■ 三代目レビュー アドベンチャー 4
日照雨~そばえ~ 666laboratory YourPrison
夕暮れ叙事詩 禍代の神子-灰桜- アントールの犬

【 日照雨~そばえ~ 】

日照雨
ジャンル [ 和風探索ホラー ]
作者 [ Note⇔Memo さま ]
容量・圧縮形式 [ 88MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ R-15指定 性的・グロテスク表現含む ]
配布元 ダウンロード先

出ようとも出られない。彼も彼女も。

一般的サラリーマン・輝(あきら)は、いつもの帰り道の途中、白毛の狐と出会う。
狐はまるで輝に懐くようにすり寄った後、「願いを叶える」と語り、場所の知れぬ屋敷へと誘う。何故か輝には、その屋敷に見覚えがあった。
誘われるまま…というより半ば無理やり屋敷に閉じ込められた輝。そこは、とある狐ととある男の残酷な一生が眠り、怪物が彷徨う危険な屋敷であった。
果たして、輝と狐と屋敷の関係は何なのであろうか。それは残酷な運命の幕開けであった。

日照雨 日照雨 日照雨

本作は、謎解きもストーリーも難易度高めのアドベンチャーです。基本的にはカギを各所から探し出して道を切り開いていく探索アドベンチャーですが、道中には様々な意味で手の込んだパズルが仕掛けられています。
奥にカギが保管されている箱入り娘パズル、投扇輿(とうせんきょう)のルールを学んで解かねばならないパズル、様々な謎が輝を阻んできます。
そして、探索ホラーには付き物の「追いかけっこ」も、プレイヤーを苦しめてきます。本作の追いかけっこのルールは、「プレイヤーの体力が尽きる前に、屋敷各所にある行灯の明かりに触れる」こと。
ただでさえ、「各所の行灯」の位置を記憶せねばいけません。難易度選択によっては、行灯の明かりがランダムで消えたり、行灯自体が壊れて次回以降に使えなくなったりと、苦しい仕掛けが満載です。

そして、それ以上にプレイヤーを恐怖に染めるのが、シナリオそのものです。かの「Violet」の作者が、前作以上の悲劇を注ぎ込んだ作品が、本作「日照雨~そばえ~」である…と言えば、その悲劇の悲しさと残酷さが理解できると思います。
具体的に語りたいのですが、当然ながらネタバレの範囲内。気になる方は先にダウンロードしてください。隠しENDを含めて2~3時間もあればコンプリートできる作品です。

※ 以降はネタバレ感想です

本作のエンディングは、終盤の選択肢によって分岐する2つのENDと、その2ENDを見て解放される隠しENDの合計3種類。GOOD ENDは1つもありません。
ENDはいずれも、作者渾身のグラフィック全開で迫ります。R-15の限界に迫ったグロ画像をスタッフロールで見せられるのです。それまでのストーリーによる憔悴と合わさって、冗談抜きで嘔吐しそうになりました。
そのあと始まる2週目は、かなりの部分が追加されます。屋敷に置かれた冊子に、更なる真相が追加されるのはもちろん、よりによって追いかけっこまで追加になります。1週目ではチョイ役でしかなかった人形が、メインストリームにしゃしゃり出てくるのです。スタッフロールで唯一CVのある彼女を不思議に思っていたのですが、まさか2週目以降の隠しキャラだとは…。
人形だけが知る輝と狐と屋敷の関係は何なのでしょう。それは、プレイヤー自身の目でご覧ください。

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【 666laboratory 】

666laboratory
ジャンル [ 少女との対話によるホラー ]
作者 [ HIJIKI さま (くらげのかえり道) ]
容量・圧縮形式 [ 12MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ RPGアツマールでのプレイも可能 ]
配布元 ダウンロード先

目の前の少女は、本当に悪魔なのか。

貴方の見ているモニターに連絡が入る。とある研究機関に保護されている少女「イオ」のカウンセリングのため、貴方は雇われたのである。
目の前の少女は、「普通」としか言いようが無かった。近くに迫った誕生日を楽しみにし、お気に入りのTV番組を嬉々として語る、そんな「普通」の女の子であった。
この少女に、果たして研究機関が求める「何か」があるのだろうか。それは、貴方自身がイオたちとの会話に仕掛けられた「キーワード」を調べて解き明かさなければならない。

本作は掌編にまとめられた探索ホラーです。プレイヤーができることは、イオや同僚たちとの会話と、その中で水色文字で表示された「キーワード」を検索することのみ。
しかし、キーワード検索によってわかる事実は、予想をはるかに超えるものでした。イオの「友達」の情報にはパスワードロックが掛かり、前任担当者は謎の引退。意外なキーワードが意外な情報に繋がる「検索の妙」を味わう仕掛けになっています。

