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■ 魔王物語物語

タイトル画面
作者 [ てつ さま ]
ジャンル [ シンプルで楽しいロールプレイングゲーム ]
容量・圧縮形式 [ 171MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールXP ]
ダウンロード ダウンロード先

戦闘画面 ルドルフ ヒクグモ エルオントナナ ルドルフ・イベント終了

(補足)
2007.12.09: 現在の最新バージョンは、Ver.1.10です。
レビュワーハマリ度グラフィック サウンド合計総合判定
ES 10/10 10/10 9 /10 139/150 A
ckck 10/10 10/10 10/10
銅たぬき 10/10 10/10 10/10
或野 吟山 7 /10 8 /10 8 /10
赤松 弥太郎 10/10 9 /10 8 /10

 《 ES 》  ハマリ度:10 グラフィック:10 サウンド:9

自由に、真剣に、冒険しましょ!

■序文:嗚呼、勘違い。

魔王、そしてその対象たる勇者を象徴するてつ さまの作品として挙げられるのは、やはり「勇者の憂鬱」です。異論は認めません。
実は私、今回のイチオシ「魔王物語物語」も、その系統のバカゲーだと考えていました。
いわく、

部下「お部屋のインテリアに、伝説の剣なんていかがでしょう?」
魔王「馬鹿もんッ!!そんなことして、勇者に奪われたらどうするつもりだ!」

とか、

謎の美形キャラ「是非、私も貴方様の部下に!」
魔王「いかんッ!!お前のような奴は、最後の最後で寝返ると決まっているんだ!」

とかいった卓越したギャグシナリオが盛り込まれた傑作バカゲーだと想像していたのです。
あろう事か、その予想を「かしわもち」レビューの申請を出すときに、思いっきり作者さま本人に言ってしまったのです。「次回作も『勇者の憂鬱』のような秀逸なバカゲーとなってくれることを期待しています」と。

……今思えば、恐れ多いにも程があるセリフです。改めて、作者様、早とちりして申し訳ありませんでした。
この「魔王物語物語」は、「勇者の憂鬱」のようなファンタジーRPGをパロディーにした傑作バカゲーではありません。
ファンタジーRPGを題材にし、手間ひまをかけたアレンジを加え、壮絶なるバランスの元で生み出した、傑作RPGなのです。

■サウンド:9/10

「魔王物語物語」で使用される音楽は、reiyさま書き下ろしの楽曲(各キャラのテーマ曲など)と、煉獄庭園さまTAM Music Factoryさまなど、フリー素材の混成です。MIDIもMP3もごっちゃ混ぜです。
どれも雰囲気に合った楽曲がセレクトされており、まさに耳でも楽しめる作品になっています。
しかしながら、唯一不満点があります。場面の切り替えに従い、BGMが消える場所(エリアをつなぐ洞窟など)が所々あることです。演出としての無音なら何も文句を言う筋合いはありません。(事実、本作では演出としての無音も、非常に効果的に使われています。)ただ、もしBGMの指定ミスならば、気が向いたときに直していただければ、助かります。

ちなみに、私の一番お気に入りは「原住民の廃都」のBGM、oo39ドットコムさまのナンバーです。
寂寥とした荒野を思わせるボーカルと胡弓が、非常に泣かせる名曲です。

■グラフィック:10/10

本作のグラフィックで特筆すべき要素は、木村さま・ニコニコさま・zhuziさまがデザインされたキャラ画像です。「水彩画のように」美しいと、下の皆様も評されております。私もそれに異論はありません。美しく、だからこそキャラに感情移入できる素晴らしいグラフィックです。
モンスター画像はRドさまのフリー素材、マップチップに至ってはRTPをそのまま使用していますが、決して見劣りはしません。この部分を含めて、グラフィックは引くべき点が無い10点満点とさせていただきました。

■ハマリ度:10/10

本作で最も特筆すべきは、グラフィックでもサウンドでもありません。主人公が強くなっていく過程を楽しむ、RPGそのものの面白さです。
「戦闘が秀逸なRPG」として思いつくのは、同じくA評価の「魔壊屋姉妹。」「Nepheshel」があります。しかし、「魔壊屋姉妹。」「Nepheshel」の戦闘の秀逸さと、「魔王物語物語」の戦闘の秀逸さは、その方向性において大きく異なります。

