■ 三代目レビュー アドベンチャー 14
獏の夢遊録 槨ノ家 涕泣を越えて ヨミガエリの記憶 ルナフォン
ばけねこ探偵事務所 SHTDN HER TREES COSMO BLOSSOM フィッシュ・フックは
涙しないRE

【 獏の夢遊録 】

獏の夢遊録
ジャンル [ 悪夢探索ホラー ]
作者 [ 民子 さま(ピンクホルマリン) ]
容量・圧縮形式 [ 269MB(ボイスなし版), 355MB(ボイスあり版)・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ ボイス版あり ]
配布元 配布元

夢を持って夢を彷徨う者たち、人は彼らを「獏」と呼んだ。

現代なのか未来なのか、はたまた異世界なのか、そんなことすら分からぬ世界。我々の世界と明らかに異なる点は、「夢の世界」がはっきりと実在する点、そして、そんな夢の世界を渡り歩く異能力者「獏」の存在である。
グラサンの青年・信藤康信も「獏」の一人である。付きまとう謎の美女・モニカに悪態をつきながら、康信は自身の目的のため、「獏」の能力で他人の夢から夢へ渡り歩く毎日を送っていた。長い間現世へと目覚めることのないまま。
そんな彼の「夢」に、ある日、一人の闖入者・日暮つつじが現れる。彼女は「青い猫の夢」というおまじないを行ってここに来たという。

獏の夢遊録

それからほどなく、康信の「夢の世界」は書き換わってしまう。アイドルのステージのような世界に。ステージの上には「リュカリカ・リュート・リャンパー」を自称する、「青い猫」のような怪物が立っていた。
リュカリカは、「獏」の2人にゲームを持ち掛ける。この世界にいる「白い蝶」を3匹捕まえるという、一見簡単なゲームである。しかし、この世界は「絶望した少女の夢」の中。混沌で危険なこの世界の中、つつじと康信、そしてなぜか乱入してきたモニカは、「白い蝶」の謎を解き明かせるのだろうか。

本作に限らず、民子さまは、「夢」と「精神」というカオスで不安定なものを骨子とした、ポップでサイコなホラーを得意とした作家です。
前作は数分程度で読了できる短編ばかりでしたが、今作「獏の夢遊録」は、数々の謎解きを据えた本格的な探索ADVとなっています。
その謎解きの難易度はかなり高く、また、ヒントも不足しがちになっています。物語中盤で登場する「風船」に秘められた複数のヒントなど、謎解きのヒントが離れた箇所に散らばっている上に、解読が難しい点が本作の謎解きの難しさの第一要因となっています。
「集会所」に掲示された五十音表の謎、「風呂場」にある「背の高い順に並べる」謎と「鉢植えに乗せる花」の謎…「見た時点ではヒントやアイテムが不足していて解けないし、不足していることすら分かりづらい。かなり後になって残りのヒントが出てくる謎」が大多数を占めるのも、本作の謎解きが難しい理由です。
基本的に、1つ謎を解いたら全マップを回るのが攻略の手順となります。「謎を1つ解いたこと」が出現フラグになる「別の謎のヒント」が多いためです。「どこに出た」という言及もないため、しらみつぶしに全マップを回るのが一番手っ取り早い回収手段となります。
ただし、ReadMeにも言及されている通り、一発GAME OVER要素にはご注意を。「家」の1F右の部屋など、「フラグを立てずに調べると問答無用でGAME OVER」となる場所がちらほら存在します。GAME OVER箇所は「死んで覚える」他ありません。
時に、導線を見失って途方に暮れる場合もあるでしょう。そんな場合でも、作者お手製の攻略を見れば、コンプリートできるようになっています。ただし、END分岐条件などのネタバレ要素もクッションなしで表示されるため、ネタバレを気にする方は攻略を見ずに進めることを推奨いたします。

本作は、「獏」や「夢魔」という独特の世界観を骨子としたストーリーだけに、ネタバレ要素も多くなっています。ヒロインであるはずのモニカの存在自体が物語の骨子でありネタバレ要素の塊。第一印象では賑やかしの道化役にしか見えないモニカが、どのように本作の世界観にかかわっているのか、つつじが康信の夢に乱入してきた理由とは、この夢を作った少女の絶望とは、白い蝶に秘められたリュカリカの目的とは…怪しい奴しかいない登場人物の「秘密」を、余す所なく解き明かしてください。