ENDは2種類あります。基本的にイオに対して誠実な対応をすれば、良いENDを見れる仕掛けになっています。ただし、初見の貴方は、イオの何が「地雷」になるか分からない状態。リセットなしでクリアした場合、恐らくBAD ENDになると思います。
良いENDを見るために、そして、クリアに必要な情報を記録するため、メモ帳や紙のお世話になるはずです。
本作の特徴は、この「メモを取る」攻略も、プレイの臨場感を盛り上げる仕掛けになっていることです。片側のウィンドウではイオの相手をしながら、もう片方のメモ帳ではキーワードを漏れなく記載していく抜け目の無さが、まさに「少女のカウンセリング」らしさを再現しています。

そして、本作は恐るべきホラーです。作者自ら「某財団風」と例えるホラーは、静かにあなたの目の前を侵食していきます。
カレンダー変わってないか…? ディスクトップに見慣れぬものが…? 相手の様子がおかしいぞ…?
2周したとしても1時間かからない物語ですが、きっとその物語はあなたを確実に「侵食」するでしょう。

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【 YourPrison 】

YourPrison
ジャンル [ 探索ホラー ]
作者 [ 吉良(きよ) さま ]
容量・圧縮形式 [ 81MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ RPGアツマールとふりーむ!にてプレイ可能 ]
配布元 ダウンロード先

少女が作った悪夢の世界

とある国の刑事・グラッゼ。彼は「リセッタ」という名の少女を追っていた。
心を具現化する能力を持つリセッタは、その力を犯罪者の取り調べと制裁のために利用されていたのだ。
一時はリセッタを追い詰めたグラッゼ。しかし、その瞬間、リセッタは能力をグラッゼに向けて使用する。
自らのトラウマが作り出した世界に捕らわれてしまったグラッゼ。しかし、そこには見知らぬ少女・アリシアの姿があった。
グラッゼとアリシアは、ともに協力し、この世界からの脱出を図るのであった。グラッゼだけではなく、リセッタも救うために…。

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本作は、ストーリー・ビジュアル中心の探索ホラーです。しかし、ニューゲーム時に難易度選択がある通り、追いかけっこやバトルの比重も高くなっています。
特に、追いかけてくる怪異は、アリシアの能力(キーボードのA)発動時のみ視認できる影、主人公よりも素早いピエロや首なし人間など、まず逃げ切れないキャラばかりです。
…それに対抗するため、本作はHP制になっています。イージーならば、5発ぐらいは殴られてもGAME OVERになりません。当然ながら、難易度が上がる程、受けるダメージも大きくなります。高難易度に挑戦する場合は、敵キャラに気づかれずに動くことを求められます。
謎解きの個数は多くありませんが、一部変化球があります。アリシアの能力を謎解きに使用する場面もあるため、動けない箇所・分からない問題があったら、どんどん使用していきましょう。

本作で恐怖の象徴となるトラウマは、グラッゼの物ばかりではありません。リセッタの能力によって囚われた世界は、リセッタの心の世界ともつながっているのです。
果たして、グラッゼとリセッタのトラウマとは何でしょうか。その中でアリシアはどのような関係があるのでしょうか。ストーリーを進めるたびにその真相が露わになるでしょう。

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【 夕暮れ叙事詩 】

夕暮れ叙事詩
ジャンル [ ちょっぴりホラーな不思議な物語 ]
作者 [ 月の側面 (かおる さま & もかねこ さま & ひろ さま) ]
容量・圧縮形式 [ 201MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

親方ぁ! 土から女の子が!!

高月 秋乃は、小説を愛する普通の少年…だった。ある電話を受け取るまでは。
何故か聞き覚えのある電話の声が導くまま、裏山の石碑まで辿り着く秋乃。
石碑の前に埋まっていたのは、白髪の少女の遺体。遺体の握っていた携帯電話から脅迫を受け、遺体をとある屋敷まで運ぶ羽目になった秋乃。
しかし、屋敷についたとたん、その遺体…宮凪 帷は動き出した。
一体、帷は何者なのか? 帷と秋乃の関係とは?
事態は、秋乃の親戚・立花 朱莉、帷が通っていた学校の教育実習生・古里 千歳までも巻き込んでいく…。

夕暮れ叙事詩 夕暮れ叙事詩 夕暮れ叙事詩

本作は、同作者の「雨宿バス停留所」と同じく、ホラー風味が多分に入ったアドベンチャーになっています。
しかし、難易度は「雨宿バス停留所」に比べて格段に下がりました。暗号などのメモが必要な謎解きがなくなり、追いかけっこの頻度と難易度も下がりました。
しかし、後半の病院でのスニーキングアクションは結構難易度が高いです。隙間なく歩いているように見える敵の動きをよく見て、ぶつからないよう慎重に素早く通り抜ける必要があるのです。「雨宿バス停留所」の「水筒」にあたる途中セーブできるアイテムも「夕暮れ叙事詩」では存在しないため、セーブ場所から終着点までノーセーブで突っ切らなくてはいけない点も高難易度の要因になっています。