「魔壊屋姉妹。」の戦闘は、低レベルクリアを目指す玄人好みのシステムです。決して低レベルクリアは強制されていません。
しかし、プレイヤーはオマケアイテムにつられ、ついつい低レベルでボスに挑んでは玉砕します。その中で、戦略の楽しさを追究するRPGなのです。

対して、「魔王物語物語」の戦闘は、とにかく数をこなし、主人公たちを成長させていくことをコンセプトにしています。
戦闘が多くなりがちでも、ダレる心配はありません。経験値稼ぎの効率など、プレイヤーの努力と無茶によって、いくらでも向上させられるのです。
HPとSPと回復薬の許す限り、複数の敵を固めて、ボーナスをゲットしていきましょう。

「Nepheshel」の戦闘も、「弱い敵を狙い、強い敵を避ける」「ダンジョンに隠された宝で大幅強化」と言うコンセプトは「魔王物語物語」と似ています。
しかし、「Nepheshel」で特徴的なのは、武器・魔法の相性が顕著なことです。ある所では剣、ある所では槍…と、目の前の敵ごとにこまめに装備を変更する必要があります。

対して、「魔王物語物語」では、属性と言う物はありません。炎を吐いてくる敵キャラに、普通に「ファイアウェイブ」が効きます。
それ以上に重要な要素として、技の「効果範囲」という物があります。
ヒマリの技は効果範囲が広めで、敵がバラけても巻き込むことができます。ルドルフの技は効果範囲がごく狭い(おそらく10°も無いでしょう)ですが、その分強力です。
通常攻撃も、持つ武器によって効果範囲は異なります。威力を取るか、まとめて薙ぎ倒す効率を選ぶか、そういった意味で装備の選択は重要なのです。

以上の要素は、どれが秀逸と言うわけではありません。どれも秀逸なのです。

■ハマリ度:10/10…のために

「魔王物語物語」の難易度は、(時代遅れな程に)至難と言えます。最も、至難と感じる理由は、決して理不尽ではありません。大抵「調子ぶっこいて敵キャラ大量に集めすぎ or 強力すぎる敵に挑む」ですので、プレイヤーの自己責任も大きく関わってきます。
これから「魔王物語物語」を遊ぶ方のために、大きなお世話ながら、私ことESから、少々アドバイスをいたします。

・引き際を心得る

道中には至る箇所にセーブポイントと回復場所(&回復薬補給所)があります。この場所はしっかり覚えておきましょう。
「魔王物語物語」の敵キャラは、「1匹ならザコいが、10匹連続では相手できない」と言う絶妙なバランスで設定されています。とにかく敵キャラの与えるダメージがデカいのです。一発のミスで消耗度合いが大きく変化するため、「こりゃ持たんな」と思ったら、即座にセーブポイントに帰還しましょう。
もちろん、セーブポイントに帰還できるほどの回復薬の余裕は忘れないように!

もしも全滅した場合、全滅記録は残りますが、最後にセーブしてからの経験値やアイテムは、全てパーです。
そのときになって後悔し、ゲームを投げ出す前に、セーブはこまめに!「武器や防具は、装備しないと意味がないよ」並みのRPGのお約束です。

・装備を見直す

「魔王物語物語」では、武器・防具の数は意外と少なく、確保できる個数も有限です。(ほぼオンリーワン)
その代わりに、回復薬であろうと敵キャラの遺留品だろうと、なんでも装備ができる、その名も「なんでも」欄が3つ備わっています。
アイテムの中には、「毒耐性」や「スキル:ブルーウィンド」など、特殊な効果を持つものもあります。特に、ステータス異常耐性は重要です。
一発・1ターンが生死を分ける「魔王物語物語」です。余計な消耗と「気力回復」の使用量を減らすためにも、敵キャラを研究し、適切な装備変更を行う必要があります。

また、「魔王物語物語」の装備には「熟練度」というステータスが備わっています。装備中の戦闘回数に従い、ステータス上昇にボーナスが掛かるシステムです。
「魔王物語物語」では、装備によるステータス上昇も、立派な作戦要素です。攻撃力・防御力だけでなく、HPやSPなども、装備品によって上下します。熟練度のアップは、キャラクター自身のレベルアップと同様、もしくはそれ以上に重要な要素です。
ただし、もともとの上昇効果の低いアイテムは、熟練度を上げても、その効果はそれなりです。残念ながら、「最初は弱くても、熟練度MAXになれば、ものゴッツい効果が!!」なんてアイテムは存在しない…ようです。

以上の通り、本作は一瞬の油断と判断ミスが全滅を招く、難易度の高い作品…悪く言えば「マゾゲー」です。
しかし、そのマゾさに耐えられるよう自己を成長させ、少しずつ世界を広げていく楽しさ、それはRPGと呼ばれるエンターティメントそのものなのです!