(補足)
2023.06.28:ゲームアツマールのサービス終了に伴い、リンクを変更。

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槨ノ家(かくのや)

槨ノ家
ジャンル [ 探索ホラー ]
作者 [ oka さま ]
容量・圧縮形式 [ 228MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMZ ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

恨みや不和さえ、飲み込む狂気

三葉(みつば)直子(なおこ)は悲しみの中にいた。幼馴染だった本庄(ほんじょう)卓治(たくじ)が、突然に自殺したからである。
裕福で家庭円満だった本庄家は、ここ最近から兄の引きこもり、父の失踪と不幸が続いていた。ただならない本庄家を不審に感じ、そして卓治の死に何の反応も返さない本庄家の人々に業を煮やし、直子は本庄邸に向かう。
鍵のかかっていない玄関を不思議に思いながら、本庄邸に突入した直子であったが…。

次に目覚めたのは、卓治の部屋の中であった。「コン」と名乗る子狐と共に、直子は本庄邸に閉じ込められてしまう。
本庄家の人々は、卓治を初め、みな悪霊化していた。狂気と悪霊が漂う本庄家から、直子と「コン」は脱出の手がかりを見つけなければならない。
そう、時が経つにつれ、狂気は彼女たちさえも蝕んでいくのだから…。

槨ノ家

本作の登場人物の名前を聞いて、ピンときた方もいるのではないでしょうか。そう、直子も卓治も、oka氏の前作神石師(じしゃくし)第2章の重要キャストとして登場していました。
本作の時系列は、卓治が自殺した日の夜中…すなわち、(はじめ)(たかし)纉石(つづきいし)(あや)が七不思議相手に四苦八苦していた時間帯と同時の出来事となります。
本作の主役の一人「コン」も、どことなく玄人っぽい雰囲気を醸し出していますが、残念ながら今はか弱い子狐の姿。異様にパワフルでポジティブな直子と手を取り合い、そしてツッコミながら事件解決を進めて行くことになります。
もちろん、話を進めて行けば、何故「コン」が子狐の姿になったのか、「コン」の正体とは、そして、本庄家を襲った怪異の真相が余す所なく明かされます。ネタバレ防止のため、当サイトでの言及は控えておきます。

ただし、そのための謎解きとフラグ立ては、今作でも(「神石師」と同程度には)難易度が高くなっています。謎解き自体は数値入力などのキーアイテム集めが主ですが、問題は「END分岐条件が作中で曖昧にしか出てこない」という点。
本作では「TRUE ENDにたどり着かないとおまけ部屋が解放されない」仕様になっています。肝心のTRUE ENDを見る条件は、他のENDや分岐中に朧げに言及されるセリフから類推するか、攻略を頼りにする他ありません。
追いかけっこも、初見では階段の折り返しに引っ掛かりがちです。折り返し地点は大きめに右に進んで、壁際で下に移動すると手すりに引っ掛からずに降りられます。それでも難しいと感じた方は、「設定」>「敵の速度」で調整も可能です。
本作のTRUE ENDに必要な条件はかなり多いうえ、いずれも積極的に探索しないと見つからない場所にあります。「解く順番」も厳しく、コン側で見つけた怪しい場所も、直子側では(前提条件を立てるまで)調査すらしてくれない物も存在します。
「神石師」は攻略なしで最後までは行けた(隠し要素は大多数見逃した)私ですが、「槨ノ家」ではどうしてもTRUE END条件が分からず、攻略に頼らざるを得ませんでした。攻略を見てさえ、見つけるのに時間がかかったアイテムさえあります。
もっとも、これは現時点(2023.02.26)の最新版であるver1.1での話。更新予定であるver1.2では、ヒントの追加など攻略しやすい変更が入る予定です。
もし、現バージョンでは難しすぎると感じたら、次回バージョンの更新をお待ちください。

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涕泣(ていきゅう)を越えて 】

涕泣を越えて
ジャンル [ 探索ホラー ]
作者 [ rirainu(リラ犬) さま ]
容量・圧縮形式 [ 222MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 12歳以上推奨(若干のホラー・バイオレンス・性的表現含む) ]
配布元 配布元