本作のストーリーは単体で理解できるシナリオ運びになっていますが、「雨宿バス停留所」をプレイ済みの方なら更に楽しめる点があります。登場人物を見ればピンとくるでしょう。
マップの様々な箇所を調べるだけでなく、ストーリー左下に出てくる吹き出しをマウスクリックすることで、場面に合わせたパーティ会話が繰り広げられる仕掛けもあります。ただ、これはあくまで「ストーリーを深めたり、ヒントを出すためのオマケ」です。事実、ゲームパッド派の私はこの吹き出しをクリックすることに気づかずクリアしてしまいました。
様々なENDに分かれていた「雨宿バス停留所」に対し、本作のENDは1つのみ。リトライ含めても1~2時間でクリアできるほどのシナリオ量です。お時間に余裕があれば、「雨宿バス停留所」と合わせてお楽しみください。

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【 禍代の神子-灰桜- 】

禍代の神子-灰桜-
ジャンル [ 探索ホラー ]
作者 [ 戸塚 さま ]
容量・圧縮形式 [ ・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 ダウンロード先

暗闇の怪異と悪霊、それすら始まりに過ぎない。

何故か悪霊に狙われやすい少女・入柄 ほたる。彼女の守護霊である「千歳」は、そんな彼女にやきもきしながらも甲斐甲斐しく守護をしていた。
そんなある日、巻き込まれた悪霊事件の中で、ほたるの母の肖像画の著者・囲 周一郎の情報を得る。
記憶に乏しい母の情報を得ようと、囲の邸宅に向かうほたると千歳。しかし、そこは既に廃墟であった。
そこでも悪霊に狙われるほたる。同じように館を探索する少女・露。いったい、この館には何があるのだろうか。

禍代の神子-灰桜- 禍代の神子-灰桜-

本作の特徴は、方向キーで千歳を、マウスでほたるを操るという独特の操作にあります。
千歳とほたるには、それぞれできること・できないことが分かれています。
浮遊霊である千歳は、二本足では渡れない割れた床、鍵のかかった扉をすり抜けることができます。
しかし、千歳は物に触れることはできないため、棚や本など開く必要のあるものを調べられません。そういう場合にはほたるを誘導して調べさせましょう。

本作は探索が主ですが、あまり館をうろついていると悪霊に襲われる場合もあります。ただ、悪霊はアクションシーンでマウスカーソルを当てればすぐに消去できるため、難易度は低めです。
謎解きもそれほど苦労しないでしょう。基本的に出てくるヒントを付き合わせれば解ける難易度になっています。
ENDは4種類ですが、これも終盤のセーブを分けておけば、コンプリートは難しくありません。END1をクリアすれば、他のENDのヒントも表示されます。

しかし、本作単体では、あまりにも解決していない謎が多すぎます。解決したのはあくまで囲 周一郎邸の真相まで。なぜほたるが悪霊に狙われるのか、千歳の生前とは、露の秘密とは、色々な謎が明かされないまま完結します。
ここら辺、作者にも次回作の構想があるようです。次回作も楽しみですね。

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【 アントールの犬 】

アントールの犬
ジャンル [ 人生 ]
作者 [ 3色ぱん さま ]
容量・圧縮形式 [ 36MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語・英語 ]
配布元 ダウンロード先

犬と共に歩む物語

「アントールの犬」、事前情報で見た限りでは、タイトル画面の犬が様々な人と人間模様を渡り歩いていく…そんなお話だと思っていました。
しかし、実際のゲーム内容は正反対。数々の犬と共に歩んだ、ある1人の男とその家族を描いた物語です。
そこには、「狂い月」のようなホラー成分はもちろんのこと、「ねこの帰り道」のような超常現象さえありません。
それどころか、文字情報さえ、最低限挿入されるナレーションのみです。ゲーム進行は、身振り手振りと絵で表されたセリフで進んでいきます。

しかし、それがそれ故に感動のお話になるあたりが、3色ぱん さまの実力と言えます。
「狂い月」のレビューで赤松氏が言った「ドット絵がぱたぱた実に良く動くのです。」が、本作で最大限に発揮されているのです。
本作の演出は、本当に細かいところまで行きわたっています。ストーリー進行ごとに代替わりしていく犬たちですが、部屋の隅に先代たちの写真がいつまでも飾られていたり、時には子犬時代の暮らしも覗き見ることができたりと、細かく気配りされています。

ゲーム進行としては、「家に入る→表示されるアイコンを調べる→勝手口から出る」のループのみ。しかし、その中で、家族の生活模様、時に喧嘩もしながらも平和な暮らし、そしてラストへと、ストーリーは着々と進んでいきます。
それはまさに「大河ドラマ」。本作は、1人の男の人生を描いた大河ドラマなのです。もちろん、この男は偉人でも何でもありません。それなりに裕福な暮らしとはいえ、平凡な人生を歩んだ1人の男です。
しかし、そんな人生でも、描き方によってはこれほどの感動を呼べる、「アントールの犬」は、そんな作品なのです。

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