…オチだけは「勇者の憂鬱」と同じにしてみました。

 《 ckck 》  ハマリ度:10 グラフィック:10 サウンド:10

人は書を携え、英雄はその手に剣を取る。

ハマリ度10/10
油断が死に直結する難易度に加えて、ストーリーは重厚かつ繊細に仕上げられている。
全国一千万のマゾゲーマー垂涎の一本だろう。
グラフィック10/10
豊富な一枚絵から些細なマップチップに至るまで物語を構成する一員となっている、正に驚愕の作り込み。
技のカットインをボス戦に限定することで、通常戦闘の軽快さと怪物達の印象付けを両立している。
サウンド10/10
物悲しい旋律が世界観を創造し、情熱的なリズムは越えるべき壁との戦いを盛り上げる。
素材の特性を生かしきった選曲は脱帽もの。

RPGにおける戦闘というものは、何のために存在するのでしょうか。
そもそもRPGとは「ロールプレイングゲーム」、つまり「役割を演じる遊び」であり、戦闘要素が必須という訳ではないはずです。
そのキャラクターになりきって、何かしらの目的を達成すれば、単語としての意味は満たせるでしょう。

にもかかわらず、世のRPGとバトルは切っても切れない関係にあります。

私はコレを、演じる対象を「一個人」から「英雄」へと成長させるための鍛錬だと考えています。
いきなり究極の力を持った英雄が登場して、絶対悪たる魔王を倒すだけで終わってしまっては、物語に厚みがありませんからね。
凡庸なる人間が、幾多の敵を退けることで肉体的に成長し、試練を乗り越えることで精神に磨きをかける。その過程が描かれるからこそ感情移入し、私達が英雄を演じることができるのです。

魔王物語物語には、胸躍る冒険があり、数々の困難が待ちうけ、数多(あまた)の怪物達が登場します。
RPGというジャンルを考えれば、これは当然のことかも知れません。

しかし、この作品においては、それらの過程が特に重要視され、ストーリーの進行に深く関わっています。
さらに、キャラクターも、敵も、グラフィックも、サウンドも、そしてシステムも。それぞれが緻密に絡み合い、「役割を演じる遊び」を体現するべく、物語を織り上げているのです。

さあ、あなたも。
書を携えて剣を取り、魔王物語で英雄を演じてみませんか。

 《 銅たぬき 》  ハマリ度:10 グラフィック:10 サウンド:10

何度全滅したって,ハッピーエンド至上主義!

ハマリ度:10/10
RPGにおいて最も作業的になりやすい移動と戦闘が緊張感に満ち満ちているのはさすが.常に手に汗握りっぱなしである.
戦闘が(勝つにせよ,負けるにせよ,)サクッと終わるのもgood.
グラフィック:10/10
水彩画調の顔グラが淡い,切ない世界観をうまく演出している.さらに敵グラフィックも相当凝っている.
これで,戦闘時の技エフェクトとカットインがボス戦にしか入らない~,とごねるのは欲張りすぎであろう.
サウンド:10/10
フリーとオリジナルのミックスであり,各マップにあわせたBGMのチョイスは絶妙である.