どれだけ失っても言えること。「わんこは天使」

(もみじ)は廃屋のバスタブの中で目覚める。彼女が覚えていたことは極わずかであった。
ここが一家心中の噂があるホラースポットであること。ここに彼女は恋人の柊亜(とうあ)と愛犬の「サンちゃん」を連れて来たこと。ここに来たのは何らかの目的があってのこと。ここ最近の記憶が朧気となっていた。
柊亜にもサンちゃんにも程なく再会できたものの、どちらも様子がおかしい。微妙にやつれ、時折妙な反応を返す柊亜。神出鬼没で、小型犬にはとても行けない場所にまで出没するサンちゃん。
妙なことは椛自身にも起こっていた。探索中に悪霊に襲われる椛。逃げる間もないまま頭を食いちぎられ、すわGAME OVERかと思った瞬間、巻き戻ったかのように復活した椛。
いったいこの家に、そして椛たちに何が起こっているのか。倒れ、そして目覚めるたびに、椛の記憶は朧気になっていく…。

涕泣を越えて 涕泣を越えて

本作は謎解きを散りばめた探索ホラー。それを彩るのは、作者自身の手によるゴシックでダークなグラフィック。そして、ストーリー後半で明かされる『真相』です。
ただし、そのストーリーを紐解くための『探索』はかなり高難度…と言うより、ヒントと導線が不足気味になっています。
その原因は、「1部屋に解く謎が複数あり、どれをどれだけ回答すればフラグが進むのか分かりづらい」点が主となります。
台所のマネキン…家族4人の衣装を風呂場から持ってきて着せればいいとは分かりますが、正しく着せても、そして間違った着せ方をしても何の反応もありません。台所の謎を解くには、もう1つアイテムが必要です。それを手に入れるタイミングは、他の謎を解いたかなり後のこと。
2つの子供部屋…壊れた花瓶の代わりを探して花を生ける・おもちゃ箱に2人の好きだったおもちゃを入れる…までは推定できるものの、こちらも2人分の花が手に入るのはかなり後のこと。「どちらを先に解決するか」までが謎解きの最大要件となっています。
ほとんどの部屋が開始直後から入れるため、「どの謎から攻略できるのか」が混乱しがち…これが、本作の高難易度の要因なのです。
作者様はホームページを持っておらず、攻略情報はPixiv小説に書かれていますが、検索順位が低くなっています。作品本体に描写されたヒントは不足気味なので、詰まったら適宜に攻略情報を参考にしましょう。

さて、本作が「可愛い動物が出るホラー」ということで、皆様が一番気になる点としては…「サンちゃんの安否」でしょう。
しかし、私はそれを語ることができません。「サンちゃんの安否」が本作最大のネタバレ要素であるためです。それほどに、サンちゃんは本作のキーパーソンなのです(ドッグですが)。
画面も状況も陰鬱とした舞台の中で、胸糞要素が豊富なこの家の真相が語られる中で、唯一と言っていい癒し要素のサンちゃん。椛は、恋人である柊亜以上に、サンちゃんに執心している描写が序盤から見られます。
サンちゃんが何故2人と共にこの家に来たのか、そもそも、2人と1匹は何故にこんなホラースポットに来たのか、全てはストーリーを進めていけば余す所無く明かされますし、ストーリーを進めるにつれて察していける造りになっています。
作者様のTwitterアカウントを見ての通り、作者様自身も相当の犬好きであることがうかがえます。ワンちゃんのことを第一に考えたストーリーであることは、最後まで見たこの私も保証しておきます。
ただし、現在動物を飼育している方、またはかつて動物を飼育していた方は細心の注意を。本作はそんな方にこそ最大限響く作品なのです。場合によっては負方向の響きを感じるほどに。

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【 ヨミガエリの記憶 】

ヨミガエリの記憶
ジャンル [ 探索アドベンチャー(ホラー風味) ]
作者 [ サラ さま ]
容量・圧縮形式 [ 510MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMZ ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ 12歳以上推奨 ]
配布元 配布元

