ1点の穴を埋める必要があると思います。それはギャグです。ネタが足りない。
本作もネタがまったく無いわけではないんですよ。ただ、本作全体の真面目な雰囲気に目がいって、うっかり見落としてしまうんですね。「なんで全裸がグランパなんだ?」と考えても、疑問でとどまってしまって、心の底からのツッコミにまでいきません。ちょっと弱いんですね。
一方、ストーリーに力を入れたフリーRPGを顧みると、それだけでご飯が進むようなツッコミどころが、必ずと言っていいほど入っているのに気づきます。
などなど……上のはほんの一例です。およそ笑いとは縁遠いホラーの作者さんでも、例えばGu-Lの焼城ユブさんにはPARANOIANSがあり、コープスパーティのKEDWINさんには、あの子宮内決戦のサバトの女王があるのです。
- おとなしく寝てろよ病人!
- ドラゴンボールかよ!
- 敵キャラ、まんまアルファベットかよ!
- スリモだったのか!
- 図体でかいんだから失踪したら気付けよ!
- バナナくらげって、どっちなんだよ!
- ○○チュウかよ、おい!
- わらわないヘビって、普通だろ!
ストーリーができる人はギャグもできる、こう断言していいでしょう。
ならば、ギャグの鍛錬でストーリーもうまくなる、こうなりはしまいか?
そりゃ、論理的には破綻してますがね、一抹の真実はあると思うのですよ。
私は、ネタ至上主義の当サイトの精神に則り、ストーリーの上達を望むすべての人に、まずギャグゲーを作ることをオススメしています。
- 芸の世界では「笑わせることが一番難しい」と言われる。まず一番難しい笑わせることから入れば、喜怒哀楽他の感情は比較的楽につかめると思われる
- プレイヤーの反応を予測するという、ストーリーメイクの基礎がしっかり身に付く
- プレイヤーを笑いに引き込もうとすれば、序破急や起承転結といった、ストーリーの構造をおのずと体で学ぶことができる
- パロディーを意図的に盛り込むことが許される分、ネタ集めはシリアスより楽
- 超短編で勝負ができる。たった5分でドラピーもんのような不朽の名作になる可能性がある
物怖じすることはありません。既に本作で成功を収めているY+Y=M.Hさんです。仮に失敗したとしても、「あのMoon Goddesの作者が! あんなバカゲーを!」と、その存在自体で市中の話題をさらうことは間違いありません。その時は私も、レビューで精一杯ネタにさせて頂きます。
以上、無責任提言でした。