「魔王物語物語」は激辛でも紹介されている「ネフェシエル」「イストワール」と同系の2D探索型RPGです.
主人公の自室の本棚に「このゲームの目的は魔王物語の終わりを見つけ出すことです」あっさりはっきり書かれていることに代表されるように,ストーリーや目先の目的は最小限に抑えられているため,プレイヤーは手探りで探索を行わなくてはなりません.
ですが,この自分の手で未知の領域を切り開いていくことこそが,このゲーム最大の面白みです.
また,このゲームにおいて,難易度はかなりというか,アホみたいに高めに設定されています(だいたい,全滅履歴なるものがあることからも作者さまが意図的に高難易度にしたことは明らかですが).
えーと,例えるなら「魔壊屋姉妹。」目標レベル-5クリア相当の難易度といったところでしょうか.ちなみにエクストラダンジョンは目標レベル-7クリア以上の難易度ではないかと思います.(見た人の100人中5人くらいしかわからなさそうな例えだ.orz)
難易度が高いからこそ,まるで歯が立たなかった敵をレベルを上げたり,装備を工夫することで倒せたときの喜びはひとしおです.
プレイヤーの分身であるキャラクターたちの成長が実感できるというのも「魔王物語物語」の醍醐味であります.

よし,レビューワーとして最低限の仕事はした,と.

というわけで,

よっしゃー!! ついにきたぞ! 俺のエターナルターン!!!
もう,空気とか,ネタとか,読者にわかりやすくとか,そんなことは関係ねぇ!!

(注:ここから先,銅たぬきが熱暴走しております.おそらく一部の人にしか共感されないだろう内容になっておりますので,興味のない方は他のレビューワーさまのレビューを読まれたほうがよろしいでしょう.)

魔王物語物語」を一言で表すと,

「ヒマリ,かわいいよ,ヒマリ」

あ,やべっ.カンペ間違えた.

ではなくて,

「ナナたん,かあいいよ.ハァハァ」

いや,このカンペも違うって.

えー,コホン.
改めて言うと,「すべてのシステムが探索型RPGの面白さを引き出すためにカスタマイズされたゲームである」ということである.
RPGとはプレイヤーキャラの成長を楽しむものである.断言する,異論は認めない.
それまで行けなかった場所に行けるようになる,倒せなかった敵が倒せるようになる,未知のアイテムを手に入れる etc.etc. そういった事柄に喜びを見出すのが本来のRPGである.
何っ,ストーリーだと?そんなものは飾りであります.偉い人はそこのところが<!以下略゛
本作は難易度が高い.それも途方もなく.しかし,だからこそ,キャラの成長がより実感できるようになっている.
終盤, 「ネズミ一匹に苦労していたあの子がこんなに成長して…」と感動すること必至である.

また,本作ではシンボルエンカウント制を取っている.探索RPGにシンボルエンカウントという要素を混ぜた結果,どのような化学反応が起きたかというと,敵を避けて先へ進むという,地道にキャラを強くしなくともプレイヤーの操作テクニックで進めるようになったのである.これによりRPGにアクション的な面白さが加わっている.
その上,本作では敵と一定範囲内に近づくとエンカウントする.わざとエンカウントする範囲を見せないようにしているので「このくらい近づいても大丈夫か?」という,ギリギリを狙うスリルが味わえるようになっている.

しかも,エンカウントしてから戦闘が始まるまでに他の敵を巻き込んでいくこともできる.
ここで,「一方向に巻き込んで一気になぎ払うのが爽快」などと書く者はヤリコミが足りない.
一度,地底を1週してきなさい,ね?そしたら話を聞いてあげるから.
本作では,よほどのレベル差がない限り複数の敵を巻き込んで相手にすることは死を意味する.囲まれでもした場合は,即リセット決定である.
なにっ?やばかったら逃げればいいだと? 「逃亡」なんて言葉は私の辞書にはないわ! というか, 「逃げる」なんてコマンドすらないわっ.
ゆえに,プレイヤーは敵を避けるだけでなく,万が一エンカウントした場合でもタイマンに持ち込む戦略と回避行動が求められる.
それを見越したように,エンカウントした途端に現れる敵とか,速度を増して襲ってくる敵が多いこと,多いこと.
ハイエナか,お前らは.
そして囲まれて集団リンチ状態になって,なぶり殺しである.ひっ,ひどすぎる.
ただのエンカウントバトル以上のスリルと緊張感が味わえること間違いなしである.