精霊が導き、死霊が漂う物語

とある国があった。その国は精霊の加護を受け、繁栄と腐敗を繰り返していた。そして現在、その国は混乱の最中にあった。
本作の主人公・リジーも、その混乱の犠牲となった一人であった。彼女は両親が強盗殺人に遭ったショックで、人前で口がきけない障害を負っていた。
唯一言葉を交わすことができたのは、限られた人にしか見えない精霊と、妙に賢いカラス「かーくん」だけであった。
余人の視線から逃れつつ、たくましく生きるリジー。しかし、そんな彼女は再び野盗の襲撃に遭う。
野盗から逃げ惑う中、辿り着いたのは不気味な屋敷。屋敷に逃げ込んだ彼女であったが、屋敷の扉は彼女の真後ろで無情にも閉ざされてしまう。
リジーは、屋敷から脱出するため、人の姿を取った「かーくん」と共に探索に乗り出すのであった。
その屋敷は、王国の秘密と闇がひしめく場所。そして、リジー自身の「真相」が眠る場所でもある…。

本作は「記憶シリーズ」と題されるサラ氏のシリーズの最新作です。処女作「白黒の記憶」より、RTP改造ながら美しく好ましいキャラクターと、巧みなストーリーテリングで、知る人ぞ知る名作シリーズです。
当サイトで取り上げるのは本作で初となりますが、この私も、実は「白黒の記憶」からずっとプレイしているシリーズです。
8年ぶりの新作となる「ヨミガエリの記憶」は(正確には本作の直前に外伝作「思い出の記憶~最期の欠片~」を発表されていますが)、製作ツールをRPGツクールMZに移し、作品の雰囲気もホラー風味を増し、より重厚なストーリーとなりました。

それほど、本作は今までのシリーズ作品と比べて「ホラー的演出」「ホラーゲーム的アクション」が増量しています。そうです。ホラーゲームに付き物の「追いかけっこ」や「一発ゲームオーバーとなる罠」もひしめいているのです。
ゲームオーバーになりかねない箇所は直前にセーブが出るためリトライが楽ですが、逆に言えば、その救済措置が無ければクリアを諦めかねないレベルには難しいアクションです。
(普段の探索では邪魔になるレベルに)高速のダッシュで駆け抜けた後、ほぼ総当たりの選択肢(間違うと一発死)が出てくる、混乱必至のパニックシーンがかなりの数存在します。
後半には、「かなり分かれ道の多い廊下から出口を探す追いかけっこだが、正解の道を障害物が防いでくる。手に入れたアイテムで『鬼』を足止めして時間稼ぎをしないといけない」かつてないほど難易度の高い追いかけっこまで出てきます。
最も難易度が高い点は、「正解の道を障害物が防いでくる」「その障害物は一定時間で消える」ことがゲーム内で明言されていない点です。正直言って、この箇所だけは作品サイトにあるヒントを見ないと解けませんでした。それまで「障害物が防いでくる道は不正解」だと思い込んでいたためです。

そして、本作の真骨頂は、これらの恐怖を乗り越え、屋敷から脱出した後に始まります。ネタバレになるため詳しくは言えませんが、屋敷から脱出した後に出てくる「プロローグ 完」の文字、そこから急転直下で紐解かれていく過去の真相…この怒涛の展開は是非ノンストップで目の当たりにしてほしいです。
冒頭のあらすじでは触れられなかったキャラも含め、「全て」の登場人物が秘密を持っています。もちろん、主人公であるリジーの「秘密」こそ、本作の大きな骨子となるものです。
本作のシナリオ量は、シリーズ内でも長めの3~4時間程度。お時間を見つけて一度に読み進めてください。途中の追いかけっこも(シリーズ屈指レベルで)難易度が高いこともお忘れなく。

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【 ルナフォン 】

ルナフォン
ジャンル [ WEB連動ホラーゲーム ]
作者 [ HIJIKI さま ]
容量・圧縮形式 [ DL不要・ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

このWeb時代、安楽椅子探偵も世界中を巡れる。

今週2022.12.20に突如舞い降りた「ゲームアツマールのサービス終了」の報。終わりはいつだって突然なのは、スマホゲームもレビューしている私にとっては重々覚悟していたことです。それでも、2023.06.28をもって削除しなければいけないリンク・更新しなければいけない情報の個数を考えると、半年以上も間がある今現在の時点で気が遠くなります。
ゲームアツマールにアップロードされた作品は、作者本人以外にはローカルダウンロードできず、どれだけの作品が新天地を見つけられるか分かりません。
そもそも、ゲームアツマールに上がっていた作品の中には「冒険者の宿 竜の翼亭」のようなマルチプレイ機能のある作品、果てには課金アイテムが実装されている作品もありました。
システム的に新天地を探すことが至難な作品、しかも消え去ることを受け入れがたい作品も数多く存在する…ゲームアツマールの歴史の長さ、終わりを迎えて改めて痛感いたしました。