戦闘においては,武器・スキルによって攻撃範囲が決まっていて,先のエンカウントでどの位置に敵を巻き込むかで同時に敵を攻撃できるシステムも面白いのだが,特に挙げるべき点はほぼすべてのスキルに「HP~%以下でのみ使用可」という制限がついていることだろう.
もちろん,強力なスキルほどHPが低下していないと使用できないため,HPが減ってきた状況では「ここは回復をすべきか?それともスキルを使っておくべきか?」という決断を迫られることになる.もちろん,選択を誤れば最悪,全滅.よくとも無駄な消耗をすることになる.
本作では回復アイテムの補充はノーコストだが,一度に持ち歩ける数に上限があるので,道中でもいかに最善手で戦闘をこなしていくかが重要である.さらにボス戦では相手の先を読んで回復か,スキルかを選んでいかなくてはならない.この緊迫感と先読みがたまらなく面白いのである.

それでは,今度はアイテム欄に目を移してみよう.
ゲーム後半,アイテム欄をスクロールさせるのが面倒くさくなってきた頃に気づくことがある.
本作は武器・防具が圧倒的に少ないのである.
それは「ネフェシエル」や「イストワール」と比べれば歴然としている.
武器・防具の絶対数が少ないからこそ,新しい武器・防具を手に入れたときの感動,ありがたみが倍増する仕掛けになっている.
私は初めてチョップスティック7を手に入れたときの感動は忘れない.(チョップスティック7はおそらく初めて手に入れるだろう武器.最初のダンジョンの奥のほうにある.つまり,ヒマリさんはそれまで素手で敵と戦っていたのである.すごいよ,ヒマリさん.)

また,アイテムで圧倒的多数を占めているのは敵のドロップアイテムである.これらは使おうとするとただのゴミでしかないが,「なんでも装備欄」に装備することで武器・防具以上にパラメータをアップさせることができる.この3つの「なんでも欄」を活用することで非常に柔軟なキャラのカスタマイズが可能になっている.バランス型もよし,1点特化型ももちろん可能である.
ま,装備してみてもゴミでした,なんて物もなかにはありますがね.
そうは言ってもとりあえず敵を虐殺して3つ手に入れておくのは最低限の礼儀.(誰に対してだよ)

不満点を挙げろと言われるとむしろ困るくらいの本作であるが,あえて言わなくてはならないのは「クビキリ」(ダメージ+確率で即死効果)の存在である.
RPGにおける戦闘を「敵とプレイヤーキャラのどちらが早く相手のHPをゼロにできるか」というダメージレースとして捉えると,ルールブレイカー的な技があることに気づく.それはそれまでの与ダメージを無視して戦闘を終わらせてしまう技「即死技」である.
ゆえに多くのRPGでは「即死技」はほぼ敵専用技(もしくはプレイヤーが使った場合,確率が悪すぎて使い物にならない)になっているはず.
しかし,本作の「クビキリ」は結構当たるのである.実はとあるパラメータが確率を決めているので,カスタマイズによっては この技だけで地底ですら攻略可能となってしまう.この技の存在は戦闘の戦略性をぶち壊すので,ないほうがよかったのではないか,と思っていたのだが…,
「クビキリ」を使わないと正直,地底最下部はキツイ.「クビキリ」が使えるアイテムが限られていることを考えると,この技の存在は一種の救済策ではないかとも思える.もしそこまで見越していたとしたら….

てつさま,…恐ろしい子…!

皆さんはもちろん,「クビキリ」なしですよね?
私?私は,地底に行くとすると…,ちょっと,あるとうれしいというか…なんというか…..えーと,な,なしで頑張ります!

本作では初めて30点満点を付けたわけだが,本当に減点できそうなところがない.
傑作といっても過言ではない.もう完敗である,どうにでもしやがれコンチクショーである.
確かに難易度は高く,後半に行くほどさらに高くなるのだが,その難易度をぜひ,堪能して欲しい.

 《 或野 吟山 》  ハマリ度:7 グラフィック:8 サウンド:8

どうせ「まおまお物語」とかいって欲しいんだろう!

 えー、「まお」というのは井上真央嬢か、小林麻央女史のこととお考え願います。あちら様をネタにすると、せっかく一年間ネタを封じてきたのがおじゃんですし(私的な話)。
(なお、今回のNGコンテントは『まもももももももものうち』です。言った奴、来年のあだ名はチンポ野郎に決定。)

 さて、最近の激辛のイチオシは新人さんで隆盛なので、今回の「魔王物語物語(以下、まもも)」古参の私は控えめにレビューさせてもらうことにします。ゲームについての詳細な解説・魅力的な遊びどころなどは、どうぞ管理人様のレビューなどをご参考にして下さい。

バトルについて

どうせならまとめて殺るべし。
タイムアタック!RPG」でもお馴染みのバトルシステムが、相当に深化されてこのまももに使われているわけで、独自の「おもしろエンカウントシステム」により「バトルに入る前からがバトル」というまももらしさがよく出ています。

 ただ個人的に不満だったのが、「なんでも装備システム」において「アイテムの種数の割に、アイテムの熟練度を上げるための戦闘回数が多くないか?」ということです。ここでは詳細な条件を挙げることはしませんが、アイテムの熟練度が上がる度合いは撃破敵数ではなく戦闘回数で決定されるのです。
 これが、割としんどい・・・。
 ここに例えば、たまにランダムでメタルスライム的なボーナス敵が出てきて、こいつを倒すと熟練度が10倍入るとか、そういう「思いがけない喜び」があるとバトルによりメリハリ付いたんじゃないのかと思います。

 さらに言わせてもらいます。完全にパターンの作れる覚えゲー的要素が強い「タイムアタック!RPG」ならともかく、一般のRPGにおいては、あまりバトルに偶然要素が少ないのは、個人的にはだれてしまいます。たまにでも意外性のある変化球が飛んで来ないと、退屈で眠くなってくるのです。しかしこのまもも、ドロップアイテム入手以外に運に左右される要素が少ないような気がします。
 また「おもしろエンカウントシステム」にしても、避けるか避けないかというのは純粋に腕前の問題です。しかも、敵シンボルにどれだけ近付けばエンカウントになるのかが視覚的にに分かりにくく、そこで理不尽さを覚え面白くなくなりそうな点がありました。特に終盤になり敵が強くなると、敵にエンカウントしたら死亡確定になるようなシーンが多く、私など投げ出してしまったことをここに挙げておきます。

 こうして悪い(と私が思った)点を挙げていくと、現在のRPG作家としてのてつ様の弱点が見えてきます。つまり、てつ様が従来のRPGの形を崩していこうとする(この態度自体は評価しています)あまり、プレイヤーのために残して良い小技(プレイヤーをバトルに飽かせないように仕掛ける、先述のメタルスライムなどのような要素)まで失っているのではないか、ということがあるように思います。これは、今後のてつ様への期待要素とすることにしましょう。

シナリオについて

何だかんだ言って、一番シナリオ的に驚かされたのは、この左下にいるネズ公だったような気がします。
 私には、この作品のシナリオにも不満があるのです。

 てつ様も参考にしたという有名な作品「イストワール」では、プレイヤーが行くことになる場所の全てに登場人物の誰かとの所縁があり、それに関連したテキストが随所に大量に配置されていて、作品全体の広大な世界観を支えています。この世界観の深さが、イストワールに多くのファンが引き付けられる所以です。
 さて、まももに関して言えば、この世界には情報量がずっと少なく、なかなか世界観に引き込まれないような気がします。テキストの転がっている量が少なく、「用語集.txt」に出力されるテキストもほとんどそのままが書かれてあるだけで、何と言うか、魅せ方がまだ至らないのではないでしょうか。
 例えて言うなら、「前振りとか伏線に十分紙幅を尽くさないまま、あっという間に謎解きが始まってしまうミステリーを読んでいる」ように感じたのです。

 ただでこそ理解しにくい、正統派でないファンタジーを展開しようとするなら、それ相応にプレイヤーの助けとなるような情報を徹底的にゲーム中に開示していくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 それとも、この作品の魅力は自由度の高いバトルシステムであるとばかり、シナリオ展開のまだまだな点に関しては目をつぶるべきなんでしょうか。個人的には、てつ様には研鑽を積めばかなりの所まで到達できるだけの潜在能力を感じていますし、シナリオに関しても腕を磨いていって欲しいのですが・・・。

演出について

 グラフィックに関して言いますと、やはり印象深いのはオープニング画面や顔グラフィックに使われている水彩画風のイラストでしょう。その一方で、バトルなどではきっちりしたドット絵を使っており、この使い分けについては文句はありません。敢えて言うなら、マップチップ素材の多くがRTPそのままなので、自作に挑んで欲しいものです・・・優先度はきわめて低いんですけど。