そんな中、私はとある1作品を思い浮かべました。ゲームアツマール上の他のゲームをプレイしながらずっと気になっていた作品、その上で、今の今まで手を出していなかった作品です。
その名は「ルナフォン」。「WEB連動ホラーシリーズ」と謳ったこの作品。前作「パルフォン」と共に、2020年…2年前に公開された作品です。
この作品も、ゲームアツマールの終了と同時に消えてしまうのでしょうか。その前にプレイせねばならない…重い腰を上げ、やっと今週取り上げることとなりました。

ルナフォン ルナフォン

このゲームの中で、「あなた」はテレビCMに出るほど有名な探偵となります。
その日受け取った依頼は、依頼者・西名あかねの恋人・長島航の捜索であった。
新宿に向かってから消息を絶った長島。彼のTwitterアカウントから、リアル謎解きゲームに「ルナ」という何者かと参加していたことまでは分かったものの、それ以上の情報は掴み切れなかった。
情報の糸が途切れた瞬間、見知らぬアドレスから電話がかかってきた。「ルナ」を名乗る電話の主は、「長島を誘拐した」とだけ告げた。
長島の行方を探るため、「あなた」はリアル謎解きゲーム「新宿と3人のギャング」の謎を解かなければいけない。
果たして長島の居場所は!? 「ルナ」の正体は!? その魔の手は、「あなた」自身にも忍び寄っている…。

ルナフォン ルナフォン

本作の特徴は、「WEB連動ホラー」の名の通り、ゲーム内のヒントが外部サイトやTwitterアカウントに記載されている構成にあります。
「ルナフォン」本体にネット連動機能はありませんが、「ブラウザを使って謎を解く」というゲームシステムは、同じブラウザを利用するゲームだからこそ生かせる仕掛けでもあります。
その謎解きはプレイ時間30分と短めですが、「見つけた数字から郵便番号検索で住所を探る」など、Webの機能をフル活用しないと見つからない回答ばかりです。
本作のENDは2つ、ただし、2つ目に至る道筋は、1つ目をクリアしないと到達できない仕掛けになっています。(仕掛けが分かっても「はじめる」からのプレイでは進めない仕様になっています。)
2周プレイで30分の、短いながらも充実した謎解き、「ゲームアツマール」がその灯を閉じるまでにプレイしてください。


(補足)
2023.06.28:現時点では「パルフォン」のみ有料版がプレイできます。(\620)

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【 ばけねこ探偵事務所 】

ばけねこ探偵事務所
ジャンル [ オチャラケ謎解きアドベンチャー ]
作者 [ たちやま さま(制作・作曲) ]
[ MoLa さま(イラスト) ]
容量・圧縮形式 [ 548MB・ZIP ]
製作ツール [ RPGツクールMZ ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

好奇心は猫のエナジー

大木のうろの中、1匹の化け猫・珠(たま)が気ままに暮らしていた。普段は、うろの中で詰め将棋をしながらのんびり暮らしている珠だったが…。

ばけねこ探偵事務所 ばけねこ探偵事務所

化け猫として長年生きる彼女には、ヒトとしての顔があった。それが「探偵」。ただ、アバンギャルドな事務所の見た目のせいか、彼女自身のエキセントリックな性格のせいか、繁盛しているとは到底言えない様子。ここでも気の向くままにコレクションを眺める毎日であった。
そんな彼女に、化け猫仲間からとある噂が舞い込む。町はずれの森の奥に、いつの間にか洋館が建っていたという。洋館に向かった人間が行方不明になったという噂もオマケに付いて。
余りにも怪しい噂への好奇心、そして暇すぎる現状を理由に、珠はその洋館の調査に向かう。
しかし、その洋館は想像以上に奇妙奇天烈なものだった。珠を阻む数々の謎と仕掛け、そして、洋館の奥に潜む陰謀の正体とは!?