ゲームとしては十分なんですけど、もうちょっと何とかしようがあるのでは。
 あと、敵シンボルがモノトーンってのはやめましょうよ。
 せっかく元のRTPには色が付いてたんですし、それをわざわざ殺すこともなかったんじゃないでしょうか。

 サウンドについて言うと、全体的になかなか高水準なんですが、どうしても一部のBGMが浮いているような気がしてなりません。具体的に言えば、「原住民の廃都」に流れるボーカルみたいなのが入ったBGM。ああ言うのは、個人的な感覚から言えばラストバトル直前の一気に物語を盛り上げたいところで流すべきでは、と思います。「イストワール」にもボーカル付きのBGMがありますが、そこに行くのはゲームの終盤のことになります。まあ、これは細かいことでしょう。

全体について(総括)

 うーん、粗探しをしたわけじゃないのに批判点がやたらと出てきてしまいましたね・・・。
 それでも、まももがつまらないゲームと言うわけでは全くないのですよ。むしろてつ様にはもっと上を目指すだけの力があるように思われたため、私からは敢えてこの厳しいレビューを提示させていただきます。

最後に

(ここからはもう『まもも』とは一切関係ありませんので、『まもも』以外に興味のない方は読まなくても構いません。)

 さて、唐突ながら。
 私、或野吟山は、今回をもちましてイチオシレビュワーから「半分」降りることにいたします。

 私は以前から、この激辛のイチオシのシステムに疑念を抱いておりました。
 御存知のようにこの「イチオシレビュー」では、初代管理人・上橋江上様が惚れ込んでいたアーケードゲーム情報誌「ゲーム遊2」のレビューシステム、つまりハマリ度・グラフィック・サウンドの3評価軸にそれぞれ10点ずつを割り当て、レビュワー1人に付き計30点満点で採点する方式が流用されています。
 しかし、これは実際のゲームをプレイする側の人間としては、ゲームにはまった理由を説明するのにはバランスが悪いと思わざるを得ません。だいたい、ゲームの面白さとはあまり関係のないところのグラフィックとサウンド、つまり演出に関する点に総得点の3分の2も割り当てるのは奇妙です。アーケードゲームならともかく、アマチュアがゲーム性を突き詰めようとグラフィックなど最低限にして作られるフリーゲームの評価としては、演出点が多過ぎで不適切ではないのかという疑念が拭い去れません。それよりも、例えば独創性などをより大きく評価した方が良いのでは、などと思います。

 なお、投稿レビューに関してはこれからも度々お世話になるつもりです(もちろん採点は、今の評価軸のままでは行いません)。そして、イチオシレビューの採点基準を見直そうということになれば、喜んで私からも意見を表明いたしますし、それで採点システムがよりフリーゲームを評価するものとして相応しいものになったと私が思ったならば(まあどんなものであれ、多分現状のものより良くなるのではと思います)、その時点で採点を再開することにします。

 《 赤松弥太郎 》  ハマリ度 : 10グラフィック : 9サウンド : 8

存在しない存在を証明し続けるために

退屈な日常の中で、少し脇道に逸れたくなったとき、
窮屈な日々の生活で、一息入れたくなったとき、
私たちは、物語を紐解きます。
そこには、私たちの痛みや悩み、苦しみを癒してくれる、不思議な力があり、
明日の日常を元気に過ごすための、ちょっとしたカギがあるのです。

止むに止まれぬ思いから、人は物語を綴りはじめました。
なぜ、実りの秋の次には冬が来るのだろう。
なぜ、過去やってしまったことをやり直すことができないのだろう。
なぜ、人はいつか死に、もう二度と生き返らないのだろう。
人の力ではどうにもならない、悲しみや怒りや後悔が、
いつの時代も作家を衝き動かしています。

心理療法の一つに、箱庭療法というものがあります。
砂の入った箱の中で自由に遊ぶうち、クライエントは自分の内側の世界を箱の中に描きはじめる。
物語を書いたり、読んだりすることは、少し箱庭療法に似ているのかもしれません。
作者は物語を書くことで、自分の止むに止まれぬ渇きを癒していく。
読者もまた、できあがった物語を自分の顎でかみ砕き、消化することで、
自分の渇きを癒す、自分の物語を組み上げているのでしょう。