ばけねこ探偵事務所 ばけねこ探偵事務所

本作は「怪しい洋館の探索」という、ホラーゲームお馴染みの舞台ながら、実はコメディ成分がたっぷり詰まったアドベンチャーです。
珠を翻弄する数々の仕掛け、洋館の奥に潜む陰謀の正体、そして最終決戦…全ての物語が明るく笑える上質のコメディに仕上がっています。
ただし、仕掛けについてはかなりの本格派。

「隈なくマップを見て回り、書いてあることを試行錯誤すれば解ける」絶妙なバランスになっています。もし解けない場合、ゲーム内や作者様ホームページには解答は無いため、本当に「ありとあらゆる探索」を求められることになります。
ストーリーは短めで30~40分もあれば読了できるでしょう。メインストーリー終了後のオマケも充実しています。オマケの外伝ストーリーもかなり笑えて楽しめます。皆様も、ぜひ「ばけねこ探偵事務所」の物語を隅々まで楽しんでください。

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【 SHTDN(シャットダウン) 】

SHTDN
ジャンル [ ピクチャを探索するゲーム ]
作者 [ 旨味まづ さま(丸得基地) ]
容量・圧縮形式 [ 253MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMZ ]
言語 [ 日本語 ]
備考 [ ブラウザ版・ダウンロード版の両方をプレイ可能 ]
配布元 配布元

塵も積もれば極彩色世界

ここはとあるパソコンの内部。ネットにも繋がらず、操作する人もいない、そんなパソコンの中に、動いているプログラムが2つだけ存在していた。
1つは、外部デバイス越しに侵入してきたコンピュータウイルス「アガペー」
残り1つは、そのアガペーを撃滅せんと目覚めたワクチンソフト「ゴヨウ」
現れてはデスクトップを滅茶苦茶にするアガペーに対し、ゴヨウの鉄拳制裁が飛ぶ…そんな毎日を繰り返していた。
ある日、「毎日潰しているアガペーは分身(ショートカット)に過ぎない」と気づいたゴヨウは、アガペーの本体を消去しようともくろむ。しかし、当のアガペーによって滅茶苦茶にされたデスクトップから本体を探し出すのは容易ではない。
しかし、ゴヨウは疲れを知らないソフトウェア。ゴミ箱に捨てられたファイルを1つずつ漁っていけばいつか辿り着けると、フルスキャンを開始する。
長年積まれて溜まった「ゴミ」は、持ち主の思いも重なった不思議で美しい世界を形成していた。パソコンの中しか知らないゴヨウにとって、「ゴミ」に積まれた地球の、世界の、生活の画像はとても興味を惹かれる物であった。
「ゴミ」の中で、ゴヨウは何を学び、アガペーは何を決意していくのだろうか。

本作の進行は単純。何十マップに分かれた「画像の世界」を左から右に進んでいく…大まかな進行はそれだけです。
しかし、巡るマップはどれも美しいドット絵で彩られた世界。見ているだけでも楽しめる作品になっています。
もちろん、本作でできることはそれだけではありません。マップ内には吹き出しのアイコンが点在しています。そこを調べると、マップの「画像」について、ゴヨウとアガペーの会話が楽しめます。
何もかもが初対面で、鉄面皮に秘めた興味を隠そうともしないゴヨウ。ネットから得た「知識」は持っているために一応の教師づらはするものの、「実感」はしていないためにどこかチグハグな解説になるアガペー。2人の会話の「妙」も、本作の魅力の1つです。

そんな、一見仲良くケンカしている2人の行く先は、どうなるのでしょうか。いかに和気あいあいとしていても、2人はプログラム。パソコンを破壊するために生まれたウイルスと、そのウイルスを破壊するために生まれたワクチン、どうしても分かり合えない溝が常に存在しているのです。
本作のENDは3つ実装されています。しかし、その分岐については完全秘匿。ホームページにも攻略情報は存在していません。
私も、吹き出しを調べる回数・「左から右」以外の通路の探索・画面右下のフォルダから飛べるショートカット…色々と試してみましたが、1つのENDしか見れていません。
「吹き出しが存在しないマップ」「右から左に行くことで後戻りができるマップ」「クリア後のゴヨウ1人で探索するシーン」など、怪しい箇所はあるのですが、パターンが多すぎて探り切れません。
顔のいい男子2人の絆、殺しあう運命を避けられない悲劇、以前に紹介した「ZENO」と同様、本作も美男子たちの悲しい物語を楽しめる作品です。ぜひ、色々と探って、2「人」のプログラムの「心」を探ってください。

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【 HER TREES 】

HER TREES
ジャンル [ ポイントクリック謎解きゲーム ]
作者 [ stone さま ]
容量・圧縮形式 [ 52MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ Unity ]
言語 [ 英語 ]
備考 [ ブラウザ上でもプレイ可能・ダウンロード版はWindows専用 ]
配布元 配布元

目の前には、「彼女」と「木」だけがいた

「HER TREES」の目的は、ただ「謎を解くこと」のみ。謎を解くたびに、「彼女」の頭上に生えた「木」は実をつけていきます。
枝の全てに実を付けて、謎解きをコンプリートしたとき、貴方はこの空間から脱出できる…そんなゲームなのです。

貴方の周りには数々の「絵」が飾られています。絵の中にある「物」は、ドラッグで自由自在に動かせるものが含まれています。
絵の中の「物」をいじくりまわせば、様々な「ヒント」が浮かび上がってくるでしょう。浮かび上がったヒントの順番で、画面右のA~Iのボタンをクリックすること、それがチュートリアルから示される「謎解きの基本」となります。

しかし、その謎解きは「理不尽」と感じるほどに高難度。その要因は、「セリフ」をことごとく排した造りにあります。
部屋の周りにある「絵」をいじっていれば、1つ2つの謎なら解けるかも知れません。しかし、ほとんどの「絵」は、「どうしたら文字や数字が浮かぶか」すら分からないでしょう。何しろ、「セリフ」が無いため、「解き方」を文章のヒントで表示することができないのです。

しかし、本作はただの「理不尽な挑戦状」ではありません。謎解きの答えは、画面右上のメニューボタンから「HINT & ANSWER」を選択すれば、完全に表示されます。
正直言って、この「HINT & ANSWER」に頼らなければ、まずクリアは不可能です。ヒントを見なければ発想すらできない解決法ばかりなのもさることながら、「1つの絵に複数の謎解きが存在する」ものさえあるのです。「1つ解いたから」と安心して、他にも謎解きがあることを見逃すと、いつまで経ってもクリアできません。
「どの絵にいくつの謎があるのか」についても「HINT & ANSWER」は完全に教えてくれます。
貴方も、心地よいサウンドと世界観の中、本作の謎解きを楽しんでください。そして、謎解きの難しさでこの世界に恨みを抱く前に、「HINT & ANSWER」に頼りましょう。

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【 COSMO BLOSSOM 】

COSMO BLOSSOM
ジャンル [ 短編SFホラー ]
作者 [ (そるてぃむ~ん) さま ]
容量・圧縮形式 [ 89MB・ZIP, ブラウザゲーム ]
製作ツール [ RPGツクールMV ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

現実に電気羊がいる世界。では、アンドロイドは何の夢を見ているのか。

ユウ=クレシマは、見知らぬ船内で目覚める。彼はお付きのオートマタ・サクラと共に火星旅行に行く途中、爆破テロに巻き込まれて大怪我をした。
気絶したユウは、同じ港に停泊していた小型運搬船に拾われ、治療を受けていたのだ。
小型船の中には、ユウとサクラの他にも乗員がいた。陽気だが怪しさも垣間見える青年・エミール、物静かな少女・イリス、戦闘用オートマタ・ニーナ、そして、コックピットに閉じこもったまま姿を見せない「船長」である。
6人を乗せた小型船は、地球へと航路を進めていく。航路は順調に進み、何事も無ければ無事に地球へと到着する。しかし、搭乗人員全て…ユウとサクラを含めて…が「秘密」を持つ宇宙の棺桶の中、「何事か」は着々と忍び寄っていたのだ。ユウが垣間見る電気羊の夢と共に。

COSMO BLOSSOM COSMO BLOSSOM COSMO BLOSSOM COSMO BLOSSOM

本作は、「狭い宇宙船」というクローズドな舞台の中で、ホラーあり、愛憎ありのサスペンスが繰り広げられる物語です。
また、本作のENDは4つに分かれており、「中盤の選択肢」と「その後の行動によるフラグ」によって変わる仕掛けになっています。特に、最も物語の真相が判明するEND1の到達条件は難しく、序盤からENDまでの行動が条件となります。具体的に「何をするとEND1に行けるか」のヒントは、おぼろげながらストーリー中に表示されますし、聡い方ならば「ひょっとしたら、何気なくやっていた『あの行為』がNGでは!?」と気づくでしょう。ただし、「何気なくやっていた『あの行為』」は本当に何気なくやってしまうように仕組まれています。END1に行く条件は、本気の「細心の注意」が必要なのです。