箱庭に枠があるように、物語には始まりと終わりがある。
しかし、物語が終わる前に終わってしまう物語も、数多くあります。
長い年月の中で、抜け落ちてしまった物語。
作者にとって、もはやその役割を終えた物語。
作者が書き終える前に、書き続けることのできなくなった物語。
終わりのない物語を読み、読者は自分なりの結末を思い描きます。
しかし渇きは止まず、思うのです。「本当の結末」が知りたい、と。

あるところに、終わりのない物語がありました。
その物語の名は『魔王物語』。
この物語は長年にわたり読み継がれ、あまねく知れ渡りました。
止むに止まれぬ思いが、そこにあったのです。
やがて、熱心な読者、重い苦しみを背負った者達が、
物語の生まれた小島を訪れるようになりました。
この島で自分なりの結末を迎え、帰っていった彼らの残した思いは、
廃墟となったこの島で息吹き、花を咲かせました。

ここに、一つの物語があります。
その物語の名は『魔王物語物語』。
『魔王物語』に取り憑かれた読者達は、止むに止まれぬ渇きを癒すため、この島にやってきます。
彼らにとって『魔王物語』は、彼ら自身の物語。
彼らはこの島という箱庭で、彼ら自身の物語の結末を見つけ、また日常へと帰って行くでしょう。
主人公ヒマリは、それを見届ける人。
彼女が『魔王物語』の結末を見届ける物語、それが『魔王物語物語』です。

この物語は、とても寡黙です。
あなたが読者として楽しむなら、この噛みごたえのある物語を咀嚼し、
自分なりの物語として受け取るしかないでしょう。
もちろん、物語を楽しまなくても、本作は十分に魅力的です。
しかし、あなたがもし「物語」好きなら、本作は素晴らしい「物語」を読ませてくれるはずです。

ここまでは、私の噛み下した『魔王物語物語』のレビューでした。
主人公ヒマリとは一体何者なのか、
あなたなりの結末を、きっと見つけてほしいと思います。

 以上で止めておけば、それなりにまとまりのいいレビューになったでしょうに。

◆最初に言っておく。点数は飾りだ !

ハマリ度 : 10 / 10
 禁術ネフェなど名作を輩出してきた「宝探し系RPG」の集大成にして発展形。
 特に、この系統の伝統だった「戦闘を避け強い宝で打倒する」というセオリーを見直し、「戦闘で宝を鍛える」という新概念を導入、戦闘に醍醐味を加えた点は、極めて高く評価したい。なんでも装備や補填可能な回復薬、まとめてエンカウント等、全ての要素が戦闘を楽しむことに向けられているため、従来障害でしかなかったザコとの戦いさえも楽しめる。
 また、本作のラスボスは、おそらくフリーRPG史上に残る名ボスであろう。単なる攻撃力の高さではなく、緻密でいやらしい戦略で戦うボスであり、その戦略をいかに崩すかが攻略の鍵を握っている。倒すまでの苦労も、戦っているときの楽しさも、倒した後の達成感も、私が経験した中ではトップクラスの敵だった。このボスと出会えただけでも、本作をやった甲斐があったと思っている。
 数少ない欠点として、第三章のダレは指摘できるだろう。シナリオとしても同じことの三度目の繰り返しであり、戦闘もゲスト頼みの単調な戦略になりがち、ダンジョンも構造がシンプルである上、謎解きにも変化が乏しい。
 最終章に入る前なのだから、もう少し早めにラストへの伏線を張っておく等していれば、大分改善したと思う。
グラフィック : 9 / 10
 木村さんのカットイン、zhuziさんのドット絵、ニコニコさんの挿絵、いずれも最高水準。それぞれ異なる画風でありながら、一緒に見たとき大きな違和感がなかったのは、きっとてつさんのマネジメントあってのものだろう。
 むしろ喧嘩してしまったのが、Rドさんの敵キャラ素材。どうも上3人の描く空気とずれてしまっている。欲を言えば、もう少し似通った空気のある素材はなかったものかと思う。
サウンド : 8 / 10
 reiyさんの書き下ろし曲は環境音楽として徹底している。決して目立たず、静かに詩情を引き立てる。
 そのため、どうしても普段よく聴くフリー素材の方が印象に残ってしまう。選曲は決して悪くはないのだが……どうぞ皆さん、reiyさんの音楽にも耳を傾けてやってください。

 どうあがいても、本作のように寡黙にはなれない私なのでした。

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