そして、ストーリー的にも全てのENDを網羅して初めて『真相』が分かる仕組みになっています。選択肢を外すと全く表示されない「あの人の正体」、1つのENDでしか分からない「あの人の真意」、そんな秘密がこの舞台・この登場人物たちにみっしりと詰め込まれているのです。
本作唯一の外交的な性格ながら怪しさや偏執を感じさせるエーミル、黙して何も語らないイリス、人間に対し皮肉や諦観を見せるニーナ、主人であるユウに主従や恋愛以外の「なにか」を見せるサクラ、そして、原因不明の頭痛の中で血まみれのサクラを幻に見るユウ…果たして、この狭い舞台の中で、彼らは何を思っているのでしょうか。
主人公であり「視点」でもあるユウが「最も信頼できない」点をストーリーのキーポイントとしている作品です。何が実像で何が幻か、考察しながらこの「奇妙」な物語を読み進めてください。


(補足)
2023.06.28:ゲームアツマールのサービス終了に伴い、リンクを変更。

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【 フィッシュ・フックは涙しないRE 】

フィッシュ・フックは涙しないRE
ジャンル [ 探索アドベンチャー ]
作者 [ トウヤイユキ さま ]
容量・圧縮形式 [ 228MB・ZIP ]
製作ツール [ WOLF RPGエディター ]
言語 [ 日本語 ]
配布元 配布元

釣り針は舞台の上から

槙埜ジンと櫻井チシヤは隣同士で下宿していた。音楽家の卵で陽キャのチシヤは、何かとジンにかまっていたが、当のジンは塩対応の毎日であった。
ある日、出かけるジンの落としたスマホをチシヤは拾う。すぐさま走って追いかけるチシヤ。
ジンには難なく追い付いたものの、ふと周りを見ると見慣れたバス停は全く見覚えのない景色に変わっていた。来た道を戻ってもバス停にループし、ならばと向かった逆方向には鬱蒼とした森と不気味な屋敷が佇んでいた。
屋敷の中には、早乙女ミヨと渡会タイチの主従が住んでいた。…いや、「住んでいた」というのは適切ではない。ミヨとタイチはかつての住処に似た「狭間の世界」に閉じ込められた「迷い人」であった。
同じく「迷い人」となったジンとチシヤを加え、4人は元の世界に戻るため「色の付いた扉」を探すことになる。…いや、ジンとチシヤは本当に「迷い込んだ」のであろうか。見え隠れする「ツリバリ」の存在が、この物語が只者ではないと告げている…。

フィッシュ・フックは涙しないRE フィッシュ・フックは涙しないRE フィッシュ・フックは涙しないRE

本作は、7年前にレビューが来た「フィッシュ・フックは涙しない」のリメイクです。リメイクに際し、何が変わったかというと…「何もかも」と答えざるを得ないほどの相違点が存在します。

当然のことながら、謎解きもまるっきり変わっています。リメイク前は、正直言って、導線やヒントに難があったと言わざるを得ない出来でした。
しかし、リメイクに際し、謎解きの難易度自体の緩和、メニュー画面に「次の目的」を常に表示など、念入りに「誰でもプレイできる」難易度に収めていることが分かります。
リメイク後の謎解きの中には、例を見ない解決法が追加されています。「マウスカーソルによる『神の手』で、高所のアイテムを落としたり、敵を排除できる」スクリプトです。
特に「マウスクリックで敵を排除できる」仕様を、私は初見で見逃して、かなり苦労しました。操作説明は、メニューのBag→Tipsにメモしてくれます。また、一部のヒントはメニューのTalkで確認できます。「謎解きが見つからない!」という事態になったら、メニューを確認するのも一考です。

細かい点は大幅に変わっているリメイクですが、ストーリーの大筋はリメイク前と変わりません。すなわち、「ネタバレ禁止の『仕掛け』が全編に仕込まれている」ストーリーであるのです。
そのため、今回もストーリーについて、特に「第一部終了後」の展開については、本稿で触れることはできません。明かせることだけ軽く2つだけ触れておきましょう。

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